JP2811296B2 - 身障者用いす - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、身障者が安楽に座
ることができ、また看護人が看護を容易に行える身障者
用いすに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】せきついなどに障害のある身障者は、通
常はベッドに寝たり、あるいはいすに座って生活してい
る。このような身障者用のいすは、健常者用のいすと同
様のものであって、腰かけ部と背もたれ部から成ってい
る。

【０００３】せきついに障害のある身障者は、自力で自
身の姿勢を正しく保つことはできないので、いすに座っ
ていてもいすから崩れ落ちやすい。したがって従来は、
ひもで身障者をいすにしばり付けたり、あるいは看護人
が常時傍にいて身障者を支えていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上のように従来は、
身障者に適した専用のいすはなかったため、看護人の負
担はきわめて大きいものであった。したがって本発明
は、身障者、殊にせきついに障害があって自力で自身の
姿勢を正しく保つことが困難な身障者用いすを提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このために本発明の身障
者用いすは、腰かけ部と、この腰かけ部上に回転自在に
装着された背もたれ部と、この背もたれ部の上部に連設
された頭受部とを備え、前記腰かけ部と前記背もたれ部
と前記頭受部の両側部にずれ落ち防止のための側壁部を
設け、かつこの側壁部に凹入部を形成し、さらに前記腰
かけ部に股の間に隆起する突部を突設したものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、腰かけ部と、この腰か
け部上に回転自在に装着された背もたれ部と、この背も
たれ部の上部に連設された頭受部とを備え、前記腰かけ
部と前記背もたれ部と前記頭受部の両側部にずれ落ち防
止のための側壁部を設け、かつこの側壁部に凹入部を形
成したことにより、側壁部により身障者を左右から支え
ることができるので、身障者の姿勢を保ち、身障者がい
すから崩れ落ちるのを防止できる。また、股の間に隆起
する突部を突設したので、身障者がけいれんを起して
も、身障者がずり落ちることはない。

【０００７】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。図１は身障者用いすの側面図、図２は同断
面図、図３は同正面図、図４、図５、図６、図７は、そ
れぞれ図１のＡ−Ａ、Ｂ−Ｂ、Ｃ−Ｃ、Ｄ−Ｄ断面図、
図８は背もたれ部の中央線に沿った縦断面図である。

【０００８】図１〜図３において、この身障者用いす１
は、腰かけ部２と、腰かけ部２上の背もたれ部３から成
っている。背もたれ部３は、腰かけ部２の後部の上部に
ヒンジ４により回転自在に軸着されており、ヒンジ４を
中心に回転させることにより、自由に起伏させることが
できる。腰かけ部２の両側部には側壁部５が突設されて
いる。腰かけ部２や背もたれ部３は、ＦＲＰ（強化プラ
スチック）などの軽量で強度の大きい素材で中空に形成
されており、その全表面はエッジのない滑らかな曲面に
なっている。

【０００９】図２において、腰かけ部２の後部上面には
ヒンジ１１が設けられている。また背もたれ部３の背面
にもヒンジ１２が設けられている。ヒンジ１１には大径
のパイプ１３が軸着されており、ヒンジ１２には小径の
棒１４が軸着されている。棒１４はパイプ１３に抜き差
し自在に挿入されている。

【００１０】背もたれ部３の上部背面にはレバー１５が
設けられている。レバー１５とパイプ１３の内部に配設
されたブレーキシュー１７（図１）はワイヤ１６で接続
されている。常時は、ブレーキシュー１７は、図示しな
いバネのバネ力により棒１４に強く圧接されており、こ
の状態では棒１４はパイプ１３に抜き差しできないが、
レバー１５を押すと、ブレーキシュー１７は棒１４から
離れる。したがってレバー１５を押せば、棒１４をパイ
プ１３に抜き差ししながら、背もたれ部３をヒンジ４を
中心に回転させることができる。なおワイヤを用いたブ
レーキシュー機構は周知のものであり、その詳細な構造
の説明は省略する。

【００１１】図４〜図８において、背もたれ部３の上部
には頭受部６が連設されている。背もたれ部３と頭受部
６の両側部には側壁部７、８が突設されている。背もた
れ部３の側壁部７の中央には凹入部９が形成されてい
る。また側壁部７と側壁部８の間も凹入部１０となって
いる。図２において、背もたれ部３の背面下部にはシー
ト１８が貼着されている。シート１８は腰かけ部２の後
部上面に開口された開口部１９を通って腰かけ部２の内
部に垂下している。シート１８はやや腰の強い屈曲自在
な弾性シートでる。

【００１２】図３において、背もたれ部３の前面には、
このいすに腰かけた身障者に締着するベルト２１が設け
られている。また腰かけ部２の上面前部には突部２０が
突設されている（図２も参照）。この突部２０は、腰か
け部２に腰かけた身障者の股の間に隆起する。この突部
２０は、身障者がけいれんを起すなどして腰かけ部２か
らずり落ちるのを防止する。

【００１３】この身障者用いすは上記のように構成され
ており、次にその使用方法を説明する。通常は、身障者
Ａは、図２に示すように背もたれ部３を後方に倒してこ
のいす１に座る。この状態で、身障者の頭は頭受部６に
載せておく。また背もたれ部３を起立させるときは、看
護人はレバー１５を操作し、図１において鎖線で示すよ
うに背もたれ部３を回転させて起立させる。

【００１４】身障者は、自力で自身の姿勢を正しく保つ
ことは困難であるが、腰かけ部２、背もたれ部３、頭受
部６の両側部には側壁部５、７、８が突設されるので、
身障者がいす１から側方へ崩れ落ちることはない。また
側壁部７、８には凹入部９、１０が形成されているの
で、看護人は凹入部９から手を差し入れて、身障者の背
中や首、頭部などを看護でき、またいす１から抱き上げ
てベッドや車いす（いずれも図外）に載せかえることが
できる。またこの凹入部９、１０により、身障者が頭部
や上半身に左右から受ける圧迫感を軽減できる。なおシ
ート１８は、背もたれ部３を大きく起立させて身障者の
上半身を起したときに、身障者の尻部が後方へずれ落ち
るのを防止する。

【００１５】本発明は様々な設計変更が可能であって、
例えばいすの底部にキャスターを設けて床面上を車いす
として移動できるようにしてもよく、また背もたれ部３
はモータなどの動力を用いて回転させるようにしてもよ
い。

【００１６】

【発明の効果】本発明の身障者用いすは、腰かけ部と、
この腰かけ部上に回転自在に装着された背もたれ部と、
この背もたれ部の上部に連設された頭受部とを備え、前
記腰かけ部と前記背もたれ部と前記頭受部の両側部にず
れ落ち防止のための側壁部を設け、かつこの側壁部に凹
入部を形成し、さらに前記腰かけ部に股の間に隆起する
突部を突設しているので、側壁部により身障者を左右か
ら支え、身障者がいすから側方へ崩れ落ちるのを防止で
きる。また側壁部に凹入部を形成したことにより、看護
人は凹入部から手を差し入れて身障者の背中や頭部など
を容易に看護でき、また身障者をベッドや車いすなどに
容易に載せかえることができる。また身障者がけいれん
を起しても、いすからずり落ちるのを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】身障者用いすの側面図

【図２】身障者用いすの断面図

【図３】身障者用いすの正面図

【図４】身障者用いすの断面図

【図５】身障者用いすの断面図

【図６】身障者用いすの断面図

【図７】身障者用いすの断面図

【図８】身障者用いすの断面図

【符号の説明】

１ 身障者用いす ２ 腰かけ部 ３ 背もたれ部 ４ ヒンジ ５、７、８ 側壁部 ６ 頭受部 ９、１０ 凹入部 ２０ 突部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 腰かけ部と、この腰かけ部上に回転自在
   に装着された背もたれ部と、この背もたれ部の上部に連
   設された頭受部とを備え、前記腰かけ部と前記背もたれ
   部と前記頭受部の両側部にずれ落ち防止のための側壁部
   を設け、かつこの側壁部に凹入部を形成し、さらに前記
   腰かけ部に股の間に隆起する突部を突設したことを特徴
   とする身障者用いす。