JP2000170629A - 内燃機関用燃料噴射弁 - Google Patents

内燃機関用燃料噴射弁

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JP2000170629A
JP2000170629A JP10349757A JP34975798A JP2000170629A JP 2000170629 A JP2000170629 A JP 2000170629A JP 10349757 A JP10349757 A JP 10349757A JP 34975798 A JP34975798 A JP 34975798A JP 2000170629 A JP2000170629 A JP 2000170629A
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fuel
swirl
fuel injection
valve
injection valve
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JP10349757A
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English (en)
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Masaaki Kubo
賢明 久保
Takayuki Arai
孝之 荒井
Akihiro Iiyama
明裕 飯山
Akihiro Sakakida
明宏 榊田
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料に旋回力を与える燃料噴射弁を備えた筒内
直接噴射式機関において、圧縮行程で燃料噴射を行う成
層燃焼時と、吸気行程で燃料噴射を行う均質燃焼時との
双方で最適な噴霧を得る。 【解決手段】噴孔2に対して偏心したスワール生成溝を
有するスワール生成部材として、噴射弁の先端側に介装
されるスワールプレート13とこれに重ねられるスワール
チップ14とを設ける。更に、スワールプレート13のスワ
ール生成溝の偏心量を、スワールチップ14のスワール生
成溝の偏心量よりも大きくする。そして、成層燃焼時
は、スワールプレート13のスワール生成溝にのみ燃料を
通過させるべくニードル弁4のリフト量を小さくし、均
質燃焼時は、スワールプレート13及びスワールチップ14
の双方のスワール生成溝に燃料を通過させるべくニード
ル弁4のリフト量を最大に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用燃料噴
射弁に関し、詳しくは、燃料に予め旋回力を与えて噴射
するよう構成されたニードル弁式の燃料噴射弁に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、噴孔の上流側に、前記噴孔に
対して偏心して設けられる流路(スワール溝)を有した
スワールチップを設け、ニードル弁がリフトしたとき
に、前記流路を通過して旋回力が与えられた燃料を噴孔
から噴射させる構成の内燃機関用燃料噴射弁が知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
燃料噴射弁では、機関の運転条件が変化しても同じスワ
ールチップの同じ流路を通過して燃料が噴孔に導かれ、
常に同程度の旋回力が与えられる構成であるため、運転
条件毎に最適な噴霧が得られず、運転条件によっては燃
費性能や排気性能が大幅に低下してしまうという問題が
あった。
【0004】例えば、上記従来の燃料噴射弁を、筒内直
接噴射式機関に用い、低回転低負荷領域で圧縮行程中に
燃料噴射を行わせて成層燃焼を行わせる場合に、点火プ
ラグの近傍に燃料噴霧を到達させるべく、噴霧角(旋回
力)を設定すると(図7参照)、高回転高負荷領域で吸
気行程中に燃料噴射を行わせて均質燃焼を行わせる場合
に、噴霧角が大きくなり過ぎて燃焼室の壁面に直接燃料
を吹きかけることになってしまい(図12参照)、燃費性
能が悪化し、また、ハイドロカーボン(HC)等が増加
するという問題があった。
【0005】尚、図7及び図12において、符号51は燃料
噴射弁、符号55は点火プラグ、符号56は燃料噴霧、符号
57はピストン、符号58はシリンダを示す。上記のように
燃料に旋回流を与えて噴射させる燃料噴射弁において
は、背圧(雰囲気圧力)が小さいときほど噴霧角が大き
くなる傾向を示すため、高背圧下で燃料噴射が行われる
成層燃焼時に最適な噴霧角となるように燃料に与える旋
回力を設定すると、より背圧が小さい条件である均質燃
焼時に噴霧角が大きくなってしまい、上記のように燃料
が燃焼室の壁面に直接吹きかけられるといった問題を生
じることになっていたものである。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、燃料に旋回流を与えて噴射させる構成の燃料噴射
弁において、機関の運転条件毎に最適な燃料噴霧を得る
ことができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため、請求項1記載
の発明は、ニードル弁のリフト時に、旋回力が与えられ
た燃料を噴孔に導いて噴射させる構成の内燃機関用燃料
噴射弁において、前記ニードル弁のリフト量が大きくな
るほど燃料に与えられる旋回力が弱まるように構成し
た。
【0008】かかる構成によると、ニードル弁を比較的
小さくリフトさせた場合には、燃料に比較的強い旋回力
が与えられるのに対し、ニードル弁をより大きくリフト
させた場合には、燃料に与えられる旋回力が弱まり、背
圧が一定であるとすれば、噴霧角としてはリフト量が小
さいときに比べて小さくなる。
【0009】一方、請求項2記載の発明は、噴孔に対し
て偏心して設けられることで燃料に旋回力を与えて噴孔
に導く流路を有したスワール生成部材を備え、ニードル
弁のリフト時に前記流路を通過して旋回力が与えられた
燃料を噴射する構成の内燃機関用燃料噴射弁において、
前記ニードル弁のリフト量が大きくなるほど前記流路の
偏心量が減少変化するよう構成した。
【0010】かかる構成によると、スワール生成部材に
よって構成される流路が噴孔に対して偏心して設けられ
ることで、燃料に旋回力が与えられる構成であって、前
記流路の偏心量によって旋回力が増減する。ここでは、
ニードル弁のリフト量が大きくなるほど流路の偏心量が
減少変化するよう構成されているから、結果的に、リフ
ト量の増大に応じて燃料に与えられる旋回力が減少変化
することになる。
【0011】尚、本発明において、偏心量とは、噴孔中
心から流路の軸線までの距離を示すものとする。請求項
3記載の発明では、前記流路の偏心量を相互に異ならせ
た複数のスワール生成部材を前記リフト方向に重ねて設
ける構成とした。
【0012】かかる構成によると、燃料に旋回力を与え
る流路が階層的に設けられることになり、リフト量が増
大すれば、それだけ多くの階層の流路を通って燃料が噴
射されることになる。しかも、各スワール生成部材の流
路の偏心量が段階的に減少変化するから、リフト量の増
大に応じて燃料に与えられる旋回力が段階的に減少変化
することになる。
【0013】請求項4記載の発明では、前記流路の偏心
量が連続的に変化するように構成した。かかる構成によ
ると、前記流路の偏心量が連続的に変化するように構成
されているので、同じ流路を介して噴孔に導かれる燃料
に与えられる旋回力が、ニードル弁のリフト量の増大に
応じて徐々に減少変化することになる。
【0014】請求項5記載の発明では、前記ニードル弁
が圧電素子の伸縮に応じてリフトさせられる構成であっ
て、前記圧電素子に印加する電圧の制御によって前記ニ
ードル弁のリフト量を変化させるよう構成した。
【0015】かかる構成によると、電圧の印加による圧
電素子の伸縮によってニードル弁がリフトする構成であ
り、圧電素子の伸縮量が印加電圧に応じて変化すること
から、圧電素子に対する印加電圧を変化させて、ニード
ル弁のリフト量を変化させる。
【0016】請求項6記載の発明では、前記燃料噴射弁
が、機関の燃焼室内に直接燃料を噴射する構成であっ
て、圧縮行程での噴射と吸気行程での燃料噴射とに切り
換えられる構成であり、前記圧縮行程での噴射時に比し
て前記吸気行程での噴射時のリフト量を大きくするリフ
ト量制御手段を備える構成とした。
【0017】かかる構成によると、背圧が比較的小さい
吸気行程で噴射させる場合(高回転高負荷領域での均質
燃焼時)には、リフト量を大きくして燃料に与えられる
旋回力を弱める一方、背圧が比較的大きい圧縮行程で噴
射させる場合(低回転低負荷領域での成層燃焼時)に
は、リフト量を小さくして燃料に与える旋回力を強め
る。
【0018】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、ニードル
弁のリフト量を大きくすることで、燃料に与えられる旋
回力を弱めることができるので、運転条件(背圧条件)
に応じて前記リフト量を制御することで、運転条件毎に
適切な燃料噴霧が得られ、例えば燃料が燃焼室の壁面に
直接吹きかけられることによる燃費性能,排気性能の低
下を回避できるという効果がある。
【0019】請求項2記載の発明によると、ニードル弁
のリフト量が大きくなるほど燃料に旋回流を与える流路
の偏心量が減少変化し、以て、燃料に与えられる旋回力
が弱まるので、運転条件(背圧条件)に応じて前記リフ
ト量を制御することで、運転条件毎に適切な燃料噴霧が
得られ、例えば燃料が燃焼室の壁面に直接吹きかけられ
ることによる燃費性能,排気性能の低下を回避できると
いう効果がある。
【0020】請求項3記載の発明によると、ニードル弁
のリフト量によって、燃料に旋回流を与えて噴孔に導く
スワール生成部材を選択して、リフト量による旋回力の
制御を実現できるという効果がある。
【0021】請求項4記載の発明によると、単独のスワ
ール生成部材でニードル弁のリフト量に応じた旋回力の
制御が可能になるという効果がある。請求項5記載の発
明によると、圧電素子に対する印加電圧を制御すること
で、ニードル弁のリフト量を要求の旋回力が得られる値
に安定的に制御できるという効果がある。
【0022】請求項6記載の発明によると、圧縮行程中
に燃料噴射を行う成層燃焼時には、リフト量を小さくし
て強い旋回力を与えることで、背圧が高い条件下であっ
ても点火プラグの周辺に燃料噴霧が到達させて燃焼安定
性を確保する一方、吸気行程中に燃料噴射を行う均質燃
焼時には、リフト量を比較的大きくして旋回力を弱める
ことで、背圧が低いために噴霧角が過剰に大きくなるこ
とを防止できるという効果がある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図1は、本発明に係る内燃機関用燃
料噴射弁の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【0024】図1において、筒状の本体1の先端部に
は、該本体1の軸線に一致させて噴孔2が開口されてお
り、該噴孔2の上流側は本体1内部に向かって徐々に拡
径されてすり鉢状のシート部3を構成する。
【0025】円筒状のニードル弁4は、その先端部4a
が前記シート部3の形状に対応する円錐状に形成され、
該ニードル弁4の先端部4aが前記シート部3に着座す
ることで、閉弁される構成となっている。
【0026】前記ニードル弁4の基端側には、本体1の
内周面に嵌挿されて本体1の軸線方向に移動可能な円板
状の可動部材5が連結され、該可動部材5の他側には、
圧電装置(圧電素子)6の先端部が連結されており、圧
電装置6の基端部はボルト7によって本体1に固定され
ている。かかる構成により、圧電装置6は、本体1の基
端部を基準位置としてその先端部分が図で上下動するこ
とになり、圧電装置6に電圧が印加されて収縮すると、
可動部材5と一体的にニードル弁4がリフトして開弁す
る構成となっている。
【0027】また、本体1のニードル弁4を内設する部
分の中空部と外部空間とを連通させる燃料入口部8が、
本体1の周壁を貫通して設けられており、図示しない燃
料ポンプによって圧送される燃料が、前記燃料入口部8
に接続される燃料配管を介して、ニードル弁4の回りに
環状に形成される燃料キャビティー9に導入される。
【0028】また、第1の実施形態においては、図2〜
図5に示すように、外周面が本体1の内周面に嵌挿され
る円柱状に形成される一方、中央部に前記ニードル弁4
を貫通させる貫通穴10が形成され、外周壁に軸方向に沿
って延設されて両端面に至る4つの縦溝11が等間隔に形
成され、更に、一方の端面に前記縦溝11及び貫通穴10に
連通する4つのスワール生成溝12が形成されるスワール
プレート13及びスワールチップ14(スワール生成部材)
を備えている。
【0029】前記スワール生成溝12は、ニードル弁4の
軸心を中心に放射状に形成されるのではなく、図3及び
図5に示すように、前記軸心から各スワール生成溝12の
軸線まで所定の距離を有するように偏心させて設けてあ
り、前記スワール生成溝12を通過して貫通孔10にまで到
達した燃料は、上記の偏心によって旋回成分を生成する
(燃料に旋回力を与える)ことになる。
【0030】尚、前記軸心から各スワール生成溝12の軸
線までの距離とは、前記軸心から前記スワール生成溝12
の軸線に直角に交わる線を引いたときの軸心から各交点
までの長さを示すものであり、該長さを偏心量というも
のとする。そして、本実施形態では、図3及び図5に示
すように、スワールチップ14のスワール生成溝12の偏心
量OF1によりも、スワールプレート13のスワール生成
溝12の偏心量OF2を大きくしてある。
【0031】前記スワールプレート13は、前記スワール
生成溝12が設けられる側の端面を、本体1先端部の内壁
に突き当てて固定してあり、これにより、前記スワール
生成溝12と本体1先端部の内壁とによって、燃料に旋回
力を与えるスワール生成流路が形成されるようになって
いる。
【0032】また、スワールチップ14は、前記スワール
生成溝12が設けられる側の端面を前記スワールプレート
13の端面(スワール生成溝12が設けられる面とは反対の
面)に突き当て、更に、スワールプレート13の縦溝11と
スワールチップ14の縦溝11とを位置合わせすべく、スワ
ールプレート13に対する相対角度を調整して固定され
る。これにより、スワールチップ14のスワール生成溝12
とスワールプレート13の端面とよって、燃料に旋回力を
与えるスワール生成流路が形成される。また、前記燃料
キャビティー9とスワールプレート13及びスワールチッ
プ14のスワール生成溝12とが縦溝11を介して連通され、
スワール生成流路が軸方向に階層的に設けられることに
なる。
【0033】尚、スワールプレート13とスワールチップ
14との相対角度を位置決めする、位置決め機構を設ける
ことが好ましい。上記構成において、前記ニードル弁4
が最大量だけリフトして開弁状態となったときには、ス
ワールチップ14のスワール生成溝12が貫通孔10内に臨む
部分にまで、ニードル弁4先端の円錐状部分がリフトす
るように構成されており、スワールプレート13及びスワ
ールチップ14のスワール生成溝12を通過した燃料がそれ
ぞれに噴孔2から噴射される。
【0034】一方、リフト量を少なくしてスワールプレ
ート13のスワール生成溝12が貫通孔10内に臨む部分はニ
ードル弁4先端の円錐状部分が位置するものの、スワー
ルチップ14のスワール生成溝12が貫通孔10内に臨む部分
はニードル弁4の円柱部分で閉塞される状態とすれば、
専らスワールプレート13のスワール生成溝12を通過した
燃料のみが噴孔2から噴射される状態となる。
【0035】ここで、ニードル弁4を最大リフト量だけ
リフトさせて、スワールプレート13及びスワールチップ
14のスワール生成溝12を通過した燃料がそれぞれに噴孔
2から噴射されるようにした場合、前述のように、スワ
ールチップ14のスワール生成溝12の偏心量OF1よりも
スワールプレート13のスワール生成溝12の偏心量OF2
を大きくしてあるから、スワールプレート13のスワール
生成溝12を通過した燃料に与えられる旋回力よりもスワ
ールチップ14のスワール生成溝12を通過した燃料に与え
られる旋回力は小さくなる。また、最大リフト量を与え
た場合には、燃料流路の断面積が大きくなって噴射率が
大きくなり、旋回成分に比較して軸方向成分が大きくな
るので、スワールプレート13及びスワールチップ14のい
ずれか一方のスワール生成溝12のみに燃料を通過させる
場合に比べて、各スワール生成溝12を通過して噴射され
る燃料の旋回力は共に弱まることになり、結果的に、背
圧を一定とすると、最大リフト時における噴霧角は、ス
ワールプレート13のスワール生成溝12を通過した燃料の
みが噴孔2から噴射される中間リフト時のときに比べて
小さくなる。
【0036】図6は、燃料噴射弁の制御系を示すブロッ
ク図である。ここで、燃料噴射弁51は、前記図1〜図5
に示した構成のものであって、図示しない内燃機関の各
気筒毎に、燃焼室内に直接燃料を噴射するように設けら
れる。従って、前記内燃機関は、筒内直接噴射式内燃機
関である。
【0037】コントロールユニット52には、機関回転
数,機関出力トルク(機関負荷)等の情報が入力され、
コントロールユニット52はこれらの情報に基づき、低回
転低負荷領域では圧縮行程にて燃料を噴射させて成層燃
焼を行わせ、また、高回転高負荷領域では吸気行程にて
燃料を噴射させる均質燃焼を行わせる決定を行うと共
に、機関に噴射される燃料量を前記燃料噴射弁51の開弁
時間で制御すべく、開弁駆動信号のパルス幅を決定す
る。
【0038】更に、前記成層燃焼,均質燃焼の別に応じ
て、予め開弁駆動信号の電圧、即ち、圧電装置6の印加
電圧が決められており、リフト量制御手段としてのコン
トロールユニット52は、成層,均質燃焼の決定に伴って
前記圧電装置6の印加電圧を決定する。尚、前記圧電装
置6は、本実施形態の場合、電圧が印加されると軸方向
に収縮して、ニードル弁4がリフトする構成であり、前
記印加電圧に応じて収縮量が変化するから、前記印加電
圧の決定は、ニードル弁4のリフト量を決定することに
なる。
【0039】具体的には、均質燃焼時には、ニードル弁
4の最大リフト量を得られる電圧Vhを印加電圧とする
一方、成層燃焼時には、専らスワールプレート13のスワ
ール生成溝12を通過した燃料のみが噴孔2から噴射され
る中間リフト量を得られる電圧Vsを印加電圧とする。
【0040】昇圧回路53では、コントロールユニット52
で決定される印加電圧に従って、開弁駆動信号の電圧を
昇圧し、燃料噴射弁51の圧電装置6に出力する。尚、符
号54は電源を示す。
【0041】上記構成により、低回転低負荷領域で成層
燃焼を行わせる場合には、専らスワールプレート13のス
ワール生成溝12を通過した燃料のみが噴孔2から噴射さ
れるリフト状態が得られる電圧が圧電装置6に印加され
ることになる。このとき、前記スワールプレート13のス
ワール生成溝12の偏心量は、スワールチップ14のスワー
ル生成溝12の偏心量よりも大きくなっているので、燃料
に対して強い旋回力が与えられ強い旋回流が生成され
る。また、スワールプレート13のスワール生成溝12のみ
通過して燃料が噴射されるので、燃料の通過する断面積
が小さく噴射率が小さくなり、旋回成分に対して軸方向
成分が小さくなる。ここで、旋回流が強いほど噴霧角は
広がり、また、噴射率が小さいほど噴霧角は広がる傾向
を示すが、成層燃焼は圧縮行程中に燃料を噴射させて行
わせるものであって、燃料噴射弁51の背圧(雰囲気圧
力)が高いので、この高い背圧によって噴霧角は逆に狭
められる傾向を示す。
【0042】そこで、高い背圧下の噴射によって噴霧角
が狭められても、図7に示すように、点火プラグに噴霧
が届くように、前記スワールプレート13のスワール生成
溝12によって与えられる旋回力が比較的高くなるよう
に、前記スワールプレート13のスワール生成溝12の偏心
量を比較的大きくしてある。
【0043】一方、高回転高負荷領域で均質燃焼を行わ
せる場合には、ニードル弁4が最大リフト量だけリフト
するため、前記スワールプレート13のスワール生成溝12
に燃料が流れると共に、スワールチップ14のスワール生
成溝12にも燃料が流れるようになる。
【0044】ここで、スワールチップ14のスワール生成
溝12の偏心量は、スワールプレート13における偏心量よ
りも小さく設定してあるので、スワールチップ14のスワ
ール生成溝12を通過して燃料に与えられる旋回力は、ス
ワールプレート13の場合よりも小さくなる。加えて、ス
ワールプレート13及びスワールチップ14のスワール生成
溝12を共に燃料が流れることで、燃料流路の断面積が大
きくなって噴射率が大きくなるので、スワールチップ14
のスワール生成溝12を通過した燃料に与えられる旋回力
はより小さくなると共に、スワールプレート13のスワー
ル生成溝12を通過して燃料に与えられる旋回力も、成層
燃焼時に比して小さくなる。
【0045】均質燃料時には、吸気行程中に燃料を噴射
させるので、燃料噴射弁51の背圧が低く噴霧角を拡大さ
せることになるが、上記のようにして燃料噴射弁51で燃
料に与えられる旋回力を弱めるので、相対的に噴霧角が
無用に拡大することを防止できる(図8参照)。
【0046】即ち、均質燃焼,成層燃焼の切り換えに関
わらず、同じスワール生成溝12に燃料を流して同程度の
旋回力を与える構成であると、背圧が高いほど噴霧角を
狭める性質があるので、高背圧下で噴射を行わせる成層
燃焼時に適切な噴霧角になるように旋回力が設定してあ
ると、図12に示すように、背圧の低い均質燃焼時に、噴
霧角が広がり過ぎて、例えば燃焼室の壁面に直接燃料が
吹きかけられるような状態になってしまう。
【0047】これに対して、上記第1の実施形態のよう
に、スワール生成溝12の偏心量を異ならせたスワールプ
レート13とスワールチップ14とを重ねて設け、偏心量の
異なるスワール生成流路を階層的に設けてあれば、リフ
ト量によって燃料に与えられる旋回力を調整でき、成層
燃焼時と均質燃焼時との双方で適切な噴霧角を得られる
ものである。
【0048】図9には、スワールチップ14のみを用いる
燃料噴射弁の例(従来例)と、本発明に係る燃料噴射弁
とにおける噴霧形態の違いを示してある。この図9に示
すように、スワールチップ14のみを用いる構成(従来
例)では、背圧の高い圧縮行程で噴射させる成層燃焼時
に適切な噴霧角が得られるように、燃料に与えられる旋
回力が設定してあると、背圧が小さい吸気行程で噴射さ
せる均質燃焼時に噴霧角が過剰に大きくなってしまうの
に対し、本願のようにしてリフト量の制御によって燃料
に与えられる旋回力を増減調整できる構成であれば、成
層燃焼時の噴霧角を従来例と同等としつつ、均質燃焼時
に燃料に与えられる旋回力を弱めて噴霧角の拡大を抑制
し得ることになる。
【0049】また、上記構成において、均質燃焼時に最
大リフト量に制御して、前記スワールプレート13のスワ
ール生成溝12に燃料が流れると共に、スワールチップ14
のスワール生成溝12にも燃料が流れるようにすれば、大
小異なる旋回力が与えられる燃料が同時に噴射されるこ
とで、図9に示すように、傘状に広がる噴霧の内部に微
粒化した噴霧が均一に広がって、シリンダ内に均質な混
合気を短時間に形成することができる。
【0050】ところで、上記第1の実施形態では、スワ
ールプレート13とスワール生成溝12の偏心量がより小さ
なスワールチップ14とを重ねて設け、これに対応してニ
ードル弁のリフト量を2種類に制御する構成としたが、
図10に示す第2の実施形態のように、2枚のスワールプ
レート13a,13bを重ね、更に、スワールチップ14を重
ね合わせる構成としても良い。この場合にも、スワール
生成溝12の偏心量が小さい順に、スワールチップ14,ス
ワールプレート13b,スワールプレート13aとなるよう
にし、リフト量を3種類に制御すれば、燃料に与えられ
る旋回力を3種類に制御できることになる。
【0051】また、スワール生成部材を複数重ねて、ス
ワール生成流路を階層的に設け、リフト量を前記スワー
ル生成流路の階層に合わせて段階的に制御する必要は必
ずしもなく、図11に示す第3の実施形態のように、スワ
ールチップ14のみを設ける一方、該スワールチップ14に
形成されるスワール生成溝12の偏心量が、開放端から底
部に向けて、即ち、リフト量の増大方向において連続的
に徐々に減少変化するように構成しても良い。
【0052】この場合、リフト量が増大するに従って徐
々に燃料に与えられる旋回力が徐々に弱まることにな
り、より細かな旋回力の制御が可能となる。但し、前記
第1,第2の実施形態のように、スワール生成部材を複
数重ねてスワール生成流路を階層的に設け、リフト量を
段階的に制御する構成であれば、階層間、即ち、スワー
ルプレート13のスワール生成溝12の底部分での厚さ分だ
けリフト量の誤差が許容されるため、旋回力の制御を簡
便かつ確実に行える。これに対し、第3の実施形態のも
のでは、旋回力を細かく制御できるものの、リフト量の
誤差がそのまま旋回力の変化として現れるため、リフト
量の精度が要求されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における燃料噴射弁を示す縦断
面図。
【図2】前記第1の実施形態におけるスワールプレート
を示す斜視図。
【図3】同上スワールプレートの上面図(図2のスワー
ルプレートをB方向から見たときの矢視図)。
【図4】前記第1の実施形態におけるスワールチップを
示す斜視図。
【図5】同上スワールチップの上面図(図4のスワール
チップをA方向から見たときの矢視図)。
【図6】前記第1の実施形態における燃料噴射弁の制御
系を示すブロック図。
【図7】前記第1の実施形態における成層燃焼時におけ
る噴霧特性を示す状態図。
【図8】前記第1の実施形態における均質燃焼時におけ
る噴霧特性を示す状態図。
【図9】前記第1の実施形態における噴霧形態を従来例
と対比して示す図。
【図10】第2の実施形態におけるスワールプレート,ス
ワールチップの重ね合わせ状態を示す分解斜視図。
【図11】第3の実施形態におけるスワールチップ及びス
ワール生成溝の詳細を示す斜視図。
【図12】従来の均質燃焼時の噴霧特性を示す状態図。
【符号の説明】
1 本体 2 噴孔 3 シート面 4 ニードル弁 5 可動部材 6 圧電装置 8 燃料入口部 9 燃料キャビティー 10 貫通穴 11 縦溝 12 スワール生成溝 13 スワールプレート 14 スワールチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯山 明裕 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 榊田 明宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3G066 AA02 AA05 AB02 AD12 BA03 BA17 BA23 CC06U CC14 CC43 CC48 CD26 CE27 DA04 DB08 DB09 DB12 DB13 DC01 DC06 DC09 3G301 HA01 HA04 HA16 JA02 JA21 KA08 KA09 KA24 KA25 LB04 LC05 MA11 MA18 PA17Z PB03Z PB06Z PE01Z PG00Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニードル弁のリフト時に、旋回力が与えら
    れた燃料を噴孔に導いて噴射させる構成の内燃機関用燃
    料噴射弁において、 前記ニードル弁のリフト量が大きくなるほど燃料に与え
    られる旋回力が弱まるように構成したことを特徴とする
    内燃機関用燃料噴射弁。
  2. 【請求項2】噴孔に対して偏心して設けられることで燃
    料に旋回力を与えて噴孔に導く流路を有したスワール生
    成部材を備え、ニードル弁のリフト時に前記流路を通過
    して旋回力が与えられた燃料を噴射する構成の内燃機関
    用燃料噴射弁において、 前記ニードル弁のリフト量が大きくなるほど前記流路の
    偏心量が減少変化するよう構成したことを特徴とする内
    燃機関用燃料噴射弁。
  3. 【請求項3】前記流路の偏心量を相互に異ならせた複数
    のスワール生成部材を前記リフト方向に重ねて設けたこ
    とを特徴とする請求項2記載の内燃機関用燃料噴射弁。
  4. 【請求項4】前記流路の偏心量が連続的に変化するよう
    に構成したことを特徴する請求項2記載の内燃機関用燃
    料噴射弁。
  5. 【請求項5】前記ニードル弁が圧電素子の伸縮に応じて
    リフトさせられる構成であって、前記圧電素子に印加す
    る電圧の制御によって前記ニードル弁のリフト量を変化
    させるよう構成したことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1つに記載の内燃機関用燃料噴射弁。
  6. 【請求項6】前記燃料噴射弁が、機関の燃焼室内に直接
    燃料を噴射する構成であって、圧縮行程での噴射と吸気
    行程での燃料噴射とに切り換えられる構成であり、前記
    圧縮行程での噴射時に比して前記吸気行程での噴射時の
    リフト量を大きくするリフト量制御手段を備えたことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機
    関用燃料噴射弁。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003049651A (ja) * 2001-08-02 2003-02-21 Nissan Motor Co Ltd 筒内直噴式エンジン
EP1965064A2 (en) 2007-02-28 2008-09-03 Hitachi, Ltd. Fuel-injector for internal-combustion engine, methods of controlling fuel-injector, electronic control unit for fuel-injector, and fuel injection system for direct fuel-injection engine
JP2013104326A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射システム
WO2014196047A1 (ja) * 2013-06-06 2014-12-11 トヨタ自動車株式会社 燃料噴射弁の制御装置

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