JP2000169498A - タンパク質の溶解性改善方法 - Google Patents

タンパク質の溶解性改善方法

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JP2000169498A
JP2000169498A JP10351003A JP35100398A JP2000169498A JP 2000169498 A JP2000169498 A JP 2000169498A JP 10351003 A JP10351003 A JP 10351003A JP 35100398 A JP35100398 A JP 35100398A JP 2000169498 A JP2000169498 A JP 2000169498A
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electron beam
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irradiated
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Kazuyuki Sakagami
和之 坂上
Toru Hayashi
徹 林
Mikiro Tada
幹郎 多田
Setsuko Suzuki
節子 鈴木
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San Ei Gen FFI Inc
National Food Research Institute
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    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンパク質の変質あるいは分解を伴わない
で、タンパク質の水溶性を改善する手段を見いだすこと
を目的とした。 【解決手段】 本発明によれば、タンパク質に電子線を
照射し、タンパク質の水への溶解性を改善することを特
徴とする、タンパク質の水に対する溶解性の改善方法が
提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線照射による
タンパク質の溶解性を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に食品用、工業用に利用されるタン
パク質は、水に溶解するものと水に分散するものとがあ
る。タンパク質を利用する場合、保水性、ゲル化性、粘
性付与、乳化性、気泡性、ボディ感付与、固形分付与、
こく味づけ、呈味感向上、風味付与あるいは保存性、甘
味性、酵素活性などの機能特性及び栄養の改善が期待さ
れている。
【0003】従来から利用されているタンパク質の中
で、水に溶解する性質のタンパク質の種類は少ない。タ
ンパク質を水に溶解させるためには、アルカリあるいは
酸等を用いて溶液の液性(pH)を変化させることによっ
て溶解させる方法が一般的であった。一般に水に分散す
るタンパク質を水に溶解させるための方法は、pHを変化
させること以外に、下記のような方策が取られている。
【0004】アクチン、ミオシンなどの畜肉、魚肉など
に含まれる筋肉タンパク質は、食塩による塩可溶化方法
ならびにクエン酸ナトリウムやトリポリリン酸塩などの
重合リン酸塩を添加し、キレート能力を持つ塩類によっ
て可溶化させ、水に対する溶解性を向上させる方法が知
られている。なお、食塩を用いた方法は、動物性タンパ
ク質だけでなく、小麦タンパク質などの植物性タンパク
質にも適用されている。さらに、酸カゼインなどの牛乳
由来のタンパク質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウムを添加し、塩類にすることで水に
対する溶解性を向上する方法が採用されている。その他
に、一般にタンパク質を塩酸などの酸やプロテアーゼ等
の酵素を用いて、低分子のタンパク質に分解し、溶解性
を向上する方法がある。
【0005】上記のように、溶解性を向上させて、タン
パク質自体の持つ乳化力、増粘性、保水性、ゲル化など
の機能特性を引き出すことが行われているが、その機能
特性を最大限に利用するためには、タンパク質の水に対
する溶解性が向上されていることが必要であり、現段階
の方法では、その機能が十分に発揮されていないのが実
状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、タンパク
質の水溶性を改善し、変質あるいは分解が起こらないよ
うにするために、操作的に簡便で、工業的に安価で多量
処理が可能な方法が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、電子線でタンパ
ク質を照射することによって、水に溶解する性質が改善
されることを見出した。したがって、本発明によれば、
タンパク質に電子線を照射し、タンパク質の水に対する
溶解性を改善する方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における処理の対象となる
タンパク質は、特に限定されない。しかしながら、本発
明者らによれば、タンパク質を構成する1アミノ酸残基
当たりの疎水性度((疎水度×タンパク質組成(残基、モ
ル数))/総残基数 [Biglow,C.,J.theoret.Biol., 16, 1
87-211 (1967); Ribadeau-Dumas,B.ら、Eur.J.Bioche
m., 26,505-514 (1992)参照] )が 0.0222 以上のタン
パク質に適用するのが好ましいことが見いだされてい
る。
【0009】甘味タンパク質のタウマチンは、Thaumato
coccusdaneillii Benth の果実の仮皮から抽出されたタ
ンパク質であり、アミノ酸残基 209個、分子量 22209ダ
ルトン、ジスルフィド結合8個をもち、等電点11以上、
砂糖甘味換算3500倍の性質を有する。これは食品添加物
として用いられており、純度が約99%と高い。また、約
25℃の温度での水の性質が富溶媒とならず、相対的に貧
溶媒となり、水からの相互作用を受けにくいという性質
を持つ。本発明で使用されるタンパク質は、このタウマ
チンを指標にして、疎水性度が 0.0222 以上のものが好
ましい。したがって、本発明の方法に適用できるタンパ
ク質の例としては、下記の表1
【0010】
【表1】
【0011】[Biglow,C.,上記文献;Ribadeau-Dumas,B.
ら、上記文献; J.C.Chefteら、Proteines Alimentaires
(1998); Van der Wel,H. ら、Eur.J.Biochem., 31, p
p.122 (1972);亀井硯哉、Windows によるタンパク質の
解析、共立出版(1997); 渡辺篤二ら、大豆食品、pp.18
、光琳(1971); 浅野祐悠ら、卵、pp.64 光琳(1985);
上野川修一、機能性食品タンパク質工学ハンドブック、
pp.17 、サイエンスフォーラム(1991)参照] に例示する
タンパク質のほかプラズマタンパク質、大豆タンパク
質、大豆11Sグロブリン、大豆7Sグロブリン、毛髪や
爪に含まれるケラチンなどが挙げられる。また、その他
に、モネリン、しらこタンパク質、ポリリジン、タウリ
ン、ペタイン、ムタステイン、氷核タンパク質、ラクト
フェリン、イカスミ、ゼラチン、レンネットカゼインな
ど、ならびにアミラーゼ、トランスフェラーゼ、ペプシ
ンなどが挙げられる。
【0012】本発明の方法に適用するタンパク質は、上
記のようなタンパク質を70重量%、好ましくは80重量
%、より好ましくは90重量%以上含むものが好ましい。
しかし、一般的なタンパク質配合品、混合製剤等であっ
てもよい。
【0013】本発明の方法は、電子線をタンパク質に照
射することを特徴とする。電子線は、通常、電子線発生
装置から発生したものが用いられ、例えば直線型電子加
速器、バン・デ・グラーフ型電子加速器、エリアビーム
型あるいはコッククロフトワルトン型電子線発生装置な
どを用いることができる。
【0014】電子線を照射する際に、電子線に付加され
る加速電圧は 50KeV〜10MeV 、好ましくは 50KeV〜5Me
V、より好ましくは300KeV〜2.5MeVの範囲である。加速
電圧 50KeV以下を付加した電子線では、期待する効果が
得られず、10MeV 以上の加速電圧を付加した電子線は食
用製品への使用が禁止されている。一方、電子線の線量
率は、 1.0×105〜 1.0×109Gy/hr の範囲が好ましい。
【0015】本発明の方法に適用するタンパク質は、電
子線照射を行う際に、含水量を20重量%以下、好ましく
は10重量%以下に制御されていることが好適である。ま
た、該タンパク質の状態としては、乾燥物、水に分散し
た状態等のいずれであってもよいが、電子線を均一に照
射するためには、乾燥物であって、フィルム状、板状、
粒状または粉末状の形態であることが好ましい。水に分
散したタンパク質に電子線を照射する場合には、所望に
より照射後に噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥等をする
ことにより固形分とすることができる。
【0016】電子線の照射は、開放系での空気存在下、
あるいは閉鎖系での空気、酸素あるいは窒素存在下で行
うことができる。電子線は、タンパク質に直接あるいは
間接的に照射することができ、容器に入れる場合には、
例えば粒状または粉末状のタンパク質をポリエチレン袋
のような80μm以下の膜厚の容器に入れ、厚みが5mm以
下になるように薄く広げて照射することができる。
【0017】本発明者らは、上記のようにして電子線を
照射することにより、タンパク質の水に対する溶解性が
改善されることを見いだした。すなわち、タウマチンを
例にすると、通常、約65℃で水に溶解するタウマチン
は、電子線の照射により約46℃の水で約70重量%が溶解
し、溶解温度を約20℃低下させることができた。これに
より、本発明において「水に対する溶解性の改善」と
は、同量で同じ温度の水に対するタンパク質の溶解度が
増大することをいう。
【0018】タンパク質の溶解性が、電子線の照射によ
り改善されるメカニズムは不明である。しかしながら、
本発明者らは、電子線照射によって、タウマチン分子の
表面にプラス荷電が露出するような高次構造の変化が生
じていることをキャピラリー電気泳動法により確認し、
この荷電が、通常のタンパク質製品において、塩類で水
に可溶化した場合の状態と等しいことを認めた。また、
溶媒との親和性を示す第二ビリアル係数 [アイゼンバー
グ、クロサーズ(西本吉助、影本彰弘、馬場義博、田中
英次訳);生命科学のための物理化学、培風館、 p.258
〜259(1979) 参照] を算出したところ、照射により水と
の親和性が増加していることが明らかになった。これら
の現象は、いずれも照射した電子線の吸収線量に依存し
て増大する傾向にある。したがって、電子線を照射した
タンパク質の水に対する溶解性は、上記のような現象の
結果によるものと考えられる。
【0019】電子線を照射したタンパク質は水に対する
溶解性を増すほか、通常は生じない会合体、例えば5量
体又は6量体のような多量体を水溶液中で形成すること
が分子量の測定により確認された。このような会合体の
形成は、通常のタンパク質で見られるような酵素等によ
る分解の速度を抑制するものであり、安定性が高く保持
できる可能性を示している。
【0020】電子線は工業的に安価に使用することがで
き、その照射技術も確立されていることから、簡便な操
作で大量のタンパク質を処理することができる。しか
も、本発明の方法により処理されたタンパク質は、タン
パク質本来の機能が害されないので、種々の分野に適用
することができる。例えば、畜産加工(ハム、ソーセー
ジ、サラミ、酢豚、焼き豚、ホルモン焼き、ミートボー
ル、コーンビーフ、レバーペースト、ハンバーグな
ど)、水産加工(かまぼこ、はんぺん、すり身、珍味か
まぼこ、揚げかまぼこ、おでんの種、ツナ油漬け、イワ
シまたはサバのみそ漬け、貝加工品、エビクリーム煮な
ど)、農産加工(惣菜、八宝菜、サラダ、弁当、すきや
き、マーボー豆腐、シチュー、カレー、ミートソース、
スープ類など)、乳製品(コーヒー用ミルク、練乳、豆
乳飲料、チーズ、ヨーグルト、各種調整乳製品など)、
タマゴ製品(マヨネーズ、卵焼き、出し巻きタマゴな
ど)、米飯類(すし、うなぎめし、ピラフ、かにめし、
チャーハンなど)、デザート類(プリン、ゼリー、フラ
ン、ぜんざいなど)、冷菓類(アイスクリーム、かき
氷、シャーベット、勝ち割り氷など)及び冷凍加工食品
(冷凍食品類)、つけもの類(福神漬け、味噌漬け、醤
油漬け、からし漬け、奈良漬けなど)、果実製品(ぶど
うシロップ漬け、オレンジジュース、透明リンゴジュー
ス、トマトジュース、トマトケチャップ、トマトソー
ス、アンズジャム、ゼリー、プレザーブ、くり甘露煮な
ど)、飲料(コーヒー、コーヒー乳飲料、紅茶、炭酸飲
料、コーラ入り炭酸飲料、清涼飲料、ネクター、緑
茶)、アルコール飲料(清酒、あまざけ、水割り飲料、
果汁入り飲料、各種カクテル、ワイン、ビールなど)、
ヌードル製品(カップめん、うどん、ラーメン、そば、
めんつゆなど)、小麦粉製品(ケーキ、冷凍ケーキ、お
好み焼きパウダー、たこ焼きパウダー、から揚げ粉な
ど)、大豆製品など、ならびにレトルト加工、無菌充填
工程の製品などが挙げられる。また、歯磨きペースト、
マウスケア、口中清涼剤の各種医薬品、化粧品等の分野
でも利用が可能である。
【0021】特に、ハム・ソーセージのような水に溶か
して加工される畜産加工製品では、タンパク質粉末に電
子線を直接照射することにより、その水溶液をこれらの
浸漬液と混合させた際に、収率のよい製品を製造するこ
とができる。また、チーズ、プリンデザート等の乳製品
では、酸カゼイン粉末に電子線を照射することにより、
チーズ中のタンパク質固形分又はプリンデザート中のゲ
ル強度を増加させることができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。実施例1 タウマチン(タリン社製、Lot No.J99、タンパク質含量
98重量%、水分5重量%)の粉末をポリエチレン製の袋
(縦 140×幅 140×厚さ0.08mm)に入れ、厚さが5mmに
なるように薄く広げ、空気の存在下で照射した。照射に
用いた電子線加速器は、バン・デ・グラーフ型電子加速
器(日新ハイボルテージ社製)とした。加速電圧300kev
(線量率 2.0×106 Gy/hr)および加速電圧 2.5Mev(線量
率 1.5×106 Gy/hr)とし、吸収線量については、表面か
らの相対深度80%の位置で5、25kGy(電子流:10.8、3
2.1mA、速度 50m/分、照射幅20cm)とした。吸収線量
は、三酢酸セルロース線量計を用いて確認した。
【0023】A.分子量分布測定 電子線を照射した試料10mgを精密に量り、水を加えて全
量 100mlとした。各試料液を次に示すHPLC条件にて測定
した。 装置 Galliver (日本分光)、検出器 UV970(波長220n
m)、カラム TSK guardcolumn SB-G(6mm×40mm)及び TS
K gel G2000SWXL(7.8mm×300mm)、移動相 0.3M NaClを
含む50mMリン酸緩衝液(pH 7.0)、流量 1.0ml/分、温
度40℃、注入量20μl
【0024】得られた結果から、吸収線量の増大にした
がってタウマチンの含有量が、 100%から75%にまで直
線的に減少する傾向が示され、表面にある芳香族アミノ
酸が内側に移動し、アミノ酸の態様が変化していること
が推測された。また、電子線照射によって、分解による
別のピークの出現は確認できなかった。さらに、重合化
によるピークも予測されたが、HPLCによる装置の加圧等
により、単分子に分散する程度の軽い結合であることが
推測された。
【0025】B.表面荷電の測定 電子線を照射した試料10mgを精密に量り、水を加えて全
量 100mlとした。各試料を次に示すキャピラリー電気泳
動の条件にて測定した。 測定機器:キャピラリー電気泳動装置 G1600(Hewlett-
Packard 社製)、キャピラリーカラム: PVAコーティン
グしたシリカ担体(セル長56cm、内径50μm)、緩衝液50
mMリン酸緩衝液(pH2.5)、注入50mbarにて30秒間加圧注
入、電圧:陽圧にて30kV、 150μA 、キャピラリー温度
20℃、検地波長: 210nm、バンド幅10nm
【0026】その結果、図1に示すように、タンパク質
の表面荷電を変化させることができた。また、表面荷電
において、塩基性残基の増加が観察された。保持時間
8.5〜11.8分の間で観察されたピークでは、相対的に面
積比約15%の増加が観察された。
【0027】C.静的光散乱法 下記の条件の静的光散乱法により、電子線を照射した試
料表面の親水性と分子の大きさを測定した。 測定機器:静的光散乱測定機器DLS-7000HL(大塚電子社
製)、波長632.81nm、平均温度25.85 ℃、dn/dc:0.15
71ml/g、溶媒屈折率:1.3313、角度:30、40、50、6
0、90、 120、 150(°)、溶媒:超純水、フィルタ
ー:0.1 μmろ過
【0028】この結果、第二ビリアル係数がマイナス
3.9×10-5からプラス 2.3〜2.7×10- 4(モル・cm3
g-2)に変化し、水に対する親和性の増大したことが示
された。また、分子量の測定により、未照射のタウマチ
ンは、通常、水溶液中で3量体(68,140/22,209)であ
るのに対し、照射したタウマチンは5〜6量体(115,00
0〜140,000/22,209)に変化したことが観察された(表
2)。なお、水中での粒子のゆらぎと粒径を表す慣性分
子半径を算出したところ、未照射タウマチンで 310Åで
あるのに対し、照射タウマチンは 240〜270 Åであり、
形成された会合体の粒径は小さくなっていることが推測
された。
【0029】
【表2】
【0030】D.示差熱分析(DSC) 電子線を照射した試料と未照射試料の溶解温度を下記の
条件で測定した。 測定機器:Micro DSC III (SETARAM社製)、試料の重
さ:864mg 、タンパク質濃度2重量%、加熱速度2°K
/分、温度幅 283°K 〜373°K(10℃〜100℃) 図2に示されるように、未照射タウマチンにおいて、疎
水性コロイドの水への溶解による吸熱ピークは約65℃で
観察された。これに対し、照射処理後のタウマチンは、
親水性コロイドと疎水性コロイドに由来すると予測され
る2つのピークを表した。親水性コロイドに由来するピ
ークは、疎水性コロイドに由来するピークに比べて相対
的に低い温度(約45℃)にあり、被照射のタウマチンは
45℃以上で水に均一に溶解できることがわかった。以上
の結果から、電子線照射により、従来より低い温度で溶
解する分子がタウマチン中に存在するようになったこと
が示された。
【0031】実施例2 α−カゼイン(Sigma社製、Lot No. 82H9575 、分子量 2
3000)を試験材料に用いて、線量率 1.5×106 Gy/hr の
加速電圧2.5MeVとし、実施例1と同じ条件で吸収線量が
25kGyの電子線を照射した。
【0032】A.静的光散乱法 実施例1と同様にして、電子線を照射したα-カゼイン
表面の親水性と分子の大きさを静的光散乱法により測定
し、以下の分子変化を観察した。
【0033】
【表3】
【0034】この結果、電子線照射によって、α-カゼ
インにおいても水に対する親和性が増大し、水に溶解す
る性質の付与されたことが示された。また、このような
性質の変化に伴い、通常の45量体から54量体へと増える
傾向が認められた。このことから、被照射α-カゼイン
が水溶性を増すとともに、水相中での安定性を確保でき
たことが示された。
【0035】B.示差熱分析(DSC) 実施例1と同様にして、被照射のα−カゼインと未照射
のα-カゼインの溶解温度を測定した。その結果、未照
射のカゼインと比べて、被照射のカゼインでは3重量%
について溶解温度が約10℃低下したことが認められた。
【0036】実施例3 重合リン酸塩を用いて畜産製品に利用するプラズマタン
パク質(AMPC社製、Lot No.F5704)を試験材料として、
実施例2と同じ照射条件にて電子線を照射した。
【0037】A.静的光散乱法 実施例1と同様にして、被照射試料と未照射試料の分子
変化を観察し、以下の結果を得た。
【0038】
【表4】
【0039】実施例1及び実施例2と同様に、電子線の
照射により、水に対する親和性が増大し、通常の6量体
から11〜12量体へと増える傾向が認められた。したがっ
て、プラズマタンパク質に必要なゲル化の機能特性を十
分に保持したまま、照射プラズマタンパク質は水に対す
る可溶化処理を行ったタンパク質と同じ性質を確保して
いることが確認された。
【0040】B.示差熱分析(DSC) 実施例1と同様にして、被照射試料と未照射試料の溶解
温度を測定した。その結果、未照射のものと比べて、被
照射のプラズマタンパク質では、3重量%について溶解
温度が約10℃低下したことが認められた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、タンパク質に電子線を
照射し、タンパク質の水への溶解性を改善することを特
徴とする、タンパク質の水に対する溶解性の改善方法が
提供される。この方法は、タンパク質の変質あるいは分
解を伴わずにタンパク質の水に対する溶解性を改善し、
一方で通常の状態では生じない会合体を形成させること
により、水溶液中でも安定なタンパク質を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャピラリー電気泳動で調べたタウマチンの表
面荷電の変化を示す図である。実線は未照射、破線は吸
収線量5kGyの照射、点線は吸収線量25kGyの照射を示
す。
【図2】未照射タウマチンと被照射(25kGy)タウマチン
を示差熱分析により比較した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂上 和之 大阪府豊能郡豊能町東ときわ台5丁目14番 12号 (72)発明者 林 徹 茨城県牛久市さくら台1丁目8番地8号 (72)発明者 多田 幹郎 岡山県岡山市津島中1丁目3番1号102号 (72)発明者 鈴木 節子 茨城県つくば市並木4丁目10番1号904棟 301号 Fターム(参考) 4H045 AA20 BA10 CA30 CA40 EA01 EA15 EA20 GA01 HA31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質に電子線を照射し、タンパク
    質の水への溶解性を改善することを特徴とするタンパク
    質の水に対する溶解性の改善方法。
  2. 【請求項2】 電子線が、電子線加速器を通して加速電
    圧 50KeV〜10MeV の範囲を付加して使用される請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 電子線が、線量率 1.0×105〜 1.0×109
    Gy/hr の範囲で照射される請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 タンパク質が、構成する1アミノ酸残基
    当たりの疎水性度0.0222以上のタンパク質である請求項
    1〜3のいずれか1つに記載の方法。
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