JP2000166592A - (2s,3r)−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法 - Google Patents

(2s,3r)−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法

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JP2000166592A
JP2000166592A JP34676598A JP34676598A JP2000166592A JP 2000166592 A JP2000166592 A JP 2000166592A JP 34676598 A JP34676598 A JP 34676598A JP 34676598 A JP34676598 A JP 34676598A JP 2000166592 A JP2000166592 A JP 2000166592A
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Akihiro Tsutsumi
章浩 堤
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紹子 荒木
Yoshihiko Hirose
芳彦 広瀬
Jiyunkichi Oono
惇吉 大野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エス
テルを簡便かつ経済的に製造する方法を提供すること。 【解決手段】 プロテアーゼを用い、一般式(I): 【化4】 (式中、R1はハロゲン原子もしくは芳香族置換基で置
換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜
18のアルキル基、またはハロゲン原子もしくは芳香族
置換基で置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の
炭素数1〜18のアルケニル基を示す)で表わされるt
rans−2,3−エポキシ酪酸エステルのエナンチオ
マー混合物を加水分解反応により光学分割することを特
徴とする(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステ
ルの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(2S,3R)−
2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法に関する。詳し
くは、たとえば生理活性物質をはじめとする種々の有機
化学製品の中間体としてきわめて有用な(2S,3R)
−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、(2S,3R)−2,3−エポキ
シ酪酸エステルの前駆体である(2S,3R)−2,3
−エポキシ酪酸を製造する方法または製造可能な方法と
しては、たとえば(1)化学的に合成されたtrans
−2,3−エポキシ酪酸を光学活性アミンにより光学分
割する方法(特開昭60−13775号公報)、(2)
光学活性なβ−ヒドロキシ−α−アミノ酸であるアロト
レオニンに、ハロゲン化ニトロシルまたは亜硝酸ナトリ
ウムを反応させ、苛性アルカリでエポキシ化する方法
(特公昭40−21766号公報)、(3)シャープレ
ス酸化により得た光学活性ヒドロキシメチルエチレンオ
キシドをルテニウム酸化させる方法[テトラヘドロン
レターズ(Tetrahedron Lett.)、31(35)、502
3(1990)]、(4)trans−2,3−エポキ
シ酪酸エステルをリパーゼやエステラーゼにより加水分
解し、反応後の水層中より(2S,3R)−2,3−エ
ポキシ酪酸を回収する方法(特開平4−212881号
公報)などが知られている。
【0003】しかしながら、(1)〜(3)の方法は、
光学活性な原料または光学分割剤を必要とし、また
(4)の方法は、(2R,3S)−2,3−エポキシ酪
酸エステルの製造方法としては有用であるが、水層より
回収した(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸は光学
純度が低いといった欠点を有し、これら(1)〜(4)
の方法は、さらに反応条件や光学分割条件を選択しなけ
ればならず、簡便な方法ではなく、経済的な方法でもな
かった。
【0004】さらに、クロトン酸エステルの微生物によ
る酸化が報告されているものの、前記のごとき光学活性
体の有効な製造方法に関しては開示されていない(特開
昭61−25492号公報)。
【0005】このように、現在のところ(2S,3R)
−2,3−エポキシ酪酸の有効な製造方法が提案されて
おらず、よってそのエステルである(2S,3R)−
2,3−エポキシ酪酸エステルの製造方法に関しても充
分に研究がなされていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、生理活性物質をはじめと
する種々の有機化学製品の中間体としてきわめて有用な
(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステルを、簡
便かつ経済的に製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、プロテアーゼ
を用い、一般式(I):
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1はハロゲン原子もしくは芳香
族置換基で置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状
の炭素数1〜18のアルキル基、またはハロゲン原子も
しくは芳香族置換基で置換されていてもよい直鎖状また
は分岐鎖状の炭素数1〜18のアルケニル基を示す)で
表わされるtrans−2,3−エポキシ酪酸エステル
のエナンチオマー混合物を加水分解反応により光学分割
することを特徴とする(2S,3R)−2,3−エポキ
シ酪酸エステルの製造法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の製造法によれば、プロテ
アーゼを用い、一般式(I):
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1はハロゲン原子もしくは芳香
族置換基で置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状
の炭素数1〜18のアルキル基、またはハロゲン原子も
しくは芳香族置換基で置換されていてもよい直鎖状また
は分岐鎖状の炭素数1〜18のアルケニル基を示す)で
表わされるtrans−2,3−エポキシ酪酸エステル
のエナンチオマー混合物を加水分解反応にて光学分割さ
せて、(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステル
を容易に効率よく得ることができる。すなわち、一般式
(I)で表わされるtrans−2,3−エポキシ酪酸
エステルのエナンチオマー混合物を原料とし、これにプ
ロテアーゼを作用させることにより立体選択的にエステ
ルの加水分解を行なわせ、ついで分離、精製して(2
S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステルを得るもの
である。
【0013】本発明に用いられるtrans−2,3−
エポキシ酪酸エステルは、一般式(I)で表わされるも
のであり、たとえばクロトン酸エステルの酸化により容
易に得ることができる(特開平3−196519号公
報)。
【0014】前記一般式(I)において、R1で示され
るアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基などの好ましくは炭素数1〜8
のアルキル基や、たとえば2−クロロエチル基、2−ブ
ロモエチル基、2−クロロプロピル基、2−ブロモプロ
ピル基などの、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などの
ハロゲン原子で置換されたアルキル基、たとえばベンジ
ル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、
3−フェニルプロピル基などの芳香族置換基で置換され
たアルキル基などがあげられ、またR1で示されるアル
ケニル基としては、たとえばイソプロペニル基、アリル
基、3−ブテニル基や、たとえば2−クロロアリル基、
2−ブロモアリル基、3−クロロ−3−ブテニル基、3
−ブロモ−3−ブテニル基などの、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたアルケ
ニル基、たとえば3−フェニル−2−プロペニル基、4
−フェニル−2−ブテニル基などの芳香族置換基で置換
されたアルケニル基などがあげられる。
【0015】前記trans−2,3−エポキシ酪酸エ
ステルは、エナンチオマー混合物であり、その混合比率
が1:1のもの、すなわちラセミ体が実用的価値の面で
好ましいが、本発明にはとくに限定がなく、いかなる混
合比率のエナンチオマー混合物をも用いることができ
る。
【0016】本発明に用いることができるプロテアーゼ
としては、たとえばバチルス(Bacillus)属、アスペル
ギルス(Aspergillus)属、スタフィロコッカス(Staph
ylococcus)属、リゾプス(Rhizopus)属、クロストリ
ジウム(Clostridium)属、ストレプトミセス(Strepto
myces)属、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微
生物などが生産するプロテアーゼ;パパイン、ブロメラ
イン、フィシンなどの植物より産生されるプロテアー
ゼ;トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレ
アチンなどの動物より産生されるプロテアーゼなどが例
示されるが、trans−2,3−エポキシ酪酸エステ
ルのエナンチオマー混合物のエステル基を立体選択的に
加水分解し、目的とする(2S,3R)−2,3−エポ
キシ酪酸エステルを回収することができるものであれば
プロテアーゼの種類にとくに限定がない。前記例示のな
かでは、たとえばバチルス・エスピー(Bacillus s
p.)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleu
s)などに由来のものが立体選択性によりすぐれる点でと
くに好ましい。
【0017】前記プロテアーゼの市販品としては、たと
えばバチルス・エスピー由来のプロレザーおよびプロテ
アーゼS「アマノ」(天野製薬(株)製、商品名)、ア
スペルギルス・オリザエ由来のプロテアーゼA「アマ
ノ」(天野製薬(株)製、商品名)、アスペルギルス・
メレウス由来のプロテアーゼP「アマノ」(天野製薬
(株)製、商品名)などがあげられる。
【0018】前記プロテアーゼの使用量は、プロテアー
ゼの種類に応じ、その単位重量あたりの酵素活性によっ
て異なるので一概に決定されるものではないが、反応速
度や得られる(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エ
ステルの光学純度が低下しないようにするためには、t
rans−2,3−エポキシ酪酸エステルのラセミ体1
00重量部(以下、部という)に対して0.1部以上、
好ましくは1部以上となるように調整することが望まし
く、また経済性や(2S,3R)−2,3−エポキシ酪
酸エステルの収率が低下しないようにするためには、t
rans−2,3−エポキシ酪酸エステルのラセミ体1
00部に対して100部以下、好ましくは50部以下と
なるように調整することが望ましい。
【0019】なお、反応に用いるtrans−2,3−
エポキシ酪酸エステルのエナンチオマー混合物が、混合
比率が1:1でないラセミ体以外の混合物である場合、
前記プロテアーゼの使用量は、該エナンチオマー混合物
の混合比率に応じて適宜前記範囲外の量に変更してもよ
い。
【0020】前記プロテアーゼはそれぞれ単独で用いて
もよく、また必要に応じて2種以上を混合して用いるこ
ともできる。これらプロテアーゼのうち、微生物が生産
するものは、微生物を培養することによって得られる
が、その使用形態は、菌体培養液をそのまま、粗酵素、
精製酵素として、または常法によりこれを固定化して用
いるなど、いかなる形態であってもよく、とくに限定さ
れるものではない。また動植物より産生されるプロテア
ーゼにおいても、動植物組織細胞もしくは動植物培養細
胞をそのまま、粗酵素、精製酵素として、または常法に
よりこれを固定化して用いるなど、いかなる形態であっ
てもよく、とくに限定されるものではない。
【0021】trans−2,3−エポキシ酪酸エステ
ルのエナンチオマー混合物より、プロテアーゼを用いて
立体選択的に目的とする(2S,3R)−2,3−エポ
キシ酪酸エステルを回収する加水分解反応は、基質とな
るtrans−2,3−エポキシ酪酸エステルのエナン
チオマー混合物およびプロテアーゼを、通常水または緩
衝液中で撹拌することによって行なうことができるが、
緩衝液を用いた場合には、プロテアーゼの至適pH内
で、プロテアーゼの酵素活性が保持されたまま加水分解
反応が進行するので、プロテアーゼの使用量を減らすこ
とができるといった利点がある。
【0022】前記緩衝液としては、たとえばリン酸ナト
リウム、リン酸カリウムなどの無機酸塩の緩衝液、酢酸
ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの有機酸塩の緩衝
液などの通常用いられるものが例示される。これらの緩
衝液を用い、反応液のpHを用いるプロテアーゼの最適
pHに合わせて加水分解反応させることが好ましい。
【0023】緩衝液の使用量は、用いる緩衝液の種類お
よび濃度により異なるので一概に決定されるものではな
いが、反応速度や得られる(2S,3R)−2,3−エ
ポキシ酪酸エステルの光学純度が低下しないようにする
ためには、trans−2,3−エポキシ酪酸エステル
のラセミ体100部に対して200部以上、好ましくは
500部以上となるように調整することが望ましく、ま
た経済性や(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エス
テルの収率が低下しないようにするためには、tran
s−2,3−エポキシ酪酸エステルのラセミ体100部
に対して20000部以下、好ましくは5000部以下
となるように調整することが望ましい。
【0024】なお、反応に用いるtrans−2,3−
エポキシ酪酸エステルのエナンチオマー混合物が、混合
比率が1:1でないラセミ体以外の混合物である場合、
前記緩衝液の使用量は、該エナンチオマー混合物の混合
比率に応じて適宜前記範囲外の量に変更してもよい。
【0025】さらに、たとえば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなどの水溶液を用い、pHスタットにて反応
液のpHをコントロールすると、前記緩衝液を用いた場
合と同様の効果を得ることができる。
【0026】なお、前記加水分解反応時には、水または
緩衝液とともに有機溶媒を用いてもよく、かかる有機溶
媒には、基質となるtrans−2,3−エポキシ酪酸
エステルのエナンチオマー混合物を溶解し、プロテアー
ゼの酵素活性を阻害しないかぎりとくに限定がない。
【0027】加水分解反応の反応温度は通常0〜50℃
程度であることが好ましく、また反応時間は1〜40時
間程度であることが一般的であるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0028】加水分解反応の経時および終点は、高速液
体クロマトグラフィ(以下、HPLCという)などによ
り確認することができる。反応終了後、反応液に適切な
有機溶媒、たとえばn−ヘキサン、シクロヘキサン、ト
ルエン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチル、ジクロ
ロエタンなどを加えて抽出を行ない、必要に応じて抽出
により混入する不純物を水にて洗浄し、除去することも
できる。抽出物は、減圧濃縮後、蒸留やカラムクロマト
グラフィなどの通常の精製方法を適用することにより、
目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エス
テルを得ることができる。
【0029】なお、分液後も水層中のプロテアーゼはt
rans−2,3−エポキシ酪酸エステルを加水分解さ
せる活性を有しているので、そのまま連続反応が可能で
ある。
【0030】
【実施例】つぎに、本発明の(2S,3R)−2,3−
エポキシ酪酸エステルの製造法を実施例に基づいてさら
に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定
されるものではない。
【0031】実施例1〜4 精製水466.4g、リン酸二水素カリウム68.2g
および水酸化ナトリウム15.4gより調製したリン酸
緩衝液(pH7.3)に、trans−2,3−エポキ
シ酪酸n−ブチルのラセミ体25.0gおよび表1に示
すプロテアーゼ2.5gを添加し、25℃で8時間撹拌
して反応させ、HPLCにて反応の経時および終点を確
認した。
【0032】反応終了後、反応液を200mlのn−ヘ
キサンにて2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥させたのち、n−ヘキサンを減圧留去させ、得ら
れた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開
液:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1(体積比))で
精製し、(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸n−ブ
チルを得た。
【0033】得られた(2S,3R)−2,3−エポキ
シ酪酸n−ブチルについて、光学分割カラムを用いたH
PLC(カラム:ダイセル化学工業(株)製、キラルセ
ルOD、溶媒:n−ヘキサン/2−プロパノール=20
/1(体積比))により光学純度を求めた。また、(2
S,3R)−2,3−エポキシ酪酸n−ブチルの収量を
trans−2,3−エポキシ酪酸n−ブチルの仕込み
量で除して収率を求めた。これら収量、収率および光学
純度を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示された結果から、実施例1〜4の
ごとき本発明の製造法によれば、高光学純度の(2S,
3R)−2,3−エポキシ酪酸n−ブチルを、容易かつ
経済的に得ることができることがわかる。
【0036】実施例5 精製水1866g、リン酸二水素カリウム272.7g
および水酸化ナトリウム63.3gより調製したリン酸
緩衝液(pH7.3)に、trans−2,3−エポキ
シ酪酸n−ブチルのラセミ体100.0gおよびプロレ
ザー(天野製薬(株)製)30.0gを添加し、25℃
で14.5時間撹拌して反応させ、HPLCにて反応の
経時および終点を確認した。
【0037】反応終了後、反応液を600mlのn−ヘ
キサンにて2回抽出した。抽出液からn−ヘキサンを減
圧留去させ、得られた油状物を蒸留して精製し、(2
S,3R)−2,3−エポキシ酪酸n−ブチルを得た。
【0038】得られた(2S,3R)−2,3−エポキ
シ酪酸n−ブチルについて、実施例1〜4と同様にして
光学純度および収率を求めた。これらの結果を収量とあ
わせて以下に示す。また、以下の条件で沸点および比旋
光度を測定した。その結果もあわせて以下に示す。
【0039】収量:33.3g 収率:33.3% 光学純度:97.7%e.e. 沸点(6Torr):77℃ 比旋光度(C=2、クロロホルム中、25℃):+1
7.3°
【0040】さらに、得られた(2S,3R)−2,3
−エポキシ酪酸n−ブチルの1H−NMRスペクトルお
よびIRスペクトルのデータを以下に示す。
【0041】1H−NMR(200MHz、CDCl
3中、δ値(ppm)、日本電子(株)製GX−500
にて測定):0.93(t,3H)、1.39(m,2
H)、1.62(m,2H)、3.17(d,1H)、
3.21(qd,2H)、4.16(td,2H) IR(neat、cm-1、(株)島津製作所製FTIR
−4200にて測定):1744
【0042】実施例6 精製水1866g、リン酸二水素カリウム272.7g
および水酸化ナトリウム63.3gより調製したリン酸
緩衝液(pH7.3)に、trans−2,3−エポキ
シ酪酸メチルのラセミ体100.0gおよびプロレザー
(天野製薬(株)製)30.0gを添加し、25℃で1
2時間撹拌して反応させ、HPLCにて反応の経時およ
び終点を確認した。
【0043】反応終了後、反応液を600mlのn−ヘ
キサンにて2回抽出した。抽出液からn−ヘキサンを減
圧留去させ、得られた油状物を蒸留して精製し、(2
S,3R)−2,3−エポキシ酪酸メチルを得た。
【0044】得られた(2S,3R)−2,3−エポキ
シ酪酸メチルについて、実施例1〜4と同様にして光学
純度および収率を求めた。これらの結果を収量とあわせ
て以下に示す。また、以下の条件で沸点および比旋光度
を測定した。その結果もあわせて以下に示す。
【0045】収量:29.1g 収率:29.1% 光学純度:95.4%e.e. 沸点(26Torr):72℃ 比旋光度(C=2、クロロホルム中、24℃):+2
1.9°
【0046】さらに、得られた(2S,3R)−2,3
−エポキシ酪酸メチルの1H−NMRスペクトルおよび
IRスペクトルのデータを以下に示す。
【0047】1H−NMR(200MHz、CDCl
3中、δ値(ppm)、日本電子(株)製GX−500
にて測定):1.41(d,3H)、3.21(d,1
H)、3.24(qd,1H)、3.78(s,3H) IR(neat、cm-1、(株)島津製作所製FTIR
−4200にて測定):1750
【0048】以上のごとき実施例5および6の結果か
ら、本発明の製造法によれば、高光学純度の(2S,3
R)−2,3−エポキシ酪酸n−ブチルおよび(2S,
3R)−2,3−エポキシ酪酸メチルを、容易かつ経済
的に得ることができることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、生理活性物質
をはじめとする種々の有機化学製品の中間体としてきわ
めて有用な(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エス
テルを、簡便かつ経済的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 紹子 大阪府柏原市片山町18−8 大阪有機化学 工業株式会社内 (72)発明者 広瀬 芳彦 愛知県西春日井郡西春町大字九之坪西城屋 敷51 天野製薬株式会社内 (72)発明者 大野 惇吉 京都府宇治市五ケ庄 京都大学化学研究所 内 Fターム(参考) 4B064 AE44 BH01 BH02 BH04 CA02 CA03 CA05 CA21 CB03 CC03 CD27 DA16 4C048 AA01 BB26 CC01 UU03 XX02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテアーゼを用い、一般式(I): 【化1】 (式中、R1はハロゲン原子もしくは芳香族置換基で置
    換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜
    18のアルキル基、またはハロゲン原子もしくは芳香族
    置換基で置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の
    炭素数1〜18のアルケニル基を示す)で表わされるt
    rans−2,3−エポキシ酪酸エステルのエナンチオ
    マー混合物を加水分解反応により光学分割することを特
    徴とする(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステ
    ルの製造法。
  2. 【請求項2】 trans−2,3−エポキシ酪酸エス
    テルを表わす一般式(I)において、R1が直鎖状また
    は分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基である請求項1
    記載の(2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステル
    の製造法。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼがバチルス属、アスペルギ
    ルス属、スタフィロコッカス属、リゾプス属、クロスト
    リジウム属、ストレプトミセス属またはペニシリウム属
    に属する微生物が生産するものである請求項1記載の
    (2S,3R)−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造
    法。
  4. 【請求項4】 プロテアーゼがバチルス・エスピー、ア
    スペルギルス・オリザエまたはアスペルギルス・メレウ
    スに由来のものである請求項1記載の(2S,3R)−
    2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法。
  5. 【請求項5】 trans−2,3−エポキシ酪酸エス
    テルのエナンチオマー混合物およびプロテアーゼを水ま
    たは緩衝液中で撹拌し、該trans−2,3−エポキ
    シ酪酸エステルのエナンチオマー混合物を加水分解反応
    させる請求項1記載の(2S,3R)−2,3−エポキ
    シ酪酸エステルの製造法。
JP34676598A 1998-12-07 1998-12-07 (2s,3r)−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法 Expired - Lifetime JP4834208B2 (ja)

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