JP2000164033A - 電解質およびそれを用いた電池 - Google Patents

電解質およびそれを用いた電池

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JP2000164033A
JP2000164033A JP10332301A JP33230198A JP2000164033A JP 2000164033 A JP2000164033 A JP 2000164033A JP 10332301 A JP10332301 A JP 10332301A JP 33230198 A JP33230198 A JP 33230198A JP 2000164033 A JP2000164033 A JP 2000164033A
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electrolyte
compound
battery
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polyacrylonitrile
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Ken Orui
研 大類
Kazuhiro Noda
和宏 野田
Koji Sekai
孝二 世界
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Original Assignee
Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度および熱的安定性に優れた電解質
およびそれを用いた電池を提供する。 【解決手段】 正極11と負極12とが電解質13を介
して積層されている。電解質13は、ポリアクリロニト
リルと化学結合による三次元網目構造を有する高分子化
合物とを含んでおり、これらにより電解液が保持されて
いる。よって、この電解質13はポリアクリロニトリル
の特徴である高い機械的強度と、化学ゲルの特徴である
高い熱的安定性とを兼ね備えている。化学結合による三
次元網目構造を有する高分子化合物としてはポリエチレ
ングリコールジメタクリレートを架橋した化合物など、
ポリアルキレンオキシドに架橋性の官能基を付与した化
合物が架橋性の官能基において架橋された化合物が挙げ
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次元網目構造を
構成する化合物と電解質塩と溶媒とを含む電解質および
それを用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電子機器の電源として二次電
池の研究開発が活発に進められている。中でも、正極に
リチウム含有化合物を用い、負極に炭素質材料を用いる
と共に、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液よ
りなる液状の電解質を正極と負極との間に介在させたリ
チウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を実現する
ことができる二次電池として注目されている。
【0003】現在市販されているリチウムイオン二次電
池としては、筒型状または角型状にパッケージされたも
のが最も一般的である。しかし、昨今における携帯電話
あるいはノート型パソコンなどの携帯電子機器の急速な
普及により、カード型などの従来よりも薄い形状を有す
る電池のニーズが高まっている。ところが、液状の電解
質を用いた電池を薄型形状とすると、液状の電解質が漏
れてしまい、周辺の電子部品を破損してしまうおそれが
あった。そこで、液状の電解質に代えて固体状の電解質
を用いることが提案されている。
【0004】固体状の電解質としては、電解液を適当な
高分子架橋体に含浸させたゲル状の電解質の研究が精力
的に行われている。このゲル状の電解質は、電解液相が
イオン伝導を主として司るため、液状の電解質に準ずる
高いイオン伝導性を実現できるものとして期待されてい
る。このようなゲル状の電解質を構成する高分子架橋体
は、その架橋の方式により物理ゲルと化学ゲルとに大別
される。物理ゲルは隣接分子鎖間の分子間力による物理
結合を架橋点とするものであり、化学ゲルは共有結合や
イオン結合などの化学結合を架橋点とするものである。
【0005】物理ゲルを用いた電解質としては、ポリエ
チレンオキシドに代表されるポリアルキレンオキシドに
非水電解液を含浸させたもの、あるいはポリフッ化ビニ
リデンまたはポリアクリロニトリルに非水電解液を含浸
させたものなどが知られている。特に、ポリアクリロニ
トリルを用いた電解質は、特開平8−264205号公
報に記載されているように、温度で1mS/cm以上の
高いイオン伝導度が得られると共に、高い難燃性を有し
ており、これを用いれば優れた性能および安全性を有す
る電池を作製することができる。更に、この電解質は、
機械的強度についても実用上十分な程度を有しており、
例えば、この電解質を介して正極と負極とを張り合わ
せ、これを折り畳んで電池素子とすることも可能であ
る。
【0006】一方、化学ゲルを用いた電解質としては、
ポリエチレンオキシド系の化合物を架橋させたものが広
く知られている。例えば、特開平5−109310号公
報には、ポリエチレングリコールジアクリレートに、ポ
リエチレングリコールジメチルエーテルとLiCF3
3 とからなる電解液を混合し、これに電子線を照射す
ることによりゲル状の電解質を得る方法が記載されてい
る。また、特開平9−50802号公報には、ポリエチ
レンオキシドと電極活物質と非水電解質とからなる混合
物をプレス加工して得たベースフィルムに、エチレンオ
キシド鎖を有するポリエーテルのアクリレートまたはメ
タクリレートからなるモノマー溶液を塗布し、これに光
を照射することにより、電解質と活物質とを含む複合電
極を得る方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
物理ゲルまたは化学ゲルを用いた電解質は、以下のよう
な問題点をそれぞれ有している。例えば、物理ゲルを用
いた電解質は、架橋点が隣接分子鎖間の分子間力に由来
しているので、熱安定性に乏しく、電解質を加熱すると
流動性を示すようになってしまう。例えば、特開平9−
302134号公報では、ポリフッ化ビニリデンを用い
た電解質について85〜95℃で融解することが指摘さ
れている。
【0008】また、ポリエチレンオキシド系の化合物を
架橋させた化学ゲルを用いた電解質は、特開平5−67
476号公報または特開平10−17708号公報にお
いても指摘されているように、電解質自体が脆く、機械
的強度に乏しい。例えば、ポリエチレングリコールジメ
タクリレートを架橋させた高分子化合物に電解液を含浸
させた電解質は、折り曲げると破断してしまう。すなわ
ち、ポリアクリロニトリルを用いた電解質のように、電
解質を介して張り合わせた正極と負極とを折り畳んで電
池素子とすることはできない。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、機械的強度および熱的安定性に優れ
た電解質およびそれを用いた電池を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による電解質は、
ポリアクリロニトリルと、化学結合による三次元網目構
造を有する高分子化合物と、電解質塩と、この電解質塩
を溶解する溶媒とを含むものである。
【0011】本発明による電池は、正極および負極と共
に電解質を備えたものであって、電解質は、ポリアクリ
ロニトリルと、化学結合による三次元網目構造を有する
高分子化合物と、電解質塩と、この電解質塩を溶解する
溶媒とを含むものである。
【0012】本発明による電解質では、ポリアクリロニ
トリルを含んでいるので、高い機械的強度を有してい
る。また、化学結合による三次元網目構造を有する高分
子化合物を含んでいるので、高い熱的安定性を有してい
る。更に、電解質塩と溶媒とを含んでいるので、高いイ
オン伝導性を有している。
【0013】本発明による電池では、電解質塩の解離に
より生じたイオンが負極と正極との間で電解質中を移動
することにより放電する。ここでは、本発明の電解質を
備えているので、優れた機械的強度および熱的安定性を
示すと共に、優れた電池特性を示す。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本実施の形態について詳細
に説明する。
【0015】本発明の一実施の形態に係る電解質は、ポ
リアクリロニトリルと、化学結合による三次元網目構造
を有する高分子化合物と、電解質塩と、この電解質塩を
溶解する溶媒とを含んでいる。このように、ポリアクリ
ロニトリルと化学結合による三次元網目構造を有する高
分子化合物とを混在させているのは、ポリアクリロニト
リルの物理結合による三次元網目構造の欠点である熱的
安定性の低さを化学結合による三次元網目構造により補
うと共に、ポリアクリロニトリルの利点である良好な機
械的強度を持たせるためである。また、物理結合による
三次元網目構造を構成する物質としてポリアクリロニト
リルを用いているのは、高いイオン伝導性を得ることが
できると共に、高い難燃性を有するからである。
【0016】化学結合による三次元網目構造を有する高
分子化合物は、ポリアクリロニトリルと均一な混合物を
形成するものであることが好ましい。そのような高分子
化合物としては、例えば、ポリアルキレンオキシドに架
橋性の官能基を付与した化合物が架橋性の官能基におい
て架橋された化合物が挙げられる。この化合物は、ポリ
アクリロニトリルとの均一な混合物を得ることができる
と共に、良好なイオン伝導性も得ることができるので特
に好ましい。
【0017】なお、この化合物は、ポリアルキレンオキ
シドの少なくとも一方の末端に架橋性の官能基を有する
化合物が架橋されたものでもよく、側鎖に架橋性の官能
基を有する化合物が架橋されたものでもよい。また、少
なくとも一方の末端および側鎖の双方に架橋性の官能基
を有する化合物が架橋されたものでもよく、異なる位置
に架橋性の官能基を有する複数種の化合物が架橋された
ものでもよい。更に、架橋性の官能基が異なる複数種の
化合物が架橋されていてもよい。
【0018】具体的には、このような化合物としては、
ポリアルキレンオキシドに架橋性の官能基としてアクリ
ロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方を付与し
た化合物が架橋されたものなどが挙げられるが、特にこ
れには限定されない。ちなみに、このようにアクリロイ
ルおよびメタクリロイルの少なくとも一方を有する化合
物が架橋されたものにおいては、三次元網目構造を得る
上において、ポリアルキレンオキシドの両端に架橋性の
官能基を有する化合物が架橋されたものであることが好
ましい。例えば、このような化合物としては、ポリエチ
レングリコールジメタクリレートおよびポリエチレング
リコールジアクリレートのうちの少なくとも一方を架橋
させたものが好ましい。なお、化学結合による三次元網
目構造を有する高分子化合物は、1種類の高分子化合物
により構成されていてもよく、2種以上の高分子化合物
により構成されていてもよい。
【0019】電解質塩は、解離によりイオン伝導性を持
たせるためのものである。電解質塩としては軽金属塩な
どが挙げられ、具体的には、リチウム(Li)塩、ナト
リウム(Na)塩あるいはカリウム(K)塩などのアル
カリ金属塩、またはカルシウム(Ca)塩あるいはマグ
ネシウム(Mg)塩などのアルカリ土金属塩などから目
的に応じて用いられる。
【0020】なお、リチウム塩としては、LiCl
4 ,LiBF4 ,LiPF6 ,LiCF3 SO3 ,L
iAsF6 ,LiN(CF3 SO2 2 ,LiN(C2
5 SO2 2 ,LiN(C4 9 SO2 )(CF3
2 ),LiC4 9 SO3 ,LiC(CF3 SO2
3 などがあり、これらのうちのいずれか1種または2種
以上を混合して用いてもよい。中でも、LiPF6 は、
高いイオン伝導性を付与できるのみならず、化学工業
(1997年1月号p.1〜6)にも記載されているように、
ポリアクリロニトリルとの組み合わせにおいて難燃性を
発現するので、電解質塩として好ましい。
【0021】溶媒としては、エチレンカーボネート、プ
ロピレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、ジメチル
カーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカ
ーボネート、1,3−ジオキソラン、メチルアセテー
ト、メチルプロピオネート、ギ酸メチル、スルホラン、
クロロエチレンカーボネート、トリフロロプロピレンカ
ーボネート、カテコールカーボネートなどの非プロトン
性極性非水溶媒が好ましい。溶媒には、これらのうちの
いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】中でも、エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネートおよびγ−ブチルラクトンは、誘電率が
高く、高いイオン伝導性を得ることができると共に、沸
点が200℃以上であり、高温で用いても電解質を収納
している容器内の圧力が大きく上昇することを防止でき
るので、溶媒として好ましい。
【0023】このような構成を有する電解質は、次のよ
うにして作製することができる。
【0024】まず、例えば、化学結合による三次元網目
構造を有する高分子化合物の原料としてポリエチレング
リコールジメタクリレートを用意すると共に、ポリアク
リロニトリル、電解質塩および溶媒をそれぞれ用意す
る。次いで、例えば、溶媒に電解質塩とポリエチレング
リコールジメタクリレートとをそれぞれ溶解し、120
℃程度に加熱したのち、更にポリアクリロニトリルを添
加して、120℃程度に加熱しつつよく攪拌する。
【0025】均一な混合溶液となるまで攪拌したのち、
例えば、この混合溶液に必要に応じて重合開始剤を添加
する。重合開始剤は、重合を電子線の照射により行う場
合以外には必要となり、熱重合開始剤と光重合開始剤と
がある。
【0026】熱重合開始剤としては、例えば、クメンヒ
ドロパーオキシド,t−ブチルヒドロパーオキシド,ジ
クミルパーオキシドあるいはジ−t−ブチルパーオキシ
ドなどの高温重合開始剤、または過酸化ベンゾイル,過
酸化ラウロイル,過硫酸塩あるいはアゾビスイソブチロ
ニトリルなどの開始剤、またはレドックス開始剤があ
る。また、光重合開始剤としては、例えば、アセトフェ
ノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチ
ルイソプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシ
ルケトン、ベンゾイソエーテル、2,2−ジエトキシア
セトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセ
トフェノンあるいはベンジルジメチルケタールがある。
重合開始剤としては、これらのうちの1種または2種以
上を混合して用いてもよい。
【0027】そののち、例えば、この混合溶液をガラス
板の上にキャストし、直ちに、これに紫外線,電子線,
エックス線,ガンマ線,マイクロ波もしくは高周波を照
射することにより、またはこれを加熱することにより、
ポリエチレングリコールジメタクリレートを架橋させ
る。これにより、化学結合による三次元網目構造を有す
る高分子化合物が形成され、ゲル状の組成物が得られ
る。ポリエチレングリコールジメタクリレートを架橋さ
せたのち、この組成物を室温に冷却する。これにより、
本実施の形態に係る電解質が得られる。
【0028】なお、重合反応の条件は特に限定されるも
のではないが、重合反応は装置の簡便性、コスト面から
考えて、加熱重合あるいは紫外線照射による光重合が好
ましい。また、例えば、アルカリ金属イオンを用いたリ
チウム電池、リチウムイオン電池、ナトリウム電池など
に用いる電解質を作製する場合には、電解質の組成物
(ここでは、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリアクリロニトリル、電解質塩および溶媒)およ
びこれらに混合する重合開始剤は十分に脱水処理を施す
ことが好ましく、製造中の雰囲気も低湿度とすることが
好ましい。これは、電解質塩の種類によっては水分と反
応することにより分解してしまうものがあると共に、電
池として用いた場合に負極において電解質塩のカチオン
と水分とが激しく反応してしまうからである。
【0029】このようにして製造される電解質は、次の
ようにして電池に用いられる。ここでは、リチウムを用
いた二次電池の例を挙げ、図面を参照して、以下に説明
する。
【0030】図1は、本実施の形態に係る電解質を用い
た二次電池の断面構造を表すものである。なお、図1に
示したものは、いわゆるカード型といわれるものであ
る。この二次電池は、例えば、正極11と負極12と
が、本実施の形態に係る電解質13およびこの電解質1
3の中に設けられたセパレータ14をそれぞれ介して積
層されている。なお、電解質13は、ここでは電解質塩
としてリチウム塩を含んでいる。また、正極12の外側
(すなわち電解質13と反対側)には正極集電体15が
配設されており、負極の外側(すなわち電解質13と反
対側)には負極集電体16が配設されている。
【0031】正極11は、例えば、正極活物質として、
リチウムを含有するリチウム複合酸化物もしくはリチウ
ム複合硫化物などのリチウム含有化合物、またはTiS
2 ,MoS2 ,NbSe2 あるいはV2 5 などのリチ
ウムを含有しない金属硫化物もしくは酸化物を含んでい
る。特に、エネルギー密度を高くするには、Lix MO
2 を主体とするリチウム複合酸化物を含むことが好まし
い。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体
的には、コバルト(Co),ニッケル(Ni)およびマ
ンガン(Mn)のうちの少なくとも1種が好ましい。ま
た、xは、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値
である。このようなリチウム複合酸化物の具体例として
は、LiCoO2 、LiNiO2 、Lix Niy Co
1-y 2 (但し、xおよびyの値は電池の充放電状態に
よって異なり、通常、0<x<1、0.7<y≦1であ
る。)あるいはLiMn2 4 などが挙げられる。
【0032】なお、このようなリチウム複合酸化物は、
例えば、リチウムの炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水
酸化物と、遷移金属の炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは
水酸化物とを所望の組成になるように粉砕混合し、酸素
雰囲気中において600〜1000℃の範囲内の温度で
焼成することにより調製される。
【0033】負極12は、例えば、リチウム金属、リチ
ウム合金、またはリチウムを吸蔵および脱離することが
可能な炭素質材料あるいは無機材料を含んでいる。リチ
ウム合金としては、リチウム−アルミニウム(Al)合
金、リチウム−亜鉛(Zn)合金、リチウム−スズ(S
n)合金、リチウム−鉛(Pb)合金あるいはリチウム
−インジウム(In)合金などが挙げられる。リチウム
を吸蔵および脱離することが可能な炭素質材料として
は、石油コークス,ニードルコースもしくはピッチコー
クスなどのコークス類、熱分解炭素類、黒鉛類、難黒鉛
化炭素類、ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,
炭素繊維,あるいは活性炭などが挙げられる。なお、有
機高分子化合物焼成体というのは、有機高分子材料を不
活性ガス雰囲気中または真空中において500℃以上の
適当な温度で焼成したものである。リチウムを吸蔵およ
び脱離することが可能な無機材料としては、酸化スズ,
酸化鉄あるいは酸化チタンなどの酸化物、またはケイ素
質材料あるいはケイ素化合物、またはスズ化合物などが
挙げられる。
【0034】セパレータ14は、正極11と負極12と
を隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、
リチウムイオンなどを通過させるものである。このセパ
レータ14は、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質
膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりな
る多孔質膜により構成されている。また、このセパレー
タ14は、これらの多孔質膜の2種以上を積層した構造
とされていてもよい。
【0035】正極集電体15は例えばアルミ箔により構
成されており、負極集電体16は例えば銅箔により構成
されている。
【0036】このような構成を有する二次電池は、以下
のようにして製造することができる。
【0037】まず、例えば、前述の電解質の製造方法と
同様にして、ポリアクリロニトリルと、化学結合による
三次元網目構造を有する高分子化合物の原料と、電解質
塩と、溶媒とを混合し、均一な混合溶液を形成する。次
いで、この混合溶液に必要に応じて重合開始剤を添加し
たのち、その混合溶液を正極11および負極12にそれ
ぞれ塗布し、直ちにそれぞれについて紫外線などを照射
しあるいは加熱することにより架橋操作を行う。続い
て、正極11および負極12を必要に応じて室温まで冷
却したのち、混合溶液を塗布した面を互いに対向させて
セパレータ14を介して張り合わせ、プレスする。これ
により、図1に示した電池が得られる。
【0038】なお、混合溶液を正極11および負極12
にそれぞれ塗布するのではなく、セパレータ14の両面
に塗布し、架橋操作を行ったのち、セパレータ14を介
して正極11と負極12とを張り合わせ、プレスするよ
うにしてもよい。
【0039】また、架橋操作を加熱により行う場合に
は、混合溶液を正極11および負極12にそれぞれ塗布
したのち加熱するのではなく、正極11と負極12とを
張り合わせ、プレスしてから、加熱して架橋操作を行う
ようにしてもよい。これは、混合溶液をセパレータ14
に塗布して製造する場合も同様である。
【0040】更に、混合溶液を正極11および負極12
にそれぞれ塗布するのではなく、前述の電解質の製造方
法と同様にして、混合溶液をガラス板の上にキャスト
し、架橋操作を行って電解質13を形成してから、この
電解質13を任意の大きさに切り出し、正極11と負極
12との間に挟み、プレスして製造するようにしてもよ
い。
【0041】この二次電池は次のように作用する。
【0042】この二次電池では、充電を行うと、例えば
正極11にリチウム含有化合物を用いた場合、正極11
からリチウムイオンが脱離し、電解質13およびセパレ
ータ14を介して負極12に吸蔵される。放電を行う
と、例えば負極12に炭素質材料を用いた場合、負極1
2からリチウムイオンが脱離し、電解質13およびセパ
レータ14を介して正極14に吸蔵される。ここで、電
解質13は、ポリアクリロニトリルと化学結合による三
次元網目構造を有する高分子化合物とにより、溶媒とリ
チウムイオンとを保持しているので、優れた機械的強度
および熱的安定性を有すると共に、高いイオン伝導性を
有する。
【0043】このように本実施の形態に係る電解質によ
れば、ポリアクリロニトリルと化学結合による三次元網
目構造を有する高分子化合物とを含むようにしたので、
ポリアクリロニトリルの特性である優れた機械的強度
と、高分子化合物の化学結合による三次元網目構造の特
性である優れた熱的安定性とを共に得ることができる。
よって、折り畳むなどの任意の形状とすることができる
と共に、高温でも安定した形状を得ることができる。
【0044】従って、この電解質を用いて電池などの電
気化学デバイスを構成すれば、任意の形状に形成するこ
とができると共に、高温でも安定して構造を保持するこ
とができ、高温での液漏れおよび短絡が防止され、信頼
性を向上させることができる。
【0045】また、この電解質によれば、ポリアクリロ
ニトリルと化学結合による三次元網目構造を有する高分
子化合物とにより電解質塩と溶媒とを保持するようにし
たので、高いイオン伝導性を得ることができる。よっ
て、この電解質を用いて電池などの電気化学デバイスを
構成すれば、高い性能を有する電気化学デバイスを得る
ことができる。
【0046】更に、電解質塩にLiPF6 を含むように
すれば、高いイオン伝導度を得ることができる。加え
て、溶媒をエチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ートおよびγ−ブチルラクトンのうちの少なくとも1種
により構成するようにすれば、高いイオン伝導度を得る
ことができると共に、高温で使用しても電解質を収納し
ている容器内の圧力が大きく上昇してしまうことを防止
することができる。
【0047】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について詳細
に説明する。
【0048】(実施例1)まず、溶媒としてエチレンカ
ーボネート55.4重量%およびプロピレンカーボネー
ト32.1重量%と、電解質塩としてLiPF6 12.
5重量%とを混合し、電解液Aを形成した。次いで、こ
の電解液Aに、化学結合による三次元網目構造を有する
化合物の原料として化1に示したポリエチレングリコー
ルジメタクリレートを添加し、室温下において攪拌して
溶解した。続いて、このポリエチレングリコールジメタ
クリレートを添加した電解液Aを120℃に加熱し、ポ
リアクリロニトリルを添加したのち、120℃に加熱し
ながら攪拌して溶解し、均一な混合溶液を得た。そのの
ち、この混合溶液に、重合開始剤として2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノンを添加した。
【0049】
【化1】
【0050】なお、電解液A、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、ポリアクリロニトリルおよび重合開
始剤の割合は、表1に示したように、電解液A85.9
重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレート1
0.8重量%、ポリアクリロニトリル2.8重量%、重
合開始剤0.5重量%とした。
【0051】
【表1】
【0052】混合溶液に重合開始剤を添加したのち、そ
れをガラスシャーレ上にキャストし、直ちに空気中にお
いて6mW/cm2 の光量で紫外線を5分間照射した。
これにより、ポリエチレングリコールジメタクリレート
を架橋させ、ゲル状の組成物を得た。そののち、この組
成物を室温に冷却し、厚さ約500μmの電解質を得
た。
【0053】このようにして得られた電解質の膜を直径
1.1cmの円盤状に切り抜き、これを一対のステンレ
ス電極に挟み込んだのち、25℃で複素インピーダンス
法によりイオン伝導度を求めた。また、得られた電解質
の膜を2cm×5cmの大きさに切り出し、直径2.5
cmおよび高さ4.5cmのガラス瓶に投入して、16
0℃の恒温槽内に1時間放置し、形状の変化(すなわち
融解の有無)を観察した。更に、得られた電解質の膜を
直径1.1cmの円板状に切り抜き、半分に折り曲げて
破断の有無を観察した。それらの結果を表2にそれぞれ
示す。イオン伝導度は3.2mS/cmであり、十分な
イオン伝導性が得られた。また、融解による形状の変化
および折り曲げによる破断は全く認められなかった。
【0054】
【表2】
【0055】(実施例2)電解液A、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリアクリロニトリルおよび
重合開始剤の割合を、表1に示したように、電解液A8
4.7重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト10.7重量%、ポリアクリロニトリル4.0重量
%、重合開始剤0.6重量%としたことを除き、実施例
1と同様にして電解質を作成した。この電解質について
も、実施例1と同様にして、イオン伝導度、160℃に
おける形状の変化および折り曲げによる破断の有無をそ
れぞれ調べた。それらの結果を表2にそれぞれ示す。イ
オン伝導度は2.9mS/cmであり、十分なイオン伝
導性が得られた。また、融解による形状の変化および折
り曲げによる破断は全く認められなかった。
【0056】(実施例3)電解液A、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリアクリロニトリルおよび
重合開始剤の割合を、表1に示したように、電解液A8
3.5重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト10.6重量%、ポリアクリロニトリル5.3重量
%、重合開始剤0.6重量%としたことを除き、実施例
1と同様にして電解質を作成した。この電解質について
も、実施例1と同様にして、イオン伝導度、160℃に
おける形状の変化および折り曲げによる破断の有無をそ
れぞれ調べた。それらの結果を表2にそれぞれ示す。イ
オン伝導度は2.1mS/cmであり、十分なイオン伝
導性が得られた。また、融解による形状の変化および折
り曲げによる破断は全く認められなかった。
【0057】(実施例4)電解液A、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリアクリロニトリルおよび
重合開始剤の割合を、表1に示したように、電解液A8
4.1重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト10.3重量%、ポリアクリロニトリル5.1重量
%、重合開始剤0.5重量%としたことを除き、実施例
1と同様にして電解質を作成した。この電解質について
も、実施例1と同様にして、イオン伝導度、160℃に
おける形状の変化および折り曲げによる破断の有無をそ
れぞれ調べた。それらの結果を表2にそれぞれ示す。イ
オン伝導度は2.1mS/cmであり、十分なイオン伝
導性が得られた。また、融解による形状の変化および折
り曲げによる破断は全く認められなかった。
【0058】(実施例5)溶媒としてエチレンカーボネ
ート46.0重量%,プロピレンカーボネート26.7
重量%およびγ−ブチルラクトン15.2重量%と、電
解質塩としてLiPF6 12.1重量%とを混合し、電
解液Bを形成した。電解液Aに代えて電解液Bを用いる
と共に、電解液B、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリアクリロニトリルおよび重合開始剤の割合
を、表1に示したように、電解液B86.2重量%、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート10.6重量
%、ポリアクリロニトリル2.6重量%、重合開始剤
0.6重量%としたことを除き、実施例1と同様にして
電解質を作成した。
【0059】この電解質についても、実施例1と同様に
して、イオン伝導度、160℃における形状の変化およ
び折り曲げによる破断の有無をそれぞれ調べた。それら
の結果を表2にそれぞれ示す。イオン伝導度は3.9m
S/cmであり、十分な伝導性が得られた。また、融解
による形状の変化および折り曲げによる破断は全く認め
られなかった。
【0060】(比較例1)本実施例に対する比較例1と
して、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよび
重合開始剤を添加せず、表3に示したように、電解液A
およびポリアクリロニトリルの割合を電解液A94.1
重量%、ポリアクリロニトリル5.9重量%としたこと
を除き、実施例1と同様にして電解質を作成した。得ら
れた電解質の膜について、実施例1と同様にして加熱に
よる形状の変化を調べた。なお、比較例1では、一定温
度に1時間保持しながら観察温度を段階的に上昇させて
形状変化を観察した。その結果、表4に示したように、
比較例1の電解質は100℃において融解し完全に液化
した。
【0061】
【表3】
【表4】
【0062】(比較例2)本実施例に対する比較例2と
して、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよび
重合開始剤を添加せず、電解液Aに代えて電解液Bを用
い、表3に示したように、電解液Bおよびポリアクリロ
ニトリルの割合を電解液B94.2重量%、ポリアクリ
ロニトリル5.8重量%としたことを除き、実施例1と
同様にして電解質を作成した。得られた電解質の膜につ
いて、実施例1と同様にして加熱による形状の変化を調
べた。なお、比較例2においても、一定温度に1時間保
持しながら観察温度を段階的に上昇させて形状変化を観
察した。その結果、表4に示したように、比較例2の電
解質は105℃において融解し完全に液化した。
【0063】(比較例3)本実施例に対する比較例3と
して、ポリアクリロニトリルを添加せず、表3に示した
ように、電解液A、ポリエチレングリコールジメタクリ
レートおよび重合開始剤の割合を電解液A88.3重量
%、ポリエチレングリコールジメタクリレート11.2
重量%、重合開始剤0.5重量%としたことを除き、実
施例1と同様にして電解質を作成した。得られた電解質
の膜について、実施例1と同様にして折り曲げによる破
断の有無を調べた。その結果、表4に示したように、比
較例3の電解質は半分に破断された。
【0064】これらの結果から、本実施例によれば、十
分に高いイオン伝導性を得ることができると共に、優れ
た熱的安定性および機械的強度を得られることが分かっ
た。すなわち、ポリアクリロニトリルと化学結合による
三次元網目構造を有する高分子化合物とを含むようにす
れば、高いイオン伝導性を有し、かつ優れた熱的安定性
および機械的強度を有する電解質を得られることが分か
った。
【0065】(実施例6)更に、実施例3の電解質を用
い、次のようにして図1に示した二次電池と同様のカー
ド型二次電池を作製した。まず、正極活物質としてのニ
ッケル酸リチウム(LiNiO2 )と、導電剤としての
黒鉛と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンと、分散
剤としてのNメチルピロリドンとを混合し、正極合材を
調製した。次いで、この正極合剤を厚さ30μmのアル
ミ箔よりなる正極集電体の上に塗布して乾燥させ、32
cm2 の大きさに切り出して正極を作製した。
【0066】続いて、炭素質材料の黒鉛化メソフェーズ
カーボンマイクロビーズと、結着剤としてのポリフッ化
ビニリデンと、分散剤としてのNメチルピロリドンとを
混合し、負極合材を調製した。そののち、この負極合剤
を厚さ30μmの銅箔よりなる負極集電体の上に塗布し
て乾燥させ、32cm2 の大きさに切り出して負極を作
製した。
【0067】正極および負極を形成したのち、正極の正
極集電体と反対側の面および負極の負極集電体と反対側
の面に、実施例3と同一の組成で調整した架橋前の混合
溶液をそれぞれ塗布して直ちに空気中において6mW/
cm2 の光量で紫外線を5分間それぞれ照射し、室温に
冷却して電解質をそれぞれ形成した。そののち、正極の
電解質を形成した面と負極の電解質を形成した面とを、
ポリプロピレン製の多孔質膜よりなるセパレータ14を
介して張り合わせ、二次電池を作成した。
【0068】このようにして得られた二次電池につい
て、以下のようにして充放電試験を行った。まず、電流
密度250μA/cm2 の定電流で電池電圧が4.2V
に達するまで定電流充電を行い、次いで、4.2Vの定
電位で全充電時間が10時間に達するまで定電位充電を
行ったのち、電流密度250μA/cm2 の定電流で電
池電圧が2.5Vに達するまで放電を行うという充放電
サイクルを5回繰り返した。その結果、1サイクル目の
充放電効率は75%であり、2サイクル目から5サイク
ル目までの充放電効率は95%以上であった。
【0069】よって、この二次電池は繰り返し充放電を
行うことが可能であることが分かった。すなわち、本実
施例の電解質は、リチウム二次電池に適用できることが
確認された。なお、ここでは詳細に説明しないが、実施
例1、実施例2、実施例4および実施例5の各電解質を
用いた二次電池についても同様の結果を得ることができ
る。
【0070】以上、実施の形態および各実施例を挙げて
本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および各
実施例に限定されるものではなく、種々変形可能であ
る。例えば、上記実施の形態および各実施例において
は、化学結合による三次元網目構造を有する高分子化合
物として、ポリアルキレンオキシドに架橋性の官能基を
付与した化合物が架橋性の官能基において架橋された化
合物を具体的に例に挙げて説明したが、ポリアクリロニ
トリルと均一に混合されるものであれば他の高分子化合
物を用いることもできる。
【0071】また、アルキレンオキシドに架橋性の官能
基を付与した化合物など、架橋性モノマーが架橋性の官
能基において架橋された化合物をこの高分子化合物とし
て用いることもできる。例えば、エチレングリコールジ
アクリレートあるいはエチレングリコールジメタクリレ
ートなどを架橋させたものでもよい。
【0072】更に、上記実施の形態および各実施例にお
いては、化学結合による三次元網目構造を有する高分子
化合物として、ポリアルキレンオキシドにアクリロイル
およびメタクリロイルの少なくとも一方を付与した化合
物が架橋された化合物を具体的に例に挙げて説明した
が、ポリアルキレンオキシドに他の架橋性の官能基を付
与した化合物が架橋された化合物を用いることもでき
る。
【0073】加えて、上記実施の形態および各実施例に
おいては、溶媒について具体的な例を挙げて説明した
が、目的とする電解質塩を溶解することができるもので
あれば他の溶媒を用いることもできる。
【0074】更にまた、上記実施の形態および各実施例
においては、電解質塩としてリチウム塩を用いた二次電
池について説明したが、本発明は、ナトリウム塩あるい
はカルシウム塩などの他の電解質塩を用いた電池につい
ても同様に適用することができる。
【0075】加えてまた、上記実施の形態および実施例
においては、カード型の二次電池について説明したが、
他の形状を有する電池、例えば、パッケージ内において
電解質を折り畳んだりあるいは巻いたりした構造を有す
る電池、またはコイン型あるいはボタン型などの電池に
ついても同様に適用することができる。
【0076】更にまた、上記実施の形態および各実施例
においては、正極11と負極12との間にセパレータ1
4を備えた電池について説明したが、必ずしもセパレー
タを備えている必要はない。但し、セパレータを備える
ようにした方が、電池を製造する際に、正極と負極との
接触による不良の発生を低減することができるので、好
ましい。
【0077】加えてまた、上記実施の形態および各実施
例においては、本発明の電解質を二次電池に用いる場合
について説明したが、一次電池などの他の電池にも用い
ることができる。更に、コンデンサ、キャパシタあるい
はエレクトロクロミック素子などの他の電気化学デバイ
スに用いることもできる。なお、例えば、コンデンサな
どに本発明の電解質を用いる場合には、電解質塩として
アンモニウム塩などの塩基性基塩を用いることもでき
る。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように請求項1乃至請求項
6のいずれかに記載の電解質によれば、ポリアクリロニ
トリルと、化学結合による三次元網目構造を有する高分
子化合物とを含むようにしたので、ポリアクリロニトリ
ルの特性である優れた機械的強度と、高分子化合物の化
学結合による三次元網目構造の特性である優れた熱的安
定性とを共に得ることができる。よって、折り畳むなど
の任意の形状とすることができると共に、高温でも安定
した形状を有することができるという効果を奏する。
【0079】また、ポリアクリロニトリルと、化学結合
による三次元網目構造を有する高分子化合物と、電解質
塩と、溶媒とを含むようにしたので、高いイオン伝導性
を得ることができるという効果も奏する。
【0080】特に、請求項5記載の電解質によれば、電
解質塩にLiPF6 を含むようにしたので、高いイオン
伝導性を得ることができるという効果を奏する。
【0081】また、請求項6記載の電解質によれば、溶
媒をエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートお
よびγ−ブチルラクトンのうちの少なくとも1種により
構成するようにしたので、高いイオン伝導度を得ること
ができると共に、高温で使用しても電解質を収納してい
る容器内の圧力が大きく上昇してしまうことを防止する
ことができるという効果を奏する。
【0082】更に、請求項7乃至請求項14のいずれか
に記載の電池によれば、本発明の電解質を用いるように
したので、電解質の機械的強度および熱的安定性を向上
させることができる。よって、電池を任意の形状に形成
することができると共に、高温でも安定して構造が保持
され、高温での液漏れおよび短絡を防止でき、信頼性を
向上させることができるという効果を奏する。また、高
いイオン伝導性を得ることができ、高い電池性能を得る
ことができるという効果も奏する。
【0083】特に、請求項14記載の電池によれば、セ
パレータを備えるようにしたので、正極と負極との短絡
を防止することができ、製造の際の歩留りも低減するこ
とができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電解質を用いた二
次電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…正極、12…負極、13…電解質、14…セパレ
ータ、15…正極集電体、16…負極集電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 世界 孝二 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5G301 CA08 CA16 CA30 CD01 CD10 5H024 AA02 AA12 CC04 FF15 FF19 FF23 FF36 5H029 AJ11 AJ15 AK02 AK03 AL12 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ04 DJ09 EJ14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアクリロニトリルと、 化学結合による三次元網目構造を有する高分子化合物
    と、 電解質塩と、 この電解質塩を溶解する溶媒とを含むことを特徴とする
    電解質。
  2. 【請求項2】 前記高分子化合物は、ポリアルキレンオ
    キシドに架橋性の官能基を付与した化合物が架橋性の官
    能基において架橋された化合物を含むことを特徴とする
    請求項1記載の電解質。
  3. 【請求項3】 前記高分子化合物は、ポリアルキレンオ
    キシドに架橋性の官能基としてアクリロイルおよびメタ
    クリロイルのうちの少なくとも一方を付与した1種また
    は2種以上の化合物が架橋性の官能基において架橋され
    た化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の電解
    質。
  4. 【請求項4】 前記高分子化合物は、ポリエチレングリ
    コールジメタクリレートおよびポリエチレングリコール
    ジアクリレートのうちの少なくとも一方が架橋性の官能
    基において架橋された化合物を含むことを特徴とする請
    求項1記載の電解質。
  5. 【請求項5】 前記電解質塩は、LiPF6 を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の電解質。
  6. 【請求項6】 前記溶媒は、エチレンカーボネート,プ
    ロピレンカーボネートおよびγ−ブチルラクトンのうち
    の少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項1記
    載の電解質。
  7. 【請求項7】 正極および負極と共に電解質を備えた電
    池であって、 前記電解質は、ポリアクリロニトリルと、化学結合によ
    る三次元網目構造を有する高分子化合物と、電解質塩
    と、この電解質塩を溶解する溶媒とを含むことを特徴と
    する電池。
  8. 【請求項8】 前記高分子化合物は、ポリアルキレンオ
    キシドに架橋性の官能基を付与した化合物が架橋性の官
    能基において架橋された化合物を含むことを特徴とする
    請求項7記載の電池。
  9. 【請求項9】 前記高分子化合物は、ポリアルキレンオ
    キシドに架橋性の官能基としてアクリロイルおよびメタ
    クリロイルのうちの少なくとも一方を付与した1種また
    は2種以上の化合物が架橋性の官能基において架橋され
    た化合物を含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
  10. 【請求項10】 前記高分子化合物は、ポリエチレング
    リコールジメタクリレートおよびポリエチレングリコー
    ルジアクリレートのうちの少なくとも一方が架橋性の官
    能基において架橋された化合物を含むことを特徴とする
    請求項7記載の電池。
  11. 【請求項11】 前記電解質塩は、LiPF6 を含むこ
    とを特徴とする請求項7記載の電池。
  12. 【請求項12】 前記溶媒は、エチレンカーボネート,
    プロピレンカーボネートおよびγ−ブチルラクトンのう
    ちの少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項7
    記載の電池。
  13. 【請求項13】 前記正極はリチウム含有化合物を含む
    と共に、前記負極はリチウム金属、リチウム合金、また
    はリチウムを吸蔵および脱離することが可能な炭素質材
    料あるいは無機材料を含むことを特徴とする請求項7記
    載の電池。
  14. 【請求項14】 更に、正極と負極との間に設けられた
    セパレータを備えたことを特徴とする請求項7記載の電
    池。
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