JP2000160302A - 冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼 - Google Patents
冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼Info
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- JP2000160302A JP2000160302A JP33002098A JP33002098A JP2000160302A JP 2000160302 A JP2000160302 A JP 2000160302A JP 33002098 A JP33002098 A JP 33002098A JP 33002098 A JP33002098 A JP 33002098A JP 2000160302 A JP2000160302 A JP 2000160302A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 冷間鍛造時の割れの起点となる鋼中の非金属
介在物について、大きさを制限することによって冷間鍛
造性が向上することを見出し、この非金属介在物径を制
御することにより冷間鍛造性を高めた電磁ステンレス鋼
を提供する。 【解決手段】 重量で、C:0.015%以下、Si:
3.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.03%以
下、S:0.03%以下、Ni:0.1〜1.0%、C
r:4〜20%、Al:0.5〜4.0%、O:0.0
1%以下、N:0.015%以下を含み、かつ残部Fe
よりなり、鋼中の非金属介在物径を200μm以下とし
たことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼。
介在物について、大きさを制限することによって冷間鍛
造性が向上することを見出し、この非金属介在物径を制
御することにより冷間鍛造性を高めた電磁ステンレス鋼
を提供する。 【解決手段】 重量で、C:0.015%以下、Si:
3.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.03%以
下、S:0.03%以下、Ni:0.1〜1.0%、C
r:4〜20%、Al:0.5〜4.0%、O:0.0
1%以下、N:0.015%以下を含み、かつ残部Fe
よりなり、鋼中の非金属介在物径を200μm以下とし
たことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁弁や各種セン
サー等に使用される冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼に関するものである。
サー等に使用される冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁弁や磁気センサー等の磁心材
料には、応答性を改善するための高い固有抵抗と、優れ
た磁気特性、さらに耐食性、そして低コスト化を欠かせ
ない優れた冷間鍛造性が要求されていた。そしてこれら
の磁心材料としては、Cr−Fe系のステンレス鋼等が
あり、このようなステンレス鋼について、その有効な耐
食性を保持しつつ、その冷間鍛造性を向上せしめる技術
として、例えば、特公平7−11061号公報が知られ
ている。この特許は、C:0.015%以下、Si:
3.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.030%
以下、S:0.030%以下、Cr:4〜14%、A
l:0.2〜7.0%(但し、Al/Si≧1.0)、
N:300ppm以下、及びO:100ppm以下を含
み、且つ残部が実質的にFeよりなる冷間鍛造用電磁ス
テンレス鋼である。
料には、応答性を改善するための高い固有抵抗と、優れ
た磁気特性、さらに耐食性、そして低コスト化を欠かせ
ない優れた冷間鍛造性が要求されていた。そしてこれら
の磁心材料としては、Cr−Fe系のステンレス鋼等が
あり、このようなステンレス鋼について、その有効な耐
食性を保持しつつ、その冷間鍛造性を向上せしめる技術
として、例えば、特公平7−11061号公報が知られ
ている。この特許は、C:0.015%以下、Si:
3.0%以下、Mn:0.5%以下、P:0.030%
以下、S:0.030%以下、Cr:4〜14%、A
l:0.2〜7.0%(但し、Al/Si≧1.0)、
N:300ppm以下、及びO:100ppm以下を含
み、且つ残部が実質的にFeよりなる冷間鍛造用電磁ス
テンレス鋼である。
【0003】また、優れた電気抵抗、および冷間鍛造性
を有し、さらに耐食性、磁気特性、被削性に優れた耐食
軟磁性鋼として、特開昭63−35757号公報が知ら
れている。この特許は、C+N≦0.015%、Si≦
0.20%、Mn≦0.20%、Cr:7〜13%、A
l:2〜5%を含有し、残部Feならびに不純物元素よ
りなることを特徴とする耐食軟磁性鋼である。
を有し、さらに耐食性、磁気特性、被削性に優れた耐食
軟磁性鋼として、特開昭63−35757号公報が知ら
れている。この特許は、C+N≦0.015%、Si≦
0.20%、Mn≦0.20%、Cr:7〜13%、A
l:2〜5%を含有し、残部Feならびに不純物元素よ
りなることを特徴とする耐食軟磁性鋼である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特公平7−11061号公報にあっては、Cr,S
i,Alの適量複合添加およびC,N,Sを極低値に抑
えることにより、目的とするステンレス鋼の保磁力を下
げ、その磁気特性を向上させ、電気抵抗特性の改善、特
にC,N,O等の不純物元素の低減によって冷間鍛造性
を向上させるというものであるが、しかしながら、冷間
鍛造時の割れの起点となる非金属介在物による影響は全
く考慮されておらず、そのため冷間鍛造性を向上させる
には、未だ十分ではなく、また、特開昭63−3575
7号公報にあっても、同様に適量のCr、Alを複合添
加し、かつSi、Mn、C、N等の固溶強化元素を極力
低減させることによって、優れた電気抵抗、冷間鍛造
性、磁気特性、耐食性を兼ね合わせ持つものであるが、
これも冷間鍛造時の割れの起点となる非金属介在物によ
る影響は全く考慮されておらず、そのため冷間鍛造性を
向上させるには、未だ十分ではないという問題がある。
た特公平7−11061号公報にあっては、Cr,S
i,Alの適量複合添加およびC,N,Sを極低値に抑
えることにより、目的とするステンレス鋼の保磁力を下
げ、その磁気特性を向上させ、電気抵抗特性の改善、特
にC,N,O等の不純物元素の低減によって冷間鍛造性
を向上させるというものであるが、しかしながら、冷間
鍛造時の割れの起点となる非金属介在物による影響は全
く考慮されておらず、そのため冷間鍛造性を向上させる
には、未だ十分ではなく、また、特開昭63−3575
7号公報にあっても、同様に適量のCr、Alを複合添
加し、かつSi、Mn、C、N等の固溶強化元素を極力
低減させることによって、優れた電気抵抗、冷間鍛造
性、磁気特性、耐食性を兼ね合わせ持つものであるが、
これも冷間鍛造時の割れの起点となる非金属介在物によ
る影響は全く考慮されておらず、そのため冷間鍛造性を
向上させるには、未だ十分ではないという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述したような問題を解
消するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、冷間鍛
造時の割れの起点となる鋼中の非金属介在物について、
大きさを制限することによって冷間鍛造性が向上するこ
とを見出し、この非金属介在物径を制御することにより
冷間鍛造性を高めた電磁ステンレス鋼を提供することに
ある。その発明の要旨とするところは、 (1)重量で、C:0.015%以下、Si:3.0%
以下、Mn:0.5%以下、P:0.03%以下、S:
0.03%以下、Ni:0.1〜1.0%、Cr:4〜
20%、Al:0.5〜4.0%、O:0.01%以
下、N:0.015%以下を含み、かつ残部Feよりな
り、鋼中の非金属介在物径を200μm以下としたこと
を特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼。
消するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、冷間鍛
造時の割れの起点となる鋼中の非金属介在物について、
大きさを制限することによって冷間鍛造性が向上するこ
とを見出し、この非金属介在物径を制御することにより
冷間鍛造性を高めた電磁ステンレス鋼を提供することに
ある。その発明の要旨とするところは、 (1)重量で、C:0.015%以下、Si:3.0%
以下、Mn:0.5%以下、P:0.03%以下、S:
0.03%以下、Ni:0.1〜1.0%、Cr:4〜
20%、Al:0.5〜4.0%、O:0.01%以
下、N:0.015%以下を含み、かつ残部Feよりな
り、鋼中の非金属介在物径を200μm以下としたこと
を特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼。
【0006】(2)前記(1)に記載した鋼に、さら
に、Ti,Nb,Zr,Vの1種または2種以上を1%
以下添加したことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁
ステンレス鋼。 (3)前記(1)または(2)に記載した鋼に、さら
に、Mo,Cuの1種または2種以上を1%以下添加し
たことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼。 (4)前記(1)〜(3)に記載した鋼に、さらに、P
b,Bi,Se,Te,Caの1種または2種以上を
0.3%以下添加したことを特徴とする冷間鍛造性に優
れた電磁ステンレス鋼。
に、Ti,Nb,Zr,Vの1種または2種以上を1%
以下添加したことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁
ステンレス鋼。 (3)前記(1)または(2)に記載した鋼に、さら
に、Mo,Cuの1種または2種以上を1%以下添加し
たことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼。 (4)前記(1)〜(3)に記載した鋼に、さらに、P
b,Bi,Se,Te,Caの1種または2種以上を
0.3%以下添加したことを特徴とする冷間鍛造性に優
れた電磁ステンレス鋼。
【0007】(5)鋼中の非金属介在物径を130μm
以下としたことを特徴とする前記(1)〜(4)に記載
の冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼。 (6)圧鍛比を10以上とすることにより非金属介在物
を微細化したことを特徴とする前記(1)〜(4)に記
載の冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼にある。
以下としたことを特徴とする前記(1)〜(4)に記載
の冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼。 (6)圧鍛比を10以上とすることにより非金属介在物
を微細化したことを特徴とする前記(1)〜(4)に記
載の冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼にある。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の基本技術は、非金属介在物を大きくするC,S,
O,Nを低減し、非金属介在物径を200μm以下、好
ましくは130μm以下に制限することにある。さら
に、加えて圧鍛比を10以上にすることにより非金属介
在物を分断し、非金属介在物径を小さくすることにあ
る。実際、冷間鍛造で部品を加工する際には数千個、数
万個に1個の割合で鍛造割れが見られる。その鍛造割れ
の起点には比較的大きな非金属介在物が見られ、これら
の非金属介在物を微細分散させることによって冷間鍛造
時の割れ発生確率を低減できることを見出したものであ
る。
発明の基本技術は、非金属介在物を大きくするC,S,
O,Nを低減し、非金属介在物径を200μm以下、好
ましくは130μm以下に制限することにある。さら
に、加えて圧鍛比を10以上にすることにより非金属介
在物を分断し、非金属介在物径を小さくすることにあ
る。実際、冷間鍛造で部品を加工する際には数千個、数
万個に1個の割合で鍛造割れが見られる。その鍛造割れ
の起点には比較的大きな非金属介在物が見られ、これら
の非金属介在物を微細分散させることによって冷間鍛造
時の割れ発生確率を低減できることを見出したものであ
る。
【0009】図1は非金属介在物径と限界据込率との関
係を示す図である。この図に示すように、非金属介在物
径が200μm以下、好ましくは130μm以下とする
ことにより限界据込率を50%以上、130μm以下の
場合は60%以上とすることができる。このように非金
属介在物を微細化させるためには、非金属介在物を形成
する元素であるC,S,O,Nの含有量を低減させるこ
とにある。さらに、鋼塊の段階では非金属介在物径が大
きいが、圧鍛比10以上の熱間加工を施すことによって
非金属介在物が分断され、非金属介在物の大きさを微細
分散させることが出来る。
係を示す図である。この図に示すように、非金属介在物
径が200μm以下、好ましくは130μm以下とする
ことにより限界据込率を50%以上、130μm以下の
場合は60%以上とすることができる。このように非金
属介在物を微細化させるためには、非金属介在物を形成
する元素であるC,S,O,Nの含有量を低減させるこ
とにある。さらに、鋼塊の段階では非金属介在物径が大
きいが、圧鍛比10以上の熱間加工を施すことによって
非金属介在物が分断され、非金属介在物の大きさを微細
分散させることが出来る。
【0010】なお、この成分系においては、Al,Ti
等の炭化物および窒化物は、他の非金属介在物に比べて
比較的大きな介在物を形成しやすく、C,Nを低減させ
ることによって炭化物、窒化物系介在物径を小さくする
ことができ、冷間鍛造性を向上させることができる。ま
た、アルミナ等の酸化物系介在物は、この成分系におい
ては比較的小さく、冷間鍛造時の割れには大きく影響し
ない。しかしながら酸素含有量が0.01%を超えると
大きな酸化物系介在物を形成し冷間鍛造性に悪影響を及
ぼすため、0.01%以下に抑える必要がある。
等の炭化物および窒化物は、他の非金属介在物に比べて
比較的大きな介在物を形成しやすく、C,Nを低減させ
ることによって炭化物、窒化物系介在物径を小さくする
ことができ、冷間鍛造性を向上させることができる。ま
た、アルミナ等の酸化物系介在物は、この成分系におい
ては比較的小さく、冷間鍛造時の割れには大きく影響し
ない。しかしながら酸素含有量が0.01%を超えると
大きな酸化物系介在物を形成し冷間鍛造性に悪影響を及
ぼすため、0.01%以下に抑える必要がある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る成分組成を限
定する理由を説明する。 C:0.015%以下 Cは、ステンレス鋼の製造に際して必然的に導入される
ものであるが、このCは磁気特性、耐食性を劣化させ、
また靱性を劣化させ、冷間鍛造性の悪化を招くことか
ら、0.015%を上限として、その含有量が調整され
なければならない。 Si:3.0%以下 Siは、固有抵抗の増加に効果的な元素であり、ステン
レス鋼中のSi%の増加に伴い、その固有抵抗を増加さ
せる。また、一方、このSiは、磁気特性の改善に効果
的な元素である。しかしながら、3.0%を超えるSi
の添加は冷間鍛造性、および靱性の劣化を招くことか
ら、その上限は3.0%とする必要がある。
定する理由を説明する。 C:0.015%以下 Cは、ステンレス鋼の製造に際して必然的に導入される
ものであるが、このCは磁気特性、耐食性を劣化させ、
また靱性を劣化させ、冷間鍛造性の悪化を招くことか
ら、0.015%を上限として、その含有量が調整され
なければならない。 Si:3.0%以下 Siは、固有抵抗の増加に効果的な元素であり、ステン
レス鋼中のSi%の増加に伴い、その固有抵抗を増加さ
せる。また、一方、このSiは、磁気特性の改善に効果
的な元素である。しかしながら、3.0%を超えるSi
の添加は冷間鍛造性、および靱性の劣化を招くことか
ら、その上限は3.0%とする必要がある。
【0012】Mn:0.5%以下 Mnは、Cと同様に、ステンレス鋼の製造工程において
必然的に導入される元素であるが、その多量の存在はス
テンレス鋼の冷間鍛造性、磁気特性を損なうものである
ことから、その上限を0.5%とした。 P:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.0
15%以下 P,S,Nは冷間鍛造性の悪化を招き、またSおよびN
は何れも磁気特性に悪影響を及ぼす元素である。従っ
て、それらは、それぞれ0.03%以下、0.03%以
下、0.015%以下とした。特に、SはTi,Zrが
含有されていない場合は、MnSを形成し冷間鍛造性に
悪影響を及ぼすため、0.03%以下に抑える必要があ
る。
必然的に導入される元素であるが、その多量の存在はス
テンレス鋼の冷間鍛造性、磁気特性を損なうものである
ことから、その上限を0.5%とした。 P:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.0
15%以下 P,S,Nは冷間鍛造性の悪化を招き、またSおよびN
は何れも磁気特性に悪影響を及ぼす元素である。従っ
て、それらは、それぞれ0.03%以下、0.03%以
下、0.015%以下とした。特に、SはTi,Zrが
含有されていない場合は、MnSを形成し冷間鍛造性に
悪影響を及ぼすため、0.03%以下に抑える必要があ
る。
【0013】Ni:0.1〜1.0% Niは、ステンレス鋼の耐食性を効果的に向上させ、か
つ靱性を向上させる元素である。しかし0.1%未満で
はその効果を達成することができず、1.0%を超える
添加は磁性特性が劣化するため、その含有量を0.1〜
1.0%とした。 Cr:4〜20% Crは、耐食性に効果的な元素であり、また、固有抵抗
の増加にも効果的であるが、しかしながら20%を超え
る多量添加は磁気特性が著しく劣化すると共に、靱性を
妨げる。一方、4%未満では耐食性の面から効果的でな
いので、4〜20%とした。
つ靱性を向上させる元素である。しかし0.1%未満で
はその効果を達成することができず、1.0%を超える
添加は磁性特性が劣化するため、その含有量を0.1〜
1.0%とした。 Cr:4〜20% Crは、耐食性に効果的な元素であり、また、固有抵抗
の増加にも効果的であるが、しかしながら20%を超え
る多量添加は磁気特性が著しく劣化すると共に、靱性を
妨げる。一方、4%未満では耐食性の面から効果的でな
いので、4〜20%とした。
【0014】Al:0.5〜4.0% Alは、固有抵抗、靱性の向上および耐食性改善に極め
て有効な元素である。しかし、0.5%未満では靱性の
面から効果的でなく、また、4%を超える添加は効果が
飽和するため、その含有量を0.5〜4.0%とした。 O:0.01%以下 Oは、前述したように、特にアルミナ等の酸化物系介在
物は、本成分系においては比較的小さく、冷間鍛造時の
割れには大きく影響しない。しかしながら酸素含有量が
0.01%を超えると大きな酸化物系介在物を形成し冷
間鍛造性に悪影響を及ぼすため、0.01%以下に抑え
る必要がある。すなわち、酸化物系介在物を形成して、
ステンレス鋼の冷間鍛造性を著しく劣化させるところか
ら、その上限を0.01%とした。
て有効な元素である。しかし、0.5%未満では靱性の
面から効果的でなく、また、4%を超える添加は効果が
飽和するため、その含有量を0.5〜4.0%とした。 O:0.01%以下 Oは、前述したように、特にアルミナ等の酸化物系介在
物は、本成分系においては比較的小さく、冷間鍛造時の
割れには大きく影響しない。しかしながら酸素含有量が
0.01%を超えると大きな酸化物系介在物を形成し冷
間鍛造性に悪影響を及ぼすため、0.01%以下に抑え
る必要がある。すなわち、酸化物系介在物を形成して、
ステンレス鋼の冷間鍛造性を著しく劣化させるところか
ら、その上限を0.01%とした。
【0015】Ti,Nb,Zr,Vの1種または2種以
上を1%以下 Ti,Nb,Zr,Vは選択元素として含有せしめ、靱
性の向上とステンレス鋼の冷間鍛造性の向上を図るもの
であるが、しかしながら、それら元素の多量添加は磁気
特性を劣化せしめ、また冷間鍛造性も阻害されるように
なることから、それぞれ1%を上限とした。 Mo,Cuの1種または2種を1%以下 Mo,Cuは、それぞれステンレス鋼の耐食性を効果的
に向上せしめ得るものであることから、それぞれ1%を
上限とした。
上を1%以下 Ti,Nb,Zr,Vは選択元素として含有せしめ、靱
性の向上とステンレス鋼の冷間鍛造性の向上を図るもの
であるが、しかしながら、それら元素の多量添加は磁気
特性を劣化せしめ、また冷間鍛造性も阻害されるように
なることから、それぞれ1%を上限とした。 Mo,Cuの1種または2種を1%以下 Mo,Cuは、それぞれステンレス鋼の耐食性を効果的
に向上せしめ得るものであることから、それぞれ1%を
上限とした。
【0016】Pb,Bi,Se,Te,Caの1種また
は2種以上を0.3%以下 Pb,Bi,Se,Te,Caは、それぞれ被削性向上
元素であり、目的とするステンレス鋼に快削性を付与す
るために添加されるものである。そして、これら元素は
冷間鍛造性や磁気特性を損なわない範囲において添加さ
れるものであり、それぞれ0.3%を上限とし、それぞ
れ単独にて或いは適宜組み合わせて添加されるものであ
る。
は2種以上を0.3%以下 Pb,Bi,Se,Te,Caは、それぞれ被削性向上
元素であり、目的とするステンレス鋼に快削性を付与す
るために添加されるものである。そして、これら元素は
冷間鍛造性や磁気特性を損なわない範囲において添加さ
れるものであり、それぞれ0.3%を上限とし、それぞ
れ単独にて或いは適宜組み合わせて添加されるものであ
る。
【0017】非金属介在物径を200μm以下 鋼中の非金属介在物径を200μm以下としたのは、本
発明の最大の特徴であり、前述したように冷間鍛造で部
品を加工する際には数千個、数万個に1個の割合で鍛造
割れが見られ、その冷間鍛造による割れの起点となるも
のは比較的大きな非金属介在物が起因するものであり、
その非金属介在物の大きさは200μmを超えるものと
されることが判明した。従って、冷間鍛造時の割れ発生
確率を低減するためには非金属介在物径を200μm以
下とする必要があることから上限値を200μmとし
た。 圧鍛比を10以上 圧鍛比を10以上としたのは、熱間加工を施すことによ
って非金属介在物が分断され、非金属介在物の大きさを
小さくすることができる。その圧鍛比の下限を10とし
た。
発明の最大の特徴であり、前述したように冷間鍛造で部
品を加工する際には数千個、数万個に1個の割合で鍛造
割れが見られ、その冷間鍛造による割れの起点となるも
のは比較的大きな非金属介在物が起因するものであり、
その非金属介在物の大きさは200μmを超えるものと
されることが判明した。従って、冷間鍛造時の割れ発生
確率を低減するためには非金属介在物径を200μm以
下とする必要があることから上限値を200μmとし
た。 圧鍛比を10以上 圧鍛比を10以上としたのは、熱間加工を施すことによ
って非金属介在物が分断され、非金属介在物の大きさを
小さくすることができる。その圧鍛比の下限を10とし
た。
【0018】
【実施例】表1に、本発明鋼、比較鋼の化学成分を示
す。これらの組成の材料は、真空誘導炉にて50kg鋼
塊に溶製し、それらを径40mmに鍛伸後、焼鈍を施し
た。さらに、焼鈍済の径40mm丸棒より各試験片を作
成し、各測定に充てた。冷間鍛造性については、限界据
込率を測定した。また、磁気特性はB−Hトレーサーで
測定、固有抵抗は直流四端子法で、耐食性はサイクル湿
潤試験を行い評価した。
す。これらの組成の材料は、真空誘導炉にて50kg鋼
塊に溶製し、それらを径40mmに鍛伸後、焼鈍を施し
た。さらに、焼鈍済の径40mm丸棒より各試験片を作
成し、各測定に充てた。冷間鍛造性については、限界据
込率を測定した。また、磁気特性はB−Hトレーサーで
測定、固有抵抗は直流四端子法で、耐食性はサイクル湿
潤試験を行い評価した。
【0019】
【表1】
【0020】その測定条件は次の通りである。 (1)冷間鍛造性:限界据込率を測定 φ12×21Lノッチ付き試験片を用いて割れ発生まで
静的据込みを行い、割れ発生据込率を測定。10個中5
個が割れる据込率で評価。 (2)磁気特性 リンク状試験片を作製し、850℃×4h保持の磁気焼
鈍を施した後に直流B−Hトレーサを用いて磁束密度B
25および保磁力HC を測定した。
静的据込みを行い、割れ発生据込率を測定。10個中5
個が割れる据込率で評価。 (2)磁気特性 リンク状試験片を作製し、850℃×4h保持の磁気焼
鈍を施した後に直流B−Hトレーサを用いて磁束密度B
25および保磁力HC を測定した。
【0021】(3)固有抵抗 ケンビンダブルブリッジを用いた直流4端子法により材
料の固有抵抗を測定した。 (4)耐食性 φ14×21Lの試験片をエメリー研磨紙で800番ま
で研磨した後サイクル湿潤試験(20℃、90%RH、
1.5h保持→70℃、90%RH、4.5h保持、サ
イクル数;20回、発錆の面積率で評価)を行い下記基
準で比較した。 ○:発錆の面積率が5%未満で耐食性が良好であるもの ×:発錆の面積率が5%以上で耐食性が不良好であるも
の その結果を表2に示す。
料の固有抵抗を測定した。 (4)耐食性 φ14×21Lの試験片をエメリー研磨紙で800番ま
で研磨した後サイクル湿潤試験(20℃、90%RH、
1.5h保持→70℃、90%RH、4.5h保持、サ
イクル数;20回、発錆の面積率で評価)を行い下記基
準で比較した。 ○:発錆の面積率が5%未満で耐食性が良好であるもの ×:発錆の面積率が5%以上で耐食性が不良好であるも
の その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による電磁ス
テンレス鋼は、特に冷間鍛造の際に割れ発生確率の低い
冷間鍛造性を有するものであり、しかも磁気特性や電気
抵抗特性の改善されたものであり、また有効な耐食性を
有するものであって、冷間鍛造用材料として腐食環境向
けの電磁材料として用いられる極めて優れた効果を奏す
るものである。
テンレス鋼は、特に冷間鍛造の際に割れ発生確率の低い
冷間鍛造性を有するものであり、しかも磁気特性や電気
抵抗特性の改善されたものであり、また有効な耐食性を
有するものであって、冷間鍛造用材料として腐食環境向
けの電磁材料として用いられる極めて優れた効果を奏す
るものである。
【図1】非金属介在物径と限界据込率との関係を示す図
である。
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量で、 C:0.015%以下、 Si:3.0%以下、 Mn:0.5%以下、 P:0.03%以下、 S:0.03%以下、 Ni:0.1〜1.0%、 Cr:4〜20%、 Al:0.5〜4.0%、 O:0.01%以下、 N:0.015%以下 を含み、かつ残部Feよりなり、鋼中の非金属介在物径
を200μm以下としたことを特徴とする冷間鍛造性に
優れた電磁ステンレス鋼。 - 【請求項2】 請求項1に記載した鋼に、さらに、T
i,Nb,Zr,Vの1種または2種以上を1%以下添
加したことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステン
レス鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載した鋼に、さら
に、Mo,Cuの1種または2種以上を1%以下添加し
たことを特徴とする冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス
鋼。 - 【請求項4】 請求項1〜3に記載した鋼に、さらに、
Pb,Bi,Se,Te,Caの1種または2種以上を
0.3%以下添加したことを特徴とする冷間鍛造性に優
れた電磁ステンレス鋼。 - 【請求項5】 鋼中の非金属介在物径を130μm以下
としたことを特徴とする請求項1〜4に記載の冷間鍛造
性に優れた電磁ステンレス鋼。 - 【請求項6】 圧鍛比を10以上とすることにより非金
属介在物を微細化したことを特徴とする請求項1〜4に
記載の冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33002098A JP2000160302A (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | 冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33002098A JP2000160302A (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | 冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000160302A true JP2000160302A (ja) | 2000-06-13 |
Family
ID=18227885
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33002098A Pending JP2000160302A (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | 冷間鍛造性に優れた電磁ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000160302A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2004177168A (ja) * | 2002-11-25 | 2004-06-24 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 水浸超音波探傷による鋼中介在物検出評価方法 |
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WO2022107757A1 (ja) * | 2020-11-19 | 2022-05-27 | 日鉄ステンレス株式会社 | ステンレス棒状鋼材及び電磁部品 |
US11482355B2 (en) | 2016-07-11 | 2022-10-25 | Daido Steel Co., Ltd. | Soft magnetic alloy |
-
1998
- 1998-11-19 JP JP33002098A patent/JP2000160302A/ja active Pending
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A521 | Written amendment |
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|
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20071225 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |