JPH0649605A - 電磁ステンレス鋼 - Google Patents

電磁ステンレス鋼

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JPH0649605A
JPH0649605A JP4229282A JP22928292A JPH0649605A JP H0649605 A JPH0649605 A JP H0649605A JP 4229282 A JP4229282 A JP 4229282A JP 22928292 A JP22928292 A JP 22928292A JP H0649605 A JPH0649605 A JP H0649605A
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慎一郎 矢萩
Akihiko Saito
章彦 斎藤
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憲二 礒川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子燃料噴射ポンプ等の電磁弁部品に耐食性
材料として用いられる電磁ステンレス鋼について、その
磁気特性(立上り時の磁束密度および保磁力等)を高
め、かつ加工における冷鍛性や被削性を良好なものとす
る。 【構成】 電磁ステンレス鋼におけるPの含有量を重量
%で0.010%未満とし、また、CおよびNがそれぞ
れ0.010%以下、また、それらの和は、0.015
%以下、CuとNiの和が0.15%以下、Sが0.0
30%以下、Mnが0.50%以下、Siが1.0%以
下、Alが4.0%以下、Crが8〜25%、Moが
2.0%以下とされた。Pの含有量を上述のようにごく
少なくし、かつ、他のC,N,Cu,Ni,S等の含有
量を規制することにより、磁気特性および冷鍛性等を兼
備した電磁ステンレス鋼が実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁ステンレス鋼に係
わり、特にフェライト系電磁ステンレス鋼の磁気特性、
冷鍛性および被削性を向上させた電磁ステンレス鋼に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐食性が要求される電磁燃料噴射
ポンプ等の電磁弁部品として、13%または18%クロ
ム−鉄系のステンレス鋼が使用されている。このような
電磁ステンレス鋼では、磁気特性(磁束密度、保磁力
等)が良好であるとともに、加工の面からは、冷鍛性や
被削性が良いことが望ましい。
【0003】ここで、C、Nの低減により電磁ステンレ
ス鋼の磁気特性を向上させ得ることは従来から知られて
いる。例えば、特開昭57−54252、特開昭57−
192246等がそのことを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
C、Nの低減によるものでは、ステンレス鋼の磁気特性
の改善に限界があり、さらに優れた磁気特性を持つ電磁
ステンレス鋼が求められている。
【0005】本発明の課題は、電磁ステンレス鋼におけ
る磁気特性を従来より一層向上させるとともに、加工の
面から冷鍛性および被削性も良好な電磁ステンレス鋼を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らが鋭
意研究した結果、Pを0.010%未満にすることによ
り、磁束密度(B80)、保磁力(Hc)等の磁気特性
を向上させ得ることを見い出した。Pの低減によって磁
気特性が改善される理由は、Pが増加すると磁気焼鈍時
の結晶粒が微細化されるが、Pの低減を図ることによ
り、磁気焼鈍時の結晶粒の成長が促進されるためである
と考えられる。すなわち、本発明に係る電磁ステンレス
鋼は、重量%で、P(リン)が0.010%未満、C
(炭素)が0.010%以下、N(窒素)が0.01%
以下、CとNの和が0.015%以下、Cu(銅)とN
i(ニッケル)の和が0.15%以下、S(イオウ)が
0.030%以下、Mn(マンガン)が0.50%以
下、Si(ケイ素)が1.0%以下、Al(アルミニウ
ム)が4.0%以下、Cr(クロム)が8%以上25%
以下、Mo(モリブデン)が2.0%以下、残部がFe
(鉄)および不純物から構成されるものである。
【0007】請求項2に係るさらに磁気特性を改善した
電磁ステンレス鋼は、請求項1の要件に加え、重量%で
SiとAlの和が1.0%以上とされる。
【0008】請求項3に係る冷鍛性と磁気特性を兼備し
た電磁ステンレス鋼は、請求項1の要件に加え、重量%
で、Siが0.15%以下、Sが0.015%以下、O
(酸素)が0.005%以下、Moが0.5%以下とさ
れる。
【0009】請求項4に係る冷鍛性と磁気特性を兼備し
た電磁ステンレス鋼は、請求項2の要件に加え、重量%
で、Siが0.15%以下、Sが0.015%以下、O
が0.005%以下、Moが0.5%以下とされる。
【0010】請求項5に係る被削性と磁気特性を兼備し
た電磁ステンレス鋼は、請求項1ないし4のいずれかの
要件に加え、さらに重量%で、Pb(鉛)が0.25%
以下、Bi(ビスマス)が0.20%以下、Te(テル
ル)が0.03%以下、Se(セレン)が0.03%以
下、Ca(カルシウム)が0.02%以下のうちから選
ばれる1種または2種以上を含む。
【0011】以上のような電磁ステンレス鋼の成分組成
(重量%)の限定理由は次の通りである。 (1) P<0.010% Pが少ないほど、良好な磁気特性を示す。ここで、磁気
特性とは、主に磁束密度:B80、B800(単位:
T)等、および保磁力:Hc(単位:A/m)を意味
し、磁束密度のB80等が高いことは電磁弁の立上り特
性が良いことを示し、一方、保磁力が低いことは、立下
り特性が良いことを示す。したがって、磁束密度のB8
0等が高く、保磁力は低いことが磁気特性の改善のため
に必要であり、Pの含有量低減による上記磁気特性の向
上効果は、重量%で特にPの含有量が0.010未満に
おいて顕著であるため、P<0.010%とした。
【0012】 (2) C≦0.010%、およびN≦0.010% 磁気特性は、CあるいはNの量が少ないほど良好であ
り、ともに0.010%以下で磁気特性の改善効果が顕
著であることによる。
【0013】(3) C+N≦0.015% 磁気特性は、(C+N)量が少ないほど良好であり、特
にそれらの和が0.015%以下で磁気特性の改善効果
が顕著であるため、C+Nを0.015%以下とした。
【0014】(4) Cu+Ni≦0.15% 磁気特性および冷鍛性は、(Cu+Ni)量が少ないほ
と良好であるが、それらの和の含有量が0.15%以下
になると、磁気特性および冷鍛性を向上させる効果が小
さくなるため、Cu+Niの含有量は0.15%以下と
した。
【0015】(5) Si≦1.0% Siの含有率が高いほど比抵抗(ρ)が増加し、例えば
電磁弁部品を構成する場合の応答性が向上する。また、
Siの増量は保磁力を減少させることに効果的である。
しかしながら、Siが多すぎると、加工における変形抵
抗が増加して冷鍛性が劣化するので、Siの含有量は
1.0%を上限とし、特に冷鍛性を重視する場合には
0.15%を上限とした。
【0016】(6) Al≦4.0% Alは、Siと同様、比抵抗の増加および磁気特性の向
上(保磁力の減少)に効果的である。しかし、Alが多
すぎると、変形抵抗が増加して冷鍛性が悪くなるので、
Alの上限を4.0%とした。
【0017】(7) Si+Al≧1.0% 磁気特性を特に向上させる場合には、SiとAlの和を
1.0%以上にする必要がある。AlはSiに比べて変
形抵抗を増加させる弊害が小さいので、冷鍛性を特に重
視する場合には、Alをより多く含有させることが望ま
しい。
【0018】(8) S≦0.030% Sは、冷鍛性と磁気特性の劣化を招くので、0.030
%を上限とした。冷鍛性をより重視する場合には、0.
015%を上限とする。
【0019】(9) Mn≦0.50% Mnは、冷鍛性の劣化を招くので、その上限を0.5%
ととした。
【0020】(10) 8%≦Cr≦25% Crは、耐食性と電気抵抗の増加に効果的な元素である
が、8%未満であると耐食性が劣化する一方、25%を
越えると磁気特性および冷鍛性が劣化するとともに、電
気抵抗の増加も飽和する。したがって、Crは8%以
上、25%以下とした。
【0021】(11) Mo≦2.0% Moは耐食性の向上に効果的な元素であり、磁気特性を
損なう度合は比較的小さいが、2.0%を越えると冷鍛
性が劣化するため、その含有量は2.0%以下とした。
冷鍛性を特に重視する場合は、Moの上限を0.5%と
する。
【0022】(12) O≦0.005% Oは、酸化物系非金属介在物として冷鍛性を劣化させる
ので、冷鍛性を重視する場合には、Oの上限を0.00
5%とする。
【0023】(13) Pb≦0.25%、Bi≦0.2
0%、Te≦0.03%、Se≦0.03%、Ca≦
0.02%の1種または2種以上 Pb、Bi、Te、Se、Caは、いずれも被削性を向
上させる元素であるが、多量に使用すると冷鍛性や靭性
等を損なうので、Pbの上限を0.25%、Biの上限
を0.20%、Teの上限を0.03%、Seの上限を
0.03%、Caの上限を0.02%とした。
【0024】
【作用】本発明に係る電磁ステンレス鋼は、Pの含有量
が0.010%未満とされることを基本的特徴とし、そ
の他にC、N、Cu、Ni、S、Si、Al、Cr等の
含有量が適切に規制されることによって、磁気特性が良
好なものとなる。すなわち、磁束密度が高められる一
方、保磁力は低く抑えられる。また、Cu、Ni、S
i、Al、S、Mn、Mo、O等の含有量が適切に規制
されることによって冷鍛性が向上し、またPb、Bi、
Te、Se、Caの適宜の添加が被削性を向上させる。
【0025】
【実施例】表1(本発明の実施例)および表2(比較
例)に示す成分組成のステンレス鋼を溶製し、直径38
mmの丸棒に圧延した。引き続き750℃で焼鈍処理した
後、これを機械加工することにより、磁気リング試験
片、丸棒状の体積抵抗率(比抵抗)測定試験片、引張試
験片および塩水噴霧試験片を製作した。そして、磁気リ
ング試験片と体積抵抗率測定試験片については、850
℃×2時間の条件で磁気焼鈍した後、前者の試験片によ
って磁気特性(磁束密度:B80およびB800、保磁
力:Hc)を測定し、後者の試験片によって、体積抵抗
率(比抵抗)を測定した。また、引張試験片による引張
特性(絞り)の評価と、徐々圧下試験による冷鍛性の評
価とを行い、さらに塩水噴霧試験片により、耐食性の観
点から塩水噴霧試験を行った。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】なお、磁気リング試験片は、外径35mm、
内径25mm、厚さ7mmのもので、体積抵抗率測定試験片
は、直径5mm、長さ100mmの丸棒である。また、引張
試験片は、JIS4号に規定されるものを縮小したもの
で、引張試験部の直径が8mm、長さが34mmのものであ
る。一方、徐々圧下試験片は、直径6mm、長さ9mmのも
のであり、また塩水噴霧試験片は、長さが100mmの所
定の直径のものである。
【0031】このような各試験の結果について、本発明
の実施例の結果を表3に、また比較例の結果を表4に示
した。
【0032】これらの結果から明らかなように、本発明
の実施例品においては、比較例と比べて、磁気特性を示
す磁束密度B80等が高く、励磁の際の立上り特性が良
いことを示している。また、保磁力は、本発明の実施例
品では60A/m以下で、励磁・消磁の応答性が良いこ
とを表している。また、絞りの%値は引張りによる断面
積減少率を示し、これが80%以上のものは、電磁燃料
噴射弁の冷鍛シュミレ−ション試験(徐々圧下試験)に
おいて、80%の据込みで割れが発生しなかった。さら
に、塩水噴霧試験は、JIS Z2371の条件で48時
間実施し、さび発生の有無で評価した。ここで、×印は
さび発生あり、○印はさび発生なし、◎印は96時間の
試験でもさびの発生が認められなかったことを示すが、
本発明の実施例品では、さびの発生は認められなかっ
た。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、電磁ステンレス鋼にお
いて特にPの含有量を0.010%未満とすることを前
提に、その他の元素の含有量を適正に規制することによ
って、良好な磁気特性を備えるとともに、冷鍛性や被削
性、耐食性をバランス良く兼ね備えた電磁ステンレス鋼
を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Pが0.010%未満、Cが
    0.010%以下、Nが0.010%以下、CとNの和
    が0.015%以下、CuとNiの和が0.15%以
    下、Sが0.030%以下、Mnが0.50%以下、S
    iが1.0%以下、Alが4.0%以下、Crが8%以
    上25%以下、Moが2.0%以下、残部がFeおよび
    不純物から構成されることを特徴とする電磁ステンレス
    鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、SiとAlの和が1.0%以
    上である請求項1記載の電磁ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、Siが0.15%以下、Sが
    0.015%以下、Oが0.005%以下、Moが0.
    5%以下である請求項1記載の電磁ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、Siが0.15%以下、Sが
    0.015%以下、Oが0.005%以下、Moが0.
    5%以下である請求項2記載の電磁ステンレス鋼。
  5. 【請求項5】 重量%で、Pbが0.25%以下、Bi
    が0.20%以下、Teが0.03%以下、Seが0.
    03%以下、Caが0.02%以下の1種または2種以
    上を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁ステ
    ンレス鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20220139981A (ko) 2020-02-19 2022-10-17 닛테츠 스테인레스 가부시키가이샤 전자 스테인리스 봉상 강재

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