JP2000160036A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2000160036A
JP2000160036A JP11264536A JP26453699A JP2000160036A JP 2000160036 A JP2000160036 A JP 2000160036A JP 11264536 A JP11264536 A JP 11264536A JP 26453699 A JP26453699 A JP 26453699A JP 2000160036 A JP2000160036 A JP 2000160036A
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幸二 山内
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英樹 松本
Akinori Shikamata
昭紀 鹿又
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、非ハロゲン系難燃剤を使用し、熱可
塑性樹脂に難燃性を付与すると同時に、耐湿熱特性、滞
留安定性に優れた熱可塑性樹脂射出成形品を得ることを
課題とする。 【解決手段】(A)熱可塑性樹脂100重量部および、
(B)下記一般式(1)または一般式(2)で表される
ホスホン酸と、アンモニアあるいは下記一般式(3)で
表されるトリアジン系化合物とからなるホスホン酸塩1
〜100重量部を含有せしめてなる難燃性樹脂組成物。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非ハロゲン系難燃
剤を使用した熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、難燃性を有し、耐湿熱特性、滞留安定性に優れ、電
線被覆材、成形品用途、例えばコネクター、リレー、ス
イッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の
電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品に好適な難
燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどに代表さ
れるポリエステル、あるいはポリカーボネート、ポリア
ミド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹脂は、そ
の優れた諸特性を生かし、射出成形材料として機械機構
部品、電気部品、自動車部品などの幅広い分野に利用さ
れつつある。一方、これら熱可塑性樹脂は本質的に可燃
性であるため、工業用材料として使用するには一般の化
学的、物理的諸特性のバランス以外に火炎に対する安全
性、すなわち難燃性が要求される場合が多い。
【0003】熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法とし
ては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃
助剤としてアンチモン化合物を樹脂にコンパウンドする
方法が一般的である。しかしながら、この方法には、燃
焼の際の発煙量が多いなどの問題点を有している。
【0004】そこで、近年これらハロゲン系難燃剤の欠
点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃剤を用
いることが強く望まれるようになった。
【0005】これまで、ハロゲン系難燃剤を使わずに熱
可塑性樹脂を難燃化する方法としてはポリリン酸アンモ
ニウムを添加する方法が知られている。例えば、特開昭
53−108140号公報、特開昭57−96039号
公報、特開昭57−100156号公報、特開昭57−
100157号公報、特開昭57−115450号公報
等にポリリン酸アンモニウムを用いた熱可塑性ポリエス
テルの難燃化技術が開示されている。
【0006】射出成形用、特に機械部品、電気・電子部
品、自動車部品用としての難燃性熱可塑性樹脂組成物
は、成形品の優れた難燃性だけでなく、耐熱性や熱安定
性あるいは耐加水分解性が要求される。しかしながら従
来の技術であるポリリン酸アンモニウムを熱可塑性樹脂
に配合した場合、充分な難燃性が得られず、さらにポリ
リン酸アンモニウムそのものが熱分解したり、あるいは
ポリリン酸アンモニウムを配合した樹脂組成物を成形品
にした場合、樹脂組成物の熱安定性が低下したり、耐湿
熱性が低下するなどの問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、非ハ
ロゲン系難燃剤を使用し、熱可塑性樹脂に難燃性を付与
すると同時に、耐湿熱特性、滞留安定性に優れた熱可塑
性樹脂射出成形品を得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以上の状況
を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂に前記一
般式(1)または(2)で表されるホスホン酸と、アン
モニアあるいは前記一般式(3)で表されるトリアジン
系化合物とからなるホスホン酸塩1〜100重量部を配
合することにより、難燃性が得られ、かつ難燃性樹脂組
成物の耐湿熱性、滞留安定性に優れること見いだし、本
発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、(A)熱可塑性樹脂1
00重量部および、(B)下記一般式(1)または
(2)で表されるホスホン酸と、アンモニアあるいは下
記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物とからな
るホスホン酸塩1〜100重量部を含有せしめてなる難
燃性樹脂組成物、
【0010】
【化4】
【0011】(ただし上式において、R1、R2は同一ま
たは相異なる水素、アルキル基、アラルキル基、シクロ
アルキル基を表す。)
【0012】
【化5】
【0013】(R3、R4、R5、R6は同一または相異な
る水素アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、
または−CONH2である。また、R7は上式中の−NR
34または−NR56と同一の基、またはこれらと独立
に水素、アリール基、アルキル基、アラルキル基、シク
ロアルキル基、−NH2、または−CONH2から選ばれ
た基である。) 前記ホスホン酸塩の90℃における水に対する溶解度が
5%以下である上記記載の難燃性樹脂組成物、熱可塑性
樹脂100重量部に対して、さらに(C)下記一般式
(4)で表される燐酸エステル0.1〜30重量部をさ
らに配合せしめてなる上記記載の難燃性樹脂組成物、
【0014】
【化6】
【0015】(上記式中、R8〜R15は、同一または相
異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表
す。またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異
なる芳香族基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で
置換された芳香族基を表す。また、Yは直接結合、O、
S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。またnは0以上の整数である。
またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ
k+mは0以上2以下の整数である。) 熱可塑性樹脂100重量部に対して(C)トリアジン系
化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸からなる
塩1〜100重量部をさらに配合してなる上記記載の難
燃性樹脂組成物、熱可塑性樹脂100重量部に対して、
フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物0.0
1〜10重量部をさらに配合してなる上記記載の難燃性
樹脂組成物、熱可塑性樹脂100重量部に対して充填剤
5〜140重量部をさらに配合してなる上記記載の難燃
性樹脂組成物、熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、エ
チレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂か
ら選ばれる1種または2種以上の混合物である上記記載
の難燃性樹脂組成物、さらに本発明は、上記樹脂組成物
からなる成形品、上記樹脂組成物からなる電線被覆材、
成形品が機械機構部品、電気電子部品または自動車部品
である上記成形品、成形品がコネクター、コイルボビ
ン、リレーまたはスイッチである上記成形品である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の難燃性樹脂組成物
について具体的に説明する。本発明の熱可塑性樹脂
(A)とは、加熱すると流動性を示し、これを利用して
成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例とし
ては、例えば、非液晶ポリエステル樹脂、液晶ポリエス
テル樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアミド樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、全芳香
族ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミ
ダゾール樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルス
ルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、フェノキシ
樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹
脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン系樹
脂(例えばポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合
体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピ
レン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エ
チル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重
合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル
共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイ
ン酸共重合体など)、プロピレン系樹脂(例えばポリプ
ロピレン、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレ
ン/アクリル酸エチル共重合体、プロピレン/メタクリ
ル酸グリシジル共重合体、プロピレン/酢酸ビニル/メ
タクリル酸グリシジル共重合体など)、ポリスチレン、
ゴム強化ポリスチレン、ABSなどのスチレン系樹脂、
ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステル
ポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれ
る1種または2種以上の混合物が挙げられるが、ポリエ
ステル樹脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチ
レン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、
フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェ
ノール樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物が
好ましく、さらに好ましくはポリエステル、スチレン系
樹脂である。
【0017】上記熱可塑性樹脂の内、ポリエステル樹脂
としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコールの重縮
合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン
酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールの重縮合物および
これらの共重合体などが挙げられ、液晶性であっても非
液晶性であってもよい。具体的には、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、
ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタ
レート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエ
チレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’
−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレンイ
ソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレー
ト樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができる。
特に本発明に好適なポリエステル樹脂としてはポリエチ
レンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレー
ト樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレ
ンナフタレート樹脂を挙げることができ、より好ましく
はポリブチレンテレフタレート樹脂である。
【0018】このようなポリエステル樹脂の分子量は特
に制限はないが、通常フェノール/テトラクロロエタン
1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が
0.10〜3.00を使用することができるが、好まし
くは、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜
2.25である。
【0019】上記熱可塑性樹脂の内、ポリアミド樹脂と
しては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカ
ルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物
などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、
ポリ(メタキシレンアジパミド)(以下MXD・6と略
す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下
6Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミ
ド)(以下6Iと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフ
タルアミド)(以下4Iと略す)、ポリ(2−メチルペ
ンタメチレンテレフタルアミド(以下HTNと略す)、
ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下9Tと略
す)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの
共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に
好適なポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、
ナイロン6/66、ナイロン66/6T、ナイロン6T
/12、6T/6I/66、6T/6I/12挙げるこ
とができる。
【0020】このようなポリアミド樹脂の分子量は特に
制限はないが、98%硫酸中、濃度1%、25度で測定
する相対粘度が1.70〜4.50を使用することがで
きるが、好ましくは、2.00〜4.00、特に好まし
くは2.00〜3.50である。
【0021】上記熱可塑性樹脂の内、ポリスチレン系樹
脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリ
ル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム変性スチレ
ン系樹脂とポリフェニレンエーテルとのポリマーブレン
ド体などが挙げられる。
【0022】ここでゴム変性スチレン系樹脂とは、ビニ
ル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合
体が微粒子状に分散してなるグラフト重合体をいい、ゴ
ム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体および必要に
応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体
混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、ま
たは乳化重合することにより得られる。
【0023】このようなゴム変性スチレン系樹脂として
は、例えば、ゴム強化ポリスチレン、ABS樹脂(アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AA
S(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合
体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピ
レンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0024】このようなゴム変性スチレン系樹脂として
はスチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合
体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体
を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトし
た構造をとったもを含むものである。
【0025】本発明で使用するホスホン酸塩(B)につ
いて説明する。
【0026】本発明のホスホン酸塩とは、下記一般式
(1)または(2)で表されるホスホン酸と、アンモニ
アあるいは下記一般式(3)で表されるトリアジン系化
合物とからなるホスホン酸塩であり、かかるホスホン酸
塩は、ホスホン酸とアンモニアあるいはトリアジン系化
合物との酸−アルカリ反応物である。
【0027】
【化7】
【0028】(ただし上式においてR1、R2は同一また
は相異なる水素、アルキル基、アラルキル基、シクロア
ルキル基を表す。)
【0029】
【化8】
【0030】(ただし上式においてR3、R4、R5、R6
は同一または相異なる水素アルキル基、アラルキル基、
シクロアルキル基、または−CONH2である。また、
7は上式中の−NR34または−NR56と同一の
基、またはこれらと独立に水素、アリール基、アルキル
基、アラルキル基、シクロアルキル基、−NH2、また
は−CONH2から選ばれた基である。) 本発明のホスホン酸塩の構成成分であるホスホン酸と
は、前記式(1)または(2)で表される化合物を表
す。
【0031】前記一般式(1)、(2)においてR1
2は同一または相異なる水素、アリール基、アルキル
基、アラルキル基、シクロアルキル基である。ここでア
リール基としては炭素数6〜15のもの、アルキル基と
しては炭素数1〜10のもの、アラルキル基としては炭
素数7〜16のもの、シクロアルキル基としては4〜1
5のものが好ましい。これらの中で特にR1、R2として
は水素またはメチル基が好ましい。
【0032】ホスホン酸塩の構成成分であるトリアジン
系化合物とは、前記一般式(3)で表される化合物を表
す。
【0033】前記一般式(3)においてR3、R4
5、R6は同一または相異なる水素、アリール基、アル
キル基、アラルキル基、シクロアルキル基、または−C
ONH2である。ここでアリール基としては炭素数6〜
15のもの、アルキル基としては炭素数1〜10のも
の、アラルキル基としては炭素数7〜16のもの、シク
ロアルキル基としては4〜15のものが好ましい。ま
た、R7は上式中の−NR34または−NR56と同一
の基、またはこれらと独立に水素、アリール基、アルキ
ル基、アラルキル基、シクロアルキル基、−NH2、ま
たは−CONH2から選ばれた基であり、ここでアリー
ル基としては炭素数6〜15のもの、アルキル基として
は炭素数1〜10のもの、アラルキル基としては炭素数
7〜16のもの、シクロアルキル基としては4〜15の
ものが好ましい。
【0034】R3、R4、R5、R6の具体的な例としては
水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、
β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メトキ
シメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペンチ
ル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド基な
どが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチル
基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジル
基、アミド基が好ましい。
【0035】前記一般式(1)で表わされるトリアジン
系化合物のうち、特に好ましい例としてはメラミン、モ
ノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメチ
ル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミン、ベ
ンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−アミド−4,
6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、メラム、メレ
ムが挙げられ、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミンの塩が好ましい。
【0036】前記ホスホン酸とアンモニアあるいはトリ
アジン系化合物とからなるホスホン酸塩は、一般式
(1)または(2)で表わされるホスホン酸とアンモニ
アあるいはトリアジン化合物の混合物を水溶液あるいは
スラリーとなし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形
成させた後、このスラリーを濾過、乾燥して得られる粉
末であり、単なる混合物とは異なる。この塩は完全に純
粋である必要は無く、多少未反応の(1)または(2)
式で表わされる化合物あるいはトリアジン系化合物が残
存していても良い。
【0037】しかしホスホン酸塩中にホスホン酸塩の未
反応物やアンモニアあるいはトリアジン系化合物などの
未反応物が残存すると、樹脂中に配合された場合、樹脂
組成物の耐加水分解性の低下や熱安定性の低下、表面ブ
リードアウトの原因となるためこれら未反応物は少ない
ほど好ましい。
【0038】本発明で用いるホスホン酸塩の90℃にお
ける水に対する溶解性は5%以下であり、好ましくは1
%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは
0.1%以下であり、この時下限に制限はなく、0に近
いほど好ましい。
【0039】ここで水に対する溶解性とは、90℃にお
いて、水100gに溶解するホスホン酸塩の量A(g)
より、(A/100)×100(%)より算出した値を
示す。
【0040】また本発明のホスホン酸塩の形態としては
特に制限はないが、できる限り微細な粉末として得られ
たものを用いるのが、本発明の組成物から得られる成形
品の機械的強度や表面性の点から好ましく、樹脂に配合
する前の平均粒径が100μm以下のものが特に好まし
い。また、上記塩の分散性が悪い場合には、通常公知の
分散剤を併用してもかまわない。
【0041】本発明のホスホン酸塩の配合量は熱可塑性
樹脂に対して1〜100重量部、好ましくは2〜80重
量部、さらに好ましくは3〜70重量部である。上記塩
の使用量が少なすぎると難燃性の向上効果が認められ
ず、また多すぎると成形品の機械的物性や表面外観が損
なわれるため好ましくない。
【0042】本発明では燐酸エステル(C)をさらに配
合することにより、難燃性樹脂組成物の難燃性や流動性
のみならず、ホスホン酸塩のブリードアウトを抑制でき
ることがわかった。
【0043】本発明に使用される燐酸エステル(C)と
は、下記式(4)で表されるものである。
【0044】
【化9】
【0045】(上記式中、R8〜R15は、同一または相
異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表
す。またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異
なる芳香族基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で
置換された芳香族基を表す。また、Yは直接結合、O、
S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。またnは0以上の整数である。
またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ
k+mは0以上2以下の整数である。) まず前記式(4)で表される難燃剤の構造について説明
する。前記式(4)の式中nは0以上の整数であり、好
ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。上限
は難燃性の点から40以下が好ましい。
【0046】またk、mは、それぞれ0以上2以下の整
数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数である
が、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、
特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0047】また前記式(4)の式中、R8〜R15は同
一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基
を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−イソプロピル、ネオペンチル、tert
−ペンチル基、2ーイソプロピル、ネオペンチル、te
rt−ペンチル基、3−イソプロピル、ネオペンチル、
tert−ペンチル基、ネオイソプロピル、ネオペンチ
ル、tert−ペンチル基などが挙げられるが、水素、
メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好まし
い。
【0048】またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一ま
たは相異なる芳香族基あるいはハロゲンを含有しない有
機残基で置換された芳香族基を表す。かかる芳香族基と
しては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、インデン骨
格、アントラセン骨格を有する芳香族基が挙げられなか
でもベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格を有するも
のが好ましい。これらはハロゲンを含有しない有機残基
(好ましくは炭素数1〜8の有機残基)で置換されてい
てもよく、置換基の数にも特に制限はないが、1〜3個
であることが好ましい。具体例としては、フェニル基、
トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフ
チル基、インデニル基、アントリル基などの芳香族基が
挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、ク
メニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、ト
リル基、キシリル基が好ましい。
【0049】またYは直接結合、O、S、SO2、C
(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル
基を表す。
【0050】上記燐酸エステルのなかでも特に好ましい
のは下記構造を有するものである。
【0051】
【化10】
【0052】上記構造単位中、nは0〜5が好ましく、
特に1が好ましい。
【0053】このような燐酸エステルとしては、大八化
学社製PX−200、TPPを使用することができる。
【0054】本発明においては2種以上の燐酸エステル
の混合物であってもよい。
【0055】上記燐酸エステル(C)の使用量は熱可塑
性樹脂100重量部に対して、通常0.1〜30重量
部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜2
5重量部、特に好ましくは3〜20重量部である。
【0056】上記燐酸エステルの使用量が少なすぎると
難燃性、耐熱性、成形性、リサイクル性の向上効果が認
められず、また多すぎると成形品の機械的物性や耐熱性
が損なわれるため好ましくない。
【0057】本発明の難燃性樹脂組成物は、さらにトリ
アジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸
の塩を添加すると、ホスホン酸塩との相乗効果により難
燃性が向上するのみならず、耐湿熱特性も向上すること
を見いだした。
【0058】特にトリアジン系化合物とシアヌール酸ま
たはイソシアヌール酸の塩を併用すると、ホスホン酸塩
配合量を減量しても、安定して難燃性を付与することが
可能となることを見いだした。
【0059】本発明で使用されるトリアジン系化合物と
シアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩とは、シアヌ
ール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン系化合物と
の付加物であり、通常は1対1(モル比)、場合により
1対2(モル比)の組成を有する付加物である。トリア
ジン系化合物のうち、シアヌール酸またはイソシアヌー
ル酸と塩を形成しないものは除外される。
【0060】上記トリアジン系化合物としては一般式
(5)で表される化合物等が挙げられる。
【0061】
【化11】
【0062】前記一般式(5)においてR16 、R17
18 、R19 は同一または相異なる水素、アリール基、
アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、または
−CONH2 である。ここでアリール基としては炭素数
6〜15のもの、アルキル基としては炭素数1〜10の
もの、アラルキル基としては炭素数7〜16のもの、シ
クロアルキル基としては炭素数4〜15のものが好まし
い。また、R20は上式中の−NR1516または−NR17
18と同一の基、またはこれらと独立に水素、アリール
基、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、−
NH2 、または−CONH2から選ばれた基であり、こ
こでアリール基としては炭素数6〜15のもの、アルキ
ル基としては炭素数1〜10のもの、アラルキル基とし
ては炭素数7〜16のもの、シクロアルキル基としては
炭素数4〜15のものが好ましい。
【0063】R16 、R17 、R18 、R19の具体的な例
としては水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフ
チル基、β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メ
トキシメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペ
ンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド
基などが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチ
ル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジ
ル基、アミド基が好ましい。
【0064】また、R20の具体的な例としてはアミノ
基、アミド基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノ(ヒドロキシメ
チル)アミノ基、ジ(ヒドロキシメチル)アミノ基、モ
ノ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシメチル)
アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、水
素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−
ペンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基などが
挙げられるが、中でも水素、アミノ基、アミド基、メチ
ル基、モノ(ヒドロキシメチル)アミノ基、ジ(ヒドロ
キシメチル)アミノ基、モノ(メトキシメチル)アミノ
基、ジ(メトキシメチル)アミノ基、フェニル基、ベン
ジル基が好ましい。
【0065】前記一般式(5)で表わされる化合物とシ
アヌール酸またはイソシアヌール酸との塩のうち、特に
メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−
アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、
モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメ
チル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミンの
塩が好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミンの塩が好ましい。
【0066】トリアジン系化合物とシアヌール酸または
イソシアヌール酸との塩は、トリアジン系化合物とシア
ヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリー
となし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた
後、このスラリーを濾過、乾燥して得られる粉末であ
り、単なる混合物とは異なる。この塩は完全に純粋であ
る必要は無く、多少未反応のトリアジン系化合物ないし
シアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良
い。
【0067】また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径
は、成形品の難燃性、機械的強度や表面性の点から10
0〜0.01μmが好ましく、さらに好ましくは80〜
10μmである。また、上記塩の分散性が悪い場合に
は、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
などの分散剤を併用してもかまわない。
【0068】上記塩の使用量は熱可塑性樹脂(A)10
0重量部に対して通常、0.01〜100重量部、好ま
しくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜
25重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部であ
る。
【0069】本発明の樹脂組成物はさらにフッ素系樹脂
および/またはシリコーン系化合物を添加すると燃焼時
の液滴の落下(ドリップ)が抑制される。そのようなフ
ッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレ
ン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフ
ルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)
共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)
共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデン
フルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられる
が、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフル
オロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)
共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロ
プロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エ
チレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ま
しく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフル
オロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
【0070】また本発明のシリコーン系化合物とは、シ
リコーン樹脂および/またはシリコーンオイルのことで
ある。
【0071】本発明に使用されるシリコーン樹脂とは、
下記一般式(6)〜(9)で表される単位およびこれら
の混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単
位(ここで、Rはそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水
素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ア
リール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基を表
す。なかでもメチル基および/またはフェニル基である
ことが好ましい。)からなるポリオルガノシロキサンで
あり、室温で約200〜300000000センチポイ
ズの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーン樹脂で
ある限り、それに限定されるものではない。
【0072】
【化12】
【0073】本発明に使用されるシリコーンオイルと
は、下記一般式(10)で表されるものである(ここ
で、Rはアルキル基またはフェニル基を表し、なかでも
メチル基および/またはフェニル基であることが好まし
い。nは1以上の整数である。)。使用するシリコーン
オイルは、0.65〜100000センチトークスの粘
度のものが好ましいが、上記のシリコーンオイルである
限り、それに限定されるものではない。
【0074】
【化13】
【0075】本発明ではシリコーン系化合物として、シ
リコーン樹脂および/またはシリコーンオイルを使用す
ることができるが、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト
特性、耐接点汚染性、湿熱処理後の電気特性低下の面か
ら、シリコーン樹脂が好ましい。
【0076】本発明のフッ素系樹脂および/またはシリ
コーン系化合物の添加量は、機械物性、成形性の面か
ら、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量
部に対して通常0.01〜10重量部であり、好ましく
は0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量
部である。
【0077】上記フッ素系樹脂およびシリコーン系化合
物は、併用添加することも可能であるが、その場合、フ
ッ素系樹脂およびシリコーン系樹脂の合計の添加量は、
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に
対して0.01〜10重量部であることが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.
2〜3重量部である。
【0078】また本発明の難燃性樹脂組成物はさらにヒ
ンダードフェノール系の安定剤を併用すると長期間高温
にさらされても極めて良好な耐熱性が維持されることが
見いだされた。このような安定剤としては例えば、トリ
エチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルホスホネート ジエチルエステル、1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビスもしくはト
リス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、N,N’−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、N,N’−トリメチレンビス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミ
ド)などが挙げられる。
【0079】本発明においては、このようなヒンダード
フェノール系安定剤を必要に応じて添加することができ
るが、その際のヒンダードフェノール系安定剤の添加量
は通常、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜3
重量部、好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましく
は0.03〜0.5重量部である。
【0080】また本発明の樹脂組成物は周期律表II〜
V族の金属を中心原子とする金属酸化物や金属水酸化物
あるいは金属水酸化物の水和物を配合すると、難燃性を
向上させることができる。この様な化合物としては、具
体的には水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムの水
和物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム水和
物、水酸化亜鉛、水酸化亜鉛水和物、ホウ酸、酸化アン
チモン、亜鉛スズ水酸化物、亜鉛スズ水酸化物の水和
物、亜鉛スズ酸化物、ハイドロタルサイト、ドーソナイ
トなどが挙げられる。
【0081】このような金属酸化物や金属水酸化物ある
いは金属水酸化物の水和物の添加量は通常、熱可塑性樹
脂100重量部に対し1〜100重量部、好ましくは2
〜80重量部、さらに好ましくは3〜70重量部であ
る。
【0082】また本発明の難燃性樹脂組成物はさらに繊
維状および/または粒状の充填材を添加することによ
り、強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることが
できる。
【0083】このような充填材の具体例としては、ガラ
ス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベス
ト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラ
スフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化
アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドスト
ランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
【0084】これらの添加量は熱可塑性樹脂(A)10
0重量部に対して5〜140重量部が好ましく、特に好
ましくは5〜100重量部である。
【0085】また本発明の樹脂組成物に対して本発明の
目的を損なわない範囲でリン系、イオウ系などの酸化防
止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、および
染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上
添加することができる。
【0086】なお、特に必須ではないが、本発明組成物
に対してさらに繊維状、および/または粒状の充填材を
添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅に
向上させることができる。
【0087】本発明の樹脂組成物の製造方法には特に制
限はない。例えば前記成分、およびその他の成分、樹脂
などを単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機のような溶
融混練機を用いて溶融混練することによって製造するこ
とができる。
【0088】かくして得られる難燃性樹脂組成物および
成形品は通常公知の方法で成形することができ、射出成
形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、プレ
ス成形、カレンダー成形、発泡成形などの成形品、シー
ト、フィルムなどのあらゆる形状の成形物品とすること
ができる。なかでも射出成形品用途および電線被覆材に
特に好適である。またウエルド部やヒンジ部を有する成
形品やインサート成形品など複雑な形状の成形加工品、
薄肉成形品にも好適であり、各種機械機構部品、電気電
子部品または自動車部品に好適である。
【0089】例えば、電線ケーブル被覆材、各種ギヤ
ー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクタ
ー、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイ
ルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックア
ップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント
配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘ
ッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワー
モジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部
品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、
モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コン
ピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;
VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ
ー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディ
オ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声
機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイ
プライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表さ
れる家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター
関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複
写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸
受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライタ
ー、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕
微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機
器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オ
ルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライト
ディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブ
などの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイ
プ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマ
ニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、
キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサ
ー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジ
ションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサ
ー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュタ
ー、スタータースィッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャー
ノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気
弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナ
ル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラン
プソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、
ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイル
フィルター、点火装置ケースなどの各種用途に有用であ
るが、上記の中で特に本発明の特徴、すなわち難燃性、
耐湿熱特性を活かした部品として、コネクター、コイル
ボビン、リレー、スイッチに好適に用いることができ
る。
【0090】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を更に詳細に
説明する。ただし本発明はこれらの例になんら限定され
るものではない。
【0091】実施例および比較例で述べられている各測
定項目は以下の方法に従った。以下実施例により本発明
の効果を更に詳細に説明する。ここで部とはすべて重量
部をあらわす。各特性の測定方法は以下の通りである。
【0092】(1)難燃性 射出成形により得た難燃性評価用試験片(1/8”)に
ついてUL94に定められている評価基準に従い難燃性
を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>
HBの順に低下する。また5本のサンプルの燃焼時間の
合計を難燃性の指標とした。
【0093】(2)耐湿熱特性 燃焼試験片を121℃、湿度100%雰囲気下、50時
間でPCT処理を行った(プレッシャークッカー試
験)。
【0094】PCT処理前後の試験片を1cm四方に切
り、試験片を真空蒸着装置HUS−5GB(日立)でカ
ーボン蒸着を行った後、SEM−XMA装置を用いて、
下記測定条件で燐濃度を測定した。また燐濃度の算出に
は、既存の燐系の物質として、トリフェニルホスフェー
ト、赤燐、ポリ燐酸アンモニウム(試薬)を用い、検量
線を作成した。
【0095】・SEM:S−2100A(日立)、印加
電圧:10kV、倍率100倍 ・XMA:エネルギー分散型X線分析装置EXMA−2
200(ホリバ)、エネルギーレンジ10keV、カウ
ントした特性X線エネルギー幅:1.92〜2.12k
eV(燐の吸収ピークに対応)、カウント時間100秒 表面燐ブリード量は、下記式より得られる燐量増加率を
指標とした。この値が大きいものほど、湿熱処理による
燐系の物質化合物のブリードアウトが大きいことを示
す。
【0096】燐量増加率(%)=[((PCT処理後のサ
ンプルの燐濃度)−(処理前の燐濃度))/(処理前の燐濃
度)]×100 (3)滞留安定性 押出により得られた樹脂組成物ペレット(10g)をギ
ヤーオーブン中250℃で1時間加熱し、加熱前後の重
量から重量保持率を算出した。またペレットの変色を目
視で観察し、変色なし(○)、やや変色がある(△)、
黄変した(×)の三段階で判定した。
【0097】参考例1:ヒドロキシエタンジホスホン酸
アンモニウム ヒドロキシエタンジホスホン酸の60%水溶液343g
(日本化学工業社製“デフロックHEDP”EHO6)
を水2Lに溶解させた。ヒドロキシエタンホスホン酸に
対して、4.1倍モルのアンモニア水溶液を3口フラス
コ中に計量し、分液ロートからホスホン酸を少量ずつ滴
下した後、約6時間反応させた。析出物を吸引濾過によ
り回収した後、水で5回洗浄し、その後、真空乾燥し、
ジホスホン酸アンモニウム塩を得た(収率95%)。9
0℃における水溶解度=2.0%。
【0098】参考例2:ヒドロキシエタンジホスホン酸
メラミン ヒドロキシエタンジホスホン酸の60%水溶液343g
(日本化学工業社製“デフロックHEDP”EHO6)
を水2Lに溶解させた。ヒドロキシエタンホスホン酸に
対して、4.1倍モルのメラミンスラリー溶液を3口フ
ラスコ中に計量し、分液ロートからホスホン酸を少量ず
つ滴下した後、還流下、約6時間反応させた。析出物を
熱時濾過により回収した後、さらに熱水中で5回洗浄
し、その後、真空乾燥し、ホスホン酸メラミンを得た
(収率90%)。90℃における水溶解度=0.5%。
【0099】参考例3:ニトリロトリスメチレンホスホ
ン酸メラミン ニトリロトリスメチレンホスホン酸の50%水溶液59
8g(日本化学工業社製“デフロックNTP”NH05
を水2Lに溶解させた。ニトリロトリスメチレンホスホ
ン酸に対して、4.1倍モルのメラミンスラリー溶液を
3口フラスコ中に計量し、分液ロートからホスホン酸を
少量ずつ滴下した後、還流下、約6時間反応させた。析
出物を熱時濾過により回収した後、さらに熱水中で5回
洗浄した後、真空乾燥し、ホスホン酸メラミンを得た
(収率95%)。90℃における水溶解度=0.7%。
【0100】本実施例、比較例で使用した添加剤を下記
に示す。 ・ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レPBT110
0S(東レ(株)製)(表1中ではPBTと略す)。 ・ポリカーボネート樹脂(”ユーピロン”S3000
(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)(表1
中ではPCと略す)。 ・オレフィン系樹脂(エチレン/グリシジルメタクリレ
ート共重合体(住友化学製“ボンドファースト−E”) ・スチレン系樹脂(ABS樹脂“トヨラック”T−10
0(東レ(株)製)(表1中ではABSと略す)。 ・ポリ燐酸アンモニウム(“TERRAJU”C60
(チッソ(株)製)、90℃水溶解度=8.0%) ・燐酸エステル(大八化学社製(レゾルシン型ビスホス
フェート”PX−200”)(表1中ではMC塩と略
す)。 ・ガラス繊維(日東紡績社製“CS3J948”)(表
1中ではGFと略す)。 ・シアヌール酸塩、メラミンシアヌレート(日産化学社
製“MC440”)(表1中では MC塩と略す)。 ・フッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(三井デ
ュポンフロロケミカル社製“テフロン6J”)(表1中
ではテフロンと略す)。 ・シリコーン樹脂、“DC4−7105”(東レ・ダウ
コーニング・シリコーン(株)製)(表1ではシリコー
ンと略す)。
【0101】なお樹脂組成物中のガラス繊維の配合量は
全樹脂組成物100重量%に対して30重量%になるよ
うに配合した。
【0102】実施例1〜6、比較例1〜8 表1に示す配合割合によりスクリュ径30mm、L/D
45.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼社製、TE
X−30:スクリュは2条ネジで相互の噛み合い3.5
mmの2本のスクリュを使用し、L/D=4の45度に
傾いた10枚のニーディングディスクからなるスクリュ
エレメントを順逆の順番で設け、さらに逆フルフライト
エレメントを設けた混練力の強いスクリュ形状)を用い
て樹脂温度200〜280℃で溶融押出した。
【0103】得られたペレットを乾燥後、東芝機械製I
S55EPN射出成形機を用いて、成形温度200〜2
70℃、金型温度50〜80℃の条件で、難燃性評価用
試験片(1/16”)を調製した。
【0104】各サンプルの難燃性、PCT処理前後の表
面燐量の測定、滞留試験による重量保持率、着色性を評
価した。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】実施例1〜3よりPBT樹脂にヒドロキシ
エタンジホスホン酸アンモニウム(参考例1)、ヒドロ
キシエタンジホスホン酸メラミン(参考例2)、ニトリ
ロトリスメチレンホスホン酸メラミン(参考例3)で製
造したホスホン酸塩を配合すると難燃性、PCT処理後
の燐量の増加が小さく、耐湿熱特性に優れることがわか
る。また滞留安定性に優れることがわかる。
【0107】一方ポリ燐酸アンモニウムを配合した比較
例1では、難燃性が不十分であり、PCT処理による燐
量の増加が大きく、また滞留安定性に劣ることがわか
る。
【0108】実施例4〜6では熱可塑性樹脂としてPB
Tの代わりにABS、ポリオレフィン系樹脂、PC樹脂
を使用し、ホスホン酸塩として参考例2で製造したホス
ホン酸塩を使用し、さらにMC塩、テフロンを配合し
た。これらの熱可塑性樹脂でもポリ燐酸アンモニウムに
比べ、難燃性、耐湿熱特性、滞留安定性に優れることが
わかる。
【0109】実施例7、8では、PBT樹脂に参考例2
で製造したホスホン酸塩にさらにMC塩、テフロンまた
はシリコーン、燐酸エステル、ガラス繊維を配合した。
これらの配合剤を加えても本発明の効果が発揮でき、さ
らに難燃性、滞留安定性が向上することがわかる。
【0110】
【発明の効果】熱可塑性樹脂にホスホン酸塩を配合した
難燃性樹脂組成物は、従来公知のポリ燐酸アンモニウム
を含有した樹脂組成物に比べ高い難燃性を有し、耐湿熱
特性、滞留安定性を有し、リレー、スイッチ、ケース部
材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部
品、自動車部品、機械部品や電線被覆材に好適な難燃性
熱可塑性樹脂組成物に関する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 F

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性樹脂100重量部および
    (B)下記一般式(1)または一般式(2)で表される
    ホスホン酸と、アンモニアあるいは下記一般式(3)で
    表されるトリアジン系化合物とからなるホスホン酸塩1
    〜100重量部を含有せしめてなる難燃性樹脂組成物。 【化1】 (ただし上式において、R1、R2は同一または相異なる
    水素、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基を
    表す。) 【化2】 (R3、R4、R5、R6は同一または相異なる水素アルキ
    ル基、アラルキル基、シクロアルキル基、または−CO
    NH2である。また、R7は上式中の−NR34または−
    NR56と同一の基、またはこれらと独立に水素、アリ
    ール基、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル
    基、−NH2、または−CONH2から選ばれた基であ
    る。)
  2. 【請求項2】ホスホン酸塩の90℃における水に対する
    溶解度が5%以下である請求項1記載の難燃性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し
    て、さらに(C)下記一般式(4)で表される燐酸エス
    テル0.1〜30重量部を配合してなる請求項1または
    2記載の難燃性樹脂組成物。 【化3】 (上記式中、R8〜R15は、同一または相異なる水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またA
    1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なる芳香族
    基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換された
    芳香族基を表す。また、Yは直接結合、O、S、S
    2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフ
    ェニル基を表す。またnは0以上の整数である。また
    k、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+
    mは0以上2以下の整数である。)
  4. 【請求項4】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し
    て、(C)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイ
    ソシアヌール酸からなる塩0.01〜100重量部をさ
    らに配合してなる請求項1〜3のいずれか記載の難燃性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し
    て、フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物
    0.01〜10重量部をさらに配合してなる請求項1〜
    4のいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して
    充填剤5〜140重量部をさらに配合してなる請求項1
    〜5のいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(A)熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹
    脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチレン系樹
    脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキ
    シ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹
    脂およびこれらの共重合体から選ばれる1種または2種
    以上の混合物である請求項1〜6のいずれか記載の難燃
    性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか記載の難燃性樹脂
    組成物からなる成形品。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれか記載の難燃性樹脂
    組成物からなる電線被覆材。
  10. 【請求項10】成形品が機械機構部品、電気電子部品ま
    たは自動車部品である請求項8記載の成形品。
  11. 【請求項11】成形品がコネクター、コイルボビン、リ
    レーまたは、スイッチである請求項8記載の成形品。
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