JP2000158623A - 印刷装置および方法ならびに印刷物 - Google Patents

印刷装置および方法ならびに印刷物

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JP2000158623A
JP2000158623A JP27957898A JP27957898A JP2000158623A JP 2000158623 A JP2000158623 A JP 2000158623A JP 27957898 A JP27957898 A JP 27957898A JP 27957898 A JP27957898 A JP 27957898A JP 2000158623 A JP2000158623 A JP 2000158623A
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film
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JP27957898A
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Michio Yamazaki
道男 山崎
Yoshinori Inoue
良規 井上
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鮮明さとコントラストに優れ、かつ、豊かな光
沢をも同時に実現した印刷物を印刷しうる印刷装置およ
び印刷方法を提供すること。 【解決手段】版支持体に装着される刷版にインキを塗布
するインキ塗布装置と、刷版上に塗布されたインキを記
録媒体に転写するインキ転写手段とを備えた印刷装置で
ある。インキ塗布装置およびインキ転写手段は、記録媒
体の画線部に0.8g/m2以上のインキを供給しうるように
構成されている。また、インキ転写手段による記録媒体
へのインキ転写後に記録媒体上のインキ膜を加熱するな
どしてレベリングを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷装置および印
刷方法ならびに印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】紙等の記録媒体に印刷をする場合におい
て、記録媒体上に形成されるインキ膜の膜厚を厚くする
と、インキ膜を通過して記録媒体面で反射され再びイン
キ膜から出射する光を少なくすることができるため、
(1)記録媒体面の分光反射率(言い換えると、記録媒体の
色)の影響を排除してインキ本来の色を鮮やかに再現す
ることができ、(2)ベタ黒部の光学濃度を高め、コント
ラストのよい画像が得られる、というメリットがあるこ
とが知られている。
【0003】このような、分厚いインキ膜を記録媒体上
に形成するのに適した印刷機として、特公平4-68147号
公報に開示されたものが知られている。この印刷機は、
版胴(版支持体)に支持された刷版にインキを塗布するに
際し、弾性表面を有する塗布ローラと、この塗布ローラ
の外周面に対し進退自在で、外周面に形成するインキ塗
布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えたイン
キ塗布装置により塗布し、こうしてインキを塗布された
刷版からいったんインキ膜をブランケット胴(中間転写
体)に転写し、ブラケット胴と圧胴との間に記録媒体を
挟持しつつ搬送するに際してブランケット胴上のインキ
膜を記録媒体に転写するというものである。
【0004】上記のようなインキ塗布装置は、特に粘度
の高いインキを刷版に供給するのに適しており、記録媒
体上に分厚いインキ膜を形成しやすい。
【0005】しかも、上記従来の印刷機は、湿し水を使
用しない水不要版を刷版として用いることができるよう
に構成されている。水不要版は、版の非画像部がシリコ
ーンゴム等のインキ反発性の素材で形成されているの
で、湿し水を用いなくても非画像部にインキが供給され
ないようにできる。これに対し、公知のPS版など、湿し
水を用いる版では、記録媒体に多量のインキを供給しよ
うとすると必然的に多量の湿し水を供給することにな
り、記録媒体が湿し水を吸収することによる変形や画線
部と非画線部との境界でインキと湿し水が混和してイン
キの着色成分がしみだすドットゲイン等が悪化する恐れ
が強い。そのため、現在知られている範囲では、湿し水
を使用すると、記録媒体上のインキ膜厚が通常0.6μm
前後、最大でも1.5μm程度を超えるような印刷は実用
上困難である。一般の印刷機でも、水不要版を用いる
と、こうした湿し水に起因する問題がインキ膜厚の増大
によっても発生しないので、記録媒体上にたとえば膜厚
2μm以上のインキを供給しても実用的な印刷をするこ
とが可能となる。上記従来の印刷機の場合にはインキ塗
布装置の構造とあいまって、最大で3〜4μmの膜厚のイ
ンキ膜を容易に形成することができる。
【0006】そのため、上記従来の印刷機では、記録媒
体の色に左右されずにインキの色が鮮やかに再現され、
コントラストの高い印刷物を得ることができた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の印刷機等を用いて分厚いインキ膜を記録媒体に形成
すると、色再現性とコントラストには優れるものの、高
級印刷に要求される光沢度(一般に商業用印刷であれば
アート紙で70以上、コート紙では55以上あるのがよ
いとされている)が高まりにくかった。
【0008】本発明者らの知見によれば、この原因は以
下のとおりである。
【0009】上記従来の印刷機のごとく、刷版や中間転
写体(インキを記録媒体に直接供給する部材。これらを
総称して画像担持体という。)と圧胴との間に記録媒体
を挟持するに際し、画像担持体上のインキ膜を記録媒体
に供給・転写するときには、画像担持体上のインキ膜が
すべて記録媒体に乗り移る訳ではない。画像担持体と記
録媒体とが離間するに際してインキ膜を画像担持体と記
録媒体とで分け合う形で画像担持体上のインキの一部が
記録媒体上に転写されるのである。画像担持体と記録媒
体とが離間する時には、インキ膜が離間しつつある両者
の間で引き裂かれるので、インキ膜の分離は膜内のラン
ダムな位置で始まり分離された範囲が画像担持体と記録
媒体との離間距離が大きくなるにつれて広がってゆく。
完全に分離した直後の記録媒体上には、最後に分離され
た多数の部位でインキの突起のようなものが多数形成さ
れることになる。
【0010】本発明者らは、こうして形成された多数の
微小なインキの突起が記録媒体上に残るため、記録媒体
上のインキ膜の表面は粗いものとなり、光を乱反射する
ので光沢が弱くなるものと考えている。こうした傾向
は、インキ膜厚が分厚いほど、また、使用するインキの
粘度が高いほど強い。そのため、一定以上ののインキ膜
厚の領域においては、インキ膜厚が増大するにつれて光
沢度が低下するようになる。特に水不要版の使用におい
ては公知のPS版など、湿し水を用いる版に比べ、インキ
の粘度が高いものを使用するためこの傾向は顕著であっ
た。
【0011】このため、上記従来の印刷機は、鮮明さと
コントラストに優れた印刷に適しておりながら、美しい
光沢が要求される高級印刷物向けとしては十分な印刷を
することが困難であった。
【0012】本発明の目的は、鮮明さとコントラストに
優れ、かつ、豊かな光沢をも同時に実現した印刷物を印
刷しうる印刷装置、印刷方法およびかかる印刷方法によ
り印刷された印刷物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、版支持
体と、該版支持体に装着される刷版にインキを塗布する
インキ塗布装置と、前記刷版上に塗布されたインキを記
録媒体に転写するインキ転写手段とを備えた印刷装置で
あって、前記インキ塗布装置および前記インキ転写手段
は、記録媒体の画線部に0.8g/m2以上のインキを供給し
うるように構成されており、かつ、前記インキ転写手段
による記録媒体への最後のインキ転写後に記録媒体上の
インキ膜のレベリングを行なうレベリング手段を備えて
なることを特徴とする印刷装置が提供される。
【0014】また、本発明によれば、版支持体と、該版
支持体に装着される刷版にインキを塗布するインキ塗布
装置と、前記刷版上に塗布されたインキを記録媒体に転
写するインキ転写手段とを備えた印刷装置であって、前
記インキ塗布装置は、弾性表面を有する塗布ローラと、
該塗布ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に
形成する塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを
備えたものであり、かつ、前記インキ転写手段による記
録媒体への最後のインキ転写後に記録媒体上のインキ膜
のレベリングを行なうレベリング手段を備えてなること
を特徴とする印刷装置が提供される。
【0015】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリング手段は、前記インキ転写手段による記録媒
体へのインキ転写後1.7秒以内に記録媒体上のインキ膜
のレベリングを開始するものであることを特徴とする印
刷装置が提供される。
【0016】また、本発明によれば、画像担持体と、該
画像担持体にインキを塗布するインキ塗布装置と、前記
画像担持体上に塗布されたインキを記録媒体に転写する
インキ転写手段とを備えた印刷装置であって、前記イン
キ塗布装置および前記インキ転写手段は、記録媒体の画
線部に0.8g/m2以上のインキを供給しうるように構成さ
れており、かつ、最後の前記画像担持体の記録媒体への
接触後に記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なうレ
ベリング手段を備えてなることを特徴とする印刷装置が
提供される。
【0017】また、本発明によれば、画像担持体と、該
画像担持体にインキを塗布するインキ塗布装置と、前記
画像担持体上に塗布されたインキを記録媒体に転写する
インキ転写手段とを備えた印刷装置であって、前記イン
キ塗布装置は、弾性表面を有する塗布ローラと、該塗布
ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に形成す
る塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えた
ものであり、かつ、最後の前記画像担持体の記録媒体へ
の接触後に記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なう
レベリング手段を備えてなることを特徴とする印刷装置
が提供される。
【0018】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリング手段は、前記インキ転写手段による記録媒
体へのインキ転写後1.7秒以内に記録媒体上のインキ膜
のレベリングを開始するものであることを特徴とする印
刷装置が提供される。
【0019】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記版支持体は、刷版として水不要版が装着されるもので
あることを特徴とする印刷装置が提供される。
【0020】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリング手段は、記録媒体面を加熱する加熱手段を
備えたものであることを特徴とする印刷装置が提供され
る。
【0021】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリング手段は、記録媒体を挟持するローラ対を備
えたものであることを特徴とする印刷装置が提供され
る。
【0022】また、本発明によれば、記録媒体の画線部
に0.8g/m2以上のインキを供給し、前記記録媒体への最
後のインキ供給後に前記記録媒体上のインキ膜のレベリ
ングを行なうことを特徴とする印刷方法が提供される。
【0023】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリングを前記記録媒体への最後のインキ供給後1.
7秒以内に開始することを特徴とする印刷方法が提供さ
れる。
【0024】また、本発明によれば、記録媒体の画線部
に画像担持体より0.8g/m2以上のインキを供給し、最後
の前記画像担持体の前記記録媒体への接触後に前記記録
媒体上のインキ膜のレベリングを行なうことを特徴とす
る印刷方法が提供される。
【0025】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリングを最後の前記画像担持体の記録媒体への接
触後1.7秒以内開始することを特徴とする印刷方法が提
供される。
【0026】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記インキとして、摂氏30度におけるみかけ粘度が20
0ポアズ以上のものを用いることを特徴とする印刷方法
が提供される。
【0027】また、本発明によれば、弾性表面を有する
塗布ローラと、該塗布ローラの外周面に対し進退自在
で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行うドク
ターブレードとを備えたインキ塗布装置により刷版にイ
ンキを塗布し、前記刷版上に塗布したインキを記録媒体
に転写し、最後のインキの前記記録媒体への転写後に、
記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なうことを特徴
とする印刷方法が提供される。
【0028】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記レベリングを、最後のインキの記録媒体上への供給後
1.7秒以内に開始することを特徴とする印刷方法が提供
される。
【0029】また、本発明の好ましい態様によれば、印
刷方法により記録媒体に画像が印刷された印刷物が提供
される。
【0030】本発明において、記録媒体とは、紙、プラ
スチックシート等のシート状記録媒体の他、印刷対象と
なりうるものならなんでもよく、たとえば、壁材等の建
材なども好適な記録媒体たりうる。ただし、本発明の効
果は、インキに含まれる液状成分を吸収しやすい媒体に
おいて特に顕著なので、紙、布帛等の吸収性記録媒体が
特に好ましい記録媒体となりうる。
【0031】本発明において、刷版とは、インキを供給
されるべき画線部とインキを供給されるべきでない非画
線部とを表面に有し、画線部にインキの供給を受けてこ
れをブランケット胴などの中間転写体を経由して、ある
いは経由せず直接に、記録媒体に供給するための版を指
す。刷版としては、水不要版でも湿し水を要する版でも
よいが、上述のごとく分厚いインキ膜を形成しやすい水
不要版の方が好ましく用いられる。また、平凹版(水不
要版に多い)と平凸版(湿し水を要する版に多い)とで
は、平凹版のほうが凹部にインキを貯めやすく、分厚い
インキ膜の形成に有利なため、好ましい。もちろん、湿
し水を要する版を用いても、分厚いインキ膜を形成すれ
ば、本発明の効果が発揮されうる。刷版は、画像を形成
されたネガまたはポジの原板フィルムを未露光の版に重
ね、紫外線等で焼き付けて画像を形成されたものでもよ
く、コンピュータから送られてきた画像データに応じて
出力を制御されたレーザや放電針等により画線部と非画
線部とを描画されたいわゆるCTP(Computer To Plate)版
であってもよい。
【0032】本発明において、版支持体とは、刷版を支
持する部材を指す。回転するドラムの形で形成された版
胴や平坦な台として形成された平床型の版支持体などが
知られているが、高速印刷には回転運動を利用できる版
胴が好ましく用いられる。
【0033】本発明において、インキ転写手段は、刷版
上のインキ膜を記録媒体に転写するための印刷装置内の
装置を指す。刷版との間で記録媒体を挟持搬送する圧胴
等がこれに該当する。なお、刷版上のインキをいったん
受け取ってその後記録媒体に供給するブランケット胴等
の中間転写体が存在するときは、これもインキ転写手段
の一部たり得る。
【0034】本発明において好適に用いられるインキと
しては、酸化重合タイプのものがあるが、いわゆる紫外
線硬化タイプのものであっても紫外線で硬化させる前に
本発明のレベリング手段でレベリングすれば本発明の目
的を達成しうる。なお、インキとしては、粘度が高いほ
うが分厚いインキ膜を形成しやすく、また、レベリング
しない場合の光沢度が低く、本発明の効果が発揮されや
すいので、好ましい。たとえば、摂氏30度におけるキャ
ピラリタイプの粘度計(フローテスタ)で測定したみか
け粘度(せん断速度300/sでの粘度)が200ポアズ以上の
ものが好ましく、より好ましくは400〜800ポアズ程度で
ある。これを大きく超える粘度のものではインキ膜の形
成が困難になることがある。インキ膜厚としては、単位
面積当たりのインキ重量に換算して0.8g/m2(インキの
比重はおよそ0.95〜1g/cm3なので、膜厚にしておよそ
0.8μmとなる)以上の膜厚の場合に本発明の効果が特
によく発揮される。より好ましくは、0.95g/m2以上がよ
い。
【0035】本発明において、インキ塗布装置とは、イ
ンキを刷版、中間転写体等の画像担持体または記録媒体
に直接供給する装置を指す。本発明においてはインキ膜
を分厚く形成しやすいものが好ましく、上述のごとく、
弾性表面を有する塗布ローラと、この塗布ローラの外周
面に対し進退自在で、外周面に形成するインキ塗布膜の
膜厚調整を行うドクターブレードとを備えたものが好ま
しく用いられる。このほかに、金属等の硬性表面を有す
るローラを多数用い、これらでインキを練ったのちに刷
版にインキを供給するタイプのインキ供給装置も用いう
るが、構造上、記録媒体に分厚いインキ膜を形成する能
力は上述のものよりやや劣る。インキ塗布装置は、イン
キジェット方式のように非接触でインキを塗布するもの
であってもよい。なお、ブランケット胴などの中間転写
体によりインキを記録媒体に転写する場合には、中間転
写体が画像担持体となるが、この場合には、刷版や版支
持体をインキ塗布装置に含める。
【0036】本発明において、レベリング手段とは、記
録媒体上に形成されたインキ膜の表面を平滑化する手段
を指す。上述のごとくインキの突起が形成されたインキ
膜を平滑化するには、(1)表面が平滑な面をインキ膜に
接触させたり、風を当てることにより機械的にレベリン
グする手段と、(2)インキの粘度を低下させ、インキの
自己レベリング性を高めることでインキ膜が自ら平滑に
なることを促進する手段とが好ましく用いられる。
【0037】上記のうち、(1)の例としてはフッ素樹脂
膜やシリコーン樹脂膜が形成されたローラのようなイン
キ反発性表面を有する機械的平滑化部材が用いられる。
かかるローラは加熱されていることにより(2)の効果を
併せ持つこともできる。
【0038】また、(2)の例としては、インキ膜を加熱
することによりインキの粘度を低下せしめる加熱手段が
好ましく用いられる。加熱手段としては、熱風を発生さ
せて記録媒体上のインキ膜表面に吹き付け、これにより
インキ膜表面の温度を高めるものや、赤外線等の幅射線
をインキ膜に供給するものが好ましく用いられる。イン
キの色によるエネルギー吸収効率の差が小さい2μm以
上の遠赤外線領域の幅射線を含むものが好ましい。ま
た、インキの色による吸収率の差異がちいさいほうがよ
いので、可視光の割合がちいさいほうがよい。そうした
輻射線の発生源としてはハロゲンランプ表面に塗膜が形
成されておりランプからの可視光等をこの塗膜で遠赤外
線に変換するものなどが好ましく用いられる。紫外線硬
化型インキの硬化用に用いられる紫外線ランプであって
も、加熱に寄与するならば利用可能である。ただし、こ
の場合は紫外線硬化型インキを用いるとレベリングされ
る前に硬化してしまうので好ましくない。なお、レベリ
ング後に、レベリング結果を早く確定するためにレベリ
ング手段と別に紫外線硬化ランプ等を用いるのはむしろ
好ましい。
【0039】総じて、インキ膜に機械的に接触する(1)
のタイプのレベリング手段よりも、(2)のタイプのレベ
リング手段のほうがインキのオフセット等の問題が発生
しにくく機械的にインキ膜を押しつぶすことによる網点
領域でのドットゲインが発生しにくい点で好ましいこと
が多い。また、加熱することによりインキ膜の乾燥を促
進し、重ね合わされる場合の記録媒体への裏移りを防止
しやすくなるというメリットもある。インキ膜が分厚い
ほど乾燥に時間がかかるので、この点からみても、(2)
のレベリング手段は好ましい。ただし、満足すべきレベ
リングが完了する前にインキ膜が乾燥してしまうと粘度
が急速に高まり、インキ膜表面のインキの突起が多数残
ったまま固定されてしまう恐れがあるので、あまり急速
に加熱しないほうがよい。したがって、記録媒体上の同
一領域の加熱時間は0.1秒以上とするのが好ましく、よ
り好ましくは0.3秒以上とする。
【0040】また、最後のインキ膜が記録媒体面上に供
給されてからレベリングを開始するまでの経過時間は短
いほうがよい。この経過時間は、当然のことながら、記
録媒体上の各部位ごとに定義される。経過時間中に、そ
の間にインキの乾燥が進むほか、記録媒体が紙などの吸
収性媒体の場合、インキの液体成分が記録媒体に吸収さ
れる。そのため、インキ膜の粘度が高まり、レベリング
効果が低減する。通常、1.7秒後までに開始するのが好
ましい。なお、輻射熱等を用いる非接触のレベリング手
段の場合には、実質的な加熱が始まる時をもってレベリ
ングを開始するとみなす。たとえば、ランプと反射鏡か
らなるランプハウジングを有する輻射加熱手段の場合、
記録媒体面の被測定部位に設定した法線がランプハウジ
ングの記録媒体搬送方向の上流側の端に到達する時など
により判定できる。
【0041】なお、本発明の印刷装置は単色印刷用のも
のであってもよいが、豊かな光沢を求められる高級印刷
は多色印刷を行なうことが多いので、好ましくは多色印
刷用に複数の版胴を有するものであるのがよい。この場
合、レベリングは記録媒体への最後のインキ供給の後に
のみ実施するだけでもよい。他のインキ膜は、転写後に
別の色の画像担持体により機械的にレベリングされるか
らである。また、最後の色の画像担持体から記録媒体に
インキが供給されていない場合には、この最後の画像担
持体と記録媒体が接触してからでよい。これは、最後の
画像担持体が記録媒体上のインキ膜と接触する前にレベ
リングを行っても、最後の画像担持体が記録媒体上のレ
ベリング済みのインキ膜を乱すためである。この場合、
最後の画像担持体は記録媒体上のインキ膜と接触するこ
とでインキ膜をリフレッシュするので、レベリングを開
始すべき時刻の起点は、最後の色のインキ膜の供給時点
ではなく、最後の画像担持体と接触する時となる。した
がって、この時から1.7秒後までにレベリングを開始す
るのが好ましいということになる。
【0042】また、最後の色をイエローにすると光沢を
高めやすい。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい一実施態
様を図面を用いて説明する。
【0044】図1は本発明による印刷機の第1の実施態
様例の概略断面図を示す。また、図2にその平面図を示
す。図1に示すように、印刷機1はフレーム本体11
に、ユニット化された記録媒体の供給装置20を備え、
更に、給紙胴30、圧胴31、32、渡し胴33、排出
装置70及び、インキ塗布装置61、62、63、64
を備えており、各インキ塗布装置にはそれぞれ印刷版を
取付ける版胴41、42、43、44が取り付けられて
おり、各版胴と接して、ブランケット胴51、52、5
3、54がそれぞれ取り付けられている。また、記録媒
体の供給装置20は、取扱単位がオペレータの任意にで
きる枚葉記録媒体のスタッカーである給紙台21、用紙
ピックアップ装置22、用紙供給装置である用紙搬送コ
ンベア23、枚葉用紙の先頭を検知して送り出し胴30
へと供給する給紙装置24とを備えている。また、排出
装置70は、印刷された枚葉の記録媒体Pを、圧胴から
受け取る用紙把持装置を備えた竿71と、排出台73へ
と搬送する用紙排出搬送装置であるチェーンデリバリ7
2と、印刷された記録媒体を積み重ねるとともに、印刷
終了後に回転して記録媒体の方向を水平方向に記録媒体
の法線方向に関して180°変更できる排出台73と、
チェーンデリバリ72で搬送中の前記記録媒体Pを乾燥
する簡易乾燥機74とを備えた構成になっている。
【0045】図1の印刷装置における印刷作業では、枚
葉の記録媒体Pは、人または機械によって捌かれた後、
図1に示す給紙台21の所定の位置に、整然と積まれ
る。印刷装置の作動により、前記給紙台21に積まれた
記録媒体Pは、用紙ピックアップ装置22に取り付けら
れた図示しないエアノズルからの圧縮空気の噴射によっ
て、記録媒体1枚1枚が分離された後、用紙ピックアッ
プ装置22によって1枚づつ間隔をおいて用紙搬送コン
ベア23へと送られる。
【0046】前記用紙搬送コンベア23に送られた記録
媒体Pは、給紙装置24によって、記録媒体の先頭位置
が、回転する送り出し胴30の、用紙把持部に丁度合う
タイミングで送り出され、前記送り出し胴30の用紙把
持装置で先頭を把持されて、前記送り出し胴30と同期
して回転する圧胴31の用紙把持装置へと受け渡され
る。
【0047】前記送り出し胴30と圧胴31の外径は、
1対2のような整数の比になるように作られており、前
記各胴の用紙把持部は前記整数比の割合で前記各胴に設
けられている。すなわち、送り出し胴30には1ヶ所、
圧胴31には2ヶ所の用紙把持部(用紙把持部の胴外周
方向の間隔は送り出し胴30の胴外周長に合わせてあ
る)が設けられている。記録媒体Pの供給ピッチと圧胴
31の供給ピッチが同一となり、前記送り出し胴30の
用紙把持部と、前記圧胴31の用紙把持部で必ず用紙を
受け渡せると共に、用紙の把持部が胴間で干渉すること
がないようになっている。本装置では、印刷装置を小型
にするため、1対2の整数比に構成している。
【0048】前記圧胴31の用紙把持装置で先頭を把持
された記録媒体Pは、前記圧胴31と共に回転し、ブラ
ンケット胴51と前記圧胴31、ブランケット胴52と
前記圧胴31の接触部の順に、それぞれの接触部で順次
挟まれて、所定の圧力が加えられる。
【0049】このときブランケット胴51、52上に
は、インキ塗布装置61、62によってそれぞれ供給さ
れた色のインキによって、版胴41、42に巻かれた印
刷版141、142の画像パターンが、それぞれインキ
像として転写されており、前記それぞれのインキ像は、
前記圧胴31と共に回転する記録媒体Pに転写される。
また、前記圧胴31と、前記ブランケット胴51とが接
触する部分から、前記圧胴31と、前記ブランケット胴
52が接触する部分までの長さは、記録媒体Pの進行方
向の最大長さより広く設定されており、前記記録媒体P
が同時に二つのブランケット胴と接触することがないよ
うになっている。なお、圧胴31とブランケット胴51、52
および版胴41、42との外径の比は2対1となっている。
【0050】こうして、前記圧胴31上の前記記録媒体
Pは、インキ塗布装置61、62それぞれの2色のイン
キ像を転写されて、前記圧胴31から前記圧胴31と同
様の用紙把持装置を持つ、渡し胴33へと受け渡され
る。
【0051】前記圧胴31と渡し胴33の外径も2対3
のような整数比になるように作られており、前記各胴の
用紙把持部は、前記送り出し胴と同様に、前記整数比の
割合で前記各胴に設けられている。このため、前記圧胴
31の用紙把持部と、前記渡し胴33の用紙把持部が必
ず同じタイミングで受け渡せるようになっている。本装
置では、印刷装置を小型にするためと、高価な圧胴をで
きるだけ安価に作るため、圧胴の径を最小にできる2対
3の整数比に構成している。
【0052】また、前記渡し胴33の表面には、微小な
沢山の粒子を持つ特殊紙が巻かれており、記録媒体Pに
転写されたインキ像の印刷インキが、前記渡し胴33の
表面に転写されないようになっている。
【0053】こうして、渡し胴33に受け渡された記録
媒体Pは、今度は、前記渡し胴33から前記圧胴31と
同様の形状で、同様の用紙把持装置を持つ圧胴32へと
受け渡される。このときインキ塗布装置63、64によ
って供給されたそれぞれのインキによって、版胴43、
44上に巻かれた印刷版143、144上の画像パター
ンは、ブランケット胴53、54に、それぞれインキ像
として転写されており、圧胴32に受け渡されて共に回
転する記録媒体Pは、引き続いて前記インキ像がブラン
ケット胴53、54より転写される。
【0054】こうして4色を転写された記録媒体Pは、
圧胴32からチェーンデリバリ72の用紙把持部材であ
る竿71へと受け渡される。竿71へと受け渡された記
録媒体Pは、チェーンデリバリ72によって排出台73
へ搬送される過程で、たとえば赤外線ランプ装置のよう
なレベリング用加熱装置74によって用紙表面(したが
って、インキ膜も)が加熱されるようになっている。
【0055】このレベリング用加熱装置74は、6KWの
赤外線照射ランプと反射鏡とこれらを保持するランプハ
ウジングとからなっており、記録媒体Pの搬送方向に約
0.3秒にわたって2μm以上の遠赤外線を含む幅射線を照
射する。最後のブランケット胴(画像担持体)と記録媒
体が接触する時から加熱開始までの時間は、約1.2秒で
ある(4500IPH(版胴の1時間当たりの回転数が4500
回、記録媒体の搬送速度600mm/sec))。本実施態様例の
ように弾性表面を有する塗布ローラと、この塗布ローラ
の外周面に対し進退自在で、この外周面に形成する塗布
膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えたタイプ
のインキ塗布装置を使用してインキ膜厚を厚くした印刷
を行った場合には、記録媒体表面のインキ層を加熱して
レベリングすることにより、インキの色が鮮やかに現
れ、コントラストが高く、豊かな光沢を有し艶の良い高
品質の印刷物を得ることができる。なお、レベリング用
加熱装置74は、加熱により用紙表面をある程度乾燥
し、印刷画像が用紙に裏移りすることを防止するように
もなっている。
【0056】こうしてチェーンデリバリ72によって搬
送される記録媒体Pは、レベリング用加熱装置74によ
って用紙表面を乾燥され印刷画像が用紙に裏移りするこ
とがないようになると共に、印刷面表層のインキをレベ
リングされて排出台73へと搬送され、積み重ねられて
一連の印刷工程を終了する。
【0057】このとき、図1から分かるように、記録媒
体Pの印刷面は、給紙台21に積まれた状態では記録媒
体Pの下面側にあり、印刷終了時には排紙台73上に積
み重ねられたとき記録媒体の上面側となる。すなわち、
給紙側と排紙側とで異なる向きに記録媒体Pが配向され
る。ゆえに、印刷の途中で印刷不良などの異常が発生し
た場合にも、印刷結果が操作する者にすぐに分かるよう
になっている。また、印刷された用紙の裏面に引き続い
て印刷を行う場合には、給紙台21を取り外した後、排
出台73を回転して用紙の方向を水平方向に180°変
更し、記録媒体Pを排出台73と共に下方へ移動した後
に、排紙台73を前記給紙台21として利用する。これ
により排紙台73を記録媒体の供給装置20の用紙供給
位置にセットすることができる。したがって、排紙台7
3に、空になった給紙台21を取り付けるだけで連続し
て裏面への印刷ができるようになっており、両面印刷に
おける面倒な記録媒体の移動が最小で済むように構成さ
れている。このような構造の印刷機を用いて印刷するこ
とにより狭い場所で簡便に品質良い両面印刷を行うこと
ができる。
【0058】また、本実施態様例の印刷機による多色印
刷または両面印刷は、水不要版を用いて行うのが好まし
い。すなわち、本実施態様は小型軽量で取り外し可能に
ユニット化されたインキ塗布装置61〜64を備えてお
り、前記インキ塗布装置は、それぞれが、図5の断面図
に示すように、一層または多層の弾性層を有するインキ
の塗布ローラであるインキ着けローラ601と、ドクタ
ーブレード602、ドクターブレード進退調整用の偏芯
カム603、練りローラ610、611、弾性表面を有
する補助塗布ローラである補助インキ着けローラ612
とを備えている。
【0059】前記それぞれのインキ塗布装置61〜64
の構成は、前記インキ着けローラ601と、前記ドクタ
ーブレード602と、前記インキ着けローラ601の軸
方向の両端に配置された、側板607、608と、イン
キ壺606に囲まれたインキ溜め空間605を形成して
おり、前記インキ溜め空間605には、印刷用インキi
が溜められている。また、前記インキ着けローラ601
に、側板607、608を緩やかに圧接することでシー
ルがなされ、インキ溜め空間605のインキiが漏れる
ことがないように構成されている。
【0060】また、前記インキ着けローラ601と一体
となって回転する図示しない歯車が、前記版胴41、4
2、43、44それぞれと一体となって回転する図示し
ない歯車と噛み合うことによって、前記インキ着けロー
ラ601と、前記それぞれの版胴は、接触部において、
同期して同じ周速で回転するように構成されている。
【0061】また、前記それぞれのインキ塗布装置は、
軸604に取り付けた偏芯カム603を回転させて、前
記ドクターブレード602を矢印A方向に進退させるこ
とで、ドクターブレード602とインキ着けローラ60
1との圧接状態を変更して、前記インキ着けローラ60
1の外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行える構造に
なっている。
【0062】この塗布装置に使用するドクターブレード
602は、板厚0.1〜0.5の例えばスウェーデン鋼などに
より構成され、インキ壺606と下面の押さえ部材61
4により上下から挟み込むようにして保持されて、イン
キ量調整部材600を形成している。したがって、前記
それぞれのインキ塗布装置に搭載された図示しないモー
タの回転角度をセンサにより規制し、電子回路で正逆回
転を制御して、前記軸604を介して、前記ドクターブ
レード602の、進退調整用の偏芯カム603を微小に
回転駆動することで、前記インキ量調整部材600を構
成するドクターブレード602の、前記インキ着けロー
ラ601表面への押込量を調整する構造となっている。
その結果として、前記インキ着けローラ表面に形成され
るインキ塗布膜の厚さを調整できるようになっている。
【0063】また、この塗布装置に使用するインキ着け
ローラ601は、弾性表面を有する例えばゴムまたはプ
ラスチックのエラストマーによるローラで構成されてお
り、このローラの弾性部分の構造は、一層構造であって
もよいが、より好ましくは、表面の層ほど内部の層より
も硬度が高く設定された、2層以上の多層構造である方
が好ましい。またこの種の塗布装置は、塗布膜の膜厚を
ドクターブレード602とインキ着けローラ601の圧
接状態の変化のみで調整しているので、インキ着けロー
ラ601の材質を例えばニトリルゴムなどのゴムにした
場合は、長期間の使用によって、ローラ表面の摩耗によ
り塗布膜の膜厚が変化したり、ゴム内部の可塑剤が抽出
されて表面硬度が初期設定値より10°以上高くなり、
紙粉によるスジ状欠点が多発しだすことがある。そこで
更に好ましくは、前記インキ着けローラ601の材質
が、表面の層ほど内部の層よりも硬度が高く設定された
多層構造のローラであり、少なくとも最表層がポリウレ
タンゴムであるほうが好ましく、更に好ましくは、各層
が全てポリウレタンゴムであるほうが良い。
【0064】この理由は、まずウレタンゴムは弾性、強
靱性に富み、引き裂き強度が大きく、耐摩耗性が良いの
で、ドクターブレードとの擦過に対しても寸法安定性が
良く、したがって塗布膜の膜厚を常に一定にできるこ
と、また、印刷機で一般的に使用されている例えばニト
リルゴム等に比べて可塑剤の含有量が著しく少ないた
め、ゴム内部の可塑剤が抽出されることによるゴム硬度
の変化が少ないこと、更に、表面の層ほど内部の層より
も硬度を高く設定した多層構造にすることで、表層は耐
摩耗性が良く、また、内層が柔らかいので紙粉等がブレ
ード部に来てもローラが撓んで通過させるので、単層の
ものに比べ前記紙粉によるスジ状欠点を激減できること
などである。
【0065】また、各層全てをポリウレタンゴムにする
と、ローラ表面の摩耗が少ないので長期間の使用でも塗
布膜の膜厚変化が少なく、表面の層ほど内部の層よりも
硬度を高く設定した多層構造の効果により、紙粉による
スジ状欠点が少なく、ゴム内部の可塑剤が抽出されない
のでゴム硬度の変化が少なく、良好な塗布条件を長期間
維持できるので、より好ましい。
【0066】また、インキ着けローラ601の表面硬度
は、単層構成の場合、JISA形に規定されるゴム硬度
で、15°〜70°に設定するのが望ましい。何故なら
ば、硬度15°未満では薄厚のインキ膜の形成が困難に
なり、一方硬度70°を超えると安定したインキ膜を得
られないばかりでなく、版面への正常なインキ転写がで
きなくなるためである。この硬度のより好ましい値は2
5°〜50°である。また、前述のようなインキユニッ
トでは、インキ着けローラ601とドクターブレード6
02がインキ層を介して擦過するため、インキ着けロー
ラ601は摩耗し易くなる欠点があるが、この摩耗はイ
ンキ着けローラ601の硬度が低い程大きくなり、ま
た、印刷中に着けローラ601に圧接されたドクターブ
レード602との間での摩擦熱の発生が大きくなると、
この影響によって着けローラ601が熱膨張して版胴と
の周速差が生じスリップが誘発されて、ブランケット胴
が汚れ易くなる問題が発生する。また、前記インキ着け
ローラ部での発熱量が多くなりインキ温度が上がるた
め、インキ温度が上昇して印刷条件にも悪影響を与える
ものである。したがって、前記単層構成のローラで、こ
のような問題が発生しにくい表面硬度の条件である、4
0〜50°がより好ましい。
【0067】また一方、インキ着けローラ601を多層
構造のポリウレタンゴムにしたときは、表層の硬度が7
0°を越えても内層の硬度を十分低くすることによっ
て、単層の着けローラのように安定したインキ膜を得ら
れなくなるような問題は生じない。また、表層のポリウ
レタンゴムの硬度が高いと擦過による熱の発生も少なく
なるので、前記着けローラ201の熱膨張によるブラン
ケット胴の汚れやインキ温度の上昇などの問題は少なく
なる。したがって、この場合は表層の硬度が低くなりす
ぎさえしなければ問題ないので、好ましいインキ着けロ
ーラ601の最外層の硬度の値は40°以上であれば良
い。
【0068】上述のごときインキ塗布装置では、インキ
を練る練りローラの数が従来のインキ塗布装置よりも少
なく、刷版にインキを供給するときのインキの粘度を高
いままに維持することが容易である。また、ドクターブ
レード602を弾性表面を有するインキ着けローラ60
1に押し付けながらインキを供給するので、インキ壷内
部で粘度の高いインキを保持するのも容易である。こう
したことから、上記構造のインキ塗布装置は、記録媒体
上に分厚いインキ膜を形成しやすい。また、水不要版を
用いる場合でも従来のインキ塗布装置を用いると、単純
にインキの盛り量を多くするとインキのきれが悪くな
り、インキ表面がざらついて逆に光沢度が低下したり、
ゴーストと呼ばれる濃淡斑が顕著になる場合があった
が、上記インキ塗布装置では弾性表面を有するインキ着
けローラを用いるので、こうした問題点も発生しにく
く、分厚いインキ膜を形成しても実用的な印刷ができ
る。
【0069】また、上記第1の実施態様例においては圧
胴として版胴の2倍胴(記録媒体を巻装する面の外周長
が版胴の2倍である胴)を用い、圧胴間の渡し胴として
3倍胴を用いたが、図3に示す第2の実施態様例のよう
に、圧胴として版胴の3倍胴を用い、渡し胴として2倍
胴を用いてもほとんど同様の結果が得られる。この場
合、送り出し胴30と圧胴31との外径の比は1:3と
なる。
【0070】また、上記第1の実施態様例の赤外線輻射
方式の加熱によるレベリング手段に代わって、ホットロ
ーラ対を用いた第2の実施態様例を図4に示す。ホット
ローラ対によるレベリング手段では、加熱によるインキ
膜の自己レベリング性向上の効果と、機械的なレベリン
グによる直接的な平滑化を行なうことができる。ホット
ローラの表面には、図示しないシリコーンゴム層がコー
ティングされており、インキのホットローラ表面への付
着(オフセット)を防止している。この構成では、オフ
セットさえなければ、輻射熱による加熱のみのレベリン
グよりもインキ膜表面を平滑に仕上げることができる。
【0071】なお、上記いずれの実施態様例においても
インキ着けローラ601にはドクターブレード602を
圧接しているが、本願出願人による特願平10-74110号明
細書に記載のごとく、ドクターブレード602の下流側
に設けたインキ膜の平坦ブレードやインキ膜平坦化用の
補助ローラ(両者をあわせてインキ膜平坦化部材という)
を用いてもよい。これによりドクターブレードのみを用
いた図5の構成よりも紙粉等によるスジの発生を抑制す
ることができる。
【0072】また、上記いずれの実施態様例でも、イン
キ膜の乾燥のみを目的とする乾燥手段を設けなかった
が、インキとして紫外線乾燥型のインキを用い、レベリ
ング後に紫外線ランプ等を用いた乾燥手段を設けてこれ
により乾燥を促進する構成としてもよい。
【0073】
【実施例】図6に第1の実施態様例の印刷機を用い、レ
ベリングありの場合となしの場合とについて、記録媒体
へのインキ供給量を変化させた時の印刷物の光沢度を示
す。光沢度の測定は、堀場製作所製光沢度計G−330
にて行った。印刷速度は4500IPH(版胴の1時間当たりの
回転数が4500回、記録媒体の搬送速度600mm/sec)とし、
大阪印刷インキ製WLP−XタイププロセスインキNシ
アン色(酸化重合型、摂氏30度でのみかけ粘度(せん断速
度300/s)は約700ポアズ)を用い、457mm×340mm(A3ワ
イド相当)連量110Kgのコート紙(王子製紙製OKスーパ
ーコート紙)を用いた。また、インキ量は予め印刷直前
に天秤にて重さ測定した用紙に457mm×320mmのベタ印刷
を行い、印刷後1分経過後における重量との差より算出
した。
【0074】図6より明らかなように、レベリングあり
の場合もなしの場合もインキ膜厚が分厚いほど高い光沢
度が得られている。これは、インキ膜厚が分厚いほどイ
ンキの液体成分が多く、記録媒体に吸収されるまでに時
間がかかるため低粘度の時期が長く、その間に自己レベ
リングが進みやすいためと考えられる。しかし、レベリ
ングなしではインキ量が0.95g/m2付近以上を境に光沢度
がインキ量増大につれて低下する傾向が現れている。こ
れは、インキ供給直後のインキ膜表面の凹凸が膜厚の増
大でカバーできない程度に大きいたとみられる。これに
対し、レベリングを実施すると、全体として光沢度が高
くなるほか、光沢度の飽和がレベリングなしの場合より
も多いインキ量まで発生しないことがわかる。
【0075】レベリングをする場合において、から求め
られる光沢度55を達成するためには、インキ量として、
0.8g/m2以上を、光沢度70を達成するためには0.95g/m2
以上を供給する必要があることがわかる。なお、0.95g/
m2以上とすると、光沢度が70近くになると同時に、シア
ンインキでの光学濃度Dが1.5以上となり、高いコントラ
ストが得られる。
【0076】図7に、第1の実施態様例の印刷機におい
て、コート紙上に0.95g/m2および0.75g/m2のインキ膜を
形成した場合の最後のブランケット胴に形成された最後
のインキ膜が記録媒体面上に供給されてからレベリング
を開始するまでの経過時間を変化させた場合のインキ膜
の光沢度の変化を示す。印刷速度を含め測定方法等は図
6の場合と同じである。図からコート紙での印刷におい
て求められる光沢度55を達成するためには、経過時間
は、0.95g/m2のインキ膜の場合は、1.7秒以下、光沢度7
0を達成するためには、1.2秒以下とするのがよいが、0.
75g/m2の場合は1秒としても光沢度50を大きく越えな
い。図6と合わせてみれば、0.8g/m2とすれば1.2秒以下
で光沢度55以上が確保できることがわかる。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明の印刷装置および
方法ならびに印刷物によれば、鮮明さとコントラストに
優れ、かつ、豊かな光沢をも同時に実現した印刷物を容
易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による印刷装置の一実施態様の断面図で
ある。
【図2】本発明による印刷装置の一実施態様の平面図で
ある。
【図3】本発明による印刷装置の別の態様による断面図
である。
【図4】本発明による印刷装置の別の態様による断面図
である。
【図5】本発明の一実施態様に使用する塗布装置の断面
図である。
【図6】インキ量と光沢度の関係を示すグラフである。
【図7】最後のインキ膜が最後のブランケット胴により
記録媒体面上に供給されてからレベリングを開始するま
での経過時間と光沢度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:印刷機 11:本体フレーム 20:供給装置 21:給紙台 22:用紙ピックアップ装置 23:用紙供給コンベア 24:給紙装置 25:給紙トラクタ 26:排出トラクタ 30:送り出し胴 31、32:圧胴 33:渡し胴 41、42、43、44:版胴 51、52、53、54:ブランケット胴 61、62、63、64:インキ塗布装置 70:排出装置 71:竿 72:チェーンデリバリ 73:排出台 74:レベリング用加熱装置 81:ウエブ状連続紙 82:カッター 90:サクションフィーダー 91:ホットローラ 141、142、143、144:印刷版 600:インキ量調整部材 601:インキ着けローラ 602:ドクターブレード 603:偏芯カム 604:軸 605:インキ溜め空間 606:インキ壷 607:側板 608:側板 610、611:練りローラ 612:補助着けローラ

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】版支持体と、該版支持体に装着される刷版
    にインキを塗布するインキ塗布装置と、前記刷版上に塗
    布されたインキを記録媒体に転写するインキ転写手段と
    を備えた印刷装置であって、前記インキ塗布装置および
    前記インキ転写手段は、記録媒体の画線部に0.8g/m2
    上のインキを供給しうるように構成されており、かつ、
    前記インキ転写手段による記録媒体への最後のインキ転
    写後に記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なうレベ
    リング手段を備えてなることを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】版支持体と、該版支持体に装着される刷版
    にインキを塗布するインキ塗布装置と、前記刷版上に塗
    布されたインキを記録媒体に転写するインキ転写手段と
    を備えた印刷装置であって、前記インキ塗布装置は、弾
    性表面を有する塗布ローラと、該塗布ローラの外周面に
    対し進退自在で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調
    整を行うドクターブレードとを備えたものであり、か
    つ、前記インキ転写手段による記録媒体への最後のイン
    キ転写後に記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なう
    レベリング手段を備えてなることを特徴とする印刷装
    置。
  3. 【請求項3】前記レベリング手段は、前記インキ転写手
    段による記録媒体へのインキ転写後1.7秒以内に記録媒
    体上のインキ膜のレベリングを開始するものであること
    を特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 【請求項4】画像担持体と、該画像担持体にインキを塗
    布するインキ塗布装置と、前記画像担持体上に塗布され
    たインキを記録媒体に転写するインキ転写手段とを備え
    た印刷装置であって、前記インキ塗布装置および前記イ
    ンキ転写手段は、記録媒体の画線部に0.8g/m2以上のイ
    ンキを供給しうるように構成されており、かつ、最後の
    前記画像担持体の記録媒体への接触後に記録媒体上のイ
    ンキ膜のレベリングを行なうレベリング手段を備えてな
    ることを特徴とする印刷装置。
  5. 【請求項5】画像担持体と、該画像担持体にインキを塗
    布するインキ塗布装置と、前記画像担持体上に塗布され
    たインキを記録媒体に転写するインキ転写手段とを備え
    た印刷装置であって、前記インキ塗布装置は、弾性表面
    を有する塗布ローラと、該塗布ローラの外周面に対し進
    退自在で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行
    うドクターブレードとを備えたものであり、かつ、最後
    の前記画像担持体の記録媒体への接触後に記録媒体上の
    インキ膜のレベリングを行なうレベリング手段を備えて
    なることを特徴とする印刷装置。
  6. 【請求項6】前記レベリング手段は、前記インキ転写手
    段による記録媒体へのインキ転写後1.7秒以内に記録媒
    体上のインキ膜のレベリングを開始するものであること
    を特徴とする請求項4または5に記載の印刷装置。
  7. 【請求項7】前記版支持体は、刷版として水不要版が装
    着されるものであることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載の印刷装置。
  8. 【請求項8】前記レベリング手段は、記録媒体面を加熱
    する加熱手段を備えたものであることを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載の印刷装置。
  9. 【請求項9】前記レベリング手段は、記録媒体を挟持す
    るローラ対を備えたものであることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の印刷装置。
  10. 【請求項10】記録媒体の画線部に0.8g/m2以上のイン
    キを供給し、前記記録媒体への最後のインキ供給後に前
    記記録媒体上のインキ膜のレベリングを行なうことを特
    徴とする印刷方法。
  11. 【請求項11】前記レベリングを前記記録媒体への最後
    のインキ供給後1.7秒以内に開始することを特徴とする
    請求項10に記載の印刷方法。
  12. 【請求項12】記録媒体の画線部に画像担持体より0.8g
    /m2以上のインキを供給し、最後の前記画像担持体の前
    記記録媒体への接触後に前記記録媒体上のインキ膜のレ
    ベリングを行なうことを特徴とする印刷方法。
  13. 【請求項13】前記レベリングを最後の前記画像担持体
    の記録媒体への接触後1.7秒以内開始することを特徴と
    する請求項12に記載の印刷方法。
  14. 【請求項14】前記インキとして、摂氏30度における
    みかけ粘度が200ポアズ以上のものを用いることを特
    徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の印刷方
    法。
  15. 【請求項15】弾性表面を有する塗布ローラと、該塗布
    ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に形成す
    る塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えた
    インキ塗布装置により刷版にインキを塗布し、前記刷版
    上に塗布したインキを記録媒体に転写し、最後のインキ
    の前記記録媒体への転写後に、記録媒体上のインキ膜の
    レベリングを行なうことを特徴とする印刷方法。
  16. 【請求項16】前記レベリングを、最後のインキの記録
    媒体上への供給後1.7秒以内に開始することを特徴とす
    る請求項15に記載の印刷方法。
  17. 【請求項17】請求項10〜16のいずれかに記載の印
    刷方法により記録媒体に画像が印刷された印刷物。
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