JP2000158486A - パレット成形金型装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スライド金型でフォーク挿入孔を形成するも
のでも取り付け部のような部分を形成することができ、
しかも型締め時に金型が破損するおそれがないパレット
成形金型装置を提供する。 【解決手段】 スライド金型８にパレットの表面部や裏
面部の内面側の一部を成形する部分成形コア９を出入り
自在に設けると共に部分成形コア９がスライド金型８内
に没入するようにばね１１にて付勢する。スライド金型
８に摺動軸１２を挿通する。スライド金型８を型締めす
るとき摺動する側の面に型締めしたとき固定金型６また
は移動金型７に当たる押圧板１３を配置すると共にこの
押圧板１３を摺動軸１２に装着する。押圧板１３と摺動
軸１２との間に押圧板１３と摺動軸１２とが離間するよ
うに付勢するばね１４を介装する。押圧板１３が押され
たときばね１４を介して摺動する摺動軸１２に摺動軸１
２の摺動により上記部分成形コア９が突出するように作
動させる作動部１５を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂のパレット
を一体的に成形するのに用いるパレット成形金型装置に
関し、詳しくはスライド金型で成形される部分で滑り止
め部材の取り付け部のような部分を形成するのに適した
成形金型装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂にて一体成形されるパレットＰ
は上下の表面部１と裏面部２との間にフォーク挿入孔３
を貫通するように設けられるが、フォーク挿入孔３を設
けたパレットＰの場合、上下に位置する固定金型と移動
金型とより成る成形金型では成形することができず、左
右方向にスライド自在なスライド金型を用いなければ成
形することができない。

【０００３】またパレットＰの表面部１や裏面部２にゴ
ム等で形成した滑り止め部材４を装着して積載物との防
滑またはフォークリフトのフォークとの滑り止めするこ
とが行われるが、この滑り止め部材４を取り付ける場
合、図４に示すように表面部１及び裏面部２に取り付け
部５として上下に貫通する孔部５ａを設けると共に孔部
５ａの内周に係止突部５ｂを全周に亙るように突設して
ある。そして滑り止め部材４を取り付け部５の孔部５ａ
に嵌め込むと共に滑り止め部材４の端部をフォーク挿入
孔３側に僅かに膨出させ、滑り止め部材４の外周に周方
向に亙って設けた係止凹部４ａに係止突部５ｂを係止し
て滑り止め部材４を取り付けてある。

【０００４】ところで、上記のような取り付け部５は内
周に係止突部５ｂを有するためにスライド金型でフォー
ク挿入孔３を形成する部分では成形することができな
い。つまり、上下方向に型抜きする固定金型と移動金型
との間では成形することができるが、左右方向に型抜き
するスライド金型と固定金型または移動金型との間では
成形することができない。このためにスライド金型で成
形するフォーク挿入孔３の部分では取り付け部５を設け
て滑り止め部材４を装着することができない。

【０００５】しかし、近年、スライド金型で成形するフ
ォーク挿入孔３の部分でも取り付け部５を成形するもの
として特開平３−２８９４４４号公報に開示されるもの
が提案されている。これは図５に示すように上下の固定
金型６及び移動金型７と、移動金型７の移動方向と直交
する方向である左右方向に移動するスライド金型８とで
主体が構成されている。スライド金型８の上下の適所に
は取り付け部５の内面側を成形する部分成形コア９が上
下に出入り自在に装着してあり、スライド金型８には左
右方向にスライド自在に駆動されるスライドピン１０を
挿通してあり、スライドピン１０の先端と部分成形コア
９とを蟻結合してある。そして固定金型６と移動金型７
とスライド金型８を型締めした状態でスライドピン１０
を押し込むように駆動すると、部分成形コア９がスライ
ド金型８の上下面から突出し、合成樹脂を射出して成形
するとパレットＰに取り付ける部５が形成される。射出
成形後にスライドピン１０を引くように駆動すると、部
分成形コア９がスライド金型８内に入り、スライド金型
８を開くことができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例ではスライ
ド金型８の移動と関係なく、スライドピン１０を駆動す
ることで部分成形コア９を出し入れする構造のために通
常では固定金型６と移動金型７とスライド金型８とを完
全に型締めした後、スライドピン１０が駆動されるが、
金型本体の型締めによる型内圧縮空気が生じ、バリ発生
防止のために所定時間減圧後、部分成形コア１０を突出
させなければならない。また完全に型締めしない状態で
スライドピン１０を駆動して部分成形コア９を突出させ
ると当該コアの不要な先端部が必要以上に突出すること
になり、その後の固定金型６や移動金型７の型締めの際
これに衝突して当該コアまたは蟻結合部を破損させるお
それがある。

【０００７】さらにまた、スライドピン１０に連動した
部分成形コア９の型締圧は、通常固定金型６と移動金型
７の型締圧より小さいため、部分成形コア９との当接面
にはバリが生じやすく、この部分に取り付ける滑り止め
部材４の装着が困難になるという問題がある 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スライ
ド金型でフォーク挿入孔を形成するものでも取り付け部
のような部分を形成することができ、しかも固定金型と
移動金型とスライド金型とを所定の状態に型締めしたと
き型締めにより部分成形コアが弾性的に突出して型締め
時に金型が破損するおそれがないパレット成形金型装置
を提供することを課題とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のパレット成形金型装置は、固定金型６と移動
金型７と、移動金型７の移動方向と直交する方向に移動
するスライド金型８よりなり、固定金型６と移動金型７
とスライド金型８とを型締めして合成樹脂を射出するこ
とで表面部１と裏面部２とフォーク挿入孔３を有するパ
レットＰが一体成形されるものにおいて、フォーク挿入
孔３を形成するスライド金型８に表面部１や裏面部２の
内面側の一部を成形する部分成形コア９をスライド金型
８の移動方向と直交する方向に出入り自在に設けると共
に部分成形コア９がスライド金型８内に没入するように
ばね１１にて付勢し、スライド金型８にスライド金型８
の移動方向と平行な方向に摺動自在になるように摺動軸
１２を挿通し、スライド金型８を型締めするとき摺動す
る側の面に型締めしたとき固定金型６または移動金型７
に当たる押圧板１３を配置すると共にこの押圧板１３を
摺動軸１２に摺動軸１２の長手方向に摺動自在に装着
し、押圧板１３と摺動軸１２との間に押圧板１３と摺動
軸１２とが離間するように付勢するばね１４を介装し、
押圧板１３が押されたときばね１４を介して摺動する摺
動軸１２に摺動軸１２の摺動により上記部分成形コア９
が突出するように作動させる作動部１５を設けて成るこ
とを特徴とする。固定金型６と移動金型７とスライド金
型８とを型締めすると、押圧板１３が固定金型６または
移動金型７に当たって押され、押圧板１３が押されるこ
とによりばね１４を介して摺動軸１２が移動し、摺動軸
１２が移動することで作動部１５がばね１１に抗して部
分成形コア９をスライド金型８から突出するように押
し、型締めした時点で部分成形コア９が弾性的に突出す
る。この状態で合成樹脂を射出することでパレットＰが
形成されると共に部分成形コア９で取り付け部５のよう
な部分が形成される。また部分成形コア９またはこの先
端部の形状を変形することによって、円柱形状のような
滑り止め部材６の他、長方形のような意匠形態の滑り止
め部材に適用できる取り付け部５を成形できる。そして
パレットＰを成形した後、摺動軸１２をばね１４に抗し
て摺動するように駆動することで作動部１５が作用しな
くなり、ばね１１にて部分成形コア６がスライド金型８
に没入させられ、スライド金型８を抜くことができる。
上記のように成形することができるためにスライド金型
８で成形するフォーク挿入孔３の部分でも取り付け部５
のような部分を形成することができる。また固定金型６
と移動金型７とスライド金型８とを型締めしたとき、型
締めに伴って部分成形コア９が突出すると共に部分成形
コア９が弾性的に突出するものであって、従来のように
完全に型締めする前に部分成形コア９が固定金型６や移
動金型７に当たって金型を破損させるおそれがない。

【０００９】

【発明の実施の形態】パレット成形金型装置は、図１乃
至図３に示すように上の固定金型６と、下の上下に移動
自在な移動金型７と、固定金型６と移動金型７との間で
移動金型７の移動方向と直交する方向である左右方向に
移動するスライド金型８とで主体が構成されている。固
定金型６と移動金型７とスライド金型８とを型締めする
ことより、表面部１と裏面部２とフォーク挿入孔３を有
する一体成形タイプのパレットＰを成形するキャビティ
Ｃが形成されるようになっている。スライド金型８には
左右方向に摺動自在になるように摺動軸１２を挿通して
あり、摺動軸１２の先端部はスライド金型８の先端部の
空洞１６内に位置させてあり、摺動軸１２の基端の鍔部
１７をスライド金型８の基部側の空洞１８に移動自在に
配置してある。スライド金型８の先端部にはスライド金
型８の上下面に対して上下に出入り自在になるように部
分成形コア９を配置してある。部分成形コア９は取り付
け部５のフォーク挿入孔３側を成形するもので、部分成
形コア９と固定金型６や移動金型７との間で孔部５ａに
係止突部５ｂを設けた取り付け部５が形成されるように
なっている。上記部分成形コア９にはこの部分成形コア
９と一体になるように傾斜アーム１９を設けてあり、傾
斜アーム１９の基端が空洞１６内で軸２０にて上下に回
動自在になるように装着してある。そして軸２０を中心
に傾斜アーム１９が上下に回動することで部分成形コア
９が出入りするようになっている。空洞１６の上下には
ばね１１にて付勢された押圧ピン２１を設けてあり、押
圧ピン２１の先端を傾斜アーム１９に当接して部分成形
コア９が没入するように傾斜アーム１９を弾発付勢して
ある。摺動軸１２の先端部には逆台形状の作動部１５を
設けてあり、この作動部１５を上下の傾斜アーム１９間
に位置させてある。そして作動部１５が図１乃至図３の
左に移動した状態では作動部１５が傾斜アーム１９を押
すことなく、部分成形コア９がスライド金型８内に没入
しているが、作動部１５が右に移動すると、作動部１５
がばね１１による付勢に抗して傾斜アーム１９を押して
部分成形コア９をスライド金型８から突出させるように
なっている。スライド金型８の先端には押圧板１３を配
置してあり、押圧板１３から一体に連出した外筒部２２
を摺動軸１２の先端に設けた内筒部２３に摺動自在に被
嵌することで押圧板１３が摺動軸１２の長手方向に移動
自在になるように装着してある。この摺動軸１２の内筒
部２３と外筒部２２との間には押圧板１３が先端方向に
移動するように付勢するコイルばねのようなばね１４を
介装してあり、このばね１４が内筒部２３と押圧板１３
の裏面の支持突部２４にて支持してある。押圧板１３が
移動するときは内筒部２３に対して外筒部２２が摺動す
るが、突部２５、２６の係当にて抜け止めしてある。ま
た外筒部２２の外面はテーパ面としてあり、部分成形コ
ア６がスライド金型８に没入した状態で傾斜アーム１９
が外筒部２２の外面に沿うようになっている。

【００１０】上記のように構成せるパレット成形金型装
置にてパレットを成形するにあたっては次のように行
う。型開き状態から型締めを行う場合、固定金型６に対
して移動金型７を移動させると共にスライド金型８を右
から左に移動させる。このときスライド金型８の摺動軸
１２はフリーであるが、左側である先端方向に移動して
おり、押圧板１３が左側である先端方向に離間してい
る。またこのとき、摺動軸１２が左側である先端方向に
摺動しているための作動部１５が傾斜アーム１９を押し
ていなく、ばね１１の力で傾斜アーム１９が押されて部
分成形コア９がスライド金型８内に没入している。そし
てスライド金型８を所定位置までスライドさせると、図
２に示すように押圧板１３が移動金型７に当たり、押圧
板１３が押されて移動してばね１４を介して摺動軸１２
が右に移動するように押され、摺動軸１２が右に移動す
ることで作動部１５でばね１１に抗して傾斜アーム１９
が広がるように押され、部分成形コア９がスライド金型
８の外に弾性的に突出して行き、押圧板１３がスライド
金型８に当たるまで移動した状態で押圧板１３の移動が
止まり、部分成形コア９が所定の状態に突出して図１に
示すように型締め完了する。このように型締めするため
にスライド金型８の型締めに伴って自動的に部分成形コ
ア９が弾性的に突出し、固定金型６や移動金型７や部分
成形コア９を破損したりするおそれがない。図１に示す
ように固定金型６、移動金型７及びスライド金型８を型
締めした状態でキャビティＣ内に合成樹脂を射出するこ
とで表面部１、裏面部２及びフォーク挿入孔３を有する
一体的なパレットＰが形成される。このときフォーク挿
入孔３がスライド金型８で形成されると共に取り付け部
５は固定金型６と部分成形コア９との間及び移動金型７
と部分成形コア９との間で成形される。パレットＰを成
形した後、図３に示す通り型開きの際、先ず摺動軸１２
の基端が油圧等で押されるように駆動されると、摺動軸
１２が左に移動して作動部１５も左に連動し、ばね１１
の力で傾斜アーム１９が狭まるように回動して、部分成
形コア９がスライド金型８内に没入する。この状態でス
ライド金型８を右にスライドさせると共に移動金型７を
下に移動させることにより、固定金型６と移動金型７と
スライド金型８を型開きしてパレットＰを取り出すこと
ができる。このようにして孔部５ａに係止突部５ｂを有
する取り付け部５がスライド金型８で形成され、フォー
ク挿入孔３の部分でも形成することができる。

【００１１】また上記例の場合、スライド金型８に対し
て部分成形コア９が出入りすることで取り付け部５を成
形することについて述べたが、パレットＰの端部ではス
ライド金型８に部分成形突部２７を設けることで滑り止
め部材４の取り付け部５′を設けることができる。つま
り、パレットＰの端部では取り付け部５′の係止突部５
ｂより内面側は端部方向に開口してもよい構造のため、
部分成形突部２７をスライド金型８に突設しておくだけ
でもスライド金型８を型抜きできる。

【００１２】

【発明の効果】本発明は、叙述の如く固定金型と移動金
型とスライド金型とを型締めすると、押圧板が固定金型
または移動金型に当たって押され、押圧板が押されるこ
とによりばねを介して摺動軸が移動し、摺動軸が移動す
ることで作動部がばねに抗して部分成形コアをスライド
金型から突出するように押し、型締めした時点で部分成
形コアが弾性的に突出し、この状態で合成樹脂を射出す
ることでパレットが形成されると共に部分成形コアで係
止突部が略全周に亙るような取り付け部を形成すること
ができ、またパレットを成形した後、摺動軸をばねに抗
して摺動するように駆動することで作動部が作用しなく
なり、ばねにて部分成形コアがスライド金型に没入させ
られ、スライド金型を抜くことができるようになるもの
であって、スライド金型で成形するフォーク挿入孔の部
分でも取り付け部のような部分を形成することができる
ものであり、また固定金型と移動金型とスライド金型と
を型締めしたとき、型締めに伴って部分成形コアが突出
すると共に部分成形コアが弾性的に突出するものであっ
て、従来のように完全に型締めする前に部分成形コアが
固定金型や移動金型に当たって金型を破損させるおそれ
がないばかりか、部分成形コアとの金型当接面にはバリ
が生じ難いため、仕上げ作用が不要となり、滑り止め部
材の装着が容易になるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の一例で、型締めした状態
の断面図である。

【図２】同上の型締め途中の断面図である。

【図３】同上の型開きする前の状態の断面図である。

【図４】パレットに設けた滑り止め部材の取り付け部を
示す断面図である。

【図５】従来例の成形金型装置を示す断面図である。

【符号の説明】

Ｐ パレット １ 表面部 ２ 裏面部 ３ フォーク挿入孔 ４ 滑り止め部材 ５ 取り付け部 ６ 固定金型 ７ 移動金型 ８ スライド金型 ９ 部分成形コア １１ ばね １２ 摺動軸 １３ 押圧板 １４ ばね １５ 作動部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定金型と移動金型と、移動金型の移動
   方向と直交する方向に移動するスライド金型よりなり、
   固定金型と移動金型とスライド金型とを型締めして合成
   樹脂を射出することで表面部と裏面部とフォーク挿入孔
   を有するパレットが一体成形されるパレット成形金型装
   置において、フォーク挿入孔を形成するスライド金型に
   表面部や裏面部の内面側の一部を成形する部分成形コア
   をスライド金型の移動方向と直交する方向に出入り自在
   に設けると共に部分成形コアがスライド金型内に没入す
   るようにばねにて付勢し、スライド金型にスライド金型
   の移動方向と平行な方向に摺動自在になるように摺動軸
   を挿通し、スライド金型を型締めするとき摺動する側の
   面に型締めしたとき固定金型または移動金型に当たる押
   圧板を配置すると共にこの押圧板を摺動軸に摺動軸の長
   手方向に摺動自在に装着し、押圧板と摺動軸との間に押
   圧板と摺動軸とが離間するように付勢するばねを介装
   し、押圧板が押されたときばねを介して摺動する摺動軸
   に摺動軸の摺動により上記部分成形コアが突出するよう
   に作動させる作動部を設けて成ることを特徴とするパレ
   ット成形金型装置。