JP2000158136A - チップ・被溶接物間距離算出方法並びに溶接線倣い制御方法及び装置 - Google Patents

チップ・被溶接物間距離算出方法並びに溶接線倣い制御方法及び装置

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JP2000158136A
JP2000158136A JP10331266A JP33126698A JP2000158136A JP 2000158136 A JP2000158136 A JP 2000158136A JP 10331266 A JP10331266 A JP 10331266A JP 33126698 A JP33126698 A JP 33126698A JP 2000158136 A JP2000158136 A JP 2000158136A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のチップ・被溶接物間距離算出方法は、
チップ・被溶接物間距離の変化速度が速くなると、その
算出値に誤差が発生して正確な値を算出することができ
なかった。また、上記の算出方法を使用した従来の溶接
線倣い制御方法は、不正確な算出値による制御であるた
めに、その制御性能を最適化することが困難であった。 【解決手段】 本発明のチップ・被溶接物間距離算出方
法は、図15に示すように、検出した溶接電流Iw、ワ
イヤ送給速度Wf及びチップ・被溶接物間電圧Vwとを
入力として、ワイヤ溶融速度演算過程と、ワイヤ突き出
し長変化分演算過程と、ワイヤ突き出し長変化分加算演
算過程と、アーク電圧演算過程と、アーク長演算過程
と、アーク長・ワイヤ突き出し長加算演算過程とを繰り
返し行うチップ・被溶接物間距離算出方法である。ま
た、本発明の溶接線倣い制御方法及び装置は、上記の算
出方法を使用して溶接線位置からの位置ずれ距離を算出
する溶接線倣い制御方法及び装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接中の電気的信
号を検出して、それらの信号を演算することによってチ
ップ・被溶接物間距離を算出する方法、並びに上記のチ
ップ・被溶接物間距離算出方法を使用した溶接トーチを
オシレ―トさせて溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法
及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶接トーチ先端部に取り付けられたチッ
プを給電点として溶接ワイヤを予め設定した一定速度で
送給する消耗電極ガスシールドアーク溶接においては、
チップと被溶接物との距離(以下、チップ・被溶接物間
距離という)を適正な一定値に保持しながら溶接を行う
ことは非常に重要である。このチップ・被溶接物間距離
が溶接中に変化すると、溶け込み深さの変化、溶接ビー
ド幅の変化、スパッタの大量発生、ブローホールの発生
等が生じて溶接品質が悪くなり、さらには溶接欠陥とな
る場合もある。
【0003】上記のことから溶接を行いながらチップ・
被溶接物間距離を算出することができれば、その算出値
をフィードバック制御することでチップ・被溶接物間距
離を一定値に保持することができ、良好な溶接品質を得
ることができる。また、チップ・被溶接物間距離の算出
手段を溶接トーチをオシレートさせて溶接線に倣わせる
溶接線倣い制御(以下、倣い制御という)に使用するこ
とによって、開先形状又は継ぎ手形状を算出することが
でき簡潔なアルゴリズムによって溶接線を認識できるた
めに、良好な倣い制御結果を得ることができる。
【0004】以下に、従来技術のチップ・被溶接物間距
離算出方法について説明した後に、その算出方法を倣い
制御に使用した場合について説明する。
【0005】図1は、チップ・被溶接物間距離算出方法
の説明に使用する用語を定義した用語定義図である。溶
接ワイヤ1は送給ロール5aによって送給されて、溶接
トーチ4の先端部に取り付けられたチップ4aから給電
される。ワイヤ先端部1aと被溶接物2との間でアーク
3が発生して、ワイヤ先端部1aが溶融すると共に溶融
池2aが形成される。
【0006】溶接ワイヤ1は予め設定したワイヤ送給速
度Wf[mm/s]で送給されており、溶接電流Iw[A]
が通電する。溶接ワイヤ先端部1aは、アーク及びワイ
ヤ突き出し部のジュール熱によってワイヤ溶融速度vm
[mm/s]でチップ4a方向に溶融する。チップ・被溶接
物間距離はLw[mm]であり、チップ・被溶接物間電圧
はVw[V]である。アーク長はLa[mm]であり、ア
ーク電圧はVa[V]である。また、ワイヤ突き出し長
はLx[mm]であり、ワイヤ突き出し部電圧はVx
[V]である。同図からも明らかなようにLw=La+
Lx及びVw=Va+Vxである。
【0007】従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方
法では、平均溶接電流Iwa[A]、平均ワイヤ送給速度
Wfa[mm/s]及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwa
[V]を溶接中に検出して、それらの検出値から演算で
チップ・被溶接物間距離を算出する。以下その算出方法
に使用する複数の演算について示す。
【0008】定常状態でのワイヤ突き出し長Lxは、実
験によって次式で表わされることが知られている。 Lx=(Wfa−k2・Iwa)/(k1・Iwa2) …(1) ここで、k1[1/(s・A2)]及びk2[mm/(s・A)]は、溶接
ワイヤの直径、材質(軟鋼、ステンレス鋼等)及び種類
(ソリッドワイヤ、フラックス入りワイヤ等)によって
定まる定数である。但し、(1)式が成立する前提条件
は、ワイヤ突き出し長の変化が収束した定常状態のとき
であり、ワイヤ送給速度Wfとワイヤ溶融速度vmとが
等しいときである。
【0009】次に、平均ワイヤ突き出し部電圧Vxaは、
次式で表わされる。 Vxa=Rx・Lx・Iwa …(2) ここで、Rx[Ω/mm]は単位長あたりの抵抗値であ
り、溶接ワイヤの直径、材質及び種類によって定まる定
数である。上記のRxは温度によって変化するので、温
度依存を考慮した上で実験によって次式で表わすことも
できる。 Vxa=D・E・IwaA・LxB・WfaC …(2A) ここで、A乃至Eは、溶接ワイヤの直径、材質及び種類
によって定まる定数である。一般的な溶接ワイヤを使用
した通常の溶接条件下においては、(2)式と(2A)
式とによって求まるVxaの値には大きな差はないので、
簡潔な(2)式をここでは使用することにする。
【0010】また、平均アーク電圧Vaaは次式で表わさ
れる。 Vaa=Vwa−Vxa …(3) さらに、アーク長Laについても実験によって次式で表
わされることが知られている。 La=(Vaa−a−c・Iwa)/(b+d・Iwa) …(4) ここで、a[V]、b[V/mm]、c[Ω]及びd[Ω/m
m]は溶接ワイヤの直径、材質及び種類、並びにシール
ドガスの種類によって定まる定数である。
【0011】最後に、チップ・被溶接物間距離Lwは次
式となる。 Lw=Lx+La …(5) 従って、(1)式乃至(5)式に示す演算によってチッ
プ・被溶接物間距離が算出できる。
【0012】図2は、上述した従来技術のチップ・被溶
接物間距離算出方法を示すブロック図である。平均溶接
電流Iwa、平均ワイヤ送給速度Wfa及び平均チップ・
被溶接物間電圧Vwaが溶接中に検出されてブロック図の
入力となる。まず最初に、ワイヤ突き出し長演算回路L
Xは、平均溶接電流Iwaと平均ワイヤ送給速度Wfaと
を入力として、(1)式に相当する演算を行い、ワイヤ
突き出し長Lxを出力する。
【0013】2番目には、ワイヤ突き出し部電圧演算回
路VXは、上記のワイヤ突き出し長Lxと平均溶接電流
Iwaとを入力として、(2)式に相当する演算を行い、
平均ワイヤ突き出し部電圧Vxaを出力する。
【0014】3番目には、アーク電圧演算回路VAは、
検出された平均チップ・被溶接物間電圧Vwaと上記の平
均ワイヤ突き出し部電圧Vxaとを入力として、(3)式
に相当する演算を行い、平均アーク電圧Vaaを出力す
る。
【0015】4番目には、アーク長演算回路LAは、上
記の平均アーク電圧Vaaと検出された平均溶接電流Iwa
とを入力として、(4)式に相当する演算を行い、アー
ク長Laを出力する。
【0016】最後に5番目として、アーク長・ワイヤ突
き出し長加算回路AXは、上記のアーク長Laと上記の
ワイヤ突き出し長Lxとを入力として、(5)式に相当
する演算を行い、チップ・被溶接物間距離Lwを出力す
る。上述した各演算を繰り返すことによって、溶接中の
チップ・被溶接物間距離Lwを算出することができる。
【0017】従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方
法を倣い制御に使用した場合について説明する。従来か
ら、溶接ト―チをオシレ―トさせてチップ・被溶接物間
距離の変化に対応したア―ク長の変化及びワイヤ突き出
し長の変化によって発生する電気的変化を検出して溶接
ト―チ位置を溶接線に倣わせる倣い制御方法が使用され
ている。
【0018】以下、溶接トーチのオシレート周波数につ
いては、0.2[Hz]以上3[Hz]未満程度を低周波オ
シレート、3[Hz]以上7[Hz]未満程度を中間周波オ
シレート、7[Hz]以上50[Hz]未満程度を高周波オ
シレートということにする。
【0019】図3は、オシレート周波数が2[Hz]の低
周波オシレートを行ったときの溶接ト―チのオシレ―ト
位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示すオ
シレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図で
ある。同図(A)は、オシレ−ト位置とチップ・被溶接
物間距離算出値との関係を示しており、同図(B)は、
オシレート位置と被溶接物の表面位置、アーク長及びワ
イヤ突き出し長との関係を示しており、同図(C)は、
チップ・被溶接物間距離算出値の時間変化を示してお
り、同図(D)は、オシレート位置の時間変化を示して
いる。同図は、オシレート中心位置Cと溶接線位置Wc
とが位置ずれなしに一致している(以下、位置ずれなし
という)場合である。
【0020】同図(B)は、溶接トーチ4をオシレート
中心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート
左端位置L0の左右方向にオシレートさせたときの、そ
れぞれのオシレート位置Pでのアーク長及びワイヤ突き
出し長を示している。溶接トーチ先端部のチップ4aを
通って溶接ワイヤ1が送給されて被溶接物2との間にア
ーク3が発生している。
【0021】溶接トーチがオシレート中心位置Cにある
ときのアーク長はLa11[mm]であり、ワイヤ突き出し
長はLx11[mm]である。この状態から溶接トーチがオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離が短くなる変化に対して、定電圧
特性を有する溶接電源装置の自己制御作用によって溶接
電流が増加してワイヤ溶融速度が一瞬増加するのでワイ
ヤ突き出し長が短くなる。2[Hz]の低周波オシレート
のときは、チップ・被溶接物間距離の変化速度にワイヤ
突き出し長の変化速度が追従できるために、ア−ク長は
略一定値La11[mm]を維持しながら点線で示す直線A
1上を右方向に移動する。一方、ワイヤ突き出し長はチ
ップ・被溶接物間距離の変化に従ってLx11[mm]から
Lx12[mm]に徐々に減少する。溶接トーチがオシレー
ト右端位置R0に達したときのアーク長はLa11[mm]
となり、ワイヤ突き出し長はLx12[mm]となる。
【0022】溶接トーチがオシレート右端位置R0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離が長くなる変化に対して、定電圧
特性を有する溶接電源装置の自己制御作用によって溶接
電流が減少してワイヤ溶融速度が一瞬減少するのでワイ
ヤ突き出し長が長くなる。2[Hz]の低周波オシレート
のときは、チップ・被溶接物間距離の変化速度にワイヤ
突き出し長の変化速度が追従できるために、ア−ク長は
略一定値La11[mm]を維持しながら直線A1上を左方
向に移動する。一方、ワイヤ突き出し長はチップ・被溶
接物間距離の変化に従ってLx12[mm]からLx11[mm]
に徐々に増加する。溶接トーチがオシレート中心位置C
に達したときのアーク長はLa11[mm]となり、ワイヤ
突き出し長はLx11[mm]となる。
【0023】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、上
述したようにアーク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら点線で示す直線A2上を左方向に移動する。一
方、ワイヤ突き出し長はチップ・被溶接物間距離の変化
に従ってLx11[mm]からLx12[mm]に徐々に減少す
る。溶接トーチがオシレート左端位置L0に達したとき
のアーク長はLa11[mm]となり、ワイヤ突き出し長は
Lx12[mm]となる。
【0024】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、上
述したようにアーク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら直線A2上を右方向に移動する。一方、ワイヤ突
き出し長はチップ・被溶接物間距離の変化に従ってLx1
2[mm]からLx11[mm]に徐々に増加する。溶接トーチ
がオシレート中心位置Cに達したときのアーク長はLa1
1[mm]となり、ワイヤ突き出し長はLx11[mm]とな
る。上述したように低周波オシレート時では、オシレー
ト位置Pに従ってワイヤ突き出し長は変化するが、アー
ク長は定電圧特性を有する溶接電源装置の自己制御作用
によって略一定値となる。
【0025】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す回路によってチップ・被溶接物間距離を算
出してその変化を示す図である。各オシレート位置Pに
おいて、アーク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、
その加算値としてチップ・被溶接物間距離が算出され
る。
【0026】オシレート中心位置Cは溶接線位置Wcと
一致しており、チップ・被溶接物間距離算出値は最大値
Lw11[mm]になる。溶接トーチがオシレート中心位置
Cからオシレート右端位置R0に向けてオシレートされ
ると、チップ・被溶接物間距離算出値は直線A3上を右
方向に移動して、オシレート右端位置R0では最小値L
w12[mm]になる。
【0027】溶接トーチがオシレート右端位置R0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は直線A3上を左方向に移
動して、オシレート中心位置Cでは最大値Lw11[mm]
になる。
【0028】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は直線A3上を左方向に移
動して、オシレート左端位置L0では最小値Lw12[m
m]になる。
【0029】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は直線A3上を右方向に移
動して、オシレート中心位置Cでは最大値Lw11[mm]
になる。
【0030】同図(D)は、オシレート位置Pの時間変
化を示しており、オシレート周波数2[Hz]の正弦波オ
シレートを行っていることを示している。同図(C)
は、同図(B)と対応させてチップ・被溶接物間距離算
出値の時間変化を示しており、算出値軌跡の周波数はオ
シレート周波数2[Hz]の2倍となる4[Hz]の正弦波
となる。チップ・被溶接物間距離算出値の最大値Lw11
[mm]となるオシレート位置P、この場合はオシレート
中心位置Cが溶接線位置Wcとなる。
【0031】図4は、図3と同じ2[Hz]の低周波オシ
レートを行い、オシレート中心位置Cが溶接線位置Wc
よりもCd1[mm]だけ右側に位置ずれ(以下、右位置ず
れという)しているときの、溶接ト―チのオシレ―ト位
置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示すオシ
レート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図であ
る。同図(A)は、オシレ−ト位置とチップ・被溶接物
間距離算出値との関係を示しており、同図(B)は、オ
シレート位置と被溶接物の表面位置、アーク長及びワイ
ヤ突き出し長との関係を示しており、同図(C)は、チ
ップ・被溶接物間距離算出値の時間変化を示しており、
同図(D)は、オシレート位置の時間変化を示してい
る。
【0032】同図(B)は、溶接トーチをオシレート中
心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート左
端位置L0の左右方向にオシレートさせたときのそれぞ
れのオシレート位置Pでのアーク長及びワイヤ突き出し
長を示している。図3と同様に、2[Hz]の低周波オシ
レートであるときは、チップ・被溶接物間距離の変化に
対して定電圧特性を有する溶接電源装置の自己制御作用
によってア−ク長は略一定値La11[mm]に維持され
る。
【0033】溶接トーチがオシレート中心位置Cにある
ときのアーク長はLa11[mm]になり、ワイヤ突き出し
長はLx21[mm]になる。この状態から溶接トーチがオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、上
述したようにア−ク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら点線で示す直線B1上を右方向に移動する。一
方、ワイヤ突き出し長はチップ・被溶接物間距離の変化
に従ってLx21[mm]から徐々に減少してオシレート右
端位置R0ではLx22[mm]になる。
【0034】溶接トーチがオシレート右端位置R0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、上
述したようにアーク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら直線B1上を左方向に移動する。一方、ワイヤ突
き出し長はチップ・被溶接物間距離の変化に従ってLx2
2[mm]から徐々に増加してオシレート中心位置Cでは
Lx21[mm]になる。
【0035】溶接トーチがオシレート中心位置Cから溶
接線位置Wcを通過してオシレート左端位置L0に向け
てオシレートされると、上述したようにアーク長は略一
定値La11[mm]を維持しながら点線で示す折れ線B2
上を左方向に移動する。一方、ワイヤ突き出し長は、チ
ップ・被溶接物間距離の変化に従ってLx21[mm]から
徐々に増加してオシレート位置L1で最大値Lx11[mm]
となった後に、徐々に減少してオシレート左端位置L0
ではLx23[mm]になる。
【0036】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
溶接線位置Wcを通過してオシレート中心位置Cに向け
てオシレートされると、上述したようにアーク長は略一
定値La11[mm]を維持しながら折れ線B2上を右方向
に移動する。一方、ワイヤ突き出し長は、チップ・被溶
接物間距離の変化に従ってLx23[mm]から徐々に増加
してオシレート位置L1で最大値Lx11[mm]となった後
に、徐々に減少してオシレート中心位置CではLx21[m
m]になる。
【0037】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す回路によってチップ・被溶接物間距離を算
出したものである。各オシレート位置Pにおいて、アー
ク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、その加算値と
してチップ・被溶接物間距離が算出される。
【0038】オシレート中心位置Cにおいて、チップ・
被溶接物間距離算出値はLw21[mm]になる。溶接トー
チがオシレート中心位置Cからオシレート右端位置R0
に向けてオシレートされると、チップ・被溶接物間距離
算出値は直線B3上を右方向に移動して、オシレート右
端位置R0では最小値Lw22[mm]になる。溶接トーチ
がオシレート右端位置R0からオシレート中心位置Cに
向けてオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算
出値は直線A3上を左方向に移動して、オシレート中心
位置ではLw21[mm]になる。
【0039】溶接トーチがオシレート中心位置Cから溶
接線位置Wcを通過してオシレート左端位置L0に向け
てオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値
は折れ線B4上を左方向に移動して徐々に増加し溶接線
位置Wcとなるオシレート位置L1で最大値Lw11[m
m]となった後に、徐々に減少してオシレート左端位置
L0ではLw23[mm]になる。溶接トーチがオシレート
左端位置L0から溶接線位置Wcを通過してオシレート
中心位置Cに向けてオシレートされると、チップ・被溶
接物間距離算出値は折れ線B4上を右方向に移動して徐
々に増加し溶接線位置Wcとなるオシレート位置L1で
最大値Lw11[mm]となった後に、徐々に減少してオシ
レート中心位置CではLw21[mm]になる。
【0040】このように、チップ・被溶接物間距離算出
値が最大値Lw11[mm]となるオシレート位置L1が溶
接線位置Wcとなり、右位置ずれしているのでオシレー
ト位置L1はオシレート中心位置Cよりも左側になる。
【0041】同図(D)は、オシレート位置Pの時間変
化を示しており、図3(D)と同じ2[Hz]の正弦波オ
シレートを行っていることを示している。
【0042】同図(C)は、同図(B)と対応させてチ
ップ・被溶接物間距離算出値の時間変化を示しており、
オシレート位置L1でチップ・被溶接物間距離算出値が
最大値Lw11[mm]になる。溶接トーチがオシレート中
心位置Cからオシレート位置L1までオシレートされる
のに要する位置ずれ時間Td1[s]を検出して、次式に
よって位置ずれ距離Cd[mm]が算出できる。 Cd=−1・(2・Ow・Of・Td) …(6) ここで、Ow[mm]はオシレート振幅であり、Of[H
z]はオシレート周波数であり、Td[s]は位置ずれ
時間である。また、右位置ずれのときの位置ずれ距離C
d[mm]の符号を負にするために−1を乗算している。
【0043】位置ずれ時間Td1[s]を(6)式に代入
すると、右位置ずれ距離Cd1[mm]が負数として求ま
る。この右位置ずれ距離Cd1[mm]が略0[mm]になる
ように、オシレート中心位置Cを左側に絶対値|Cd1|
[mm]だけ遷移させることによって溶接線位置Wcと一
致させることができる。
【0044】図5は、図3と同じ2[Hz]の低周波オシ
レートを行い、オシレート中心位置Cが溶接線位置Wc
よりもCd2[mm]だけ左側に位置ずれ(以下、左位置ず
れという)しているときの、溶接ト―チのオシレ―ト位
置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示すオシ
レート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図であ
る。同図(A)は、オシレ−ト位置とチップ・被溶接物
間距離算出値との関係を示しており、同図(B)は、オ
シレート位置と被溶接物の表面位置、アーク長及びワイ
ヤ突き出し長との関係を示しており、同図(C)は、チ
ップ・被溶接物間距離算出値の時間変化を示しており、
同図(D)は、オシレート位置の時間変化を示してい
る。
【0045】同図(B)は、溶接トーチをオシレート中
心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート左
端位置L0の左右方向にオシレートさせたときのそれぞ
れのオシレート位置Pでのアーク長及びワイヤ突き出し
長を示している。
【0046】図3と同様に、2[Hz]の低周波オシレー
トであるときは、チップ・被溶接物間距離の変化に対し
て定電圧特性を有する溶接電源装置の自己制御作用によ
ってア−ク長は略一定値La11[mm]に維持される。
【0047】溶接トーチがオシレート中心位置Cにある
ときのアーク長はLa11[mm]になり、ワイヤ突き出し
長はLx31[mm]になる。この状態から溶接トーチが溶
接線位置Wcを通過してオシレート右端位置R0に向け
てオシレートされると、上述したようにア−ク長は略一
定値La11[mm]を維持しながら点線で示す折れ線C1
上を右方向に移動する。一方、ワイヤ突き出し長はチッ
プ・被溶接物間距離の変化に従ってLx31[mm]から徐
々に増加して溶接線位置Wcとなるオシレート位置R1
で最大値Lx11[mm]となった後に、徐々に減少してオ
シレート右端位置R0ではLx32[mm]になる。
【0048】溶接トーチがオシレート右端位置R0から
溶接線位置Wcを通過してオシレート中心位置Cに向け
てオシレートされると、上述したようにアーク長は略一
定値La11[mm]を維持しながら折れ線C1上を左方向
に移動する。一方、ワイヤ突き出し長はチップ・被溶接
物間距離の変化に従ってLx32[mm]から徐々に増加し
て溶接線位置Wcとなるオシレート位置R1で最大値Lx
11[mm]となった後に、徐々に減少してオシレート中心
位置CではLx31[mm]になる。
【0049】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、上
述したようにアーク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら点線で示す直線C2上を左方向に移動する。一
方、ワイヤ突き出し長は、チップ・被溶接物間距離の変
化に従ってLx31[mm]から徐々に減少してオシレート
左端位置L0ではLx33[mm]になる。
【0050】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、上
述したようにアーク長は略一定値La11[mm]を維持し
ながら直線C2上を右方向に移動する。一方、ワイヤ突
き出し長は、チップ・被溶接物間距離の変化に従ってL
x33[mm]から徐々に増加してオシレート中心位置Cで
はLx31[mm]になる。
【0051】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す回路によってチップ・被溶接物間距離を算
出してその変化を示す図である。各オシレート位置Pに
おいて、アーク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、
その加算値としてチップ・被溶接物間距離が算出され
る。
【0052】オシレート中心位置Cにおいて、チップ・
被溶接物間距離算出値はLw31[mm]になる。溶接トー
チがオシレート中心位置Cから溶接線位置Wcを通過し
てオシレート右端位置R0に向けてオシレートされる
と、チップ・被溶接物間距離算出値は折れ線C3上を右
方向に移動して徐々に増加し溶接線位置WCとなるオシ
レート位置R1で最大値Lw11[mm]となった後に、徐
々に減少してオシレート右端位置R0ではLw32[mm]
になる。
【0053】溶接トーチがオシレート右端位置R0から
溶接線位置Wcを通過してオシレート中心位置Cに向け
てオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値
は折れ線C3上を左方向に移動して徐々に増加し溶接線
位置Wcとなるオシレート位置R1で最大値Lw11[m
m]となった後に、徐々に減少してオシレート中心位置
CではLw31[mm]になる。
【0054】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は直線C4上を左方向に移
動して徐々に減少してオシレート左端位置L0ではLw3
3[mm]になる。溶接トーチがオシレート左端位置L0
からオシレート中心位置Cに向けてオシレートされる
と、チップ・被溶接物間距離算出値は直線C4上を右方
向に移動して徐々に増加してオシレート中心位置Cでは
Lw31[mm]になる。
【0055】このように、チップ・被溶接物間距離算出
値が最大値Lw11[mm]となるオシレート位置R1が溶
接線位置Wcとなり、左位置ずれしているのでオシレー
ト位置R1はオシレート中心位置Cよりも右側になる。
【0056】同図(D)は、オシレート位置Pの時間変
化を示しており、図3(D)と同じ2[Hz]の正弦波オ
シレートを行っていることを示している。
【0057】同図(C)は、同図(B)と対応させてチ
ップ・被溶接物間距離算出値の時間変化を示しており、
オシレート位置R1でチップ・被溶接物間距離算出値が
最大値Lw11[mm]になる。溶接トーチがオシレート中
心位置Cからオシレート位置R1までオシレートされる
のに要する位置ずれ時間Td2[s]を検出して、次式に
よって位置ずれ距離Cd[mm]が算出できる。 Cd=2・Ow・Of・Td …(7) ここで、Ow[mm]はオシレート振幅であり、Of[H
z]はオシレート周波数であり、Td[s]は位置ずれ
時間である。また、左位置ずれのときの位置ずれ距離C
d[mm]の符号は正になる。
【0058】位置ずれ時間Td2[s]を(7)式に代入
すると、左位置ずれ距離Cd2[mm]が正数として求ま
る。この左位置ずれ距離Cd2[mm]が略0[mm]になる
ように、オシレート中心位置Cを右側に絶対値|Cd2|
[mm]だけ遷移させることによって溶接線位置Wcと一
致させることができる。
【0059】図3乃至図5で前述したように、従来技術
では以下の乃至で示す位置ずれ距離算出手段とで
示す溶接トーチ遷移手段とによって倣い制御することが
できる。 オシレート位置Pを算出又は検出して、このオシレー
ト位置Pに対応したチップ・被溶接物間距離を算出す
る。 オシレート1周期間で上記のチップ・被溶接物間距離
算出値が最大値となる最大値オシレート位置を算出す
る。 溶接トーチがオシレート中心位置Cから上記の最大値
オシレート位置までオシレートに要した位置ずれ時間T
dを検出する。 上記の最大値オシレート位置がオシレート中心位置よ
りも左側にあるときは(6)式によって、右側にあると
きは(7)式によって位置ずれ距離Cdを演算する。 算出された位置ずれ距離Cdの符号が負ならば左方向
に、正ならば右方向に、オシレート中心位置Cを絶対値
|Cd|だけ遷移させる。 上記の乃至をオシレート1周期毎に繰り返すこと
で、オシレート中心位置Cを溶接線に倣わすことができ
る。
【0060】
【発明が解決しようとする課題】前述した図2乃至図5
で示す従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方法及び
倣い制御方法では、以下の問題がある。
【0061】図6は、チップ・被溶接物間距離を変化さ
せたときのアーク長及びワイヤ突き出し長の変化を示し
ており、従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方法に
誤差が生じることを説明するためのチップ・被溶接物間
距離算出方法・誤差発生説明図である。同図(A)は、
チップ・被溶接物間距離を遅い変化速度で短くしたとき
のアーク長及びワイヤ突き出し長の変化を示しており、
同図(B)は、チップ・被溶接物間距離を速い変化速度
で短くしたときのアーク長及びワイヤ突き出し長の変化
を示しており、同図(C)は、チップ・被溶接物間距離
を遅い変化速度で長くしたときのアーク長及びワイヤ突
き出し長の変化を示しており、同図(D)は、チップ・
被溶接物間距離を速い変化速度で長くしたときのアーク
長及びワイヤ突き出し長の変化を示している。
【0062】同図(A)は、2[Hz]の1/4周期に相
当する125[ms]の遅い変化速度でチップ・被溶接物
間距離を短くした場合である。チップ・被溶接物間距離
を変化させる前の位置P1でのアーク長はLa41[mm]で
あり、ワイヤ突き出し長はLx41[mm]である。チップ
・被溶接物間距離の変化速度が遅いので、前述したよう
に定電圧特性を有する溶接電源装置の自己制御作用によ
ってア−ク長は略一定値La41[mm]を維持しながら直
線D1上を右方向に移動する。一方、ワイヤ突き出し長
はチップ・被溶接物間距離の変化に従ってLx41[mm]
から徐々に減少して位置P2ではLx42[mm]となる。
【0063】位置P2に達した時点でのアーク長が略一
定値La41[mm]になることは、位置P2におけるワイヤ
突き出し長の変化が収束して定常状態にあることを示し
ており、この状態ではワイヤ送給速度Wfとワイヤ溶融
速度vmとが等しくなる。
【0064】従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方
法を示す図2において、ワイヤ突き出し長演算回路LX
に相当する(1)式は、前述したようにワイヤ送給速度
Wfとワイヤ溶融速度vmが等しいことが前提条件とな
っている実験式である。従って、同図(A)の場合は前
提条件が合致するので、位置P2でのワイヤ突き出し長
Lx42[mm]及びアーク長La41[mm]は正確に算出で
き、その加算値であるチップ・被溶接物間距離算出値も
正確な値となる。
【0065】同図(B)は、5[Hz]の1/4周期に相
当する50[ms]の速い速度でチップ・被溶接物間距離
を短くした場合である。チップ・被溶接物間距離を変化
させる前の位置P1でのアーク長はLa41[mm]であり、
ワイヤ突き出し長はLx41[mm]であり、同図(A)と
同じである。チップ・被溶接物間距離の速い変化に対し
ても、アーク長は前述したように定電圧特性を有する溶
接電源装置の自己制御作用によってアーク長一定値を示
す直線D1上を移動しようとするが、ワイヤ突き出し長
が短くなる溶融速度がチップ・被溶接物間距離の変化速
度に追従できないために、実際のアーク長は直線D2上
を移動して位置P2ではLa42[mm]となり、ワイヤ突
き出し長はLx43[mm]となる。
【0066】上記のような過渡状態においては、ワイヤ
送給速度Wfよりもワイヤ溶融速度vmの方が大きくな
り、ワイヤ突き出し長はその差vm−Wfの溶融速度で
短くなる。つまり、チップ・被溶接物間距離の変化速度
にワイヤ突き出し長の溶融速度が追従できない過渡状態
ではWf≠vmとなる。
【0067】前述したように従来技術のチップ・被溶接
物間距離算出方法のワイヤ突き出し長演算回路LXに相
当する(1)式は、ワイヤ送給速度Wfとワイヤ溶融速
度vmとが等しいことが前提条件となっているが、同図
(B)のような過渡状態ではWf≠vmとなり前提条件
が成立しない。前提条件が成立しないにもかかわらず
(1)式を適用するので、位置P2でのワイヤ突き出し
長算出値は、真の値Lx43[mm]とは誤差のある同図
(A)に示す定常状態のときのLx42[mm]と略同じ値
となり、真の値よりも約ELx1[mm]だけ小さな値とし
て算出される。
【0068】次に、図2に示すワイヤ突き出し部電圧演
算回路VXに相当する(2)式によって、ワイヤ突き出
し部電圧算出値は、上記のワイヤ突き出し長算出値が実
際よりもELx1[mm]小さいので、真の値よりもEVx
a1=Rx・ELx1・Iwaだけ小さく算出される。さら
に、図2に示すアーク電圧演算回路VAに相当する
(3)式によって、アーク電圧算出値は、真の値よりも
EVaa1=EVxa1だけ大きく算出される。
【0069】続いて、図2に示すアーク長演算回路LA
に相当する(4)式に上記のEVaa1が代入されるが、
EVaa1によるアーク長算出値への影響は小さいため
に、結果的にはアーク長算出値はほぼ真の値La42[m
m]に近い値となる。最終的には、図2に示すアーク長
・ワイヤ突き出し長加算回路AXに相当する(5)式に
よって、チップ・被溶接物間距離算出値は、Lx42+La
42≒(Lx43−ELx1)+La42となり、真の値Lx43+
La42[mm]よりもELx1[mm]だけ小さく算出される
ことになり誤差が発生する。
【0070】同図(C)は、2[Hz]の1/4周期に相
当する125[ms]の遅い変化速度でチップ・被溶接物
間距離を長くした場合である。チップ・被溶接物間距離
を変化させる前の位置P2でのアーク長はLa43[mm]
であり、ワイヤ突き出し長はLx44[mm]である。チッ
プ・被溶接物間距離の変化速度が遅いので、前述したよ
うに定電圧特性を有する溶接電源装置の自己制御作用に
よってア−ク長は略一定値La43[mm]を維持しながら
直線D3上を左方向に移動する。一方、ワイヤ突き出し
長はチップ・被溶接物間距離の変化にともなってLx44
[mm]から徐々に増加して位置P1ではLx45[mm]と
なる。
【0071】位置P1に達した時点でのアーク長が略一
定値La43[mm]になることは、位置P1におけるワイ
ヤ突き出し長の変化が収束して定常状態にあることを示
しており、この状態ではワイヤ送給速度Wfとワイヤ溶
融速度vmとが等しくなる。
【0072】従来技術のチップ・被溶接物間距離算出方
法を示す図2において、ワイヤ突き出し長演算回路LX
に相当する(1)式は、前述したようにワイヤ送給速度
Wfとワイヤ溶融速度vmとが等しいことが前提条件と
なっている実験式である。従って、同図(C)の場合は
前提条件が合致するので、位置P1でのワイヤ突き出し
長Lx45[mm]及びアーク長La43[mm]は正確に算出で
き、その加算値であるチップ・被溶接物間距離算出値も
正確な値となる。
【0073】同図(D)は、5[Hz]の1/4周期に相
当する50[ms]の速い速度でチップ・被溶接物間距離
を長くした場合である。チップ・被溶接物間距離を変化
させる前の位置P2でのアーク長はLa43[mm]であ
り、ワイヤ突き出し長はLx44[mm]であり、同図
(C)と同じである。チップ・被溶接物間距離の速い変
化に対しても、アーク長は前述したように定電圧特性を
有する溶接電源装置の自己制御作用によってアーク長一
定値を示す直線D3上を移動しようとするが、ワイヤ突
き出し長が長くなる溶融速度がチップ・被溶接物間距離
の変化速度に追従できないために、実際のアーク長は直
線D4上を移動して位置P1ではLa44[mm]となり、
ワイヤ突き出し長はLx46[mm]となる。
【0074】上記のような過渡状態においては、ワイヤ
送給速度Wfよりもワイヤ溶融速度vmの方が小さくな
り、ワイヤ突き出し長はその差Wf−vmの溶融速度で
長くなる。つまり、チップ・被溶接物間距離の変化速度
にワイヤ突き出し長の溶融速度が追従できない過渡状態
ではWf≠vmとなる。
【0075】前述したように従来技術のチップ・被溶接
物間距離算出方法のワイヤ突き出し長演算回路LXに相
当する(1)式は、ワイヤ送給速度Wfとワイヤ溶融速
度vmとが等しいことが前提条件となっているが、同図
(D)のような過渡状態ではWf≠vmとなり前提条件
が成立しない。前提条件が成立しないにもかかわらず
(1)式を適用するので、位置P1でのワイヤ突き出し
長算出値は、真の値Lx46[mm]とは誤差のある同図
(B)に示す定常状態のときのLx45[mm]と略同じ値
となり、真の値よりも約ELx2[mm]だけ大きな値と
して算出される。
【0076】これ以降は、同図(B)の説明と同じであ
るので省略する。最終的には、チップ・被溶接物間距離
算出値は、Lx45+La44≒(Lx46+ELx2)+La44
となり、真の値Lx46+La44[mm]よりもELx2[m
m]だけ大きく算出されることになり誤差が発生する。
【0077】上述したように、従来技術のチップ・被溶
接物間距離算出方法は、チップ・被溶接物間距離の変化
が約3[Hz]以上に相当するような速い変化速度の場合
には、その算出値には誤差が発生して、正確な値を算出
することができない。つまり、チップ・被溶接物間距離
が速い変化速度で短くなるときのチップ・被溶接物間距
離算出値は真の値よりも小さな値として算出され、チッ
プ・被溶接物間距離が速い変化速度で長くなるときのチ
ップ・被溶接物間距離算出値は真の値よりも大きな値と
して算出される。このように従来技術のチップ・被溶接
物間距離算出方法では、チップ・被溶接物間距離の変化
速度が速いときはチップ・被溶接物間距離を正確に算出
できないので、その算出値をフィードバック制御するこ
とによってチップ・被溶接物間距離を一定値に制御する
ようなチップ・被溶接物間距離一定化制御方法には使用
できない。
【0078】次に、従来技術のチップ・被溶接物間距離
算出方法を使用して、溶接トーチをオシレートさせて倣
い制御を行う場合の問題点について以下に説明する。オ
シレート周波数が約3[Hz]未満の低周波オシレート時
には、図3乃至図5に示すように正確に算出されたチッ
プ・被溶接物間距離算出値が最大値となるオシレート位
置とオシレート中心位置との位置ずれ距離が略0[mm]
になるように、オシレート中心位置を左右に遷移させる
ことで倣い制御を行うことができる。
【0079】しかし、オシレート周波数が3[Hz]のと
きに使用できる最大の溶接速度は50[cm/min]程度と
なり、それ以上の溶接速度では溶接ビードにオシレート
による蛇行が見えるようになり使用できない。溶接速度
が50[cm/min]では実際の自動溶接では、鉄骨・橋梁
等の厚板溶接にしか使用できず、需要の多い薄板の高速
溶接には使用できない。
【0080】図7は、従来技術のチップ・被溶接物間距
離算出方法を使用して、オシレート周波数が5[Hz]の
中間周波オシレートを行ったときの溶接ト―チのオシレ
―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示
すオシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係
図である。同図(A)は、オシレ−ト位置とチップ・被
溶接物間距離算出値との関係を示しており、同図(B)
は、オシレート位置と被溶接物の表面位置、アーク長及
びワイヤ突き出し長との関係を示している。同図は、オ
シレート中心位置Cと溶接線位置Wcとが位置ずれなし
に一致している場合である。
【0081】同図(B)は、溶接トーチをオシレート中
心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート左
端位置L0の左右方向にオシレートさせたときの、それ
ぞれのオシレート位置Pでの実際のアーク長及びワイヤ
突き出し長を示している。溶接トーチがオシレート右端
位置R0にあるときのアーク長はLa51[mm]である。
この状態から溶接トーチがオシレート中心位置Cに向け
てオシレートされると、5[Hz]の中間周波オシレート
であるので図6で前述したように、ワイヤ突き出し長が
長くなる溶融速度がチップ・被溶接物間距離の変化速度
に追従できないために、アーク長はLa51[mm]よりも
長くなり曲線E1上を左方向に移動して、オシレート中
心位置CではLa52[mm]となる。
【0082】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートであるので図6で前述した
ように、ワイヤ突き出し長が短くなる溶融速度がチップ
・被溶接物間距離の変化速度に追従できないために、ア
ーク長はLa52[mm]よりも短くなり曲線E2上を左方
向に移動して、オシレート左端位置L0ではLa51[m
m]となる。
【0083】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長が長くなる溶融速度がチップ・被
溶接物間距離の変化速度に追従できないために、アーク
長はLa51[mm]よりも長くなり曲線E3上を右方向に
移動して、オシレート中心位置CではLa52[mm]とな
る。
【0084】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長が短くなる溶融速度がチップ・被
溶接物間距離の変化速度に追従できないために、アーク
長はLa52[mm]よりも短くなり曲線E4上を右方向に
移動して、オシレート右端位置R0ではLa51[mm]と
なる。
【0085】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す回路によってチップ・被溶接物間距離を算
出したものである。各オシレート位置Pにおいて、アー
ク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、その加算値と
してチップ・被溶接物間距離が算出される。しかし、こ
の場合は5[Hz]の中間周波オシレート時であるので図
6で前述したように、アーク長算出値は真の値とほぼ等
しくなるが、ワイヤ突き出し長算出値は真の値とは誤差
が発生するために、その加算値のチップ・被溶接物間距
離算出値にも誤差が含まれることになる。
【0086】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw51[mm]
である。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、5[Hz]の中間周波オシレートでは
図6で前述したように、チップ・被溶接物間距離算出値
に誤差が発生するので、チップ・被溶接物間距離算出値
は真の値を示す直線E5とは異なる曲線E7上を左方向
に移動する。チップ・被溶接物間距離算出値は、真の値
よりも大きな値に算出されて、オシレート位置R2で最
大値Lw52[mm]になった後に、再び小さくなりオシレ
ート中心位置CではLw53[mm]となる。
【0087】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
E6とは異なる曲線E8上を左方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも小さな値に算
出されて、最小値Lw54[mm]となった後に、再び大き
くなりオシレート左端位置L0ではLw51[mm]とな
る。
【0088】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
E6とは異なる曲線E9上を右方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも大きな値に算
出されて、オシレート位置L2で最大値Lw52[mm]に
なった後に、再び小さくなりオシレート中心位置Cでは
Lw53[mm]となる。
【0089】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
B5とは異なる曲線E10上を右方向に移動する。チッ
プ・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも小さな値に
算出されて、最小値Lw54[mm]となった後に、再び大
きくなりオシレート右端位置R0ではLw51[mm]とな
る。
【0090】このように、チップ・被溶接物間距離算出
値は溶接線位置Wcを交点とする8の字を横にした軌跡
を描くことになり、その算出値の最大値Lw52[mm]と
なるオシレート位置はR2及びL2と2箇所になって、
溶接線位置Wcとは一致せずにずれた位置になる。
【0091】図8は、従来技術のチップ・被溶接物間距
離算出方法を使用して、図7と同じ5[Hz]の中間周波
オシレートを行い、オシレート中心位置Cが溶接線位置
WcよりもCd1[mm]右位置ずれしているときの溶接ト
―チのオシレ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値
との関係を示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距
離算出値関係図である。同図(A)は、オシレ−ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置、アーク長及びワイヤ突き出し長との関係を示してい
る。
【0092】同図(B)は、溶接トーチをオシレート中
心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート左
端位置L0の左右方向にオシレートさせたときの、それ
ぞれのオシレート位置Pでの実際のアーク長及びワイヤ
突き出し長を示している。溶接トーチ4がオシレート右
端位置R0にあるときのアーク長がLa61[mm]であ
る。この状態から溶接トーチがオシレート中心位置Cに
向けてオシレートされると、5[Hz]の中間周波オシレ
ートでは図6で前述したように、ワイヤ突き出し長が長
くなる溶融速度がチップ・被溶接物間距離の変化速度に
追従できないために、アーク長はLa61[mm]よりも長
くなり曲線F1上を左方向に移動して、オシレート中心
位置CではLa62[mm]となる。
【0093】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・被溶接物間
距離の変化速度に追従できないために、アーク長は曲線
F2上を左方向に移動して、溶接線位置WcでLa63[m
m]となりオシレート左端位置L0ではLa64[mm]とな
る。
【0094】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・被溶接物間
距離の変化速度に追従できないために、アーク長は曲線
F3上を右方向に移動して、溶接線位置WcでLw63
[mm]となりオシレート中心位置CではLa65[mm]と
なり、左方向にオシレートされるときのオシレート中心
位置Cでのアーク長Lw62[mm]とは異なった値とな
る。
【0095】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長が短くなる溶融速度がチップ・被
溶接物間距離の変化速度に追従できないために、アーク
長は曲線F4上を右方向に移動して、オシレート右端位
置R0ではLw61[mm]となる。
【0096】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す手段によってチップ・被溶接物間距離算出
値を計算してその変化を示す図である。オシレート位置
Pに対応するアーク長及びワイヤ突き出し長が算出され
て、その加算値としてチップ・被溶接物間距離が算出さ
れる。しかし、この場合は5[Hz]と中間周波オシレー
ト時であるので図6で前述したように、アーク長算出値
は真の値とほぼ等しくなるが、ワイヤ突き出し長算出値
は真の値とは誤差が発生するために、その加算値のチッ
プ・被溶接物間距離算出値にも誤差が含まれることにな
る。
【0097】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw61[mm]
である。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、5[Hz]の中間周波オシレートでは
図6で前述したように、チップ・被溶接物間距離算出値
に誤差が発生するので、チップ・被溶接物間距離算出値
は真の値を示す直線F5とは異なる曲線F7上を左方向
に移動する。チップ・被溶接物間距離算出値は、真の値
よりも大きな値に算出されて、オシレート中心位置Cで
はLw62[mm]となる。
【0098】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
F6とは異なる曲線F8上を左方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、オシレート位置L3で最大
値Lw63[mm]となり溶接線位置WcではLw64[mm]と
なった後に、オシレート左端位置L0ではLw65[mm]
となる。
【0099】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
F6とは異なる曲線F9上を右方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、溶接線位置WcでLw64[m
m]となりオシレート中心位置CではLw66[mm]とな
り、左方向にオシレートされるときのオシレート中心位
置Cでのチップ・被溶接物間距離算出値Lw62[mm]と
は異なった値となる。
【0100】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
F5とは異なる曲線F10上を右方向に移動する。チッ
プ・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも小さな値に
算出されてオシレート右端位置R0ではLw61[mm]と
なる。
【0101】このように、チップ・被溶接物間距離算出
値は溶接線位置Wcを交点とする非対称な8の字を横に
した軌跡を描くことになり、その算出値の最大値Lw63
[mm]となるオシレート位置L3は溶接線位置Wcとは
一致せずにずれた位置になる。
【0102】図9は、従来技術のチップ・被溶接物間距
離算出方法を使用して、図7と同じ5[Hz]の中間周波
オシレートを行い、オシレート中心位置Cが溶接線位置
WcよりもCd2[mm]左位置ずれしているときの溶接ト
―チのオシレ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値
との関係を示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距
離算出値関係図である。同図(A)は、オシレ−ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置、アーク長及びワイヤ突き出し長との関係を示してい
る。
【0103】同図(B)は、溶接トーチをオシレート中
心位置Cからオシレート右端位置R0及びオシレート左
端位置L0の左右方向にオシレートさせたときのそれぞ
れのオシレート位置Pでの実際のアーク長及びワイヤ突
き出し長を示している。
【0104】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのアーク長がLa71[mm]である。この状態から
溶接トーチがオシレート中心位置Cに向けてオシレート
されると、5[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前
述したように、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・
被溶接物間距離の変化速度に追従できないために、アー
ク長は曲線G1上を左方向に移動して、溶接線位置Wc
でLa72[mm]となりオシレート中心位置CではLa73
[mm]となる。
【0105】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・被溶接物間
距離の変化速度に追従できないために、アーク長は曲線
G2上を左方向に移動して、オシレート左端位置L0で
はLa74[mm]となる。
【0106】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・被溶接物間
距離の変化速度に追従できないために、アーク長は曲線
G3上を右方向に移動して、オシレート中心位置Cでは
La75[mm]となり、左方向にオシレートされるときの
オシレート中心位置Cでのアーク長La73[mm]とは異
なった値となる。
【0107】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、ワイヤ突き出し長の溶融速度がチップ・被溶接物間
距離の変化速度に追従できないために、アーク長は曲線
G4上を右方向に移動して、オシレート右端位置R0で
はLa71[mm]となる。
【0108】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、平均溶接電流Iwa、平均ワイヤ送給速
度Wfa及び平均チップ・被溶接物間電圧Vwaを検出し
て図2に示す手段によってチップ・被溶接物間距離算出
値を計算してその変化を示す図である。オシレート位置
Pに対応するアーク長及びワイヤ突き出し長が算出され
て、その加算値としてチップ・被溶接物間距離が算出さ
れる。しかし、この場合は5[Hz]の中間周波オシレー
トであるので図6で前述したように、アーク長算出値は
真の値とほぼ等しくなるが、ワイヤ突き出し長算出値は
真の値とは誤差が発生するために、その加算値のチップ
・被溶接物間距離算出値にも誤差が含まれることにな
る。
【0109】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw71[mm]
である。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、5[Hz]の中間周波オシレートでは
図6で前述したように、チップ・被溶接物間距離算出値
に誤差が発生するので、チップ・被溶接物間距離算出値
は真の値を示す直線G5とは異なる曲線G7上を左方向
に移動する。チップ・被溶接物間距離算出値は、溶接線
位置WcでLw72[mm]となりオシレート中心位置Cで
はLw73[mm]となる。
【0110】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート左端位置L0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
G6とは異なる曲線G8上を左方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも小さく算出さ
れてオシレート左端位置L0ではLw74[mm]となる。
【0111】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
G6とは異なる曲線G9上を右方向に移動する。チップ
・被溶接物間距離算出値は、真の値よりも大きく算出さ
れてオシレート中心位置CではLw75[mm]となり、左
方向にオシレートされるときのオシレート中心位置Cで
のチップ・被溶接物間距離算出値Lw73[mm]とは異な
った値となる。
【0112】溶接トーチがオシレート中心位置Cからオ
シレート右端位置R0に向けてオシレートされると、5
[Hz]の中間周波オシレートでは図6で前述したよう
に、チップ・被溶接物間距離算出値に誤差が発生するの
で、チップ・被溶接物間距離算出値は真の値を示す直線
G5とは異なる曲線G10上を右方向に移動する。チッ
プ・被溶接物間距離算出値は、オシレート位置R3で最
大値Lw76[mm]となり溶接線位置WcではLw72[mm]
となり、その後に最小値となった後に再び大きくなりオ
シレート右端位置R0ではLw71[mm]となる。
【0113】このように、チップ・被溶接物間距離算出
値は溶接線位置Wcを交点とする非対称な8の字を横に
した軌跡を描くことになり、その算出値の最大値Lw76
[mm]となるオシレート位置R3は溶接線位置Wcとは
一致せずにずれた位置になる。
【0114】上述したように中間周波オシレート時で
は、図3乃至図5で前述した従来技術の倣い制御方法は
使用できない。従来技術の倣い制御方法では、チップ・
被溶接物間距離算出値が最大値となる最大値オシレート
位置と溶接線位置Wcとが一致している必要がある。し
かし、上述したように位置ずれのない図7の場合では算
出値が最大値となる最大値オシレート位置R2及びL2
は溶接線位置Wcと一致しない。また、右位置ずれの図
8の場合では算出値が最大値となる最大値オシレート位
置L3も溶接線位置Wcと一致しないし、左位置ずれの
図9の場合では算出値が最大値となる最大値オシレート
位置R3も溶接線位置Wcと一致しない。従って、従来
技術の倣い制御方法は使用できない。
【0115】そこで、従来技術の倣い制御方法を改善し
た別の従来技術について以下に説明した後に、その改善
従来技術の倣い制御方法でも問題があることを説明す
る。改善従来技術の倣い制御方法は、溶接トーチがオシ
レート中心位置からオシレート右端位置までオシレート
されるときのチップ・被溶接物間距離算出値の積分値S
1と、オシレート右端位置からオシレート中心位置まで
オシレートされるときのチップ・被溶接物間距離算出値
の積分値S2とを算出して、それら2つの積分値の差S
R=S2−S1を演算する。さらに、オシレート中心位
置からオシレート左端位置までオシレートされるときの
チップ・被溶接物間距離算出値の積分値S3と、オシレ
ート左端位置からオシレート中心位置までオシレートさ
れるときのチップ・被溶接物間距離算出値の積分値S4
とを算出して、それら2つの積分値の差SL=S4−S
3を演算した後に、位置ずれ積分値Sd=SR−SLを
演算してその値が0になるようにオシレート中心位置を
左右方向に遷移させることで倣い制御を行う。
【0116】図10は、右位置ずれしている図8の場合
において上記の位置ずれ積分値Sdの算出方法を説明す
る位置ずれ積分値算出方法説明図である。同図(A)
は、溶接トーチがオシレート中心位置Cからオシレート
右端位置R0までオシレートされるときのチップ・被溶
接物間距離算出値の積分値S11を示しており、同図
(B)は、オシレート右端位置R0からオシレート中心
位置Cまでオシレートされるときのチップ・被溶接物間
距離算出値の積分値S12を示しており、同図(C)は、
上記の2つの積分値の差SR1=S12−S11を示してお
り、同図(D)は、オシレート中心位置Cからオシレー
ト左端位置L0までオシレートされるときのチップ・被
溶接物間距離算出値の積分値S13を示しており、同図
(E)は、オシレート左端位置L0からオシレート中心
位置Cまでオシレートされるときのチップ・被溶接物間
距離算出値の積分値S14を示しており、同図(F)は、
上記の2つの積分値の差SL1=S14−S13となる後述
する面積SL11及びSL12を示している。
【0117】同図(C)に示す右側積分値の差SR1
は、右側半分をオシレートしているときのチップ・被溶
接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分の面積と
なる。また、同図(F)に示す左側積分値の差SL1
は、チップ・被溶接物間距離算出値の軌跡によって囲ま
れた2つの部分の面積SL11及びSL12の差SL1=S
L12−SL11となる。従って、位置ずれ積分値Sd1=S
R1−SL1=SR1−(SL12−SL11)となるの
で、右位置ずれしているときの位置ずれ積分値Sd1の符
号は正となり、その絶対値は位置ずれ距離に比例する。
【0118】図11は、左位置ずれしている図9の場合
において位置ずれ積分値Sdの算出方法を説明する位置
ずれ積分値算出方法説明図である。同図に示す右側積分
値の差SR2は、右側半分をオシレートしているときの
チップ・被溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた
2つの部分の面積SR21及びSR22の差SR2=SR22
−SR21となり、左側積分値の差SL2は、左側半分を
オシレートしているときのチップ・被溶接物間距離算出
値の軌跡によって囲まれた部分の面積となる。従って、
位置ずれ積分値Sd2=SR2−SL2=(SR22−SR
21)−SL2となるので、左位置ずれしているときの位
置ずれ積分値Sd2の符号は負となり、その絶対値は位置
ずれ距離に比例する。
【0119】図12は、位置ずれなしの図7の場合にお
いて位置ずれ積分値Sdの算出方法を説明する位置ずれ
積分値算出方法説明図である。同図に示す右側積分値の
差SR3は、右側半分をオシレートしているときのチッ
プ・被溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分
の面積となり、左側積分値の差SL3は、左側半分をオ
シレートしているときのチップ・被溶接物間距離算出値
の軌跡によって囲まれた部分の面積となり、位置ずれな
しのときの右側積分値の差SR3と左側積分値の差SL
3とは等しくなる。従って、位置ずれ積分値Sd3=SR
3−SL3となるので、位置ずれなしのときの位置ずれ
積分値Sd3は0となる。
【0120】上述した図10乃至図12に示したよう
に、位置ずれ積分値Sdは、右位置ずれしているときに
正数となり、左位置ずれしているときに負数となり、位
置ずれなしのときに0となり、その絶対値は位置ずれ距
離に比例する。従って、位置ずれ積分値Sdが0になる
方向にオシレート中心位置を遷移させることで、倣い制
御することができる。
【0121】次に、上述した改善従来技術の倣い制御方
法の問題点について以下に説明する。改善従来技術の倣
い制御方法では、位置ずれ積分値Sdをフィードバック
して倣い制御を行っているので倣い精度、位置ずれ補正
時間等の制御性能を良好にするためには、オシレート条
件、平均溶接電流、平均チップ・被溶接物間電圧等の種
々の溶接施工条件において実際の位置ずれ距離Cdが同
一値であれば位置ずれ積分値Sdの絶対値も同一値とな
る単一の関数Cd=f(Sd)になる必要がある。この
理由は、同じ位置ずれ距離Cdに対してフィードバック
量となる位置ずれ積分値Sdが溶接施工条件毎に変化す
ると、制御性能を最適化するためには溶接施工条件毎に
制御パラメータのチューニングをする必要があるためで
ある。
【0122】図13は、右位置ずれしている場合におい
てオシレート周波数Ofが位置ずれ積分値Sdに及ぼす
影響を説明するためのオシレート周波数・位置ずれ積分
値関係図であり、同図(A)は、オシレート周波数が5
[Hz]の場合のチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡を
示しており、同図(B)は、オシレート周波数が10
[Hz]の場合のチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡を
示している。同図(A)及び同図(B)の位置ずれ距離
はCd1[mm]であり同一値であり、オシレート周波数以
外の溶接施工条件は同一である。チップ・被溶接物間距
離算出値が8の字の軌跡を描くのは、前述したようにワ
イヤ突き出し長の溶融速度とチップ・被溶接物間距離の
変化速度との差によって算出値に誤差が発生するからで
あり、従って算出値の軌跡はチップ・被溶接物間距離の
変化速度つまりオシレート周波数によって変化すること
になる。
【0123】同図(A)において、右側積分値の差SR
1は、右側半分をオシレートしているときのチップ・被
溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分の面積
となり、左側積分値の差SL1は、左側半分をオシレー
トしているときのチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡
によって囲まれた2つ部分の面積SL11及びSL12の差
SL1=SL12−SL11となり、位置ずれ積分値Sd1=
SR1−SL1=SR1−(SL12−SL11)となる。
【0124】同図(B)において、右側積分値の差SR
4は、右側半分をオシレートしているときのチップ・被
溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分の面積
となり、左側積分値の差SL4は、左側半分をオシレー
トしているときのチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡
によって囲まれた2つの部分の面積SL41及びSL42の
差SL4=SL42−SL41となり、位置ずれ積分値Sd4
=SR4−SL4=SR4−(SL42−SL41)とな
る。しかし、同図(A)及び同図(B)で示すようにチ
ップ・被溶接物間距離算出値の軌跡はオシレート周波数
によって異なるためにSR1≠SR4、SL12≠SL42
及びSL11≠SL41でありSd1≠Sd4となるので位置ず
れ距離Cd1[mm]が同一であっても位置ずれ積分値は異
なる値となる。
【0125】図14は、右位置ずれしている場合におい
てオシレート振幅Owが位置ずれ積分値Sdに及ぼす影
響を説明するためのオシレート振幅・位置ずれ積分値関
係図であり、同図(A)は、オシレート振幅がOw1[m
m]の場合のチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡を示
しており、同図(B)は、オシレート振幅がOw2[mm]
の場合のチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡を示して
いる。同図(A)及び同図(B)の位置ずれ距離はCd1
[mm]であり同一であり、オシレート振幅以外の溶接施
工条件は同一である。
【0126】同図(A)において、右側積分値の差SR
1は、右側半分をオシレートしているときのチップ・被
溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分の面積
となり、左側積分値の差SL1は、左側半分をオシレー
トしているときのチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡
によって囲まれた2つ部分の面積SL11及びSL12の差
SL1=SL12−SL11となり、位置ずれ積分値Sd1=
SR1−SR1=SR1−(SL12−SL11)となる。
【0127】同図(B)において、右側積分値の差SR
5は、右側半分をオシレートしているときのチップ・被
溶接物間距離算出値の軌跡によって囲まれた部分の面積
となり、左側積分値の差SL5は、左側半分をオシレー
トしているときのチップ・被溶接物間距離算出値の軌跡
によって囲まれた2つの部分の面積SL51及びSL52の
差SL5=SL52−SL51となり、位置ずれ積分値Sd5
=SR5−SL5=SR5−(SL52−SL51)とな
る。しかし、同図(A)及び同図(B)で示すようにチ
ップ・被溶接物間距離算出値の軌跡はオシレート振幅に
よって異なるためにSR1≠SR5、SL12≠SL52及
びSL11≠SL51でありSd1≠Sd5となるので位置ずれ
距離Cd1[mm]が同一であっても位置ずれ積分値は異な
る値となる。
【0128】上述したように、同一値の位置ずれ距離C
dであってもオシレート周波数及びオシレート振幅によ
って位置ずれ積分値Sdは異なった値となる。また、平
均溶接電流、平均チップ・被溶接物間電圧、被溶接物の
継ぎ手形状等の溶接施工条件によっても位置ずれ積分値
Sdは影響を受ける。従って、上記のような位置ずれ積
分値Sdをフィードバックして倣い制御を行っているの
で、倣い精度、位置ずれ補正時間等の制御性能を最適化
するには、それぞれの溶接施工条件毎にフィードバック
系の制御パラメータをチューニングする必要がある。し
かし、実際には種々の溶接施工条件毎に制御パラメータ
を最適化することは非常に煩雑でありかつ困難であるの
で、最適値でない状態で使用していることも多く、その
ために倣い制御の適用範囲も限定されている。
【0129】以上、上述したように、従来技術のチップ
・被溶接物間距離算出方法ではチップ・被溶接物間距離
変化速度が速くなるとその算出値に誤差が発生して正確
な値を算出できなくなる。また、上記の算出方法を使用
した改善従来術の倣い制御方法では、位置ずれ距離の代
替値となる位置ずれ積分値を算出する方法が複雑であ
り、しかも倣いの制御性能を最適化するには種々の溶接
施工条件毎の制御パラメータのチューニングが必要であ
った。
【0130】そこで、本発明の目的は、チップ・被溶接
物間距離の変化速度に影響されずに正確なチップ・被溶
接物間距離を算出できる方法を提供すると共に、その算
出方法を使用して高精度で広い適用範囲を持つ使い勝手
の良い倣い制御方法及び装置を提供することである。
【0131】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1のチッ
プ・被溶接物間距離算出方法は、図15に示すように第
n回目の算出時に、検出した溶接電流Iwと第1回目の
算出時は予め設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0とな
る前回算出された前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)
とを入力として、ワイヤ溶融速度算出値vmを出力する
ワイヤ溶融速度演算過程と、検出又は予め設定したワイ
ヤ送給速度Wfと上記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入
力として、ワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLxを出力
するワイヤ突き出し長変化分演算過程と、上記ワイヤ突
き出し長変化分算出値ΔLxと上記前回ワイヤ突き出し
長算出値Lx(n-1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算
出値Lxを出力するワイヤ突き出し長変化分加算演算過
程と、上記ワイヤ突き出し長算出値Lxと上記溶接電流
Iwとを入力として、ワイヤ突き出し部電圧算出値Vx
を出力するワイヤ突き出し部電圧演算過程と、検出した
チップ・被溶接物間電圧Vwと上記ワイヤ突き出し部電
圧算出値Vxとを入力として、アーク電圧算出値Vaを
出力するアーク電圧演算過程と、上記アーク電圧算出値
Vaと上記溶接電流Iwとを入力として、アーク長算出
値Laを出力するアーク長演算過程と、上記アーク長算
出値Laと上記ワイヤ突き出し長算出値Lxとを入力と
して、チップ・被溶接物間距離算出値Lwを出力するア
ーク長・ワイヤ突き出し長加算演算過程とを繰り返し行
うチップ・被溶接物間距離算出方法である。
【0132】出願時の請求項2のチップ・被溶接物間距
離算出方法は、図15に示すように第n回目の算出時
に、検出した溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め設
定したワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出され
た前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力とし
て、予め設定した定数α及びβによってワイヤ溶融速度
算出値vm=α・Iw+β・Lx(n-1)・Iw2であるワ
イヤ溶融速度演算過程と、検出又は予め設定したワイヤ
送給速度Wfと上記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力
として、予め設定した定数ΔTによってワイヤ突き出し
長変化分算出値ΔLx=(Wf−vm)・ΔTであるワ
イヤ突き出し長変化分演算過程と、上記ワイヤ突き出し
長変化分算出値ΔLxと上記前回ワイヤ突き出し長算出
値Lx(n-1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値L
x=Lx(n-1)+ΔLxであるワイヤ突き出し長変化分加
算演算過程と、上記ワイヤ突き出し長算出値Lxと上記
溶接電流Iwとを入力として、予め設定した定数Rxに
よってワイヤ突き出し部電圧算出値Vx=Rx・Lx・
Iwであるワイヤ突き出し部電圧演算過程と、検出した
チップ・被溶接物間電圧Vwと上記ワイヤ突き出し部電
圧算出値Vxとを入力として、アーク電圧算出値Va=
Vw−Vxであるアーク電圧演算過程と、上記アーク電
圧算出値Vaと上記溶接電流Iwとを入力として、予め
設定した定数a乃至dによってアーク長算出値La=
(Va−a−c・Iw)/(b+d・Iw)であるアー
ク長演算過程と、上記アーク長算出値Laと上記ワイヤ
突き出し長算出値Lxとを入力として、チップ・被溶接
物間距離算出値Lw=Lx+Laであるアーク長・ワイ
ヤ突き出し長加算演算過程とを繰り返し行うチップ・被
溶接物間距離算出方法である。
【0133】出願時の請求項3の溶接線倣い制御方法
は、図16乃至図18に示すように、溶接トーチのオシ
レート位置Pを算出又は検出すると共に第n回目のチッ
プ・被溶接物間距離算出時に、検出した溶接電流Iwと
第1回目の算出時は予め設定したワイヤ突き出し長初期
値Lx0となる前回算出された前回ワイヤ突き出し長算出
値Lx(n-1)とを入力として、ワイヤ溶融速度算出値vm
を出力するワイヤ溶融速度演算過程と、検出又は予め設
定したワイヤ送給速度Wfと上記ワイヤ溶融速度算出値
vmとを入力として、ワイヤ突き出し長変化分算出値Δ
Lxを出力するワイヤ突き出し長変化分演算過程と、上
記ワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLxと上記前回ワイ
ヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力として、ワイヤ突
き出し長算出値Lxを出力するワイヤ突き出し長変化分
加算演算過程と、上記ワイヤ突き出し長算出値Lxと上
記溶接電流Iwとを入力として、ワイヤ突き出し部電圧
算出値Vxを出力するワイヤ突き出し部電圧演算過程
と、検出したチップ・被溶接物間電圧Vwと上記ワイヤ
突き出し部電圧算出値Vxとを入力として、アーク電圧
算出値Vaを出力するアーク電圧演算過程と、上記アー
ク電圧算出値Vaと上記溶接電流Iwとを入力として、
アーク長算出値Laを出力するアーク長演算過程と、上
記アーク長算出値Laと上記ワイヤ突き出し長算出値L
xとを入力として、チップ・被溶接物間距離算出値Lw
を出力するアーク長・ワイヤ突き出し長加算演算過程
と、オシレート1周期間の上記オシレート位置Pとこの
オシレート位置Pに対応した上記チップ・被溶接物間距
離算出値Lwとを入力として、オシレート中心位置Cと
溶接線位置Wcとの位置ずれ距離算出値Cdを出力する
位置ずれ距離算出過程と、上記位置ずれ距離算出値Cd
が略零又は予め設定した目標値になるようにオシレート
中心位置Cを左右に遷移させて溶接線に倣わせる溶接線
倣い制御方法である。
【0134】出願時の請求項4の溶接線倣い制御方法
は、図16乃至図18に示すように、位置ずれ距離算出
過程が、チップ・被溶接物間距離算出値Lwが最大値と
なる最大値オシレート位置とオシレート中心位置Cとの
位置ずれ距離算出値Cdを出力する算出過程である出願
時請求項3の溶接線倣い制御方法である。
【0135】出願時の請求項5の溶接線倣い制御方法
は、図16乃至図18に示すように、溶接トーチのオシ
レート位置Pを算出又は検出すると共に第n回目のチッ
プ・被溶接物間距離算出時に、検出した溶接電流Iwと
第1回目の算出時は予め設定したワイヤ突き出し長初期
値Lx0となる前回算出された前回ワイヤ突き出し長算出
値Lx(n-1)とを入力として、予め設定した定数α及びβ
によってワイヤ溶融速度算出値vm=α・Iw+β・L
x(n-1)・Iw2であるワイヤ溶融速度演算過程と、検出
又は予め設定したワイヤ送給速度Wfと上記ワイヤ溶融
速度算出値vmとを入力として、予め設定した定数ΔT
によってワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLx=(Wf
−vm)・ΔTであるワイヤ突き出し長変化分演算過程
と、上記ワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLxと上記前
回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力として、ワ
イヤ突き出し長算出値Lx=Lx(n-1)+ΔLxであるワ
イヤ突き出し長変化分加算演算過程と、上記ワイヤ突き
出し長算出値Lxと上記溶接電流Iwとを入力として、
予め設定した定数Rxによってワイヤ突き出し部電圧算
出値Vx=Rx・Lx・Iwであるワイヤ突き出し部電
圧演算過程と、検出したチップ・被溶接物間電圧Vwと
上記ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入力として、
アーク電圧算出値Va=Vw−Vxであるアーク電圧演
算過程と、上記アーク電圧算出値Vaと上記溶接電流I
wとを入力として、予め設定した定数a乃至dによって
アーク長算出値La=(Va−a−c・Iw)/(b+
d・Iw)であるアーク長演算過程と、上記アーク長算
出値Laと上記ワイヤ突き出し長算出値Lxとを入力と
して、チップ・被溶接物間距離算出値Lw=Lx+La
であるアーク長・ワイヤ突き出し長加算演算過程と、オ
シレート1周期間の上記オシレート位置Pとこのオシレ
ート位置Pに対応した上記チップ・被溶接物間距離算出
値Lwとを入力として、オシレート中心位置Cと溶接線
位置Wcとの位置ずれ距離算出値Cdを出力する位置ず
れ距離算出過程と、上記位置ずれ距離算出値Cdが略零
又は予め設定した目標値になるようにオシレート中心位
置Cを左右に遷移させて溶接線に倣わせる溶接線倣い制
御方法である。
【0136】出願時の請求項6の溶接線倣い制御方法
は、図16乃至図18に示すように、位置ずれ距離算出
過程が、チップ・被溶接物間距離算出値Lwが最大値と
なる最大値オシレート位置とオシレート中心位置Cとの
位置ずれ距離算出値Cdを出力する算出過程である出願
時請求項5の溶接線倣い制御方法である。
【0137】出願時の請求項7の溶接線倣い制御装置
は、図19乃至図22に示すように、溶接トーチのオシ
レート位置Pの算出回路又は検出回路と、溶接電流Iw
の検出回路IDと、第n回目のチップ・被溶接物間距離
算出時に、上記溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め
設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出さ
れた前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力とし
て、ワイヤ溶融速度算出値vmを出力するワイヤ溶融速
度演算回路VMと、ワイヤ送給速度Wfの検出回路FD
又は設定回路と、上記ワイヤ送給速度Wfと上記ワイヤ
溶融速度算出値vmとを入力として、ワイヤ突き出し長
変化分算出値ΔLxを出力するワイヤ突き出し長変化分
演算回路DLXと、上記ワイヤ突き出し長変化分算出値
ΔLxと上記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを
入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lxを出力するワ
イヤ突き出し長変化分加算回路DXと、上記ワイヤ突き
出し長算出値Lxと上記溶接電流Iwとを入力として、
ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxを出力するワイヤ突き
出し部電圧演算回路VXと、チップ・被溶接物間電圧V
wの検出回路VDと、上記チップ・被溶接物間電圧Vw
と上記ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入力とし
て、アーク電圧算出値Vaを出力するアーク電圧演算回
路VAと、上記アーク電圧算出値Vaと上記溶接電流I
wとを入力として、アーク長算出値Laを出力するアー
ク長演算回路LAと、上記アーク長算出値Laと上記ワ
イヤ突き出し長算出値Lxとを入力として、チップ・被
溶接物間距離算出値Lwを出力するアーク長・ワイヤ突
き出し長加算回路AXと、オシレート1周期間の上記オ
シレート位置Pとこのオシレート位置Pに対応した上記
チップ・被溶接物間距離算出値Lwとを入力として、オ
シレート中心位置Cと溶接線位置Wcとの位置ずれ距離
算出値Cdを出力する位置ずれ距離算出回路CDと、上
記位置ずれ距離算出値Cdが略零又は予め設定した目標
値になるように溶接トーチのオシレート中心位置Cを左
右に遷移させる溶接トーチ遷移手段とから構成される溶
接線倣い制御装置である。
【0138】出願時の請求項8の溶接線倣い制御装置
は、図19乃至図22に示すように、位置ずれ距離算出
回路CDが、チップ・被溶接物間距離算出値Lwが最大
値となる最大値オシレート位置とオシレート中心位置C
との位置ずれ距離算出値Cdを出力する算出回路である
出願時請求項7の溶接線倣い制御装置である。
【0139】出願時の請求項9の溶接線倣い制御装置
は、図19乃至図22に示すように、溶接トーチのオシ
レート位置Pの算出回路又は検出回路と、溶接電流Iw
の検出回路IDと、第n回目のチップ・被溶接物間距離
算出時に、上記溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め
設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出さ
れた前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力とし
て、予め設定した定数α及びβによってワイヤ溶融速度
算出値vm=α・Iw+β・Lx(n-1)・Iw2であるワ
イヤ溶融速度演算回路VMと、ワイヤ送給速度Wfの検
出回路FD又は設定回路と、上記ワイヤ送給速度Wfと
上記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力として、予め設
定した定数ΔTによってワイヤ突き出し長変化分算出値
ΔLx=(Wf−vm)・ΔTであるワイヤ突き出し長
変化分演算回路DLXと、上記ワイヤ突き出し長変化分
算出値ΔLxと上記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-
1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lx=Lx
(n-1)+ΔLxであるワイヤ突き出し長変化分加算回路
DXと、上記ワイヤ突き出し長算出値Lxと上記溶接電
流Iwとを入力として、予め設定した定数Rxによって
ワイヤ突き出し部電圧算出値Vx=Rx・Lx・Iwで
あるワイヤ突き出し部電圧演算回路VXと、チップ・被
溶接物間距離電圧Vwの検出回路VDと、上記チップ・
被溶接物間電圧Vwと上記ワイヤ突き出し部電圧算出値
Vxとを入力として、アーク電圧算出値Va=Vw−V
xであるアーク電圧演算回路VAと、上記アーク電圧算
出値Vaと上記溶接電流Iwとを入力として、予め設定
した定数a乃至dによってアーク長算出値La=(Va
−a−c・Iw)/(b+d・Iw)であるアーク長演
算回路LAと、上記アーク長算出値Laと上記ワイヤ突
き出し長算出値Lxとを入力として、チップ・被溶接物
間距離算出値Lw=Lx+Laであるアーク長・ワイヤ
突き出し長加算演算回路と、オシレート1周期間の上記
オシレート位置Pとこのオシレート位置Pに対応した上
記チップ・被溶接物間距離算出値Lwとを入力として、
オシレート中心位置Cと溶接線位置Wcとの位置ずれ距
離算出値Cdを出力する位置ずれ距離算出回路CDと、
上記位置ずれ距離算出値Cdが略零又は予め設定した目
標値になるように溶接トーチのオシレート中心位置Cを
左右に遷移させる溶接トーチ遷移手段とから構成される
溶接線倣い制御装置である。
【0140】出願時の請求項10の溶接線倣い制御装置
は、図19乃至図22に示すように、位置ずれ距離演算
回路CDが、チップ・被溶接物間距離算出値Lwが最大
値となる最大値オシレート位置とオシレート中心位置C
との位置ずれ距離算出値Cdを出力する算出回路である
出願時請求項9の溶接線倣い制御装置である。
【0141】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、図19乃
至図22に示すように、溶接トーチのオシレート位置P
の算出回路又は検出回路と、溶接電流Iwの検出回路I
Dと、第n回目のチップ・被溶接物間距離算出時に、上
記溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め設定したワイ
ヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出された前回ワイ
ヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力として、予め設定
した定数α及びβによってワイヤ溶融速度算出値vm=
α・Iw+β・Lx(n-1)・Iw2であるワイヤ溶融速度
演算回路VMと、ワイヤ送給速度Wfの検出回路FD又
は設定回路と、上記ワイヤ送給速度Wfと上記ワイヤ溶
融速度算出値vmとを入力として、予め設定した定数Δ
Tによってワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLx=(W
f−vm)・ΔTであるワイヤ突き出し長変化分演算回
路DLXと、上記ワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLx
と上記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力と
して、ワイヤ突き出し長算出値Lx=Lx(n-1)+ΔLx
であるワイヤ突き出し長変化分加算回路DXと、上記ワ
イヤ突き出し長算出値Lxと上記溶接電流Iwとを入力
として、予め設定した定数Rxによってワイヤ突き出し
部電圧算出値Vx=Rx・Lx・Iwであるワイヤ突き
出し部電圧演算回路VXと、チップ・被溶接物間距離電
圧Vwの検出回路VDと、上記チップ・被溶接物間電圧
Vwと上記ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入力と
して、アーク電圧算出値Va=Vw−Vxであるアーク
電圧演算回路VAと、上記アーク電圧算出値Vaと上記
溶接電流Iwとを入力として、予め設定した定数a乃至
dによってアーク長算出値La=(Va−a−c・I
w)/(b+d・Iw)であるアーク長演算回路LA
と、上記アーク長算出値Laと上記ワイヤ突き出し長算
出値Lxとを入力として、チップ・被溶接物間距離算出
値Lw=Lx+Laであるアーク長・ワイヤ突き出し長
加算演算回路と、オシレート1周期間の上記オシレート
位置Pとこのオシレート位置Pに対応した上記チップ・
被溶接物間距離算出値Lwとを入力として、オシレート
中心位置Cと溶接線位置Wcとの位置ずれ距離算出値C
dを出力する位置ずれ距離算出回路CDと、上記位置ず
れ距離算出値Cdが略零又は予め設定した目標値になる
ように溶接トーチのオシレート中心位置Cを左右に遷移
させる溶接トーチ遷移手段とから構成される溶接線倣い
制御装置である。
【0142】
【実施例】前述した従来技術のチップ・被溶接物間距離
算出方法は、ワイヤ溶融速度とワイヤ送給速度とが常に
等しいことが前提条件となっているので、その前提条件
が成立しなくなるチップ・被溶接物間距離の変化速度が
速いときには正確な算出ができない。それに対して本発
明の算出方法は、微小時間毎のワイヤ溶融速度を演算で
求めてワイヤ送給速度との差を演算することによってワ
イヤ突き出し長の変化を算出することができるために、
チップ・被溶接物間距離の変化速度が速いときでも正確
にチップ・被溶接物間距離を算出できる。
【0143】本発明のチップ・被溶接物間距離算出方法
では、従来技術での平均値ではなく瞬時値の溶接電流I
w、ワイヤ送給速度Wf及びチップ・被溶接物間電圧V
wを溶接中に微小時間ΔT毎に検出して、それらの検出
値から複数回の演算を行い微小時間ΔT毎のチップ・被
溶接物間距離を算出する。以下にその算出方法に使用す
る演算を示す。
【0144】微小時間ΔT[s]毎にチップ・被溶接物
間距離の算出を行っているときの第n回目の演算は次の
ようになる。ワイヤ溶融速度vm[mm/s]は、実験によ
って次式で表わされることが知られている。 vm(n)=α・Iw(n)+β・Lx(n-1)・Iw(n)2 …(8) ここで、α[mm/(s・A)]及びβ[1/(s・A2)]は、溶接ワ
イヤの直径、材質及び種類によって定まる定数である。
次に、Wf≠vmとなる過渡状態を考慮するには微小時
間毎のワイヤ突き出し長の変化分を求める必要がある。
ワイヤ突き出し長の変化分は、検出されたワイヤ送給速
度Wf(n)[mm/s]と上記のワイヤ溶融速度vm(n)[mm
/s]との差となるので、微小時間ΔT[s]間でのワイ
ヤ突き出し長の変化分ΔLx(n)[mm]は次式となる。 ΔLx(n)=(Wf(n)−vm(n))・ΔT …(9) 従って、第n回目の演算におけるワイヤ突き出し長Lx
(n)[mm]は、第(n−1)回目の演算値Lx(n-1)との
加算値として次式となる。 Lx(n)=Lx(n-1)+ΔLx(n) …(10) 従来技術では、Wf=vmが前提条件であるので(9)
式においてΔLx=0としてワイヤ突き出し長Lxを算
出していることになる。
【0145】これ以降の演算は、従来技術と同じであ
る。まず、ワイヤ突き出し部電圧Vx(n)[V]は、
(2)式と同一であり次式となる。 Vx(n)=Rx・Lx(n)・Iw(n) …(11) ここで、Rx[Ω/mm]は溶接ワイヤの単位長あたりの
抵抗値であり、溶接ワイヤの直径、材質及び種類によっ
て定まる定数である。上記のRxは温度によって変化す
るので、温度依存を考慮した上で前述した(2A)式又
は次式で表わすこともできる。 Vx=F・Lx(n)+G・(Wf(n)/Iw(n)2) ・[exp{H・Iw(n) 2・Lx(n))/Wf(n)}−1] …(11A) ここで、F[V/mm]、G[V・A2・s/mm]及びH[1/ s・
A2]は、溶接ワイヤの直径、材質及び種類によって定ま
る定数である。一般に使用される溶接ワイヤでの通常の
溶接条件下においては、(11)式と(2A)式又は
(11A)式とによって求まるVxの値には大きな差は
ないので、簡潔な(11)式をここでは使用することに
する。次に、アーク電圧Va(n)[V]は前述した
(3)式と同一の次式となる。 Va(n)=Vw(n)−Vx(n) …(12) 従って、アーク長La(n)[mm]は前述した(4)式と
同一の次式で表わされる。 La(n)=(Va(n)−a−c・Iw(n))/(b+d・Iw(n)) …(13) ここで、a[V]、b[V/mm]、c[Ω]及びd[Ω/m
m]は溶接ワイヤの直径、材質及び種類、並びにシール
ドガスの種類によって定まる定数である。最後に、チッ
プ・被溶接物間距離Lw(n)[mm]は前述した(5)式
と同一の次式となる。 Lw(n)=Lx(n)+La(n) …(14)
【0146】以上、上述したように(8)式乃至(1
4)式による演算を繰り返すことで、微小時間ΔT
[s]毎にチップ・被溶接物間距離算出値Lw(n)を計
算できる。但し、第1回目の(8)式の演算において
は、ワイヤ突き出し長の初期値Lx(0)=Lx0が必要であ
るので、チップ・被溶接物間距離を算出する溶接時にお
いて適当なワイヤ突き出し長の初期値を設定すればよ
い。また、(9)式の演算で使用するワイヤ送給速度W
fについては、溶接ワイヤは通常一定速度で送給される
ので、検出値ではなく予め設定したワイヤ送給速度設定
値に代替してもよい。
【0147】図15は、上述した本発明のチップ・被溶
接物間距離算出方法を示すブロック図である。同図にお
いて、チップ・被溶接物間距離の算出は、微小時間ΔT
毎に行い、ワイヤ突き出し長の初期値はLx0として入力
される。また、溶接中に微小時間ΔT毎に溶接電流Iw
(n)、ワイヤ送給速度Wf(n)及びチップ・被溶接物間電
圧Vw(n)が瞬時値として検出されてブロック図に入力
される。上記のワイヤ送給速度Wf(n)については、溶
接ワイヤは通常一定速度で送給されるので、検出値では
なく予め設定したワイヤ送給速度設定値に代替してもよ
い。第n回目の算出は以下のようにる。
【0148】まず最初に、ワイヤ溶融速度演算回路VM
は、検出された溶接電流Iw(n)と前回算出されたワイ
ヤ突き出し長Lx(n-1)とを入力として、(8)式に相
当する演算を行い、ワイヤ溶融速度vm(n)を出力す
る。2番目には、ワイヤ突き出し長変化分演算回路DL
Xは、上記のワイヤ溶融速度vm(n)と検出されたワイ
ヤ送給速度Wf(n)とを入力として、(9)式に相当す
る演算を行い、ワイヤ突き出し長変化分ΔLx(n)を出
力する。3番目には、ワイヤ突き出し長変化分加算回路
DXは、上記のワイヤ突き出し長変化分ΔLx(n)と前
回のワイヤ突き出し長Lx(n-1)とを入力として、(1
0)式に相当する演算を行い、ワイヤ突き出し長Lx
(n)を出力する。
【0149】4番目には、ワイヤ突き出し部電圧演算回
路VXは、上記のワイヤ突き出し長Lx(n)と検出され
た溶接電流Iw(n)とを入力として、(11)式に相当
する演算を行い、ワイヤ突き出し部電圧Vx(n)を出力
する。5番目には、アーク電圧演算回路VAは、検出さ
れたチップ・被溶接物間電圧Vw(n)と上記のワイヤ突
き出し部電圧Vx(n)とを入力として、(12)式に相
当する演算を行い、アーク電圧Va(n)を出力する。6
番目には、アーク長演算回路LAは、上記のアーク電圧
Va(n)と検出された溶接電流Iw(n)とを入力として、
(13)式に相当する演算を行いアーク長La(n)を出
力する。最後に7番目として、アーク長・ワイヤ突き出
し長加算回路AXは、上記のアーク長La(n)と上記の
ワイヤ突き出し長Lx(n)とを入力として、(15)式
に相当する演算を行い、チップ・被溶接物間距離Lw
(n)を出力する。上述した各演算を微小時間ΔT毎に繰
り返すことで、溶接中のチップ・被溶接物間距離をリア
ルタイムに算出することができる。
【0150】本発明のチップ・被溶接物間距離算出方法
は、従来技術の算出方法とは異なりワイヤ送給速度Wf
とワイヤ溶融速度vmとが等しくならない過渡状態での
ワイヤ突き出し長を演算回路VM、DLX及びDXによ
って正確に算出できるために、それ以降の演算回路V
X、VA、LA及びAXによってチップ・被溶接物間距
離も正確に算出できる。従って、チップ・被溶接物間距
離の変化速度が速いときでも正確なチップ・被溶接物間
距離が算出できる。
【0151】次に、本発明のチップ・被溶接物間距離算
出方法を、溶接トーチをオシレートさせて行う倣い制御
に使用した場合について説明する。図16は、図7と同
じ5[Hz]の中間周波オシレートを行いオシレート中心
位置Cが溶接線位置Wcと一致しているときの、溶接ト
―チのオシレ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値
との関係を示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距
離算出値関係図である。同図(A)は、オシレ−ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置、アーク長及びワイヤ突き出し長との関係を示してい
る。同図(B)の説明は図7(B)と同じであるので省
略する。
【0152】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、溶接電流Iw、ワイヤ送給速度Wf及
びチップ・被溶接物間電圧Vwを検出して、図15に示
す回路によってチップ・被溶接物間距離を算出してその
変化を示す図である。オシレート位置Pに対応するアー
ク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、その加算値と
してチップ・被溶接物間距離が算出される。本発明のチ
ップ・被溶接物間距離算出方法では、5[Hz]の中間周
波オシレートであっても正確にアーク長及びワイヤ突き
出し長を算出することができるために、その加算値のチ
ップ・被溶接物間距離も正確に算出できる。
【0153】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw12[mm]
となる。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値は直
線A3上を左方向に移動して、オシレート中心位置Cで
最大値Lw11[mm]となる。溶接トーチがオシレート中
心位置Cからオシレート左端位置L0に向けてオシレー
トされると、チップ・被溶接物間距離算出値は直線A4
上を左方向に移動して、オシレート左端位置L0ではL
w12[mm]となる。溶接トーチがオシレート左端位置L
0からオシレート中心位置Cに向けてオシレートされる
と、チップ・被溶接物間距離算出値は直線A4上を右方
向に移動して、オシレート中心位置Cで再び最大値Lw1
1[mm]となる。溶接トーチが中心位置Cからオシレー
ト右端位置R0に向けてオシレートされると、チップ・
被溶接物間距離算出値は直線A3上を右方向に移動し
て、オシレート右端位置R0ではLw12[mm]に戻る。
【0154】このように、5[Hz]の中間周波オシレー
トであっても正確にチップ・被溶接物間距離を算出する
ことができ、算出値の最大値Lw11[mm]となるオシレ
ート中心位置Cが溶接線位置Wcとなる。
【0155】図17は、図8と同じ5[Hz]の中間周波
オシレートを行いオシレート中心位置Cが溶接線位置W
cよりもCd1[mm]右位置ずれしているときの、溶接ト
―チのオシレ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値
との関係を示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距
離算出値関係図である。同図(A)は、オシレ−ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置、アーク長及びワイヤ突き出し長との関係を示してい
る。同図(B)の説明は図8(B)と同じであるので省
略する。
【0156】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、溶接電流Iw、ワイヤ送給速度Wf及
びチップ・被溶接物間電圧Vwを検出して、図15に示
す回路によってチップ・被溶接物間距離を算出してその
変化を示す図である。オシレート位置Pに対応するアー
ク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、その加算値と
してチップ・被溶接物間距離が算出される。本発明のチ
ップ・被溶接物間距離算出方法では、5[Hz]の中間周
波オシレートであっても正確にアーク長及びワイヤ突き
出し長を算出することができるために、その加算値のチ
ップ・被溶接物間距離も正確に算出できる。
【0157】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw22[mm]
となる。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値は直
線B3上を左方向に移動して、オシレート中心位置Cで
Lw21[mm]となる。溶接トーチがオシレート中心位置
Cからオシレート左端位置L0に向けてオシレートされ
ると、チップ・被溶接物間距離算出値は折れ線B4上を
左方向に移動して、溶接線位置Wcとなるオシレート位
置L1において最大値Lw11[mm]となり、オシレート
左端位置L0ではLw23[mm]となる。
【0158】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は折れ線B4上を右方向に
移動して、溶接線位置Wcとなるオシレート位置L1に
おいて最大値Lw11[mm]となり、オシレート中心位置
CではLw21[mm]となる。溶接トーチが中心位置Cか
らオシレート右端位置R0に向けてオシレートされる
と、チップ・被溶接物間距離算出値は直線B3上を右方
向に移動して、オシレート右端位置R0ではLw22[m
m]に戻る。
【0159】このように、5[Hz]の中間周波オシレー
トであっても正確にチップ・被溶接物間距離を算出する
ことができ、算出値が最大値Lw11[mm]となるオシレ
ート位置L1が溶接線位置Wcとなる。このときにオシ
レート中心位置Cからオシレート位置L1に達するまで
の位置ずれ時間Td1[s]を検出することで、前述した
(6)式によって右位置ずれ距離Cd1[mm]が負数とし
て算出できる。この右位置ずれ距離Cd1[mm]が略0
[mm]になるように、オシレート中心位置Cを左側に絶
対値|Cd1|[mm]遷移させることで溶接線位置Wcと
一致させることができる。
【0160】図18は、図9と同じ5[Hz]の中間周波
オシレートを行いオシレート中心位置Cが溶接線位置W
cよりもCd2[mm]左位置ずれしているときの、溶接ト
―チのオシレ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値
との関係を示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距
離算出値関係図である。同図(A)は、オシレ−ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置、アーク長及びワイヤ突き出し長との関係を示してい
る。同図(B)の説明は図9(B)と同じであるので省
略する。
【0161】同図(A)は、溶接トーチの各オシレ−ト
位置Pにおいて、溶接電流Iw、ワイヤ送給速度Wf及
びチップ・被溶接物間電圧Vwを検出して、図15に示
す回路によってチップ・被溶接物間距離を算出してその
変化を示す図である。オシレート位置Pに対応するアー
ク長及びワイヤ突き出し長が算出されて、その加算値と
してチップ・被溶接物間距離が算出される。本発明のチ
ップ・被溶接物間距離算出方法では、5[Hz]の中間周
波オシレートであっても正確にアーク長及びワイヤ突き
出し長を算出することができるために、その加算値のチ
ップ・被溶接物間距離も正確に算出できる。
【0162】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw32[mm]
となる。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値は折
れ線C3上を左方向に移動して、溶接線位置Wcとなる
オシレート位置R1において最大値Lw11[mm]とな
り、オシレート中心位置CではLw31[mm]となる。溶
接トーチがオシレート中心位置Cからオシレート左端位
置L0に向けてオシレートされると、チップ・被溶接物
間距離算出値は直線C4上を左方向に移動して、オシレ
ート左端位置L0ではLw33[mm]となる。
【0163】溶接トーチがオシレート左端位置L0から
オシレート中心位置Cに向けてオシレートされると、チ
ップ・被溶接物間距離算出値は直線C4上を右方向に移
動して、オシレート中心位置CではLw31[mm]とな
る。溶接トーチがオシレート中心位置Cからオシレート
右端位置R0に向けてオシレートされると、チップ・被
溶接物間距離算出値は折れ線C3上を右方向に移動し
て、溶接線位置Wcとなるオシレート位置R1において
最大値Lw11[mm]となり、オシレート右端位置R0で
はLw32[mm]に戻る。
【0164】このように、5[Hz]の中間周波オシレー
トであっても正確にチップ・被溶接物間距離を算出する
ことができ、算出値が最大値Lw11[mm]となるオシレ
ート位置R1が溶接線位置Wcとなる。このときにオシ
レート中心位置Cからオシレート位置R1に達するまで
の位置ずれ時間Td2[s]を検出すると、前述した
(7)式から左位置ずれ距離Cd2[mm]が正数として算
出できる。この左位置ずれ距離Cd2[mm]が略0[mm]
になるように、オシレート中心位置Cを右側に絶対値|
Cd2|[mm]遷移させることで溶接線位置Wcと一致さ
せることができる。
【0165】このように、5[Hz]の中間周波オシレー
トにおいても、図3乃至図5で前述した乃至の手順
をオシレート1周期毎に繰り返すことによって倣い制御
を行うことができる。さらに、本発明のチップ・被溶接
物間距離算出方法は、0.2[Hz]以上3[Hz]未満の
低周波オシレートにおいても、3[Hz]以上7[Hz]未
満の中間周波オシレートにおいても、さらに7[Hz]以
上50[Hz]未満の高周波オシレートにおいてもすべて
の場合に、正確なアーク長算出値、ワイヤ突き出し長算
出値及びその加算値であるチップ・被溶接物間距離算出
値を計算できるために、上述したような簡潔な手段によ
って高精度な倣い制御ができる。
【0166】次に、上述した本発明のチップ・被溶接物
間距離算出方法による倣い制御方法を実現する装置の実
施例について、以下に説明する。
【0167】図19は、本発明の溶接線倣い装置のブロ
ック図である。溶接電源装置PSは、アークを維持する
ための溶接電流Iw及びチップ・被溶接物間電圧Vwを
適正値に制御して通電すると共に、溶接ワイヤ1を送給
するワイヤ送給装置5を制御するためのワイヤ送給装置
制御信号Fcを出力する。溶接ワイヤ1は溶接トーチ4
を通って送給されて、被溶接物2との間でアークが発生
する。
【0168】ロボット制御装置7は、マニュピュレータ
6に設置された複数軸のサーボモータを制御するための
サーボモータ制御信号Scを出力すると共に、倣い制御
用の各種信号を入出力する。詳細については、各回路ブ
ロックの説明のときに行う。溶接線倣い制御装置8は、
溶接電流Iw、チップ・被溶接物間電圧Vw及びワイヤ
送給速度Wfを入力として、オシレート中心位置Cと溶
接線位置Wcとの位置ずれ距離を算出して、ロボット制
御装置7に出力する。詳細については、各回路ブロック
の説明のときに行う。
【0169】教示点データ格納回路MDは、ティーチン
グ時の教示点データを格納しており、教示点データ信号
Mdを出力する。溶接速度データ格納回路WSは、ティ
ーチング時に設定された溶接速度データを格納してお
り、溶接速度データ信号Wsを出力する。オシレート周
波数データ格納回路OFは、ティーチング時に設定され
たオシレート周波数データが格納されており、オシレー
ト周波数データ信号Ofを出力する。オシレート振幅デ
ータ格納回路OWは、ティーチング時に設定されたオシ
レート振幅データを格納しており、オシレート振幅デー
タ信号Owを出力する。
【0170】動作軌跡制御回路MCは、上記の教示点デ
ータ信号Md、溶接速度データ信号Ws、オシレート周
波数データ信号Of及びオシレート振幅データ信号Ow
を入力として、トーチ先端位置TCPの動作軌跡データ
を算出して、動作軌跡制御信号Mcを出力する。また溶
接時において、上記の動作軌跡データからトーチ先端位
置TCPがどのオシレート位置にあるかを算出又は検出
して、オシレート位置信号Mopを出力する。さらに、オ
シレート1周期毎に更新される後述する位置ずれ距離算
出信号Cdを入力として、位置ずれ距離算出信号Cdが
負数のときは右位置ずれしているのでオシレート中心位
置を左方向に|Cd|[mm]だけ遷移させて、位置ず
れ距離算出信号Cdが正数のときは左位置ずれしている
のでオシレート中心位置を右方向に|Cd|[mm]だ
け遷移させた新たな動作軌跡データを算出して出力す
る。
【0171】サーボモータ制御回路SCは、動作軌跡制
御信号Mcを入力として、マニュピュレータ6に設置さ
れた複数軸のサーボモータをPTP制御するためのサー
ボモータ制御信号Scを出力する。
【0172】オシレート位置通知回路OPは、オシレー
ト位置信号Mopを入力として、トーチ先端位置TCPが
右方向にオシレートされてオシレート中心位置に達した
時点で0となり、オシレート右端位置で1に変わり、左
方向にオシレートされてオシレート中心位置に達した時
点で2に変わり、オシレート左端位置で3に変わり、再
び右方向にオシレートされてオシレート中心位置に達し
た時点で0に変わるオシレート位置通知信号Opを出力
する。上述した動作軌跡制御回路MCのオシレート位置
信号Mopを算出又は検出する回路部分と上記のオシレー
ト位置通知回路OPとを合わせてオシレート位置の算出
回路又は検出回路が構成されている。
【0173】溶接電流検出回路IDは、溶接電流Iwを
検出して、溶接電流検出信号Idを出力する。チップ・
被溶接物間電圧検出回路VDは、チップ・被溶接物間電
圧Vwを検出して、チップ・被溶接物間電圧検出信号V
dを出力する。ワイヤ送給速度検出回路FDは、ワイヤ
送給速度Wfを検出して、ワイヤ送給速度検出信号Fd
を出力する。溶接電流A/D変換回路ADIは、溶接電
流検出信号Idを入力として、A/D変換された溶接電
流A/D変換信号Adiを出力する。チップ・被溶接物間
電圧A/D変換回路ADVは、チップ・被溶接物間電圧
検出信号Vdを入力として、A/D変換されたチップ・
被溶接物間電圧A/D変換信号Advを出力する。ワイヤ
送給速度A/D変換回路ADFは、ワイヤ送給速度検出
信号Fdを入力として、A/D変換されたワイヤ送給速
度A/D変換信号Adfを出力する。
【0174】ワイヤ突き出し長初期値設定回路LX0
は、予め設定されたワイヤ突き出し長初期値設定信号L
x0を出力する。微小時間設定回路DTは、前述した図1
5で示すチップ・被溶接物間距離算出方法の算出周期と
なる予め設定された微小時間設定信号ΔTを出力する。
割り込みタイマ回路ITは、微小時間設定信号ΔTを入
力として、ΔT[s]毎にHレベルのトリガ信号となる
割り込みタイマ信号Itを出力する。
【0175】チップ・被溶接物間距離算出回路LWは、
溶接電流A/D変換信号Adi、チップ・被溶接物間電圧
A/D変換信号Adv、ワイヤ送給速度A/D変換信号A
df、ワイヤ突き出し長初期値設定信号Lx0、微小時間設
定信号ΔT及び割り込みタイマ信号Itを入力として、
割り込みタイマ信号ItがH信号になる毎に前述した図
15で示すチップ・被溶接物間距離算出方法の各回路に
よって演算を行い、それらの演算結果としてチップ・被
溶接物間距離算出信号Lwを出力する。
【0176】位置ずれ距離算出回路CDは、チップ・被
溶接物間距離算出信号Lw、オシレート周波数データ信
号Of、オシレート振幅データ信号Ow、微小時間設定
信号ΔT、オシレート位置通知信号Op及び割り込みタ
イマ信号Itを入力として、割り込みタイマ信号Itが
H信号になる毎に位置ずれ距離算出信号Cdを出力す
る。この回路ブロックの動作については、後述する図2
1乃至図22で詳細に説明する。
【0177】図20は、位置ずれ距離算出回路CDの動
作フローチャートを示す図21及び図22を説明するた
めに、オシレート条件及びオシレート動作軌跡とチップ
・被溶接物間距離算出値との関係を示すオシレート動作
軌跡・チップ・被溶接物間距離算出値関係図である。同
図(A)は、オシレート動作軌跡とオシレート位置通知
信号Op及びチップ・被溶接物間距離算出信号Lwとの
関係を示しており、同図(B)は、溶接トーチのオシレ
ート位置と被溶接物の表面位置との関係を示している。
【0178】同図(B)に示しように、溶接トーチはオ
シレート周波数データ信号Of[Hz]及びオシレ−ト振
幅データ信号Ow[mm]でオシレートされており、位置
ずれ距離Cd1[mm]だけ右位置ずれしている場合であ
る。
【0179】同図(A)に示すように、オシレート位置
Pが右進しながらオシレート中心位置Cに達するとオシ
レート位置通知信号Op=0となり、オシレート位置P
がオシレート右端位置R0に達するとオシレート位置通
知信号Op=1に変わり、オシレート位置Pが左進しな
がらオシレート中心位置Cに達するとオシレート位置通
知信号Op=2に変わり、オシレート位置Pがオシレー
ト左端位置L0に達するとオシレート位置通知信号Op
=3に変わり、再びオシレート位置Pが右進しながらオ
シレート中心位置Cに達するとオシレート位置通知信号
Op=0に変わる。チップ・被溶接物間距離の算出は、
微小時間設定信号ΔT[s]毎に割り込みタイマ信号I
tがH信号となることによって行われ、チップ・被溶接
物間距離算出信号Lwは2次元配列データLw(Op,
n)に保存される。この2次元配列データの中からOp
=0又は2であってかつ最大値となるデータを検索する
と、Op=Opm及びn=nmのときに最大値Lw(Op
m,nm)となる場合である。。
【0180】図21及び図22は、位置ずれ距離算出回
路CDの動作を示すフローチャートである。倣い制御を
開始すると同時に位置ずれ距離算出回路CDの動作が開
始する。ステップ1において、オシレート周波数データ
信号Of[Hz]、オシレート振幅データ信号Ow[mm]
及び微小時間ΔT[s]を読み込むと共に、オシレート
位置通知信号Opに初期値0を、前回オシレート位置通
知信号Oppに初期値0を、カウンタnに初期値0を代入
する。ステップ2において、割り込みタイマ信号Itが
H信号になっているかを判定して、YESならばステッ
プ3に進み、NOならばH信号になるまで待機する。
【0181】ステップ3において、チップ・被溶接物間
距離算出信号Lw[mm]を読み込む。ステップ4におい
て、上記チップ・被溶接物間距離算出信号Lw[mm]を
2次元配列データLw(Op,n)に保存する。ステッ
プ5において、カウンタnに1加算する。ステップ6に
おいて、オシレート位置通知信号Opを読み込む。ステ
ップ7において、前回オシレート位置通知信号Oppとオ
シレート位置通知信号Opとが等しいかを判定して、Y
ESならばステップ9に進み、NOならばステップ8に
進む。このステップによって、1/4オシレート周期位
置に達した瞬間かを判定している。
【0182】ステップ8において、オシレート位置通知
信号Opを前回オシレート位置通知信号Oppに代入した
後に、ステップ2に戻る。ステップ9において、オシレ
ート位置通知信号Opを前回オシレート位置通知信号O
ppに代入する。ステップ10において、カウンタnを0
にリセットする。ステップ11において、オシレート位
置通知信号Opが0かを判定して、YESならば図22
のステップ12に進み、NOならばステップ2に戻る。
このステップにおいて、オシレート1周期が終了してオ
シレート中心位置に達したかを判定している。YESの
場合は、これ以降のステップによって位置ずれ距離Cd
の算出を行う。
【0183】これ以降は図22のフローチャートの説明
である。ステップ12において、オシレート1周期分の
チップ・被溶接物間距離算出信号Lwを保存している2
次元配列データLw(Op,n)の中から、Op=0又
は2でありかつ算出信号が最大値となるデータLw(O
pm,nm)を検索する。このステップによって、チップ
・被溶接物間距離算出信号Lwが最大値となるオシレー
ト位置(溶接線位置)が分かったことになる。Op=0
又は2の場合と限定しているのは、Op=1又は3の場
合を含めても算出信号が最大値となるオシレート位置は
同じ結果となるので、フローチャートを簡潔にするため
である。ステップ13において、ステップ1で読み込ん
だオシレート周波数データ信号Of[Hz]、オシレート
振幅データ信号Ow[mm]及び微小時間ΔT[s]、並
びにステップ12で検索した最大値Lw(Opm,nm)
のカウンタ値nmから(2・Of・Ow・ΔT・nm)
の演算を行い位置ずれ距離算出信号Cd[mm]に代入す
る。
【0184】ステップ14において、ステップ12で検
索した最大値Lw(Opm,nm)のオシレート位置通知
信号Opm=2を判定して、YESならばステップ15に
進み、NOならばステップ16に進む。Opm=2がYE
Sのときは、右位置ずれしていることになり、Opm=2
がNOつまりOpm=0のときは左位置ずれしていること
になる。ステップ15において、(−1・Cd)の演算
を行い、位置ずれ距離算出信号Cdに代入する。このス
テップにおいて、右位置ずれしているときの位置ずれ距
離算出信号Cdの符号を負にしている。一方、左位置ず
れのときの符号は正となる。ステップ16において、位
置ずれ距離算出信号Cd[mm]を出力する。ステップ1
7において、倣い終了かを判定して、YESならば倣い
制御を終了する。NOならば、ステップ2に戻る。
【0185】このように図21及び図22の各ステップ
を行うことによって、オシレート1周期毎に位置ずれ距
離算出信号Cd[mm]が出力される。
【0186】上述した図20乃至図22において具体的
な数値例をあげると、オシレート周波数Of=5[H
z]、オシレート振幅Ow=5[mm]、微小時間ΔT=
1[ms]及び位置ずれ距離Cd1=1[mm]とすると、オ
シレート1周期あたりのチップ・被溶接物間距離算出信
号の2次元配列データの総数は50×4=200[個]
となり、位置ずれ距離算出信号の分解能は0.05[m
m]となる。そして、Opm=2及びnm=20のときに
チップ・被溶接物間距離算出信号は最大値Lw(2,2
0)となるので、位置ずれ距離Cd=−1・(0.05
×20)=1[mm]となる。
【0187】図23は、本発明の倣い制御方法を非対称
なV開先形状の被溶接物に適用した場合の非対称開先・
倣い制御適用図であって、同図(A)は、オシレ−ト位
置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示してお
り、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面位
置との関係を示している。
【0188】同図(B)に示すように、左側の被溶接物
2bと右側の被溶接物2cとによって非対称なV開先形
状となっており、10[Hz]の高周波オシレートを行い
Cd1[mm]だけ右位置ずれしている場合である。同図
(A)は、本発明のチップ・被溶接物間距離算出方法に
よって計算された算出値Lwを示しており、高周波オシ
レートでも正確な値が得られる。
【0189】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw81[mm]
となる。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値は直
線J1上を左方向に移動して、オシレート中心位置Cで
Lw82[mm]となる。溶接トーチがオシレート中心位置
Cからオシレート左端位置L0に向けてオシレートされ
ると、チップ・被溶接物間距離算出値は折れ線J2上を
左方向に移動して、溶接線位置Wcとなるオシレート位
置L1において最大値Lw83[mm]となり、オシレート
左端位置L0ではLw84[mm]となる。溶接トーチがオ
シレート左端位置L0からオシレート中心位置Cに向け
てオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値
は折れ線J2上を右方向に移動して、溶接線位置Wcと
なるオシレート位置L1において最大値Lw83[mm]と
なり、オシレート中心位置CではLw82[mm]となる。
溶接トーチが中心位置Cからオシレート右端位置R0に
向けてオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算
出値は直線J1上を右方向に移動して、オシレート右端
位置R0ではLw81[mm]に戻る。
【0190】このように、10[Hz]の高周波オシレー
トであっても正確にチップ・被溶接物間距離を算出する
ことができ、算出値が最大値Lw83[mm]となるオシレ
ート位置L1が溶接線位置Wcとなる。このときにオシ
レート中心位置Cからオシレート位置L1に達するまで
の位置ずれ時間Td3[s]を検出すると、前述した
(6)式によって右位置ずれ距離Cd1[mm]を算出する
ことができる。この右位置ずれ距離Cd1[mm]が略0
[mm]になるように、オシレート中心位置Cを左側に絶
対値|Cd1|[mm]遷移させることで溶接線位置Wcと
一致させることができ倣い制御を行うことができる。
【0191】図24は、本発明の倣い制御方法を薄板の
重ね継ぎ手形状の被溶接物に適用した場合の重ね継ぎ手
・倣い制御適用図であって、同図(A)は、オシレ−ト
位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示して
おり、同図(B)は、オシレート位置と被溶接物の表面
位置との関係を示している。
【0192】同図(B)に示すように、薄板の重ね継ぎ
手であるので溶接トーチのねらい角度は0°で真上から
溶接しており、10[Hz]の高周波オシレートを行いC
d1[mm]だけ右位置ずれしている場合である。また、溶
接線位置Wcが継ぎ手部分と一致している場合である。
同図(A)は、本発明のチップ・被溶接物間距離算出方
法によって計算された算出値Lwを示しており、高周波
オシレートでも正確な値が得られる。
【0193】溶接トーチがオシレート右端位置R0にあ
るときのチップ・被溶接物間距離算出値はLw91[mm]
となる。この状態からオシレート中心位置Cに向けてオ
シレートされると、チップ・被溶接物間距離算出値は直
線K1上を左方向に移動して、オシレート中心位置Cで
もLw91[mm]となる。溶接トーチがオシレート中心位
置Cからオシレート左端位置L0に向けてオシレートさ
れると、チップ・被溶接物間距離算出値は折れ線K2上
を左方向に移動して、溶接線位置Wcとなるオシレート
位置L1において最大値Lw92[mm]となり、オシレー
ト左端位置L0でもLw92[mm]となる。溶接トーチが
オシレート左端位置L0からオシレート中心位置Cに向
けてオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算出
値は折れ線K2上を右方向に移動して、溶接線位置Wc
となるオシレート位置L1においてLw91[mm]とな
り、オシレート中心位置CでもLw91[mm]となる。溶
接トーチが中心位置Cからオシレート右端位置R0に向
けてオシレートされると、チップ・被溶接物間距離算出
値は直線K1上を右方向に移動して、オシレート右端位
置R0ではLw91[mm]に戻る。
【0194】このように、10[Hz]の高周波オシレー
トであっても正確にチップ・被溶接物間距離を算出する
ことができ、算出値が最小値Lw91[mm]から最大値Lw
92[mm]に変化するオシレート位置L1が溶接線位置W
cとなる。このときにオシレート中心位置Cからオシレ
ート位置L1に達するまでの位置ずれ時間Td3[s]を
検出すると、前述した(6)式から右位置ずれ距離Cd1
[mm]を算出することができる。この右位置ずれ距離C
d1[mm]が略0[mm]になるように、オシレート中心位
置Cを左側に絶対値|Cd1|[mm]遷移させることで溶
接線位置Wcと一致させることができ倣い制御を行うこ
とができる。
【0195】さらに薄板等の溶接においては、ビード外
観の良好化、溶け落ち防止等のために継ぎ手部分からC
m1[mm]だけ右側又は左側にずれた位置を溶接線位置
Wcの目標値とする場合がある。このような場合には、
上述した右位置ずれ距離Cd1[mm]が略0[mm]ではな
く目標値Cm1[mm]になるようにオシレート中心位置C
を遷移することで倣い制御を行うことができる。
【0196】
【本発明の効果】前述したように本発明のチップ・被溶
接物間距離算出方法は、従来技術とは異なりワイヤ送給
速度とワイヤ溶融速度とが等しくない過渡状態であって
もチップ・被溶接物間距離を正確に算出できるので、チ
ップ・被溶接物間距離の変化速度が速いときでも正確な
チップ・被溶接物間距離を算出できる。そのために、倣
い制御においてオシレート周波数が0.2[Hz]乃至5
0[Hz]であっても、本発明のチップ・被溶接物間距離
算出方法を使用することによって正確なチップ・被溶接
物間距離を算出することができる。
【0197】また、本発明のチップ・被溶接物間距離算
出方法を使用した倣い制御方法では、正確なチップ・被
溶接物間距離算出値による簡潔な手段によって倣い制御
を行うことができる。さらに、本発明のチップ・被溶接
物間距離算出方法は、溶接ワイヤの直径、材質及び種
類、並びにシールドガスの種類によって定まる定数のみ
を使用しているので、従来技術のようにオシレート周波
数、オシレート振幅、平均溶接電流、平均チップ・被溶
接物間電圧等の溶接施工条件に依存しないために、常に
最適な制御性能を有する倣い制御方法及び装置を実現で
きる。
【0198】また、図23及び図24に示すように、本
発明の倣い制御方法では、被溶接物の開先形状又は継ぎ
手形状が種々の形状であっても、従来技術とは違い同じ
簡潔な手段によって高精度な倣い制御を行うことができ
る。
【0199】上記のように本発明のチップ・被溶接物間
距離算出方法並びに溶接線倣い制御方法及び装置は、溶
接中において微小時間毎に正確なチップ・被溶接物間距
離を算出することができ、高精度で適用範囲が広くかつ
使い勝手の良い倣い制御を行うことができるという効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、チップ・被溶接物間距離算出方法の説
明に使用する用語を定義した用語定義図である。
【図2】図2は、従来技術のチップ・被溶接物間距離算
出方法を示すブロック図である。
【図3】図3は、オシレート周波数が2[Hz]の低周波
オシレートを行ったときの溶接ト―チのオシレ―ト位置
とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示すオシレ
ート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図であ
る。
【図4】図4は、2[Hz]の低周波オシレートを行い、
オシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd1[m
m]だけ右位置ずれしているときの、溶接ト―チのオシ
レ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を
示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関
係図である。
【図5】図5は、2[Hz]の低周波オシレートを行い、
オシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd2[m
m]だけ左位置ずれしているときの、溶接ト―チのオシ
レ―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を
示すオシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関
係図である。
【図6】図6は、従来技術のチップ・被溶接物間距離算
出方法に誤差が生じることを説明するためのチップ・被
溶接物間距離算出方法・誤差発生説明図である。
【図7】図7は、従来技術のチップ・被溶接物間距離算
出方法を使用して、オシレート周波数が5[Hz]の中間
周波オシレートを行ったときの溶接ト―チのオシレ―ト
位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示すオ
シレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図で
ある。
【図8】図8は、従来技術のチップ・被溶接物間距離算
出方法を使用して、5[Hz]の中間周波オシレートを行
い、オシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd1
[mm]右位置ずれしているときの溶接ト―チのオシレ―
ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示す
オシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図
である。
【図9】図9は、従来技術のチップ・被溶接物間距離算
出方法を使用して、5[Hz]の中間周波オシレートを行
い、オシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd2
[mm]左位置ずれしているときの溶接ト―チのオシレ―
ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示す
オシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係図
である。
【図10】図10は、右位置ずれしている場合において
位置ずれ積分値Sdの算出方法を説明する位置ずれ積分
値算出方法説明図である。
【図11】図11は、左位置ずれしている場合において
位置ずれ積分値Sdの算出方法を説明する位置ずれ積分
値算出方法説明図である。
【図12】図12は、位置ずれなしの場合において位置
ずれ積分値Sdの算出方法を説明する位置ずれ積分値算
出方法説明図である。
【図13】図13は、右位置ずれしている場合において
オシレート周波数Ofが位置ずれ積分値Sdに及ぼす影
響を説明するためのオシレート周波数・位置ずれ積分値
関係図である。
【図14】図14は、右位置ずれしている場合において
オシレート振幅Owが位置ずれ積分値Sdに及ぼす影響
を説明するためのオシレート振幅・位置ずれ積分値関係
図である。
【図15】図15は、本発明のチップ・被溶接物間距離
算出方法を示すブロック図である。
【図16】図16は、5[Hz]の中間周波オシレートを
行いオシレート中心位置Cが溶接線位置Wcと一致して
いるときの、溶接ト―チのオシレ―ト位置とチップ・被
溶接物間距離算出値との関係を示すオシレート位置・チ
ップ・被溶接物間距離算出値関係図である。
【図17】図17は、5[Hz]の中間周波オシレートを
行いオシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd1
[mm]右位置ずれしているときの、溶接ト―チのオシレ
―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示
すオシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係
図である。
【図18】図18は、5[Hz]の中間周波オシレートを
行いオシレート中心位置Cが溶接線位置WcよりもCd2
[mm]左位置ずれしているときの、溶接ト―チのオシレ
―ト位置とチップ・被溶接物間距離算出値との関係を示
すオシレート位置・チップ・被溶接物間距離算出値関係
図である。
【図19】図19は、本発明の溶接線倣い装置のブロッ
ク図である。
【図20】図20は、位置ずれ距離算出回路CDの動作
フローチャートを示す図21及び図22を説明するため
に、オシレート条件及びオシレート動作軌跡とチップ・
被溶接物間距離算出値との関係を示すオシレート動作軌
跡・チップ・被溶接物間距離算出値関係図である。
【図21】図21は、位置ずれ距離算出回路CDの動作
を示すフローチャートである。
【図22】図22は、位置ずれ距離算出回路CDの動作
を示すフローチャートである。
【図23】図23は、本発明の倣い制御方法を非対称な
V開先形状の被溶接物に適用した場合の非対称開先・倣
い制御適用図である。
【図24】図24は、本発明の倣い制御方法を薄板の重
ね継ぎ手形状の被溶接物に適用した場合の重ね継ぎ手・
倣い制御適用図である。
【符号の説明】
1…溶接ワイヤ 1a…ワイヤ先端部 2、2b、2c…被溶接物 2a…溶融池 3…アーク 4…溶接トーチ 4a…チップ 5…ワイヤ送給装置 5a…送給ロール 6…マニュピュレータ 7…ロボット制御装置 8…溶接線倣い制御装置 ADF…ワイヤ送給速度A/D変換回路 Adf…ワイヤ送給速度A/D変換信号 ADI…溶接電流A/D変換回路 Adi…溶接電流A/D変換信号 ADV…チップ・被溶接物間電圧A/D変換回路 Adv…チップ・被溶接物間電圧A/D変換信号 AX…アーク長・ワイヤ突き出し長加算回路 C…オシレート中心位置 CD…位置ずれ距離算出回路 Cd、Cd1、Cd2…位置ずれ距離(算出値/算出信号) Cm1…溶接線位置と継ぎ手部分との位置ずれ距離の目標
値 DLX…ワイヤ突き出し長変化分演算回路 DT…微小時間設定回路 DX…ワイヤ突き出し長変化分加算回路 ELx1、ELx2…ワイヤ突き出し長算出値の誤差 Fc…ワイヤ送給装置制御信号 FD…ワイヤ送給速度検出回路 Fd…ワイヤ送給速度検出信号 ID…溶接電流検出回路 Id…溶接電流検出信号 IT…割り込みタイマ回路 It…割り込みタイマ信号 Iw…溶接電流 Iwa…平均溶接電流 L0、L4…オシレート左端位置 LA…アーク長演算回路 La…アーク長(算出値) LW…チップ・被溶接物間距離算出回路 Lw…チップ・被溶接物間距離(算出値/算出信号) LX…ワイヤ突き出し長演算回路 Lx…ワイヤ突き出し長(算出値) LX0…ワイヤ突き出し長初期値設定回路 Lx0…ワイヤ突き出し長初期値(設定信号) MC…動作軌跡制御回路 Mc…動作軌跡制御信号 MD…教示点データ格納回路 Md…教示点データ信号 Mop…オシレート位置信号 n、nm…カウンタ値 OF…オシレート周波数データ格納回路 Of…オシレート周波数(データ信号) OP…オシレート位置通知回路 Op、Opm…オシレート位置通知信号 Opp…前回オシレート位置通知信号 OW…オシレート振幅データ格納回路 Ow…オシレート振幅(データ信号) Ow1、Ow2…オシレート振幅 P、R1乃至R3、L1乃至L3…オシレート位置 PS…溶接電源装置 R0、R4…オシレート右端位置 S1乃至S4、S11乃至S14…チップ・被溶接物間距離
算出値の積分値 SC…サーボモータ制御回路 Sc…サーボモータ制御信号 Sd、Sd1乃至Sd5…位置ずれ積分値 SL…左側積分値の差 SR…右側積分値の差 TCP…トーチ先端位置 Td、Td1乃至Td3…位置ずれ時間 VA…アーク電圧演算回路 Va…アーク電圧(算出値) Vaa…平均アーク電圧 VD…チップ・被溶接物間電圧検出回路 Vd…チップ・被溶接物間電圧検出信号 VM…ワイヤ溶融速度演算回路 vm…ワイヤ溶融速度(算出値) Vw…チップ・被溶接物間電圧 Vwa…平均チップ・被溶接物間電圧 VX…ワイヤ突き出し部電圧演算回路 Vx…ワイヤ突き出し部電圧(算出値) Vxa…平均ワイヤ突き出し部電圧 Wc…溶接線位置 Wf…ワイy送給速度 Wfa…平均ワイy送給速度 WS…溶接速度データ格納回路 Ws…溶接速度データ信号 ΔT…微小時間(設定信号) ΔLx…ワイヤ突き出し長変化分

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接ワイヤを被溶接物に送給してアーク
    を発生させて行う消耗電極ガスシールドアーク溶接のチ
    ップ・被溶接物間距離算出方法において、第n回目の算
    出時に、検出した溶接電流Iwと第1回目の算出時は予
    め設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出
    された前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力と
    して、ワイヤ溶融速度算出値vmを出力するワイヤ溶融
    速度演算過程と、検出又は予め設定したワイヤ送給速度
    Wfと前記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力として、
    ワイヤ突き出し長変化分算出値ΔLxを出力するワイヤ
    突き出し長変化分演算過程と、前記ワイヤ突き出し長変
    化分算出値ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算出値L
    x(n-1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lxを
    出力するワイヤ突き出し長変化分加算演算過程と、前記
    ワイヤ突き出し長算出値Lxと前記溶接電流Iwとを入
    力として、ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxを出力する
    ワイヤ突き出し部電圧演算過程と、検出したチップ・被
    溶接物間電圧Vwと前記ワイヤ突き出し部電圧算出値V
    xとを入力として、アーク電圧算出値Vaを出力するア
    ーク電圧演算過程と、前記アーク電圧算出値Vaと前記
    溶接電流Iwとを入力として、アーク長算出値Laを出
    力するアーク長演算過程と、前記アーク長算出値Laと
    前記ワイヤ突き出し長算出値Lxとを入力として、チッ
    プ・被溶接物間距離算出値Lwを出力するアーク長・ワ
    イヤ突き出し長加算演算過程とを繰り返し行うチップ・
    被溶接物間距離算出方法。
  2. 【請求項2】 溶接ワイヤを被溶接物に送給してアーク
    を発生させて行う消耗電極ガスシールドアーク溶接のチ
    ップ・被溶接物間距離算出方法において、第n回目の算
    出時に、検出した溶接電流Iwと第1回目の算出時は予
    め設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出
    された前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力と
    して、予め設定した定数α及びβによってワイヤ溶融速
    度算出値vm=α・Iw+β・Lx(n-1)・Iw2である
    ワイヤ溶融速度演算過程と、検出又は予め設定したワイ
    ヤ送給速度Wfと前記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入
    力として、予め設定した定数ΔTによってワイヤ突き出
    し長変化分算出値ΔLx=(Wf−vm)・ΔTである
    ワイヤ突き出し長変化分演算過程と、前記ワイヤ突き出
    し長変化分算出値ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算
    出値Lx(n-1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値
    Lx=Lx(n-1)+ΔLxであるワイヤ突き出し長変化分
    加算演算過程と、前記ワイヤ突き出し長算出値Lxと前
    記溶接電流Iwとを入力として、予め設定した定数Rx
    によってワイヤ突き出し部電圧算出値Vx=Rx・Lx
    ・Iwであるワイヤ突き出し部電圧演算過程と、検出し
    たチップ・被溶接物間電圧Vwと前記ワイヤ突き出し部
    電圧算出値Vxとを入力として、アーク電圧算出値Va
    =Vw−Vxであるアーク電圧演算過程と、前記アーク
    電圧算出値Vaと前記溶接電流Iwとを入力として、予
    め設定した定数a乃至dによってアーク長算出値La=
    (Va−a−c・Iw)/(b+d・Iw)であるアー
    ク長演算過程と、前記アーク長算出値Laと前記ワイヤ
    突き出し長算出値Lxとを入力として、チップ・被溶接
    物間距離算出値Lw=Lx+Laであるアーク長・ワイ
    ヤ突き出し長加算演算過程とを繰り返し行うチップ・被
    溶接物間距離算出方法。
  3. 【請求項3】 溶接トーチをオシレートさせてアーク長
    及びワイヤ突き出し長の変化にともなう電気信号を処理
    することによって溶接トーチを溶接線に倣わせる消耗電
    極ガスシールドアーク溶接での溶接線倣い制御方法にお
    いて、溶接トーチのオシレート位置を算出又は検出する
    と共に第n回目のチップ・被溶接物間距離算出時に、検
    出した溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め設定した
    ワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出された前回
    ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力として、ワイ
    ヤ溶融速度算出値vmを出力するワイヤ溶融速度演算過
    程と、検出又は予め設定したワイヤ送給速度Wfと前記
    ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力として、ワイヤ突き
    出し長変化分算出値ΔLxを出力するワイヤ突き出し長
    変化分演算過程と、前記ワイヤ突き出し長変化分算出値
    ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを
    入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lxを出力するワ
    イヤ突き出し長変化分加算演算過程と、前記ワイヤ突き
    出し長算出値Lxと前記溶接電流Iwとを入力として、
    ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxを出力するワイヤ突き
    出し部電圧演算過程と、検出したチップ・被溶接物間電
    圧Vwと前記ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入力
    として、アーク電圧算出値Vaを出力するアーク電圧演
    算過程と、前記アーク電圧算出値Vaと前記溶接電流I
    wとを入力として、アーク長算出値Laを出力するアー
    ク長演算過程と、前記アーク長算出値Laと前記ワイヤ
    突き出し長算出値Lxとを入力として、チップ・被溶接
    物間距離算出値Lwを出力するアーク長・ワイヤ突き出
    し長加算演算過程と、オシレート1周期間の前記オシレ
    ート位置とこのオシレート位置に対応した前記チップ・
    被溶接物間距離算出値Lwとを入力として、オシレート
    中心位置と溶接線位置との位置ずれ距離算出値を出力す
    る位置ずれ距離算出過程と、前記位置ずれ距離算出値が
    略零又は予め設定した目標値になるようにオシレート中
    心位置を左右に遷移させて溶接線に倣わせる溶接線倣い
    制御方法。
  4. 【請求項4】 位置ずれ距離算出過程が、チップ・被溶
    接物間距離算出値Lwが最大値となる最大値オシレート
    位置とオシレート中心位置との位置ずれ距離算出値を出
    力する算出過程である請求項3の溶接線倣い制御方法。
  5. 【請求項5】 溶接トーチをオシレートさせてアーク長
    及びワイヤ突き出し長の変化にともなう電気信号を処理
    することによって溶接トーチを溶接線に倣わせる消耗電
    極ガスシールドアーク溶接での溶接線倣い制御方法にお
    いて、溶接トーチのオシレート位置を算出又は検出する
    と共に第n回目のチップ・被溶接物間距離算出時に、検
    出した溶接電流Iwと第1回目の算出時は予め設定した
    ワイヤ突き出し長初期値Lx0となる前回算出された前回
    ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)とを入力として、予め
    設定した定数α及びβによってワイヤ溶融速度算出値v
    m=α・Iw+β・Lx(n-1)・Iw2であるワイヤ溶融
    速度演算過程と、検出又は予め設定したワイヤ送給速度
    Wfと前記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力として、
    予め設定した定数ΔTによってワイヤ突き出し長変化分
    算出値ΔLx=(Wf−vm)・ΔTであるワイヤ突き
    出し長変化分演算過程と、前記ワイヤ突き出し長変化分
    算出値ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-
    1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lx=Lx
    (n-1)+ΔLxであるワイヤ突き出し長変化分加算演算
    過程と、前記ワイヤ突き出し長算出値Lxと前記溶接電
    流Iwとを入力として、予め設定した定数Rxによって
    ワイヤ突き出し部電圧算出値Vx=Rx・Lx・Iwで
    あるワイヤ突き出し部電圧演算過程と、検出したチップ
    ・被溶接物間電圧Vwと前記ワイヤ突き出し部電圧算出
    値Vxとを入力として、アーク電圧算出値Va=Vw−
    Vxであるアーク電圧演算過程と、前記アーク電圧算出
    値Vaと前記溶接電流Iwとを入力として、予め設定し
    た定数a乃至dによってアーク長算出値La=(Va−
    a−c・Iw)/(b+d・Iw)であるアーク長演算
    過程と、前記アーク長算出値Laと前記ワイヤ突き出し
    長算出値Lxとを入力として、チップ・被溶接物間距離
    算出値Lw=Lx+Laであるアーク長・ワイヤ突き出
    し長加算演算過程と、オシレート1周期間の前記オシレ
    ート位置とこのオシレート位置に対応した前記チップ・
    被溶接物間距離算出値Lwとを入力として、オシレート
    中心位置と溶接線位置との位置ずれ距離算出値を出力す
    る位置ずれ距離算出過程と、前記位置ずれ距離算出値が
    略零又は予め設定した目標値になるようにオシレート中
    心位置を左右に遷移させて溶接線に倣わせる溶接線倣い
    制御方法。
  6. 【請求項6】 位置ずれ距離算出過程が、チップ・被溶
    接物間距離算出値Lwが最大値となる最大値オシレート
    位置とオシレート中心位置との位置ずれ距離算出値を出
    力する算出過程である請求項5の溶接線倣い制御方法。
  7. 【請求項7】 溶接トーチをオシレートさせてアーク長
    及びワイヤ突き出し長の変化にともなう電気信号を処理
    することによって溶接トーチを溶接線に倣わせる消耗電
    極ガスシールドアーク溶接での溶接線倣い制御装置にお
    いて、溶接トーチのオシレート位置の算出回路又は検出
    回路と、溶接電流Iwの検出回路と、第n回目のチップ
    ・被溶接物間距離算出時に、前記溶接電流Iwと第1回
    目の算出時は予め設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0
    となる前回算出された前回ワイヤ突き出し長算出値Lx
    (n-1)とを入力として、ワイヤ溶融速度算出値vmを出
    力するワイヤ溶融速度演算回路と、ワイヤ送給速度Wf
    の検出回路又は設定回路と、前記ワイヤ送給速度Wfと
    前記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力として、ワイヤ
    突き出し長変化分算出値ΔLxを出力するワイヤ突き出
    し長変化分演算回路と、前記ワイヤ突き出し長変化分算
    出値ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算出値Lx(n-1)
    とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lxを出力す
    るワイヤ突き出し長変化分加算回路と、前記ワイヤ突き
    出し長算出値Lxと前記溶接電流Iwとを入力として、
    ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxを出力するワイヤ突き
    出し部電圧演算回路と、チップ・被溶接物間電圧Vwの
    検出回路と、前記チップ・被溶接物間電圧Vwと前記ワ
    イヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入力として、アーク
    電圧算出値Vaを出力するアーク電圧演算回路と、前記
    アーク電圧算出値Vaと前記溶接電流Iwとを入力とし
    て、アーク長算出値Laを出力するアーク長演算回路
    と、前記アーク長算出値Laと前記ワイヤ突き出し長算
    出値Lxとを入力として、チップ・被溶接物間距離算出
    値Lwを出力するアーク長・ワイヤ突き出し長加算回路
    と、オシレート1周期間の前記オシレート位置とこのオ
    シレート位置に対応した前記チップ・被溶接物間距離算
    出値Lwとを入力として、オシレート中心位置と溶接線
    位置との位置ずれ距離算出値を出力する位置ずれ距離算
    出回路と、前記位置ずれ距離算出値が略零又は予め設定
    した目標値になるように溶接トーチのオシレート中心位
    置を左右に遷移させる溶接トーチ遷移手段とから構成さ
    れる溶接線倣い制御装置。
  8. 【請求項8】 位置ずれ距離算出回路が、チップ・被溶
    接物間距離算出値Lwが最大値となる最大値オシレート
    位置とオシレート中心位置との位置ずれ距離算出値を出
    力する算出回路である請求項7の溶接線倣い制御装置。
  9. 【請求項9】 溶接トーチをオシレートさせてアーク長
    及びワイヤ突き出し長の変化にともなう電気信号を処理
    することによって溶接トーチを溶接線に倣わせる消耗電
    極ガスシールドアーク溶接での溶接線倣い制御装置にお
    いて、溶接トーチのオシレート位置の算出回路又は検出
    回路と、溶接電流Iwの検出回路と、第n回目のチップ
    ・被溶接物間距離算出時に、前記溶接電流Iwと第1回
    目の算出時は予め設定したワイヤ突き出し長初期値Lx0
    となる前回算出された前回ワイヤ突き出し長算出値Lx
    (n-1)とを入力として、予め設定した定数α及びβによ
    ってワイヤ溶融速度算出値vm=α・Iw+β・Lx(n-
    1)・Iw2であるワイヤ溶融速度演算回路と、ワイヤ送
    給速度Wfの検出回路又は設定回路と、前記ワイヤ送給
    速度Wfと前記ワイヤ溶融速度算出値vmとを入力とし
    て、予め設定した定数ΔTによってワイヤ突き出し長変
    化分算出値ΔLx=(Wf−vm)・ΔTであるワイヤ
    突き出し長変化分演算回路と、前記ワイヤ突き出し長変
    化分算出値ΔLxと前記前回ワイヤ突き出し長算出値L
    x(n-1)とを入力として、ワイヤ突き出し長算出値Lx=
    Lx(n-1)+ΔLxであるワイヤ突き出し長変化分加算回
    路と、前記ワイヤ突き出し長算出値Lxと前記溶接電流
    Iwとを入力として、予め設定した定数Rxによってワ
    イヤ突き出し部電圧算出値Vx=Rx・Lx・Iwであ
    るワイヤ突き出し部電圧演算回路と、チップ・被溶接物
    間距離電圧Vwの検出回路と、前記チップ・被溶接物間
    電圧Vwと前記ワイヤ突き出し部電圧算出値Vxとを入
    力として、アーク電圧算出値Va=Vw−Vxであるア
    ーク電圧演算回路と、前記アーク電圧算出値Vaと前記
    溶接電流Iwとを入力として、予め設定した定数a乃至
    dによってアーク長算出値La=(Va−a−c・I
    w)/(b+d・Iw)であるアーク長演算回路と、前
    記アーク長算出値Laと前記ワイヤ突き出し長算出値L
    xとを入力として、チップ・被溶接物間距離算出値Lw
    =Lx+Laであるアーク長・ワイヤ突き出し長加算演
    算回路と、オシレート1周期間の前記オシレート位置と
    このオシレート位置に対応した前記チップ・被溶接物間
    距離算出値Lwとを入力として、オシレート中心位置と
    溶接線位置との位置ずれ距離算出値を出力する位置ずれ
    距離算出回路と、前記位置ずれ距離算出値が略零又は予
    め設定した目標値になるように溶接トーチのオシレート
    中心位置を左右に遷移させる溶接トーチ遷移手段とから
    構成される溶接線倣い制御装置。
  10. 【請求項10】 位置ずれ距離演算回路が、チップ・被
    溶接物間距離算出値Lwが最大値となる最大値オシレー
    ト位置とオシレート中心位置との位置ずれ距離算出値を
    出力する算出回路である請求項9の溶接線倣い制御装
    置。
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