JP6504700B2 - 2ワイヤ溶接の溶接開始方法 - Google Patents

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本発明は、溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池の後半部にフィラーワイヤを接触させながら送給して行う2ワイヤ溶接の溶接開始方法に関するものである。
消耗電極アークによって形成された溶融池に、フィラーワイヤを接触させながら送給して行う2ワイヤ溶接方法は、消耗電極アークの溶接ワイヤとフィラーワイヤとの2つのワイヤを使用するために高速溶接性及び高溶着性に優れている。特に、2ワイヤ溶接方法によって高速溶接を行うときには、ハンピングビードになるのを防止するために、フィラーワイヤを消耗電極アークよりも後方から溶融池に接触させて送給することが重要である。これは、フィラーワイヤを消耗電極アーク中に送給して溶融すると、溶融池の冷却効果が小さくなり、かつ、フィラーワイヤによって溶融池の後半部の盛り上がりを抑えることもできないためにハンピングビードを抑制する効果はほとんどないからである。これに対して、フィラーワイヤをアーク周縁部の溶融池の後半部に接触させて送給し、溶融池の熱によって溶融するようにすれば溶融池が効率よく冷却され、かつ、フィラーワイヤによって溶融池後半部が抑えられてハンピングビードの形成を抑制することができる。以下の説明においては、消耗電極アークのワイヤを溶接ワイヤと記載し、フィラーワイヤとは区別することにする。消耗電極アークを発生させる溶接法としては、炭酸ガスアーク溶接法、マグ溶接法、ミグ溶接法、パルスマグ溶接法、パルスミグ溶接法、消耗電極交流パルスアーク溶接法等が使用される。
2ワイヤ溶接の溶接開始方法は、以下のように行われるのが一般的であった(たとえば、特許文献1参照)。溶接装置に外部から起動信号が入力されると、溶接ワイヤの送給が開始されると共に、溶接ワイヤと母材との間に溶接電圧が印加される。溶接ワイヤが母材と接触すると、溶接電流が通電して消耗電極アークが発生する。溶接電流が通電を開始すると、溶接トーチは予め教示された溶接線に沿って移動を開始する。また、溶接電流の通電が開始した時点から遅延期間だけ遅延させて、フィラーワイヤの送給が開始される。この遅延期間の間に、消耗電極アークによって溶融池が次第に大きくなる。フィラーワイヤが溶融池と接触すると、フィラーワイヤの先端部は溶融池からの熱によって溶融されて、接触状態が維持されて定常溶接状態へと移行する。フィラーワイヤには電流は通電していない。上記の遅延期間は、消耗電極アークによって形成される溶融池がフィラーワイヤの挿入位置を含む大きさまで成長し、かつ、溶融池の温度がフィラーワイヤを溶融することができる値に達するまでの期間である。この遅延期間は、継手形状、母材の板厚、母材の材質等によって適正値が変化するが、例えば0.4〜1.0秒程度である。
上述した従来技術の溶接開始方法においては、遅延期間中に溶融池が常に適正サイズまで成長することを前提としている。しかし、溶接開始時の母材の温度は、溶接の繰り返しによって変化する。母材の温度が変化すると、遅延期間中の溶融池のサイズが変動する。この結果、フィラーワイヤが溶融池と接触した状態で安定して溶融することができずに、溶接開始部の溶接品質が悪くなるという問題が発生していた。
特開2013−71145号公報
そこで、本発明では、溶接開始時の母材の温度が変化しても、フィラーワイヤを安定した溶融状態に移行させることができ、溶接開始部の溶接品質を良好に保つことができる2ワイヤ溶接の溶接開始方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池の後半部にフィラーワイヤを接触させながら送給して行う2ワイヤ溶接の溶接開始方法において、
溶接を開始する際に、前記フィラーワイヤの送給を開始した時点から前記フィラーワイヤが前記溶融池と接触するまでの時間を計測し、この接触するまでの時間に基づいて前記接触時点からの所定期間中の前記フィラーワイヤの送給速度を変化させ、
前記接触するまでの時間が長いほど前記接触時点からの前記所定期間中の前記送給速度を速くし、前記接触するまでの時間が短いほど前記接触時点からの前記所定期間中の前記送給速度を遅くする、
ことを特徴とする2ワイヤ溶接の溶接開始方法である。
請求項2の発明は、前記接触するまでの時間に基づいて前記所定期間を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法である。
請求項3の発明は、前記接触するまでの時間が予め定めた基準時間未満であるときにのみ、前記所定期間中の前記フィラーワイヤの送給速度を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法である。
請求項4の発明は、前記接触するまでの時間が前記基準時間未満であるときにのみ、前記所定期間を変化させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法である。
本発明によれば、フィラーワイヤが送給を開始した時点からフィラーワイヤが溶融池と接触するまでの時間によって母材の温度を間接的に検出している。そして、母材の温度の変化に起因する溶融池の成長度合いに適応させて、フィラーワイヤ送給速度を変化させるので、フィラーワイヤの溶融状態を安定化させることができる。このために、本発明では、溶接開始時の母材の温度が変化しても、フィラーワイヤを安定した溶融状態に移行させることができ、溶接開始部の溶接品質を良好に保つことができる。
本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接の溶接開始方法を実施するための溶接装置の構成図である。 本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接の溶接開始方法を説明するための図1における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1の発明は、溶接を開始する際に、フィラーワイヤの送給を開始した時点からフィラーワイヤが溶融池と接触するまでの時間を計測し、この接触するまでの時間に基づいて接触時点からの所定期間中のフィラーワイヤの送給速度を変化させるものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接の溶接開始方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して、各構成物について説明する。
本溶接装置は、破線で囲まれた溶接トーチWT、溶接電源PS、ロボット制御装置RC及びロボット(図示は省略)を備えている。
溶接トーチWTは、溶接ワイヤ1aに給電するための給電チップ4a及びフィラーワイヤ1bの送給をガイドするための送給チップ4bを備えている溶接トーチWTの先端からは炭酸ガス、炭酸ガスとアルゴンガスとの混合ガス等のシールドガス(図示は省略)が噴出している。溶接トーチWTは、ロボット(図示は省略)によって保持されて、ロボット制御装置RC内に記憶されている作業プログラムに従って、溶接線に沿って移動される。
溶接ワイヤ1aは、溶接ワイヤ用送給モータWMに結合された溶接ワイヤ用送給ロール5aの回転によって溶接トーチWT内を溶接ワイヤ送給速度Wsで送給されて、母材2との間で消耗電極アーク3aが発生する。
フィラーワイヤ1bは、フィラーワイヤ用送給モータFMに結合されたフィラーワイヤ用送給ロール5bの回転によって溶接トーチWT内をフィラーワイヤ送給速度Fsで送給される。
溶接ワイヤ1aと母材2との間には溶接電源PSから給電チップ4aを介して溶接電圧Vwwが印加されており、消耗電極アーク3a中を溶接電流Iwwが通電している。同図では、溶接方向は左方向となっている。先行する消耗電極アーク3aによって溶融池2aが形成される。フィラーワイヤ1bは、溶融池2aの後半部に接触した状態で挿入されており、溶融池2aからの熱によって溶融される。フィラーワイヤ1bは、消耗電極アーク3aの外部を送給される。これは、上述したように、フィラーワイヤ1bが消耗電極アーク3aによって直接溶融されることを防止するためである。溶接ワイヤ1aの前進角は、0〜30°程度の範囲であり、同図では面直(0°)の場合である。フィラーワイヤ1bの前進角は、20〜50°の範囲である。すなわち、フィラーワイヤ1bは、斜め前方方向に挿入されることになる。
接触判別用電源PFは、フィラーワイヤ1bと母材2(溶融池2a)との間に送給チップ4bを介して接触判別電圧Vwfを印加する。接触判別電圧Vwfは、フィラーワイヤ1bと溶融池2aとの間が非接触状態のときは10V程度となり、接触状態のときは略0Vとなる。フィラーワイヤ1bと溶融池2aとの間にアークが発生しないように、かつ、フィラーワイヤ1bが加熱されないようにフィラーワイヤ1bを通電する電流は0.1A未満とする。
溶接電流検出回路IDは、溶接電流Iwwを検出して、溶接電流検出信号Idを出力する。接触判別電圧検出回路VDは、接触判別電圧Vwfを検出して、接触判別電圧検出信号Vdを出力する。
電流通電判別回路CDは、上記の溶接電流検出信号Idの値から溶接電流Iwwが通電していることを判別してHighレベルとなる電流通電判別信号Cdを出力する。
接触判別回路SDは、上記の接触判別電圧検出信号Vdの値からフィラーワイヤ1bと溶融池2aとの間が接触状態にあることを判別してHighレベルとなる接触判別信号Sdを出力する。
時間計測回路TDは、上記のフィラーワイヤ用送給モータFMからのフィラーワイヤ送給速度検出信号Fsd及び上記の接触判別信号Sdを入力として、フィラーワイヤ送給速度検出信号Fsdの値からフィラーワイヤ1bの送給が開始されたことを判別し、この送給開始時点から接触判別信号SdがHighレベル(接触)に変化するまでの時間を計測して、時間計測信号Tdとして出力する。
初期フィラーワイヤ送給速度設定回路FIRは、上記の時間計測信号Tdを入力とする予め定めた初期フィラーワイヤ送給速度算出関数によって初期フィラーワイヤ送給速度設定信号Firを算出して出力する。この関数については、図2で詳述する。
初期期間設定回路TIRは、上記の時間計測信号Tdを入力とする予め定めた初期期間算出関数によって初期期間設定信号Tirを算出して出力する。この初期期間算出関数については、図2で詳述する。
フィラーワイヤ送給速度設定回路FRは、上記の電流通電判別信号Cd、上記の接触判別信号Sd、上記の初期期間設定信号Tir及び上記の初期フィラーワイヤ送給速度設定信号Firを入力として、以下の処理を行い、フィラーワイヤ送給速度設定信号Frを出力する。以下の処理において、スローダウンフィラーワイヤ送給速度<初期フィラーワイヤ送給速度Fi≦定常フィラーワイヤ送給速度である。
1)電流通電判別信号CdがHighレベルに変化した時点から予め定めた遅延期間Ttが経過すると、フィラーワイヤ送給速度設定信号Frの値を0から予め定めたスローダウンフィラーワイヤ送給速度に切り換えて出力する。
2)その後に、接触判別信号SdがHighレベルに変化すると、その時点から初期期間設定信号Tirによって定まる初期期間Ti中は、フィラーワイヤ送給速度設定信号Frの値を初期フィラーワイヤ送給速度設定信号Firによって定まる初期フィラーワイヤ送給速度Fiに切り換えて出力する。
3)初期期間Tiが終了すると、フィラーワイヤ送給速度設定信号Frの値を予め定めた定常フィラーワイヤ送給速度に切り換えて出力する。
溶接ワイヤ送給速度設定回路WRは、後述するロボット制御装置RCからの起動信号On及び上記の電流通電判別信号Cdを入力として、以下の処理を行い、溶接ワイヤ送給速度設定信号Wrを出力する。以下の処理において、スローダウン溶接ワイヤ送給速度<定常溶接ワイヤ送給速度である。
1)起動信号OnがHighレベルに変化すると、溶接ワイヤ送給速度設定信号Wrの値を0から予め定めたスローダウン溶接ワイヤ送給速度に切り換えて出力する。
2)電流通電判別信号CdがHighレベルに変化すると、溶接ワイヤ送給速度設定信号Wrの値を予め定めた定常溶接ワイヤ送給速度に切り換えて出力する。
溶接電源PSは、後述するロボット制御装置RCからの起動信号On、上記の溶接ワイヤ送給速度設定信号Wr及び上記のフィラーワイヤ送給速度設定信号Frを入力として、溶接電圧Vww及び溶接電流Iwwを出力して消耗電極アーク3aを発生させると共に、溶接ワイヤ送給速度設定信号Wrに相当する溶接ワイヤ送給速度Wsで溶接ワイヤ1aを送給するための溶接ワイヤ送給制御信号Wcを上記の溶接ワイヤ用送給モータWMに出力し、フィラーワイヤ送給速度設定信号Frに相当するフィラーワイヤ送給速度Fsでフィラーワイヤ1bを送給するためのフィラーワイヤ送給制御信号Fcを上記のフィラーワイヤ用送給モータFMに出力する。溶接電源PSは、定電圧特性を有している。溶接電源PSの動作については、図2で詳述する。
ロボット制御装置RCは、予め教示された作業プログラムに従って溶接トーチWTを溶接開始位置に移動させて停止し、溶接電源PSに対して起動信号Onを出力して溶接を開始し、上記の電流通電判別信号CdがHighレベルになると溶接トーチWTを溶接線に沿って移動させる。
図2は、本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接の溶接開始方法を説明するための上述した図1における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は起動信号Onの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤ送給速度Wsの時間変化を示し、同図(E)はフィラーワイヤ送給速度Fsの時間変化を示し、同図(F)は電流通電判別信号Cdの時間変化を示し、同図(G)は接触判別信号Sdの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
時刻t1において、溶接トーチWTが溶接開始位置に移動して停止すると、同図(A)に示すように、起動信号OnがHighレベルとなり、溶接電源PSが起動され、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwwは最大電圧値の無負荷電圧となる。同時に、同図(D)に示すように、溶接ワイヤ送給速度Wsは予め定めた低速のスローダウン溶接ワイヤ送給速度になり、溶接ワイヤ1aは送給を開始する。同図(C)に示すように、溶接電流Iwwは通電しておらず、同図(E)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsは0であり、フィラーワイヤ1bの送給は停止している。
時刻t2において、溶接ワイヤ1aが母材2と接触して消耗電極アーク3aが発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwwは数十Vのアーク電圧値に減少し、同図(C)に示すように、溶接電流Iwwが通電し、同図(F)に示すように、電流通電判別信号CdはHighレベルとなる。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接ワイヤ送給速度Wsは予め定めた定常溶接ワイヤ送給速度に加速し、溶接トーチWTは溶接線に沿って移動を開始する。
同図(F)に示す電流通電判別信号CdがHighレベルに変化した時刻t2から予め定めた遅延期間Ttが経過した時刻t3において、同図(E)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsは予め定めたスローダウンフィラーワイヤ送給速度になり、フィラーワイヤ1bの送給が開始される。
時刻t4において、フィラーワイヤ1bが溶融池2aに接触すると、同図(G)に示すように、接触判別信号SdがHighレベルに変化する。これに応動して、時間計測回路TDは、フィラーワイヤ1bが送給を開始した時刻t3から接触判別信号SdがHighレベルに変化する時刻t4までの時間を計測して、時間計測信号Tdとして出力する。この時間計測信号Tdが初期期間設定回路TIR及び初期フィラーワイヤ送給速度設定回路FIRに入力されて、初期期間設定信号Tir及び初期フィラーワイヤ送給速度設定信号Firが算出される。そして、時刻t4〜t5の初期期間設定信号Tirによって定まる初期期間Ti中は、同図(E)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsは初期フィラーワイヤ送給速度設定信号Firによって定まる初期フィラーワイヤ送給速度Fiに加速される。
時刻t5において初期期間Tiが終了すると、同図(E)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsは予め定めた定常フィラーワイヤ送給速度に加速される。これ以降の期間は、定常溶接期間となる。
フィラーワイヤ1bが送給を開始してから溶融池2aに接触するまでの時間である時間計測信号Tdの値によって、以下のことを判別することができる。時間計測信号Tdが短いほど、母材2の温度が低いために溶融池2aは急峻な凸形状で成長しており、溶融池2aの表面積のサイズの成長が緩やかである。このような場合には、初期フィラーワイヤ送給速度Fiを遅くする必要がある。これは、溶融池2aの成長が緩やかであるので、初期フィラーワイヤ送給速度Fiを遅くしないと、溶融不良状態となるおそれがあるためである。これに加えて、初期期間Tiも長くしても良い。
逆に、時間計測信号Tdが長いほど、母材2の温度が高いために溶融池2aは緩やかな凸形状で成長しており、溶融池2aの表面積のサイズの成長が急速である。このような場合には、初期フィラーワイヤ送給速度Fiを速くする必要がある。これは、溶融池2aの成長が急速であるので、初期フィラーワイヤ送給速度Fiを早くしないと、フィラーワイヤ1bの溶融が急速に進行して非接触状態と接触状態とを反復する状態となり、不安定な溶融状態となるためである。これに加えて、初期期間Tiも短くしても良い。
したがって、図1の初期フィラーワイヤ送給速度設定回路FIRに内蔵されている初期フィラーワイヤ送給速度算出関数は、時間計測信号Tdが大きいほど初期フィラーワイヤ送給速度Fiが大きくなる比例関係の関数となる。初期フィラーワイヤ送給速度Fiは、スローダウンフィラーワイヤ送給速度と定常フィラーワイヤ送給速度とのあいだの範囲で変化する。
また、図1の初期期間設定回路TIRに内蔵されている初期期間算出関数は、時間計測信号Tdが大きいほど初期期間Tiが小さくなる反比例関係の関数となる。初期期間Tiの変化範囲は、0.1〜1.0秒程度である。
上記において、時間計測信号Tdが短いほど溶融不良が発生しやすくなり、溶接不良となる。これに対して、時間計測信号Tdが長いほど溶融状態が不安定になるが、溶接不良までには至らず、溶接品質が悪くなる程度である。したがって、時間計測信号Tdが基準時間未満であるときにのみ、初期フィラーワイヤ送給速度Fi及び/又は初期期間Tiを変化させるようにしても良い。基準時間は、溶融不良が生じない時間計測信号Tdの最小値を実験によって求めて、その値に基づいて設定される。
上述した実施の形態1によれば、溶接を開始する際に、フィラーワイヤの送給を開始した時点からフィラーワイヤが溶融池と接触するまでの時間を計測し、この接触するまでの時間に基づいて接触時点からの所定期間中のフィラーワイヤの送給速度を変化させる。これにより、接触するまでの時間によって母材の温度を間接的に検出している。そして、母材の温度の変化に起因する溶融池の成長度合いに適応させて、フィラーワイヤ送給速度を変化させるので、フィラーワイヤの溶融状態を安定化させることができる。このために、本実施の形態では、溶接開始時の母材の温度が変化しても、フィラーワイヤを安定した溶融状態に移行させることができ、溶接開始部の溶接品質を良好に保つことができる。
1a 溶接ワイヤ
1b フィラーワイヤ
2 母材
2a 溶融池
3a 消耗電極アーク
4a 給電チップ
4b 送給チップ
5a 溶接ワイヤ用送給ロール
5b フィラーワイヤ用送給ロール
CD 電流通電判別回路
Cd 電流通電判別信号
Fc フィラーワイヤ送給制御信号
Fi 初期フィラーワイヤ送給速度
FIR 初期フィラーワイヤ送給速度設定回路
Fir 初期フィラーワイヤ送給速度設定信号
FM フィラーワイヤ用送給モータ
FR フィラーワイヤ送給速度設定回路
Fr フィラーワイヤ送給速度設定信号
Fs フィラーワイヤ送給速度
Fsd フィラーワイヤ送給速度検出信号
ID 溶接電流検出回路
Id 溶接電流検出信号
Iww 溶接電流
On 起動信号
PF 接触判別用電源
PS 溶接電源
RC ロボット制御装置
SD 接触判別回路
Sd 接触判別信号
TD 時間計測回路
Td 時間計測信号
Ti 初期期間
TIR 初期期間設定回路
Tir 初期期間設定信号
VD 接触判別電圧検出回路
Vd 接触判別電圧検出信号
Vwf 接触判別電圧
Vww 溶接電圧
Wc 溶接ワイヤ送給制御信号
WM 溶接ワイヤ用送給モータ
WR 溶接ワイヤ送給速度設定回路
Wr 溶接ワイヤ送給速度設定信号
Ws 溶接ワイヤ送給速度
WT 溶接トーチ

Claims (4)

  1. 溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池の後半部にフィラーワイヤを接触させながら送給して行う2ワイヤ溶接の溶接開始方法において、
    溶接を開始する際に、前記フィラーワイヤの送給を開始した時点から前記フィラーワイヤが前記溶融池と接触するまでの時間を計測し、この接触するまでの時間に基づいて前記接触時点からの所定期間中の前記フィラーワイヤの送給速度を変化させ、
    前記接触するまでの時間が長いほど前記接触時点からの前記所定期間中の前記送給速度を速くし、前記接触するまでの時間が短いほど前記接触時点からの前記所定期間中の前記送給速度を遅くする、
    ことを特徴とする2ワイヤ溶接の溶接開始方法。
  2. 前記接触するまでの時間に基づいて前記所定期間を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法。
  3. 前記接触するまでの時間が予め定めた基準時間未満であるときにのみ、前記所定期間中の前記フィラーワイヤの送給速度を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法。
  4. 前記接触するまでの時間が前記基準時間未満であるときにのみ、前記所定期間を変化させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の2ワイヤ溶接の溶接開始方法。
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