JP2000155102A - X線測定装置およびその方法 - Google Patents

X線測定装置およびその方法

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JP2000155102A
JP2000155102A JP10329998A JP32999898A JP2000155102A JP 2000155102 A JP2000155102 A JP 2000155102A JP 10329998 A JP10329998 A JP 10329998A JP 32999898 A JP32999898 A JP 32999898A JP 2000155102 A JP2000155102 A JP 2000155102A
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rays
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incident
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JP10329998A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Kikuchi
哲夫 菊池
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線反射率測定やロッキングカーブ測定の時
間短縮を図るとともに、簡易な構成のX線測定装置でそ
れらの測定を実現する。 【解決手段】 微小焦点からX線を発散するX線源1
と、このX線源1から出射してきたX線を反射するとと
もに該X線を一方向に収束するリフレクタ3と、X線源
から出射してきたX線を単色化して反射するとともに該
X線をリフレクタ3による収束方向とほぼ直行する方向
に収束する湾曲モノクロメータ2とを備え、X線の各収
束点がほぼ一致するようにリフレクタ3及び湾曲モノク
ロメータ2を位置決めし、かつその収束点に試料Sを配
置するとともに該試料Sで反射したX線をX線検出器4
により検出する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線を試料に入
射し、試料で反射したX線を検出することにより、試料
を非破壊で分析するためのX線測定装置およびその方法
に関し、例えば、X線反射率測定やロッキングカーブ測
定に好適なX線測定装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】X線反射率測定X線を用いた測定方法と
して、X線の鏡面反射現象を利用して試料の物性を評価
するX線反射率測定方法がある。このX線反射率測定方
法は、特に薄膜の厚さや、薄膜表面の粗さ、薄膜と基材
との間の界面の粗さ、薄膜の密度等を測定するのに適し
ている。このX線反射率測定方法の原理は、以下のとお
りである(図8〜図11参照)。
【0003】図8において、表面が平坦な物質101の
表面すれすれにX線を入射、すなわち低角度θからX線
を入射すると、臨界角度以下では全反射を生じる。この
臨界角度は非常に小さく、例えばCuKαのX線に対
し、Siやガラス板では0.22°、Niでは0.42
°、そしてAuでは0.57°である。
【0004】この臨界角度は、物質の電子密度に依存し
て変化する。X線の入射角度がこの臨界角度よりも大き
くなるにしたがって、X線は次第に物質中へ深く入り込
んでいく。そして、理想的な平面をもった物質では、図
9に曲線Aで示すように、臨界角度をθc以上の角度
で、X線反射率がθ−4(θはX線入射角)に比例して
急激に減少する。さらに、物質の表面が粗れていると、
減少の程度は破線Bで示すように一層大きくなる。図の
縦軸において、Iは入射X線強度であり、Iは反射X
線強度である。
【0005】図10に示すように、このような物質を基
板101として、その基板101上に電子密度の異なる
別の物質を均一に積層して薄膜102を形成する。そし
て、X線を低角度で入射すると、基板101と薄膜10
2との間の界面、および薄膜102の表面で反射したX
線が、互いに強めあったり弱めあったりする。その結
果、図11に示すように、反射率曲線にX線の干渉によ
る振動パターンCが現れる。
【0006】この振動パターンCの周期から、薄膜10
2の厚さを決定でき、また振動パターンCの振幅の角度
依存性から、表面および界面の情報が得られる。さら
に、振動パターンの周期と振幅の両方を併せて検討する
ことにより、薄膜102の密度が求められる。通常のX
線反射率測定では、図9および図11において、横軸2
θに関しては、0°〜5°程度、広い範囲の場合で0°
〜10°の範囲で測定される。
【0007】図12は、上述したX線反射率測定の原理
を用いた従来のX線測定装置(X線反射率測定装置)を
示す平面図である。このX線反射率測定装置では、X線
源110から放射されたX線を、モノクロメータ111
により単色平行X線に変換し、試料Sに低角度で入射さ
せる。試料Sに入射したX線は、その入射角θに応じて
2θの角度に反射する。このように試料Sで反射したX
線をX線検出器112で検出して、入射角θ毎の反射率
を求める構造となっている。
【0008】この種のX線反射率測定装置は、入射角度
θを微小単位で変更しながら反射率の測定を行なってい
く。このため、同装置はゴニオメータ113を備えてお
り、このゴニオメータ113により試料Sを微小角度単
位で回転し、試料Sに対するX線の入射角度θを変更し
ている。
【0009】ロッキングカーブ測定また、X線を利用し
た他の測定方法に、ロッキングカーブ測定がある。この
ロッキングカーブ測定は、例えば、基板結晶にエピタキ
シャル層等の混晶膜を成長させた試料や、基板結晶上に
異種の単結晶薄膜の組を周期的に積層させた構造(超格
子構造)の試料について、基板結晶上に成長させた混晶
膜や超格子構造の格子定数等を分析する方法として知ら
れている。
【0010】図13は、ロッキングカーブ測定に用いら
れている従来のX線測定装置を示す図である。このX線
測定装置では、X線源210から放射されたX線を、第
一結晶と称するモノクロメータ211により単色平行X
線に変換し、試料Sに入射させる。そして、試料Sを入
射X線に対して微小角度ωだけ揺動させて、この微小角
度ωの範囲で試料Sに対するX線の入射角度を変化させ
る。
【0011】このように試料Sに対するX線の入射角度
を変化させると、入射角度が基板結晶のブラック角と一
致したときにその基板結晶でX線が反射(回折)し、一
方、入射角度が混晶膜や超格子構造のブラック角と一致
したときにその混晶膜や超格子構造でX線が反射(回
折)する。これら基板結晶および混晶膜や超格子構造か
ら反射したX線をX線検出器212で検出し、X線の入
射角対強度のプロファイルを求めることにより、図14
に示したようなロッキングカーブが得られる。
【0012】このロッキングカーブには、基板結晶のピ
ークプロファイルIoと混晶膜や超格子構造のピークプ
ロファイルIpとがそれぞれ分離して現れる。このう
ち、基板結晶に関するピークプロファイルIoの現れる
X線入射角度(ブラッグ角)が既知であるとすると、そ
の基板結晶に関するピークプロファイルIoの現れるX
線入射角度と、混晶膜や超格子構造に関するピークプロ
ファイルIpの現れるX線入射角度との差Δθにより、
相対的に混晶膜や超格子構造の格子定数を求めることが
できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】X線反射率測定 上述したように、従来のX線反射率測定装置は、試料S
に対するX線の入射角度θを変更するために、ゴニオメ
ータ113を備えていた。このゴニオメータ113は、
非常に狭い角度範囲の中で試料Sを微小角度単位で高精
度に回転させなければならず、例えば、10−4°程度
の精度が要求される。このようなゴニオメータ113
は、構造的に極めて高精度な加工が要求され、製作コス
トが高価格となる。しかも、そのように微小角度単位で
駆動制御するには、煩雑な制御プログラムが必要となる
ため、操作にもある程度の習熟が必要であった。
【0014】また、試料Sに対するX線の入射角度θを
微小角度単位で変更し、各入射角度毎に反射X線を検出
する操作を繰り返していくので、測定時間が長くなると
いう欠点があった。例えば、本出願人は同様な構造のX
線反射率測定装置を従来より製造しているが、同装置
(商品名:GXR)でX線反射率測定を実施した場
合、20分〜2時間の測定時間を必要とする。
【0015】ロッキングカーブ測定 上述したように、ロッキングカーブ測定を実施する従来
のX線測定装置は、入射X線に対して試料Sを微小角度
ωだけ揺動させるために、精密な揺動機構を備える必要
があり、製作コストが高価格となる欠点があった。ま
た、試料Sを揺動させながら測定を行なうために、その
動作時間(すなわち試料をスキャンする時間)として、
少なくとも数分の測定時間が必要であった。
【0016】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、構造が簡易で設備コストの低価格化を実現
するとともに、測定時間を大幅に短縮することができる
X線測定装置の提供を目的とする。また、測定時間を大
幅に短縮することができるX線測定方法の提供を目的と
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の装置は、X線を試料に入射し、試料で反射し
たX線を検出するX線測定装置において、微小焦点から
X線を発散するX線源と、このX線源から出射してきた
X線を反射するとともに該X線を一方向に収束するリフ
レクタと、X線源から出射してきたX線を単色化して反
射するとともに該X線をリフレクタによる収束方向とほ
ぼ直行する方向に収束する湾曲モノクロメータとを備
え、X線の各収束点がほぼ一致するようにリフレクタ及
び湾曲モノクロメータを位置決めし、かつその収束点に
試料を配置するとともに該試料で反射したX線をX線検
出手段により検出する構成としたことを特徴とする。
【0018】また、本発明の方法は、X線を試料に入射
し、試料で反射したX線を検出するX線測定方法におい
て、微小焦点から発散してきたX線をリフレクタに反射
させて一方向に収束するとともに、湾曲モノクロメータ
に反射させて単色化しかつリフレクタによる収束方向と
ほぼ直行する方向に収束し、X線の各収束点がほぼ一致
するようにリフレクタ及び湾曲モノクロメータの位置を
調整し、かつその収束点に試料を配置するとともに該試
料で反射したX線を検出することを特徴としている。
【0019】湾曲モノクロメータに発散X線を入射させ
ると、単色化したX線が反射して一方向に収束すること
が知られている。本発明は、この湾曲モノクロメータの
特性をX線測定に利用したものである。すなわち、湾曲
モノクロメータから反射してきたX線を、該X線のほぼ
収束点上で試料に入射させると、ある角度範囲のX線を
同時に試料へ入射させることができる。したがって、試
料からはX線の入射角度範囲に応じて、ある角度範囲に
X線が反射する。このように試料から反射してきたある
角度範囲内のX線を検出することにより、X線反射率測
定やロッキングカーブ測定を短時間で行なうことができ
る。
【0020】ところで、近年、半導体デバイスの微小領
域における結晶情報をはじめ、各種試料の微小領域に関
するX線測定情報を得たいという新たな要望が本出願人
のもとに寄せられている。例えば、コンビナトリアルマ
テリアル又はコンビナトリアルケミストリー(東京化学
同人発行 「現代科学」 1998年11月号 P14〜
P20参照)と称する新規技術の評価を行うために、微
小領域に関するX線測定情報を試料のX,Y平行移動で
次々と収集し、マップ情報として得たいといった要望が
ある。しかし、湾曲モノクロメータでは、X線を一方向
(例えば、X線の幅又は高さ方向)に収束できるのみで
あるため、X線は線状に収束する。したがって、湾曲モ
ノクロメータでX線を収束したのみでは、上記のような
試料の微小領域に関するX線測定情報を得ることができ
ない。そこで、この発明では、湾曲モノクロメータとと
もにリフレクタを用いてX線を微小焦点に収束させ、そ
の収束点に試料を配置することで、試料の微小領域に関
するX線測定情報を得ることができるようにしてある。
【0021】スリットを用いてX線の幅や高さを制限す
る手法もあるが、この種の手法ではX線の一部をカット
してしまうため、試料に入射するX線の強度が減少す
る。その点、湾曲モノクロメータとともにリフレクタを
用いてX線を収束する本発明によれば、X線源から出射
したX線の強度を減衰させることなく試料に入射させる
ことができるため、明瞭なX線測定情報を得ることがで
きる。リフレクタとしては、例えば、全反射ミラーや多
層膜ミラーを適用することができる。
【0022】この発明のX線測定装置を用いて、X線反
射率測定を実施する場合には、試料に入射させるX線の
入射角度を、X線反射率測定に必要な低角度範囲(すな
わち、臨界角度以下)に設定すればよい。
【0023】また、ブラッグ角が既知の基板結晶上に成
長させた混晶膜または超格子構造を有する試料を測定対
象として、ロッキングカーブ測定を実施する場合は、試
料に入射させるX線の平均入射角度を、上記既知のブラ
ッグ角付近に設定することが好ましい。このように設定
することにより、ブラッグ角が既知の結晶から反射(回
折)してきたX線のピークプロファイルを基準として、
混晶膜や超格子構造から反射(回折)してきたX線のピ
ークプロファイルを同時に得ることができる。なお、ブ
ラッグ角とは、結晶格子面でX線の回折現象が生じる角
度(X線の入射角度)をいう。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の
実施形態に係るX線測定装置の概要を示す斜視図であ
る。同図に示すように、本実施形態のX線測定装置は、
X線源1、湾曲モノクロメータ2、リフレクタ3、試料
配置手段としての試料台(図示せず)、およびX線検出
器4を備えている。
【0025】湾曲モノクロメータ2は、入射したX線を
単色化して反射する機能を有している。すなわち、湾曲
モノクロメータ2にX線を入射させると、X線源1の対
陰極を構成する物質に応じた特性X線(例えば、K
α)が反射する。この湾曲モノクロメータ2は、例え
ばα−水晶,Si,Geなどのほぼ完全な結晶材料を薄
くスライスした後、表面を鏡面研磨し、かつ所定の曲率
に湾曲成形して製作することができる。湾曲モノクロメ
ータ2は、一般にヨハンソン型とヨハン型の2種類が知
られている。
【0026】図2はヨハンソン型湾曲モノクロメータを
示す平面構成図である。ヨハンソン型湾曲モノクロメー
タ2′は、同図に示すように半径Rのローランド円(集
中円)10に沿って表面を湾曲させるとともに、結晶内
部の格子面が半径2Rの曲率で湾曲した構造となってい
る。このヨハンソン型湾曲モノクロメータ2′は、ロー
ランド円10上に設定した任意の地点に発散X線の焦点
Pを配置して該発散X線を表面に照射すると、単色化さ
れた発散X線を所定の角度で反射する。そして、反射し
たX線は、ローランド円10上の所定地点(収束点Q)
に収束する。
【0027】一方、図3はヨハン型湾曲モノクロメータ
を示す平面構成図である。ヨハン型湾曲モノクロメータ
2″は、同図に示すように半径Rのローランド円10に
対し、表面を半径2Rの曲率で湾曲させた構成となって
いる。結晶内部の格子面は、表面と平行に配置してあ
り、したがって格子面も半径2Rの曲率で湾曲してい
る。このヨハン型湾曲モノクロメータ2″は、ローラン
ド円10上に設定した任意の地点に発散X線の焦点Pを
配置して該発散X線を表面に照射すると、単色化された
発散X線を所定の角度で反射する。反射したX線は、所
定地点(収束点Q)に収束するが、一点には収束せず広
がりをもつ。しかし、この広がりはX線発散角の小さな
範囲では僅かであり、実用上何ら障害とはならない。
【0028】上述した湾曲モノクロメータ2において、
入射X線と反射X線の光路長が等しい配置の場合は対称
反射となるが、湾曲モノクロメータ2を入射X線の焦点
Pに近づけ、反射X線の光路長を長くとりたいこともあ
る。このような非対称反射を得るためには、図4に示す
ように、結晶格子面2aを表面に対しδ(δ<θ)だけ
傾斜させればよい。なお、θは結晶格子面に対するX線
の入射角である。このように構成することで、焦点Pか
ら湾曲モノクロメータ2の入射点Oまでの距離PO、お
よび入射点Oから収束点Qまでの距離OQは、それぞれ
次式のようになる。 PO=2Rsin(θ−δ) OQ=2Rsin(θ+δ)
【0029】X線源1には、発散X線を放射するX線管
を用いる。このX線源1は、例えば0.1mm程度以下
の微小焦点のものが好ましい。X線源1から放射される
発散X線の焦点Pは、上述したように湾曲モノクロメー
タ2のローランド円10上に配置する。なお、X線源1
から放射される発散X線の焦点Pが大きい場合は、同X
線源1の前方にスリットを配置して、微小焦点を形成し
てもよい。この場合、スリットを湾曲モノクロメータ2
のローランド円10上に配置する。
【0030】リフレクタ3は、入射したX線を反射して
収束する機能を有している。上述した湾曲モノクロメー
タ2およびこのリフレクタ3は、ともにX線を一方向に
のみ収束する。したがって、単独ではX線を線状に収束
させるに過ぎない。そこでこの実施形態では、X線を収
束させる方向がほぼ直交するように湾曲モノクロメータ
2とリフレクタ3とを配置して、これら各収束手段を反
射してきたX線が点状の微小焦点に収束するように調整
してある。
【0031】リフレクタ3は、図5に示すように、X線
源1の焦点Pから出射したX線の軌道上に配置してあ
り、このリフレクタ3で反射したX線を湾曲モノクロメ
ータ2に入射させる。ここで、図5の(a)は湾曲モノ
クロメータ2及びリフレクタ3の配置関係を示す平面
図、(b)は同じく側面図である。X線源1から放射さ
れる発散X線の焦点Pは、既述したように湾曲モノクロ
メータ2のローランド円10上に配置してある。また、
リフレクタ3と湾曲モノクロメータ2は、ローランド円
10上のほぼ同じ位置QにX線を収束させるように相互
の位置が調整してある。なお、X線源1の近くに湾曲モ
ノクロメータ2を配置し、湾曲モノクロメータ2から反
射してきたX線をリフレクタ3で反射して収束してもよ
い。
【0032】リフレクタ3としては、例えば、全反射ミ
ラーや多層膜ミラーを用いることができる。全反射ミラ
ーは、スムースな表面をもつガラスやシリコンなどの基
板材料に、ニッケル、金、白金などの金属薄膜をコーテ
ィングした構造となっており、反射面は円又は楕円に沿
った湾曲面に形成されている。この全反射ミラーをリフ
レクタ3として用いるときは、反射面に対して臨界角度
以下の角度でX線を入射させる。このように、臨界角度
以下でX線を入射させることにより、入射X線を全反射
させることができる。
【0033】多層膜ミラーは、表面がスムーズな基板
に、原子番号の大きい物質(W,Pt、Au、AuP
d、ReWなど)と小さい物質(C、BC、Siな
ど)を交互に積層した構造となっており、反射面は円又
は楕円に沿った湾曲面に形成されている。
【0034】試料Sは、図示しない試料台に装着し、湾
曲モノクロメータ2で反射したX線の収束点Qに試料面
を配置する。図6の(a)に示すように、湾曲モノクロ
メータ2から反射してきたX線光路の一側縁に対し、試
料表面Saを平行に配置した場合は、試料表面Saから
入射X線の収束角Ωまでの低角度領域(0°〜Ω)で、
X線反射率測定を同時に行なうことができる。また、図
6の(b)に示すように、湾曲モノクロメータ2から反
射してきたX線光路の一側縁に対し、試料表面Saをε
だけ傾斜させた場合は、試料表面Saを原点(0°)と
してε〜Ωの低角度領域で、X線反射率測定を同時に行
なうことができる。
【0035】既述したように、物質にX線を入射させた
とき全反射を生じる臨界角度は非常に小さく、例えばC
uKαのX線に対し、Siやガラス板では0.22°、
Niでは0.42°、そしてAuでは0.57°であ
る。したがって、試料Sに照射するX線の収束角Ωは、
1°程度あれば充分にX線反射率測定を実施できる。湾
曲モノクロメータ2で反射したX線の収束角Ωは、同モ
ノクロメータ2の大きさ、曲率半径、X線の入射角など
に依存するが、1°程度の収束角ΩをもつX線を得るの
は容易である。
【0036】また、上述したX線測定装置により、ブラ
ッグ角が既知の基板結晶上に成長させた混晶膜または超
格子構造を有する試料を測定対象として、ロッキングカ
ーブ測定を実施するには、図6の(c)に示すように、
湾曲モノクロメータ2から反射してきたX線の試料表面
Saに対する平均入射角度λを、上記既知のブラッグ角
θ付近に設定すればよい。このように設定すれば、ブラ
ッグ角θが既知の基板結晶から反射(回折)してきたX
線のピークプロファイルを基準として、混晶膜や超格子
構造から反射してきたX線のピークプロファイルを同時
に得ることができる。
【0037】X線検出器4としては、X線強度を一次元
または二次元で検出することができる各種のものが利用
できる。例えば、イメージングプレート(IP)、X線
検出用CCD、一次元PSDなどがX線検出器4として
適用可能である。さて、X線反射率測定においては、X
線検出器4で検出されるX線強度Iは、Imin=1c
ps/sからImax=10cps/s程度の強度差
がある。したがって、ダイナミックレンジの狭いX線検
出器4では、測定不能となるおそれがある。
【0038】その場合は、図7に示すように試料Sで反
射してきたX線の光路上に、X線吸収材料からなるX線
吸収体5を挿入することが好ましい。試料Sで反射して
きたX線は、反射角度が大きくなるにしたがい強度が小
さくなる。そこで、X線吸収体5は、低い角度で反射し
てきたX線が透過する部分の幅を広く、反射角度の大き
なX線が透過する部分の幅を小さく形成してある。これ
により、強度の大きなX線の減衰率を大きく、小さな強
度のX線の減衰率を小さくすることができるので、X線
の強度差を小さくすることができる。X線吸収体5の具
体的形状としては、例えば楔状や段付き形状などが考え
られる。このようにX線吸収体5を挿入した場合は、同
吸収体5によるX線の減衰率に応じて測定結果を補正
し、真のX線強度を算出すればよい。
【0039】上述したX線測定装置によれば、X線源1
から放射された発散X線は、リフレクタ3で反射した
後、湾曲モノクロメータ2に入射して単色化され、例え
ばKα のみが表面から反射してくる。湾曲モノクロメ
ータ2から反射してきたX線は収束角Ωの角度範囲を有
しており、該収束角ΩのX線が試料Sに入射する。試料
SからはX線の入射角度に応じてX線が反射する。
【0040】そして、試料Sから反射してきたX線の反
射角度およびX線強度を、X線検出器4で検出すること
により、必要とされる全ての角度について、X線反射率
測定やロッキングカーブ測定を同時に行なうことができ
る。このように、必要とされる全ての角度について、X
線反射率測定やロッキングカーブ測定を同時に行なうこ
とができるため、例えば、薄膜製造工程中に本実施形態
のX線測定装置を配設し、薄膜製造と並行してX線反射
率測定やロッキングカーブ測定を実行することも可能と
なる。
【0041】しかも、リフレクタ3及び湾曲モノクロメ
ータ2により、X線を点状の微小焦点に収束するので、
試料Sの微小領域を対象としてX線反射率測定やロッキ
ングカーブ測定による測定データを得ることが可能とな
る。なお、この発明は上述した実施形態に限定されるも
のではなく、種々の変形または応用が可能なことは勿論
である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明のX線測定装
置によれば、構造が簡易で設備コストの低価格化を図る
ことができ、しかも測定時間を大幅に短縮することがで
きる。また、本発明のX線測定方法によれば、試料に対
し必要とされる全ての測定角度について同時にX線測定
が行なえるので、測定時間を大幅に短縮することができ
る。そして、リフレクタ及び湾曲モノクロメータによ
り、X線を点状の微小焦点に収束するので、試料の微小
領域関する測定データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係るX線測定装置の概要
を示す斜視図である。
【図2】同装置に適用されるヨハンソン型湾曲モノクロ
メータを示す平面構成図である。
【図3】同装置に適用されるヨハン型湾曲モノクロメー
タを示す平面構成図である。
【図4】湾曲モノクロメータによる非対称反射を実現さ
せるための構成を示す平面構成図である。
【図5】湾曲モノクロメータ及びリフレクタの配置関係
を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】試料に対するX線の入射角と反射角の関係を示
す模式図である。
【図7】X線吸収体を挿入したX線測定装置の構成を示
す平面構成図である。
【図8】X線反射率測定の原理を説明するための模式図
である。
【図9】X線反射率曲線の一例を示すグラフである。
【図10】X線反射率測定の原理を説明するための他の
模式図である。
【図11】X線反射率曲線の他の一例を示すグラフであ
る。
【図12】X線反射率測定に用いられる従来のX線測定
装置を示す平面構成図である。
【図13】ロッキングカーブ測定に用いられる従来のX
線測定装置の概要を示す平面構成図である。
【図14】ロッキングカーブの一例を示す図である。
【符号の説明】
1:X線源 2:湾曲モノクロメータ 3:リフレクタ 4:X線検出器 5:X線吸収体 S:試料

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線を試料に入射し、試料で反射したX
    線を検出するX線測定装置において、 微小焦点からX線を発散するX線源と、このX線源から
    出射してきたX線を反射するとともに該X線を一方向に
    収束するリフレクタと、前記X線源から出射してきたX
    線を単色化して反射するとともに該X線を前記リフレク
    タによる収束方向とほぼ直行する方向に収束する湾曲モ
    ノクロメータとを備え、 X線の各収束点がほぼ一致するように前記リフレクタ及
    び湾曲モノクロメータを位置決めし、 かつその収束点に試料を配置するとともに該試料で反射
    したX線をX線検出手段により検出する構成としたこと
    を特徴とするX線測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のX線測定装置において、 前記試料に入射させるX線の入射角度を、X線反射率測
    定に必要な低角度範囲に設定したことを特徴とするX線
    測定装置。
  3. 【請求項3】 ブラッグ角が既知の基板結晶上に成長さ
    せた混晶膜または超格子構造を有する試料を測定対象と
    して、ロッキングカーブ測定を実施するための請求項1
    記載のX線測定装置において、 前記試料に入射させるX線の平均入射角度を、前記既知
    のブラッグ角付近に設定したことを特徴とするX線測定
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のX線測定装置にお
    いて、 前記リフレクタが、全反射ミラーであることを特徴とす
    るX線測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3記載のX線測定装置にお
    いて、 前記リフレクタが、多層膜ミラーであることを特徴とす
    るX線測定装置。
  6. 【請求項6】 X線を試料に入射し、試料で反射したX
    線を検出するX線測定方法において、 微小焦点から発散してきたX線をリフレクタに反射させ
    て一方向に収束するとともに、湾曲モノクロメータに反
    射させて単色化しかつ前記リフレクタによる収束方向と
    ほぼ直行する方向に収束し、 X線の各収束点がほぼ一致するように前記リフレクタ及
    び湾曲モノクロメータの位置を調整し、 かつその収束点に試料を配置するとともに該試料で反射
    したX線を検出することを特徴とするX線測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のX線測定方法において、 前記試料に入射させるX線の入射角度を、X線反射率測
    定に必要な低角度範囲に設定したことを特徴とするX線
    測定方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のX線測定方法において、 ブラッグ角が既知の基板結晶上に成長させた混晶膜また
    は超格子構造を有する試料を測定対象とし、 前記試料に入射させるX線の平均入射角度を、前記既知
    のブラッグ角付近に設定したことを特徴とするX線測定
    方法。
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