JP2000150574A - 半導体装置及び半田による接合方法 - Google Patents

半導体装置及び半田による接合方法

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JP2000150574A JP32319798A JP32319798A JP2000150574A JP 2000150574 A JP2000150574 A JP 2000150574A JP 32319798 A JP32319798 A JP 32319798A JP 32319798 A JP32319798 A JP 32319798A JP 2000150574 A JP2000150574 A JP 2000150574A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極への半田の濡れ性を確保するとともに、
バリア層のNi等の半田中への拡散を抑制して半田接合
の機械的強度を向上させる。 【解決手段】 第1の基板21と第2の基板26にそれ
ぞれ形成された少なくともNi膜又はNi合金膜23
a,28を有する電極同士がSnを主成分とする半田2
5bにより接合されてなる半導体装置において、Ni膜
又はNi合金膜23a,28と半田25bとの間に半田
25bと接するようにAu−Sn化合物膜31a,31
bが介在している。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、半導体装置及び半田による接合方法に関し、
より詳しくは、Snを主成分とする半田のバンプを用い
て電子部品と回路基板とを接続する半導体装置及び半田
による接合方法に関する。
【0001】
【従来の技術】電子機器部品は半田によって接合される
部分が大多数である。接合に用いられる半田では、一般
の電子部品ではSn−Pb共晶半田(溶融温度183
℃)が広く用いられている。
【0002】一方、接合に用いられる半田では、Pbに
5%のSnが添加された溶融温度314℃の半田(以
下、Pb−5Snと称し、類似の表示はこれと同じよう
な内容を表す。)が知られている。LSIや回路基板上
の配線は一般的にAlが用いられており、このような半
田を用いてAl配線との接合を行おうとすると、半田が
弾かれてAl配線の上に直接半田付けすることはできな
い。このため、Al配線との密着性を高めるための密着
層と、半田が拡散しないためのバリア層と、半田に濡れ
やすい金属からなる濡れ性向上層とが積層された電極を
形成し、このような構成の電極上に半田付けを行って他
の電極との接合を形成している。この場合、高い接合強
度を得るための電極材料及び電極の積層構造を必要とす
る。
【0003】現状のSn−Pb系半田では密着層にT
i,Crを用い、バリア層にCu,Niを用い、濡れ性
向上層にAu,Ag,Pd等を用いている。
【0004】また、現在LSIの実装方法として主流と
なっているフリップチップ実装では、半田バンプをLS
Iチップの活性領域にアレイ状に配置するため、半田材
料中のPbから発生するα線によりソフトエラーが起こ
るという問題がある。特に、素子の微細化、低電圧化が
進行するにしたがってソフトエラーが増大し、問題とな
っている。
【0005】また、環境問題の点からもPbを含まない
半田材料が要求され、Snを主成分とする半田の開発が
盛んに行われている。
【0006】しかしながら、Snを主成分とする半田に
よりバンプ接合する際に、Pb−5Sn半田と比較して
Sn成分が多いため、Pb−5Sn半田で使用する電極
構成では、パンプ形成工程中で、電極上に形成した半田
バンプを融点以上に加熱して溶融させたときに、バリア
層の役割をするNiが半田中に拡散してNi膜の膜厚が
減少し、半田がNi膜の下地の金属膜と接触するように
なる。このとき、半田が下地の金属膜に弾かれて、半田
バンプの欠落や接合強度の低下等の接合不良が多く発生
することが分かった。
【0007】また、Ni膜やCu膜の膜厚を厚くして上
記不具合を防止しようとした場合、Snを主成分とする
半田中へのNi等の拡散は速く、バンプ形成工程中で半
田中に多量のNi等が拡散し、Snと金属間化合物を形
成する。このため、半田の機械的強度が低下し、接合部
の信頼性を著しく低下させることが分かった。
【0008】また、熱サイクル試験等の熱負荷によっ
て、バリア層のNi等が半田中に拡散して電極面積を減
少させ、信頼性を低下させることも分かった。
【0009】さらに、一般の電子機器の電極表面層に
は、酸化防止膜としてAuが多く用いられている。Au
はSnを主成分とする半田、例えばPb−63Sn半田
中に拡散しやすいため、Auの膜厚が厚いと半田中に溶
け込むAuの量が多くなり、Au−Sn金属間化合物に
よって半田の機械的強度が低下し、寿命が短くなる。
【0010】そこで、特開平3−66492号公報では
Sn−Ag系半田を用いて接合を形成する方法が開示さ
れており、Auが半田中に拡散して反応しても、Agの
作用によりAu−Sn金属間化合物を半田中に分散させ
て機械的強度が低下しないようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Sn−Ag系
半田を用いた場合、フリップチップ実装などのようにL
SIチップの電極と回路基板の電極の間のギャップが1
00μm以下になると、半田部分が少なくなって半田の
応力緩和効果が小さくなり、電極部分にかかる応力が大
きくなる。しかも、バリア層の金属の拡散によって半田
が喰われ、半田と電極との接続面積が減少してくるとそ
の影響はますます大きくなる。このため、半田接合が剥
がれやすくなり、信頼性が低下する。
【0012】また、濡れ性向上層のAu膜は酸化防止効
果と半田中への拡散量との兼ね合いを考慮し、さらに最
低限濡れ性を確保できるような膜厚でよいため、その膜
厚を0.1μm以下と薄くしていることが多い。この場
合、半田付け時の濡れ性不良がでないように、半田付け
時間を長くして半田付け温度も従来よりも高温で行うよ
うにしている。このため、Snを主成分とする半田を使
用し、Ni膜やNi合金膜をバリア層とする場合には、
バリア層のNiが半田中に多量に拡散し、このため半田
接合の機械的強度を弱め、信頼性を低下させている。
【0013】本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて
創作されたものであり、電極への半田の濡れ性を確保す
るとともに、バリア層のNi等の半田中への拡散を抑制
して半田接合の機械的強度を向上させることができる半
導体装置及び半田による接合方法を提供するものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は半導体装置に係り、第1の基板と
第2の基板にそれぞれ形成された少なくともNi膜又は
Ni合金膜を有する電極同士がSnを主成分とする半田
により接合されてなる半導体装置において、前記Ni膜
又はNi合金膜と前記半田との間に前記半田と接するよ
うにAu−Sn化合物層が介在していることを特徴とし
ている。
【0015】請求項2に係る発明は請求項1記載の半導
体装置に係り、前記半田中のSnの含有量が80wt%
以上であることを特徴としている。
【0016】請求項3に係る発明は請求項1又は2に記
載の半導体装置に係り、前記Ni膜又はNi合金膜と前
記Au−Sn化合物膜の間にSn−Ni化合物膜が介在
していることを特徴としている。
【0017】請求項4に係る発明は半田による接合方法
に係り、第1の基板上に少なくともNi膜又はNi合金
膜と最上部のAu膜とを有する多層の電極を形成する工
程と、第2の基板上に少なくともNi膜又はNi合金膜
と最上部のAu膜とを有する多層の電極を形成する工程
と、前記第1の基板又は前記第2の基板のうち少なくと
もいずれかの前記電極のAu膜上にSnを主成分とする
半田によりバンプを形成する工程と、前記第1の基板又
は前記第2の基板とを前記電極形成面が向かい合うよう
に対向させ、前記電極と前記バンプ又は前記バンプ同士
を相互に接触させる工程と、前記バンプを加熱し、溶融
させて、前記Auを前記半田中に含ませるとともに、前
記電極同士を前記半田により接合させる工程と、さらに
加熱して、前記Ni膜又はNi合金膜と前記半田との間
に前記半田と接するAu−Sn化合物層を形成すること
を特徴としている。
【0018】請求項5に係る発明は半田による接合方法
に係り、第1の基板上に少なくともNi膜又はNi合金
膜を有する電極を形成する工程と、第2の基板上に少な
くともNi膜又はNi合金膜を有する電極を形成する工
程と、前記第1の基板又は前記第2の基板のうち少なく
ともいずれか一の前記電極の上にSnを主成分とし、A
uを含有する半田によりバンプを形成する工程と、前記
第1の基板又は前記第2の基板とを前記電極形成面が向
かい合うように対向させ、前記電極と前記バンプ又は前
記バンプ同士を相互に接触させる工程と、前記バンプを
加熱し、溶融させて前記電極同士を前記半田により接合
させる工程と、さらに加熱して、前記Ni膜又はNi合
金膜と前記半田との間に前記半田と接するAu−Sn化
合物層を形成することを特徴としている。
【0019】請求項6の発明は請求項4又は5に記載の
半田による接合方法に係り、前記半田中のSnの含有量
が80wt%以上であることを特徴としている。
【0020】請求項7の発明は請求項4乃至6のいずれ
か一に記載の半田による接合方法に係り、前記電極同士
を前記半田により接合したときの前記半田中のAuの含
有量が0.1wt%以上、20wt%以下であることを
特徴としている。
【0021】請求項8の発明は請求項4乃至7のうちい
ずれか一に記載の半田による接合方法に係り、前記半田
は、前記Snのほかに、Ag,Bi,Cu,In,N
i,Sb,又はZnのうち少なくともいずれか一つを含
むことを特徴としている。
【0022】請求項9の発明は請求項4乃至8うちのい
ずれか一に記載の半田による接合方法に係り、前記Au
−Sn化合物層を形成する加熱温度は、前記半田の溶融
温度よりも低いことを特徴とすることを特徴としてい
る。
【0023】請求項10の発明は請求項4乃至9うちの
いずれか一に記載の半田による接合方法に係り、前記N
i膜又はNi合金膜と前記Au−Sn化合物膜の間にS
n−Ni化合物膜が形成されることを特徴としている。
【0024】ところで、Ni膜又はNiを含む合金膜と
Au膜とを有する電極同士をSnを主成分とする半田で
接合した場合、本願発明者によって以下のことが見いだ
された。
【0025】即ち、電極の表面層の構成材料であるAu
が半田中に拡散してAu−Sn化合物が形成され、半田
中に分散する。一方、同じく電極の構成材料であるNi
はAuと比較してSn含有半田中への拡散速度が遅いた
め、ほとんどは電極の直上でSn−Ni化合物を形成す
る。更に、分散したAu−Sn化合物は半田の融点以下
の加熱によってSn−Ni化合物の周りに凝集する。ま
た、Sn−Ni化合物の周りに凝集して形成されたAu
−Sn化合物層はSnを主成分とする半田中へのNiの
拡散を抑制する効果がある。
【0026】本発明の半導体装置は、第1の基板と第2
の基板にそれぞれ形成された少なくともNi膜又はNi
合金膜を有する電極同士がSnを主成分とする半田によ
り接合され、Ni膜又はNi合金膜と半田との間に半田
と接するようにAu−Sn化合物層を介在させている。
【0027】即ち、Ni膜又はNi合金膜と半田との間
に介在するAu−Sn化合物層がNiの拡散を抑制する
機能を有するため、Sn系半田中へのNiの拡散を抑制
することができる。
【0028】また、本発明の半田接合の形成方法におい
ては、Snを主成分とする半田を溶融して少なくともN
i膜又はNiをふくむ合金膜と最上層のAu膜とを有す
る電極同士を接合し、さらに加熱してNi膜又はNiを
ふくむ合金膜と半田との間に半田と接するAu−Sn化
合物層を形成している。
【0029】又は、電極の最上層にAu膜を用いない場
合、或いはAu膜の膜厚が薄い場合には、Auを含有さ
せたSnを主成分とする半田を用いている。
【0030】これらの場合いずれも、半田による接合を
形成した後の半田中に含まれるAuの量が0.1wt%
〜20wt%程度になるように膜厚調整や含有量の調整
を行うようにすることが好ましい。
【0031】これにより、半田による接合を形成した後
電極中のNi膜等と半田の間、更には接合形成の際に電
極の直上に形成されたSn−Ni化合物と半田との間に
Au−Sn化合物層を形成することができる。
【0032】即ち、Snを主成分とする半田への拡散速
度の遅いNiを電極の構成材料として用いた場合、接合
形成の際に電極の直上にSn−Ni化合物層が形成され
るとともに、半田中にAu−Sn化合物が生成して分散
する。そして、接合形成後半田の融点より低い温度でさ
らに加熱することにより、半田中に分散するAu−Sn
化合物をSn−Ni化合物層の周辺に凝集させることが
できる。
【0033】このようにして、電極中のNi膜等と半田
の間、更にはSn−Ni化合物層と半田の間にNiの拡
散を抑制しうるAu−Sn化合物層を介在させることが
できるので、半田中へのNiの拡散を抑制し、電極面積
の減少を防止することができる。
【0034】これによって、半田接合形成の工程中のバ
ンプ欠け不良を減少でき、接合形成後も良好な接合状態
を維持し、耐熱疲労寿命の向上を図ることができる。
【0035】また、Au−Sn化合物層と半田の界面に
応力が集中するが、接合形成後の加熱時間を長くし、或
いは半田中のAuの量を増やして厚いAu−Sn化合物
層を形成することによって、半田接合への応力が集中す
る箇所を半田接合の中央部へとシフトさせることができ
る。このため、半田接合への応力を両基板に分散して緩
和することができ、寿命を向上させる効果がある。
【0036】さらに、熱サイクル試験等の加熱によりA
u−Sn化合物層の成長が促進されて厚いAu−Sn化
合物層が形成されるため、半田中へのNi拡散をさらに
抑制する効果が得られる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0038】(第1の実施の形態)図1〜図3は、本発
明の第1の実施の形態に係る半田による接合方法及びそ
の方法により作成された半導体装置について示す断面図
である。
【0039】それらの図のうち、図3は本発明の第1の
実施の形態に係る半田による接合方法により作成された
半導体装置について示す断面図である。
【0040】その半導体装置は、図3に示すように、窒
化アルミニウム基板(AlN基板)或いはアルミナ基板
上に図示しない接続電極や回路配線が形成された回路基
板26と、図示しないトランジスタや配線や接続電極等
からなる集積回路が形成された半導体基板21とが相互
の接続電極等の形成面が対向するように積層され、それ
ぞれの接続電極が半田25bで接合されている構成を有
する。
【0041】この場合、半田25bの材料として錫(S
n)中に銀(Ag)が3.5wt%含有されたものが用
いられている。
【0042】また、接合用の半田25bは半導体基板2
1上のNi膜23aを有する電極と回路基板26上のN
i膜28を有する電極の間に形成され、さらに、各Ni
膜23a及び28と半田25bとの間にそれぞれ少なく
とも半田25bと接するようにAu−Sn化合物膜31
a,31bが形成されている構成を有している。
【0043】また、上記半導体装置を製造する場合、半
田バンプを溶融して接合用の半田25bを形成する関係
上、実際には、電極の直上にSn−Ni化合物膜30
a,30bが形成されるため、広くはNi膜23a,2
8と接合用の半田25bとの間、狭くはSn−Ni化合
物膜30a,30bと接合用の半田25bとの間にAu
−Sn化合物膜31a,31bが介在することになる。
【0044】さらに、Ni膜23aと半導体基板21の
間、Ni電極28と回路基板26との間にはそれぞれ密
着層としてTi膜22a,27が介在している。
【0045】次に、図1〜図3を参照しながら上記半導
体装置を作成する方法について説明する。
【0046】まず、図1(a)に示すように、トランジ
スタや配線等からなる集積回路が形成された半導体基板
21上に密着層となる膜厚100nmのTi膜22をス
パッタ法により形成し、メッキ法によりTi膜22上に
バリア層となる膜厚2μmのNi膜23を形成し、その
上に同じくメッキ法により濡れ性向上層となる膜厚70
0nmのAu膜24を形成する。
【0047】このとき、図5に示すように、Au膜24
の膜厚は半田溶融時に半田中に含まれるようになるAu
の含有量に影響を及ぼすため、注意を要する。なお、図
5は半導体基板21と回路基板26間のギャップをパラ
メータとして半田溶融時の半田中のAu含有量について
調査した結果を示すグラフであり、縦軸は線形目盛りで
表した半田中のAu含有量(wt%)を示し、横軸は線
形目盛りで表した電極最上層のAu膜厚(μm)を示
す。
【0048】次いで、図1(b)に示すように、同じマ
スクを用いてAu膜24とNi膜23とTi膜22とを
パターニングして、半田により接合されるべき直径10
0μmの電極を形成する。これにより、半導体基板21
側から密着層のTi膜22aとバリア層のNi膜23a
と濡れ性向上層のAu膜24aからなる多層の電極が形
成される。
【0049】次に、図1(c)に示すように、半田バン
プ25を半導体基板21の電極上に形成する。このよう
な半田バンプの形成方法の一例として所謂ディンプルプ
レート法と称されるものがあり、その方法を図4
(a),(b)に示す。
【0050】まず、Sn中に3.5wt%のAgを含む
半田粉末とフラックスビヒクルとを9:1の比率で混合
し、半田ペースト25cを作成する。
【0051】次いで、図4(a)に示すように、この半
田ペースト25cを転写板51の凹部52に充填する。
続いて、図4(b)に示すように、半田の融点以上の温
度になるように加熱して半田ペースト25cを溶融し、
半田ボール25dを形成する。
【0052】この半田ボール25dに半導体基板21の
電極を接触させて付着させ、電極上に半田バンプ25を
形成する。形成された半田バンプ25の形状を整え、表
面の酸化被膜を除去するため、半田バンプ25の表面に
フラックスを塗布し、窒素中で半田の融点280℃以上
の温度に加熱して溶融し、凝固させる。この状態を図1
(c)に示す。
【0053】続いて、ダイサー等により半導体基板21
を切断して平面形状が一辺13mmの正方形状のチップ
に分離する。
【0054】次いで、半田バンプ25の表面にフラック
スを塗布したのち、回路基板26の電極の上に半田パン
プ25を位置合わせし、接触させる。回路基板26の電
極は半導体基板21の電極と同じ構造を有し、下から密
着層のTi膜27とバリア層のNi膜28と濡れ性向上
層のAu膜29とが順に積層されてなる。図2(a)に
示すように、回路基板26の電極の上に半導体基板21
上の半田パンプ25を位置合わせし、接触させる。回路
基板26の電極は半導体基板21の電極と同じ構造を有
し、下から密着層のTi膜27とバリア層のNi膜28
と濡れ性向上層のAu膜29とが順に積層されてなる。
【0055】次に、図2(b)に示すように、半田パン
プ25を溶融温度よりも高い温度280℃に加熱して半
田パンプ25を溶融させ、電極同士を半田25aにより
接合する。このとき、半導体基板21表面と回路基板2
6表面との間のギャップは約60μmであった。従っ
て、図5より、半田中に含まれるAuの含有量は凡そ3
%と推定される。
【0056】このとき、両電極の最上層のAu膜24
a,29からAuが半田25a中に拡散してSnと結合
し、半田25a中に分散するAu−Sn化合物31が形
成される。また、電極中からNiが半田25a中に拡散
して半田25aとNi膜23a,28との間にSn−N
i化合物膜30a,30bが形成される。この場合、N
iはSnを主成分とする半田25aへの拡散速度が遅い
ため、Sn−Ni化合物膜30a,30bは電極の直上
に形成される。
【0057】次いで、半田25aを窒素中で半田25a
の融点よりも低い温度125℃で加熱する。これによ
り、半田25a中に分散するAu−Sn化合物31がS
n−Ni化合物膜30a,30bの近くに凝集してSn
−Ni化合物膜30a,30bと半田25bとの間にA
u−Sn化合物膜31a,31bが形成される。
【0058】これにより、半導体基板21と回路基板2
6にそれぞれ形成された電極同士がSnを主成分とする
半田25bにより接合されて半導体基板21と回路基板
26間が電気的に接続されてなる半導体装置が完成す
る。
【0059】次に、Au膜の膜厚以外上記の半導体装置
と同じ構成を有する試験用試料を作成し、これらを用い
て用いて熱サイクル試験を行った。
【0060】試験試料としてAu膜の膜厚を0μm(A
u膜無し),0.05,0.5,1.0μmと変えた4
種類の半導体装置を作成した。他の条件は第1の実施の
形態と同じである。
【0061】熱サイクル試験の試験条件は、−55℃→
+125℃→−55℃を一サイクルとして接合部分等が
破断するまで何回か繰り返した。この場合、一サイクル
中の各温度状態は30分間保持される。
【0062】その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1によれば、Au膜無し,及び0.05
μmの場合200サイクルで破断し、0.5μmの場合
400サイクルで破断し、1.0μmの場合凡そ500
サイクルまで破断もなく良好な接合状態が維持された。
【0065】以上のように、第1の実施の形態によれ
ば、Snを主成分とする半田バンプ25を溶融して少な
くともNi膜23a,28と最上層のAu膜24a,2
9とを有する電極同士を接合し、さらに加熱してNi膜
23a,28と半田25bとの間に半田25bと接する
Au−Sn化合物膜31a,31bを形成している。
【0066】即ち、広くは電極を構成するNi膜23
a,28と半田25bの間、狭くは接合形成の際に電極
の直上に形成されたSn−Ni化合物膜30a,30b
と半田25bとの間にNiの拡散抑制効果を有するAu
−Sn化合物層31a,31bを形成することができ
る。このため、半田25b中へのNiの拡散を抑制し、
電極面積の減少を防止することができる。
【0067】これにより、半田による接合形成の工程中
のバンプ欠け不良を減少でき、接合形成後も良好な接合
状態を維持し、耐熱疲労寿命の向上を図ることができ
る。
【0068】なお、Au−Sn化合物膜31a,31b
と半田25bの界面に応力が集中するが、接合形成後の
加熱時間を長くし、或いは半田25a中のAuの量を増
やして厚いAu−Sn化合物膜31a,31bを形成す
ることによって、半田25bへの応力が集中する箇所を
半田25bの中央部へとシフトさせることができる。こ
れにより、半田25bへの応力を両基板21,26に分
散して緩和することができ、寿命を向上させる効果があ
る。
【0069】また、熱サイクル試験等の加熱によりAu
−Sn化合物膜31a,31bの成長が促進されてより
厚いAu−Sn化合物膜31a,31bが形成されるた
め、半田25b中へのNi拡散をさらに抑制する効果が
得られる。 (第2の実施の形態)次に、図6を参照しながら第1の
実施の形態の半導体装置を作成する別の半田による接合
方法について説明する。
【0070】第1の実施の形態と異なるところは、電極
の最上層にAu膜を形成せずに、半田44中にAuを適
量含有させている点である。
【0071】まず、図示しないトランジスタや配線等か
らなる集積回路が形成された半導体基板41上に密着層
となる膜厚100nmのTi膜42をスパッタ法により
形成し、メッキ法によりTi膜42上にバリア層となる
膜厚4μmのNi膜43を形成する。
【0072】次いで、同じマスクを用いてNi膜43と
Ti膜42とをパターニングして、図6(a)に示すよ
うな、半田により接合される直径100μmの電極を形
成する。
【0073】次に、Auを5wt%含むSn−3.5A
gの半田粉末とフラックスビヒクルとを9:1で混合し
て、半田ペーストを作成する。続いて、図4(a),
(b)に示すディンプルプレート法により、半田バンプ
44を半導体基板21の電極上に形成する。形成された
半田バンプ44の形状を整え、表面の酸化被膜を除去す
るため、半田バンプ44の表面にフラックスを塗布し、
窒素中で半田の融点280℃以上の温度に加熱して溶融
し、凝固させる。
【0074】次いで、半田バンプ44の表面にフラック
スを塗布した後、回路基板45の電極の上に半導体基板
41の半田パンプ44を位置合わせし、接触させる。な
お、回路基板45の電極も半導体基板41の電極と同じ
くTi膜46とその上のNi膜47とから構成されてい
る。
【0075】次に、半田パンプ44を窒素中で溶融温度
よりも高い温度280℃で加熱して半田パンプ44を溶
融させ、半田により電極同士を接合する。このとき、図
に示していないが、半田パンプ44中のAuがSnと結
合し、半田中に分散するAu−Sn化合物が形成され
る。また、図6(b)に示すように、半田とNi膜4
3,47との間に介在するSn−Ni化合物膜48a,
48bが形成される。
【0076】次いで、図6(b)に示すように、半田の
融点よりも低い温度125℃で半田を加熱し、所定の時
間保持する。これにより、半田中に分散するAu−Sn
化合物がSn−Ni化合物膜48a,48bの近くに凝
集してSn−Ni化合物膜48a,48bと半田44a
との間にAu−Sn化合物層49a,49bが形成され
る。
【0077】以上のようにして、半導体基板41と回路
基板45にそれぞれ形成された電極同士がSnを主成分
とする半田44aにより接合されて半導体基板41と回
路基板45間が電気的に接続されてなる半導体装置が完
成する。
【0078】この半導体装置について第1の実施の形態
と同じ条件で熱サイクル試験を500サイクルまで行っ
た結果、破断もなく良好な接合状態が保持されていた。
【0079】以上のように、第2の実施の形態によれ
ば、電極の最上層にAu膜を形成せずSnを主成分とす
る半田44中にAuを含有させて、半田44aを溶融し
て電極同士を接合し、加熱している。
【0080】これにより、電極中のNi膜43,47と
半田の間、更には接合形成の際に電極の直上に生成した
Sn−Ni化合物膜48a,48bと半田44aとの間
にAu−Sn化合物膜49a,49bを形成することが
できるので、半田44a中へのNiの拡散を抑制し、電
極面積の減少を防止することができる。
【0081】これによって、半田接合形成の工程中のバ
ンプ欠け不良を減少でき、接合形成後も良好な接合状態
を維持し、耐熱疲労寿命の向上を図ることができる。な
お、上記実施の形態により本願発明の具体的な形態につ
いて説明してきたが、上記実施の形態に限られるもので
はなく、上記実施の形態から導かれる設計変更程度の種
々の変形例は本願発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】例えば、第1の実施の形態では、半田バン
プ25を溶融して電極同士を接合した後の半田25a中
のAuの含有量を凡そ3wt%としているが、これに限
られるものではなく、Au膜24aの膜厚や半田25b
の高さ(ギャップ)を調整して半田25a中のAuの含
有量を任意に調整してよいが、特に0.1wt%以上、
20wt%以下の範囲が好ましい。
【0083】また、第2の実施の形態では、半田44中
のAuの量、即ち半田により電極同士を接合したときの
半田44中のAuの含有量を5wt%としているが、同
じく半田44中のAuの含有量を任意に選択できる。特
に0.1wt%以上、20wt%以下の範囲が好まし
い。
【0084】さらに、第2の実施の形態では、電極の最
上層にAu膜を形成しない場合について示しているが、
Au膜の膜厚が薄い場合にも適用できる。この場合に
も、当初の半田中のAuの含有量と半田溶融時に電極か
ら半田中に拡散するAuの量を決める、Au膜厚,ギャ
ップ寸法,加熱条件等を調整して、半田と電極金属との
接合を形成したときの半田中のAuの含有量を任意に調
整することができるが、同じく0.1wt%以上、20
wt%以下の範囲が好ましい。
【0085】また、第1及び第2の実施の形態では、半
田バンプ25,44を半導体基板21,41側にのみ形
成しているが、半導体基板21,41側と回路基板2
6,45側両方に形成してもよい。
【0086】さらに、第1及び第2の実施の形態では、
半田はSnにAgを添加したものが用いられているが、
Snに、Bi,Cu,In,Ni,Sb,又はZnのう
ち少なくともいずれか一つを添加したものでもよい。
【0087】また、第1及び第2の実施の形態では、電
極のバリア層の材料としてNiを用いた場合に本発明を
適用しているが、Niを含む合金を用いた場合にも本発
明を適用できる。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、Snを主成分とする半
田を溶融して少なくともNi膜又はNiをふくむ合金膜
と最上層のAu膜とを有する電極同士を接合し、さらに
加熱してNi膜又はNiをふくむ合金膜と半田との間に
半田と接するAu−Sn化合物層を形成している。
【0089】又は、電極の最上層にAu膜を用いない場
合、或いはAu膜の膜厚が薄い場合には、Auを含有し
たSnを主成分とする半田を用いることを特徴としてい
る。
【0090】従って、電極中のNi膜等と半田の間、或
いは接合形成の際に電極の直上に形成されるSn−Ni
化合物と半田との間にNiの拡散阻止効果を有するAu
−Sn化合物層が形成されるので、半田中へのNiの拡
散を抑制し、電極面積の減少を防止することができる。
【0091】これによって、半田接合形成の工程中のバ
ンプ欠け不良を減少でき、接合形成後も良好な接合状態
を維持し、耐熱疲労寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半田による接
合方法について示す断面図(その1)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半田による接
合方法について示す断面図(その2)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半田による接
合方法について示す断面図(その3)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半田パンプの
形成方法について示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半田パンプの
形成方法におけるAu膜の膜厚と半田中のAuの含有量
の相関関係について示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る半田による接
合方法について示す断面図である。
【図7】従来例に係る半田による接合方法について示す
断面図である。
【符号の説明】
21,41 半導体基板(第1の基板) 23,23a,28,43,47 Ni膜 24,24a,29 Au膜 30a,30b,48a,48b Sn−Ni化合物膜 25 半田バンプ 25a,44a 半田 26,45 回路基板(第2の基板) 31 Au−Sn化合物 31a,31b,49a,49b Au−Sn化合物膜 44 Au入り半田バンプ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板と第2の基板にそれぞれ形成
    された少なくともNi膜又はNi合金膜を有する電極同
    士がSnを主成分とする半田により接合されてなる半導
    体装置において、 前記Ni膜又はNi合金膜と前記半田との間に前記半田
    と接するようにAu−Sn化合物膜が介在していること
    を特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記Ni膜又はNi合金膜と前記Au−
    Sn化合物膜の間にSn−Ni化合物膜が介在している
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 第1の基板上に少なくともNi膜又はN
    i合金膜と最上部のAu膜とを有する多層の電極を形成
    する工程と、 第2の基板上に少なくともNi膜又はNi合金膜と最上
    部のAu膜とを有する多層の電極を形成する工程と、 前記第1の基板又は前記第2の基板のうち少なくともい
    ずれかの前記電極のAu膜上にSnを主成分とする半田
    によりバンプを形成する工程と、 前記第1の基板又は前記第2の基板とを前記電極形成面
    が向かい合うように対向させ、前記電極と前記バンプ又
    は前記バンプ同士を相互に接触させる工程と、 前記バンプを加熱し、溶融させて、前記Auを前記半田
    中に含ませるとともに、前記電極同士を前記半田により
    接合させる工程と、 さらに加熱して、前記Ni膜又はNi合金膜と前記半田
    との間に前記半田と接するAu−Sn化合物膜を形成す
    ることを特徴とする半田による接合方法。
  4. 【請求項4】 第1の基板上に少なくともNi膜又はN
    i合金膜を有する電極を形成する工程と、 第2の基板上に少なくともNi膜又はNi合金膜を有す
    る電極を形成する工程と、 前記第1の基板又は前記第2の基板のうち少なくともい
    ずれか一の前記電極の上にSnを主成分とし、Auを含
    有する半田によりバンプを形成する工程と、 前記第1の基板又は前記第2の基板とを前記電極形成面
    が向かい合うように対向させ、前記電極と前記バンプ又
    は前記バンプ同士を相互に接触させる工程と、 前記バンプを加熱し、溶融させて前記電極同士を前記半
    田により接合させる工程と、 さらに加熱して、前記Ni膜又はNi合金膜と前記半田
    との間に前記半田と接するAu−Sn化合物膜を形成す
    ることを特徴とする半田による接合方法。
  5. 【請求項5】 前記Au−Sn化合物膜を形成する加熱
    温度は、前記半田の溶融温度よりも低いことを特徴とす
    る請求項3又は4に記載の半田による接合方法。
  6. 【請求項6】 前記Ni膜又はNi合金膜と前記Au−
    Sn化合物膜の間にSn−Ni化合物膜が形成されるこ
    とを特徴とする請求項4乃至5のいずれか一に記載の半
    田による接合方法。
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