JP2000149926A - 有孔性ポリマー電解質を備えた電極およびそれを使用した非水電解質二次電池 - Google Patents

有孔性ポリマー電解質を備えた電極およびそれを使用した非水電解質二次電池

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JP2000149926A
JP2000149926A JP10327488A JP32748898A JP2000149926A JP 2000149926 A JP2000149926 A JP 2000149926A JP 10327488 A JP10327488 A JP 10327488A JP 32748898 A JP32748898 A JP 32748898A JP 2000149926 A JP2000149926 A JP 2000149926A
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electrode
lithium
polymer
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Masazumi Segawa
全澄 瀬川
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Japan Storage Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正極活物質としてLiNi1-xx2(Mは金
属、フッ素、リン、ホウ素よりなる群から選ばれた元素
を表し、0≦x≦0.5である)を用いた電極において
は、熱的安全性と充放電特性を両立させることが困難で
あり、また、リチウムマンガンスピネルを用いた場合に
は、マンガンが電解液に溶解したり、活物質が結晶構造
の変化によって電極から脱落し、サイクルによって放電
特性が低下した。 【解決手段】電極にポリマー溶液を含ませた後、抽出溶
媒bとしてアルコールまたは水を含むアルコールを用い
てポリマー溶液の溶媒aを抽出して得た、リチウムイオ
ン導電性有孔性ポリマーを備えた電極を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムイオン導電
性有孔性ポリマーを備える非水電解質二次電池用電極の
製造方法および非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】現在市販されているリチウムイオン二次
電池は、正極にコバルト酸リチウム、負極にグラファイ
ト等の炭素系物質を用い、ポリエチレンまたはポリプロ
ピレン等の多孔性セパレータを介在させて、これら正・
負極を対向させた構造となっている。
【0003】そして、エチレンカーボネート、エチルメ
チルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート等の各種炭酸エステルに、LiPF6、Li
BF4等のリチウム塩を溶解させた溶液を電解液として
用いている。
【0004】リチウムイオン二次電池の正・負極は、活
物質粒子、結着剤としての高分子、活物質の電子導電性
が不十分な場合にはアセチレンブラック等の導電助剤を
混練したものを集電体に塗布し、プレスして作製してい
る。このようにして作製された正・負極は、活物質粒子
の隙間が孔となっており、その孔に電解液を染み込ませ
ることによって、電極反応に必要な電池性能を得ること
が出来るようになっている。
【0005】上記リチウムイオン二次電池および負極に
金属リチウムを使用したリチウム電池等の非水電解質電
池は、電解質に水溶液を使用した鉛畜電池、ニッケルカ
ドミウム電池、ニッケル水素電池等と異なり、電解質に
可燃性の有機電解液を使用するため、安全上の問題から
活物質の利用率を制限する必要があり、電池の容量が制
限され、また、安全弁・保護回路・PTC素子等の種々
の安全化装置を備える必要があり、構造が複雑になると
いう問題がある。
【0006】そこで有機電解液の代わりにより化学反応
性に乏しい固体ポリマー電解質を用いることによって電
池の安全性を向上させ、上記安全化装置を省略すること
が試みられている。固体ポリマー電解質の適用は、電池
形状の柔軟性、製造工程の簡易化、製造コストの削減等
においても効果があり、有用な技術である。
【0007】固体ポリマー電解質としては、ポリエチレ
ンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテ
ルとアルカリ金属塩との錯体が多く研究されている。し
かし、ポリエーテルは十分な機械的強度を保ったまま高
いイオン伝導性を得ることが困難であり、しかも導電率
が温度に大きく影響されるために室温で十分な導電率が
得られないことから、ポリエーテルを側鎖に有するくし
型高分子、ポリエーテル鎖と他のモノマーの共重合体、
ポリエーテルを側鎖に有するポリシロキサン又はポリフ
ォスファゼン、ポリエーテルの架橋体などが試みられて
いる。
【0008】さらに、電解液で高分子を湿潤又は膨潤さ
せることによってゲル状の高分子電解質を製作し、非水
系電池に適用することも試みられている。このゲル状の
高分子電解質において使用されている高分子には、例え
ばポリアクリロニトリル(U.S.Pat.No.5,
219,679)、ポリビニルサルフォン(Elect
rochimica Acta 40,2289(19
95))、ポリ塩化ビニル(U.S.Pat.No.
5,252,413)、ポリビニリデンフルオライド
(Electrochimica Acta 28,8
33(1983))、ポリビニルピロリジノン等があ
る。
【0009】これらがそのまま使用されたり、ビニリデ
ンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合
体を用いることによって高分子の結晶化度を低下させ、
電解液で湿潤又は膨潤し易くして導電率を向上させるこ
とも試みられている(U.S.Pat.No5,29
6,318)。
【0010】また、ニトリルゴム、スチレンブタジエン
ゴム、ポリブタジエン、ポリビニルピロリドン等のラテ
ックスの乾燥によって高分子膜を製作し、これを電解液
で湿潤又は膨潤させることによって高分子電解質膜を製
作することも試みられている(J.Electroch
em.Soc.,141,1989(1994))。
【0011】このラテックスを用いた高分子電解質の製
作においては二種類の高分子を混合し、電解液が染み込
み難く強い機械的強度を保つ高分子相と、電解液が染み
込みやすく高いイオン導電率を示す高分子相との混合系
とすることによって機械的強度とイオン導電性を供与す
る固体ポリマー電解質膜が提案されている。
【0012】このような固体ポリマー電解質の利用方法
の一つとして、電極活物質の表面に固体ポリマー電解質
膜を形成する方法があり、この方法を用いることにより
電極の安全性を向上させることが可能になる。この場合
電池内のイオンの移動が円滑に行われるようにするため
に、活物質粒子と固体ポリマー電解質とは出来るだけ良
好に接触させる必要があり、活物質の孔中にも十分にポ
リマーを充填する必要がある。また、固体ポリマー電解
質と遊離の電解液とを併用する場合でも遊離の電解液量
を少なくして安全性をより向上させるために、活物質層
の孔中に極力多量のポリマーを充填することが望まし
い。
【0013】しかしながら、固体ポリマー電解質は液相
状態の従来の電解液に比べてイオン拡散速度が遅くなる
ため、充放電の際に正・負極で必要とされるリチウムイ
オンの供給が十分に行なわれず、高率充放電、低温充放
電を行なった場合に十分な電池性能が得られないという
問題があった。
【0014】そこで、このような問題を解決するため
に、例えば特開平09−219197号に記載されてい
るような、電極孔中の固体ポリマー電解質を多孔性と
し、その孔中に遊離した電解液を存在させ、電解液中の
速やかなイオン拡散によって全体としてのイオンの移動
を円滑にする電極が検討されている。
【0015】ところで、有孔性ポリマーの製法の一つと
して溶媒抽出法がある。溶媒抽出法においては2種類の
溶媒aと溶媒bを使用する。溶媒aはポリマーを溶解す
る溶媒である。溶液a'は、溶媒aとポリマーとからな
る。溶媒bは、溶液a'から溶媒aを抽出する抽出用溶
媒であり、溶媒aと相溶性のある溶媒である。溶媒抽出
法は、ポリマーを溶解した溶液をa'を溶媒b中に浸漬
することによってポリマー溶液a'の溶媒aを抽出し、
ポリマーの溶媒aが除去された部分が孔となって有孔性
ポリマーを得るものである。溶媒抽出法は有孔性ポリマ
ーの製法に適している。
【0016】現在、リチウムイオン二次電池の正極活物
質として主に使用されているコバルト酸リチウムの原料
であるコバルトは資源的に乏しく非常に高価である。そ
こで次世代正極活物質としてニッケル、マンガンを用い
たニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムの使用が検
討されている。
【0017】ニッケル酸リチウムは理論充放電容量で2
05mAh/gを示し、コバルト酸リチウムの理論容量
のおよそ1.5倍であり、有望な活物質である。
【0018】ところが、有機電解液中において、ニッケ
ル酸リチウムは充電深度に応じて酸化力の強さが著しく
変化し、75%のリチウムイオンが脱離した状態では7
0℃前後でかなりの発熱反応を生じるため熱的安定性が
悪く、電池とした場合、安全弁等の安全装置が必要であ
る。熱的安全性を得るために、ニッケル原子の一部をニ
ッケル以外の1種または2種以上の原子で置換した材料
が検討されている。十分な安全性を得るためには、ニッ
ケル原子の2割以上をニッケル以外の原子で置換する必
要があるが、この場合にはニッケル酸リチウムの本来の
充放電容量が得られなくなる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】そこで、活物質にLi
Ni1-xx2(Mは金属、フッ素、リン、ホウ素より
なる群から選ばれた元素を表し、0≦x≦0.5であ
る)を用いた電極にリチウムイオン導電性有孔性ポリマ
ーを備えることにより、電極の熱的安全性を向上させる
ことが考えられる。
【0020】また、リチウムマンガンスピネルは、理論
充放電容量がコバルト酸リチウムに比べ理論充放電容量
がおよそ20%程度低いが、コバルト、ニッケルよりも
自然界に豊富に存在し、量産による正極のコストをコバ
ルト酸リチウムの1/5以下に低減することができ、次
期リチウム二次電池用正極活物質として有望である。こ
こでリチウムマンガンスピネルとは、スピネル構造を有
し、リチウムとマンガンを含む化合物をさす。
【0021】しかし、リチウムマンガンスピネルは、フ
ッ素系電解質を含む電解液中で徐々にマンガンイオンが
溶出していき、サイクル数を重ねるに連れて放電容量が
低下していく。さらにリチウムマンガンスピネルは、充
放電の過程で結晶相が正方晶から立方晶へ移行し、結晶
粒子が崩壊して微細化し、電極から脱落しやすくなりる
ため、サイクル数を重ねるに連れて放電容量が低下して
いく。
【0022】そこでリチウムマンガンスピネルからなる
活物質の電極孔中にリチウムイオン導電性有孔性ポリマ
ーを備えることにより、電極からの結晶粒子の脱落を抑
えることができ、サイクル特性を向上させることが考え
られる。
【0023】ところが、活物質にLiNi1-xx
2(Mは金属、フッ素、リン、ホウ素よりなる群から選
ばれた元素を表し、0≦x≦0.5である)またはリチ
ウムマンガンスピネルを使用した電極本体にポリマー溶
液を含ませ、ポリマー溶液の溶媒aを抽出する溶媒bと
して水を用いて作製したリチウムイオン導電性有孔性ポ
リマーを備えた電極を使用した電池は、従来から公知の
リチウムイオン導電性有孔性ポリマーを備えない電極を
使用した電池と比較して、放電容量はわずかに増加する
程度であった。
【0024】これは電極本体を水に浸漬した際に、リチ
ウムイオンが水素イオンと置換し、放電容量が低下した
ためであると考えられる。このリチウムイオンの置換さ
れる程度を抑え、放電容量の低下を抑えることが課題で
あった。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
種々の検討を行い、ポリマー溶液の溶媒aを抽出する溶
媒bとしてアルコール又は水を含むアルコールを用いて
有孔性ポリマーを作製し、得られた有孔性ポリマーに有
機電解質を含ませることによりリチウムイオン導電性ポ
リマーとし、このリチウムイオン導電性ポリマーを電極
に含ませることにより放電容量の低下を抑えることがで
きるのを見出し、本発明をなすに至った。
【0026】すなわち、本発明になる非水電解質二次電
池用電極は、活物質にLiNi1-xx2(Mは金属、
フッ素、リン、ホウ素よりなる群から選ばれた元素を表
し、0≦x≦0.5である)またはリチウムマンガンス
ピネルを用い、ポリマー溶液を含ませた電極を、アルコ
ールまたは水を含むアルコール中に浸漬することによっ
て作製した、リチウムイオン導電性有孔性ポリマーを備
えものである。また、上記活物質LiNi1-xx2
MがCo、Al、Mn、Fe、Cuよりなる群から選ば
れる元素であることを特徴とする。さらに、本発明は、
これらの電極を使用した非水電解質二次電池に関するも
のである。
【0027】
【発明の実施の形態】まず、本発明の非水電解質電池用
電極の製造方法について述べる。
【0028】正極活物質材料としては、LiNi1-xx
2(Mは金属、フッ素、リン、ホウ素よりなる群から
選ばれた元素を表し、0≦x≦0.5である)またはリ
チウムマンガンスピネルを使用する。
【0029】なお、 LiNi1-xx2で表わされる化
合物の中では、特にMがCo、Al、Mn、Fe、Cu
の場合に、大容量の電池が得られる。
【0030】負極材料としては、負極材料たる化合物と
しては、例えばAl、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等
とリチウムの合金、LiFe23等の遷移金属複合酸化
物、WO2、MoO2等の遷移金属酸化物、グラファイ
ト、カーボン等の炭素質材料、Li5(Li3N)等の窒
化リチウム、もしくは金属リチウム箔、又はこれらの混
合物を用いてもよい。
【0031】電極に備えるポリマーとしては、充放電に
よる活物質の体積膨張収縮に追随した形状変化の可能な
柔軟性を有するものが好ましく、ポリマーを電解液で膨
潤させたゲル状のイオン導電性ポリマーを用いるのがよ
い。具体的には、ポリビニリデンフルオライド(PVd
F)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、
ポリビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチ
レンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテ
ル、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオライ
ド、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、
ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ
メタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、
ポリスチレン、ポリイソプレン、もしくはこれらの誘動
体を、単独で、あるいは混合して用いることができる。
また、上記ポリマーを構成する各種モノマーを共重合さ
せたポリマーを用いることもできる。
【0032】本発明になる正極は、溶媒抽出法によって
作製したリチウムイオン導電性有孔性ポリマーを備え
る。その作製手順は、まず、ポリマーを溶解したポリマ
ー溶液を準備し、つぎにこのポリマー溶液を抽出用溶媒
bに浸漬して、ポリマー溶液の溶媒aを抽出する。抽出
用溶媒bとしては、アルコールまたは水を含むアルコー
ルを使用する。アルコールとしては、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール等、また
はこれらの混合物が挙げられる。
【0033】ポリマーを溶解する溶媒aとしては、ジメ
チルホルムアミド、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、エチルメチルカーボネート等の炭酸エステル、
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル、ジメチルア
セトアミド、1−メチル−ピロリジノン、n−メチル−
2−ピロリドン等のポリマーを溶解する溶媒が挙げられ
る。
【0034】有孔性ポリマーを電極に備えた電極を作製
するためには、例えば、まず上記正極活物質粒子とアセ
チレンブラック等の導電助剤と結着剤とを混練してなる
ペーストをアルミニウム薄板等の集電体に塗布、乾燥す
ることでことで正極本体を作製する。
【0035】次に、電極本体を、ポリマー溶液中に浸漬
したり真空含浸法などにより、電極にポリマー溶液を含
ませる。
【0036】次に、ポリマー溶液を含ませ電極を、抽出
用溶媒bである上記アルコールまたは水を含むアルコー
ル中に浸漬すると、ポリマー溶液の溶媒aが抽出され、
これにより溶媒aの除去された部分が孔となった状態で
固化し、活物質層内の孔に均一に分布し、しかもポリマ
ー表面から活物質表面へと連通した孔をもつ有孔性ポリ
マーが形成される。
【0037】負極は、上記活物質と結着剤とを混練して
なるペーストを銅薄板等の集電体に塗布、乾燥すること
で作製する。
【0038】こうして得られた正極と負極とをセパレー
タを介在させて電池ケース内に配置し、リチウム二次電
池用の電解液中に浸漬すると、電解液が電極孔中に備え
られたポリマーを膨潤してポリマーがゲル状となり、同
時にポリマーの孔中にも電解液が存在したリチウムイオ
ン導電性有孔性ポリマーとなり、非水電解質二次電池が
完成する。
【0039】なお、負極にもリチウムイオン導電性有孔
性ポリマーを備えてもよく、その際の抽出用溶媒bは正
極を作製する場合のような制限はなく、溶媒aと相溶性
のある溶媒であればなんでもよく、例えば水、アルコー
ル、アセトンもしくはこれらの混合物を使用してもよ
い。
【0040】また、電解液溶媒としては、エチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒、エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、も
しくはこれらの混合物を使用してもよい。
【0041】さらに、電解液に含有させる塩としては、
LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、L
iSCN、LiI、LiCF3SO3、LiCl、LiB
r、LiCF3CO2等のリチウム塩、もしくはこれらの
混合物を用いてもよく、その濃度も溶媒と塩の組み合わ
せにより、最適値とすればよい。
【0042】また、セパレータとしては、ポリプロピレ
ン製微孔性膜、ポリエチレン製の微孔性膜や、上記有孔
性ポリマー電解質を構成するポリマーにより構成される
セパレータを用いてもよい。
【0043】
【実施例】[実施例1]本発明の好適な実施例として、
活物質にニッケル酸リチウム(LiNiO2)を使用
し、有孔性ポリマーを備えた電極の製造方法およびその
電極を用いた電池について説明する。
【0044】まず正極の作製について説明する。ニッケ
ル酸リチウム(LiNiO2)61wt%、アセチレン
ブラック3wt%、ポリビニリデンフルオライド(PV
dF)/ヘキサフルオロプピレン(HFP)共重合体
(以下では「 PVdF/HF P共重合体」とする)
4wt%、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)32
wt%を混合したものを、幅20mm、長さ480m
m、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布し、90℃
で乾燥してNMPを蒸発させる。この工程をアルミニウ
ム箔の両面に施し、正極本体を準備した。なお、PVd
F/HFP共重合体におけるヘキサフルオロプピレン
(HFP)の含有量は2wt%とした。
【0045】次に、NMPに8wt%のPVdF/HF
P共重合体を溶解したポリマー溶液を正極本体に含ま
せ、これを25wt%、50wt%、75wt%のメタ
ノールを添加した水、またはメタノールに浸漬してNM
Pの抽出を行なった。この電極を取り出し、130℃で
乾燥を行った。その後プレスを行い、正極の厚さを15
0μmとし、ポリマーを含まない部分の電極孔体積を5
0%以下とした。単位面積当たりに充填された活物質と
導電助剤の合計重量は21mg/cm2であった。
【0046】次に負極の作製について説明する。グラフ
ァイト81wt%、PVdF/HFP共重合体9wt
%、NMP10wt%を混合したものを厚さ14μmの
銅箔上に塗布し、150℃で乾燥してNMPを蒸発させ
た。この工程を銅箔の両面に施し、負極本体を準備し
た。その後、12wt%のPVdF/HFP共重合体を
NMPに溶解したポリマー溶液を負極本体に含ませ、こ
の負極本体を水中に浸漬して溶媒抽出を行なった。この
電極を水中から取り出し、100℃で乾燥を行なった。
その後プレスを行い、厚さを190μmとした。
【0047】次に、この負極と上記正極との間に厚さ2
6μmのポリプロピレン微孔性セパレータ(商品名ジュ
ラガード)を重ねて巻き、高さ47.0mm、幅22.
2mm、厚さ6.4mmのステンレスケース中に挿入し
て、角型電池を組み立てた。その後、体積比1:1のエ
チレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒
中に1MのLiPF6を含む電解液2.5gを加え、最
後に60℃で48時間エージング処理を行い、公称容量
520mAhの本発明の電池を製作した。
【0048】正極に含ませた、NMPにPVdF/HF
P共重合体を溶解した溶液からNMPを抽出する溶媒b
として、水にメタノールを25wt%添加したものを電
池(A)、50wt%添加したものを電池(B)、75
wt%添加したものを電池(C)、メタノールのみを使
用したものを電池(D)とした。
【0049】[比較例1]比較例として、正極に含ませ
た、NMPにPVdF/HFP共重合体を溶解した溶液
からNMPを抽出する溶媒bとして水を用いた以外は、
上記実施例と同一とした電池(E)を用意した。
【0050】[比較例2]さらに比較例として、正極お
よび負極のいずれにもポリマーを備えない以外は、上記
実施例と同一とした従来から公知の電池(F)を用意し
た。
【0051】次に、上記電池の放電性能について説明す
る。
【0052】実施例1で述べた本発明になる電池
(A)、(B)、(C)、(D)および比較例1で示し
た電池(E)、比較例2で示した従来から公知の電池
(F)を、室温において520mAの電流で4.1Vま
で充電し、続いて4.1Vの定電圧で2時間充電した
後、520mAの電流で2.5Vまで放電した。この放
電試験の結果を図1に示す。この結果から本発明になる
実施例1の電池(A)、(B)、(C)、(D)は、比
較例1の電池(E)および従来から公知の比較例2の電
池(F)より優れた放電性能を示していることがわか
る。
【0053】この結果から、本発明になる実施例1の電
池(A)、(B)、(C)、(D)は、水を抽出用溶媒
bとして用いた比較例1の電池(E)のように著しく放
電容量が低下せず、また、従来から公知の比較例2の電
池(F)よりも優れた放電性能を示していることがわか
る。
【0054】次に、上記電池の安全性について説明す
る。本発明になる実施例1の電池(A)、(B)、
(C)、(D)および従来から公知の比較例2の電池
(F)とを用いて、釘刺しによる安全性の比較試験を行
なった。釘刺し試験は、これらの電池を室温において、
520mAの電流で4.5Vまで充電し、続いて4.5
Vの定電圧で2時間充電した後、3mm径の釘を電池に
刺して貫通させた。表1にその結果を示す。
【0055】
【表1】 本発明になる実施例1の電池(A)、(B)、(C)、
(D)は、安全弁が作動せず、発煙に至らなかったのに
対し、従来から公知の比較例2の電池(F)においては
安全弁が作動し、発煙した。この結果から本発明になる
電池は、従来から公知の比較例2の電池(F)よりも安
全性において優れていることがわかる。
【0056】上記実施例では、正極活物質としてLiN
iO2を使用したが、この化合物以外のLiNi1-xx
2(Mは金属、フッ素、リン、ホウ素よりなる群から
選ば れる元素を表し、0≦x≦0.5である)で表さ
れる活物質を使用した場合でも本発明は有効である。
【0057】[実施例2]次に、本発明の好適な実施例
として、活物質にリチウムマンガンスピネルを使用し、
リチウムイオン導電性有孔性ポリマーを備えた電極の製
造、およびその電極を用いた電池について説明する。
【0058】正極活物質として、リチウムマンガンスピ
ネルの1種であるLiMn2O4を用いたこと以外は、
実施例1の本発明による電池と同様にして、公称容量が
320mAhである実施例2の本発明による電池を製作
した。正極に含まれた、NMPにPVdF/HFP共重
合体を溶解した溶液からNMPを抽出する溶媒bとし
て、水にメタノールを25wt%添加したものを電池
(G)、50wt%添加したものを電池(H)、75w
t%添加したものを電池(I)、メタノールのみを使用
したものを電池(J)とした。
【0059】[比較例3]比較例として、正極に含まれ
た、NMPにPVdF/HFP共重合体を溶解した溶液
からNMPを抽出する溶媒bとして水を用いた以外は、
上記実施例2と同様とした電池(K)を用意した。
【0060】[比較例4]さらに比較例として、正極、
負極のいずれにもポリマーを備えない以外は、上記実施
例2と同様とした従来から公知の電池(L)を用意し
た。
【0061】次に、上記電池の放電性能について説明す
る。
【0062】上述した本発明になる実施例2の電池
(G)、(H)、(I)、(J)および比較例3の電池
(K)、従来から公知の比較例4の電池(L)を室温に
おいて320mAの電流で4.1Vまで充電し、続いて
4.1Vの定電圧で2時間充電した後320mAの電流
で3.0Vまで放電した。この放電試験の結果を図2に
示す。この結果により本発明になる実施例2の電池
(G)、(H)、(I)、(J)は、比較例3の電池
(K)および従来から公知の比較例4の電池(L)より
優れた放電性能を示していることがわかる。
【0063】この結果から本発明になる実施例2の電池
(G)、(H)、(I)、(J)は、比較例3の電池
(K)のように著しく放電容量が低下せず、また、従来
から公知の比較例4の電池(L)よりも優れた放電性能
を示していることがわかる。
【0064】次に本発明になる実施例2の電池(G)、
(H)、(I)、(J)と従来から公知の比較例4の電
池(L)を用いて、500サイクルの寿命試験を行なっ
た結果について説明する。寿命試験においては、320
mAで4.1Vに達するまでの定電流充電の後、4.1
Vでの2時間の定電圧充電、および320mAでの3.
0Vまでの定電流放電を1サイクルとした。この寿命試
験の結果を図3に示す。
【0065】この結果から、従来から公知の比較例4の
電池(L)では500サイクル後の放電容量維持率が6
0%未満であったのに対し、本発明からなるなる実施例
2の電池(G)、(H)、(I)、(J)はそれ以上の
放電容量を維持したことから、サイクル寿命特性に優れ
ていることがわかる。
【0066】上記実施例では正極活物質としてLiMn
24を使用したが、この化合物以外のリチウムマンガン
スピネルからなる活物質であっても本発明は有効であ
る。
【0067】
【発明の効果】正極活物質としてLiNi1-xx
2(Mは金属、フッ素、リン、ホウ素よりなる群から選
ばれた元素を表し、0≦x≦0.5である)またはリチ
ウムマンガンスピネルを用いた電極に、リチウムイオン
導電性有孔性ポリマーを備えることにより、電極からの
活物質粒子の脱落を抑え、電池のサイクル特性の劣化を
防止し、電池の安全性の向上を図ることができる。
【0068】また、電極に含ませたポリマー溶液から、
ポリマー溶液の溶媒aを抽出する溶媒bとして、アルコ
ールまたは水を含むアルコールを使用することにより、
放電容量の低下を抑えることが可能となり、正極活物質
であるLiNi1-xx2やリチウムマンガンスピネル
が本来持つ性能を十分に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる実施例1の電池(A)〜(D)、
比較例1の電池(E)および比較例2の従来から公知の
電池(F)の、4.2V充電後の放電曲線を示す特性
図。
【図2】本発明になる実施例2の電池(G)〜(J)、
比較例3の電池(K)および比較例4の従来から公知の
電池(L)の、4.1V充電後の放電曲線を示す特性
図。
【図3】本発明になる実施例1の電池(G)〜(J)と
比較例4の従来から公知の電池(L)の、寿命試験にお
ける放電容量維持率を示す特性図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活物質にLiNi1-xx2(Mは金属、
    フッ素、リン、ホウ素よりなる群から選ばれる元素を表
    し、0≦x≦0.5である)またはリチウムマンガンス
    ピネルを用い、ポリマー溶液を含ませた電極を、アルコ
    ールまたは水を含むアルコール中に浸漬することによっ
    て作製した、リチウムイオン導電性有孔性ポリマーを備
    えたことを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
  2. 【請求項2】活物質LiNi1-xx2のMがCo、A
    l、Mn、Fe、Cuよりなる群から選ばれる元素であ
    ることを特徴とする、請求項1記載の非水電解質二次電
    池用電極。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の電極を用いること
    を特徴とする非水電解質二次電池。
JP10327488A 1998-11-02 1998-11-02 有孔性ポリマー電解質を備えた電極およびそれを使用した非水電解質二次電池 Pending JP2000149926A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7482097B2 (en) 2002-04-03 2009-01-27 Valence Technology, Inc. Alkali-transition metal phosphates having a +3 valence non-transition element and related electrode active materials

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