JP2000149853A - 観察装置およびその調整方法 - Google Patents

観察装置およびその調整方法

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JP2000149853A
JP2000149853A JP10315750A JP31575098A JP2000149853A JP 2000149853 A JP2000149853 A JP 2000149853A JP 10315750 A JP10315750 A JP 10315750A JP 31575098 A JP31575098 A JP 31575098A JP 2000149853 A JP2000149853 A JP 2000149853A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンズ系を介して試料を撮像する観察装置に
関し、レンズ系の歪曲収差を除去し、鮮明な画像を取得
することができる観察装置を提供する。 【解決手段】 試料が載置され、移動可能なステージ2
7と、試料にビームを照射し、二次ビームを検出して画
像を生成する検出手段36と、ステージと検出手段との
間に配置され、二次ビームを検出手段の検出面に結像さ
せる写像光学系29、32〜35と、アレイ撮像手段
(TDICCDセンサ)と、写像光学系を介して、予め
用意されたパターンを撮像する二次元撮像手段と、二次
元撮像手段により撮像されたパターンの像を用いて、写
像光学系の像の歪み量を算出する歪み量算出手段39
と、像の歪み量に基づいて、アレイ撮像手段の積算段数
を設定する設定手段39、43とを備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ系を介して
試料を撮像する観察装置に関し、レンズ系の歪曲収差に
よる像の歪みを除去し、かつ鮮明な画像を取得すること
ができる観察装置およびその調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のLSIの高集積化に伴い、ウェー
ハ、マスクなどの欠陥箇所を検出する際に要求される検
出感度は、より一層高度なものが望まれている。例え
ば、DRAMのパターン寸法0.25μmウェーハパタ
ーンに対して欠陥検出を行う場合には、0.1μmの検
出感度が必要とされている。そこで、従来の光より最小
分解能の高い電子ビームを利用した試料表面の観察・検
査装置が提案されている。
【0003】例えば、特開平4−242060号公報に
は、電子ビームを試料面上に照射し、その照射領域から
発生する反射電子の像を検出面に投影して試料画像を取
得する電子顕微鏡が開示されている。図13を参照して
この電子顕微鏡を説明する。図13において、電子銃8
1から照射される電子ビームは、照射レンズ系82を通
過して、ウィーンフィルタ83の中心部に入射する。詳
細は後述するが、このとき電子ビームは、ウィーンフィ
ルタ83によって軌道が曲げられ、ステージ84上の試
料85に垂直に入射する。
【0004】試料85に電子ビームが照射されると、そ
の照射領域からは、反射電子が発生する。二次ビーム
は、ウィーンフィルタ83の偏向作用を受けずにそのま
ま直進し、結像レンズ系86によって蛍光板87で結像
する。蛍光板87では、反射電子像が光学像に変換さ
れ、この像をCCDセンサ等で撮像して観察する。この
ような電子顕微鏡では、電子ビームの照射領域を検出面
に投影することで、その領域の像を一括して取得するこ
とができる。
【0005】ところで、CCDセンサの一種にTDI
(Time Delay Integration:時間遅延積分型)CCDセ
ンサがあることは公知である。このTDICCDセンサ
は、撮像面に投影される試料像をステージの移動に伴っ
てシフトする際に、それに同期して、蓄積される信号電
荷をシフトさせ、積算しながら撮像するイメージセンサ
である。
【0006】このTDICCDセンサを利用した撮像動
作について、図14を参照して説明する。図(1)に示
すように、電子ビームは、今、試料の所定箇所に照射さ
れている。このとき、図(2)に示すように、電子ビー
ムの照射領域の像は、TDICCDセンサの水平走査ラ
インAにおいて撮像され、このラインに信号電荷が蓄積
される。
【0007】次に、所定のタイミングで、図(3)に示
すように、ステージおよび試料が、Y方向に一水平走査
ライン分だけ移動する。このとき、図(4)に示すよう
に、ラインAとラインBとによって試料が撮像されるの
だが、ステージの移動と同時に、ラインAに蓄積される
信号電荷がラインBに転送される。したがって、ライン
Bには、前回時に得た信号電荷と今回の撮像時に得た信
号電荷が加算されて累積される。
【0008】さらに、所定のタイミングで、図(5)に
示すように、ステージおよび試料が、Y方向に一水平走
査ライン分だけ移動する。このとき、図(6)に示すよ
うに、ラインA、ラインB、ラインCとによって試料が
撮像されるのだが、ステージの移動と同時に、ラインB
の信号電荷がラインCに、ラインAの信号電荷がライン
Bに転送される。したがって、ラインCには、前々回、
前回、今回の撮像時に得た信号電荷が加算されて蓄積さ
れ、ラインBには、前回、今回の撮像時に得た信号電荷
が加算されて蓄積される。
【0009】以上の動作を続けることで、水平走査ライ
ンの本数分だけ試料の同一箇所の信号電荷が、順次加算
されて積算されることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光学レン
ズ、電子レンズを問わず、レンズ系一般には、光軸に垂
直な平面物体の像が、光軸に垂直な像面内で相似になら
ないという歪曲収差が存在する。
【0011】歪曲収差の収差量は、画面の中心から測っ
て動径の3乗に比例し、比例係数が正のときには、中心
から離れるほど外側に引かれ、図15(a)に示すよう
に、正方形の像が、糸巻き型の像になる。また、比例係
数が負のときには、中心から離れるほど内側に引き込ま
れ、図15(b)に示すように、正方形の像が、たる型
の像になる。
【0012】図13に示す電子顕微鏡において、結像レ
ンズ系86の歪曲収差が存在する状態で、TDICCD
センサを用いて撮像した場合を図16を参照して説明す
る。電子ビームは、図(1)に示すように、今、試料の
所定箇所に照射されている。このとき、図(2)に示す
ように、電子ビームの照射領域の像は、TDICCDセ
ンサの水平走査ラインAに投影されるが、ラインAは中
心から最も離れているため、この像の歪み量は最大にな
る。
【0013】次に、図(3)に示すように、ステージお
よび試料が、Y方向に一水平走査ライン分だけ移動する
と、図(4)に示すように、ラインAとラインBとに照
射領域の像が投影され、それと同時にラインAの信号電
荷が、ラインBに転送される。しかし、ラインAとライ
ンBとに投影される像は、試料の同じ箇所の像であって
も歪み量が異なるため(ラインBの方が歪み量が小さ
い)、このまま信号電荷を加算すると像がぼけてしま
う。
【0014】図(5)に示すようにさらにステージが移
動すると、図(6)に示すようにラインA、ラインB、
ラインCに像が投影される。しかし、ラインA、ライン
B、ラインCでは、ライン各々で像の歪み量が異なるた
め、このまま信号電荷を加算すると、さらに像の鮮鋭度
が低下してしまう。このように歪曲収差がある状態で、
TDICCDセンサを用いて撮像すると、各ライン毎で
歪み量が異なって投影されるため、信号電荷を積算する
と、像がぼけ、試料画像の鮮鋭度が極端に低下するとい
う問題点があった。
【0015】そこで、請求項1に記載の発明は、上述の
問題点を解決するために、アレイ撮像部(具体的にはT
DICCDセンサ)で撮像する際に、鮮明な画像を観察
することができる観察装置を提供することを目的とす
る。また、請求項2に記載の発明は、歪みのない、均質
な画像を観察できる観察装置を提供することを目的とす
る。
【0016】また、請求項3に記載の発明は、簡易な構
成で鮮明な画像を観察することができる観察装置を提供
することを目的とする。また、請求項4に記載の発明
は、いわゆるTDICCDセンサを用いて撮像する観察
装置が、鮮明な試料画像を得ることができる調整方法を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、試料が載置され、移動可能なステージと、前記試料
にビームを照射し、該試料の照射領域から発生する二次
ビームを検出して前記照射領域の画像を生成する検出手
段と、前記ステージと前記検出手段との間に配置され、
前記二次ビームを前記検出手段の検出面に結像させる写
像光学系と、前記検出面に、複数ライン状に二次元配列
された画素を有し、前記検出面に形成された光学像の受
光によって生じる各ラインの画素の電荷を、前記光学像
の移動のタイミングに合わせて、順次隣接するラインの
対応画素へそれぞれ転送し、転送毎に、該電荷と該電荷
が転送された画素から生じる電荷とを加算し、終端に相
当するラインまでの所定のライン数積算した電荷を、順
次出力するアレイ撮像手段と、前記写像光学系を介し
て、予め用意されたパターンを撮像する二次元撮像手段
と、前記二次元撮像手段により撮像された前記パターン
の像を用いて、前記写像光学系の像の歪み量を算出する
歪み量算出手段と、前記像の歪み量に基づいて、前記所
定のライン数を設定する設定手段とを備えて構成され
る。
【0018】このような構成においては、まず、二次元
撮像手段によって予め用意されたパターンを、写像光学
系を介して撮像する。次に、このパターンの撮像結果か
ら写像光学系の歪曲収差による像の歪み量を算出する。
そして、この歪み量に基づいて、アレイ撮像手段(具体
的には、TDICCDセンサ)の撮像に使用する領域、
すなわち、積算可能なライン数を設定する。
【0019】例えば、像の歪み量が大きい場合には、積
算可能なライン数は小さくなり、像の歪み量が小さい場
合には、積算可能なライン数は大きくなる。請求項2に
記載の発明は、請求項1に記載の観察装置において、前
記アレイ撮像手段から取り出される前記試料の画像につ
いて、前記歪み量算出手段により算出された歪み量に基
づいて、前記ラインの長手方向の歪みを補正する補正手
段を備えて構成される。
【0020】このような構成においては、ライン長手方
向(水平方向)に歪曲収差による像の歪みが存在して
も、これを補正することができる。請求項3に記載の発
明は、請求項1または請求項2に記載の観察装置におい
て、前記試料に対して、前記アレイ撮像手段と前記二次
元撮像手段との撮像面が共役な位置に配置されることを
特徴とする。
【0021】このような構成では、例えば、1つの焦点
調節部でアレイ撮像手段と二次元撮像手段との2つの撮
像面に焦点を合わせることができ、アレイ撮像手段用の
焦点調節部と、二次元撮像手段用の焦点調節部とを別個
に設ける必要がない。請求項4に記載の発明は、移動可
能なステージ上に載置される試料を観察する観察装置の
調整方法において、写像光学系を介して、予め用意され
たパターンを二次元撮像手段により撮像する工程と、前
記二次元撮像手段により撮像された前記パターンの像に
基づいて、前記写像光学系の像の歪み量を算出する工程
と、複数ライン状に二次元配列された画素を有するアレ
イ撮像手段の撮像面上の撮像領域を、前記像の歪み量に
基づいて設定し、前記写像光学系を介して、前記撮像領
域内に投影される前記試料の光学像を受光する際に、各
ラインの画素から生じる電荷を、前記光学像の移動のタ
イミングに合わせて、順次隣接するラインの対応画素へ
それぞれ転送し、転送毎に、該電荷と該電荷が転送され
た画素から生じる電荷とを加算し、前記撮像領域内の終
端に相当するラインまでの所定のライン数積算した電荷
を、順次出力する工程とを有することを特徴とする。
【0022】このような調整方法では、写像光学系を介
して、二次元撮像手段によって撮像されたパターンの像
に基づいて、写像光学系の歪曲収差による像の歪み量を
算出し、その歪み量からアレイ撮像手段の撮像面上の撮
像領域(積算可能なライン数)を設定する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
形態を説明する。
【0024】図1は、本実施形態の全体構成図である。
なお、本実施形態は、請求項1〜4に記載の発明に対応
する。以下、本実施形態の構成について図面を参照して
説明する。図1において、観察装置は、一次コラム2
1、二次コラム22およびチャンバー23を有してい
る。一次コラム21は、二次コラム22の側面に斜めに
取り付けられており、二次コラム22の下部に、チャン
バー23が配置される。
【0025】一次コラム21の内部には、電子銃24が
配置され、電子銃24から照射される電子ビーム(一次
ビーム)の光軸上に一次光学系25および偏向器26が
配置される。一方、チャンバー23の内部には、ステー
ジ27が設置され、ステージ27上には試料28が載置
される。
【0026】また、二次コラム22の内部には、試料2
8から発生する二次ビームの光軸上に、カソードレンズ
29、ニューメニカルアパーチャ30、ウィーンフィル
タ31、第2レンズ32、フィールドアパーチャ33、
第3レンズ34、第4レンズ35、偏向器36aおよび
検出器36が配置される。なお、カソードレンズ29、
第2レンズ32〜第4レンズ35は、二次光学系を構成
している。
【0027】検出器36は、画像処理ユニット37と接
続され、画像処理ユニット37は、CRT38およびC
PU39と接続される。CPU39は、一次コラム制御
ユニット40、二次コラム制御ユニット41、ステージ
駆動機構42、CCD走査回路43、レーザ干渉計ユニ
ット44と接続される。
【0028】一次コラム制御ユニット40は、一次光学
系25のレンズ電圧および偏向器26に供給する電流
(電圧)を制御し、二次コラム制御ユニット41は、カ
ソードレンズ29および第2レンズ32〜第4レンズ3
5の各レンズ電圧と、ウィーンフィルタ31に印加する
電磁界制御と、偏向器36aに供給する電流(または電
圧)の制御とを行い、ステージ駆動機構42は、ステー
ジ27をXY方向に駆動制御し、CCD走査回路43
は、検出器36内部のCCDセンサの読み出し制御を行
う。
【0029】一方、チャンバー23の外側には、ステー
ジ27の位置を読み取るレーザ干渉計ユニット44が設
置され、レーザ干渉計ユニット44は、ステージ位置情
報をCPU39に伝達する。また、CPU39は、VR
AM45と双方向に接続されている。一次コラム21、
二次コラム22、チャンバー23は、真空排気系(不図
示)と繋がっており、真空排気系のターボポンプにより
排気されて、内部は真空状態を維持している。
【0030】図2は、検出器36の構成を示す図であ
る。図2おいて、二次ビームのビーム軸上に、MCP
(マイクロチャネルプレート)50と、蛍光板51と、
ビューポート52と、リレーレンズ53とが配置され
る。リレーレンズ53の後段には、二次元CCDセンサ
54とTDIアレイCCDセンサ55とからなる撮像部
が配置される。二次元CCDセンサ54とTDIアレイ
CCDセンサ55との撮像面は、試料28に対して共役
な位置にある。
【0031】撮像部は、不図示の駆動部により左右に駆
動されるため、二次元CCDセンサ54とTDIアレイ
CCDセンサ55との何れか一方が、リレーレンズ53
の光軸上に配置される。二次元CCDセンサ54とTD
IアレイCCDセンサ55との出力は、画像処理ユニッ
ト37に入力される。
【0032】なお、請求項1に記載の発明と本実施形態
との対応関係については、ステージはステージ27に対
応し、検出手段は検出器36に対応し、写像光学系は、
カソードレンズ29、第2レンズ32〜第4レンズ35
に対応し、アレイ撮像手段は、TDIアレイCCDセン
サ55に対応し、二次元撮像手段は、二次元CCDセン
サ54に対応し、歪み量算出手段は、CPU39に対応
し、設定手段は、CPU39およびCCD走査回路43
に対応する。
【0033】また、請求項2に記載の発明と本実施形態
との対応関係については、補正手段は、画像処理ユニッ
ト37に対応する。次に、本実施形態の観察装置におけ
る試料画像の取得動作について説明する。図3に示すよ
うに、電子銃24から出射する一次ビームは、電子銃2
4の加速電圧よって加速され、一次光学系25のレンズ
作用および偏向器26の偏向作用を受けながらウィーン
フィルタ31の中心に入射する。
【0034】電子銃24の陰極は、ここでは矩形陰極で
大電流を取り出すことができるランタンヘキサボライト
(LaB6)を用いる。また、一次光学系25は、回転
軸非対称の四重極(または八重極)の静電レンズ(また
は電磁レンズ)を使用する。このレンズは、いわゆるシ
リンドリカルレンズと同様に、矩形陰極の長軸(X
軸)、短軸(Y軸)各々で集束と発散とを引き起こすこ
とができる。図3では、矩形陰極のX方向断面に放出さ
れた電子の軌道とY方向断面に放出された電子の軌道と
を示している。
【0035】具体的なレンズ構成は、図4に示すよう
に、静電レンズを用いた場合、4つの円柱ロッドを使用
する。対向する電極同士を等電位に設定し、互いに逆の
電圧特性(aとbに+Vq、cとdに−Vq)を与え
る。このレンズを3段(図3の25a、25b、25
c)で構成し、各レンズ条件を最適化することによっ
て、照射電子を損失することなく、試料面上のビーム照
射領域を、任意の矩形状、または楕円形状に成形するこ
とができる。
【0036】一次光学系25により矩形状に成形された
一次ビームは、ウィーンフィルタ31の中心箇所に入射
するように偏向器26によって偏向される。ウィーンフ
ィルタ31に入射した一次ビームは、ウィーンフィルタ
31の偏向作用により軌道が曲げられ、ニューメニカル
アパーチャ30の開口部で結像する。ウィーンフィルタ
31は、磁界と電界とを直交させ、電界をE、磁界を
B、荷電粒子の速度をvとした場合、E=vBのウィー
ン条件を満たす荷電粒子のみを直進させ、それ以外の荷
電粒子の軌道を曲げる偏向装置である。
【0037】また、ニューメニカルアパーチャ30は、
開口絞りに相当するものでカソードレンズ29の開口角
を決定する。その形状は、円形の穴が開いた金属製(M
o等)の薄膜板であり、装置内に散乱する余計な電子ビ
ームが試料面に到達することを阻止し、試料28のチャ
ージアップやコンタミネーションを防いでいる。ニュー
メニカルアパーチャ30の開口部で結像した一次ビーム
は、カソードレンズ29を介して、試料28面上に垂直
に照射される。試料面上に一次ビームが照射されると、
そのビーム照射領域からは、二次電子または反射電子の
少なくとも一方を含む二次ビームが発生する。
【0038】この二次ビームは、ビーム照射領域の二次
元画像情報を有していることになるが、特に、一次ビー
ムが試料28に垂直に照射されるので、二次ビームは影
のない鮮明な像を有することができる。図5に示すよう
に、二次ビームは、カソードレンズ29によって集束作
用を受ける。カソードレンズ29は、通常、2〜4枚の
電極で構成されている。ここでは、3枚の電極(29
a、29b、29c)の構成例を示す。通常、レンズと
して機能させるには、カソードレンズ29の下から1番
目の電極29a、2番目の電極29bに電圧を印加し、
3番目の電極29cをゼロ電位に設定することで行う。
【0039】ステージ27には電圧(リターディング電
圧)が印加されており、電極29a−試料面間には、一
次ビームに対しては負の電界、二次ビームに対しては正
の電界が形成されている。
【0040】リターディング電圧によって、カソードレ
ンズ29は、一次ビームに対しては、減速させて試料の
チャージアップや破壊を防ぎ、二次ビームに対しては、
電子(特に、指向性の低い二次電子)を引き込み、加速
させて、効率よくレンズ内に導くように作用する。カソ
ードレンズ29およびニューメニカルアパーチャ30を
通過した二次ビームは、ウィーンフィルタ31の偏向作
用を受けずに、そのまま直進する。このとき、ウィーン
フィルタ31に印加する電磁界を変えることで、二次ビ
ームから、特定のエネルギー帯を持つ電子(例えば二次
電子、または反射電子)のみを検出器36に導くことが
できる。
【0041】また、ニューメニカルアパーチャ30は、
二次ビームに対しては、後段の第2レンズ32〜第4レ
ンズ35のレンズ収差を抑える役割を果たしている。と
ころで、二次ビームを、カソードレンズ29のみで結像
させると、レンズ作用が強くなり収差が発生しやすい。
そこで、第2レンズ32と合わせて、1回の結像を行わ
せる。二次ビームは、カソードレンズ29および第2レ
ンズ32により、フィールドアパーチャ33上で中間結
像を得る。
【0042】また、後段には中間像を投影するためのレ
ンズが配置されるが、二次光学系として必要な投影倍率
を確保するため、第3レンズ34、第4レンズ35の2
つのレンズを加えた構成にする。二次ビームは、第3レ
ンズ34、第4レンズ35各々により結像し、ここで
は、合計3回結像する。なお、第3レンズ34と第4レ
ンズ35とを合わせて1回(合計2回)結像させてもよ
い。
【0043】第2レンズ32〜第4レンズ35はすべ
て、ユニポテンシャルレンズまたはアインツェルレンズ
と呼ばれる回転軸対称型のレンズであり、各レンズは、
3枚の電極で構成されている。通常は外側の2電極をゼ
ロ電位とし、中央の電極に印加する電圧を変えることで
レンズ作用を制御する。また、中間の結像点には、フィ
ールドアパーチャ33が配置されているが、このフィー
ルドアパーチャ33は光学顕微鏡の視野絞りと同様に、
視野を必要範囲に制限している。特に電子ビームの場
合、余計なビームを、後段の第3レンズ34および第4
レンズ35と共に遮断して、検出器36のチャージアッ
プやコンタミネーションを防いでいる。
【0044】二次ビームは、第3レンズ34と第4レン
ズ35とによって集束発散を繰り返し、検出器36の検
出面で再結像し、ビーム照射領域の像が検出面に投影さ
れる。なお、偏向器36aは、ステージ27に振動等が
生じると、検出面に投影される像の位置がずれるため、
それを補正するための偏向器である。図2に示すよう
に、二次ビームは、検出器36内部のMCP50に入射
し、MCP50を通過する際に加速増幅されて、蛍光板
51に衝突する。蛍光板51では、二次ビームを光に変
換し、投影される電子像を光学像に変換する。
【0045】光学像は、真空室と大気室とを遮断するビ
ューポート52を通過し、リレーレンズ53を介して、
二次元CCDセンサ54またはTDIアレイCCDセン
サ55の何れか一方のセンサの撮像面に投影され、撮像
される。なお、二次元CCDセンサ54またはTDIア
レイCCDセンサ55に投影される像の焦点合わせは、
二次光学系の焦点距離を変えることで行う。このとき、
2つのセンサの撮像面は、試料に対して共役な位置にあ
るため、何れかのセンサに焦点を合わせるだけでよい。
【0046】光学像は、選択されたCCDセンサにより
光電変換され、CCD走査回路43による駆動パルスに
応じて、信号電荷が読み出される。画像処理ユニット3
7は、信号電荷をA/D変換し試料画像を作成し、CR
T38は試料画像を表示する。このように本発明の観察
装置では、試料面上に電子ビームを照射し、ビーム照射
領域の像を検出器36の検出面に投影して一括して試料
画像を取得することができる。
【0047】ところで、本実施形態の観察装置は、まず
試料(ウエハ)をTDIアレイCCDセンサ55によっ
て撮像し、次に撮像された試料画像から欠陥箇所を検出
し、その箇所を二次元CCDセンサ54によって撮像し
て観察する。しかしながら、前述したように、TDIア
レイCCDセンサ55で撮像する際に、二次光学系の歪
曲収差(ディストーション)によって投影像に歪みがあ
ると、その歪み部分が積算されてしまうため、試料画像
の鮮鋭度が低下した。
【0048】そこで、TDIアレイCCDセンサ55の
撮像に使用する領域である積算段数を制限し、歪みの少
ない領域で撮像することで、ディストーションによる像
の鮮鋭度の低下を回避する。以下、この積算段数の算出
および歪み補正の動作について、図面を参照して詳細に
説明する。図6は、積算段数の算出および歪み補正の動
作を説明する流れ図である。また、図7は、ディストー
ションを説明する図である。
【0049】ステージ27上には、撮像倍率に応じた数
種類のフィディシャルマーク(テストパターン)が形成
されている。ここでは、図7(1)に示す格子パターン
に対して、電子ビームを照射し、所定の倍率で撮像す
る。このとき、CCDセンサは、二次元CCDセンサ5
4が選択されている(ステップS1)。このときの撮像
結果を図7(2)に示す。ここでは、二次光学系によっ
て糸巻き型の歪曲収差が発生している。
【0050】次に、CPU39は、二次光学系における
ディストーション量を算出する。一般に、ディストーシ
ョンは、以下の(1)式で表される。 Y=m・y−k・y3 ・・・(1) ただし、yは物体面における光軸から物点までの距離、
Yは撮像面における光軸から像点までの距離、mは像の
倍率、kは歪み係数を示す。
【0051】ここで、(1)式は理想の式であるため、実
際には、より高次の項(例えばy5の項)を加えるよう
にしてもよい。CPU39は、二次元CCDセンサ54
で撮像された格子パターンを画像処理ユニット37を介
して読み込む。また、VRAM45には、この格子パタ
ーンの歪曲収差のない理想パターンが予め格納されてい
るため、CPU39は、この理想パターンも同時に読み
込む。
【0052】まず、CPU39は、撮像パターンと理想
パターンとのそれぞれに対応する点を抽出し、これら格
子点の座標データを算出する(ステップS2)。例え
ば、図7(1)の格子パターンに対して、いくつかの点
をサンプリングし、この座標データを求める。ここで
は、例としてABCDの4点について考える。そして、
A〜Dの各点に対応する点、図7(2)のA´〜D´を
サンプリングし、この座標データを算出する。
【0053】図7(1)の中心Oから各点A〜Dの距離
は、図7(3)におけるyに対応し、図7(2)の中心
Oから各点A´〜D´の距離は、図7(3)におけるY
に対応する。CPU39は、これら座標データから最小
二乗法により歪み係数kを算出する(ステップS3)。
次に、CPU39は、TDIアレイCCDセンサ55の
積算段数を設定する。
【0054】図8(1)は、二次元CCDセンサ54の
撮像面上におけるTDIアレイCCDセンサ55の撮像
領域を示す図である。領域ABCDは、TDIアレイC
CDセンサ55の撮像領域を示している。この領域AB
CDには、二次光学系を介して像が投影されるため、デ
ィストーションによって像が歪んでしまう。そこで、T
DIアレイCCDセンサ55の撮像領域のうち、像の歪
みの少ない領域を選出し、この領域を積算段数として設
定する。
【0055】まず、CPU39は、(1)式に基づい
て、領域ABCDに対して歪みを補正した領域abcd
を算出する(図8(2))。具体的には、(1)式におい
て、Y(A〜Dの各点と中心Oとの距離)、像の倍率
m、歪み係数kが既知であるため、yが算出される。次
に、(1)式において、k=0とすると、歪みが補正さ
れた(すなわち、歪曲収差がない)領域abcdの各点
の座標データが算出される。
【0056】このとき、X軸上の点E、Fを補正する
と、点e、fの座標データが求められる。この2点を基
準にして、所定の歪み量の範囲を積算段数に設定する。
すなわち、TDIアレイCCDセンサ55で積算する際
に歪み量が大きいと、その部分が積算されてしまう。そ
こで、積算しても画質が低下しない範囲(所定のしきい
値thより小さな歪み量の範囲)を積算段数とする。
【0057】CPU39は、図8(2)のY1、Y2間
を積算段数として設定し(ステップS4)、TDIアレ
イCCDセンサ55は、この積算段数で撮像する。な
お、しきい値thは、1ピクセル未満が理想的であるが、
二次元CCDセンサ54とTDIアレイCCDセンサ5
5との対応誤差を考慮すると、2〜3ピクセルが妥当で
ある。具体的には、TDIアレイCCDセンサ55上の
1ピクセルが二次元CCDセンサ54上の何ピクセルに
相当するかで決まる。
【0058】例えば、TDIアレイCCDセンサ55上
の1ピクセルが、二次元CCDセンサ54上の1ピクセ
ルに相当するとき、しきい値thは、2〜3ピクセルにな
る。また、TDIアレイCCDセンサ55上の1ピクセ
ルが二次元CCDセンサ54上で2ピクセルに相当する
とき、しきい値thは、4〜6ピクセルになる。次に、T
DIアレイCCDセンサ55を使用して、設定された積
算段数で撮像する動作(ステップS5)について説明す
る。
【0059】図9に示すように、TDIアレイCCDセ
ンサ55は、例えば、512×256の画素数を有して
いる。ここでは、先程算出された積算段数は、ROW7
9からROW178までの100段であると仮定する。
図10に示すように、(X1,Y1)から(X512,Y
256)までの領域がチップ上に定められており、こ
の領域に電子ビームが照射され、照射領域の像がTD
IアレイCCDセンサ55に投影されて撮像される。
【0060】今、領域の(X1,Y1)から(X51
2,Y1)に一次ビームが照射されているとする。この
とき、この1ラインの像がTDIアレイCCDセンサ5
5に投影され、撮像される。信号電荷は、図9に示すT
DIアレイCCDセンサ55のROW79に蓄積され
る。次に、CPU39はステージ駆動機構42に駆動制
御信号を出力し、ステージ駆動機構42はステージ27
をY方向に駆動する。すると、ビーム照射領域がTDI
アレイCCDセンサ55の一水平走査ライン分だけ走査
方向に移動する。それと同時に、レーザ干渉計ユニット
44は、垂直クロック信号をCCD走査回路43に送出
する。
【0061】CCD走査回路43は、垂直クロック信号
が入力されると、TDIアレイCCDセンサ55に転送
パルスを送出する。TDIアレイCCDセンサ55は、
転送パルスに同期して、ROW79に蓄積されていた信
号電荷をROW80に転送する。このとき、ROW80
には、(X1,Y1)から(X512,Y1)までの像が
撮像され、既に信号電荷が蓄積されているため、ROW
79から転送されてきた信号電荷が加算されて蓄積され
ることになる。また、このとき、ROW79では、(X
1,Y2)から(X512,Y2)までの像が撮像され、
新たに信号電荷が蓄積される。
【0062】さらに、ステージ27が一水平走査ライン
分駆動すると、ROW81には、(X1,Y1)から
(X512,Y1)までの像が撮像されて信号電荷が蓄
積される。TDIアレイCCDセンサ55に転送パルス
が入力されると、ROW81には、ROW80から転送
されてきた信号電荷が加算されて蓄積される。また、R
OW80には、(X1,Y2)から(X512,Y2)ま
での像が撮像され、既に信号電荷が蓄積されているが、
前述の転送パルスが入力されると、ROW79から転送
されてきた信号電荷が加算されて蓄積される。
【0063】また、ROW79では、(X1,Y3)か
ら(X512,Y3)までの像が撮像され、新たに信号
電荷が蓄積される。このようにステージ27がY方向に
順次駆動することによって、ビーム照射領域が領域を
走査し、TDIアレイCCDセンサ55は、ステージ2
7の駆動に応じて、蓄積する信号電荷を隣接するROW
へ順次転送する。この動作が繰り返され、領域の(X
1,Y256)から(X512,Y256)までの像が撮
像されて、その信号電荷がROW79に蓄積されると
き、(X1,Y1)から(X512,Y1)までの信号電
荷は、水平走査ライン100本分加算累積されて、RO
W178に蓄積される。
【0064】この状態で、CCD走査回路43は、TD
IアレイCCDセンサ55に読み出しパルスを送出する
と、ROW178に蓄積されている信号電荷は、転送ゲ
ート(不図示)を介して、CCDシフトレジスタに転送
され、TDIアレイCCDセンサ55から一水平走査ラ
インずつ取り出されて、画像処理ユニット37に転送さ
れる。
【0065】画像処理ユニット37は、順次転送されて
くる信号電荷を、A/D変換して、後述の水平方向の歪
み補正の処理をして、VRAM45に格納し、領域の
画像を生成する。以下、同様にステージ27を移動させ
ながら、領域、領域・・・についてもTDIアレイ
CCDセンサ55によって撮像を行い、チップ全面を撮
像する。
【0066】このようにTDIアレイCCDセンサ55
では、ステージ27の移動に合わせて信号電荷をシフト
させて撮像するため、ステージ27の移動と撮像動作と
を並行して実行することができ、チップ全面を極めて短
時間に撮像することができる。ところで、TDIアレイ
CCDセンサ55から1ラインずつ取り出される画像に
は、水平方向の歪みが存在する。
【0067】例えば、図11(1)に示す試料を撮像し
た場合、TDIアレイCCDセンサ55の撮像面には、
図11(2)に示すように歪んだ試料像が投影される。
そこで、点Aを基準にして、撮像面上の歪みの少ない領
域を、TDIアレイCCDセンサ55の積算段数に設定
する。しかし、図11(3)に示すように、もともと点
Aは、水平方向に歪んだ位置にあるため、TDIアレイ
CCDセンサ55で撮像される画像には、水平方向の歪
みが残留している。特に、TDIアレイCCDセンサ5
5は、水平方向に画素数が多いため、水平方向の歪み量
は大きい。
【0068】そこで、画像処理ユニット37において、
この水平方向の歪みを補正する(ステップS6)。画像
処理ユニット37内部には、入力用ラインバッファ56
と出力用ラインバッファ57とが設けられている。TD
IアレイCCDセンサ55から1ライン分の画素データ
が入力用ラインバッファ56に格納され、(1)式に基
づいて歪みが補正される。そして、補正された画素デー
タは、出力用ラインバッファ57に格納される。
【0069】Anを入力用ラインバッファ56の各セ
ル、Bjを出力用ラインバッファ57の各セル、Cjn
補正係数とすると、 Bj=f(Cj1・A1+Cj2・A2+Cj3・A3+・・・+Cjn・An)・・(2) の式に従って補正する。ただし、fはシグモイド関数で
ある。なお、このしきい値関数は、例えばガウス関数の
ような微分可能な関数であれば、シグモイド関数に限定
されるものではない。
【0070】この歪み補正を具体的に説明する。歪み補
正は、例えば、図11(3)の点Aの画素を点A´の位
置に再配置することで行われる。まず、(1)式におい
て、Y(図(3)のAO間)、像の倍率m、歪み係数k
が既知であるため、y(図(1)のao間)が求まる。
次に、(1)式においてk=0とすると、歪曲収差のな
い点A´の位置が求まり、点Aの画素を点A´に配置す
ることで、水平方向の歪みが補正される。
【0071】この処理を図11(4)で考えると、前述
の処理により、入力用ラインバッファ56のA1〜An
が、出力用ラインバッファ57のB1〜Bjの何れかに
対応しているかが算出される。例えば、A1がB3に1
対1で対応している場合には、補正係数C31の値を1に
し、C32〜C3nの値を0にし、B3にA1の画素データ
を格納する。
【0072】このように入力用ラインバッファ56のA
1〜Anに格納される各画素データを、補正係数Cjn
よる重みを付けて出力用ラインバッファ57のB1〜B
jの各セルに格納することで、出力用ラインバッファ5
7には、水平方向の歪みが補正された1ライン分の画像
データが生成される。ところで、補正係数が(1)式か
ら求められたモデルのままであるとは限らず、実際の撮
像時には、ディストーションが理論からずれてしまう場
合もある。この場合には、補正係数を一般的なヘブ学習
則に従って変更し、実際の状態に適応させる。これは次
のようにして実現する。
【0073】なお、図11(4)は、入力出力間の関数
fの適用が一段であるが、適用を多段化することによ
り、精度の向上が可能なのは云うまでもない。TDIア
レイCCDセンサ55で試料を撮像する前に、フィディ
シャルマークを撮像し、歪みが補正されて出力用ライン
バッファ57に格納される画素データと、教師信号であ
る予め用意された画素データとを比較し、これら2つの
信号の二乗誤差を算出する。そして、この二乗誤差が最
小となるように補正係数の修正を続け、二乗誤差が規定
値になるとき、その学習を終了する。
【0074】この学習後の補正係数を用いると、ディス
トーションによる像の歪みの補正だけでなく、TDIア
レイCCDセンサ55の受光感度のばらつきによって生
じる輝度むらの補正も行うことが可能になる。以上、T
DIアレイCCDセンサ55によって、チップ全面の画
像の取得が完了すると、画像処理ユニット37は、各領
域の画像と、設計データとに基づいて予め作成されたテ
ンプレート画像とを比較して欠陥箇所を特定する。
【0075】具体的には、画像処理ユニット37は、取
得画像に対して、エッジ保存平滑化フィルタによるノイ
ズの低減を行った後、テンプレート画像と各領域の画像
とについて、対応する画素出力同士の差分二乗を求め、
その値が所定のしきい値を超えたか否かを判別し、超え
た箇所については欠陥箇所であると判断する。欠陥箇所
の観察は、この箇所に電子ビームを照射し、欠陥箇所の
像を二次光学系を介して、検出器36の検出面に投影さ
せ、この像を二次元CCDセンサ54によって撮像する
ことで行われる。
【0076】(本実施形態の効果)このように本実施形
態の電子ビームによる観察装置では、カソードレンズ2
9、第2レンズ32〜第4レンズ35の歪曲収差によっ
て試料像に歪みが発生しても、その歪み量に応じてTD
IアレイCCDセンサ55の積算段数を設定する(具体
的には、歪み量が大きい場合には積算段数を少なくし、
歪み量が小さい場合には積算段数を多くする)ことがで
きるため、歪み部分が積算されることが無く、鮮明な画
像を観察することができる。
【0077】また、TDIアレイCCDセンサ55から
取り出される試料画像には、水平方向の歪みが残留して
いるが、画像処理ユニット37において、この歪みを補
正するため、歪みのない均質な画像を観察することがで
きる。なお、本実施形態のビームは、電子ビームに限定
されるものではなく、ビームは、可視光、赤外光であっ
ても構わない。また、このとき、写像光学系は、通常の
光学レンズを使用することになる。
【0078】また、本実施形態では、TDIアレイCC
Dセンサ55の出力を、ラインバッファに格納して水平
方向の歪みの補正を行ったが、それに限定されず、フレ
ームバッファに格納して、水平、垂直方向双方の歪みの
補正を行ってもよい。また、二次光学系に磁界レンズを
使用した場合には、歪曲収差によってS字歪みが発生す
るが、この場合においても本発明を適用することは可能
である。
【0079】また、検出器36の構成は、図12に示す
ように、ミラー60、61を用いて、二次元CCDセン
サ54とTDIアレイCCDセンサ55とを選択的に切
り替える構成でもよい。なお、本実施形態として一次光
学系と二次光学系とをウイーンフィルタで接合した例を
挙げたが、独立に構成したものについても本発明を適用
できることは云うまでもない。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
観察装置では、算出された像の歪み量に基づいて、アレ
イ撮像手段の積算可能なライン数を設定することができ
る。したがって、アレイ撮像手段で撮像する際に、像の
歪み部分が積算されることがないため、鮮明な画像を観
察することができる。
【0081】請求項2に記載の観察装置では、アレイ撮
像手段から取り出される試料画像には、ライン長手方向
の歪みが残留してしまうが、本発明では、この歪みを補
正することができるため、歪みのない、均質な画像を観
察することができる。請求項3に記載の観察装置では、
アレイ撮像手段と二次元撮像手段との撮像面が、共役な
位置に配置される。したがって、例えば、1つの焦点調
節部でアレイ撮像手段と二次元撮像手段との2つの撮像
面に焦点を合わせることができ、アレイ撮像手段用の焦
点調節部と、二次元撮像手段用の焦点調節部とを別個に
設ける必要がなく、簡易な構成の観察装置を実現するこ
とができる。
【0082】請求項4に記載の観察装置の調整方法で
は、写像光学系の歪曲収差による像の歪み量を算出し、
その歪み量に基づいて、アレイ撮像手段の撮像面上の撮
像領域(積算可能なライン数)を設定する。したがっ
て、オペレータは、アレイ撮像手段で撮像する際に、事
前に、画像の鮮鋭度が低下することなく正常に撮像でき
るか否かの調整を行うことができる。
【0083】このように本発明を適用した観察装置で
は、アレイ撮像手段(いわゆる、TDICCDセンサ)
で撮像する際に、積算段数を制限することで、写像光学
系の歪曲収差に起因する像鮮鋭度の低下を回避し、鮮明
な画像を観察することができる。したがって、信頼性の
高い欠陥箇所の検出および観察を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の全体構成図である。
【図2】検出器の構成を示す図である。
【図3】一次ビームの軌道を示す図である。
【図4】一次光学系の構成図である。
【図5】二次ビームの軌道を示す図である。
【図6】積算段数の算出および歪み補正の動作を説明す
る流れ図である。
【図7】ディストーションを説明する図である。
【図8】積算段数の設定を説明する図である。
【図9】TDIアレイCCDセンサの構成ブロック図で
ある。
【図10】TDIアレイCCDセンサの動作を説明する
図である。
【図11】水平方向の歪みの補正を説明する図である。
【図12】別の検出器の構成例である。
【図13】電子顕微鏡の構成図である。
【図14】TDICCDセンサの撮像動作を説明する図
である。
【図15】歪曲収差を説明する図である。
【図16】解決する課題を説明する図である。
【符号の説明】
21 一次コラム 22 二次コラム 23 チャンバー 24 電子銃 25 一次光学系 26 偏向器 27 ステージ 28 試料 29 カソードレンズ 30 ニューメニカルアパーチャ 31 ウィーンフィルタ 32 第2レンズ 33 フィールドアパーチャ 34 第3レンズ 35 第4レンズ 36 検出器 36a 偏向器 37 画像処理ユニット 38 CRT 39 CPU 40 一次コラム制御ユニット 41 二次コラム制御ユニット 42 ステージ駆動機構 43 CCD走査回路 44 レーザ干渉計ユニット 50 MCP 51 蛍光板 52 ビューポート 53 リレーレンズ 54 二次元CCDセンサ 55 TDIアレイCCDセンサ 56 入力用ラインバッファ 57 出力用ラインバッファ 60、61 ミラー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料が載置され、移動可能なステージ
    と、 前記試料にビームを照射し、該試料の照射領域から発生
    する二次ビームを検出して前記照射領域の画像を生成す
    る検出手段と、 前記ステージと前記検出手段との間に配置され、前記二
    次ビームを前記検出手段の検出面に結像させる写像光学
    系と、 前記検出面に、複数ライン状に二次元配列された画素を
    有し、前記検出面に形成された光学像の受光によって生
    じる各ラインの画素の電荷を、前記光学像の移動のタイ
    ミングに合わせて、順次隣接するラインの対応画素へそ
    れぞれ転送し、転送毎に、該電荷と該電荷が転送された
    画素から生じる電荷とを加算し、終端に相当するライン
    までの所定のライン数積算した電荷を、順次出力するア
    レイ撮像手段と、 前記写像光学系を介して、予め用意されたパターンを撮
    像する二次元撮像手段と、 前記二次元撮像手段により撮像された前記パターンの像
    を用いて、前記写像光学系の像の歪み量を算出する歪み
    量算出手段と、 前記像の歪み量に基づいて、前記所定のライン数を設定
    する設定手段とを備えたことを特徴とする観察装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の観察装置において、 前記アレイ撮像手段から取り出される前記試料の画像に
    ついて、前記歪み量算出手段により算出された歪み量に
    基づいて、前記ラインの長手方向の歪みを補正する補正
    手段を備えたことを特徴とする観察装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の観察装
    置において、 前記試料に対して、前記アレイ撮像手段と前記二次元撮
    像手段との撮像面が共役な位置に配置されることを特徴
    とする観察装置。
  4. 【請求項4】 移動可能なステージ上に載置される試料
    を観察する観察装置の調整方法において、 写像光学系を介して、予め用意されたパターンを二次元
    撮像手段により撮像する工程と、 前記二次元撮像手段により撮像された前記パターンの像
    に基づいて、前記写像光学系の像の歪み量を算出する工
    程と、 複数ライン状に二次元配列された画素を有するアレイ撮
    像手段の撮像面上の撮像領域を、前記像の歪み量に基づ
    いて設定し、前記写像光学系を介して、前記撮像領域内
    に投影される前記試料の光学像を受光する際に、各ライ
    ンの画素から生じる電荷を、前記光学像の移動のタイミ
    ングに合わせて、順次隣接するラインの対応画素へそれ
    ぞれ転送し、転送毎に、該電荷と該電荷が転送された画
    素から生じる電荷とを加算し、前記撮像領域内の終端に
    相当するラインまでの所定のライン数積算した電荷を、
    順次出力する工程とを有することを特徴とする観察装置
    の調整方法。
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