JP2000147415A - 回転体の製造方法、回転体および該回転体を備えたポリゴンスキャナ - Google Patents

回転体の製造方法、回転体および該回転体を備えたポリゴンスキャナ

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JP2000147415A
JP2000147415A JP32646798A JP32646798A JP2000147415A JP 2000147415 A JP2000147415 A JP 2000147415A JP 32646798 A JP32646798 A JP 32646798A JP 32646798 A JP32646798 A JP 32646798A JP 2000147415 A JP2000147415 A JP 2000147415A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリゴンミラーおよび回転体を高精度に加工
するのを不要にして不釣り合いが生じるのを防止するこ
とができるとともに面倒れ特性が悪化するのを防止する
ことができる高精度、かつ安価な回転体の製造方法、回
転体および回転体を備えたポリゴンスキャナを提供する
ものである。 【解決手段】 アルミ合金からなるポリゴンミラー33の
ミラー部33a、33bの鏡面加工前のブランクに、セラミ
ックスからなりラジアル動圧発生用の軸受面が形成され
た回転スリーブ31を固着した後、回転スリーブ31の軸受
面の軸方向に対して平行になるようにブランクにミラー
部33a、33bの鏡面を加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転体の製造方
法、回転体および該回転体を備えたポリゴンスキャナに
関し、特にレーザープリンター、デジタル複写機等に用
いられるポリゴンミラーを有する回転体の製造方法、回
転体および該回転体を備えたポリゴンスキャナに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、デジタル複写機、レーザープリン
タ等のレーザー書き込み系を用いた電子写真方式の記録
装置は、印字品質の高さ、高速プリント、低騒音などの
優れた特長と低価格化により、急速に普及してきてい
る。これらの記録装置のレーザー書き込み系の構成部品
であるポリゴンスキャナには記録装置のプリント速度、
画素密度に応じた回転速度が要求される。
【0003】近年、プリント速度の高速化、画素密度の
高密度化にともない、ポリゴンスキャナには30000
回転/分以上の高速回転が要求され、従来のボールベア
リングタイプでは、軸受寿命、軸受騒音などの面から要
求品質を満足することができなくなってきている。その
ため高速回転用のポリゴンスキャナとしては、動圧空気
軸受を用いたものが実用化されている。
【0004】従来のこの種のポリゴンスキャナとして
は、例えば、図5、6に示すようなものが知られてい
る。図5、6において、1はセラミックスからなる中空
筒状の回転スリーブであり、この回転スリーブ1の上端
部にはアルミ合金からなるフランジ2が焼き嵌めまたは
圧入により固着されている。このフランジ2の座面2a
にはアルミ合金からなるポリゴンミラー3が取付けられ
ており、このポリゴンミラー3は板バネ4によって座面
2aに押え付けられている。この板バネ4はフランジ2
の中央部には挿通された吸引型磁気軸受の回転部5にね
じ6によって固定されており、この回転部6は固定軸7
に回転自在に収納されている。
【0005】この固定軸7はハウジング8の有底部8a
に焼き嵌めあるは圧入によって固定されており、外周部
にヘリングボーン状の動圧発生溝7aが形成され、回転
スリーブ1はこの固定軸7との間に数μmの軸受隙間を
介して非接触でラジアル方向に回転自在に支持されてい
る。また、固定軸7の内側には吸引型磁気軸受の固定部
9が取付けられており、この固定部9は回転軸方向に2
極に着磁されたリング状永久磁石10と、リング状永久磁
石10の内径よりも小さい中心円が形成された強磁性材料
からなる第1の固定ヨーク板11と、同様に、リング状永
久磁石10の内径よりも小さい中心円が形成された強磁性
材料からなる第2の固定ヨーク板12とから構成されてい
る。
【0006】これら固定部9は回転部5の突起部とラジ
アル方向に磁気ギャップを有しており、ギャップ間に作
用する吸引力によって回転部5をアキシャル方向に非接
触で回転自在に支持している。また、フランジ2の外周
部にはロータマグネット15が固定されており、回転スリ
ーブ1、フランジ2、ポリゴンミラー3、板バネ4、回
転部5は全体として回転体14を構成している。
【0007】また、フランジ2の上端部には回転スリー
ブ1、フランジ2および固定軸7によって画成される空
気溜まりと回転体14の外部を連通させる微細穴15が形成
されており、この微細穴15はアキシャル磁気軸受を構成
する回転部5および固定部9にダンピング特性を付与し
ている。また、固定軸7の内周部には回転体14の軸方向
の位置決めと空気溜まりの容積を減少させて一定容積を
確保させるためのスペーサ部材16が設けられており、こ
のスペーサ部材16はハウジング8の有底部8aに突き当
て固定されている。
【0008】このスペーサ部材16の実装方法としては、
固定軸7をハウジング8に固定した後、固定軸7の上方
から固定軸7内にスペーサ部材16、第2のヨーク板12、
リング状永久磁石10、第1のヨーク板11の順に挿入した
後、固定用ブッシュ17を第1のヨーク11に突き当るまで
挿入することにより、圧入が完了する。また、板バネ4
の外周部の折り曲げ部4aとフランジ2の外周部の折り
曲げ部2aには接着剤が塗布されており、回転体14の不
釣り合い(アンバランス)振動が非常に小さいレベル
(数mg以下)になるように調整されている。
【0009】また、ハウジング8内には、プリント基板
18が配置されており、このプリント基板18には、強磁性
材料からなるステータコア19と、ホール素子20とが取り
付けられており、プリント基板18にはこれらステータコ
ア19とホール素子20を図示しない駆動回路および位置検
出回路に接続するためのパターン配線がされている。ま
た、これらステータコア19、ホール素子20およびロータ
マグネット13からなるモータ部は、ロータマグネット13
とステータコア19とが回転スリーブ1と垂直な半径方向
に対向するラジアルギャップ・アウターロータ型のブラ
シレスモータであり、ロータマグネット13の磁界によっ
てホール素子20から出力される信号を位置信号として参
照し、駆動回路によってステータ巻線の励磁切換えを行
なうことにより、回転体14の回転駆動する。このとき、
ポリゴンミラー3にレーザビームを入射させて走査を行
なう。
【0010】また、近時のレーザープリンター、デジタ
ル複写機等にあっては、印字の高速化や多色化、印字密
度の観点から複数の光源を用いて複数のレーザビームを
ポリゴンスキャナに入射させて走査させるものがある。
この場合には、図5に示すように、ポリゴンミラー3の
反射面(鏡面)の面積を広くしてポリゴンミラーの厚板
化を図るようにしている(厚板化を図った他の従来技術
としては、例えば、特開平6−110007号公報参
照)。
【0011】また、図7(a)に示すように、ポリゴン
ミラー21、22を円筒状の円柱状部材23を介して軸方向に
2段に配設し、各ポリゴンミラー21、22にレーザビーム
を照射するようにしている(このような従来技術として
は、例えば、特開平2−165832号公報参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5、
6に示すような従来のポリゴンスキャナにあっては、高
画質化を図るために不可欠なポリゴンミラー2の面倒れ
特性を高精度にするために、回転スリーブ1、フランジ
2、ポリゴンミラー3の嵌合面をそれぞれ高精度に加工
して回転体14を組立ていたため、組立誤差を低減するた
めに、回転スリーブ1、フランジ2、ポリゴンミラー3
の精度をより一層高精度にしなければならず、また、あ
る一定以上の面倒れ特性の高精度化には限界があった。
【0013】特に、従来のポリゴンスキャナにあって
は、回転スリーブ1と固定軸7をセラミックスから構成
するとともにフランジ2およびポリゴンミラー3をアル
ミ合金から構成し、ポリゴンミラー2をフランジ2を介
して回転スリーブ1に固定するようになっていたため、
セラミックス材料とアルミ合金の熱膨張率の差が大きく
なってしまい(アルミ:2.3×10-5/℃、セラミックス
〔アルミナ〕:0.7×10-5/℃)、回転体14の高速回転時
の温度上昇(100℃以上)すると、回転スリーブ1とポ
リゴンミラー2の位置ずれが発生して回転体14の不釣り
合いが生じてポリゴンスキャナ2の振動を増大させてし
まうとともに、面倒れ特性が悪化してしまうという問題
があった。
【0014】このような不具合を解消するために、ポリ
ゴンミラー2を回転スリーブ1に焼き嵌めあるいは圧入
によって直接固定することも考えられるが、このように
すると、焼き嵌めあるいは圧入作業時にポリゴンミラー
2の反射面精度が悪化して画像が乱れてしまうという問
題が発生してしまう。また、ポリゴンミラー2を板バネ
4によってフランジ2の座面2aに押え付けているた
め、板バネ4が必要になる分だけ部品点数が増大してコ
ストが増大してしまうとともに、高速回転時に回転体14
に作用する遠心力および温度上昇によって板バネ4とポ
リゴンミラー2の接触部分に熱が発生してしまう上に、
板バネ4による押圧力によってポリゴンミラー2が変形
してしまい、回転体14のバランスが悪化してしまうとい
う問題もあった。
【0015】一方、図7(a)に示す2段のポリゴンミ
ラー21、22にあっては、スキャニングに寄与しない円柱
状部材23の断面形状を、高速回転時の風損低減のために
同心円状に形成し、図7(b)に示すように、その中心
軸から外周縁までの半径Rをポリゴンミラー21、22の内
接円よりも小さくしていた。このため、ポリゴンミラー
21、22の鏡面加工時にポリゴンミラー21、22自体の全周
が広くなって相対的に薄板となり(図7(b)において
ハッチング領域が薄板部分)、剛性が低くなってしま
い、切削加工時にバイトの進行方向(例えば、ポリゴン
ミラー21、22のミラーの厚み方向下方)に変形してしま
った。このため、ポリゴンミラー21、22の変形がそのま
ま面倒れの原因となってしまうという問題が発生してし
まった。
【0016】そこで本発明は、ポリゴンミラーおよび回
転体を高精度に加工するのを不要にして不釣り合いが生
じるのを防止することができるとともに面倒れ特性が悪
化するのを防止することができる高精度、かつ安価な回
転体の製造方法、回転体および該回転体を備えたポリゴ
ンスキャナを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、アルミ合金からなるポリゴ
ンミラーの鏡面加工前のブランクに、セラミックスから
なりラジアル動圧発生用の軸受面が形成された回転軸を
固着した後、前記回転軸の軸受面の軸方向に対して平行
になるように前記ブランクにポリゴンミラーの鏡面を加
工することを特徴としている。
【0018】その場合、ポリゴンミラーと回転軸の嵌合
面を事前に高精度に加工するのを不要にでき、ポリゴン
ミラーと回転軸の組立精度をより一層高精度に加工する
ことができる。また、ポリゴンミラーを回転軸に固着し
て一体化することができるため、ポリゴンミラーを回転
軸に押え付けるための板バネを不要にでき、高速回転時
に回転体に作用する遠心力および温度上昇の影響を受け
てポリゴンミラーが変形してしまうのを防止することが
でき、回転体のバランスが悪化してしまうのを防止する
ことができる。
【0019】この結果、回転体の不釣り合いが生じてポ
リゴンスキャナの振動を増大させてしまうのを防止する
ことができるとともに、面倒れ特性が悪化してしまうの
を防止することができる。請求項2記載の発明は、上記
課題を解決するために、請求項1記載の発明において、
前記鏡面を加工する前のブランクの上面に環状の溝を形
成した後、該溝の内周面側を削り取ることにより、回転
体の不釣り合いを修正することを特徴としている。
【0020】その場合、ポリゴンミラーの精度を悪化さ
せることなく、回転体の不釣り合い修正を短時間で行な
うことができる。その理由を説明する。高速回転するポ
リゴンスキャナにあっては、振動低減のために回転体の
不釣り合いを修正することが必須であり、不釣り合いを
修正するために従来から回転体の任意の部分に接着剤等
の錘を付加したり、あるいは、回転体の任意の部分を削
り取るようにしている。
【0021】具体的に、錘を付加するものとしては、ポ
リゴンミラーやミラー押え部材に円周溝等を設け、その
溝内に接着剤等を塗布するものがあり、切削加工を行な
うものにあっては、ドリル等によってミラー押え部材の
一部を切削加工するようにしている。ところが、接着剤
を塗布する場合には、接着剤が硬化するまでに多大な時
間を要してしまい好ましくなく、ミラー押え部材を切削
加工する場合にはミラー押え部材が必要な分だけ部品点
数が増大して回転体の不釣り合いが増大する要因となり
好ましくなく、さらに、ポリゴンミラーを切削加工する
場合には、加工時の応力がミラーの精度を悪化させる要
因となり好ましくない。
【0022】そこで、請求項2記載の発明は、鏡面を加
工する前のブランクの上面に環状の溝を形成した後、該
溝の内周面側を削り取ることにより、鏡面を形成する前
に不釣り合いの修正用の溝を形成し、かつ切削加工時の
応力が鏡面が形成される前のポリゴンミラーの外周部に
伝達されるのを円周溝によって遮断して、ポリゴンミラ
ーの精度が悪化するのを防止するとともに回転体の不釣
り合い修正を短時間で行なうようにしたのである。
【0023】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1記載の製造方法によって製造された
回転体であって、アルミ合金からなるポリゴンミラー
と、セラミックスからなりラジアル動圧発生用の軸受面
が形成された回転軸とが焼き嵌めまたは圧入によって一
体化され、前記回転軸の軸受面の軸方向に対してポリゴ
ンミラーの鏡面が平行になることを特徴としている。
【0024】その場合、ポリゴンミラーを回転軸に固着
して一体化することができるため、ポリゴンミラーを回
転軸に押え付けるための板バネを不要にでき、高速回転
時に回転体に作用する遠心力および温度上昇の影響を受
けてポリゴンミラーが変形してしまうのを防止すること
ができ、回転体のバランスが悪化してしまうのを防止す
ることができる。
【0025】この結果、回転体の不釣り合いが生じてポ
リゴンスキャナの振動を増大させてしまうのを防止する
ことができるとともに、面倒れ特性が悪化してしまうの
を防止することができる。また、アルミ合金からなる回
転軸にセラミックスからなるポリゴンミラーを焼き嵌め
または圧入によって固着したため、ポリゴンミラーの全
周を回転軸で均一に保持することができ、アルミ合金と
セラミックスによる熱膨張の差によって回転体のバラン
スが変化するのを低減することができる。
【0026】請求項4記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項3記載の発明において、前記ポリゴン
ミラーが円柱状部材を介して複数段に分割され、該円柱
状部材の断面形状を、該円柱状部材の中心から外周縁ま
での半径をRとしたときに、ポリゴンミラーの内接円半
径<R<外接円半径を満足する複数の円弧部分を有する
形状にしたことを特徴としている。
【0027】その場合、各段のポリゴンミラーにおいて
薄板となる領域を少なくすることができ(具体的には、
その領域をポリゴンミラーの稜線(角部)の近傍部のみ
にすることができ)、ポリゴンミラーの加工時の剛性を
高めることができるとともに、角部のエッジに丸みを持
たせて高速回転時の風損を低減することができる。請求
項5記載の発明は、上記課題を解決するために、請求項
3または4記載の回転体を有するポリゴンスキャナであ
って、前記回転体をラジアル動圧空気軸受およびアキシ
ャル磁気軸受により半径方向および軸方向に回転自在に
支持する固定軸を有するハウジングと、該ハウジングに
取付けられ、前記回転体を駆動するモータとを有し、前
記ポリゴンミラーが前記回転軸の上端部に取付けられ、
該上端部には前記ラジアル動圧軸受の軸受面が形成され
ていないことを特徴としている。
【0028】このように構成した理由を説明する。アル
ミ合金からなるポリゴンミラーをセラミックスからなる
回転軸に焼き嵌めまたは圧入によって固着して回転体を
構成した場合には、固定軸に嵌合される回転軸の嵌合代
の寸法によっては、回転軸にポリゴンミラーを固着する
際に、予め高精度に加工された回転軸の嵌合代に歪みが
生じてしまい、動圧空気軸受として使用できなくなって
しまう。特に、セラミックス製の回転軸とアルミ合金製
のポリゴンミラーの場合には熱膨張の違いによって10
0℃の高温状態においても固定力を発生させるための嵌
合代を設定した場合には、常温時の回転軸の内径歪みが
数μmとなる。
【0029】また、高精度加工前に回転軸にポリゴンミ
ラーを焼き嵌めまたは圧入によって固着した後(固着時
に回転軸の嵌合代には歪みが生じる)、回転軸の嵌合代
を高精度に加工することも考えられるが、回転軸の一端
部が閉止している場合(すなわち、有底状)には回転軸
の嵌合代の高精度二次加工が困難となる。また、焼き嵌
めまたは圧入によって固着の代りに、接着による固着も
考えられるが、このようにすると、回転体が高温時にバ
ランス変化が生じてしまう上に、接着固着部の剛性が低
いことから鏡面の高精度化に限界が生じてしまう。
【0030】そこで請求項5記載の発明は、回転軸に焼
き嵌めまたは圧入によってポリゴンミラーを固着する際
に、ポリゴンミラーをラジアル軸受面が形成されていな
い回転軸の上端部に固着することにより、ポリゴンミラ
ーを回転軸に固着したときの回転軸の嵌合代が変形した
場合であっても、回転軸と固定軸の動圧空気軸受の特性
が劣化するのを防止でき、さらに、接着固定のように回
転体が高温時にバランス変化が生じるのを防止すること
ができるとともに接着固着部の剛性が低いことによるポ
リゴンミラーの鏡面の高精度化が低下するのを防止する
ことができるようにしたのである。
【0031】請求項6記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項5記載の発明において、前記ポリゴン
ミラーの外周部に、アルミ合金からなり前記ポリゴンミ
ラーの内接円よりも大径の外周部を有するフランジを固
着したことを特徴としている。その場合、回転軸、固定
軸およびポリゴンミラーの熱膨張の差によってポリゴン
ミラーへの熱応力を少なくすることができ、高温時にポ
リゴンミラーの変形が生じるのを防止することができる
とともに回転体のバランスが変化するのを防止すること
ができる。
【0032】また、アウターロータ型のような比較的大
径なモータ方式のポリゴンスキャナに適用することがで
き、容易に高トルクを発生させてポリゴンスキャナの起
動時間を短縮することができる。請求項7記載の発明
は、上記課題を解決するために、請求項5または6記載
の発明において、前記回転体および固定軸によってアキ
シャル方向に閉空間が画成されるとともに、前記ポリゴ
ンスキャナまたはアキシャル磁気軸受に前記回転体の外
周部と閉空間を連通する微細穴を形成したことを特徴と
している。
【0033】その場合、従来のようにミラー押え部材に
微細穴を設けるのを不要にして簡単、かつ低コストな構
成でアキシャル磁気軸受にダンピング特性を付与するこ
とができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1、2は本発明に係る回転体の製
造方法、その製造方法によって製造された回転体および
その回転体を備えたポリゴンスキャナの第1実施形態を
示す図である。
【0035】まず、構成について説明する。図1、2に
おいて、31はセラミックスからなる中空筒状の回転スリ
ーブ(回転軸)であり、この回転スリーブ31の上部には
アルミ合金からなるフランジ32が焼き嵌めまたは圧入に
よって固着されている。なお、なお、回転スリーブ31お
よびフランジ32は接着剤等によって固着されても良い。
【0036】この回転スリーブ31の上部にはアルミ合金
からなるポリゴンミラー33が焼き嵌めまたは圧入によっ
て固着されており、このポリゴンミラー33は鏡面が形成
されたミラー部33aおよび33bの2段構造に構成され、
これらミラー部33a、33bは円柱状部材33cによって接
続されている。なお、回転スリーブ31およびポリゴンミ
ラー33は接着剤等によって固着されても良い。
【0037】また、このフランジ32はポリゴンミラー31
の内接円よりも大径の外周部を有しており、外周部に折
り曲げ部32aが形成されている。また、ポリゴンミラー
33の中央部には吸引型磁気軸受の回転部34が固着されて
おり、この回転部34は固定軸35に回転自在に収納されて
いる。この固定軸35はハウジング36の有底部36aに焼き
嵌めあるは圧入によって固定されており、この固定軸35
はその外周部にヘリングボーン状の動圧発生溝35aが形
成され、回転スリーブ31はこの固定軸35との間に数μm
の軸受隙間を介して非接触でラジアル方向に回転自在に
支持されている。
【0038】また、固定軸35の内側にはこの固定軸35と
共にアキシャル磁気軸受を構成する吸引型磁気軸受とし
ての固定部37が取付けられており、この固定部37は回転
軸方向に2極に着磁されたリング状永久磁石38と、リン
グ状永久磁石38の内径よりも小さい中心円が形成された
強磁性材料からなる第1の固定ヨーク板39と、同様に、
リング状永久磁石38の内径よりも小さい中心円が形成さ
れた強磁性材料からなる第2の固定ヨーク板40とから構
成されている。
【0039】これら固定部37は回転部34の突起部とラジ
アル方向に磁気ギャップを有しており、ギャップ間に作
用する吸引力によって回転部34をアキシャル方向に非接
触で回転自在に支持している。また、フランジ32の外周
部にはロータマグネット41が固定されており、回転スリ
ーブ31、フランジ32、ポリゴンミラー33、回転部34は全
体として回転体42を構成している。
【0040】また、回転スリーブ31の上端部には回転ス
リーブ31、ポリゴンミラー33、固定軸35によって画成さ
れる空気溜まり43が形成されており、回転部34の中心軸
には空気溜まり43と回転体42の外部を連通させる微細穴
34aが形成されており、この微細穴34aはアキシャル磁
気軸受を固定する固定部34にダンピング特性を付与して
いる。なお、ダンピング用の微細穴は図2中、仮想線で
示すようにポリゴンミラー33に符号Aで示すように形成
しても良い)。
【0041】また、固定軸35の内周部には回転体42の軸
方向の位置決めと空気溜まりの容積を減少させて一定容
積を確保させるためのスペーサ部材44が設けられてお
り、このスペーサ部材44はハウジング36の有底部36aに
突き当て固定されている。このスペーサ部材44の実装方
法としては、固定軸35をハウジング36に固定した後、固
定軸35の上方から固定軸35内にスペーサ部材44、第2の
ヨーク板40、リング状永久磁石38、第1のヨーク板39の
順に挿入した後、固定用ブッシュ45を第1のヨーク39に
突き当るまで挿入することにより、圧入が完了する。
【0042】また、ミラー部33aの上面には環状の溝46
が形成されており、回転体42の不釣り合い(アンバラン
ス)量に応じて溝46の内周面46a側が削り取ることによ
り、回転体42の不釣り合い振動を非常に小さいレベル
(数mg以下)になるように調整されている。なお、不
釣り合いを修正するために内周面46a側を削り取る代り
に回転体42の不釣り合い量に応じて溝46内に接着剤(符
号Bで示す)を塗布しても良い。
【0043】また、ハウジング36内には、プリント基板
47が配置されており、このプリント基板47には、強磁性
材料からなるステータコア48と、ホール素子49とが取り
付けられており、プリント基板47にはこれらステータコ
ア48とホール素子49を図示しない駆動回路および位置検
出回路に接続するためのパターン配線がされている。ま
た、これらステータコア48、ホール素子49およびロータ
マグネット41からなるモータ部53は、ロータマグネット
41とステータコア48とが回転スリーブ31と垂直な半径方
向に対向するラジアルギャップ・アウターロータ型のブ
ラシレスモータであり、ロータマグネット41の磁界によ
ってホール素子49から出力される信号を位置信号として
参照し、駆動回路によってステータ巻線の励磁切換えを
行なうことにより、回転体42の回転駆動する。このと
き、ポリゴンミラー33のミラー部33a、33bに図示しな
い2つの半導体レーザから2つのレーザビームを入射さ
せて走査を行なう。
【0044】また、ハウジング36にはカバー50が取付け
られており、このカバー50およびハウジング36によって
回転体42およびプリント基板47が配置される空間を外部
から遮断して、密閉空間を形成するようになっている。
また、カバー50には半導体レーザーからのレーザー光の
入出射用の開口窓51にガラス部材52が両面テープ又は接
着剤で固定されて密閉されている。
【0045】次に、作用を説明する。本実施形態の回転
体42にあっては、回転スリーブ31の内周面(固定軸35の
嵌合代であるラジアル軸受面)を高精度に加工した後、
アルミ合金からなるポリゴンミラー33の鏡面加工前のブ
ランクにセラミックスからなる回転スリーブ31を固着
し、次いで、回転スリーブ31のラジアル軸受面の軸方向
に対して平行になるようにブランクにミラー部33a、33
bの鏡面を加工するようになっている。
【0046】また、ミラー部33a、33bの鏡面を加工す
る前のブランクの上面に環状の溝46を形成した後、この
溝46の内周面46a側を削り取ることにより、回転体42の
不釣り合いを修正するようにしている。この後、ポリゴ
ンミラー33にフランジ32を固着するとともにポリゴンミ
ラー33に回転部34を固着した後、上述したようにスペー
サ部材44、固定部37、固定用ブッシュ45が内装された固
定軸35に回転スリーブ31を嵌合させることにより、回転
体42を固定軸35に実装する。
【0047】このように本実施形態では、アルミ合金か
らなるポリゴンミラー33のミラー部33a、33bの鏡面加
工前のブランクに、セラミックスからなりラジアル動圧
発生用の軸受面が形成された回転スリーブ31を固着した
後、回転スリーブ31の軸受面の軸方向に対して平行にな
るようにブランクにミラー部33a、33bの鏡面を加工し
たため、ポリゴンミラー33と回転スリーブ31の嵌合面を
事前に高精度に加工するのを不要にでき、ポリゴンミラ
ー33と回転スリーブ31の組立精度をより一層高精度に加
工することができる。
【0048】また、ポリゴンミラー33を回転スリーブ31
に固着して一体化することができるため、ポリゴンミラ
ー33を回転スリーブ31に押え付けるための板バネを不要
にでき、高速回転時に回転体42に作用する遠心力および
温度上昇の影響を受けてポリゴンミラー33が変形してし
まうのを防止することができ、回転体42のバランスが悪
化してしまうのを防止することができる。
【0049】この結果、回転体42の不釣り合いが生じて
ポリゴンスキャナの振動を増大させてしまうのを防止す
ることができるとともに、面倒れ特性が悪化してしまう
のを防止することができる。また、アルミ合金からなる
回転スリーブ31にセラミックスからなるポリゴンミラー
33を焼き嵌めまたは圧入によって固着したため、ポリゴ
ンミラー33の全周を回転スリーブ31で均一に保持するこ
とができ、アルミ合金とセラミックスによる熱膨張の差
(アルミ:2.3×10-5/℃、セラミックス〔アルミナ〕:
0.7×10-5/℃)によって回転体42のバランスが変化する
のを低減することができる。
【0050】また、ミラー部33a、33bの鏡面を加工す
る前のブランクの上面に環状の溝46を形成した後、溝46
の内周面46a側を削り取ることにより、回転体42の不釣
り合いを修正するようにしたため、ポリゴンミラー33の
精度を悪化させることなく、回転体42の不釣り合い修正
を短時間で行なうことができる。その理由を説明する。
高速回転するポリゴンスキャナにあっては、振動低減の
ために回転体の不釣り合いを修正することが必須であ
り、不釣り合いを修正するために従来から回転体の任意
の部分に接着剤等の錘を付加したり、あるいは、回転体
の任意の部分を削り取るようにしている。
【0051】具体的に、錘を付加するものとしては、ポ
リゴンミラーやミラー押え部材に円周溝等を設け、その
溝内に接着剤等を塗布するものがあり、切削加工を行な
うものにあっては、ドリル等によってミラー押え部材の
一部を切削加工するようにしている。ところが、接着剤
を塗布する場合には、接着剤が硬化するまでに多大な時
間を要してしまい好ましくなく、ミラー押え部材を切削
加工する場合にはミラー押え部材が必要な分だけ部品点
数が増大して回転体の不釣り合いが増大する要因となり
好ましくなく、さらに、ポリゴンミラーを切削加工する
場合には、加工時の応力がミラーの精度を悪化させる要
因となり好ましくない。
【0052】そこで本実施形態では、鏡面を加工する前
のブランクの上面に環状の溝46を形成した後、溝46の内
周面46a側を削り取ることにより、鏡面を形成する前に
不釣り合いの修正用の溝46を形成し、かつ切削加工時の
応力が鏡面が形成される前のポリゴンミラー33の外周部
に伝達されるのを円周状の溝46によって遮断して、ポリ
ゴンミラー33の精度が悪化するのを防止するとともに回
転体42の不釣り合い修正を短時間で行なうようにしたの
である。
【0053】また、ポリゴンミラー33の外周部に、アル
ミ合金からなりポリゴンミラー33の内接円よりも大径の
外周部を有するフランジ32を固着したため、回転スリー
ブ31、固定軸35およびポリゴンミラー33の熱膨張の差に
よってポリゴンミラー33への熱応力を少なくすることが
でき、高温時にポリゴンミラー33の変形が生じるのを防
止することができるとともに回転体42のバランスが変化
するのを防止することができる。
【0054】これに加えて、本実施形態のラジアルギャ
ップ・アウターロータ型のような比較的大径なモータ方
式のポリゴンスキャナに適用することができ、容易に高
トルクを発生させてポリゴンスキャナの起動時間を短縮
することができる。さらに、回転体42および固定軸35に
よってアキシャル方向に空気溜まり(閉空間)43を画成
するとともに、アキシャル磁気軸受を構成する回転部34
の中心軸に回転体42の外周部と空気溜まり43を連通する
微細穴34aを形成したため、従来のようにミラー押え部
材に微細穴を設けるのを不要にして簡単、かつ低コスト
な構成でアキシャル磁気軸受にダンピング特性を付与す
ることができる。なお、ポリゴンミラー33に微細溝Aを
設けても同様の効果を得ることができる。
【0055】図3は本発明に係る回転体の製造方法、そ
の製造方法によって製造された回転体およびその回転体
を備えたポリゴンスキャナの第2実施形態を示す図であ
る。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成
には同一番号を付して説明を省略する。本実施形態で
は、図3に示すようにポリゴンミラー33を回転スリーブ
31の上端部31aに取付け、この上端部にはラジアル動圧
軸受の軸受面(ヘリングボーン状の動圧発生溝35a)を
形成しないようにしたものである。
【0056】このように構成した理由を説明する。アル
ミ合金製のポリゴンミラー33をセラミックス製の回転ス
リーブ31に焼き嵌めまたは圧入によって固着して回転体
42を構成した場合には、固定軸35に嵌合される回転スリ
ーブ31の嵌合代の寸法によっては、回転スリーブ31にポ
リゴンミラー33を固着する際に、予め高精度に加工され
た回転スリーブ31の嵌合代に歪みが生じてしまい、動圧
空気軸受として使用できなくなってしまう。
【0057】特に、セラミックス製の回転スリーブ31と
アルミ合金製のポリゴンミラー33の場合には熱膨張の違
いによって100℃の高温状態においても固定力を発生
させるための嵌合代を設定した場合には、常温時の回転
スリーブ31の内径歪みが数μmとなる。また、高精度加
工前に回転スリーブ31にポリゴンミラー33を焼き嵌めま
たは圧入によって固着した後(固着時に回転スリーブ31
の嵌合代には歪みが生じる)、回転スリーブ31の嵌合代
を高精度に加工することも考えられるが、回転スリーブ
31の一端部が閉止している場合(すなわち、有底状)に
は回転スリーブ31の嵌合代の高精度二次加工が困難とな
る。
【0058】また、焼き嵌めまたは圧入によって固着の
代りに、接着による固着も考えられるが、このようにす
ると、回転体42が高温時にバランス変化が生じてしまう
上に、接着固着部の剛性が低いことから鏡面の高精度化
に限界が生じてしまう。そこで本実施形態では、回転ス
リーブ31に焼き嵌めまたは圧入によってポリゴンミラー
33を固着する際に、ポリゴンミラー33をラジアル軸受面
が形成されていない回転スリーブ31の上端部31aに固着
(回転スリーブ31のラジアル軸受面にはポリゴンミラー
33を焼き嵌めまたは圧入していない)することにより、
ポリゴンミラー33を回転スリーブ31に固着したときの回
転スリーブ31の嵌合代が変形した場合であっても、回転
スリーブ31と固定軸35の動圧空気軸受の特性が劣化する
のを防止でき、さらに、接着固定のように回転体が高温
時にバランス変化が生じるのを防止することができると
ともに接着固着部の剛性が低いことによるポリゴンミラ
ー33の鏡面の高精度化が低下するのを防止することがで
きるようにしたのである。
【0059】図4は本発明に係る回転体の製造方法、そ
の製造方法によって製造された回転体およびその回転体
を備えたポリゴンスキャナの第3実施形態を示す図であ
る。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成
には同一番号を付して説明を省略する。本実施形態で
は、図4に示すように、ポリゴンミラー61が円柱状部材
62を介して2段に分割されたミラー部63、64(ミラー部
の各鏡面を63a〜63e、64a〜64eで示す)を有し、円
柱状部材62の断面形状を、円柱状部材62の中心から外周
縁までの半径をRとしたときに、ポリゴンミラーの内接
円半径a<R<外接円半径bを満足する複数の円弧部分
(本実施形態のように5角の鏡面を有する場合には5個
の円弧部分62a)を有する形状にしたものである。
【0060】図6(b)に従来のポリゴンミラーに比
べ、各段のミラー部63、64においてハッチングで示すよ
うに薄板となる領域を少なくすることができ(その領域
をポリゴンミラーの稜線(角部)の近傍部のみにするこ
とができ)、ポリゴンミラー61の加工時の剛性を高める
ことができるとともに、角部のエッジに丸みを持たせて
高速回転時の風損を低減することができるという効果を
得ることができる。
【0061】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ポリゴン
ミラーと回転軸の嵌合面を事前に高精度に加工するのを
不要にでき、ポリゴンミラーと回転軸の組立精度をより
一層高精度に加工することができる。また、ポリゴンミ
ラーを回転軸に固着して一体化することができるため、
ポリゴンミラーを回転軸に押え付けるための板バネを不
要にでき、高速回転時に回転体に作用する遠心力および
温度上昇の影響を受けてポリゴンミラーが変形してしま
うのを防止することができ、回転体のバランスが悪化し
てしまうのを防止することができる。
【0062】この結果、回転体の不釣り合いが生じてポ
リゴンスキャナの振動を増大させてしまうのを防止する
ことができるとともに、面倒れ特性が悪化してしまうの
を防止することができる。請求項2記載の発明によれ
ば、鏡面を加工する前のブランクの上面に環状の溝を形
成した後、該溝の内周面側を削り取ることにより、鏡面
を形成する前に不釣り合いの修正用の溝を形成し、かつ
切削加工時の応力が鏡面が形成される前のポリゴンミラ
ーの外周部に伝達されるのを円周溝によって遮断して、
ポリゴンミラーの精度が悪化するのを防止するとともに
回転体の不釣り合い修正を短時間で行なうことができ
る。
【0063】請求項3記載の発明によれば、ポリゴンミ
ラーを回転軸に固着して一体化することができるため、
ポリゴンミラーを回転軸に押え付けるための板バネを不
要にでき、高速回転時に回転体に作用する遠心力および
温度上昇の影響を受けてポリゴンミラーが変形してしま
うのを防止することができ、回転体のバランスが悪化し
てしまうのを防止することができる。
【0064】この結果、回転体の不釣り合いが生じてポ
リゴンスキャナの振動を増大させてしまうのを防止する
ことができるとともに、面倒れ特性が悪化してしまうの
を防止することができる。また、アルミ合金からなる回
転軸にセラミックスからなるポリゴンミラーを焼き嵌め
または圧入によって固着したため、ポリゴンミラーの全
周を回転軸で均一に保持することができ、アルミ合金と
セラミックスによる熱膨張の差によって回転体のバラン
スが変化するのを低減することができる。
【0065】請求項4記載の発明によれば、各段のポリ
ゴンミラーにおいて薄板となる領域を少なくすることが
でき(具体的には、その領域をポリゴンミラーの稜線
(角部)の近傍部のみにすることができ)、ポリゴンミ
ラーの加工時の剛性を高めることができるとともに、角
部のエッジに丸みを持たせて高速回転時の風損を低減す
ることができる。
【0066】請求項5記載の発明によれば、回転軸に焼
き嵌めまたは圧入によってポリゴンミラーを固着する際
に、ポリゴンミラーをラジアル軸受面が形成されていな
い回転軸の上端部に固着することにより、ポリゴンミラ
ーを回転軸に固着したときの回転軸の嵌合代が変形した
場合であっても、回転軸と固定軸の動圧空気軸受の特性
が劣化するのを防止でき、さらに、接着固定のように回
転体が高温時にバランス変化が生じるのを防止すること
ができるとともに接着固着部の剛性が低いことによるポ
リゴンミラーの鏡面の高精度化が低下するのを防止する
ことができる。
【0067】請求項6記載の発明によれば、回転軸、固
定軸およびポリゴンミラーの熱膨張の差によってポリゴ
ンミラーへの熱応力を少なくすることができ、高温時に
ポリゴンミラーの変形が生じるのを防止することができ
るとともに回転体のバランスが変化するのを防止するこ
とができる。また、アウターロータ型のような比較的大
径なモータ方式のポリゴンスキャナに適用することがで
き、容易に高トルクを発生させてポリゴンスキャナの起
動時間を短縮することができる。
【0068】請求項7記載の発明によれば、従来のよう
にミラー押え部材に微細穴を設けるのを不要にして簡
単、かつ低コストな構成でアキシャル磁気軸受にダンピ
ング特性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転体の製造方法、その製造方法
によって製造された回転体およびその回転体を備えたポ
リゴンスキャナの一実施例を示す図であり、その正面断
面図である。
【図2】第1実施例の主要部の断面図である。
【図3】本発明に係る回転体の製造方法、その製造方法
によって製造された回転体およびその回転体を備えたポ
リゴンスキャナの第2実施形態を示す図であり、その正
面断面図である。
【図4】本発明に係る回転体の製造方法、その製造方法
によって製造された回転体およびその回転体を備えたポ
リゴンスキャナの第3実施形態を示す図であり、(a)
はポリゴンミラーの正面図、(b)は円柱状部材とミラ
ー部の関係を示す図である。
【図5】従来のポリゴンスキャナの正面断面図である。
【図6】従来のポリゴンスキャナの主要部の断面図であ
る。
【図7】(a)は従来の他のポリゴンミラーの上面図、
(b)は円柱状部材とミラー部の関係を示す図である。
【符号の説明】
31回転スリーブ(回転軸) 32 フランジ 33、61 ポリゴンミラー 34 回転部(アキシャル磁気軸受) 34a 微細穴 35 固定軸 35a 動圧発生溝 36 ハウジング 37 固定部(アキシャル磁気軸受) 42 回転体 43 空気溜まり(閉空間) 46 溝 46a 内周面 53 モータ部 62 円柱状部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H045 AA06 AA07 AA14 AA24 AA28 AA49 AA62 3J011 CA02 DA02 SD01 3J102 AA01 BA04 CA02 DA03 GA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミ合金からなるポリゴンミラーの鏡面
    加工前のブランクに、セラミックスからなりラジアル動
    圧発生用の軸受面が形成された回転軸を固着した後、前
    記回転軸の軸受面の軸方向に対して平行になるように前
    記ブランクにポリゴンミラーの鏡面を加工することを特
    徴とする回転体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記鏡面を加工する前のブランクの上面に
    環状の溝を形成した後、該溝の内周面側を削り取ること
    により、回転体の不釣り合いを修正することを特徴とす
    る請求項1記載の回転体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の製造方法によって製造され
    た回転体であって、 アルミ合金からなるポリゴンミラーと、セラミックスか
    らなりラジアル動圧発生用の軸受面が形成された回転軸
    とが焼き嵌めまたは圧入によって一体化され、前記回転
    軸の軸受面の軸方向に対してポリゴンミラーの鏡面が平
    行になることを特徴とする回転体。
  4. 【請求項4】前記ポリゴンミラーが円柱状部材を介して
    複数段に分割され、該円柱状部材の断面形状を、該円柱
    状部材の中心からの外周縁までの半径をRとしたとき
    に、ポリゴンミラーの内接円半径<R<外接円半径を満
    足する複数の円弧部分を有する形状にしたことを特徴と
    する請求項3記載の回転体。
  5. 【請求項5】請求項3または4記載の回転体を有するポ
    リゴンスキャナであって、 前記回転体をラジアル動圧空気軸受およびアキシャル磁
    気軸受により半径方向および軸方向に回転自在に支持す
    る固定軸を有するハウジングと、該ハウジングに取付け
    られ、前記回転体を駆動するモータとを有し、 前記ポリゴンミラーが前記回転軸の上端部に取付けら
    れ、該上端部には前記ラジアル動圧軸受の軸受面が形成
    されていないことを特徴とするポリゴンスキャナ。
  6. 【請求項6】前記ポリゴンミラーの外周部に、アルミ合
    金からなり前記ポリゴンミラーの内接円よりも大径の外
    周部を有するフランジを固着したことを特徴とする請求
    項5記載のポリゴンスキャナ。
  7. 【請求項7】前記回転体および固定軸によってアキシャ
    ル方向に閉空間が画成されるとともに、前記ポリゴンス
    キャナまたはアキシャル磁気軸受に前記回転体の外周部
    と閉空間を連通する微細穴を形成したことを特徴とする
    請求項5または6記載のポリゴンスキャナ。
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