JP2000144530A - キシミ感を呈するポリエステル太細繊維 - Google Patents
キシミ感を呈するポリエステル太細繊維Info
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Abstract
とを有する、新規な織編物用シルキー素材を提供するこ
と。 【解決手段】 異形度率が2〜8の範囲にある異形断面
のポリエステル繊維において、該繊維は130℃の加圧
水溶液中で1時間煮沸処理されたとき、400kgf/
mm2 以上2,000kgf/mm2 の見かけのヤング
率を示し、且つその繊維軸方向に沿って1〜50個/m
の太部を有するポリエステル太細繊維とする。
Description
蚕の特性である高度のキシミ感と自然なフクラミ感とを
兼備したポリエステル太細繊維に関する。
天蚕は、高いキシミ感と自然なフクラミ感という優れた
風合いをもち、市場で好評を博していることは周知のと
おりである。これに対して、合成繊維の分野でも、柞蚕
様の高いキシミ感を呈する織編物用繊維を得る努力がな
されてきた。例えば、特開昭56―165015号、特
開昭57―5912号、特開昭57―5921号や特開
昭58―98425号公報には、繊維表面より内部方向
に向ってアルカリ加水分解速度の速いポリマーを配置し
た複合繊維を、アルカリ減量することにより該ポリマー
を溶出して溝を形成させた異型断面糸が提案されてい
る。さらに、特開昭59―192709号公報には、同
様な異型断面糸を太細構造とすることで、より自然な斑
感を付加することが提案されている。また、特開平9―
228173号公報では、葉部に溝を付けた多葉断面の
異繊度混繊糸も提案されている。
れば、確かにキシミ性は向上するが、溝が小さすぎるこ
と及びキシミの発現が主として溝同士の“こすれあい”
によるため、その効果は柞蚕のキシミ感には程遠いもの
であった。
に匹敵する高度なキシミ感とフララミ感とを有する、新
規な織編物用シルキー素材を提供することにある。
ば、異型断面特に偏平断面のポリエステル繊維であっ
て、130℃の加圧水溶液中で特定の範囲の見掛けヤン
グ率を示すものは所望のキシミ感を呈することを究明
し、本発明に到達した。
〜8の範囲にある異形断面のポリエステル繊維におい
て、該繊維は130℃の加圧水溶液中で1時間煮沸処理
されたとき、400kgf/mm2 以上2,000kg
f/mm2 の見かけのヤング率を示し、且つその繊維軸
方向に沿って1〜50個/mの太部を有することを特徴
とするキシミ感を呈するポリエステル太細繊維が提供さ
れる。
ておく。本発明者らは、ポリエステル繊維をしてより大
きなキシミ感を得るために、柞蚕シルクにおける偏平断
面構造とキシミとの相関の有無に着目した。キシミと
は、一般に繊維繊維間のスティックスリップ現象として
説明されている。
るとき、偏平断面を持つ繊維の角が他の繊維表面をこす
りながら移動する。この時、繊維はたわみ、ひずみエネ
ルギーとして繊維内に貯えられ、次いで、力が更に加え
られると、たわみの反発力が静摩擦力を超え、繊維の角
が急激にすべる。この密着と滑りの繰り返しが、キシミ
感を生んでおり、特に、偏平繊維である柞蚕シルクで
は、大きな周期で、密着と滑りが繰り返されることで、
大きなキシミ感を与えている。
なる偏平糸でも、丸断面や三角断面糸対比キシミ感の向
上は見られるものの、柞蚕のような高いキシミ感は到底
期待できない。
質と物理的構造とを組合せるとき、驚くべきことに所望
のキシミ感とフクラミ感とが得られることが判明したの
である。ここで、糸質とは、繊維を130℃の水溶液中
で煮沸した際の見掛けヤング率であり、また物理的構造
とは断面と側面形状のことである。そして、前者につい
ては400〜2,000kgf/mm2 の見かけヤング
率が、また後者については2〜8の異形断面率と、1m
当たり1〜50個のシック部を有するシックアンドシン
形状であることが不可欠となる。特に前記範囲のシック
部の存在はシン部との沸水収縮差に因り、生機の仕上加
工後に適度なフクラミ感を与える。
を示すもので、図1(a)は偏平断面の一例、図1
(b)は側面形状の一例である。
形度率(この場合は偏平率)(B/A)が2〜8にある
ことが必要である。この他の異形断面の例としては、ト
ライカーバル、テトラローバル等の多葉断面が挙げら
れ、この場合の異形度は断面における外接円直径(D)
と内接円直径(d)との比(D/d)で表される。
その繊維軸方向に沿って、図1(b)に示すように、太
細(シックアンドシン)構造を示す。ここで、Tはシッ
ク部(太部)、Gはシン部(細部=地歩)である。この
シック部は1m当り平均して1〜50個あればよい。
を吐出する際の吐出孔の一例を示す平面図である。
けでは所望のキシミ感は得られない。加えて、130℃
の加圧水溶液中で1時間煮沸処理を行った後の見かけヤ
ング率が400kgf/mm2 以上2,000kgf/
mm2 以下の物性を示すものが不可欠である。
間のスティックスリップ現象として説明されており、そ
れには、ヤング率の高い異型あるいは偏平断面糸が好適
と考えられる。しかし、異型断面であっても、構成ポリ
マー次第で生機レベルではキシミ感を呈するものの染色
等の仕上処理後では、キシミ感が消失してしまう。これ
は、これらの繊維のヤング率が、仕上加工中に低下する
ことに因るものと本発明者らは考えた。
質的に仕上加工後のヤング率を上記の範囲に収めること
が必要になる。
らに強調するには、偏平断面の長軸方向の繊維表面をギ
ザギザ状の突起群で形成し、且つ該突起群を繊維軸方向
に沿って連続して存在させてもよい。
(b)は、そのための吐出孔の一例を示す。このような
突起の高さ(H)および巾(W)については、下記
(I)式〜(III )式を同時に満足する偏平断面である
ことが好ましい。
並びに巾と高さの比(H/W)が上記式の下限を下回る
とキシミがさらに強調されず、それらが大きすぎるとキ
シミを通り過ぎ、ジャリ味となってしまうことがある。
よび図2を通じてキシミ感の面から1de〜5deの範
囲にあることが好ましい。また図2(a)におけるギザ
ギザの突起数は長辺の片側に8〜25個程度存在し、突
起の高さ(H)と短辺(A)との比(H/A)は0.2
〜0.7程度であればよい。
て、高分子量のポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート並びにそれらの共重合ポリマーが好ま
しい。就中、ヤング率が6,500kgf/mm2 と大
きなポリエチレンナフタレートが最も好ましい。またポ
リエチレンテレフタレート共重合体においてはビスフェ
ノール化合物のような剛直な成分を含むものが好まし
い。
ーを図2や図3(b)に示したような吐出孔を通し押出
した後、周知の直接延伸または別延伸工程で斑延伸する
ことで製造される。このとき液晶性があり吐出後のベー
ラスの小さいポリエチレンナフタレーは前記の吐出孔に
対して相性の良いポリマーでもある。
0m/min前後の紡出糸(未延伸糸)を供給ローラと
延伸ローラーとの間で、前者の温度を110℃〜130
℃、後者の温度を150℃〜180℃程度で延伸すれば
未延伸糸の自然延伸倍率の0.5〜0.8倍程度で延伸
すればよい。
ル中で測定した溶融粘度が0.62である溶融ポリエチ
レンナフタレートを図2に示す吐出孔を24個穿設した
紡糸口金を通して吐出し、偏平率5、単繊維繊度6D
e、伸度240%の偏平単繊維を24本まとめた未延伸
糸を得た。次いでこの未延伸糸を120℃の加熱供給ロ
ーラーと160℃の延伸熱セットローラ間で、2.4倍
の延伸倍率で延伸し、偏平度5、単繊維繊度2.5D
e、伸度23%で1mに18〜25個のシック部を持つ
太細繊維を得た。
し、常法にしたがい精練後、180℃にて1分プレセッ
ト後、30g/Lの水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度
でアルカリ減量処理を行った(アルカリ減量率:20
%)。引き続きSumikalon Navy Blu
e S−2GL(住友化学製)4%owf,ディスパー
VG(明成化学工業製)0.5%/Lおよび酢酸0.3
g/Lを含む染浴中で浴比1:50にて130℃で60
分染色後、水酸化ナトリウム1g/Lおよびハイドロサ
ルファイト1g/Lを含む水溶液にて70℃で20分還
元洗浄した。
かけヤング率は550kgf/mm2 であった。結果を
表1に示す。
孔を用いるほかは実施例1と同様にして、ギザギザ状の
連続突起を持つ偏平繊維を得、次いで実施例1と同様に
評価した。結果を表1に示す。
0℃の加熱ローラーと160℃の熱セットローラ間で、
2倍の延伸倍率で持って延伸し、偏平度5、単繊維繊度
2.5De、伸度4%で1mに0.1〜0.2個の太細
部を持つ繊維を得た。この延伸糸を実施例1と同様に織
物とし、実施例1と同様の処理を施した。結果を表1に
示す。
℃のオルトクロロフェノール中での極減粘度0.65の
ポリエチレンテレフタレートとするほかは、実施例1と
同様の紡糸を行い、偏平率5、単繊維繊度6De、伸度
300%の単繊維を24本まとめた未延伸糸を得た。次
いでこの未延伸糸を90℃の加熱ローラと130℃の熱
セットローラ間で、2倍の延伸倍率で延伸し、偏平度
5、単繊維繊度2.5De、伸度50%で1mに16〜
25のシック部を持つ太細繊維を得た。この糸を実施例
1と同様に織物とし、実施例1と同様の処理を施した。
結果を表1に示す。
ーを用い、シック部が15〜25の間で分布し、かつ偏
平率が2未満ならびに10の偏平繊維をつくり評価し
た。結果を表1に記す。
染色したサンプルを両手で強く握り込み、この時感じら
れるキシミ感を、ポリエチレンテレフタレートの丸断面
糸のゾッキ使いの平織物を1級、家蚕の羽二重を3級、
柞蚕のデシンを5級として感応評価した。
後染色したサンプルを両手でつかみ、この時感じられる
フクラミ感を、ポリエチレンテレフタレートの丸断面糸
のゾッキ使いの平織物を1級、柞蚕のデシンを5級とし
て感応評価した。
図。 (b)図1(a)の繊維の側面図
一例を示す平面図
ィラメントの断面図。 (b)偏平断面フィラメントを紡出する際の吐出孔の一
例を示す平面図
さ h ギザギザ状の突起の高さ(H)を規制するスリット
長さ
Claims (6)
- 【請求項1】 異形度率が2〜8の範囲にある異形断面
のポリエステル繊維において、 該繊維は130℃の加圧水溶液中で1時間煮沸処理され
たとき、400kgf/mm2 以上2,000kgf/
mm2 の見かけのヤング率を示し、且つその繊維軸方向
に沿って1〜50個/mの太部を有することを特徴とす
るキシミ感を呈するポリエステル太細繊維。 - 【請求項2】 異形断面が偏平断面である請求項1記載
のキシミ感を呈するポリエステル太細繊維。 - 【請求項3】 偏平断面の長辺方向に沿う繊維表面がギ
ザギザ状の突起群で形成され、且つ該突起群が繊維軸方
向に連続している請求項2記載のキシミ感を呈するポリ
エステル太細繊維。 - 【請求項4】 異形断面が多葉断面である請求項1記載
のキシミ感を呈するポリエステル太細繊維。 - 【請求項5】 単繊維の繊度が1〜5デニールの範囲に
ある請求項1〜4のいずれかに記載のキシミ感を呈する
ポリエステル太細繊維。 - 【請求項6】 ポリエステルがポリエチレンナフタレー
トである請求項1〜5のいずれかに記載のキシミ感を呈
するポリエステル太細繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10322208A JP2000144530A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | キシミ感を呈するポリエステル太細繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10322208A JP2000144530A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | キシミ感を呈するポリエステル太細繊維 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000144530A true JP2000144530A (ja) | 2000-05-26 |
Family
ID=18141172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10322208A Pending JP2000144530A (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | キシミ感を呈するポリエステル太細繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000144530A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003073921A (ja) * | 2001-06-18 | 2003-03-12 | Oji Paper Co Ltd | 部分扁平化合成繊維、その製造方法及びそれを用いた不織布 |
JP2008156789A (ja) * | 2006-12-25 | 2008-07-10 | Teijin Ltd | ポリエチレンナフタレート短繊維不織布及びその製造方法 |
-
1998
- 1998-11-12 JP JP10322208A patent/JP2000144530A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003073921A (ja) * | 2001-06-18 | 2003-03-12 | Oji Paper Co Ltd | 部分扁平化合成繊維、その製造方法及びそれを用いた不織布 |
JP2008156789A (ja) * | 2006-12-25 | 2008-07-10 | Teijin Ltd | ポリエチレンナフタレート短繊維不織布及びその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
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