JP2000143590A - 3−オキソカルボン酸エステルの製造法 - Google Patents

3−オキソカルボン酸エステルの製造法

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JP2000143590A
JP2000143590A JP10325506A JP32550698A JP2000143590A JP 2000143590 A JP2000143590 A JP 2000143590A JP 10325506 A JP10325506 A JP 10325506A JP 32550698 A JP32550698 A JP 32550698A JP 2000143590 A JP2000143590 A JP 2000143590A
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Japan
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mol
water
magnesium
chelate complex
ethyl
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JP10325506A
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Inventor
Etsuji Sato
悦二 佐藤
Maki Wakabayashi
真樹 若林
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Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度の3−オキソカルボン酸エステルを高
収率で得る方法を提供すること。 【解決手段】 式(I): 【化9】 (R1はC1〜4のアルキル)のアセト酢酸エステルと
MgO又はMg(OH)2との反応によりMgキレート
錯体を形成させ、式(II): MX1 (II) (MはMg、Ca、Al又はFe、X1はハロゲン)の
化合物を用いて生成する水をMgキレート錯体から遊離
させたのち脱水し、Mgキレート錯体と式(III): R2COX2 (III) (R2はC2〜15のアルキル、又はハロゲン、アルコ
キシ、アリールもしくはシクロアルキルを有するC2〜
15のアルキル、X2はハロゲン)の酸ハライドとを反
応させる式(IV): 【化10】 (R1、R2は前記と同じ)の3−オキソカルボン酸エス
テルの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3−オキソカルボ
ン酸エステルの製造法に関する。さらに詳しくは、たと
えば医薬品、工業薬品などの中間原料として有用な3−
オキソカルボン酸エステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、3−オキソカルボン酸エステルの
製造法としては、アセト酢酸エステルにマグネシウムま
たはカルシウムの酸化物または水酸化物の存在下で酸ハ
ライドを反応させ、一段階の反応で目的とする3−オキ
ソカルボン酸エステルを製造する方法(特開昭57−7
0837号公報)、アセト酢酸エステルから、塩化メチ
レンなどの有機溶剤と酸化カルシウムまたは水酸化カル
シウムとを用いて中間体である2−アシルアセト酢酸エ
ステルを生成したのち、アンモニウム塩水溶液にて3−
オキソカルボン酸エステルを製造する方法(特開平5−
148186号公報)などが知られている。
【0003】しかしながら、前記方法ではいずれも、原
料のアセト酢酸エステルとマグネシウムまたはカルシウ
ムの酸化物または水酸化物とを反応させたときに生じる
水が、反応系内に存在したままである。
【0004】酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを
用いた場合には、還流脱水により系外に水を除去するこ
とが可能である。しかしながら、酸化カルシウムまたは
水酸化カルシウムを用いた場合には、酸化マグネシウム
または水酸化マグネシウムを用いた場合と比べて反応率
がかなり低いため、目的とする3−オキソカルボン酸エ
ステルの収率が低くなり、生産性が悪いうえに製造コス
トも高くなる。したがって、特開平5−148186号
公報に記載の方法は、3−オキソカルボン酸エステルの
有用な製法とはいえない。しかも、該特開平5−148
186号公報に記載の方法では、有機溶剤として塩化メ
チレンなどが用いられるため、安全面、環境衛生面で実
用に適さない。
【0005】また、特開昭57−70837号公報に記
載の方法の場合、まず、酸化カルシウムまたは水酸化カ
ルシウムを用いた方法には、前記のごとき反応収率が低
いなどの欠点がある。一方、特開昭57−70837号
公報に記載の酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウ
ムを用いた方法では、生成する水を還流脱水などの脱水
方法で系外に除去することができない。この水が系内に
存在したままであると、水と原料の酸ハライドとが反応
してカルボン酸またはカルボン酸無水物となる。ところ
が、このカルボン酸またはカルボン酸無水物は酸ハライ
ドと同等の反応性を有しないため、目的とする3−オキ
ソカルボン酸エステルを得ることはできず、水によって
失われた酸ハライドの分だけ収率の低下を招くことにな
る。したがって、特開昭57−70837号公報に記載
の方法も、同様に3−オキソカルボン酸エステルの有用
な製法とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、アセト酢酸エステルと酸
化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムとを反応させ
てマグネシウムキレート錯体を形成させる際に生成する
水と、原料の酸ハライドとが反応して目的とする3−オ
キソカルボン酸エステルの収率を低下させることなく、
高純度、高収率かつ工業的規模で収得し得る方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式
(I):
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1は炭素数1〜4の直鎖状また
は分岐鎖状のアルキル基を示す)で表わされるアセト酢
酸エステルと酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウ
ムとを反応させてマグネシウムキレート錯体を形成さ
せ、一般式(II): MX1 (II) (式中、MはMg、Ca、AlまたはFe、X1はハロ
ゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化金属化合物を
用いて生成する水を該マグネシウムキレート錯体から遊
離させたのち脱水し、ついでマグネシウムキレート錯体
と一般式(III): R2COX2 (III) (式中、R2は炭素数2〜15の直鎖状または分岐鎖状
のアルキル基、またはハロゲン原子、アルコキシ基、ア
リール基もしくはシクロアルキル基を有する炭素数2〜
15の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、X2はハロ
ゲン原子を示す)で表わされる酸ハライドとを反応させ
ることを特徴とする一般式(IV):
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1およびR2は前記と同じ)で表
わされる3−オキソカルボン酸エステルの製造法に関す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の3−オキソカルボン酸エ
ステルの製造法によれば、前記したように、一般式
(I):
【0013】
【化5】
【0014】(式中、R1は炭素数1〜4の直鎖状また
は分岐鎖状のアルキル基を示す)で表わされるアセト酢
酸エステルと酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウ
ムとを反応させてマグネシウムキレート錯体を形成さ
せ、一般式(II): MX1 (II) (式中、MはMg、Ca、AlまたはFe、X1はハロ
ゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化金属化合物を
用いて生成する水を該マグネシウムキレート錯体から遊
離させたのち脱水し、ついでマグネシウムキレート錯体
と一般式(III): R2COX2 (III) (式中、R2は炭素数2〜15の直鎖状または分岐鎖状
のアルキル基、またはハロゲン原子、アルコキシ基、ア
リール基もしくはシクロアルキル基を有する炭素数2〜
15の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、X2はハロ
ゲン原子を示す)で表わされる酸ハライドとを反応させ
ることにより、目的とする一般式(IV):
【0015】
【化6】
【0016】(式中、R1およびR2は前記と同じ)で表
わされる3−オキソカルボン酸エステルを得ることがで
きる。
【0017】本発明の製造法において、まず前記のごと
きアセト酢酸エステルと酸化マグネシウムまたは水酸化
マグネシウムとを反応させてマグネシウムキレート錯体
を形成させるが、この際、以下の反応式に示すように、
同時に水が生成する。
【0018】
【化7】
【0019】この水が反応系内に残ったままの場合に
は、酸ハライドと水とが以下のように反応してしまい、
酸または酸無水物が生成する。
【0020】
【化8】
【0021】前記のごとき生成した副生成物である酸や
酸無水物は、酸ハライドと同等にマグネシウムキレート
錯体と反応し得ないため、結果として目的とする3−オ
キソカルボン酸エステルの収率が低下してしまう。
【0022】ところが、本発明の製造法では、前記マグ
ネシウムキレート錯体を形成させる際に生成する水を、
一般式(II)で表わされるハロゲン化金属化合物によっ
てマグネシウムキレート錯体から遊離させたのち脱水す
るので、酸や酸無水物が生成することがなく、目的とす
る3−オキソカルボン酸エステルの収率も低下しない。
【0023】本発明に用いられる一般式(I)で表わさ
れるアセト酢酸エステルの代表例としては、たとえばア
セト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プ
ロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチルな
どがあげられる。
【0024】本発明に用いられる一般式(II)で表わさ
れるハロゲン化金属化合物において、X1はたとえばC
l、Brなどのハロゲン原子であり、かかる化合物の代
表例としては、たとえばMgCl2、MgBr2、CaC
2、AlCl3、FeCl3などが好ましくあげられ
る。
【0025】また本発明においては、たとえばHCl、
HBr、酸ハライドなどを添加することにより、これら
と酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムとが反応
して生成するハロゲン化マグネシウムによっても、前記
ハロゲン化金属化合物を用いた場合と同様の効果を得る
ことができる。
【0026】アセト酢酸エステルと酸化マグネシウムま
たは水酸化マグネシウムとの割合は、両者の反応があま
り遅くならないようにするには、アセト酢酸エステル1
モルに対して酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウ
ムが0.4モル以上となるように調整することが望まし
い。またマグネシウムキレート錯体を形成させる際に、
未反応の酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムが
残存し、後に酸ハライドと反応して3−オキソカルボン
酸エステルの収率が低下しないようにするには、アセト
酢酸エステル1モルに対して酸化マグネシウムまたは水
酸化マグネシウムが0.5モル以下となるように調整す
ることが望ましい。
【0027】マグネシウムキレート錯体を形成させる際
に水の遊離に用いるハロゲン化金属化合物の量は、脱水
効果を充分に発現させるためには、酸化マグネシウムま
たは水酸化マグネシウム1モルに対して0.01モル以
上、好ましくは0.05モル以上となるように調整する
ことが望ましい。またコストが上昇しすぎるおそれをな
くすには、ハロゲン化金属化合物の量は、酸化マグネシ
ウムまたは水酸化マグネシウム1モルに対して1モル以
下、好ましくは0.2モル以下となるように調整するこ
とが望ましい。
【0028】一般式(I)で表わされるアセト酢酸エス
テルと酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムと
を、一般式(II)で表わされるハロゲン化金属化合物を
添加して反応させる方法にはとくに限定がなく、各成分
がそれぞれ所望量となるように適宜調整し、仕込めばよ
いが、この際、たとえばトルエン、キシレン、ヘキサン
などの非水溶性溶媒や、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジオキソランなどの水溶性溶媒が通常用いられる。
【0029】前記反応時にマグネシウムキレート錯体と
同時に生成する水を除去するには、たとえば前記非水溶
性溶媒が用いられている場合には、該マグネシウムキレ
ート錯体から水を遊離させたのち、還流脱水にて系外に
水を取り除くことが好ましい。
【0030】また、たとえば前記水溶性溶媒が用いられ
ている場合には、マグネシウムキレート錯体から水を遊
離させたのち、脱水剤に水を吸収させることが好まし
い。かかる脱水剤としては、たとえば無水MgCl2
無水CaCl2、無水Na2SO4などを用いることがで
きるが、これらのなかでも、マグネシウムキレート錯体
から水を遊離させることのできる無水MgCl2および
無水CaCl2が好ましい。脱水剤の使用量は、その脱
水効果の発現を考慮すると、通常水1モルに対して0.
4〜2モル、好ましくは0.6〜1モルであることが望
ましい。なお、実際のところ、かかる反応によって形成
されるマグネシウムキレート錯体と、後に酸ハライドと
を反応させる際に、かかる酸ハライドとして酸クロライ
ドを用いた場合には、無水MgCl2が生成するので、
この際、遊離された水に対して等モル以上の脱水剤は必
要とされない。よって、この場合の脱水剤の使用量は、
水1モルに対して0.2〜0.5モルで充分である。
【0031】さらに、前記水溶性溶媒が用いられている
場合には、水と溶媒との共沸により溶媒とともに水を系
外に留出させてもよい。水溶性溶媒としてジオキサンや
ジオキソランが用いられている場合には、たとえばヘキ
サンなどの低沸点で、水と共沸する非水溶性溶媒を併用
し、精留塔を利用して生成する水をヘキサンで還流脱水
したのち、ヘキサンを留出する方法も有効である。
【0032】なお、前記のごときアセト酢酸エステルと
酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムとをハロゲ
ン化金属化合物のもとで反応させ、マグネシウムキレー
ト錯体を形成させる際の反応系の温度にはとくに限定が
なく、用いる原料アセト酢酸エステルやハロゲン化金属
化合物の種類などに応じて適宜調整することが好ましい
が、反応時間を短縮させ、副生成物の量を低減させるた
めには、30〜140℃程度、好ましくは80〜110
℃程度であることが望ましい。
【0033】また前記反応時間にもとくに限定はない
が、たとえば1〜5時間程度であることが好ましい。
【0034】かくして反応系の水を除去し、得られたマ
グネシウムキレート錯体と、前記一般式(III)で表わ
される酸ハライドとを反応させることにより、目的とす
る3−オキソカルボン酸エステルを得ることができる。
【0035】前記マグネシウムキレート錯体と反応させ
る一般式(III)で表わされる酸ハライドにおいて、X2
はたとえばCl、Br、Iなどのハロゲン原子であり、
かかる酸ハライドの代表例としては、たとえばプロピオ
ニルクロリド、プロピオニルブロミド、ブチリルクロリ
ド、ブチリルブロミド、バレリルクロリド、イソバレリ
ルクロリド、ピバロイルクロリド、ピバロイルブロミ
ド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミドなどがあ
げられる。
【0036】マグネシウムキレート錯体と酸ハライドと
の反応は、通常溶媒中で行なわれ、その代表例として
は、たとえばジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロ
フラン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、
イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アニソールな
どの極性溶媒、なかでも好ましくは環状エーテル、とく
に好ましくはジオキサンが例示され、またたとえばヘキ
サン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの非極
性溶媒、なかでも好ましくはトルエンが例示される。さ
らにこれら極性溶媒および非極性溶媒の混合溶媒を用い
ることもできる。
【0037】前記溶媒の使用量は、マグネシウムキレー
ト錯体と酸ハライドとの反応系が充分に撹拌され、反応
をより進行しやすくするためには、マグネシウムキレー
ト錯体100重量部(以下、部という)に対して50〜
1000部、好ましくは100〜200部となるように
調整することが望ましい。
【0038】マグネシウムキレート錯体と酸ハライドと
を反応させる際の反応系の温度にはとくに限定がなく、
マグネシウムキレート錯体の原料となるアセト酢酸エス
テルや、酸ハライド、溶媒の種類などに応じて適宜調整
することが好ましいが、反応時間を短縮させ、副生成物
の量を低減させるためには、30〜110℃程度、好ま
しくは60〜80℃程度であることが望ましい。
【0039】また前記反応時間にもとくに限定はない
が、たとえば1〜5時間程度であることが好ましい。
【0040】なお、前記溶媒として、極性溶媒のなかで
もたとえばジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフ
ランなどの環状エーテルを用いた場合には、マグネシウ
ムキレート錯体と酸ハライドとの反応により反応中間体
である2−アシルアセト酢酸エステルが得られる。反応
の完結は、ガスクロマトグラフィによってあらかじめ作
成しておいた検量線により、内標と前記2−アシルアセ
ト酢酸エステルとの面積比から生成量を求め、2−アシ
ルアセト酢酸エステルの生成量の変化がなくなった点を
終点とする。
【0041】さらに前記2−アシルアセト酢酸エステル
を加水分解させることにより目的とする3−オキソカル
ボン酸エステルを得ることができる。かかる2−アシル
アセト酢酸エステルの加水分解は、たとえば水またはメ
タノールなどのアルコールと塩基とを用いた通常の方法
によって行なうことができる。
【0042】前記塩基としては、たとえばメチルアミ
ン、エチルアミンなどの第一級アミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミンなどの第二級アミン、アンモニア
水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどの無機塩基などがあげられる。
【0043】また前記溶媒として、たとえばトルエン、
ヘキサン、シクロヘキサンなどの非極性溶媒を用いた場
合には、前記環状エーテルを用いた場合のごとき2−ア
シルアセト酢酸エステルは得られず、直接的に目的とす
る3−オキソカルボン酸エステルを得ることができる。
反応の完結は、ガスクロマトグラフィによってあらかじ
め作成しておいた検量線により、内標と目的物である3
−オキソカルボン酸エステルとの面積比から生成量を求
め、3−オキソカルボン酸エステルの生成量の変化がな
くなった点を終点とする。このとき、副生成物として2
−アセチルアセト酢酸エステルが生成するが、かかる2
−アセチルアセト酢酸エステルは目的とする3−オキソ
カルボン酸エステルと蒸留で分離することが困難であ
る。よって、水またはメタノールなどのアルコールと、
前記のごとき塩基とを用いて2−アセチルアセト酢酸エ
ステルを加水分解させればよい。
【0044】本発明の製造方法によれば、マグネシウム
キレート錯体を形成させる際に生成する水を、特定のハ
ロゲン化金属化合物にてマグネシウムキレート錯体から
遊離させたのち、脱水するので、該マグネシウムキレー
ト錯体と酸ハライドとの反応の際に、酸ハライドが加水
分解して反応率が低下し、結果的に目的とする3−オキ
ソカルボン酸エステルの収率が低下することが完全に防
止され得る。よって、原料である酸ハライドとほぼ等モ
ルの3−オキソカルボン酸エステルを含有した反応液を
得ることができる。この反応液を蒸留することにより高
純度の3−オキソカルボン酸エステルを高収率で得るこ
とができる。
【0045】
【実施例】つぎに、本発明の3−オキソカルボン酸エス
テルの製造法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0046】実施例1(無水MgCl2を用いて水を遊
離させ、トルエンと水との共沸により脱水する方法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の還
流分配器付き四つ口フラスコに水酸化マグネシウム7
0.0g(1.2mol)、トルエン300gおよび無
水MgCl2 11.4g(0.12mol)を仕込
み、内標として約5gを精秤した4−メチルイソプロピ
ルベンゼンを仕込んだ。
【0047】撹拌しながら約110℃まで加熱し、アセ
ト酢酸エチル312.3g(2.4mol)を約1時間
かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成してく
る水をトルエンとの共沸により留出させ、還流分配器を
用いて水のみを系外に除去し、トルエンはフラスコに戻
した。水の留出が終了した時点で反応液を80℃にまで
冷却した。
【0048】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成および2−アセチルアセト酢酸
エステルの除去)反応液の温度を80℃に保ったままピ
バロイルクロリド96.5g(0.8mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、80℃に保った
まま5時間撹拌した。
【0049】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標とピバロイル酢
酸エチルとの面積比から生成量を求め、ピバロイル酢酸
エチルの生成量の変化がなくなった点を反応終点とし
た。
【0050】反応液を室温まで冷却したのち、水相のp
Hが1になるまで塩酸を加えた。これを充分に撹拌した
のち、水層を分離除去し、20%食塩水で油層を洗浄し
た。
【0051】つぎに、前記洗浄した油層を50℃まで加
熱したのちに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液を水
層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油層とを分
離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。抽出液と
油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮
した。
【0052】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル123.2gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率89.5モル%)。
【0053】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0054】前記ピバロイル酢酸エチルの同定データの
測定方法およびその結果を以下に示す。
【0055】1H−NMR(CDCl3) 日本電子(株)製GX−500を用い、1H−NMRス
ペクトルを測定することにより求めた。 FT−IR(NaCl) (株)島津製作所製FTIR−4200を用い、FT−
IRスペクトルを測定することにより求めた。 νc=o(cm-1)=1710,1750 沸点 ピバロイル酢酸エチルを実際に蒸留することにより求め
た。 60℃/3.5mmHg
【0056】実施例2 実施例1において、ピバロイルクロリド96.5g
(0.8mol)のかわりにベンゾイルクロリド11
2.6g(0.8mol)を用いたほかは、実施例1と
同様にしてベンゾイル酢酸エチル135.6gを得た
(ベンゾイルクロリドを基準にした収率88.3モル
%)。
【0057】このベンゾイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0058】実施例3 実施例1において、無水MgCl2 11.4g(0.
12mol)のかわりに35%HCl 12.5g
(0.12mol)を用いたほかは、実施例1と同様に
してピバロイル酢酸エチル122.6gを得た(ピバロ
イルクロリドを基準にした収率89.1モル%)。
【0059】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0060】実施例4 実施例1において、無水MgCl2 11.4g(0.
12mol)のかわりに無水CaCl2 13.3g
(0.12mol)を用いたほかは、実施例1と同様に
してピバロイル酢酸エチル120.4gを得た(ピバロ
イルクロリドを基準にした収率87.5モル%)。
【0061】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0062】実施例5 実施例1において、無水MgCl2 11.4g(0.
12mol)のかわりに無水AlCl3 16.0g
(0.12mol)を用いたほかは、実施例1と同様に
してピバロイル酢酸エチル119.3gを得た(ピバロ
イルクロリドを基準にした収率86.7モル%)。
【0063】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0064】実施例6 実施例1において、無水MgCl2 11.4g(0.
12mol)のかわりに無水FeCl3 19.5g
(0.12mol)を用いたほかは、実施例1と同様に
してピバロイル酢酸エチル122.3gを得た(ピバロ
イルクロリドを基準にした収率88.9モル%)。
【0065】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0066】実施例7 実施例1において、無水MgCl2 11.4g(0.
12mol)のかわりにMgBr2(6H2O) 35.
1g(0.12mol)を用いたほかは、実施例1と同
様にしてピバロイル酢酸エチル121.9gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率88.6モル%)。
【0067】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0068】実施例8 実施例1において、水酸化マグネシウム70.0g
(1.2mol)のかわりに酸化マグネシウム48.4
g(1.2mol)を用いたほかは、実施例1と同様に
してピバロイル酢酸エチル115.9gを得た(ピバロ
イルクロリドを基準にした収率84.2モル%)。
【0069】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0070】実施例9(無水MgCl2を用いて水を遊
離させ、ジオキサンと水との共沸により脱水する方法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の留
出管付き四つ口フラスコに水酸化マグネシウム35.0
g(0.6mol)、ジオキサン600gおよび無水M
gCl2 5.7g(0.06mol)を仕込み、内標
として約5gを精秤した4−メチルイソプロピルベンゼ
ンを仕込んだ。
【0071】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル156.2g(1.2mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成して
くる水をジオキサンとの共沸により系外に留出除去し
た。水を系外に除去したのち、反応液を60℃にまで冷
却した。
【0072】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成)反応液の温度を60℃に保っ
たままピバロイルクロリド120.6g(1.0mo
l)を約1時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、6
0℃に保ったまま5時間撹拌した。
【0073】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標と2−ピバロイ
ルアセト酢酸エチルとの面積比から生成量を求め、2−
ピバロイルアセト酢酸エチルの生成量の変化がなくなっ
た点を反応終点とした。
【0074】反応液を室温まで冷却したのち、精製水2
50gを加えた。これを充分に撹拌したのち、水層を分
離除去した。ついで、水層をトルエン50gで2回抽出
し、抽出液を油層と合わせた。
【0075】つぎに、前記抽出液と合わせた油層を50
℃まで加熱したのちに、40重量%水酸化ナトリウム水
溶液を水層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油
層とを分離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。
抽出液と油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮した。
【0076】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル140.0gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率81.4モル%)。
【0077】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0078】実施例10(無水MgCl2を用いて水を
遊離させ、ヘキサンと水との共沸により脱水する方法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の精
留塔および還流分配器付き四つ口フラスコに水酸化マグ
ネシウム35.0g(0.6mol)、ジオキサン30
0g、ヘキサン100gおよび無水MgCl2 5.7
g(0.06mol)を仕込み、内標として約5gを精
秤した4−メチルイソプロピルベンゼンを仕込んだ。
【0079】撹拌しながら約80℃にまで加熱し、アセ
ト酢酸エチル156.2g(1.2mol)を約1時間
かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成してく
る水をヘキサンとの共沸により留出させ、還流分配器を
用いて水のみを系外に除去し、ヘキサンはフラスコに戻
した。水の留出が終了したのち、ヘキサンも留出除去
し、反応液を60℃にまで冷却した。
【0080】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成)反応液の温度を60℃に保っ
たままピバロイルクロリド120.6g(1.0mo
l)を約1時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、6
0℃に保ったまま5時間撹拌した。
【0081】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標と2−ピバロイ
ルアセト酢酸エチルとの面積比から生成量を求め、2−
ピバロイルアセト酢酸エチルの生成量の変化がなくなっ
た点を反応終点とした。
【0082】反応液を室温まで冷却したのち、精製水2
50gを加えた。これを充分に撹拌したのち、水層を分
離除去した。ついで、水層をトルエン50gで2回抽出
し、抽出液を油層と合わせた。
【0083】つぎに、前記抽出液と合わせた油層を50
℃まで加熱したのちに、40重量%水酸化ナトリウム水
溶液を水層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油
層とを分離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。
抽出液と油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮した。
【0084】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル137.9gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率80.2モル%)。
【0085】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0086】実施例11(無水MgCl2を用いて水を
遊離させ、無水MgCl2を脱水剤に用いて脱水する方
法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の四
つ口フラスコに水酸化マグネシウム35.0g(0.6
mol)、ジオキサン300g、水を遊離させるハロゲ
ン化金属化合物として無水MgCl25.7g(0.0
6mol)および脱水剤として無水MgCl2 32.
4g(0.34mol)を仕込み、内標として約5gを
精秤した4−メチルイソプロピルベンゼンを仕込んだ。
【0087】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル156.2g(1.2mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、110℃に保っ
たまま3時間撹拌したのち、反応液を60℃にまで冷却
した。
【0088】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成)反応液の温度を60℃に保っ
たままピバロイルクロリド120.6g(1.0mo
l)を約1時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、6
0℃に保ったまま5時間撹拌した。
【0089】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標と2−ピバロイ
ルアセト酢酸エチルとの面積比から生成量を求め、2−
ピバロイルアセト酢酸エチルの生成量の変化がなくなっ
た点を反応終点とした。
【0090】反応液を室温まで冷却したのち、精製水2
50gを加えた。これを充分に撹拌したのち、水層を分
離除去した。ついで、水層をトルエン50gで2回抽出
し、抽出液を油層と合わせた。
【0091】つぎに、前記抽出液と合わせた油層を50
℃まで加熱したのちに、40重量%水酸化ナトリウム水
溶液を水層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油
層とを分離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。
抽出液と油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮した。
【0092】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル141.6gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率82.3モル%)。
【0093】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0094】実施例12(無水CaCl2を用いて水を
遊離させ、無水CaCl2を脱水剤に用いて脱水する方
法) 実施例11において、水を遊離させるハロゲン化金属化
合物として無水MgCl2 5.7g(0.06mo
l)のかわりに無水CaCl2 6.7g(0.06m
ol)を、また脱水剤として無水MgCl2 32.4
g(0.34mol)のかわりに無水CaCl2
7.7g(0.34mol)を用いたほかは、実施例1
1と同様にしてピバロイル酢酸エチル139.5gを得
た(ピバロイルクロリドを基準にした収率81.1モル
%)。
【0095】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0096】実施例13(無水MgCl2を用いて水を
遊離させ、無水Na2SO4を脱水剤に用いて脱水する方
法) 実施例11において、脱水剤として無水MgCl2
2.4g(0.34mol)のかわりに無水Na2SO4
48.3g(0.34mol)を用いたほかは、実施
例11と同様にしてピバロイル酢酸エチル138.6g
を得た(ピバロイルクロリドを基準にした収率80.6
%)。
【0097】このピバロイル酢酸エチルの含量をガスク
ロマトグラフィで分析したところ、98%以上であっ
た。
【0098】比較例1(実施例1において無水MgCl
2を添加しない方法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の還
流分配器付き四つ口フラスコに水酸化マグネシウム7
0.0g(1.2mol)およびトルエン300gを仕
込み、内標として約5gを精秤した4−メチルイソプロ
ピルベンゼンを仕込んだ。
【0099】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル312.3g(2.4mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成して
くる水を除去するために、110℃で3時間トルエンを
還流したが、還流分配器にて水を除去することができな
かった。そののち、反応液を80℃にまで冷却した。
【0100】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成および2−アセチルアセト酢酸
エステルの除去)反応液の温度を80℃に保ったままピ
バロイルクロリド96.5g(0.8mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、80℃に保った
まま5時間撹拌した。
【0101】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標とピバロイル酢
酸エチルとの面積比から生成量を求め、ピバロイル酢酸
エチルの生成量の変化がなくなった点を反応終点とし
た。
【0102】反応液を室温まで冷却したのち、水相のp
Hが1になるまで塩酸を加えた。これを充分に撹拌した
のち、水層を分離除去し、20%食塩水で油層を洗浄し
た。
【0103】つぎに、前記洗浄した油層を50℃まで加
熱したのちに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液を水
層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油層とを分
離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。抽出液と
油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮
した。
【0104】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル58.5gを得た(ピバ
ロイルクロリドを基準にした収率42.5モル%)。
【0105】比較例2(実施例9において無水MgCl
2を添加しない方法) (マグネシウムキレート錯体の合成)1リットル容の留
出管付き四つ口フラスコに水酸化マグネシウム35.0
g(0.6mol)およびジオキサン600gを仕込
み、内標として約5gを精秤した4−メチルイソプロピ
ルベンゼンを仕込んだ。
【0106】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル156.2g(1.2mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成して
くる水をジオキサンとの共沸により系外に除去するため
に、ジオキサンを約300g留去したが、水を除去する
ことができなかった。そののち、反応液を60℃にまで
冷却した。
【0107】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成)反応液の温度を60℃に保っ
たままピバロイルクロリド120.6g(1.0mo
l)を約1時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、6
0℃に保ったまま5時間撹拌した。
【0108】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標と2−ピバロイ
ルアセト酢酸エチルとの面積比から生成量を求め、2−
ピバロイルアセト酢酸エチルの生成量の変化がなくなっ
た点を反応終点とした。
【0109】反応液を室温まで冷却したのち、精製水2
50gを加えた。これを充分に撹拌したのち、水層を分
離除去した。ついで、水層をトルエン50gで2回抽出
し、抽出液を油層と合わせた。
【0110】つぎに、前記抽出液と合わせた油層を50
℃まで加熱したのちに、40重量%水酸化ナトリウム水
溶液を水層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油
層とを分離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。
抽出液と油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮した。
【0111】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル118.3gを得た(ピ
バロイルクロリドを基準にした収率68.8モル%)。
【0112】比較例3(水酸化マグネシウムのかわりに
水酸化カルシウムを用い、脱水しない方法) (カルシウムキレート錯体の合成)1リットル容の四つ
口フラスコに水酸化カルシウム88.9g(1.2mo
l)およびトルエン300gを仕込み、内標として約5
gを精秤した4−メチルイソプロピルベンゼンを仕込ん
だ。
【0113】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル312.3g(2.4mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、110℃に保っ
たまま3時間撹拌したのち、反応液を80℃にまで冷却
した。
【0114】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成および2−アセチルアセト酢酸
エステルの除去)反応液の温度を80℃に保ったままピ
バロイルクロリド96.5g(0.8mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、80℃に保った
まま5時間撹拌した。
【0115】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標とピバロイル酢
酸エチルとの面積比から生成量を求め、ピバロイル酢酸
エチルの生成量の変化がなくなった点を反応終点とし
た。
【0116】反応液を室温まで冷却したのち、水相のp
Hが1になるまで塩酸を加えた。これを充分に撹拌した
のち、水層を分離除去し、20%食塩水で油層を洗浄し
た。
【0117】つぎに、前記洗浄した油層を50℃まで加
熱したのちに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液を水
層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油層とを分
離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。抽出液と
油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮
した。
【0118】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル18.4gを得た(ピバ
ロイルクロリドを基準にした収率13.4モル%)。
【0119】比較例4(水酸化マグネシウムのかわりに
水酸化カルシウムを用い、ハロゲン化金属化合物を用い
ず、トルエンと水との共沸により脱水する方法) (カルシウムキレート錯体の合成)1リットル容の還流
分配器付き四つ口フラスコに水酸化カルシウム88.9
g(1.2mol)およびトルエン300gを仕込み、
内標として約5gを精秤した4−メチルイソプロピルベ
ンゼンを仕込んだ。
【0120】撹拌しながら約110℃にまで加熱し、ア
セト酢酸エチル312.3g(2.4mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、系内に生成して
くる水をトルエンとの共沸により留出させ、還流分配器
を用いて水のみを系外に除去し、トルエンはフラスコに
戻した。水の留出が終了した時点で反応液を80℃にま
で冷却した。
【0121】(3−オキソカルボン酸エステル(ピバロ
イル酢酸エチル)の合成および2−アセチルアセト酢酸
エステルの除去)反応液の温度を80℃に保ったままピ
バロイルクロリド96.5g(0.8mol)を約1時
間かけて系内に滴下した。滴下終了後、80℃に保った
まま5時間撹拌した。
【0122】反応は、ガスクロマトグラフィによりあら
かじめ作成しておいた検量線により内標とピバロイル酢
酸エチルとの面積比から生成量を求め、ピバロイル酢酸
エチルの生成量の変化がなくなった点を反応終点とし
た。
【0123】反応液を室温まで冷却したのち、水相のp
Hが1になるまで塩酸を加えた。これを充分に撹拌した
のち、水層を分離除去し、20%食塩水で油層を洗浄し
た。
【0124】つぎに、前記洗浄した油層を50℃まで加
熱したのちに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液を水
層のpHが8〜9になるまで加えた。水層と油層とを分
離し、水層をトルエン50gで2回抽出した。抽出液と
油層とを混合し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮
した。
【0125】得られた濃縮物を精留塔(20段)で蒸留
精製し、ピバロイル酢酸エチル87.1gを得た(ピバ
ロイルクロリドを基準にした収率63.3モル%)。
【0126】以上、実施例1〜13および比較例1〜4
で用いられた化合物の種類および量、水の除去方法、な
らびに得られた3−オキソカルボン酸エステルの収量お
よび酸ハライドを基準にした収率を表1〜4にまとめ
る。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】表1〜4に示された結果から明らかなよう
に、実施例1〜13の本発明の製造法によれば、含量9
8%以上の高純度の3−オキソカルボン酸エステルを8
0モル%以上の高収率で容易に得ることができる。また
とくに、実施例1〜8のように溶媒としてトルエンを用
いた場合には、ほぼ85モル%以上といったきわめて高
収率で3−オキソカルボン酸エステルを得ることができ
る。
【0132】これに対して、比較例1、2のように、本
発明に用いられる特定のハロゲン化金属化合物が用いら
れず、キレート錯体の形成の際に生成する水が除去でき
なかった場合、および比較例3、4のように、水酸化カ
ルシウムを使用した場合は、3−オキソカルボン酸エス
テルはいずれも70モル%未満とかなり低い収率でしか
得られない。
【0133】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、たとえば医薬
品、工業薬品などの中間原料として有用な3−オキソカ
ルボン酸エステルを、アセト酢酸エステルと酸化マグネ
シウムまたは水酸化マグネシウムとを反応させてマグネ
シウムキレート錯体を形成させる際に生成する水により
収率を低下させることなく、高純度で、高収率かつ工業
的規模で製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状の
    アルキル基を示す)で表わされるアセト酢酸エステルと
    酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムとを反応さ
    せてマグネシウムキレート錯体を形成させ、一般式(I
    I): MX1 (II) (式中、MはMg、Ca、AlまたはFe、X1はハロ
    ゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化金属化合物を
    用いて生成する水を該マグネシウムキレート錯体から遊
    離させたのち脱水し、ついでマグネシウムキレート錯体
    と一般式(III): R2COX2 (III) (式中、R2は炭素数2〜15の直鎖状または分岐鎖状
    のアルキル基、またはハロゲン原子、アルコキシ基、ア
    リール基もしくはシクロアルキル基を有する炭素数2〜
    15の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、X2はハロ
    ゲン原子を示す)で表わされる酸ハライドとを反応させ
    ることを特徴とする一般式(IV): 【化2】 (式中、R1およびR2は前記と同じ)で表わされる3−
    オキソカルボン酸エステルの製造法。
  2. 【請求項2】 マグネシウムキレート錯体を形成させ、
    ハロゲン化金属化合物を用いて生成する水を該マグネシ
    ウムキレート錯体から遊離させたのち、還流脱水にて系
    外に水を取り除く請求項1記載の3−オキソカルボン酸
    エステルの製造法。
  3. 【請求項3】 マグネシウムキレート錯体を形成させ、
    ハロゲン化金属化合物を用いて生成する水を該マグネシ
    ウムキレート錯体から遊離させたのち、脱水剤に水を吸
    収させる請求項1記載の3−オキソカルボン酸エステル
    の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002332259A (ja) * 2001-05-08 2002-11-22 Konica Corp α位に電子吸引性基を有するβ−ケトカルボン酸エステル誘導体の製造方法
CN113979980A (zh) * 2021-11-22 2022-01-28 安徽华业香料合肥有限公司 一种高纯度丁位内酯的制备方法
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