JP2000136784A - ロ―タリ―コンプレッサ―用ベ―ン - Google Patents
ロ―タリ―コンプレッサ―用ベ―ンInfo
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Abstract
タリーコンプレッサー用ベーンを提供すること。 【解決手段】 本発明のロータリーコンプレッサー用ベ
ーンは、作動空間を形成するシリンダとシリンダの作動
空間内に配置されて回転するロータとの一方に摺動自在
に保持され他方の摺動面と当接摺動する摺動端部をもつ
板状のロータリーコンプレッサー用ベーンであって、H
vが400以上のFe系合金からなる本体とこの本体の
少なくとも摺動端部の表面部に一体的に形成された(0
02)配向したCr2N構造を有し、Cr、NおよびC
から構成されている被膜とからなることを特徴とする。
本発明のロータリーコンプレッサー用ベーンは、摺動面
において凝着がおこりにくくなっているため、本発明の
ロータリーコンプレッサー用ベーンを用いたロータリー
コンプレッサーが長寿命となる効果を有する。
Description
カーエアコン、冷蔵庫等に用いられるロータリーコンプ
レッサーの構成部品であるロータリーコンプレッサー用
ベーンに関する。
を行うコンプレッサーには、体積効率、省動力、低騒音
に有利なことからロータリーコンプレッサーが用いられ
ている。
2の断面図に示されるように、モーターの回転運動を主
軸ピン部を介してロータに伝達し、このロータがシリン
ダ内で偏心回転することで、シリンダに保持されたベー
ンで区切ったシリンダ内の部分で冷媒ガスを圧縮するも
のである。
て、図3の断面図に示されるように、ベーンがロータに
保持されたロータリーコンプレッサーもある。なお、本
コンプレッサーを示す図3においては、シリンダ、ロー
タ、ベーンおよび主軸のみを図示した。ベーンがロータ
に配置されたこのようなコンプレッサーの他の形態とし
て、図4のロータとベーンの斜視図に示されるように、
ベーンの摺動端が両端に形成されるとともにロータを径
方向に貫通しているものもある。このとき、それぞれの
ベーンは、ロータ内を径方向に運動できる。
面に摺接するために、摺動面に摺接しない端部側がガス
やスプリングにより押圧されることで摺動端が押しつけ
られている。また、ベーンとこのベーンを保持するロー
タあるいはシリンダが摩耗するとコンプレッサーの圧縮
性能が低下するため、ベーンやベーンを保持するロータ
あるいはシリンダといった摺動部品には高い耐摩耗性が
要求されている。
ス系、工具鋼)、焼結合金、アルミニウム複合材等の材
質よりなる基材にCrN被膜のような表面硬質被覆膜を
PVD法や、CVD法により被覆したものがある。
的には鋳鉄が用いられている。
題の高まりにともなって、オゾン層を破壊するフロンガ
スが廃止される方向にあり、エアコンや冷蔵庫に用いら
れる冷媒ガスにおいても特定フロンから分子内に塩素を
有しない代替フロンに切り替えがすすめられている。特
定フロンのように分子内に塩素を有する化合物は一般に
極圧性をもち、潤滑にとっては有益であることが知られ
ているが、この代替フロンは、分子内に塩素を有しない
ため潤滑性が特定フロンより劣っている。
ため親油性に乏しく、従来の特定フロン使用時に潤滑油
として用いられていた鉱油とはほとんど溶けあわなくな
っている。このため、代替フロン使用時には合成油が潤
滑油として用いられるが、合成油は潤滑性に大きな影響
をもつ油膜維持効果において、要求される高圧および高
せん断速度下における粘度が劣っている。このように代
替フロンおよび代替フロン使用時に用いられる合成油は
潤滑性に劣るため、ロータリーコンプレッサーの摺動部
品であるベーンの摺動端と摺動面の摩耗が増大するよう
になっていた。
施した摺動部材においては、CrN被膜は相手部材の鉄
合金との摺動や被膜同士の摺動においては、微視的な凝
着が生じて、摺動部材の摩耗が進行することがわかっ
た。特に、混合・境界潤滑条件下での摺動では摺動面の
表面の被膜が相手部材の凹凸部と接触しているので、凝
着が進行しやすいという問題を有していた。摺動面に凝
着が生じると、ベーンの摩耗が進行するようになる。
うな場合である鉄系材料同士の摺動においては、その表
面の接触から巨視的な凝着が生じ、摺動面で鉄系材料同
士に摩耗が生じるようになる。
間に摩耗や凝着がおこると、ロータリーコンプレッサー
の圧縮性能が低下するようになっていた。
あり、摺動面において摩耗や凝着が生じにくいロータリ
ーコンプレッサー用ベーンを提供することを課題とす
る。
め、本発明者らはロータリーコンプレッサー用ベーンに
ついて検討を重ねた結果、本体を硬質基材とし、本体の
摺動面に(002)配向したCr2N構造を有する皮膜
を被覆することで上記課題を解決できることを見出し
た。
サー用ベーンは、作動空間を形成するシリンダとシリン
ダの作動空間内に配置されて回転するロータとの一方に
摺動自在に保持され他方の摺動面と当接摺動する摺動端
部をもつ板状のロータリーコンプレッサー用ベーンであ
って、Hvが400以上のFe系合金からなる本体とこ
の本体の少なくとも摺動端部の表面部に一体的に形成さ
れた(002)配向したCr2N構造を有し、Cr、N
およびCから構成されている被膜とからなることを特徴
とする。
このマトリックス中に分散保持されたCr、W、Mo、
Vの1種または2種以上の元素の炭化物、窒化物または
炭窒化物からなる硬質粒子を含有するものであることが
好ましい。
ーンは、摺動自在に保持される保持孔との対向面に硬質
表面処理が施されていることが好ましい。
ー用ベーンは、摺動面と当接摺動する摺動端部をもつ板
状に形成されている。
方向の断面形状が半球状となっている板状の形状をして
いることが好ましい。つまり、ベーンの摺動端部の断面
が半球状となっていることで、ローターあるいはシリン
ダとなめらかに摺動できる。この半球状とは、端部が先
端方向になめらかなR形状を形成している状態を示すも
のであり、必ずしも半円状となっていなくてもよい。ま
た、ベーンの板状部は、摺動端部がロータあるいはシリ
ンダと摺動するときに摺動端部がベーンののびる方向に
往復運動しやすいように背向する側面同士が平行な板状
に形成されている。
ンの本体部は、Hvが400以上のFe系合金により形
成される。Fe系合金は、Feマトリックスとこのマト
リックス中に分散保持されたCr、W、Mo、Vの1種
以上の元素の炭化物、窒化物または炭窒化物からなる硬
質粒子とからなることが好ましい。
である。ベーンの側面部にはロータとの摺動により横荷
重が加わることからHvが400未満ではベーンが変形
あるいは摩耗するといった不具合が発生するようにな
る。
れるCr、W、Mo、Vの1種以上の元素の炭化物、窒
化物または炭窒化物からなる硬質粒子としては、Hvが
800〜2000の粒子であることが好ましい。このよ
うな硬質粒子としては、たとえば、Cr−C、Cr−
N、W−C、Mo−C、VーC、W・Mo−C等からな
る粒子をあげることができる。
5〜60%が好ましい。分散量が5%より少ないと耐摩
耗性向上に効果が見られず、60%より多いとベーン本
体の強度が低下するようになる。
ンは、本体部の少なくとも摺動端部の表面部に一体的に
形成された(002)配向したCr2N構造を有し、C
r、NおよびCから構成された被膜が形成されている。
ベーンの摺動端部の表面部は、摺動条件が厳しいことか
ら硬質皮膜を被覆させることでベーンの耐摩耗性を高め
ており、この硬質被膜として(002)配向したCr2
N被膜が用いられる。このとき、(002)配向したC
r2N被膜は、Cr2N結晶構造において(002)面が
ベーン表面と平行になるように形成されている。また、
この硬質被膜は、ベーンの全表面に被覆されていてもよ
い。硬質被膜が摺動端部だけでなく板状部にも被覆され
ることで、コンプレッサーの使用時にベーンが保持され
た保持空間内で摺動する往復運動したときに摩耗がおさ
えられる。
る。また、図5に示されるように六方晶構造の(00
2)配向したCr2N被膜では、摺動がCr原子面とN
原子面が交互に積層した(002)面方向で発生する。
このため、(002)配向したCr2N被膜では、摺動
面のCrとNのすべりが生じやすくなっているため、凝
着と摩耗がおこりにくくなっていると考えられる。
の表面でCr2N構造が同定できるものであればよい。
すなわち、この構造が同定できるものであれば、たとえ
ば、FeやOといった元素が少量固溶していてもよい。
厚さが1〜30μmであることが好ましく、より好まし
くは、3〜15μmである。
N被膜の確認は、X線回折により確認することができ
る。ここで、Cr2N粉末のX線回折チャート(AST
Mパウダーデータカード35−0803)を図6に示し
た。
ク強度が他の指数のピークより高いことであり、より好
ましくは下記計算式X002において好ましくは40〜1
00%であり、より好ましくは60〜100%である。
897}×100 ここで、IF002=I002/(I110+I002+I111+I
112+I300+I113+I 302+I221)であり、IhklはX
線回折強度である。
動自在に保持される保持孔との対向面に硬質表面処理が
施されていることが好ましい。すなわち、保持孔との対
向面に硬質表面処理を施すことにより、本発明のベーン
は、保持孔との対向面における耐摩耗性が向上する。な
お、この硬質表面処理は、Cr2N被膜の形成されてい
ない面に形成されることが好ましい。詳しくは、本発明
のベーンは、ロータリーコンプレッサーに用いられると
きに、ロータリーコンプレッサーの作動空間を形成する
シリンダあるいはロータの一方に形成された保持孔に、
保持孔の開口部の軸方向に往復動可能に保持される。こ
のロータリーコンプレッサーが稼働したときには、ベー
ンは、保持孔内で軸方向に往復運動をする。このとき、
ベーンの保持孔との対向面が保持孔を形成する壁面との
間に摩擦を生じる。このため、ベーンの対向面に硬質表
面処理を施すことで、ベーンが往復動をしても摩耗によ
る寸法精度の低下等の問題が生じることをおさえること
ができる。
理、浸炭処理、浸炭窒化処理、N、C等のイオン注入処
理、あるいはNi−P、Ni−Bメッキ等のメッキ処理
をあげることができる。
合金基材に被覆する方法としては、特許第258421
7号に開示された流動層炉法において、反応温度を80
0〜1000℃に設定して行うことで、Cr2N被膜を
形成することができる。また、このような流動層炉法以
外にも、粉末パック法やPVD法により行うこともでき
る。このとき、Cr2N被膜を形成したくない表面に
は、マスキングを施して、表面が露出しないようにして
おく。すなわち、マスキングを施した状態で被膜を形成
させることで、所望の表面にCr2N被膜を形成するこ
とができる。
を被覆させるときには、硬質表面処理は、Cr2N被膜
を被覆した後に施されることが好ましい。すなわち、流
動層炉法は、800〜1000℃もの高温が要求される
ため、このような高温においては、硬質表面処理が施さ
れていても、熱により変質してしまい、表面処理の意味
をなさなくなるためである。
成方法においても、硬質表面処理は、Cr2N被膜を被
覆した後に施されることが好ましいが、Cr2N被膜が
流動層炉法よりも低い温度で処理される場合は、その温
度で変質しない限り、Cr2N被膜の処理以前に硬質表
面処理を施しても良い。
2)配向したCr2N被膜を有するロータリーコンプレ
ッサー用ベーンである。すなわち、長方形状の平板のう
ち一辺になめらかなR形状を有する摺動端部が形成され
た本体部1と、この本体部1の表面に形成された(00
2)配向したCr2N被膜2と、から構成される。ここ
で、本体部1は、0.98wt%のCと、0.3wt%
のSiと、0.4wt%のMnと、16.4wt%のC
rと、残部がFeとから構成されたFe系合金により形
成され、かつ合金の硬度がHv(1.0)で550であ
った。また、(002)配向したCr2N被膜2の厚さ
は、8μmであった。さらに、摺動面の表面粗さは、R
z0.7μmであった。ここで、このロータリーコンプ
レッサー用ベーンの摺動端部の断面を図7に示した。
ーンは、Fe系合金よりなる本体部を形成し、この本体
部に軟窒化処理を施した後に、Cr2N被膜を付与する
ことで製造された。
に引き抜いた後に、所定の寸法に切削加工した後に58
0℃、4時間の軟窒化処理を施した。その後、この本体
部に流動層炉反応を行った。この反応条件としては、反
応温度が1000℃、処理時間が1時間、処理剤が粒度
♯100〜150のCr粉および粒度♯80のアルミナ
粉、反応促進剤のNH4Clを供給量が8g/hrで、
攪拌用アルゴンガスが流量4L/min・cm2であっ
た。
ゴンガスによって処理剤粉末が流動している流動層炉中
に、軟窒化処理を施したFe系合金ベーンを投入し、1
時間後、この流動層炉から取り出し、窒素ガス中で冷却
することで本実施例のベーンが得られた。
Cr2N被膜における(002)配向の確認は、X線回
折により行われ、ASTMパウダーカード35−080
3で(002)に強く配向していることが確認された。
このとき、X線回折の測定条件としては、Cu管球、管
電圧が30kV、管電流が150mAであった。
2)配向したCr2N被膜を有することから、耐摩耗性
が向上しており、摩耗によるロータリーコンプレッサー
の性能の低下を防止できる。
(002)配向したCr2N被膜が被覆している以外は
実施例1と同様なロータリーコンプレッサー用ベーンで
ある。すなわち、実施例2のロータリーコンプレッサー
用ベーンは、一つの辺がなめらかなR形状の摺動端部に
形成された板状部材よりなる本体部1と、摺動端部を被
覆する(002)配向したCr2N被膜2とから構成さ
れる。ここで、本体部1およびCr2N被膜2は、実施
例1と同様であった。このロータリーコンプレッサー用
ベーンの摺動端部における断面の様子を図8に示した。
Cr2N被膜を形成するときに、摺動端部以外の側面部
にマスキングを施した状態で流動層炉反応を生じさせた
以外は、実施例1のベーンと同様な手段により形成され
た。
より軟窒化処理を施した本体部を形成した。ここで、軟
窒化処理における反応条件は、実施例1の時と同じ条件
であった。
出するように、その他の側面をマスキングした状態で流
動層炉反応を生じさせた。詳しくは、箱状容器に摺動端
部が露出した状態で収納保持した状態ですることで行わ
れた。なお、このとき、複数のベーンをスペーサを介し
て積層させた状態で、箱状容器に保持することで複数の
ベーンにCr2N皮膜を被覆した。このスペーサは、C
rN処理が施された鉄板よりなる。図9に本実施例のベ
ーンの流動層炉反応時のマスキングの様子を示した。
を取り出して実施例2のベーンが得られた。その後、C
r2N被膜の施されていない側面部に、研削等の機械加
工を施して、面精度を向上させた。
の高い(002)配向したCr2N被膜を有することか
ら、ロータあるいはシリンダとの間に生じるベーンの摩
耗が抑えられている。さらに、摺動端部以外の本体部に
は、硬質なCr2N被膜が形成されていないため、Cr2
N被膜付与後に機械加工を行うことで、より高い寸法精
度を実現できる。
したCr2N被膜が摺動端部に形成されているとともに
それ以外の表面に硬化処理が施されている以外は、実施
例2と同様なロータリーコンプレッサー用ベーンであ
る。すなわち、本実施例のベーンは、一つの辺部になめ
らかなR形状を有する摺動端部が形成された板状部材よ
りなる本体部と、摺動端部を被覆する(002)配向し
たCr2N被膜とから構成される。なお、本体部および
Cr2N被膜は、実施例1および2と同様のCr2N硬度
や被膜を有していた。
作製した後に、窒化処理を施すことで製造された。すな
わち、実施例2と同様の手法により作製されたベーンを
作製した後に、このベーンに窒化処理を施して製造し
た。窒化処理を施すことで、Cr2N被膜が形成されて
いない表面の耐摩耗性が向上した。ここで、窒化処理条
件は、580℃、1時間であった。この窒化処理温度
(580℃)は、Cr2N被膜を被覆するための流動層
炉反応の反応温度より低い温度であり、形成されている
CR2N被膜に変質を生じさせるものではない。このた
め、摺動端部以外の側面に硬化処理を付与できる。
被膜を有することでベーンの耐摩耗性が向上し、ロータ
リーコンプレッサーとしての寿命が向上している。ま
た、窒化処理を施すことで、ベーンが保持される保持孔
とベーンの摺動端部以外の側面との間に摩耗が生じにく
くなっている。このため、高い寸法精度を保ちかつ耐摩
耗性に優れたロータリーコンプレッサー用ベーンが得ら
れた。
に作製されたローラーに耐摩耗性試験を施し、実施例1
のベーンの評価とした。
動させるローラー/ディスク摩耗試験機を用いて行われ
た。本試験は、図10に示されるように、ローラをディ
スクに押しつけた状態でディスクを回転させることでロ
ーラーとディスクを摺動させた試験である。なお、この
摺動時に潤滑油を含んだ冷媒が摺動面に供給されてい
る。また、本試験における摺動は、余分なミスト状の潤
滑油を含んだ冷媒が除去される程度に排気された状態で
行われた。
ィスクと同じ大きさのリング状の円板表面に3本のロー
ラーがそれぞれのなす角が120度となるような位置
に、径方向の向きで配置されている。また、2本のロー
ラーの間には、この円板を貫通する貫通孔が開口してお
り、この貫通孔から潤滑油を含んだ冷媒が摺動面に導入
される。
で作成されたものであり、直径が6mmの円柱状の基材
にCr2N被膜を厚さ8μmで被覆したローラーであ
り、その表面粗さは、Rz0.7μmであった。また、
ディスクには、FC200よりなる円板が用いられた。
また、冷媒にはR134aが、潤滑油にはエステル油が
用いられた。
押しつける荷重が90kgfであり、ディスクの回転速
度が1.0m/s、試験時間が1時間であった。
の基材よりなる円柱にさまざまな表面処理を施したロー
ラーを作製した。
にPVD法により立方晶CrN被膜を被覆して作製した
ローラーである。なお、本比較例の表面粗さは、Rz
0.6μmであった。
にPVD法により立方晶TiN被膜を被覆して作製した
ローラーである。なお、本比較例の表面粗さは、Rz
0.7μmであった。
にクロマイジング法によりCrC被膜を被覆して作製し
たローラーである。なお、本比較例の表面粗さは、Rz
0.7μmであった。
焼入れ、560度での焼戻しの熱処理を施した高速度鋼
を所定形状の円柱状に形成したローラーである。なお、
本比較例には、表面処理が施されていない。なお、本比
較例の表面粗さは、Rz1.2μmであった。
べてローラ材の比摩耗量も少なく、耐摩耗性が高いこと
がわかる。このため、摺動面にCr2N被膜を形成する
ことで耐摩耗性の高いロータリーコンプレッサー用ベー
ンが得られる。
ンと同様に作製された試験片に耐摩耗性試験を施し、実
施例2のベーンの評価とした。詳しくは、実施例2のベ
ーンにおける窒化処理による耐摩耗性の評価を行った。
ク状の試験片をリング部材の外周面に押し付けた状態で
このリング部材を回転させ、試験片およびリング部材の
摩耗量を計測するブロック/リング摩耗試験機を用いて
行われた。この評価試験を図13に示した。
向に配置された円柱状の部材であり、この円柱の中心軸
を回転軸として回転する。ブロック状の試験片は、円柱
状のリング部材の上方からリング部材の軸芯方向に向か
って、すなわち、鉛直下方に押し付けられる。また、リ
ング部材と試験片の潤滑のために、リング部材は、下半
分がオイルにつかるように配置されている。このため、
リング部材が回転すると、オイルが試験片との摺動部に
供給される。
冷媒雰囲気下、1.0m/sの回転速度、480Nの荷
重、エステル油のオイル、オイル−冷媒混合比95:5
wt%、初期温度80℃、試験時間200min、リン
グ材質がHRC40〜50の焼き入れFC250であっ
た。
SUS404Cに570℃、2時間の窒化処理を施した
ブロック状の試験片を用いた。
ったSKH51よりなる試験片(比較例5)、焼き入れ
を行ったSKD61よりなる試験片(比較例6)の試験
片に耐摩耗性試験を行い、リングおよび試験片の比摩耗
量を測定した。測定結果を図14に示した。
試験片の測定結果は、試験片およびリングの比摩耗量が
小さいことがわかる。比較例5は、試験片の比摩耗量は
小さいがリング比摩耗量が大きくなっていることから、
耐摩耗性は大きいが同時に相手材攻撃性も向上してい
る。逆に、比較例6は、リング比摩耗量は小さいが、試
験片の比摩耗量はかなり大きく、耐摩耗性に劣ってい
る。
は、高い耐摩耗性を有するとともに相手材攻撃性が低い
ことがわかる。このため、ロータリーコンプレッサー用
ベーンの摺動端部以外の側面部に窒化処理を施すこと
で、ロータリーコンプレッサーの寿命を長くできる。
コンプレッサー用ベーンも耐摩耗性が高くなっている。
本発明のベーンは、摺動端部が耐摩耗性にすぐれている
ことから、ロータリーコンプレッサーに用いても、摩耗
がおこりにくいため、コンプレッサーの性能の低下がお
こりにくくなっている。
ーンにおいて、摺動面に形成された(002)配向した
Cr2N被膜は、Cr原子の面とN原子の面が摺動面に
対して交互に積層しており、摺動方向に滑りやすい。こ
のため、摺動面にて凝着がおこりにくく、面間のすべり
が生じやすいのでベーンとロータの摩耗が進行しにくく
なっている。このため、本発明のロータリーコンプレッ
サー用ベーンを用いたロータリーコンプレッサーは、ベ
ーンとロータの摩耗が進行しにくくなっているため、長
寿命となる効果を有する。
向の断面図である。
向の断面図である。
図である。
られるベーンとロータを示す図である。
パウダーデータカード35−0803)である。
N被膜を被覆するときのマスキングの様態を示した図で
ある。
た図である。
る。
量の測定結果を示す図である。
図である。
結果を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 作動空間を形成するシリンダと該シリン
ダの作動空間内に配置されて回転するロータとの一方に
摺動自在に保持され他方の摺動面と当接摺動する摺動端
部をもつ板状のロータリーコンプレッサー用ベーンであ
って、 Hvが400以上のFe系合金からなる本体と、該本体
の少なくとも該摺動端部の表面部に一体的に形成された
(002)配向したCr2N構造を有しCr、Nおよび
Cから構成されている被膜と、からなることを特徴とす
るロータリーコンプレッサー用ベーン。 - 【請求項2】 前記Fe系合金は、Feマトリックスと
該マトリックス中に分散保持されたCr、W、Mo、V
の1種以上の元素の炭化物、窒化物または炭窒化物から
なる硬質粒子とからなる請求項1記載のロータリーコン
プレッサー用ベーン。 - 【請求項3】 前記ロータリーコンプレッサー用ベーン
は、摺動自在に保持される保持孔との対向面に硬質表面
処理が施されている請求項1記載のロータリーコンプレ
ッサー用ベーン。
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---|---|---|---|
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JP24395798 | 1998-08-28 | ||
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4010473B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115537730A (zh) * | 2022-09-20 | 2022-12-30 | 珠海格力电器股份有限公司 | 压缩机润滑滑片及压缩机 |
-
1999
- 1999-08-25 JP JP23793899A patent/JP4010473B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN115537730A (zh) * | 2022-09-20 | 2022-12-30 | 珠海格力电器股份有限公司 | 压缩机润滑滑片及压缩机 |
CN115537730B (zh) * | 2022-09-20 | 2024-03-22 | 珠海格力电器股份有限公司 | 压缩机润滑滑片及压缩机 |
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