JPH05312168A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

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JPH05312168A
JPH05312168A JP11573592A JP11573592A JPH05312168A JP H05312168 A JPH05312168 A JP H05312168A JP 11573592 A JP11573592 A JP 11573592A JP 11573592 A JP11573592 A JP 11573592A JP H05312168 A JPH05312168 A JP H05312168A
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JP
Japan
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roller
vane
compressor
layer
titanium nitride
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JP11573592A
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English (en)
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Toshikazu Sakai
寿和 境
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は冷凍冷蔵装置や空調機等に用いられ
る圧縮機に関するものであり、高性能化や高能力化に伴
う摺動条件の悪化や潤滑性の低い冷媒1、1、1、2テ
トラフルオロエタンの使用に際し、ベ−ンとロ−ラの凝
着摩耗を回避するとともにベーン、ローラ、シリンダの
摩耗量を抑制する摺動材仕様を提案し圧縮機の耐久性を
向上させるものである。 【構成】 本発明の圧縮機は、セラミックコ−ティング
層7dとその下の鉄とクロムと窒素の化合物層7cから
なる複合硬化皮膜により強化されたベーン7と硬度HV
800〜2000であるローラ6とを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍冷蔵装置や空調機等
に用いられる圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、冷凍冷蔵装置や空調機の圧縮機は
高性能化や高能力化に伴い使用条件が厳しくなってお
り、耐久性の向上が望まれている。
【0003】一方、オゾン層破壊等の環境問題のために
従来使用していた分子内に塩素を含む冷媒ジフルオロジ
クロロメタン(以下R12と称する)やジフルオロクロ
ロメタン(以下R22と称する)等から分子内に塩素を
含まない冷媒1、1、1、2テトラフルオロエタン(以
下R134aと称する)への変更が検討されている。と
ころが、分子内に塩素を含まない前記R134aは潤滑
性能が悪く圧縮機の摺動材の特性を向上する必要があ
る。
【0004】ここで、図面を参照しながら従来の冷媒R
12用圧縮機およびその摺動材の一例について説明す
る。図5に従来の圧縮機の断面図を示す。1は圧縮機で
ある。2はシャフト、3はローラ、4はシリンダ、5は
ベーンである。モータ(図示せず)により回転するシャ
フト2の偏心部に取り付けられたローラ3がシリンダ4
の内周及びベーン5の先端と接しながら回転しシリンダ
4内のガスを圧縮する。この時、ベーン5はシリンダ4
の溝内を往復運動する。
【0005】そして、これら摺動部の中で最も厳しい摺
動条件となるベーン5とローラ3の接触部の耐久性を維
持するため、ベーン5は硬度HV800〜850の高速
度工具鋼、ローラ3は硬度HV500〜550の鋳鉄に
より形成していた。図6にベーンの断面図を示す。図6
に示すようにベーン5はその先端部及び側面に差はなく
均質の材料からなる。また、シリンダ4は低硬度であり
加工性に優れた硬度HV160〜250の鋳鉄により形
成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
摺動材仕様では、圧縮機の高性能化に伴う負荷の増大や
潤滑性の低い冷媒R134aの使用により、ベーン先端
部と相手材であるローラ外周部に凝着摩耗が発生し圧縮
機の耐久性が維持できない問題があった。
【0007】そこで、圧縮機の高性能化に伴う負荷の増
大や潤滑性の低い冷媒R134aの使用に対応する圧縮
機の摺動材仕様が望まれていた。
【0008】ベーン先端部の凝着摩耗を回避する手段と
して例えば、特開昭59−128992号公報にベーン
先端部にセラミックコーティング施すという方法が提案
されている。特に凝着摩耗を回避するためにはこの様な
融点の高い非鉄系の材料が有効であるが以下の問題があ
りベーンへの適用は困難であった。
【0009】ベーン全体あるいは溶射等の方法でベーン
の一部をセラミック材料で形成する場合は、セラミック
部分の精密仕上げ加工に大幅な時間がかかることから量
産に適さない問題がある。一方、鉄系材料を母材として
CVD法によりセラミック材料を化学蒸着させる場合は
被膜厚さが精密に制御できるため後加工が不要となる
が、母材との硬度差が大きくまた密着性が悪いためにベ
ーン先端部のように局所的に大きい荷重が加わる条件で
はセラミック被膜の割れや剥離が発生しやすい問題があ
る。
【0010】また、CVD法による窒化チタンあるいは
炭化チタンのセラミックコーティングは硬度HV200
0以上の高硬度であるため被膜自身の耐摩耗性は優れて
おり切削工具のバイトに適用されているが、機械部品に
適用した場合被膜が硬過ぎるために相手材の摩耗を増大
させる問題が発生する。つまり、圧縮機のベーン材にセ
ラミックコーティングを適用した場合ベーン先端部の凝
着摩耗が回避できたとしても、摺接する相手材であるロ
ーラの外周やシリンダの溝内面の摩耗量が増大すること
が予想される。
【0011】本発明は上記課題に鑑み、負荷の厳しい圧
縮機や冷媒R134aを使用する圧縮機に対してベ−ン
とロ−ラの凝着摩耗を回避するとともにベーン、ロー
ラ、シリンダの摩耗量を抑制する摺動材仕様を提案し圧
縮機の耐久性を向上させるものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の圧縮機は、圧縮機の構成要素としてシャフト
とローラとシリンダとベーンとからなり、前記ローラを
バナジウムとクロムとモリブデンとタングステンを総量
で10〜30重量%含む合金鋼により形成し、かつ前記
ベーンをクロムを含有する合金鋼あるいは鉄系焼結材か
らなる母材に窒化処理した後その先端部表面にのみ窒化
チタンあるいは炭化チタンのセラミックコ−ティングを
施してなるものである。
【0013】また、圧縮機の構成要素としてシャフトと
ローラとシリンダとベーンとからなり、前記ローラの表
面に炭化ケイ素微粒子を1〜10重量%含有するニッケ
ルリン複合メッキ層が形成させ、かつ前記ベーンをクロ
ムを含有する合金鋼あるいは鉄系焼結材からなる母材に
窒化処理した後その先端部表面にのみ窒化チタンあるい
は炭化チタンのセラミックコ−ティングを施してなるも
のである。
【0014】また、圧縮機の構成要素としてシャフトと
ローラとシリンダとベーンとからなり、前記ローラの表
面にホウ化鉄層を形成させ、かつ前記ベーンをクロムを
含有する合金鋼あるいは鉄系焼結材からなる母材に窒化
処理した後その先端部表面にのみ窒化チタンあるいは炭
化チタンのセラミックコ−ティングを施してなるもので
ある。
【0015】
【作用】本発明は上記した構成によって、セラミックコ
−ティング層とその下の窒化処理層からなる複合硬化皮
膜により強化されたベーン先端部と、硬度がHV800
〜1000である高合金鋼で形成されたローラあるいは
硬度がHV800〜2000であるニッケルリン複合メ
ッキ層やホウ化鉄層で強化されたローラの外周を摺接さ
せることにより、ベーンとローラの摩耗を防止し圧縮機
の耐久性を向上させるものである。
【0016】また、本発明は上記した構成によって、セ
ラミックコ−ティング層をベーンの先端部にのみ施すこ
とで、ベーンの側面を硬度がHV1000以下である金
属素地あるいは窒化処理層としベーンの側面と摺動する
シリンダの溝内面の摩耗の増大を抑制しながら上記目的
を達成するものである。
【0017】
【実施例】以下本発明の第一の実施例について図面を参
照しながら説明する。
【0018】図1に本発明の第一の実施例である圧縮機
の断面図を示す。1は圧縮機である。2はシャフト、6
はローラ、4はシリンダ、7はベーンである。モータ
(図示せず)により回転するシャフト2の偏心部に取り
付けられたローラ6がシリンダ4の内周及びベーン7の
先端と接しながら回転しシリンダ4内のガスを圧縮す
る。この時、ベーン7はシリンダ4の溝内を往復運動す
る。
【0019】ここで、図2に本実施例のベーンの断面図
を示す。ベーン7は硬度HV800〜850の高速度工
具鋼(JIS:SKH51)を母材7aとして精密仕上
げ加工した後、塩浴窒化処理法により最表面に鉄とクロ
ムと窒素の化合物層7cを約2μmとその下に窒素の拡
散層7bを約30μm形成し、さらに先端部表面にCV
D法により窒化チタン7dを約2μm化学蒸着させたも
のである。
【0020】また、ローラ6は硬度HV800〜850
の高速度工具鋼(JIS:SKH51)を母材として精
密仕上げ加工してなるものである。
【0021】また、シリンダ4は低硬度であり加工性に
優れた硬度HV160〜250の鋳鉄により形成されて
いる。
【0022】上記構成での効果を短時間で検証するため
以下の様にベーンとローラの摩耗試験を実施した。
【0023】回転するローラの外周にベーンの先端を押
し付ける方式の摩擦試験機を使用し摩耗量および摺動面
の状態で評価した。摺動条件は実際の圧縮機のベーンと
ローラの摺動条件に近い値として速度2m/s、荷重1
00Nを設定し、潤滑油としてポリアルキレングリコー
ル、冷媒ガスとしてR134aを使用した。ここで、潤
滑油は試験開始前にベーンとローラの摺動部に約1cc
滴下するものとし、冷媒ガスは摩擦試験機の試験片設置
部を半密閉とし大気圧で連続供給するものとした。
【0024】上記した本実施例の高速度工具鋼を母材と
し窒化チタン層とその下の窒化処理層からなる複合硬化
皮膜により強化されたベーンと本実施例の高速度工具鋼
製のローラを供試した結果では、ベーン先端の窒化チタ
ン層およびローラ外周ともに全く摩耗や摺動面の損傷な
く良好であった。
【0025】また、比較例1として本実施例の高速度工
具鋼を母材とし窒化チタン層とその下の窒化処理層から
なる複合硬化皮膜により強化されたベーンと従来使用し
ていた硬度HV500〜550の鋳鉄製ローラを供試し
た結果では、ベーン先端の窒化チタン層は全く摩耗や摺
動面の損傷なく良好であったが、ローラ外周には著しい
傷が発生し正常摩耗の状態が維持できなかった。
【0026】また、比較例2として高速度工具鋼を母材
とし本実施例と同様の窒化処理により化合物層約2μm
と拡散層約30μmからなる窒化処理層を形成したベー
ンと本実施例の高速度工具鋼製のローラを供試した結果
では、凝着摩耗等の異常摩耗は発生しなかったがベーン
先端の窒化処理層の摩耗進行が著しく長期耐久性の点で
問題がある。
【0027】また、比較例3として高速度工具鋼を母材
とし本実施例と同様の化学蒸着により窒化チタン層約2
μmを形成したベーンと本実施例の高速度工具鋼製のロ
ーラを供試した結果では、ベーン先端の窒化チタン層に
摩耗が認められるとともに一部に剥離が発生した。
【0028】また、比較例4として高速度工具鋼の母材
のみで形成したベーンと本実施例の高速度工具鋼製のロ
ーラを供試した結果では、凝着摩耗の傾向が認められる
とともにベーン先端の摩耗進行が著しい。
【0029】また、比較例2〜4において本実施例の高
速度工具鋼製のローラに替えて従来使用していた硬度H
V500〜550の鋳鉄製ローラを供試した結果では、
いずれも著しい凝着摩耗が発生した。
【0030】以上のベーンとローラの摩擦試験の結果よ
りベーン先端の窒化処理や窒化チタン皮膜および高速度
工具鋼製のローラが凝着摩耗の低減に効果が認められた
が摩耗を完全に抑えるためには、本実施例の高速度工具
鋼を母材とし窒化チタン層とその下の窒化処理層からな
る複合硬化皮膜により強化されたベーンと本実施例の高
速度工具鋼製のローラの組み合わせが最も有効であるこ
とがわかった。
【0031】これは、ベーン先端の窒化チタン層の下に
母材との密着性優れかつ硬度の高い化合物層と拡散層か
らなる窒化処理層を形成したことにより窒化チタン本来
の特性が発揮できたことと、窒化チタンの攻撃性に耐え
るようにローラの表面硬度をHV800〜850と高め
たことによる相乗効果と考える。従って、ベーンの側面
と摺接するシリンダの溝の摩耗を抑制するためには、ベ
ーン先端にのみ窒化チタン皮膜を形成させる必要がある
と考える。
【0032】以上のように本実施例によれば、窒化チタ
ン層とその下の窒化処理層からなる複合硬化皮膜により
強化されたベーンと高速度工具鋼製のローラを組み合わ
せて圧縮機に適用することにより、ベーンとローラの凝
着摩耗を防止し圧縮機の耐久性を向上させることができ
る。
【0033】なお、本実施例では硬度HV800〜85
0の高速度工具鋼でローラを形成したが、同様の効果を
得るためにはバナジウムとクロムとモリブデンとタング
ステンを総量で10〜30重量%添加した硬度HV80
0〜2000の合金鋼でローラを形成することが望まし
い。添加量がすくない場合にはローラ外周の表面硬度が
低下し摩耗が進行する可能性があり、添加量が多い場合
にはローラの加工性が低下し所定の寸法精度が得られな
い。
【0034】また、本実施例ではCVD法によりベーン
の先端に窒化チタン層を形成させたが、窒化チタン層に
替えて同様の摩耗特性や密着性を示す炭化チタン層を用
いても同等の効果が得られる。
【0035】以下本発明の第二の実施例について図面を
参照しながら説明する。なお、第一の実施例と同じもの
は同一番号を付して説明を省略する。
【0036】図3に本発明の第二の実施例である圧縮機
の断面図を示す。また、図2に本実施例のベーンの断面
図を示す。ベーン7は第一の実施例と同じく硬度HV8
00〜850の高速度工具鋼(JIS:SKH51)を
母材7aとして精密仕上げ加工した後、塩浴窒化処理法
により最表面に鉄とクロムと窒素の化合物層7cを約2
μmとその下に窒素の拡散層7bを約30μm形成し、
さらに先端部表面にCVD法により窒化チタン7dを約
2μm化学蒸着させたものである。
【0037】また、ローラ8はクロムモリブデン鋼(J
IS:SCM435)を母材として精密仕上げ加工した
後、その表面全体に無電界メッキ法により炭化ケイ素微
粒子を3〜5重量%分散させたニッケルリン複合メッキ
層を約10μm形成させ約400℃で1時間加熱処理し
て表面硬度をHV1000〜1100に調整したもので
ある。
【0038】この構成により第一の実施例と同様にし
て、ベーン先端の窒化チタン層の下に母材との密着性優
れかつ硬度の高い化合物層と拡散層からなる窒化処理層
を形成したことにより窒化チタン本来の特性が発揮で
き、かつローラの表面硬度をHV1000〜1100と
高めることにより窒化チタンの攻撃性に耐え良好な摩耗
特性が得られる。従って、ベーンとローラの凝着摩耗を
防止し圧縮機の耐久性を向上させることができる。
【0039】また、複合メッキ層を形成したローラの母
材は耐摩耗性が必要ないため、安価な炭素鋼でよく加工
も容易にできる利点がある。
【0040】以上のように本実施例によれば、窒化チタ
ン層とその下の窒化処理層からなる複合硬化皮膜により
強化されたベーンと複合メッキ層を形成したローラを組
み合わせて圧縮機に適用することにより、比較的安価に
ベーンとローラの凝着摩耗を防止し圧縮機の耐久性を向
上させることができる。
【0041】なお、本実施例ではローラの表面に炭化ケ
イ素微粒子を3〜5重量%分散させたニッケルリン複合
メッキ層を形成させたが、炭化ケイ素微粒子を1〜10
重量%分散させても同様の効果が得られる。炭化ケイ素
微粒子の含有量が1重量%より少ない場合は耐摩耗性が
低下する。また、10重量%以上の炭化ケイ素微粒子を
分散させると皮膜の均一性や面粗度が悪化する。
【0042】また、本実施例ではCVD法によりベーン
の先端に窒化チタン層を形成させたが、窒化チタン層に
替えて同様の摩耗特性や密着性を示す炭化チタン層を用
いても同等の効果が得られる。
【0043】以下本発明の第三の実施例について図面を
参照しながら説明する。なお、第一の実施例と同じもの
は同一番号を付して説明を省略する。
【0044】図4に本発明の第三の実施例である圧縮機
の断面図を示す。また、図2に本実施例のベーンの断面
図を示す。ベーン7は第一の実施例と同じく硬度HV8
00〜850の高速度工具鋼(JIS:SKH51)を
母材7aとして精密仕上げ加工した後、塩浴窒化処理法
により最表面に鉄とクロムと窒素の化合物層7cを約2
μmとその下に窒素の拡散層7bを約30μm形成し、
さらに先端部表面にCVD法により窒化チタン7dを約
2μm化学蒸着させたものである。
【0045】また、ローラ9はクロムモリブデン鋼(J
IS:SCM435)を母材として精密仕上げ加工した
後、800〜900℃にて粉末法によるボロナイジング
処理を行いホウ化鉄層その表面全体に約50μm形成さ
せ、さらに寸法精度を得るため表面を15μm研磨した
ものである。なお、ローラのホウ化鉄層の硬度はHV1
500〜1700である。
【0046】この構成により第一の実施例と同様にし
て、ベーン先端の窒化チタン層の下に母材との密着性優
れかつ硬度の高い化合物層と拡散層からなる窒化処理層
を形成したことにより窒化チタン本来の特性が発揮で
き、かつローラの表面硬度をHV1500〜1700と
高めることにより窒化チタンの攻撃性に耐え良好な摩耗
特性が得られる。従って、ベーンとローラの凝着摩耗を
防止し圧縮機の耐久性を向上させることができる。
【0047】また、ホウ化鉄層はHV1500〜170
0と高硬度であるだけでなく自己潤滑性を有し乾燥摩擦
条件でも焼き付かないことから、特に潤滑性の劣るR1
34a等の冷媒下において効果がある。
【0048】以上のように本実施例によれば、窒化チタ
ン層とその下の窒化処理層からなる複合硬化皮膜により
強化されたベーンとホウ化鉄層を形成したローラを組み
合わせて圧縮機に適用することにより、特に潤滑性の劣
るR134a等の冷媒を用いる条件においてベーンとロ
ーラの凝着摩耗を防止し圧縮機の耐久性を向上させるこ
とができる。
【0049】なお、本実施例ではローラの表面に粉体法
により800〜900℃でホウ化鉄層を形成させたが、
700℃以下の低温で処理できる溶融塩法を用いても良
い。
【0050】また、本実施例ではCVD法によりベーン
の先端に窒化チタン層を形成させたが、窒化チタン層に
替えて同様の摩耗特性や密着性を示す炭化チタン層を用
いても同等の効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】以上のように本実施例によれば、セラミ
ックコ−ティング層とその下の窒化処理層からなる複合
硬化皮膜により強化されたベーン先端部と、高合金鋼で
形成されたローラあるいはニッケルリン複合メッキ層あ
るいはホウ化鉄層で強化されたローラの外周を摺接させ
ることにより、ベーンとローラの摩耗を防止し圧縮機の
耐久性向上に有効である。
【0052】なお、本実施例では高合金鋼で形成された
ローラの硬度をHV800〜850ニッケルリン複合メ
ッキ層で強化されたローラの硬度をHV1000〜11
00ホウ化鉄層で強化されたローラの硬度をHV150
0〜1700としたが、ベーン先端のセラミックコ−テ
ィング層の硬度を越えない範囲HV800〜2000で
あればセラミックコ−ティング層に損傷を与えることな
く同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例における圧縮機の断面図
【図2】本発明の第一の実施例におけるベーンの断面図
【図3】本発明の第二の実施例における圧縮機の断面図
【図4】本発明の第三の実施例における圧縮機の断面図
【図5】従来例における圧縮機の断面図
【図6】従来例におけるベーンの断面図
【符号の説明】
6 ローラ 7 ベーン 7c 化合物層 7d セラミックコ−ティング層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機の構成要素としてシャフトと、前
    記シャフトの偏心部に取り付けられたローラと、前記ロ
    ーラピストンを収納するシリンダと、前記シリンダの溝
    内に収納されかつその先端部が前記ローラの外周と摺接
    するベーンとを備えてなり、前記ローラの表面硬度がH
    V800〜2000であり、かつ前記ベーンがクロムを
    含有する合金鋼あるいは鉄系焼結材からなりすくなくと
    もその先端部に窒化処理を施し鉄とクロムと窒素の化合
    物層を形成した後、その先端部表面にのみ窒化チタンあ
    るいは炭化チタンのセラミックコ−ティングを施してな
    る圧縮機。
  2. 【請求項2】 ローラがバナジウムとクロムとモリブデ
    ンとタングステンを総量で10〜30重量%含む合金鋼
    により形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    圧縮機。
  3. 【請求項3】 ローラが炭素鋼からなりその表面に炭化
    ケイ素微粒子を1〜10重量%含有するニッケルリン複
    合メッキ層が形成されていることを特徴とする請求項1
    記載の圧縮機。
  4. 【請求項4】 ローラが炭素鋼からなりその表面にホウ
    化鉄層が形成されていることを特徴とする請求項1記載
    の圧縮機。
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