JP2000136232A - ポリエチレンテレフタレ―トおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレ―トおよびその製造方法

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JP2000136232A
JP2000136232A JP11247308A JP24730899A JP2000136232A JP 2000136232 A JP2000136232 A JP 2000136232A JP 11247308 A JP11247308 A JP 11247308A JP 24730899 A JP24730899 A JP 24730899A JP 2000136232 A JP2000136232 A JP 2000136232A
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JP11247308A
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Mikio Hashimoto
本 幹 夫 橋
Hiroyuki Hori
浩 之 堀
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】オルト−クロロフェノール液中に溶解して
25℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl
/gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量
%以下であって、かつ吸水率が2000ppm以上であ
ることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。オル
ト−クロロフェノール液中に溶解して25℃の液温で測
定した極限粘度が0.7〜1.5dl/gの範囲にあ
り、環状三量体の含有量が0.40重量%以下であっ
て、吸水率が50〜1000ppmの範囲にあるポリエ
チレンテレフタレートを相対湿度50〜80%、温度0
〜50℃の空気雰囲気中に50日以上放置することを特
徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。 【効果】このようなポリエチレンテレフタレートを用い
ると成形時に金型汚れが発生しにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ボトル形成用などに用い
られるポリエチレンテレフタレートに関し、さらに詳し
くは、成形時に金型汚れが発生しにくいポリエチレンテ
レフタレートに関する。
【0002】
【発明の技術的背景ならびにその問題点】従来より、調
味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材として
は、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々
の樹脂が採用されている。
【0003】これらのうちでポリエチレンテレフタレー
トは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性
に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料
などの飲料充填用容器の素材として好適である。
【0004】このようなポリエチレンテレフタレート
は、射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用
プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の
金型に挿入し延伸ブロー成形した後熱処理(ヒートセッ
ト)して中空成形容器に成形されるのが一般的である。
【0005】ところが、従来のポリエチレンテレフタレ
ートには、環状三量体などのオリゴマーが含まれてお
り、このオリゴマーが金型内面に付着することによる金
型汚れが発生しやすかった。
【0006】このような金型汚れは、得られるボトルの
表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化して
しまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。この
ため従来公知のポリエチレンテレフタレートを用いてボ
トルを成形する際に、金型汚れを頻繁に除去しなければ
ならず、ボトルの生産性が著しく低下してしまうという
大きな問題点があった。
【0007】本発明者らは、上記のような現状に鑑み、
成形時に金型汚れを発生させにくいポリエチレンテレフ
タレートを得るべく鋭意研究したところ、成形時に金型
汚れが発生する主な原因は、ポリエチレンテレフタレー
トの成形時に環状三量体が多量に生成してポリエチレン
テレフタレート中に含まれる環状三量体などのオリゴマ
ー量が増加してしまうことにあることを見出した。
【0008】本発明者らは、上記のような知見に基いて
さらに検討したところ、温湿度が特定の範囲にある空気
雰囲気中に特定期間以上放置したポリエチレンテレフタ
レートを原料としてブロー成形を行うと、成形時に金型
汚れが生じにくいことを見出して、本発明を完成するに
至った。
【0009】なお特開昭59-25815号公報には、ポリエチ
レンテレフタレートを固相重縮合するに先立って、ポリ
エチレンテレフタレートを結晶化させるために、ポリエ
チレンテレフタレート粉粒体を110℃以上の加熱水蒸
気で処理する方法が開示されている。また特開昭59-219
328 号公報には、固有粘度が少なくとも0.4dl/g
以上であり、密度が1.35g/cm3以下である、エチ
レンテレフタレート単位を主たる繰返し単位とするポリ
エステルを、水分率が少なくとも0.2重量%以上にな
るように調湿する工程、140℃以上の温度で予備結晶
化する工程、および180℃以上240℃以下の温度で
不活性ガス雰囲気下または減圧下で固相重合する工程を
含むことを特徴とする高重合度ポリエステルの製造方法
が開示されている。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、飲料充填用容
器などの成形品の原料として金型を用いて成形した場
合、成形中に金型内に生成する環状三量体の生成量が少
なく、金型汚れを発生させにくいポリエチレンテレフタ
レートを提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】本発明に係るポリエチレンテレフタレー
トは、オルト−クロロフェノール液中に溶解して25℃
の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl/gの
範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量%以下
であって、かつ吸水率が2000ppm以上であること
を特徴としている。
【0012】ここで本発明における吸水率とは、ポリエ
チレンテレフタレートの表面に付着している水分を除去
した水分量に対応する値であり、ポリエチレンテレフタ
レート内部に浸透して含まれている水分がポリエチレン
テレフタレートに占める割合を意味する。
【0013】また、このようなポリエチレンテレフタレ
ートは、オルト−クロロフェノール液中に溶解して25
℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl/g
の範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量%以
下であって、吸水率が50〜1000ppmの範囲にあ
るポリエチレンテレフタレートを相対湿度50〜80
%、温度0〜50℃の空気雰囲気中に50日以上放置す
るか、あるいは相対湿度80〜95%、温度0〜50℃
の空気雰囲気中に30日以上放置することによって製造
することができる。
【0014】さらに、上記本発明に係るポリエチレンテ
レフタレートは、チップに存在する水分の水分率、即ち
ポリエチレンテレフタレートの表面および内部の双方に
存在する水分の水分率が2000ppm以上の状態で、
相対湿度20%以上、温度0℃以上の空気雰囲気中に2
0日以上放置することによっても製造することができ
る。
【0015】すなわち、以上のように長期間ポリエチレ
ンテレフタレートを放置することにより、ポリエチレン
テレフタレート表面の水分が徐々にポリエチレンテレフ
タレート内部に浸透し、前記吸水率のポリエチレンテレ
フタレートが得られることとなる。
【0016】
【発明の具体的説明】以下本発明に係るポリエチレンテ
レフタレートおよびその製造方法について具体的に説明
する。
【0017】本発明に係るポリエチレンテレフタレート
は、後述するように特定の極限粘度を有するとともに、
環状三量体の含有量が0.40重量%以下であり、吸水
率が2000ppm以上のものである。
【0018】そして、このようなポリエチレンテレフタ
レートは前記の通り特定雰囲気中に特定時間放置するこ
とによって製造される。このようにして得られる200
0ppm以上の吸水率を有するポリエチレンテレフタレ
ートは、これを真空乾燥、または空気流通下で乾燥し、
次いでチップ中の水分量を50ppm以下にして300
℃で8分間加熱すると、加熱時に生成する環状三量体の
量は0.1ppm以下となる。
【0019】従って、このようなポリエチレンテレフタ
レートは、これを射出成形機械などの成形機に供給して
中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォーム
を所定形状の金型に挿入して延伸ブロー成形した後にヒ
ートセットして中空成形容器を成形する際に、プリフォ
ーム成形用金型および延伸ブロー成形用金型のどちらに
も環状三量体がほとんど付着することはなく、このよう
な環状三量体の付着による金型汚れはほとんど発生しな
い。
【0020】このように本発明に係るポリエチレンテレ
フタレートをボトルなどの成形品の原料とすると金型汚
れの原因となる環状三量体量が減少する理由は次のよう
に推定される。
【0021】すなわち、ポリエチレンテレフタレート内
部に含まれている水分により、この水分と同様にポリエ
チレンテレフタレート中に含まれている触媒(ポリエチ
レンテレフタレートの製造時に使用した重縮合反応用触
媒)が失活してこの触媒中に占める活性な触媒量が減少
するが、ポリエチレンテレフタレートの吸水率が200
0ppm以上であると前記触媒中に占める活性な触媒が
ほとんどなくなり、このためポリエチレンテレフタレー
トを金型に投入して成形時に加熱してもポリエチレンテ
レフタレートに残存するモノマーの重縮合反応はほとん
ど進行せず、このため加熱成形時に環状三量体がほとん
ど生成しなくなるものと考えられる。
【0022】本発明においては、ポリエチレンテレフタ
レート成形体中に含まれる環状三量体の量は、以下のよ
うにして測定している。すなわち所定量のポリエチレン
テレフタレートをオルト−クロロフェノールに溶解した
後、テトラヒドロフランで再析出して濾過して線状ポリ
エチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾
液を液クロマトグラフィー(島津製作所製 LC7A)
に供給してポリエチレンテレフタレート中に含まれる環
状三量体量を求め、この値を測定に用いたポリエチレン
テレフタレート量で割って、ポリエチレンテレフタレー
ト中に含まれる環状三量体量(重量%)とする。
【0023】上記のような本発明に係るポリエチレンテ
レフタレートは、たとえば以下のようにして製造するこ
とができる。本発明に係るポリエチレンテレフタレート
は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、
エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体と
を原料として製造されるが、このポリエチレンテレフタ
レートは20モル%以下の他のジカルボン酸および/ま
たは他のグリコールが共重合されていてもよい。
【0024】テレフタル酸以外の共重縮合に用いられる
ジカルボン酸としては、具体的にはフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デ
カンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙
げられる。
【0025】エチレングリコール以外の共重縮合に用い
られるグリコールとしては、具体的にはトリメチレング
リコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリ
コール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコ
ール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス
(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの
芳香族ジオール類などが挙げられる。
【0026】上記したようなテレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはその
エステル形成性誘導体とを含む原料は、エステル化触媒
の存在下でエステル化された後、重合用触媒の存在下で
液相重合された後、固相重合される。
【0027】本発明に係るポリエチレンテレフタレート
の製造方法としては回分方式、連続方式のいずれを採用
してもよいが、以下に好ましい製造方法の一例について
説明すると、具体的にはまず、テレフタル酸またはその
エステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそ
のエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
【0028】このようなスラリーには、テレフタル酸ま
たはそのエステル形成性誘導体1モルに対して1.02
〜1.4モル好ましくは1.03〜1.3モルのエチレ
ングリコールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれ
る。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供
給される。
【0029】エステル化反応は、少なくとも2個のエス
テル化反応器を直列に連結した装置を用いてエチレング
リコールが還流する条件下で、反応によって生成した水
を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化
反応を行なう際の反応条件は、第1段目のエステル化反
応の温度が通常240〜270℃好ましくは245〜2
65℃であり、圧力が通常0.2〜3kg/cm2G好まし
くは0.5〜2kg/cm2Gであり、また最終段目のエス
テル化反応の温度が通常250〜280℃好ましくは2
55〜275℃であり、圧力が通常0〜1.5kg/cm2
G好ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。
【0030】したがって、エステル化反応を2段階で実
施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化
反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実
施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエス
テル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最
終段目の反応条件の間の条件である。
【0031】たとえば、エステル化反応が3段階で実施
される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度
は通常245〜275℃好ましくは250〜270℃で
あり、圧力は通常0〜2kg/cm2G好ましくは0.2〜
1.5kg/cm2Gである。これらのエステル化反応の反
応率は、それぞれの段階においては、とくに制限はない
が、各段階におけるエステル化反応率の上昇と度合が滑
らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエ
ステル化反応生成物においては通常は90%以上、好ま
しくは93%以上に達することが望ましい。
【0032】これらのエステル化工程により低次縮合物
が得られ、この低次縮合物の数平均分子量は、通常、5
00〜5000である。このようなエステル化反応はテ
レフタル酸およびエチレングリコール以外の添加物を添
加せずに実施することも可能であり、また後述する重縮
合触媒の共存下に実施することも可能であるが、さらに
トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメ
チルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルア
ンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸
化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級
アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量
添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレートの主
鎖中のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合
を比較的低水準に保持できるので好ましい。
【0033】次いで得られた低次縮合物は、重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエチレンテレフタレ
ートの融点以上の温度に加熱し、この際生成するグリコ
ールを系外に留去させて縮重合する液相縮重合工程に供
給される。
【0034】このような液相での重縮合反応は、1段階
で行なっても、複数段階に分けて行なってもよい。複数
段階で行なう場合、重縮合反応条件は、第1段階目の重
縮合の反応温度が、通常、250〜290℃好ましくは
260〜280℃であり、圧力が通常、500〜20To
rr好ましくは200〜30Torrであり、また最終段階の
重縮合反応の温度が通常265〜300℃好ましくは2
75〜295℃であり、圧力が通常10〜0.1Torr好
ましくは5〜0.5Torrである。
【0035】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2
段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件
は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の
条件である。
【0036】たとえば、重縮合反応が3段階で実施され
る場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は通常2
60〜295℃好ましくは270〜285℃であり、圧
力は通常、50〜2Torr 好ましくは 40〜5Torr
の範囲である。これらの重縮合反応工程の各々において
到達される極限粘度[η]はとくに制限はないが、各段
階における極限粘度の上昇の度合が滑らかに分配される
ことが好ましく、さらに最終段目の重縮合反応器から得
られるポリエチレンテレフタレートの極限粘度[η]は
通常0.50〜0.80dl/g好ましくは 0.55
〜0.75dl/gの範囲であることが望ましい。
【0037】本明細書において、極限粘度は、ポリエチ
レンテレフタレート1.2gをオルト−クロロフェノー
ル15cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定さ
れた溶液粘度から算出される。
【0038】重縮合反応は、触媒および安定剤の存在下
に実施されることが好ましい。触媒として二酸化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム
テトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化
アンチモンなどのアンチモン触媒およびチタニウムテト
ラブトキサイドなどのチタン触媒を用いることができ
る。これらの触媒の中では、二酸化ゲルマニウム化合物
を用いると生成するポリエチレンテレフタレートの色相
および透明性が優れるので好ましい。また、安定剤とし
ては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェートなどの燐酸エステル類、トリフェニルホスファイ
ト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニ
ルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアッ
シドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェー
ト、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
などの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸な
どのリン化合物が用いられる。これらの触媒あるいは安
定剤の使用割合は、テレフタル酸とエチレングリコール
との混合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金
属の重量として、通常、0.0005〜0.2重量%好
ましくは0.001〜0.05重量%の範囲であり、ま
た安定剤の場合には、安定剤中のリン原子の重量として
通常、0.001〜0.1重量%好ましくは0.002
〜0.02重量%の範囲である。これらの触媒および安
定剤の供給方法は、エステル化反応工程の段階において
供給することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の
反応器に供給することもできる。
【0039】本発明で用いられるポリエチレンテレフタ
レートは、上述のようにテレフタル酸以外のジカルボン
酸やエチレングリコール以外のジオールが20モル%以
下の量で含まれていてもよいが、本発明で特に好ましく
用いられるポリエチレンテレフタレートは、一般式
[I]
【0040】
【化1】
【0041】で表わされるエチレンテレフタレート成分
単位(a)の含有率が、95.0〜99.0モル%の範囲
にあり、一般式[II]
【0042】
【化2】
【0043】で表わされるジオキシエチレンテレフタレ
ート成分単位(b)の含有率が、1.0〜5.0モル%の
範囲にあることが望ましい。このような液相重縮合工程
で得られるポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融
押出成形法によって粒状(チップ状)に成形される。
【0044】このような粒状ポリエチレンテレフタレー
トは、通常2.0〜5.0mm、好ましく2.2〜4.0
mmの平均粒径を有することが望ましい。最終重縮合反応
器から得られたポリエチレンテレフタレートの密度は、
通常、1.33〜1.35g/cm3である。
【0045】上記のようにして得られた粒状ポリエチレ
ンテレフタレートは固相重縮合工程に供給される。固相
重合工程に供給される粒状ポリエチレンテレフタレート
は、予め固相重縮合を行なう場合の温度より低い温度に
加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工程に供
給してもよい。
【0046】予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレ
フタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃好まし
くは130〜180℃の温度に1分〜4時間加熱して行
なうこともでき、あるいは粒状ポリエチレンテレフタレ
ートを水蒸気または水蒸気含有不活性雰囲気下で通常、
120〜200℃の温度に1分間以上加熱して行なうこ
ともできる。
【0047】上記のような粒状ポリエチレンテレフタレ
ートが供給される固相重縮合工程は少なくとも1段から
なり、重縮合温度が通常190〜230℃好ましくは1
95〜225℃であり、圧力が通常、1kg/cm2G〜1
0Torr 好ましくは常圧ないし100Torrの条件下
で、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガ
ス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これらの不
活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
【0048】このようして得られたポリエチレンテレフ
タレートの内、極限粘度が0.7〜1.5dl/g、好
ましくは0.72〜1.5dl/gのものが本発明にお
いて使用される。
【0049】また、ポリエチレンテレフタレートの密度
は、通常1.38g/cm3以上、好ましくは1.39g
/cm3以上であることが望ましい。また、本発明におい
ては、環状三量体の量が0.4重量%以下、好ましくは
0.35重量%以下のものが使用される。
【0050】また、本発明のポリエチレンテレフタレー
トは、吸水率が2000ppm以上のものである。この
ように吸水率の高いポリエチレンテレフタレートは、既
に説明したようにボトルなどの成形品の原料として金型
成形する際の成形過程での環状三量体の増加が著しく抑
制される。このことは、たとえばポリエチレンテレフタ
レートを290℃の温度に加熱溶融して段付角板を成形
した後の環状三量体の増加量を測定することにより確か
められる。このようにして吸水率が2000ppm以上
のポリエチレンテレフタレートは、具体的には、温度2
90℃に加熱溶融して段付角板を成形した後の環状三量
体の増加量y(重量%)を、y≦−0.20x+0.2
0の範囲に抑えることができる。
【0051】上記式中xは、段付角板成形前における環
状三量体の濃度(重量%)である。本明細書において、
粒状ポリエチレンテレフタレートから段付角板は以下の
ような方法で成形され、並びにこのように角板を成形し
た後の環状三量体増加量y(重量%)は、以下のように
して測定される。
【0052】すなわち予め環状三量体の含有量が測定さ
れた(測定値X%)粒状ポリエチレンテレフタレート2
kgを温度140℃、圧力10torrの条件で16時間以上
棚段式の乾燥器を用いて乾燥して、粒状ポリエチレンテ
レフタレートの水分を50ppm以下にする。
【0053】次に、乾燥された粒状ポリエチレンテレフ
タレートを名機製作所(株)製M−70A射出成形機に
よりシリンダー温度290℃、金型冷却水温度15℃の
条件下で射出成形して、段付角板状の成形物を得る。
【0054】段付角板状成形物の射出成形は、計量12
秒、射出60秒となるようにして、乾燥された粒状ポリ
エチレンテレフタレートをホッパより射出成形機に供給
して行なう。また成形機内の溶融樹脂の滞留時間は約7
2秒とする。なお段付角板状成形物1個当りの重量は7
5gであり、環状三量体測定用試料は、射出成形開始後
11個〜15個目のいずれか1個を用いて行なう。
【0055】段付角板状成形物1は、第1図に示すよう
な形状を有しており、A部の厚みは約6.5mmであり、
B部の厚みは約5mmであり、C部の厚みは約4mmであ
る。このC部を用いて成形物の環状三量体増加量を調べ
る。
【0056】次に成形された4mm厚さの板状成形物をチ
ップ状に切断し、環状三量体測定用試料として環状三量
体量が測定される。また本発明に係るポリエチレンテレ
フタレートは、成形時にアセトアルデヒドの増加量が少
なく、したがってアセトアルデヒド含有量の少ないボト
ルなどの成形品を得ることができる。なおアセトアルデ
ヒド含有量の多いポリエチレンテレフタレートを成形品
とした場合には、悪臭あるいは異臭の原因となったり、
内容物の風味、香りが変化したりしてしまう。またアセ
トアルデヒド含有量の多いポリエチレンテレフタレート
から写真用フィルムを製造すると、かぶりの原因ともな
りやすい。
【0057】
【発明の効果】本発明に係るポリエチレンテレフタレー
トは、オルト−クロロフェノール液中に溶解して25℃
の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl/gの
範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量%以下
であって、かつ吸水率が2000ppm以上であるた
め、成形時に環状三量体の生成量が少なく、しかも成形
時におけるポリエチレンテレフタレート中に含まれる環
状三量体の総量が少ないため、成形時に金型汚れが発生
しにくい。
【0058】したがって、本発明に係るポリエチレンテ
レフタレートは、成形品を製造する際に頻繁に金型洗浄
を行なう必要がないため、ボトルなどの成形品の生産性
を向上させることができ、しかも得られるボトルの白化
を防止することができる。
【0059】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0060】
【実施例1】極限粘度が0.80dl/gであり、密度
が1.40g/cm3であり、環状三量体の含有量が0.
33重量%である粒状ポリエチレンテレフタレートを、
相対湿度60%で温度40℃にセットした恒温恒湿槽に
40日間放置した。
【0061】この40日間放置したポリエチレンテレフ
タレート粒子表面の水分を濾紙によって濾紙に水分が付
かなくなるまで除去した。この後にポリエチレンテレフ
タレート内部に含まれている水分の割合、即ち吸水率は
4500ppmであった。
【0062】このポリエチレンテレフタレートを射出成
形機で200℃で成形し、得られた射出成形板中の環状
三量体の量を既に説明した方法により測定したところ、
この環状三量体の量は0.34重量%であった。
【0063】
【実施例2〜5】実施例1と同様の粒状ポリエチレンテ
レフタレートをそれぞれ表1に示す相対湿度および温度
にセットした恒温恒湿槽に表1に示す時間放置して実施
例2〜5のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0064】これらのポリエチレンテレフタレート内部
の吸水率および実施例1と同様にして測定した環状三量
体の量を表1に併記する。
【0065】
【表1】
【0066】以上の実施例1〜5のポリエチレンテレフ
タレートを原料として繰り返し射出成形機でプリフォー
ムを成形し、次いでこのプリフォームを延伸ブロー成形
した後にヒートセットしてボトルを成形したところ、金
型汚れは見られず、また、成形されたボトルは白化の少
ない優れた品質のものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は段付角板状成形物の斜視図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オルト−クロロフェノール液中に溶解して
    25℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl
    /gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量
    %以下であって、かつ吸水率が2000ppm以上であ
    ることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。
  2. 【請求項2】オルト−クロロフェノール液中に溶解して
    25℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl
    /gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量
    %以下であって、吸水率が50〜1000ppmの範囲
    にあるポリエチレンテレフタレートを相対湿度50〜8
    0%、温度0〜50℃の空気雰囲気中に50日以上放置
    することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製
    造方法。
  3. 【請求項3】オルト−クロロフェノール液中に溶解して
    25℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl
    /gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量
    %以下であって、吸水率が50〜1000ppmの範囲
    にあるポリエチレンテレフタレートを相対湿度80〜9
    5%、温度0〜50℃の空気雰囲気中に30日以上放置
    することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製
    造方法。
  4. 【請求項4】オルト−クロロフェノール液中に溶解して
    25℃の液温で測定した極限粘度が0.7〜1.5dl
    /gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.40重量
    %以下であって、水分率が2000ppm以上のポリエ
    チレンテレフタレートを、相対湿度20%以上、温度0
    ℃以上の空気雰囲気中に20日以上放置することを特徴
    とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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