JP2000131461A - 回転錘の製造方法、回転錘および時計 - Google Patents

回転錘の製造方法、回転錘および時計

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JP2000131461A
JP2000131461A JP30151098A JP30151098A JP2000131461A JP 2000131461 A JP2000131461 A JP 2000131461A JP 30151098 A JP30151098 A JP 30151098A JP 30151098 A JP30151098 A JP 30151098A JP 2000131461 A JP2000131461 A JP 2000131461A
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rotary
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Kenji Iida
謙司 飯田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転錘体部と回転重錘部を一体に形成した場
合でも、品質の高い回転錘を得ることのできる回転錘の
製造方法、この方法により製造した回転錘、およびこの
回転錘を用いた時計を実現すること。 【解決手段】 回転錘25を製造するにあたっては、重
金属粉体を主成分とするコンパウンドを成形・焼結する
ことにより、回転錘体部27および回転重錘部28が一
体の回転錘ブランク250を形成した後、二次加工工程
において、回転錘ブランク250の回転中心穴29や表
面側251に機械加工を施して所定の寸法形状に仕上げ
る。また、射出成形用のゲート80の位置を、回転重錘
部28の裏面側に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる自動巻の
時計などに用いられる回転錘の製造方法、この方法で製
造した回転錘、およびこの回転錘を発電用に用いた時計
に関するものである。さらに詳しくは、回転錘の製造技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の時計のうち、腕の動きによって発
電する装置を内蔵する電子時計では、図15に示すよう
に、小型発電装置20および二次電源30によって電源
部10が構成され、この電源部10を電源として、ステ
ップモータ(図示せず。)を駆動するようになってい
る。小型発電装置20には、腕の振りなどといった外力
によって回転する回転錘25と、この回転錘25から伝
達された回転駆動力によって回転する発電用ロータ21
と、発電用ロータ21を挟む発電用ステータ22と、発
電用ステータ22および発電用ロータ21と磁気回路を
構成する発電用コイル23とが構成されている。発電用
ロータ21に対しては、回転錘25の回転動作を増速し
て伝達する発電用輪列60が構成されている。
【0003】このような小型発電装置20に用いられる
回転錘25は、略半円形状を有しており、ボールベアリ
ング90などの軸受けとの連結に用いる回転中心穴29
を備えるハブとしての薄肉の回転錘体部27と、この回
転錘体部27の外周部分に連接するオモリとしての肉厚
の回転重錘部28とから構成されている。ここで、小型
発電装置20の発電効率を高めるためには、回転重錘部
28を重くする必要がある。そこで、実開平2−144
789号公報には、タングステンなどの重金属焼結体か
ら回転錘体部27と回転重錘部28とが一体の回転錘2
5を製造する構成が開示されている。この公報に開示の
技術では、タングステン粉体などの重金属粉体を主成分
とするコンパウンドを成形・焼結することにより、回転
錘体部27および回転重錘部28が一体の回転錘25を
製造する。このため、射出成形に用いる金型を設計する
際には、コンパウンドから成形した成形体が焼結によっ
て収縮するのを見込んで、成形体を回転錘25より一回
り大きめに成形するようにしている。
【0004】ここで、回転錘25全体を重金属によって
形成すると、回転錘体部27が薄肉であっても、ばね性
がなくなるため、回転錘25の回転重錘部28に衝撃が
加わったときに回転錘25の回転中心側が破壊するおそ
れがある。また、回転錘25の回転中心側にばね性がな
い場合には、回転錘25の回転重錘部28に加わった衝
撃がそのまま電子時計内部に伝わって、発電用輪列60
などが破損するおそれがある。そこで、実開平2−14
4789号公報に開示された回転錘25では、回転錘体
部27にスリット270を形成し、このスリット270
によって回転錘体部27に弾性を付与している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、重金属
で構成した回転錘25において、回転錘体部27をいく
ら薄肉の設計しても、製造時の精度が低くて実際に製造
した回転錘体部27が厚めに形成されてしまうと、いく
らスリット270を形成しても回転錘体部27にばね性
を付与できないという問題点がある。
【0006】また、近年の腕時計の薄型化に伴って、時
計内部のレイアウト上の制約から、回転錘25も小型・
薄型化されつつある。しかしながら、従来の製造方法の
ように、焼結時の収縮を見込んで金型を設計する方法で
は、製造した回転錘25の寸法精度が低い。このため、
回転錘25の回転中心穴27の寸法形状などにおいてば
らつきを避けることができないので、ボールベアリング
90を回転中心穴27に差し込んだときに、ボールベア
リング90がガタついたり、あるいは過大な負荷がかか
ってボールベアリング90の変形や回転錘25の割れな
どが発生するという問題点がある。
【0007】さらに、近年は、腕時計の裏蓋を開けたと
きにしか見えない部品であっても見栄えが悪いと、商品
価値が低いとみなされる傾向があるため、ケース内部に
収納される部品についても見栄えのよさが求められる。
また、近年は、透明な裏蓋を用いてその意匠性を高めた
腕時計などが出回っており、このような時計では、ケー
ス内部に収納された部品が丸見えである。ここで、腕時
計の裏蓋を開けたとき、あるいは透明な裏蓋を用いたと
きに最も目につくのは、回転錘25の表面側251であ
るが、従来の方法で製造した回転錘25では、回転錘2
5の表面側251には成形・焼結時に発生した表面の荒
れや結晶粒がそのまま残るため、回転錘25の見栄えが
悪い。このため、従来の回転錘25は、前記の見栄えま
で要求される腕時計などには用いることができないとい
う問題点がある。
【0008】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
回転錘体部と回転重錘部を一体に形成した場合でも、品
質の高い回転錘を得ることのできる回転錘の製造方法、
この方法により製造した回転錘、およびこの回転錘を用
いた時計を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、回転中心穴を備える薄肉の回転錘体部
と、該回転錘体部の外周側に連接する肉厚の回転重錘部
とを有する回転錘の製造方法であって、重金属粉体を主
成分とするコンパウンドを成形・焼結することにより、
前記回転錘体部および前記回転重錘部が一体の回転錘ブ
ランクを形成するブランク形成工程と、前記回転錘ブラ
ンクに機械加工を施して所定の寸法形状に仕上げる二次
加工工程とを有することを特徴とする。
【0010】このような二次加工工程では、たとえば、
前記回転中心穴の内周面を切削するなどの機械加工を行
う穴加工、および前記回転錘ブランクの表面側を切削す
るなどの機械加工を行う表面加工のうちの少なくとも一
方の加工を行う。
【0011】本発明では、重金属粉体を主成分とするコ
ンパウンドを成形・焼結することにより、回転錘体部お
よび回転重錘部が一体の回転錘ブランクを形成した後、
二次加工工程において、回転錘ブランクの回転中心穴お
よび表面に機械加工を施して所定の寸法形状に仕上げる
ので、回転錘の寸法形状に高い精度を得ることができ
る。従って、回転錘全体が重金属で形成されていても、
回転錘体部を高い精度で薄肉に形成することができるの
で、回転錘体部にばね性を確実に付与することができ
る。それ故、回転錘の回転重錘部に衝撃が加わったとき
でも、この衝撃は回転錘体部が有するばね性によって緩
和、吸収されるので、回転重錘部に加わった衝撃によっ
て、回転錘の回転中心側が破壊するおそれがない。ま
た、回転錘の回転重錘部に加わった衝撃は、回転錘体部
が有するばね性によって緩和、吸収されるので、回転重
錘部に加わった衝撃がそのまま電子時計内部に伝わって
発電用輪列などを破損するということもない。
【0012】さらに、回転中心穴に対する穴加工(二次
加工工程)を行うので、回転錘の回転中心穴の寸法形状
に高い精度を得ることができる。従って、ボールベアリ
ングなどの軸受けを差し込んだときに、ボールベアリン
グがガタついたり、あるいは過大な負荷がかかってボー
ルベアリングの変形や回転錘の割れが発生するという問
題もない。
【0013】さらにまた、回転錘ブランクに対して表面
加工(二次加工工程)を行うので、回転錘の表面の見栄
えがよい。従って、腕時計の裏蓋を開けたときに、ある
いは時計の裏蓋として透明なものを用いたときに、回転
錘の表面が目についてもその見栄えがよいので、商品価
値の高い時計を製造できる。
【0014】本発明において、前記二次加工工程では、
少なくとも前記回転中心穴の内周面を機械加工する穴加
工を行うとともに、該穴加工の際には、前記回転重錘部
の外周側を保持することが好ましい。このように構成す
ると、回転錘(回転錘ブランク)の円弧状の外周形状を
基準に回転中心穴に対する穴加工(二次加工工程)を行
えるので、回転中心穴と回転錘の円弧形状との間で中心
位置を高い精度で一致させることができる。
【0015】本発明において、前記ブランク形成工程で
は、前記回転中心穴が抜きテーパをもつように前記回転
錘ブランクを形成し、前記穴加工では、当該抜きテーパ
を有する前記回転中心穴をストレート穴に加工すること
が好ましい。
【0016】本発明において、前記二次加工工程では、
少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工する
表面加工を行うとともに、前記ブランク形成工程では、
たとえば、前記回転重錘部の外周側から前記回転中心穴
の方に向けて前記表面加工時の仕上げ代が大きくなるよ
うに前記回転錘ブランクを形成する。このように構成す
ると、金型内のうち、薄肉の回転錘体部を形成する部分
を広めの隙間として形成できるので、コンパウンドを充
填しやすいという利点がある。また、回転錘の外周側を
削り過ぎて回転錘のアンバランス量が小さくなるという
ことがない。
【0017】本発明において、前記二次加工工程では、
少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工する
表面加工を行うとともに、該表面加工により、前記回転
錘の厚さ寸法が略等しい部分では外周側より内周側の厚
さ寸法が小となるようなテーパ面に前記回転錘の表面を
仕上げることが好ましい。このように構成すると、回転
錘の厚さ寸法が略等しい部分においても外周側が厚い
分、重心を回転錘の外周側に配置できるので、回転錘の
アンバランス量を大きくできる。それ故、本発明を適用
した回転錘を用いた発電装置において発電効率を高める
ことができる。
【0018】本発明において、前記二次加工工程では、
少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工する
表面加工を行うとともに、該表面加工により、前記回転
錘の厚さ寸法が略等しい部分では外周側より内周側の厚
さ寸法が大となるようなテーパ面に前記回転錘の表面を
仕上げてもよい。このように構成すると、回転錘の厚さ
寸法が略等しい部分では外周側にいくほど肉薄になるの
で、回転錘の外周側が大きく上下に振れるのを防止でき
る。従って、回転錘の表面側に被さった裏蓋や回転錘の
裏面側に位置する時計ケースの中枠などに回転錘が激し
く接触することを防止することができるので、回転錘の
破損を防止できる。このようなテーパ面とするにあたっ
ては、前記回転重錘部の外周側から前記回転中心穴の方
に向けて前記表面加工時の仕上げ代が小さくなるように
前記回転錘ブランクを形成する方法、または前記回転重
錘部の外周側から前記回転中心穴の方に向けて一定の仕
上げ代で前記表面加工を行ってもテーパ面になるように
前記回転錘ブランクを形成する方法のいずれであっても
よい。
【0019】本発明において、前記二次加工工程では、
少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工する
表面加工を行う場合には、たとえば、前記ブランク形成
工程において、前記回転中心穴内に軸受けを装着したと
きに当該軸受けの上端面が当該回転中心穴の上端縁より
も凹んでいる寸法よりも前記回転錘ブランクにおける前
記回転中心穴周囲の仕上げ代を小さくなるように当該回
転錘ブランクを形成する。このように構成すると、回転
錘の回転中心穴に軸受けを装着した後、回転錘ブランク
の表面に機械加工を施すときに、軸受けが邪魔にならな
い。
【0020】本発明において、前記ブランク形成工程で
は、前記コンパウンドを用いた射出成形により前記回転
錘ブランクを形成することが好ましい。ここで用いる重
金属粉体は、たとえばタングステン粉体である。
【0021】本発明において、前記ブランク形成工程で
は、前記回転重錘部の裏面側に相当する位置に射出成形
用のゲートを配置することが好ましい。このように構成
すると、射出成形用の金型内おいて、肉厚の回転重錘部
を形成する部分から薄肉の回転錘体部を形成する部分に
向けてコンパウンドを充填することになるので、金型内
へのコンパウンドの充填性が高い。また、ゲート位置で
回転錘を分割した際に、その分割痕は、回転錘の裏面側
に残るだけで、表面側には残らないので、表面の見栄え
のよい回転錘を製造できる。それ故、腕時計の裏蓋を開
けたとき、あるいは透明な裏蓋を用いた際に丸見えとな
る回転錘の見栄えがよいので、商品価値の高い時計を製
造できる。また、分割痕を回転重錘部にそのまま残して
おけるのであれば、その分、回転重錘部を重いものとし
て形成できる。
【0022】本発明において、前記回転重錘部の裏面側
には、該回転重錘部の最外周部分を内周側よりも分厚く
する段差を形成する場合には、前記ブランク形成工程で
は、当該段差によって前記回転重錘部の裏面側で凹んで
いる部分に相当する位置に射出成形用のゲートを配置す
ることが好ましい。このように構成した場合も、射出成
形用の金型内おいて、肉厚の回転重錘部を形成する部分
から薄肉の回転錘体部を形成する部分に向けてコンパウ
ンドを充填することになるので、金型内へのコンパウン
ドの充填性が高い。また、ゲート位置で回転錘を分割し
た際に、その分割痕は、回転錘の裏面側に残るだけで、
表面側には残らないので、表面の見栄えのよい回転錘を
製造できる。さらに、分割痕を回転重錘部にそのまま残
しておけるのであれば、その分、回転重錘部を重いもの
として形成できるという利点がある。
【0023】本発明において、前記回転重錘部の裏面側
には、該回転重錘部の最外周部分を内周側よりも分厚く
する段差を形成する場合には、前記ブランク形成工程で
は、当該段差の内周面に相当する位置に射出成形用のゲ
ートを配置してもよい。このように構成した場合も、射
出成形用の金型内おいて、肉厚の回転重錘部を形成する
部分から薄肉の回転錘体部を形成する部分に向けてコン
パウンドを充填することになるので、金型内へのコンパ
ウンドの充填性が高い。また、ゲート位置で回転錘を分
割した際に、その分割痕は、回転錘の裏面側に残るだけ
で、表面側には残らないので、表面の見栄えのよい回転
錘を製造できる。さらに、分割痕を回転重錘部にそのま
ま残しておけるのであれば、その分、回転重錘部を重い
ものとして形成できるという利点がある。
【0024】本発明において、前記ブランク形成工程で
は、前記回転重錘部の外周端面のうち、円弧状の外周面
を除く側端面に相当する位置に射出成形用のゲートを配
置することが好ましい。このように構成すると、射出成
形用の金型内おいて、肉厚の回転重錘部を形成する部分
から薄肉の回転錘体部を形成する部分に向けてコンパウ
ンドを充填することになるので、金型内へのコンパウン
ドの充填性が高い。また、ゲート位置で回転錘を分割し
た際に、その分割痕は、回転錘の側端面に残るだけで、
表面側には残らないので、表面の見栄えのよい回転錘を
製造できる。それ故、腕時計の裏蓋を開けたとき、ある
いは透明な裏蓋を用いた際に丸見えとなる回転錘の見栄
えがよいので、商品価値の高い時計を製造できる。さら
に、ゲート位置で回転錘を分割した際の分割痕が回転錘
の側端面に残るだけで、その表面側および裏面側に残ら
ないので、回転錘の表面側に位置する裏蓋や回転錘の裏
面側に位置する輪列などに分割痕が接触するおそれがな
い。それ故、分割痕が大きく突き出た状態のまま残って
も、分割痕は、回転錘が回転するのを妨げることがない
ので、成形以降、分割痕を削り取るなどの後処理が一
切、必要ない。さらに、分割痕を回転重錘部にそのまま
残しておけるのであれば、その分、回転重錘部を重いも
のとして形成できるという利点がある。
【0025】ここで、前記回転重錘部の側端面に対して
表面側で側方に向けて庇状に張り出す張り出し部分を形
成する場合には、前記ブランク形成工程では、当該張り
出し部分によって前記回転重錘部の側端面で凹んでいる
部分に相当する位置に射出成形用のゲートを配置するこ
とが好ましい。このように構成すると、表面側からは分
割痕が一切見えないという利点がある。
【0026】本発明において、前記ブランク形成工程で
は、前記回転錘体部に相当する位置に射出成形用のゲー
トを配置してもよい。このように構成すると、ゲート位
置で回転錘を分割した際に、その分割痕がどのように残
ってもあくまで回転中心側に位置するだけであるので、
回転錘の回転バランスが崩れるということがない。ま
た、金型内で肉薄の回転錘体部を形成する部分に対して
もコンパウンドをスムーズに充填できる。
【0027】このような回転錘は、たとえば、時計に用
いることができ、このような時計では、回転錘が回転し
たときの運動エネルギーを用いて計時結果の表示を行
う。
【0028】このような時計を構成する際に、前記回転
錘の前記回転中心穴にボールベアリングを装着する場合
がある。この場合に、前記回転錘体部とボールベアリン
グの外輪とを加締めによって固定してもよいが、加締め
に代えて、あるいは加締めとともに、該ボールベアリン
グの外輪と前記回転錘体部との重なり部分に接合処理を
施すことが好ましい。
【0029】また、回転錘を有する時計としては、当該
回転錘が回転したときの運動エネルギーを電気エネルギ
ーに変換する発電装置と、該発電装置で発生した電気エ
ネルギーを蓄える二次電源と、該二次電源または前記発
電装置から供給される電力により計時を行うとともに、
該計時結果を表示する表示装置とを有する時計を構成す
ることもできる。
【0030】このような時計においては、時計ケースの
裏蓋が、前記回転錘の表面を覆うように配置することに
なる。
【0031】
【発明の実施の形態】添付図面を参照して、本発明の実
施の形態を説明する。
【0032】[実施の形態1] (全体構成)図1において、本例の指針式電子時計1
は、指針表示式のアナログ水晶腕時計であり、回路基板
31に実装した水晶振動子32から送出された信号に基
づいて、ステップモータ40が駆動されるようになって
いる。ステップモータ40は、2極に着磁された永久磁
石製のモータ用ロータ42と、このモータ用ロータ42
が配置される筒状のロータ配置穴430を有するモータ
用ステータ43と、コイル41を巻いた磁心44からな
るコイルブロックとから構成されている。モータ用ロー
タ42には、かな部を介して、三番車53、二番車5
4、日の裏車55、筒車56からなる時計用輪列50が
接続されている。二番車54の軸端には分針69が固定
され、筒車56の円筒軸の先端には時針63が固定され
ている。このようにして、計時およびこの計時結果の表
示を行う表示装置(ムーブメント)が構成されており、
この表示装置は、以下に説明する電源部10からの電力
供給によって駆動される。
【0033】ステップモータ40を駆動するための電源
部10は、小型発電装置20および二次電源30(キャ
パシタ)によって大略構成されている。小型発電装置2
0は、指針式電子時計1を嵌めた腕を動かしたときな
ど、外力によって回転する片錘の回転錘25と、この回
転錘25から運動エネルギーを受けて回転する発電用ロ
ータ21と、この発電用ロータ21を挟む発電用ステー
タ22と、この発電用ステータ22および発電用ロータ
21と磁気回路を構成する発電用コイル23とから構成
されている。
【0034】回転錘25と発電用ロータ21は、回転錘
25の回転動作を増速して伝達する発電用輪列60によ
って機構的に接続されており、この発電用輪列60は、
回転錘25と一体に形成された回転錘車61と、この歯
車とかみ合うかな部を備える発電用ロータ伝え車62と
から構成されている。発電用ロータ21は、磁極N、S
が形成された永久磁石であり、回転錘25の回転が伝達
されると、磁極N、Sが回転するので、発電用コイル2
3から誘導起電力を得ることができ、二次電源30を充
電することができる。回転錘25には、詳しくは後述す
るが、その回転中心部分に回転中心穴29が形成され、
この回転中心穴29にはボールベアリング90(軸受
け)が回転錘固定用ねじ261によって取り付けられて
いる。
【0035】(回転錘の構造)図2(A)、(B)、
(C)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る回転錘
の平面図、この回転錘のA−A′断面図、およびこの回
転錘を側端面からみたときの側面図である。図3
(A)、(B)はそれぞれ、本発明に係る回転錘にボー
ルベアリングを取り付けた状態を示す平面図、およびこ
の回転錘を側端面からみたときの側面図である。
【0036】図2に示すように、回転錘25は、この回
転錘25の回転中心側に配置された回転錘体部27と、
この回転錘体部27の外周側に連接する回転重錘部28
とが一体に製造された半円形の平面形状を有しており、
回転錘体部27については、可能な限り薄肉に形成さ
れ、回転重錘部28については時計内に収納できる範囲
内で可能な限り肉厚に形成されている。
【0037】このため、回転錘25が回転中に回転重錘
28に衝撃が加わっても、この衝撃は、薄肉の回転錘体
部27のばね性によって緩和、吸収されるので、回転重
錘28に加わった衝撃によって、回転錘25の中心側、
あるいは時計内部の機構部品が破損するのを防止でき
る。また、回転重錘部28は、回転錘体部27と比較し
て肉厚に形成され、かつ、回転重錘部28の裏面側に
は、その最外周部分280を内周側よりもかなり分厚く
する段差281が形成されている。従って、回転錘25
の重量のアンバランス量が大きい。
【0038】また、回転錘25には、その回転中心に相
当する位置に回転中心穴29が形成され、詳しくは後述
するが、図3(A)、(B)に示すように、この回転中
心穴29に対してはボールベアリング90が取り付けら
れる。ここで、ボールベアリング90は、回転錘25の
回転中心穴29に嵌められてその外輪93が回転錘25
の回転錘体部28の表面側に被さるように加締め処理9
40が施されているが、さらに、本発明を適用したいず
れの形態においても、ボールベアリング90の外輪93
と、回転錘25の回転錘体部28との重なり部分950
では、溶接、接着などの接合処理960も施されてい
る。従って、回転錘25とボールベアリング90とは大
きな強度をもって固定されている。
【0039】(回転錘の製造方法)ここで、小型発電装
置20の発電効率を高めるためには、回転重錘部28を
重くする必要がある。そこで、本発明では、以下に説明
するように、タングステンなどの重金属焼結体によっ
て、回転錘体部27と回転重錘部28とが一体の回転錘
25を製造する。
【0040】図4(A)、(B)はそれぞれ、本発明の
実施の形態1に係る回転錘を製造するための回転錘ブラ
ンクの説明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工
程を施した後の説明図である。
【0041】本形態では、回転錘25の製造工程とし
て、まず、重金属粉体を主成分とするコンパウンドを成
形・焼結することにより、回転錘体部27および回転重
錘部28が一体の回転錘ブランク250を形成する(ブ
ランク形成工程)。
【0042】それにはまず、原料粉体として、たとえ
ば、粒径が0.5μm〜2μm(平均粒径が1.5μ
m)のタングステン粉体と、粒径が5μm〜15μm
(平均粒径が10μm)のタングステン粉体とを重量比
で70:30の割合で混合し、これに平均粒径が3μm
のニッケル粉体、コバルト粉体、鉄粉体をさらに混合し
て、重量比で97%のタングステンと3%の結合相であ
るニッケル・コバルト・鉄の組成となるように配合す
る。次に、この混合粉体200kgをアトライターにて
エチルアルコール中で5時間、粉砕、混合した後、得ら
れた混合粉体を150メッシュの篩でふるい分けする。
次に、篩を通過した混合粉体30kgに対して、有機バ
インダ(体積比が3:1の割合でワックスとポリエチレ
ンとを混合したもの)を30体積%添加し、それをニー
ダで3時間、混練する。
【0043】このように混練したものをコンパウンドと
して、40℃に保持した金型内において射出圧力100
0kg/cm2 の条件で射出成形を行い、成形体を得
る。
【0044】次に、成形体を減圧窒素ガス中で、昇温速
度40℃/時間の条件で300℃にまで加熱し、引き続
き、露点15℃の水蒸気を含む水素ガス中にて800℃
で30分間加熱し、脱バインダ処理を行う。この2段階
のバインダ処理後、成形体中の残留カーボン量は約0.
002重量%となる。
【0045】次に、この成形体を水素ガス中において1
380℃、3時間の固相焼結を行い、密度が18.53
g/cm3 (理論密度比100%)の焼結体とし、さら
にこれを水素ガス中において1460℃で液相焼結し
て、回転錘ブランク250とする。
【0046】なお、重金属粉体としては、タングステン
の他にも、原子番号が72〜79の重金属の粉体を用い
ることができる。
【0047】この工程で用いる射出成形機では、回転錘
25の裏面側259のうち、回転重錘部28において段
差281によって凹んだ部分282を形成する位置にゲ
ート80を配置して射出成形を行う。
【0048】ここで、コンパウンドから成形した成形体
は、焼結によって収縮するので、ここで用いる射出成形
用の金型については、焼結時の収縮を見込んで成形体を
回転錘ブランク250よりも一回り大きめに成形するよ
うに設計されている。また、回転錘ブランク250に対
しては、次に行う二次加工工程において切削加工を施す
部分については予め、切削代(仕上げ代)を見込んだ寸
法形状にしてある。すなわち、回転錘ブランク250
は、切削代Cに相当する分だけは、回転錘25よりも厚
めに形成されている。本形態において、切削代Cは、回
転錘ブランク250の内周側から外周側に向かって一定
である。さらに、回転錘ブランク250の裏面側におい
て回転錘体部27と回転重錘部28との境界部分には、
射出成形後に金型から成形体を外すための抜くテーパが
残っている。また、回転錘ブランク250の回転中心穴
29の内周面291にも、抜きテーパが残っているが、
この抜きテーパに相当する部分は、後で行う穴加工によ
り回転中心穴29をストレート穴とするときの切削代D
に相当する。
【0049】このようにして回転錘ブランク250を形
成した後、回転錘ブランク250に切削加工(機械加
工)を施して所定の寸法形状に仕上げる(二次加工工
程)。本形態においては、機械加工として切削加工を施
す例を説明するが、機械加工としては、切削の他、研
磨、プレス抜きなどの加工を行ってもよい。
【0050】ここで行う二次加工は、回転中心穴29の
内周面291を切削して抜きテーパに相当する切削代D
を除去する穴加工と、回転錘体部28の表面側285お
よび回転重錘部27の表面側275(回転錘ブランク2
50の表面側)から切削代Dに相当する部分を切削する
表面加工である。
【0051】これらの切削加工のうち、回転中心穴29
に対する穴加工を行って回転中心穴29をストレート穴
にする際には、回転錘ブランク250の外周部分のう
ち、円弧状の外周部分258を工作機械のチャック(図
示せず。)で保持し、このチャックを介して回転錘ブラ
ンク250を回転させる。従って、回転中心穴29の内
周面291に対する切削は、回転錘ブランク250の円
弧状の外周部分258を基準に行うことになる。
【0052】また、回転錘ブランク250に対する表面
加工では、回転錘ブランク250の段階で回転錘体部2
8の表面側285および回転重錘部27の表面側275
に切削代Cを見込んであるので、この表面加工を終えた
後は、図4(B)に示すように、所定の寸法形状の回転
錘25を得ることができる。
【0053】このように、本形態では、ブランク形成工
程において、重金属粉体を主成分とするコンパウンドを
成形・焼結することにより、回転錘体部27および回転
重錘部28が一体の回転錘ブランク250を形成した
後、二次加工工程において、回転錘ブランク250の回
転中心穴29、および表面側275、285に機械加工
を施して所定の寸法形状に仕上げる。従って、回転錘2
5全体が重金属焼結体であっても、回転錘体部27を高
い精度で薄肉に形成できるので、図15に示した従来の
回転錘25のようにスリット270を形成しなくても、
回転錘体部27にばね性を確実に付与することができ
る。それ故、回転錘25の回転重錘部28に衝撃が加わ
ったときでも、この衝撃は回転錘体部27が有するばね
性によって緩和、吸収されるので、回転錘25の回転中
心側が破壊するおそれがない。また、回転錘25の回転
中心側にばね性があるので、回転錘25の回転重錘部2
8に加わった衝撃がそのまま電子時計内部に伝わって、
発電用輪列60などを破損するということもない。
【0054】また、近年の腕時計の薄型化に伴って、時
計内部のレイアウト上の制約から、回転錘25を小型・
薄型化した場合でも、本形態では、回転錘ブランク25
0に対して回転中心穴27に対する穴加工(二次加工工
程)を行うので、回転錘25の回転中心穴27の寸法形
状に高い精度を得ることができる。従って、図3に示す
ように回転中心穴27にボールベアリング90を差し込
んだときに、ボールベアリング90がガタついたり、あ
るいは過大な負荷がかかってボールベアリング90の変
形や回転錘25の割れなどが発生するという問題もな
い。しかも、回転錘ブランク250の回転中心穴27に
対する穴加工(二次加工工程)を行う際には、回転錘ブ
ランク250の円弧状の外周部分258を保持し、この
外周部分258の円弧形状を基準に回転中心穴27に対
する穴加工を行うので、回転中心穴27と回転錘ブラン
ク250の円弧形状との間で中心位置を高い精度で一致
させることができる。
【0055】さらに、本形態では、回転錘ブランク25
0に対して表面加工(二次加工工程)を行うので、回転
錘25の表面側251では、成形・焼結時に発生した荒
れや結晶粒が切削、除去されている。このため、回転錘
25の表面側251は、見栄えがよい。従って、腕時計
の裏蓋を開けたときに最初に見える回転錘25の表面側
251の見栄えがよいので、商品価値の高い時計を製造
できる。また、時計の裏蓋として透明なものをその意匠
性を高めた場合でも、この裏蓋を介して丸見えとなる回
転錘25の表面側251の見栄えがよいので、商品価値
の高い時計を製造できる。
【0056】さらにまた、射出成形機においては、回転
重錘部28の裏面側259に相当する位置にゲート80
が配置されているので、金型内おいて、肉厚の回転重錘
部28を形成する部分から薄肉の回転錘体部27を形成
する部分に向けてコンパウンドが充填されていくので、
金型内へのコンパウンドの充填性が高い。また、ゲート
80の位置で回転錘25を分割した際に、その分割痕8
1は、図4(B)に示すように、回転錘25の裏面側2
59に残るだけで、表面側251には残らない。それ
故、この点からいっても、回転錘25の表面側251の
見栄えがよい。
【0057】さらにまた、回転重錘部28の裏面側25
9のうち、回転重錘部28において段差281によって
凹んだ部分282を形成する位置にゲート80を配置し
たので、分割痕81を削る必要があるときでも、最も質
量の大きい外周部分280を削る必要がない。従って、
分割痕81を削る際のばらつきにとって、回転錘25の
アンバランス量がばらつくことがない。
【0058】また、ブランク形成工程において、重金属
粉体を主成分とするコンパウンドを成形する際に、社
名、商標、あるいは模様などを回転錘25(回転錘ブラ
ンク250)に刻印などの凹部、あるいは凸部として付
すための凹凸を金型の内周面に形成しておけば、外観の
向上などを図ることができる。
【0059】(回転錘及び輪列の固定構造)このように
構成した回転錘25を小型発電装置用として内蔵した指
針式電子時計において、発電機能および運針機能を担う
各部品の配置構造を説明する。
【0060】図5は、本形態の指針式電子時計において
各部品を支持する地板2、第1の輪列受3、および第2
の輪列受6のレイアウトを示す平面図であり、地板2、
第1の輪列受3、および第2の輪列受6の輪郭について
は太い実線、太い点線、および太い一点鎖線で示し、そ
の他の部品は細線で示してある。
【0061】図5において、地板2の中心部分が回転錘
25および各指針の回転中心となるべき部分である。地
板2は、裏面側に時計の文字板が配置されるようになっ
ており、図面には、地板2の各角度方向に、この方向に
対応する各時刻(3時、6時、9時、12時)を付して
ある。回転錘25の回転領域は、地板2の外周縁よりや
や内側に一点鎖線L1で示した領域である。この一点鎖
線L1の内側には、回転錘25に構成してある回転錘体
27(薄肉部)と回転重錘28(肉厚部)との境界部分
の回転位置を一点鎖線L2で表してある。
【0062】(時計用輪列の配置)図6は、図5におい
て、日の裏車55、回転錘25の中心(回転錘固定用ね
じ27)、二番車54、筒車56、三番車53、モータ
用ロータ42、止めねじ26を通る位置で切断したとき
の断面図である。
【0063】図5および図6に示すように、回転錘25
の内周側に相当する領域(回転錘体27の回転領域)に
は、図1を参照して説明した三番車53、二番車54、
日の裏車55、筒車56などといった高さ寸法が大きい
時計用輪列50が配置されている。これらの時計用輪列
50のうち、三番車53、日の裏車55、およびモータ
用ロータ42は、地板2と、この地板2に対向配置され
た平板状の第1の輪列受3との間で穴石Sなどからなる
ほぞ枠を介して支持されている。この第1の輪列受3
は、全体が回転錘25の薄肉部27の回転領域の内側、
すなわち一点鎖線L2の内側に配置されている。
【0064】ここで、時計用輪列50とその周辺の配置
について詳しく説明する。ムーブメントの平面方向にお
いて、その中心部には分針69が支持された二番車54
が配置されている。厚さ方向において、二番車54の歯
車部分から回転錘25の方向には、二番車54のかな
部、三番車53、第2の輪列受6に支持された二番車5
4の上ほぞ軸受け部、第1の輪列受3に固定されたベア
リング軸97、ボールベアリング90、回転錘固定用ね
じ261がこの順に配置され、この部分でムーブメント
の厚さが決まっている。
【0065】三番車53、日の裏車55、モータ用ロー
タ42は、第1の輪列受3と地板2との間で支持されて
おり、第2の輪列受6と地板2との間で支持されている
部品と比較して、第2の輪列受6の板厚分、上ほぞ(第
1の輪列受3の側のほぞ)と下ほぞ(地板2の側のほ
ぞ)との距離を長くできる。従って、三番車53、日の
裏車55、モータ用ロータ42については、上下の軸受
部が平面位置が多少ずれてもこれらの輪列の傾きを小さ
くできる。
【0066】ここで、第1の輪列受3は3本の止めねじ
17、18、26によって第2の輪列受6とともに地板
2に固定され、いずれのねじ止め部分も薄肉の回転錘体
27の回転領域の内側に位置している。このようなねじ
を用いた固定は、長期間の使用や繰り返し脱着したとき
の信頼性に優れ、かつ、構造が簡単なことからコスト的
にも安価にすることが可能である。また、図5からわか
るように、3本の止めねじ17、18、26によるねじ
止め箇所で平面的に囲まれた領域内に、時計用輪列50
を構成する各歯車(三番車53、二番車54、日の裏車
55、筒車56)が位置している。また、第1の輪列受
3は発電用輪列60と時計用輪列50の全てに重なる範
囲に配置されているが、第2の輪列受6は、3本の止め
ねじ17、18、26のうち、止めねじ17、18によ
って第1の輪列受3とともに地板2に固定され、発電用
輪列60の発電用ロータ21および発電用ロータ伝え車
62と重ならず、時計用輪列50と概略重なるように配
置されている。このような止めねじ17、18、26に
よるねじ止め箇所で囲まれた領域は、第1の輪列受3が
時計用輪列50の側に変形しようとしたときでも、第2
の輪列受6によって補強されているため、大きな強度を
有するので、第1の輪列受3は確実に各歯車(三番車5
3、二番車54、日の裏車55、筒車56)を支持する
ことができる。しかも、第1の輪列受3を地板2に固定
する止めねじ17、18、26は、回転錘25を第1の
輪列受3に取り付ける回転錘固定ねじ261を取り囲む
ように複数個配置されている。このため、回転錘25に
より外力が第1の輪列受3に働いても、この輪列受を固
定する止めねじの部分が中心付近で支えるので、第1の
輪列受3が撓みにくく、輪列の支持が確実に行える。ま
た、回転錘25の固定部分が安定するため、回転錘25
の傾きを抑えることもできる。
【0067】(回転錘の支持構造)図6からわかるよう
に、回転錘25は回転中心穴29に装着されたボールベ
アリング90を介して第1の輪列受3に搭載されてい
る。ボールベアリング90は、ベアリングボール91を
内周側で支持する内側部材92、およびこの内側部材9
2との間で複数のベアリングボール91を挟持する外輪
93とを備えている。内側部材92は、筒状部分から鍔
部分が外周側に張り出す断面L字形状の内輪94と、こ
の内輪94に圧入されて内輪94とともにボール軌道面
を構成するボール押さえ輪95と、ベアリングボール9
1の位置を規定するリテーナ96とによって構成されて
いる。
【0068】内輪94は、以下に説明するように、ベア
リング軸97(案内軸)を介して第1の輪列受3に固定
されている。まず、第1の輪列受3には段付きの受け穴
301が形成され、そこに、ベアリング軸97は、先端
部が突き出るように装着されている。ベアリング軸97
の基部には、受け穴301よりも大きめの鍔部971が
形成され、この鍔部971が受け穴301の段差に引っ
掛かっている状態にある。この状態のベアリング軸97
の軸部に対して内輪94が嵌められ、かつ、ベアリング
軸97の先端面に形成されている雌ねじに対しては回転
錘固定用ねじ261が止められている。この状態におい
て、回転錘固定用ねじ261は、ベアリング軸97を引
き上げながら頭部が内輪94およびボール押さえ輪95
を第1の輪列受3に向けて押し付けるので、内輪94お
よびボール押さえ輪95は、回転錘固定用ねじ261に
よって第1の輪列受3に対して締め付け固定される。そ
の結果、ボールベアリング90は、内輪94の中心穴と
ベアリング軸97とにより平面方向で位置決めされ、回
転錘固定用ねじ261による締め付けによって高さ位置
が規定される。
【0069】(ボールベアリングの固定構造)本形態で
は、ボールベアリング90の構成部品のうち、回転錘固
定用ねじ261が止められた内側部材92が、固定側部
材である第1の輪列受3の側に固定され、外輪93に回
転錘25が固定されている。このため、回転錘固定用ね
じ261の取り付け部分はあくまで固定され、回転運動
をすることがないので、長期間の携帯や強い衝撃、また
は軽衝撃の繰り返しなどを受けても、回転錘固定用ねじ
261は緩むことがない。それ故、回転錘固定用ねじ2
61の緩みに起因するボールベアリング90の破損等と
いった問題が発生しない。
【0070】(発電用輪列の配置)図7は、図5におい
て、発電用コイル23、発電用ロータ21、発電用ロー
タ伝え車62、日の裏車55、回転錘25の中心(回転
錘固定用ねじ)、二番車54、筒車56を通る位置で切
断したときの断面図である。
【0071】図5および図7に示すように、回転錘25
の回転領域の内、回転錘体27(薄肉部)の回転領域か
ら回転重錘28(肉厚部)の回転領域にかかる領域に小
型発電装置20が構成されている。図7からわかるよう
に、小型発電装置20において、発電用ロータ21のか
な部210には発電用ロータ伝え車62が噛み合い、こ
の発電用ロータ伝え車62のかな部620には、回転錘
25と一緒に回転する回転錘車61が噛み合っている。
ここで、回転錘車61はもちろんのこと、発電用ロータ
伝え車62も高さ寸法が大きいので、回転錘体27(薄
肉部)の回転領域内に配置されている。
【0072】(回転錘の衝撃受け構造)回転錘25にお
いて、回転錘体部27には衝撃緩和機能が付与されるた
め、回転錘25の外周部分(回転重錘部28の外周部分
280)は上下動しながら回転することになる。かかる
上下動を受けるための構造として、本形態では、中枠5
(固定枠)を利用する。すなわち、地板2上に構成され
たムーブメントは、その外周側で中枠5を挟む裏蓋68
と時計ケースの胴78との間に収納される。この状態
で、中枠5は回転錘25の外周部分280に重なる位置
まで届いている。本形態では、中枠5の内周寄りの部分
501のうち、回転錘25に対峙する側の端面には、回
転錘25に向けて突出するだぼ502が形成されてい
る。このだぼ502をだぼ周辺の部品よりも厚み方向で
回転錘25に近い高さ位置に設定することで、回転錘2
5が上下動しながら回転したときには、回転錘25は中
枠5のだぼ502に最初に当たり、その姿勢が正される
ことから、だぼ502周辺の部品が回転錘25の接触に
より破壊することを防止できる。また、中枠5にだぼ5
02を等角度間隔で複数形成することにより、回転錘2
5が上下動しながら回転したときには、回転錘25は中
枠5のだぼ50の幾つかに交互に当たり、その姿勢を正
されることから、ムーブメント全体が回転錘25の接触
により破損することを防止することが可能となる。
【0073】ここで、指針式のムーブメント(表示装
置)、二次電源30、および発電装置20を収納する時
計ケースにおいて、裏蓋68は、回転錘体27の外面の
側を覆うように配置され、かつ、裏蓋68は全体が透明
である。それでも、本形態では、回転錘25の表面側が
見栄えよく仕上がっているので、品位の高い時計を提供
できる。また、裏蓋68が透明でなくても、ユーザが裏
蓋を開けることがあるが、この場合でも、回転錘25の
表面側が見栄えよく仕上がっているので、品位の高い時
計を提供できる。
【0074】(機械式時計への使用例)なお、上記形態
では、本発明に係る回転錘を電子時計の発電装置に用い
た例を説明したが、回転錘が回転したときの運動エネル
ギーをぜんまいなどに蓄えておき、ここに蓄えたエネル
ギーによって指針式の表示機構を駆動する機械式時計に
本発明を適用してもよい。
【0075】[実施の形態2]図8(A)、(B)はそ
れぞれ、本発明の実施の形態2に係る回転錘を製造する
ための回転錘ブランク250の説明図、およびこの回転
錘ブランク250に二次加工工程を施した後の説明図で
ある。なお、本形態および以下に説明するいずれの形態
においても、基本的な構成が共通するので、各形態にお
いて特徴的な構成のみを説明する。
【0076】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図8
(A)に示すように、回転錘体部27および回転重錘部
28が一体のタングステン製の回転錘ブランク250を
形成する(ブランク形成工程)。ここで、ブランク形成
工程では、回転重錘部28の外周側から回転中心穴29
の方に向けて、後で行う表面加工時の切削代Cが大きな
るように回転錘ブランク250を形成する。
【0077】次に、二次加工工程として、回転錘体部2
7の表面側275および回転重錘部28の表面側285
を切削する表面加工を行い、図8(B)に示すように、
所定の寸法形状の回転錘25を形成する。その結果、回
転錘25の表面側251は、回転錘25の厚さ寸法が略
等しい部分では外周側より内周側の厚さ寸法が小となる
ようなテーパ面となる。たとえば、回転重錘部28にお
いて、厚さ寸法が略等しい部分であっても、外周側の厚
さをto、内周側の厚さをtiとすると、 to > ti の関係にある。
【0078】従って、本形態では、回転錘25において
の厚さ寸法が略等しい部分においても外周側が厚い分、
重心を回転錘25の外周側に配置できるので、回転錘2
5のアンバランス量を大きくできる。それ故、本形態に
係る回転錘25を用いた発電装置において、発電効率を
高めることができる。
【0079】また、本形態では、ブランク形成工程後の
二次加工によって回転錘25の表面側251をテーパ面
に仕上げるので、二次加工後の回転錘25の形状からみ
て回転錘ブランク250を内周側(回転錘体部27)が
分厚い形状に成形できる。すなわち、薄肉の回転錘体部
27の側で切削代Cが大である分、射出成形用の金型内
のうち、薄肉の回転錘体部27を形成する部分を広めの
隙間として形成できる。従って、射出成形時には、金型
内の薄肉の回転錘体部27を形成する部分の端部分に対
してもコンパウンドを充填しやすい。また、回転錘25
の表面側251のうち、外周側を削り過ぎて回転錘25
のアンバランス量が小さくなるということがない。
【0080】[実施の形態3]図9(A)、(B)はそ
れぞれ、本発明の実施の形態3に係る回転錘を製造する
ための回転錘ブランク250の説明図、およびこの回転
錘ブランク250に二次加工工程を施した後の説明図で
ある。
【0081】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図9
(A)に示すように、回転錘体部27および回転重錘部
28が一体のタングステン製の回転錘ブランク250を
形成する(ブランク形成工程)。ここで、ブランク形成
工程では、実施の形態2とは反対に、回転重錘部28の
外周側から回転中心穴29の方に向けて、後で行う表面
加工時の切削代Cが小さくなるように回転錘ブランク2
50を形成する。
【0082】次に、二次加工工程として、回転錘体部2
7の表面側275および回転重錘部28の表面側285
を切削する表面加工を行い、図9(B)に示すように、
所定の寸法形状の回転錘25を形成する。その結果、回
転錘25の表面側251は、回転錘25の厚さ寸法が略
等しい部分では外周側より内周側の厚さ寸法が大となる
ようなテーパ面となる。たとえば、回転重錘部28にお
いて、厚さ寸法が略等しい部分であっても、外周側の厚
さをto、内周側の厚さをtiとすると、 to < ti の関係にある。
【0083】従って、本形態では、回転錘25が回転し
たとき、回転重錘部28の外周部分280が上下に激し
く振れるのを抑えることができるので、回転錘外周側の
表面側に被さった裏蓋68や回転錘外周側の裏面側に位
置する時計ケースの中枠5に回転錘25が激しく接触す
ることを防止することができる(図7参照。)。それ
故、回転錘25の破損を防止できる。
【0084】[実施の形態4]図10は、本発明の実施
の形態4に係る回転錘を製造するための回転錘ブランク
250の説明図である。
【0085】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図1
0に示すように、回転錘体部27および回転重錘部28
が一体のタングステン製の回転錘ブランク250を形成
する(ブランク形成工程)。このブランク形成工程で
は、回転中心穴29内にボールベアリング90を装着し
たときにこのボールベアリング90の上端面900が回
転中心穴29の上端縁よりも凹んでいる寸法t1よりも
回転錘体部27における回転中心穴29周囲の切削代C
を小さくなるように回転錘ブランク250を形成する。
【0086】次に、二次加工工程として、回転錘体部2
7の表面側275および回転重錘部28の表面側285
を切削する表面加工を行う。この際に、回転中心穴29
内にボールベアリング90を装着しておいても、ボール
ベアリング90の上端面900が回転中心穴29の上端
縁よりも大きく凹んでいる分、回転錘体部27の表面側
275および回転重錘部28の表面側285に対する表
面加工を行う際にボールベアリング90が邪魔にならな
い。
【0087】[実施の形態5]図11(A)、(B)は
それぞれ、本発明の実施の形態5に係る回転錘を製造す
るための回転錘ブランク250の説明図、およびこの回
転錘ブランク250に二次加工工程を施した後の説明図
である。
【0088】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図1
1(A)に示すように、回転錘体部27および回転重錘
部28が一体のタングステン製の回転錘ブランク250
を形成する(ブランク形成工程)。ここで、回転重錘部
28の裏面側には、その最外周部分280を内周側より
も分厚くする段差281が形成されている。このような
回転錘ブランク250を形成するにあたって、本形態で
は、段差281の内周面に相当する位置に射出成形用の
ゲート80を配置して射出成形を行う。
【0089】従って、本形態では、射出成形用の金型内
において、肉厚の回転重錘部28を形成する部分から薄
肉の回転錘体部27を形成する部分に向けてコンパウン
ドを充填することになるので、金型内へのコンパウンド
の充填性が高い。また、射出成形用の金型において、回
転錘25の裏面側259に相当する位置にゲート80が
配置されているので、図11(B)に示すように、ゲー
ト80の位置で回転錘25を分割した際に残る分割痕8
1は、二次加工工程(表面加工および穴加工)を行った
後も、回転錘25の裏面側259には残る。それでも、
回転錘25の表面側251には分割痕81が残らないの
で、回転錘25の表面側251は見栄えがよい。さら
に、分割痕81をそのまま回転重錘部28に残しておけ
るのであれば、その分、回転重錘部28を重いものとし
て形成できるという利点がある。
【0090】[実施の形態6]図12(A)、(B)、
(C)はそれぞれ、本発明の実施の形態6に係る回転錘
を製造するための回転錘ブランク250の説明図、回転
錘ブランク250に二次加工工程を施した後の回転錘2
5の説明図、およびこの回転錘の要部を示す平面図であ
る。
【0091】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図1
2(A)に示すように、回転錘体部27および回転重錘
部28が一体のタングステン製の回転錘ブランク250
を形成する(ブランク形成工程)。このような回転錘ブ
ランク250を形成するにあたって、本形態では、回転
重錘部28の外周端面のうち、円弧状の外周面287を
除く側端面286に相当する位置にゲート80を配置す
る。また、本形態において、ゲート80は、回転重錘部
28のうち、肉厚の外周部分280よりも内周側のやや
比較的、肉薄の部分に位置する。
【0092】従って、本形態でも、ゲート80を回転重
錘部28に配置したので、射出成形用の金型内におい
て、肉厚の回転重錘部28を形成する部分から薄肉の回
転錘体部27を形成する部分に向けてコンパウンドを充
填することになる。また、ゲート80を回転錘25の側
端面に相当する位置に配置したので、金型内の奥行き方
向に向けてコンパウンドを充填することになる。それ
故、金型内へのコンパウンドの充填性が高い。しかも、
ゲート80は、回転重錘部28でも比較的肉薄の内周側
に配置され、かつ、この部分は薄肉の回転錘体部27に
近い位置である。このため、回転重錘部28でも比較的
肉薄の内周部分や薄肉の回転錘体部27に相当部分への
コンパウンドの充填性が高い。よって、回転錘25で
は、回転重錘28の外周部分280などの厚肉部分に比
較してコンパウンドの充填性が悪い傾向にある薄肉の回
転錘体部27などにおいてもそこにひびが入ることはな
い。
【0093】さらに、成形後にゲート位置で回転錘25
を分割した際に、その分割痕は、図12(B)、(C)
に示すように、回転錘25の側端面286に残るだけ
で、表面側251には残らない。それ故、表面側251
の見栄えがよい回転錘25を製造できる。よって、腕時
計の裏蓋を開けたとき、あるいは透明な裏蓋を用いた際
に丸見えとなる回転錘25の見栄えがよいので、商品価
値の高い時計を製造できる。さらに、ゲート位置で回転
錘を分割した際の分割痕81が回転錘25の側端面28
6に残るだけで、その表面側251および裏面側259
に残らないので、回転錘25の表面側251に位置する
裏蓋68や回転錘の裏面側に位置する輪列などに分割痕
81が接触するおそれが一切ない。それ故、分割痕81
が大きく突き出た状態のまま残っても、分割痕81は、
回転錘25が回転するのを妨げることがないので、成形
以降、分割痕81を削り取るなどの後処理が一切、必要
ない。さらに、分割痕81をそのまま残しておけるので
あれば、その分、回転重錘部28を重いものとして形成
できる。
【0094】[実施の形態6の改良例]図13(A)、
(B)、(C)、(D)はそれぞれ、本発明の実施の形
態6の改良例に係る回転錘を製造するための回転錘ブラ
ンク250の説明図、回転錘ブランク250に二次加工
工程を施した後の回転錘25の説明図、この回転錘の要
部を示す平面図、および図13(C)のC−C′線にお
ける断面図である。
【0095】本形態でも、実施の形態6と同様、タング
ステン粉体などの重金属粉体を主成分とするコンパウン
ドを金型内で射出成形した後、それによって得た成形体
に焼結を施して、図13(A)に示すように、回転錘体
部27および回転重錘部28が一体のタングステン製の
回転錘ブランク250を形成する(ブランク形成工
程)。このような回転錘ブランク250を形成するにあ
たって、本形態では、回転重錘部28の外周端面のう
ち、円弧状の外周面287を除く側端面286に相当す
る位置にゲート80を配置する。また、本形態におい
て、ゲート80は、回転重錘部28のうち、肉厚の外周
部分280よりも内周側に位置する比較的、肉薄の部分
に位置する。
【0096】さらに、本形態では、図13(B)、
(C)、(D)に示すように、回転錘25の側端面28
6において、表面側では庇状の張り出し部分289が側
方に張り出しており、この張り出し部分289によって
回転重錘部28の側端面286で凹んでいる部分288
に相当する位置に射出成形用のゲート80を配置する。
【0097】従って、本形態でも、回転錘25のうち、
回転重錘部28の側端面286に相当する位置にゲート
80を配置したので、金型内へのコンパウンドの充填性
が高く、かつ、成形後にゲート位置で回転錘25を分割
したときに分割痕81が他の部材に接触するおそれがな
いなど、実施の形態6と同様な効果を奏する。
【0098】また、本形態では、回転錘25の側端面2
86のうち、張り出し部分289によって凹んでいる部
分288に相当する位置に射出成形用のゲート80を配
置したので、表面側からみたとき、回転錘25の側端面
286に残る分割痕81は、庇状の張り出し部分289
に隠れている。それ故、腕時計の裏蓋を開けたとき、あ
るいは透明な裏蓋を用いたときでも、分割痕81が一切
見えないという効果を奏する。
【0099】[実施の形態7]図14(A)、(B)は
それぞれ、本発明の実施の形態7に係る回転錘を製造す
るための回転錘ブランク250の説明図、およびこの回
転錘ブランク250に二次加工工程を施した後の説明図
である。
【0100】本形態でも、タングステン粉体などの重金
属粉体を主成分とするコンパウンドを金型内で射出成形
した後、それによって得た成形体に焼結を施して、図1
4(A)に示すように、回転錘体部27および回転重錘
部28が一体のタングステン製の回転錘ブランク250
を形成する(ブランク形成工程)。このような回転錘ブ
ランク250を形成するにあたって、本形態では、回転
錘25の裏面側259のうち、肉薄の回転錘体部27に
相当する位置に射出成形用のゲート80を配置する。
【0101】従って、本形態では、ゲート80の位置で
回転錘25を分割した際に、その分割痕81がどのよう
に残っても、その位置は、図14(B)に示すように、
あくまで回転錘25の回転中心側に位置するだけである
ので、回転錘25の回転バランスが崩れることがない。
また、ゲート80は、薄肉の回転錘体部27に相当する
位置に配置されているので、薄肉の回転錘体部27に相
当部分へのコンパウンドの充填性が高い。よって、回転
錘25では、厚肉部分に比較してコンパウンドの充填性
が悪い傾向にある薄肉の回転錘体部27においてもそこ
にひびが入ることはない。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る回転
錘、時計およびその製造方法では、重金属粉体を主成分
とするコンパウンドを成形・焼結することにより、回転
錘体部および回転重錘部が一体の回転錘ブランクを形成
した後、二次加工工程において、回転錘ブランクの回転
中心穴や表面に機械加工を施して所定の寸法形状に仕上
げる。従って、回転錘全体が重金属で形成されていて
も、回転錘体部を高い精度で薄肉に形成することができ
るので、回転錘体部にばね性を確実に付与することがで
きる。それ故、回転錘の回転重錘部に衝撃が加わったと
きでも、この衝撃は回転錘体部が有するばね性によって
緩和、吸収されるので、回転重錘部に加わった衝撃によ
って、回転錘の回転中心側が破壊するおそれがない。ま
た、回転重錘部に加わった衝撃がそのまま電子時計内部
に伝わって発電用輪列などを破損するということもな
い。さらに、回転中心穴に対する穴加工(二次加工工
程)を行うので、回転錘の回転中心穴の寸法形状に高い
精度を得ることができる。従って、ボールベアリングな
どの軸受けを差し込んだときに、ボールベアリングがガ
タついたり、あるいは過大な負荷がかかってボールベア
リングが変形するという問題もない。さらにまた、回転
錘ブランクに対して表面加工(二次加工工程)を行うの
で、回転錘の表面の見栄えがよい。従って、腕時計の裏
蓋を開けたとき、あるいは時計の裏蓋として透明なもの
を用いたときでも、丸見えとなる回転錘の表面の見栄え
がよいので、商品価値の高い時計を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転錘を発電用に用いた指針式電
子時計の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明に
係る回転錘の平面図、この回転錘のA−A′断面図、お
よびこの回転錘の側端面からみたときの側面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、本発明に係る回転
錘にボールベアリングを取り付けた状態を示す平面図、
およびこの回転錘の側端面からみたときの側面図であ
る。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形
態1に係る回転錘を製造するための回転錘ブランクの説
明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工程を施し
た後の説明図である。
【図5】本発明に係る回転錘を用いた指針式電子時計に
おいて、各部品を支持する地板、第1の輪列受、および
第2の輪列受のレイアウトを示す平面図である。
【図6】本発明に係る回転錘を用いた指針式電子時計に
おいて、日の裏車、回転錘の中心(回転錘固定用ね
じ)、二番車、筒車、三番車、モータ用ロータ、止めね
じを通る位置で切断したときの断面図である。
【図7】本発明に係る回転錘を用いた指針式電子時計に
おいて、発電用コイル、発電用ロータ、発電用ロータ伝
え車、日の裏車、回転錘の中心(回転錘固定用ねじ)、
二番車、筒車を通る位置で切断したときの断面図であ
る。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形
態2に係る回転錘を製造するための回転錘ブランクの説
明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工程を施し
た後の説明図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形
態3に係る回転錘を製造するための回転錘ブランクの説
明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工程を施し
た後の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る回転錘を製造す
るための回転錘ブランクの説明図である。
【図11】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の
形態5に係る回転錘を製造するための回転錘ブランクの
説明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工程を施
した後の説明図である。
【図12】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明
の実施の形態6に係る回転錘を製造するための回転錘ブ
ランクの説明図、回転錘ブランクに二次加工工程を施し
た後の回転錘の説明図、およびこの回転錘の要部を示す
平面図である。
【図13】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞ
れ、本発明の実施の形態6の改良例に係る回転錘を製造
するための回転錘ブランクの説明図、回転錘ブランクに
二次加工工程を施した後の回転錘の説明図、この回転錘
の要部を示す平面図、図13(C)のC−C′線におけ
る断面図である。
【図14】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の
形態7に係る回転錘を製造するための回転錘ブランクの
説明図、およびこの回転錘ブランクに二次加工工程を施
した後の説明図である。
【図15】従来の回転錘を用いた指針式電子時計の発電
装置の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 指針式電子時計 10 電源部 20 小型発電装置 21 発電用ロータ 22 発電用ステータ 23 発電用コイル 25 回転錘 27 回転錘体部 28 回転重錘部 29 回転中心穴 30 二次電源(キャパシタ) 32 水晶振動子 40 ステップモータ 50 時計用輪列 60 発電用輪列 68 裏蓋 80 射出成形用のゲート 81 ゲート位置での分割痕 250 回転錘ブランク 251 回転錘の表面側 259 回転錘の裏面側 280 回転重錘の外周部分 281 回転重錘の段差 C、D 切削代(仕上げ代)

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転中心穴を備える薄肉の回転錘体部
    と、該回転錘体部の外周側に連接する肉厚の回転重錘部
    とを有する回転錘の製造方法であって、 重金属粉体を主成分とするコンパウンドを成形・焼結す
    ることにより、前記回転錘体部および前記回転重錘部が
    一体の回転錘ブランクを形成するブランク形成工程と、
    前記回転錘ブランクに機械加工を施して所定の寸法形状
    に仕上げる二次加工工程とを有することを特徴とする回
    転錘の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記二次加工工程
    は、前記回転中心穴の内周面を機械加工する穴加工、お
    よび前記回転錘ブランクの表面側を機械加工する表面加
    工のうちの少なくとも一方の加工を行う工程であること
    を特徴とする回転錘の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記二次加工工程で
    は、少なくとも前記回転中心穴の内周面を機械加工する
    穴加工を行うとともに、該穴加工の際には、前記回転重
    錘部の外周側を保持することを特徴とする回転錘の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、前記ブラン
    ク形成工程では、前記回転中心穴が抜きテーパをもつよ
    うに前記回転錘ブランクを形成し、前記穴加工では、当
    該抜きテーパを有する前記回転中心穴をストレート穴に
    加工することを特徴とする回転錘の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記二次加工工程で
    は、少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工
    する表面加工を行うとともに、前記ブランク形成工程で
    は、前記回転重錘部の外周側から前記回転中心穴の方に
    向けて前記表面加工時の仕上げ代が大きくなるように前
    記回転錘ブランクを形成することを特徴とする回転錘の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、前記二次加工工程で
    は、少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工
    する表面加工を行うとともに、該表面加工により、前記
    回転錘の厚さ寸法が略等しい部分では外周側より内周側
    の厚さ寸法が小となるようなテーパ面に前記回転錘の表
    面を仕上げることを特徴とする回転錘の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、前記二次加工工程で
    は、少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工
    する表面加工を行うとともに、該表面加工により、前記
    回転錘の厚さ寸法が略等しい部分では外周側より内周側
    の厚さ寸法が大となるようなテーパ面に前記回転錘の表
    面を仕上げることを特徴とする回転錘の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、前記二次加工工程で
    は、少なくとも前記回転錘ブランクの表面側を機械加工
    する表面加工を行うとともに、前記ブランク形成工程で
    は、前記回転中心穴内に軸受けを装着したときに当該軸
    受けの上端面が当該回転中心穴の上端縁よりも凹んでい
    る寸法よりも前記回転錘ブランクにおける前記回転中心
    穴周囲の仕上げ代が小さくなるように当該回転錘ブラン
    クを形成することを特徴とする回転錘の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1において、前記ブランク形成工
    程では、前記コンパウンドを用いた射出成形により前記
    回転錘ブランクを形成することを特徴とする回転錘の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記重金属粉体は
    タングステン粉体であることを特徴とする回転錘の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10において、前記ブ
    ランク形成工程では、前記回転重錘部の裏面側に相当す
    る位置に射出成形用のゲートを配置することを特徴とす
    る回転錘の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項9または10において、前記回
    転重錘部の裏面側には、該回転重錘部の最外周部分を内
    周側よりも分厚くする段差を形成するとともに、前記ブ
    ランク形成工程では、当該段差によって前記回転重錘部
    の裏面側で凹んでいる部分に相当する位置に射出成形用
    のゲートを配置することを特徴とする回転錘の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項9または10において、前記回
    転重錘部の裏面側には、該回転重錘部の最外周部分を内
    周側よりも分厚くする段差を形成するとともに、前記ブ
    ランク形成工程では、当該段差の内周面に相当する位置
    に射出成形用のゲートを配置することを特徴とする回転
    錘の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項9または10において、前記ブ
    ランク形成工程では、前記回転重錘部の外周端面のう
    ち、円弧状の外周面を除く側端面に相当する位置に射出
    成形用のゲートを配置することを特徴とする回転錘の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14において、前記回転重錘部
    の側端面には表面側で側方に向けて庇状に張り出す張り
    出し部分が形成され、該張り出し部分によって前記回転
    重錘部の側端面で凹んでいる部分に相当する位置に前記
    射出成形用のゲートを配置することを特徴とする回転錘
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項9または10において、前記ブ
    ランク形成工程では、前記回転錘体部に相当する位置に
    射出成形用のゲートを配置することを特徴とする回転錘
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし16のいずれかに規定
    する製造方法により製造したことを特徴とする回転錘。
  18. 【請求項18】 請求項17に規定する回転錘を有する
    時計であって、前記回転錘の前記回転中心穴にボールベ
    アリングが装着されているとともに、該ボールベアリン
    グの外輪と前記回転錘体部との重なり部分には接合処理
    が施されていることを特徴とする時計。
  19. 【請求項19】 請求項17または18に規定する回転
    錘を有する時計であって、当該回転錘が回転したときの
    運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置
    と、該発電装置で発生した電気エネルギーを蓄える二次
    電源と、該二次電源または前記発電装置から供給される
    電力により計時を行うとともに、該計時結果を表示する
    表示装置とを有していることを特徴とする時計。
  20. 【請求項20】 請求項17または18に規定する回転
    錘を有する時計であって、当該回転錘が回転したときの
    運動エネルギーを蓄えて計時および計時結果の表示を行
    うことを特徴とする時計。
  21. 【請求項21】 請求項18ないし20のいずれかにお
    いて、時計ケースの裏蓋は、前記回転錘の表面側を覆う
    ように配置されていることを特徴とする時計。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011090152A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Sharp Corp 表示装置
WO2013141493A1 (ko) * 2012-03-20 2013-09-26 Son Se Ik 시계 무브먼트의 로터

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