JP2006170763A - 複数の扇形運針輪列レイアウトが可能な多機能時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 多機能時計のムーブメントは、第1の輪列回転中心と、第2の輪列回転中心と、第3の輪列回転中心と、第4の輪列回転中心とを備える。第1の輪列回転中心、第2の輪列回転中心を中心として回転運動する小針により暦情報を表示することができる。第3の輪列回転中心、第4の輪列回転中心を中心として扇形運動する小針により暦情報を表示することができる。
【選択図】 図1
Description
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうちで、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうちで、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称する。ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。一般に、「12時側」とは、アナログ式時計において、文字板の12時に対応する目盛が配置されている方の側を示す。「12時方向」とは、アナログ式時計において、地板の中心或いは時針などの指針の回転中心(以下、「地板中心」という)から「12時側」に向かう方向を示す。また、「2時側」とは、アナログ式時計において、文字板の2時に対応する目盛が配置されている方の側を示す。「2時方向」とは、アナログ式時計において、地板中心から「2時側」に向かう方向を示す。
(2・1)第1タイプの多機能時計:
従来の第1タイプの小針を備えた多機能時計では、日星車と小曜車を時計中心に対して概略対称な位置に配置している。小針の一種である小日針が日星車に取り付けられる。また、小針の一種である小曜針が小曜車に取り付けられる。(例えば、特許文献1参照)。
従来の第2タイプの小針を備えた多機能時計では、日星車と小曜車を時計中心に対して概略対称な位置に配置し、日回し車、曜回し車が、それぞれ日送り爪、曜日送り爪の両方を有している(例えば、特許文献2参照)。
従来の第3タイプの多機能時計では、地板は、「センタークロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心と、「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心とを備えており、受部材は、「センタークロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心と、「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心とを備えており、小針の一種であるクロノグラフ針を備えた「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列は、前記地板の前記輪列回転中心と、前記受部材の前記輪列回転中心とに対して回転可能なように組み込まれる(例えば、特許文献3参照)。
従来の第4タイプの小針を備えた多機能時計では、「12時側」に360度回転する小針が配置され、「3時側」と「9時側」に扇形運針する小針がそれぞれ配置され、「6時側」に月齢を表示する円盤が配置されている。扇形運針する小針は、ひげぜんまいを設けた表示車に取り付けられている(例えば、特許文献4参照)。
また、本発明の目的は、暦の表示が見やすいように構成され、かつ、扇形運針輪列を含む、小型で製造が容易なアナログ多機能時計を実現することにある。
(1)第1の実施形態:
最初に、本発明の多機能時計に関連する第1の実施形態を説明する。
(1・1)ムーブメントの全体の構造:
図1〜図6を参照すると、第1の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、第1の実施形態は、「3時方向」、「6時方向」、「9時方向」、「12時方向」のうちの少なくとも1箇所に小針を備えたアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、第1の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「12時方向」に配置された24時針によって、24時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置された曜針によって、「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
図3を参照すると、多機能時計の動力源を構成する電池220が、地板202の裏蓋側に配置される。時計の源振を構成する水晶ユニット222が地板202の裏蓋側に配置される。例えば、32,768ヘルツで発振する水晶振動子が、水晶ユニット222に収容されている。水晶ユニット222のリード部は、回路基板224に固定される。電池プラス端子226が、電池220の陽極と、回路基板224のプラスパターンとを導通させるように配置される。電池マイナス端子228が、電池220の陽極と、回路基板224のマイナスパターンとを導通させるように配置される。本発明の多機能時計は、水晶ユニット以外の基準信号発生源(源振)を有する時計で構成することもできる。
図3および図4を参照すると、磁心に巻いたコイルワイヤを含むコイルブロック232と、コイルブロック232の磁心の両端部分と接触するように配置されたステータ234と、ステータ234のロータ穴に配置されたロータ磁石を含むロータ236とが、地板202の裏蓋側に配置される。コイルブロック232と、ステータ234と、ロータ236とが、ステップモータを構成する。
ロータ236の回転に基づいて回転する五番車238が、地板202の裏蓋側に配置される。五番車238は、五番歯車238bと、五番上かな238cと、五番下かな238dとを含む。ロータかなは五番歯車238bと噛み合うように構成される。五番車238の回転に基づいて回転する四番車240が、地板202の裏蓋側に配置される。五番かなは四番歯車と噛み合うように構成される。四番車240の回転に基づいて回転する三番車242が、地板202の裏蓋側に配置される。四番かなは三番歯車と噛み合うように構成される。三番車242の回転に基づいて回転する二番車244が、地板202の裏蓋側に配置される。二番車244は二番歯車244bと、二番かな244cとを含む。三番かなは二番歯車244bと噛み合うように構成される。スリップ機構が、二番歯車244bと、二番かな244cとの間に設けられる。スリップ機構を設けることより、針合わせをするときに、表輪列の回転を停止させた状態で、巻真210を回転させて、分針及び時針を回転させることができる。分針244hが二番車244に取り付けられている。
次に、切換機構の構造について説明する。第1の実施形態では、切換機構は、地板202の裏蓋側に配置される。切換機構は、「3−6時領域」に配置される。変形例として、切換機構は、地板202の文字板側に配置することもできる。切換機構、時刻合わせ機構、カレンダ修正機構は、巻真210を引き出した状態で巻真210を回転させることによって、時計の時刻を合わせ、カレンダ表示を修正するために設けられる。図3、図4〜図6を参照すると、切換機構は、おしどり270、かんぬき272を含むように構成される。おしどり270、かんぬき272は、地板202に対して作動可能なように支持される。この構成では、かんぬき272は、一方の尾部に、かんぬきばね部を含むように構成される。おしどり270と、かんぬき272の接触によって、おしどりの回転方向の位置を決めることができる。
次に、日表示機構の構造について説明する。図1、図2、図4〜図6を参照すると、筒車262の回転に基づいて日車送り機構が作動するように構成される。日表示機構は、日回し車310と、日星車312とを含む。筒車262の回転により、日回し車310が回転するように構成される。日回し車310は、地板202に設けられた日回し車ピンに対して回転可能に支持される。日回し車310の回転中心は、「5時方向」と「6時方向」との間の領域(すなわち、「5−6時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図1、図2、図4および図5を参照すると、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、小曜車322とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜回し車320は、地板202に設けられた曜回し車ピンに対して回転可能に支持される。曜回し車320の回転中心は、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、24時表示機構の構造について説明する。図1を参照すると、曜回し車320の回転に基づいて24時表示機構が作動するように構成される。24時表示機構は、時車330を含む。筒車262の回転により、曜回し車320の回転を介して、時車330が回転するように構成される。時車330に設けられた下軸部は、地板202に設けられた時車案内穴に対して回転可能に支持される。時車330の回転中心は、「12時方向」に配置されるのが好ましい。曜回し車320に設けられた曜回し歯320bは、時車330の歯部330bと噛み合うように構成される。時車330は24時間で1回転するように構成される。
次に、秒表示機構の構造について説明する。図1および図4を参照すると、五番車238の回転に基づいて秒表示機構が作動するように構成される。秒表示機構は、秒車340を含む。秒車340の歯車部は、五番下かな238dと噛み合うように構成される。ロータ236の回転により、五番車238の回転を介して、秒車340が回転するように構成される。秒車340の下軸部は、地板202に対して回転可能に支持される。秒車340の上軸部は、秒車受342に対して回転可能に支持される。秒車受342は、日回し車310と重ならないように配置されるのが好ましい。秒車340の回転中心は、「6時方向」に配置されるのが好ましい。秒車340は1分間で1回転するように構成される。
次に、日修正機構の構造について説明する。図1、図2、図4〜図6を参照すると、ムーブメント201の裏側には、日星車312による日の表示を修正するための日修正機構が設けられる。日修正機構は、第1修正伝え車351と、第2修正伝え車352と、第3修正伝え車353と、第4修正伝え車354と、日修正車355とにより構成される。巻真210を1段目にした状態で、第1修正伝え車351は、巻真210の第1修正伝え車案内部に対して回転可能に支持される。すなわち、第1修正伝え車351と巻真210は、互いに同軸になるように配置される。第2修正伝え車352は、地板202に対して回転可能に支持される。第2修正伝え車352の歯車部は、地板202と、日修正伝え車押さえ314との間に配置される。第2修正伝え車352の回転中心は、「3時方向」に配置される。したがって、第2修正伝え車352の回転中心は、巻真210の中心軸線上に配置される。第2修正伝え車352の回転中心は、日星車312の回転中心と同じ位置に配置されるのが好ましい。
次に、地板202の構造について説明する。図7を参照すると、第1の実施形態では、地板202の外形形状は、地板中心202cを中心として、ほぼ円形に形成される。なお、地板202の外形形状は四角形、多角形、長円形等の他の形状であってもよい。地板202は、ポリカーボネート、ポリサルホン等のエンジニアリングプラスチックで形成してもよいし、或いは、黄銅などの金属で形成してもよい。二番車244の回転中心と、筒車262の回転中心は、地板中心202cに配置される。中心パイプ202bの中心軸線は地板中心202cに配置される。
次に、日修正伝え車押さえ314の構造について説明する。図8を参照すると、日修正伝え車押さえ314は、「12−3時領域」および「3−6時領域」に配置される。日修正伝え車押さえ314は、ステンレス鋼、りん青銅などの弾性材料で形成された板状部材である。第4修正伝え車354を地板202に向かって加圧するための修正ばね部314bが日修正伝え車押さえ314に設けられる。修正ばね部314bは、「12時方向」と「3時方向」との間の領域(すなわち、「12−3時領域」)に配置されるのが好ましい。修正ばね部314bが第4修正伝え車354と接触する先端部分は、「12時方向」と「1時方向」との間の領域(すなわち、「12−1時領域」)に配置されるのが好ましい。さらに、日星車312の下方に位置する日修正伝え車押さえ314の一部は、地板202の裏面に向かって円形に絞られ、この円形絞り部の中心に設けられた穴が、日星車案内穴の周囲に設けられた日修正伝え車押さえ案内軸部に嵌め込まれるように構成されるのが好ましい。日修正伝え車押さえ314は、さらに、他の形態で用いる更なる修正ばね部314b2を備えている。
次に、裏物押さえ316の構造について説明する。図9を参照すると、裏物押さえ316は、ステンレス鋼、りん青銅などの弾性材料で形成された板状部材である。日星車312の回転方向の位置を規正するための日ジャンパ316bが、裏物押さえ316に設けられる。日ジャンパ316bのばね部は、「12時方向」と「3時方向」との間の領域(すなわち、「12−3時領域」)に配置されるのが好ましい。日ジャンパ316bのばね部の先端に設けられた規正部は、「2時方向」と「3時方向」との間の領域(すなわち、「2−3時領域」)に配置されるのが好ましい。小曜車322の回転方向の位置を規正するための曜ジャンパ316cが、裏物押さえ316に設けられる。曜ジャンパ316cのばね部は、「6時方向」と「9時方向」との間の領域(すなわち、「6−9時領域」)に配置されるのが好ましい。曜ジャンパ316cのばね部の先端に設けられた規正部は、「8時方向」と「9時方向」との間の領域(すなわち、「8−9時領域」)に配置されるのが好ましい。裏物押さえ316は、さらに、他の形態で用いる更なる日ジャンパ316b2と、更なる曜ジャンパ316c2とを備えている。
以下に、第1の実施形態の作用について説明する。図1、図4、図5を参照すると、ムーブメント201において、水晶ユニット222に収容された水晶振動子が、例えば、32,768ヘルツで発振する。この水晶振動子の振動に基づいて、集積回路230に内蔵されている発振部が基準信号を出力し、分周部が発振部の出力信号を分周する。駆動部が分周部の出力信号に基づいて、ステップモータを駆動するモータ駆動信号を出力する。コイルブロック232がモータ駆動信号を入力すると、ステータ234が磁化して、ロータ236を回転させる。ロータ236は、例えば、1秒ごとに180度回転する。ロータ236の回転に基づいて、五番車238の回転を介して四番車240が回転する。また、ロータ236の回転に基づいて、五番車238の回転を介して秒車340が1分間に1回転する。三番車242が四番車240の回転に基づいて回転する。
以下に、日修正機構の作動について説明する。
図1、図2、図4〜図6を参照すると、巻真210を0段目から1段目に引き出した状態で、巻真210を1つの方向に回転させると、第1修正伝え車351、第2修正伝え車352、第3修正伝え車353の回転を介して、第4修正伝え車354が日修正車355に近づく方向に移動すると、第4修正伝え車354の歯車部は、日修正車355の歯車部と噛み合うことができる。したがって、巻真210を1段目に引き出した状態で、巻真210を1つの方向に回転させて、日星車312を回転させて、日修正を行うことができる。
以下に、針合わせの作動について説明する。図4を参照すると、巻真210を2段目に引き出した状態で、つづみ車274の甲歯274aは小鉄車278と噛合う。巻真210を2段目に引き出すと、規正レバー250のばね部が回転して、リセットレバー252に接触する。これにより、規正レバー250のばね部は、リセットレバー252を介して回路基板224のリセットパターンと導通して、集積回路230の動作をリセットし、同時に、規正レバー250が四番車240を規正する。巻真210を2段目に引き出した状態で、巻真210を回転させることによって、つづみ車274の回転を介して、小鉄車278は回転する。小鉄車278が回転することによって、日の裏車260の回転を介して、二番車244の二番かなと、筒車262が回転する。巻真210を2段目に引き出した状態で針合わせを行うとき、二番車244の二番かなは、二番車244の二番歯車に対してスリップすることができる。巻真210を回転させることによって、二番かなが回転することによって、分針244hが回転し、筒車262が回転することによって、時針262hが回転するので、時刻表示(「時」および「分」の表示)を修正することができる。
図10を参照すると、多機能時計の実施形態において、一例として、9種類(第1種〜第9種)の針位置および針仕様を実現することができる。なお、本発明に関連する多機能時計は、図10に示す9種類の針位置および針仕様に限定するものではない。図10および図11を参照すると、多機能時計の実施形態の第1種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「12時方向」に配置された時車330に取り付けた24時針330hによって、24時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置された小曜車322に取り付けた曜針322hによって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。地板中心202cから日針312hの回転中心までの距離と、地板中心202cから小秒針340hの回転中心までの距離と、地板中心202cから曜針322hの回転中心までの距離と、地板中心202cから24時針330hの回転中心までの距離とは、等しくなるように構成するのが好ましい。しかしながら、上記の中心間距離は、等しくないように構成することもできる。
以上で、多機能時計の第1の実施形態をアナログ電子時計のムーブメントに関して説明したけれども、本発明は、いずれの実施形態に関しても、ムーブメントを機械式時計で構成することもできる。変形例として、図16〜図18を参照すると、機械式時計の実施形態において、ムーブメント20は、ムーブメント20の基板を構成する地板22を備える。機械式時計の実施形態では、香箱車、二番車、三番車、四番車等の表輪列、回転錘、つめレバー等の自動巻機構、おしどり、かんぬき等の切換機構は、それぞれムーブメント20の表側に組み込まれる。機械式時計の実施形態において、ムーブメントの裏側の構造は、図1および図2に示すアナログ電子時計のムーブメントの裏側の構造と同様に構成することができる。
次に、多機能時計の第2の実施形態を説明する。以下の説明は、多機能時計の第2の実施形態が多機能時計の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した多機能時計の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
図22〜図24を参照すると、第2の実施形態は、アナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、第2の実施形態は、「2時方向」、「6時方向」、「10時方向」のうちの少なくとも1箇所に小針を備えたアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。第2の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置された曜針によって、「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、日表示機構の構造について説明する。図22〜図24を参照すると、ムーブメント201Bにおいて、筒車262の回転に基づいて日車送り機構が作動するように構成される。日表示機構は、日回し車310と、日星車312とを含む。筒車262の回転により、日回し車310が回転するように構成される。日回し車310は、地板202に設けられた第2日回し車ピンに対して回転可能に支持される。日回し車310の回転中心は、「4時方向」と「5時方向」との間の領域(すなわち、「4−5時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図22〜図24を参照すると、ムーブメント201Bにおいて、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、小曜車322とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜回し車320は、地板202に設けられた第2曜回し車ピンに対して回転可能に支持される。曜回し車320の回転中心は、「8時方向」と「9時方向」との間の領域(すなわち、「8−9時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、日修正機構の構造について説明する。図22〜図24を参照すると、ムーブメント201Bの裏側には、日星車312による日の表示を修正するための日修正機構が設けられる。日修正機構は、第1修正伝え車351と、第2修正伝え車352と、第3修正伝え車353と、第4修正伝え車354と、日修正車355とにより構成される。第2修正伝え車352の回転中心は、「3時方向」に配置される。本発明の多機能時計の第2の実施形態における第2修正伝え車352の回転中心は、本発明の多機能時計の第1の実施形態における第2修正伝え車352の回転中心と同じ配置である。
次に、地板202の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図7を参照すると、地板202は、さらに、第2の実施形態における日回し車310の回転中心202DW2、第2の実施形態における日星車312の回転中心202DS2、第2の実施形態における曜回し車320の回転中心202WT2、第2の実施形態における小曜車322の回転中心202SW2、第2の実施形態における日修正車355の回転中心202SB2の回転部材の回転中心を備える。
次に、日修正伝え車押さえ314の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図8を参照すると、第2の実施形態における第4修正伝え車354を地板202に向かって加圧するための第2修正ばね部314b2が日修正伝え車押さえ314に設けられる。修正ばね部314b2は、「1時方向」と「2時方向」との間の領域(すなわち、「1−2時領域」)に配置されるのが好ましい。第2修正ばね部314b2が第4修正伝え車354と接触する先端部分は、「1時方向」と「2時方向」との間の領域(すなわち、「1−2時領域」)に配置されるのが好ましい。さらに、日星車312の下方に位置する日修正伝え車押さえ314の一部は、地板202の裏面に向かって円形に絞られ、この円形絞り部の中心に設けられた穴が、日星車案内穴の周囲に設けられた日修正伝え車押さえ案内軸部に嵌め込まれるように構成されるのが好ましい。以上説明したように、第1の実施形態、第2の実施形態では、日修正伝え車押さえ314は、ムーブメント201に使用することができるし、また、ムーブメント201Bに使用することもできる。
次に、裏物押さえ316の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図9を参照すると、第2の実施形態における日星車312の回転方向の位置を規正するための第2日ジャンパ316b2が、裏物押さえ316に設けられる。第2日ジャンパ316bのばね部は、「1時方向」と「5時方向」との間の領域(すなわち、「1−5時領域」)に配置されるのが好ましい。第2日ジャンパ316bのばね部の先端に設けられた規正部は、「12時方向」と「1時方向」との間の領域(すなわち、「12−1時領域」)に配置されるのが好ましい。第2の実施形態における小曜車322の回転方向の位置を規正するための第2曜ジャンパ316c2が、裏物押さえ316に設けられる。第2曜ジャンパ316c2のばね部は、「7時方向」と「10時方向」との間の領域(すなわち、「7−10時領域」)に配置されるのが好ましい。第2曜ジャンパ316c2のばね部の先端に設けられた規正部は、「9時方向」と「10時方向」との間の領域(すなわち、「9−10時領域」)に配置されるのが好ましい。以上説明したように、第1の実施形態、第2の実施形態では、裏物押さえ316は、ムーブメント201に使用することができるし、また、ムーブメント201Bに使用することもできる。
図10を参照すると、図10および図25を参照すると、多機能時計の実施形態の第5種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置された小曜車322に取り付けた曜針322hによって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。
次に、本発明の多機能時計の第3の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の多機能時計の第3の実施形態が前述した第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した第1の実施形態についての説明をここに準用する。本発明の多機能時計の第3の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、曜表示機構である。すなわち、本発明の多機能時計の第3の実施形態の特徴は、扇形運針することができる、いわゆる「レトログラードタイプ」の曜針を備えることにある。
図25〜図27を参照すると、本発明の多機能時計の第3の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第3の実施形態は、「3時方向」、「6時方向」、「12時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「9時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第3の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「12時方向」に配置された24時針によって、24時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図25〜図27を参照すると、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、復針レバー466と、曜ジャンパ468と、曜戻しばね472とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜回し車320は、地板202に設けられた曜回し車ピン320pに対して回転可能に支持される。曜回し車320の回転中心は、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。小曜車464の回転中心は、「9時方向」に配置される。
次に、地板202の構造について、第1の実施形態、第2の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図7を参照すると、地板202は、さらに、第3の実施形態における曜伝え車462の回転中心202WD、第3の実施形態における復針レバー466の回転中心202WF、第3の実施形態における曜回し車320の回転中心202WT2、第3の実施形態における小曜車464の回転中心202WGを備える。第3の実施形態における曜回し車320の回転中心は、第1の実施形態における曜回し車320の回転中心202WT2と同じ位置に配置することができる。上記のそれぞれの回転中心には、当該回転中心を中心として回転する回転部材を回転可能なように支持するために、当該回転部材の中心穴を案内するための案内軸部が形成され、或いは、当該回転部材の軸部を案内するための案内穴が形成される。すなわち、輪列案内部は、回転部材を回転可能なように案内するための案内穴、案内軸受、案内軸、案内ピンなどによって構成することができる。
次に、裏物押さえ480の構造について説明する。本発明の多機能時計の第3の実施形態において使用する裏物押さえ480は、前述した第1の実施形態において使用する裏物押さえ316と、日ジャンパ、曜ジャンパの形状が異なる。図30を参照すると、裏物押さえ480は、第1の実施形態において日星車312の回転方向の位置を規正するための第1日ジャンパ480aと、第2の実施形態において日星車312の回転方向の位置を規正するための第2日ジャンパ480bと、第3の実施形態において曜ジャンパ316cの先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付けるための曜ジャンパ加圧ばね部480cとを含む。
以下に、本発明の多機能時計の第3の実施形態において、曜送り機構の作用について説明する。図25〜図27を参照すると、曜針464hと、文字板454の文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示している状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。戻しばね部472cの先端部分は、戻りカム部464cのカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ316cにより規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ316cの先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。復針レバー466のカム接触部466cは、曜伝え車462の伝えカム部462cと接触する。復針レバー466の第1作動歯車部466fは、小曜車464の曜歯車部464bと噛み合う。曜戻しばね472の戻しばね部472cは、小曜車464の戻りカム部464cを小曜車464のカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。戻しばね部472cのばね力によって、小曜車464は、常に、反時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466は、常に、時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466のカム接触部466cの先端部は、常に、曜伝え車462の伝えカム部462cに押し付けられるような力を受ける。
図10および図32を参照すると、多機能時計の実施形態の第7種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置された小曜車464に取り付けた扇形運針することができる曜針464hによって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。例えば、曜針464hは、90度〜160度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示することができる。構成部品の設計の余裕と、曜表示のデザイン性からみると、曜針464hは、100度〜120度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示するのが好ましい。
次に、本発明の多機能時計の第4の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の多機能時計の第4の実施形態が前述した第3の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した第3の実施形態についての説明をここに準用する。
図34を参照すると、本発明の多機能時計の第4の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第4の実施形態は、「2時方向」、「6時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「10時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第4の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図34および図35を参照すると、ムーブメント451Bにおいて、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、復針レバー466と、曜ジャンパ468と、曜戻しばね472とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜戻しばね472は、地板202に固定されたベース部472bと、小曜車464の戻りカム部464cを押すように構成された戻しばね部472cとを含む。曜戻しばね472は、ステンレス鋼、りん青銅などの弾性材料で形成された板状部材である。戻しばね部472cの先端部分は、戻りカム部464cのカム外形部に接触するように構成される。戻しばね部472cの先端部分が戻りカム部464cのカム外形部を押す力の向きは、小曜車464の回転中心から偏心した箇所に向かうようになっている。したがって、前記小曜車464の回転中心から偏心した箇所までの偏心距離と、前記押す力とを掛け合わせた値をとして定められる回転トルクによって、小曜車464を回転させる回転モーメントを発生させるように構成されている。曜戻しばね472の戻しばね部472cは、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、地板202の構造について、前述した説明に追加する説明を行う。図7を参照すると、地板202は、さらに、第4の実施形態における小曜車464の回転中心202WG2を備える。第4の実施形態における曜回し車320の回転中心は、第3の実施形態における曜回し車320の回転中心202WT2と同じ位置に配置することができる。第2の実施形態における復針レバー466の回転中心は、第3の実施形態における復針レバー466の回転中心202WFと同じ位置に配置することができる。地板202は、さらに、第3の実施形態の配置における曜戻しばね472を案内して位置決めするためのピンと、第4の実施形態の配置における曜戻しばね472を案内して位置決めするためのピンとを備える。第3の実施形態の配置における曜戻しばね472を案内して位置決めするためのピンは、「8時方向」と「9時方向」との間の領域(すなわち、「8−9時領域」)に配置されるのが好ましい。第4の実施形態の配置における曜戻しばね472を案内して位置決めするためのピンは、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、裏物押さえ480の構造について説明する。本発明の多機能時計の第4の実施形態においては、前述した本発明の多機能時計の第3の実施形態において使用する裏物押さえ480と同じものを用いることができる。すなわち、第3の実施形態における曜ジャンパ加圧ばね部480cの寸法形状は、第3の実施形態における曜ジャンパ加圧ばね部480cの寸法形状と同じように構成することができる。
本発明の多機能時計の第4の実施形態において、曜送り機構の作用は、第3の実施形態について説明したものと同様である。図34および図35を参照すると、曜針464hと、文字板454Cの文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示する状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。戻しばね部472cの先端部分は、戻りカム部464cのカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ316cにより規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ316cの先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。復針レバー466のカム接触部466cは、曜伝え車462の伝えカム部462cと接触する。復針レバー466の第2作動歯車部466gは、小曜車464の曜歯車部464bと噛み合う。曜戻しばね472の戻しばね部472cは、小曜車464の戻りカム部464cを小曜車464のカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。戻しばね部472cのばね力によって、小曜車464は、常に、反時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466は、常に、時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466のカム接触部466cの先端部は、常に、曜伝え車462の伝えカム部462cに押し付けられるような力を受ける。
図10および図38を参照すると、多機能時計の実施形態の第9種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置された小曜車464に取り付けた扇形運針することができる曜針464hによって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。例えば、曜針464hは、90度〜160度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示することができる。構成部品の設計の余裕と、曜表示のデザイン性からみると、曜針464hは、100度〜120度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示するのが好ましい。
次に、本発明の多機能時計の第5の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の多機能時計の第5の実施形態が前述した第3の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した第3の実施形態についての説明をここに準用する。本発明の多機能時計の第5の実施形態が、第3の実施形態と異なる点は、曜表示機構である。すなわち、本発明の多機能時計の第5の実施形態の特徴は、ひげぜんまいを含む曜表示機構を備えることにある。
図39を参照すると、本発明の多機能時計の第5の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第5の実施形態は、「3時方向」、「6時方向」、「12時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「9時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第3の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「12時方向」に配置された24時針によって、24時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図39、図40および図42を参照すると、ムーブメント501において、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、復針レバー466と、曜ジャンパ468と、曜ひげぜんまい524と、曜ひげ持ち526と、曜ひげ玉528とを含む。曜ひげぜんまい524の内端部は、曜ひげ玉528に固定される。曜ひげぜんまい524の外端部は、曜ひげ持ち526に固定される。曜ひげ持ち526の本体下部526bは、地板502の曜ひげ持ち取付部502bに組み込まれる。曜ひげぜんまい524は、エリンバーなどの弾性金属材料の薄板部材を用いて、渦巻き状に形成される。曜ひげ玉528の中心穴は、小曜車464の中間軸部464kに固定される。小曜車464の回転中心は、「9時方向」に配置される。
以下に、地板502の構造について説明する。図41を参照すると、第1の実施形態、第2の実施形態における地板202と同様に、地板502は、ロータ236の回転中心202RT、五番車238の回転中心202FW、四番車240の回転中心(図示せず)、三番車242の回転中心(図示せず)、日の裏車260の回転中心202HW、小鉄車278の回転中心(図示せず)、日回し車310の回転中心202DW、日星車312の回転中心202DS、曜回し車320の回転中心202WT、小曜車322の回転中心202SW、時車330の回転中心202HG、秒車340の回転中心202BW、第3修正伝え車353の回転中心202SA、日修正車355の回転中心202SB等の回転部材の回転中心を備える。地板502は、さらに、第3の実施形態における曜伝え車462の回転中心202WD、第3の実施形態における復針レバー466の回転中心202WF、第3の実施形態における曜回し車320の回転中心202WT2、第3の実施形態における小曜車464の回転中心202WGを備える。地板502は、さらに、曜ひげ持ち取付部502bを備える。上記のそれぞれの回転中心には、当該回転中心を中心として回転する回転部材を回転可能なように支持するために、当該回転部材の中心穴を案内するための案内軸部が形成され、或いは、当該回転部材の軸部を案内するための案内穴が形成される。すなわち、輪列案内部は、回転部材を回転可能なように案内するための案内穴、案内軸受、案内軸、案内ピンなどによって構成することができる。
次に、裏物押さえ480の構造について説明する。本発明の多機能時計の第5の実施形態において使用する裏物押さえ480の寸法形状は、前述した第3の実施形態において使用する裏物押さえ316の寸法形状と同じである。
以下に、本発明の多機能時計の第5の実施形態において、曜送り機構の作用について説明する。図39、図40および図42を参照すると、曜針464hと、文字板454の文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示している状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。戻しばね部472cの先端部分は、戻りカム部464cのカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ316cにより規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ316cの先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。復針レバー466のカム接触部466cは、曜伝え車462の伝えカム部462cと接触する。復針レバー466の第1作動歯車部466fは、小曜車464の曜歯車部464bと噛み合う。曜ひげぜんまい524の渦巻き状に形成された部分のばね力によって、小曜車464は、常に、反時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466は、常に、時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466のカム接触部466cの先端部は、常に、曜伝え車462の伝えカム部462cに押し付けられるような力を受ける。
次に、本発明の多機能時計の第6の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の多機能時計の第6の実施形態が前述した第5の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した第5の実施形態についての説明をここに準用する。
図45を参照すると、本発明の多機能時計の第6の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第6の実施形態は、「2時方向」、「6時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「10時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第6の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図45および図46を参照すると、ムーブメント501Bにおいて、曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、復針レバー466と、曜ジャンパ468と、曜ひげぜんまい524と、曜ひげ持ち526と、曜ひげ玉528とを含む。曜ひげぜんまい524の内端部は、曜ひげ玉528に固定される。曜ひげ持ち526の本体下部526bは、地板502の第2曜ひげ持ち取付部502cに組み込まれる。小曜車464の回転中心は、「10時方向」に配置される。
以下に、地板502の構造について説明する。図41を参照すると、地板502は、さらに、曜ひげ持ち取付部502cを備える。ムーブメント201、ムーブメント201B、ムーブメント501、ムーブメント501Bは、第1のタイプの小針の配置を有する第1のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第1の輪列回転中心と、第2のタイプの小針の配置を有する第2のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第2の輪列回転中心と、第3のタイプの小針の配置を有する第3のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第3の輪列回転中心と、第4のタイプの小針の配置を有する第4のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第4の輪列回転中心とを備える。前記第1の輪列回転中心、前記第2の輪列回転中心、前記第3の輪列回転中心、前記第4の輪列回転中心には、その位置を中心として回転する輪列部材を回転可能に案内するための輪列案内部(案内穴、案内軸受、案内軸、案内ピンなど)が設けられている。前記第1の輪列回転中心、前記第2の輪列回転中心、前記前記第3の輪列回転中心、第4の輪列回転中心は、地板502の地板中心202cと地板502の地板外形部との間の位置に配置される。以上説明したように、第1の実施形態、第2の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態では、地板502は、ムーブメント201に使用することもできるし、ムーブメント201Bに使用することもできるし、ムーブメント501に使用することもできるし、さらに、ムーブメント501Bに使用することもできる。
次に、裏物押さえ480の構造について説明する。本発明の多機能時計の第6の実施形態において使用する裏物押さえ480の寸法形状は、前述した第3の実施形態において使用する裏物押さえ316の寸法形状と同じである。
以下に、本発明の多機能時計の第6の実施形態において、曜送り機構の作用について説明する。図45および図46を参照すると、曜針464hと、文字板454の文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示している状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。戻しばね部472cの先端部分は、戻りカム部464cのカム外形部の最小半径に近い部分に接触する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ316cにより規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ316cの先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。復針レバー466のカム接触部466cは、曜伝え車462の伝えカム部462cと接触する。復針レバー466の第1作動歯車部466fは、小曜車464の曜歯車部464bと噛み合う。曜ひげぜんまい524の渦巻き状に形成された部分のばね力によって、小曜車464は、常に、反時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466は、常に、時計回り方向に回転するような力を受ける。復針レバー466のカム接触部466cの先端部は、常に、曜伝え車462の伝えカム部462cに押し付けられるような力を受ける。
202 地板
204 文字板
210 巻真
236 ロータ
238 五番車
240 四番車
242 三番車
244 二番車
244h 分針
260 日の裏車
262 筒車
262h 時針
310 日回し車
312 日星車
312h 日針
320 曜回し車
322 小曜車
322h 曜針
330 時車
330h 24時針
340 秒車
340h 小秒針
351 第1修正伝え車
352 第2修正伝え車
353 第3修正伝え車
354 第4修正伝え車
355 日修正車
462 曜伝え車
462b 曜伝え歯車部
462c 伝えカム部
464 小曜車
464a 下軸部
464b 曜歯車部
464c 戻りカム部
464d 上軸部
464g 針取付部
466 復針レバー
466c カム接触部
466f 第1作動歯車部
466g 第2作動歯車部
468 曜ジャンパ
472 曜戻しばね
472b ベース部
472c 戻しばね部
480 裏物押さえ
480c 曜ジャンパ加圧ばね部
501 ムーブメント
502 地板
524 曜ひげぜんまい
526 曜ひげ持ち
528 曜ひげ玉
Claims (11)
- ムーブメントの基板を構成する地板(202、502)と、表示を修正するための巻真(210)と、前記巻真(210)の位置を切り換えるための切換機構と、時刻情報を表示するための文字板と、時刻情報又は暦情報を表示するための小針とを備えた多機能時計であって、
前記ムーブメントは、第1のタイプの小針の配置を有する第1のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第1の輪列回転中心と、第2のタイプの小針の配置を有する第2のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第2の輪列回転中心と、第3のタイプの小針の配置を有する第3のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第3の輪列回転中心と、第4のタイプの小針の配置を有する第4のタイプの多機能時計を製造するときに用いられる輪列のための第4の輪列回転中心と、を備え、
前記第1の輪列回転中心には、その位置を中心として回転運動する輪列部材を回転運動可能に案内するための輪列案内部が設けられており、
前記第2の輪列回転中心には、その位置を中心として回転運動する輪列部材を回転運動可能に案内するための輪列案内部が設けられており、
前記第3の輪列回転中心には、その位置を中心として扇形運動する輪列部材を扇形運動可能に案内するための輪列案内部が設けられており、
前記第4の輪列回転中心には、その位置を中心として扇形運動する輪列部材を扇形運動可能に案内するための輪列案内部が設けられており、
前記回転運動する輪列部材の輪列回転中心は、前記地板(202、502)の地板中心(202c)と前記地板(202)の地板外形部との間の位置に配置されており、
前記扇形運動する輪列部材の輪列回転中心は、前記地板(202、502)の地板中心(202c)と前記地板(202、502)の地板外形部との間の位置に配置されており、
暦情報を表示するための輪列が、第3の輪列回転中心又は第4の輪列回転中心に対して回転可能なように配置され、
前記第1の輪列回転中心に時刻情報を表示するための輪列を配置したときに、その輪列によって回転運動する小針により時刻情報を表示することができ、前記第2の輪列回転中心に時刻情報を表示するための輪列を配置したときに、その輪列によって回転運動する小針により時刻情報を表示することができるように構成され、
前記第3の輪列回転中心に暦情報を表示するための前記扇形運針輪列を配置したときに、その扇形運針輪列によって扇形運動する小針により暦情報を表示することができ、前記第4の輪列回転中心に暦情報を表示するための前記扇形運針輪列を配置したときに、その扇形運針輪列によって扇形運動する小針により暦情報を表示することができるように構成される、
ことを特徴とする多機能時計。 - 請求項1に記載の多機能時計において、前記扇形運動する輪列部材の回転中心と、前記地板(202、502)の地板中心(202c)との間の距離は、前記回転運動する輪列部材の回転中心と、前記地板(202、502)の地板中心(202c)との間の距離より大きくなるように構成されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記第1の輪列回転中心は、前記ムーブメントの3時方向に配置され、前記第2の輪列回転中心は、前記ムーブメントの2時方向に配置されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項3に記載の多機能時計において、日表示を行うための日星車(312)が、前記第1の輪列回転中心、又は、前記第2の輪列回転中心を回転中心として回転可能なように配置されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記第3の輪列回転中心は、前記ムーブメントの9時方向に配置され、前記第4の輪列回転中心は、前記ムーブメントの10時方向に配置されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項5に記載の多機能時計において、曜表示を行うための小曜車(464、522)が、前記第3の輪列回転中心、又は、前記第4の輪列回転中心を回転中心として扇形運動可能なように配置されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記扇形運針輪列は、
筒車(262)の回転に基づいて回転するように構成された回し車(320)と、
前記回し車(320)の回転に基づいて回転するように構成された伝え車(462)と、
前記伝え車(462)の回転方向の位置を規正するためのジャンパ(468)と、
小針(464h)により暦情報を表示するための表示車(464)と、
前記伝え車(462)の回転に基づいて回転するように構成された復針レバー(466)と、
前記表示車(464)に回転力を与えるための戻しばね部(472c)を含む戻しばね(472)とを備えており、
前記伝え車(462)は、伝えカム部(462c)を有し、前記復針レバー(466)のカム接触部(466c)が前記伝えカム部(462c)の伝えカム外周部分に接触し、
前記暦情報表示車(464)は戻りカム部(464c)を有しており、
前記戻しばね(472)の戻しばね部(472c)が前記戻りカム部(464c)の戻りカム外形部を押すように構成され、前記戻しばね部(472c)の先端部分が前記戻りカム部(464c)のカム外形部を押す力の向きは、前記表示車(464)の回転中心から偏心した箇所に向かうようになっており、それによって、前記表示車(464)を回転させる回転モーメントを発生させるように構成されている、
ことを特徴とする多機能時計。 - 請求項7に記載の多機能時計において、前記伝え車(462)の回転中心は、「9時方向」と「10時方向」との間の領域に配置されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項7に記載の多機能時計において、前記復針レバー(466)は、その回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成された第1作動歯車部(466f)と、その回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成された第2作動歯車部(466g)とを含むことを特徴とする多機能時計。
- 請求項9に記載の多機能時計において、前記第1作動歯車部(466f)の開角の中心線と、前記第2作動歯車部(466g)の開角の中心線とのなす角度は、90度から180度であることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記扇形運針輪列は、
筒車(262)の回転に基づいて回転するように構成された回し車(320)と、
前記回し車(320)の回転に基づいて回転するように構成された伝え車(462)と、
前記伝え車(462)の回転方向の位置を規正するためのジャンパ(468)と、
小針(464h)により暦情報を表示するための表示車(464)と、
前記伝え車(462)の回転に基づいて回転するように構成された復針レバー(466)と、
前記表示車(464)に回転力を与えるための曜ひげぜんまい(524)とを備えており、
前記伝え車(462)は、伝えカム部(462c)を有し、前記復針レバー(466)のカム接触部(466c)が前記伝えカム部(462c)の伝えカム外周部分に接触するように構成され、
前記曜ひげぜんまい(524)の内端部は、前記表示車(464)に対して固定され、
前記第3の輪列回転中心に暦情報を表示するための前記扇形運針輪列を配置したときに、前記曜ひげぜんまい(524)の外端部を取り付けるための第1取付部と、前記第4の輪列回転中心に暦情報を表示するための前記扇形運針輪列を配置したときに、前記曜ひげぜんまい(524)の外端部を取り付けるための第2取付部とが、前記地板(502)に設けられている、
ことを特徴とする多機能時計。
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