JP2000130752A - グロープラグ - Google Patents

グロープラグ

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JP2000130752A
JP2000130752A JP10308035A JP30803598A JP2000130752A JP 2000130752 A JP2000130752 A JP 2000130752A JP 10308035 A JP10308035 A JP 10308035A JP 30803598 A JP30803598 A JP 30803598A JP 2000130752 A JP2000130752 A JP 2000130752A
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Japan
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coil
temperature
diameter
sheath
glow plug
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JP10308035A
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English (en)
Inventor
Tomoaki Kumada
智哲 熊田
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 主に大型ディーゼルエンジンに使用され急速
昇温が可能であって、典型的な過昇防止型昇温特性を示
すとともに、耐久性も良好なグロープラグを提供するも
のである。 【解決手段】 シーズチューブ11の先端側を突出さ
せ、その外側に配置される筒状の主体金具3と、その内
で軸線方向に配置された複数の抵抗線コイルとを備え、
その抵抗線コイルは、主体金具の突出部内の先端側に配
置される発熱コイル21と、その後方側にこれと直列接
続されるとともに、発熱コイル21よりも抵抗温度係数
の大きい制御コイル23とを含む。シーズチューブ11
の制御コイル部シーズ径を発熱コイル部シーズ径よりも
大きく設定するとともに、発熱コイル21は線径をφ
0.15〜0.3mmであってかつその融点を1350
℃以上とし、制御コイル23は線径をφ0.15〜0.
3mmとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ン予熱用等に使用されるグロープラグに関する。
【0002】
【従来の技術】上記のようなグロープラグは一般に、耐
熱性金属で構成されたシーズチューブの内側に、抵抗発
熱線により構成された発熱コイルを絶縁粉末とともに封
入したシーズヒータを用いるものが知られている。そし
て、このシーズヒータに主体金具を取り付け、その外周
面に形成されたねじ部により、先端の発熱部が燃焼室内
に位置するように、ディーゼルエンジンのエンジンブロ
ックに取り付けて使用される。この場合、ヒータ昇温性
能に対しては、エンジンの始動性を向上させるためにな
るべく短時間で飽和温度に到達する、いわゆる速熱性が
要求されることが多い。一法として、通電初期において
発熱コイルに大電流を通じることにより昇温速度を高め
ることが考えられるが、コイル温度が過昇しやすくな
り、コイルの断線やシーズチューブの溶損といったトラ
ブルにつながる問題がある。
【0003】そこで、例えば特開平3−99122号公
報には、発熱コイルよりも大きい正の抵抗温度係数を有
する材料にて構成された制御コイルを、シーズチューブ
内において該発熱コイルと直列に設けるとともに該シー
ズチューブの該発熱チューブを埋設する部分を該制御コ
イルを埋設する部分よりも細くすることによって、速熱
性を高めつつコイル温度の過昇も生じにくくしたグロー
プラグが開示されている。該構造のグロープラグにおい
ては、通電初期においては制御コイルの温度が低く電気
抵抗値が小さいため、発熱コイルには比較的大きな電流
が流れてこれを急速昇温させる。そして、発熱コイルの
温度が上昇すると、その発熱により制御コイルが加熱さ
れて電気抵抗値が増大し、発熱コイルへの通電電流値が
減少する。これにより、ヒータの昇温特性は、通電初期
に急速昇温した後、以降は制御コイルの働きにより通電
電流が抑制されて温度が飽和する形となる。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】ところで、乗用車に使用される小型ディー
ゼルエンジンでは12V定格のバッテリーが使用される
のに対し、トラックのような大型ディーゼルエンジンで
は24V定格のバッテリーが使用されている。このよう
な大型ディーゼルエンジンにおいてもエンジンの始動性
を向上させるためになるべく短時間で始動可能の目安と
なる温度(約800℃)に到達する、いわゆる速熱性が
要求されるようになってきた。しかし、従来からグロー
プラグ関係で出願されている公報に開示されている12
V定格バッテリー使用を前提とした技術を、そのまま2
4V定格バッテリーを使用するディーゼルエンジンに適
用することはできない。即ち、24V定格バッテリーは
12V定格バッテリーの2倍の電圧をかけることができ
るため、12V定格バッテリーを前提としたグロープラ
グをそのまま使うことにより昇温速度を高めることも考
えられる。しかし、この方法では、コイル温度がコイル
材料の溶融温度以上に昇温してしまい、コイルの断線や
シーズチューブの溶損といったトラブルにつながる問題
がある。
【0005】また、この場合、グロープラグは、24V
定格バッテリーといっても、常に一定のバッテリー電圧
にて通電されるのではなく、エンジン始動後はこれにオ
ルタネータ等からの重畳電圧が加わり、バッテリーの定
格電圧よりも高圧側(例えば27V程度)に変動した形
で通電されることのほうが多い。そして、このような高
圧側への変動を伴う形で通電された場合、ヒータの昇温
特性が通電初期において単調に温度を増加させた後、ピ
ークを形成することなく温度が飽和する特性であると、
通電電圧レベルが高くなるほど飽和温度も高くなり、ヒ
ータが過昇温しやすい難点がある。これを防止するため
には、通電初期にピーク温度となった後、そのピーク温
度よりも低温にて飽和する昇温特性(以下、これを過昇
防止型昇温特性という)とすることが望ましいのであ
る。
【0006】しかしながら、従来の12V定格バッテリ
ーを前提としたグロープラグからは24V定格バッテリ
ーを使用するディーゼルエンジンのための良好な過昇防
止型昇温特性を持つグロープラグを実現することは非常
に困難であった。すなわち、24V定格のバッテリーで
800℃まで7秒以下で昇温させ、かつ長時間の使用に
も耐える耐久性を持たせることのできる過昇防止型昇温
特性を確保することとは、現状の技術常識からは両立が
非常に難しい課題であり、現に24V定格のバッテリー
で典型的な過昇防止型昇温特性を備えたシーズヒータを
有するグロープラグは実現されていなかったのである。
【0007】困難である点を詳細に以下に説明する。例
えば上述した特開平3−99122号公報には、12V
定格のバッテリーを使用することを前提として、発熱コ
イルよりも大きい正の抵抗温度係数を有する材料にて構
成された制御コイルを、シーズチューブ内において該発
熱コイルと直列に設け、速熱性を高めつつコイル温度の
過昇も生じにくくしたシーズ型グロープラグが開示され
ている。該構造のグロープラグにおいては、通電初期に
おいては制御コイルの温度が低く電気抵抗値が小さいた
め、発熱コイルには比較的大きな電流が流れてこれを急
速昇温させる。そして、発熱コイルの温度が上昇する
と、その発熱により制御コイルが加熱されて電気抵抗値
が増大し、発熱コイルへの通電電流値が減少する。これ
により、ヒータの昇温特性は、通電初期に急速昇温した
後、以降は制御コイルの働きにより通電電流が抑制され
て温度が飽和する過昇防止型昇温特性となる。ところ
で、上記公報においては、発熱コイルを埋設するシーズ
径と制御コイルを埋設するシーズ径との比を1.3以上
にするとこのような過昇防止型昇温特性が得られること
が記載されているが、具体的なコイルの線径は記載され
ていない。
【0008】一方、特開昭59−60125号公報に
は、これも12V定格のバッテリーを使用することを前
提としたシーズ型グロープラグであって、発熱コイルを
埋設する部分及び制御コイルを埋設する部分ともにシー
ズ径が一定のグロープラグについて開示されている。当
該公報には、発熱コイルよりも大きい正の抵抗温度係数
を有する材料にて構成された制御コイルを、シーズチュ
ーブ内において該発熱コイルと直列に設け、速熱性を高
めつつコイル温度の過昇も生じにくくしたグロープラグ
が開示されている。該構造のグロープラグにおいては、
通電初期においては制御コイルの温度が低く電気抵抗値
が小さいため、発熱コイルには比較的大きな電流が流れ
てこれを急速昇温させる。そして、発熱コイルの温度が
上昇すると、その発熱により制御コイルが加熱されて電
気抵抗値が増大し、発熱コイルへの通電電流値が減少す
る。これにより、ヒータの昇温特性は、通電初期に急速
昇温した後、以降は制御コイルの働きにより通電電流が
抑制されて温度が飽和する形となる。そして、その具体
的なコイルの線径として、発熱体5(本発明における発
熱コイルに相当)のコイル線径は0.35mmであり、発
熱体6(本発明における制御コイルに相当)のコイル線
径は0.38mmである。
【0009】そしていずれのシーズ型グロープラグとも
最高温度が1000℃以上1200℃以下となるように
設定されている。
【0010】このように12V定格のバッテリーを使用
するシーズ型グロープラグでは、一般にコイルの線径は
0.3mmよりも太い線を用いている。しかし、これらの
コイルをそのまま24V定格のバッテリーに使用した場
合には、コイルの抵抗値が同じで印加される電圧が倍に
なるため、印加される電力は4倍になる。従って、最高
温度は1200℃をはるかに越えてコイルの融点をも越
えてしまうであろうことは容易に推測されることであ
る。これを防止するためには、印加される電力を一定に
する必要が有るため、コイルの抵抗値を4倍にしなけれ
ばならない。コイルの抵抗値を4倍にするためにはコイ
ルの全長を変えないでコイルの断面積を1/4にする
(コイル線径を1/2にする)か、コイルの線径を変え
ないで全長を4倍にする方法が考えられる。
【0011】12V定格のバッテリーに使用するグロー
プラグでさえもφ0.3mm程度の線径しかないコイル
の線径を単純に1/2にした場合には、φ0.15mm
程度にまで細くする必要が有り、耐久性の面で問題が生
じることは容易に予想されることである。また、コイル
の全長を4倍に長くする方法では、グロープラグのシー
ズチューブ部分を4倍の長さにする必要が生じる。燃焼
室内においてはグロープラグは着火以外には燃焼に寄与
せず、燃焼する際に生じるスワールの妨げになるもので
あるため、燃焼室内にこれほどの長さのシーズチューブ
を突出すことは実用的でない。
【0012】さらに、24V定格バッテリーといって
も、常に一定のバッテリー電圧にて通電されるのではな
く、エンジン始動後はこれにオルタネータ等からの重畳
電圧が加わるため、27V程度に変動した形でグロープ
ラグに通電される。このような高い電圧を通電しても実
用上十分な耐久性を確保するためにはコイル線径をむや
みに細くすることはできず、コイルの材質も重要な要素
となる。
【0013】本発明の課題は、24V定格のバッテリー
に使用する場合においても急速昇温が可能であって、典
型的な過昇防止型昇温特性を示すとともに、耐久性も良
好なグロープラグを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のグロープラグは、先端側が
閉じたシーズチューブと、前記シーズチューブの先端側
を突出させた状態でその外側に配置される筒状の主体金
具と、そのシーズチューブ内において軸線方向に配置さ
れた複数の抵抗線コイルとを備え、その抵抗線コイル
は、前記シーズチューブの前記主体金具からの突出部内
において、その先端側に配置される発熱コイルと、その
発熱コイルの後方側にこれと直列接続されるとともに、
該発熱コイルよりも抵抗温度係数の大きい制御コイルと
を含み、前記制御コイルを埋設する前記シーズチューブ
の制御コイル部シーズ径を前記発熱コイルを埋設する前
記シーズチューブの発熱コイル部シーズ径よりも大きく
設定するとともに、前記発熱コイルは線径をφ0.15
〜0.3mmであってかつその融点を1350℃以上と
し、前記制御コイルは線径をφ0.15〜0.3mmと
したことを特徴とする。
【0015】すなわち、グロープラグにおいて急速昇温
を可能にしつつ、過昇防止型昇温特性を実現し、さらに
耐久性を確保するためには、コイルにはφ0.3mmよ
りも太い線径を用いることが必須であるとの認識がほと
んど常識化しており、24V定格のバッテリーを使用す
るディーゼルエンジンにおいてこのような要求を満足す
ることは不可能であると考えられていた。しかしなが
ら、本発明者らが鋭意検討した結果、24V定格バッテ
リーという高い電圧に耐えるために、発熱コイルと制御
コイルとの抵抗値を可能な限り高くするため、線径を細
くするとともに、発熱コイルの融点を一定値以上のもの
にすることで、意外にも良好な急速昇温が可能でしかも
過昇防止型昇温特性、すなわち通電初期にピーク温度T
Pを有して該ピーク温度TP以下で飽和する昇温特性が実
現されることが明かとなり、本発明が完成したのであ
る。
【0016】その結果、上記現状の技術常識からは両立
が極めて困難と見られていた、24V定格のバッテリー
に使用するグロープラグにおいても、800℃まで7秒
以下(望ましくは5秒以下)という急速昇温が可能で過
昇防止型昇温特性の確保ができるという長寿命のグロー
プラグを実現できることとなったのである。
【0017】一方、制御コイル部シーズ径に対する発熱
コイル部シーズ径の比を(発熱コイル部シーズ径/制御
コイル部シーズ径)≦0.9に設定することで、過昇防
止型の昇温特性を得ることが容易になる。
【0018】また、発熱コイル部のシーズ径を細くした
方がこの部分の熱容量を小さくできるため急速昇温を実
現しやすいが、制御コイル部シーズ径との差が大きくな
ると加工度が高くなり、性能のばらつきが大きくなると
ともに歩留まりが悪くなる傾向にある。従って、(発熱
コイル部シーズ径/制御コイル部シーズ径)≧0.8と
することが望ましい。
【0019】制御コイルは、発熱コイルの後端に対し、
該発熱コイルの巻線ピッチよりも大きいコイル間ギャッ
プを隔てた形でこれに直結することができる。この場
合、該コイル間ギャップの大きさは1〜3mmに調整す
るのがよい。コイル間ギャップの大きさが3mmを超え
ると、発熱コイルによる制御コイルの加熱が進みにくく
なり、発熱コイルが過昇しやすくなる。他方、コイル間
ギャップの大きさが1mm未満になると、制御コイルの
抵抗値が急激に大きくなり過ぎて速熱性が確保されなか
ったり、飽和温度が低くなり過ぎて十分な発熱性能が得
られなくなったりする場合がある。なお、本発明におい
てコイル間ギャップは、発熱コイルと制御コイルとの接
続点から発熱コイルに沿って半巻分移動した位置と、同
じく制御コイル側に半巻分移動した位置との間の、コイ
ル軸線方向における距離として定義する。
【0020】上記ギャップ量は、前記特開昭59−60
125号公報に開示された、シーズチューブ外径5mm
のグロープラグにおいて、過昇防止型昇温特性を得るの
に必要なギャップ量(第7図:約5mm前後)に比較す
ると小さい値になっている。これは、以下の理由による
ものである。即ち、バッテリー電圧が定格24Vである
ため、通常使用される12Vのバッテリーと比較して倍
の電圧がグロープラグに印加されるため、通電初期にお
ける発熱コイルの温度は上昇しやすい。しかし、発熱コ
イルを埋設したシーズ部は位置による温度のばらつきを
生じ易いため、制御コイル自体の発熱による電流制御機
能を待つのみでなく、発熱コイルから制御コイルへの熱
移動をより積極的に行って制御コイルの温度を早く上昇
させて電流制御機能を働かせることが必要だからであ
る。従って、本発明のグロープラグにおいては、従来の
12V定格のバッテリーに使用するグロープラグと比較
して、両コイル間の距離を多少近付けたほうが、良好な
過昇防止型昇温特性を得る上では有利であるということ
ができる。
【0021】なお、上記コイル間ギャップの大きさは、
より望ましくは1〜2mmに調整するのがよい。
【0022】上記ピーク温度TPは、900〜1150
℃となっているのがよい。ピーク温度TPが900℃未
満になると、発熱が不十分となり、エンジン予熱等の機
能が十分に果たされなくなる場合がある。他方、ピーク
温度TPが1150℃を超えると、発熱が大きくなり過
ぎ、発熱コイルの寿命低下を招く場合がある。なお、ピ
ーク温度TPは、望ましくは950〜1050℃となっ
ているのがよい。
【0023】次に、上記グロープラグにおいては、室温
において通電電圧23Vにて上記昇温特性を測定したと
きに、そのピーク温度TPと通電開始から40秒後の温
度(以下、40秒後温度という)TSとの差TP−TSが
50〜200℃となっていることが望ましい。TP−TS
が50℃未満になると、通電電圧が高くなる方向に変動
した場合、ヒータの過昇を招きやすくなる。他方、TP
−TSが200℃を超えると飽和温度が低くなり過ぎ、
必要な発熱性能が確保できなくなる。TP−TSは、望ま
しくは80〜150℃となっているのがよい。
【0024】また、本発明のグロープラグは、速熱性の
要求を満足するために、室温において通電電圧23Vに
て昇温特性を測定したときに、ピーク温度TPが800
℃以上であり、かつそのピーク温度TPに到達する途上
において800℃に到達するまでの通電時間t800が7
秒以下(望ましくは5秒以下)となっていることが望ま
しい。
【0025】また、発熱コイル及び制御コイルの外径d
1は、φ1.5〜3.0mmとするのがよい。該外径d1
がφ1.5mm未満になると、必要な発熱性能が得られ
なくなる場合がある。他方、φ3.0mmを超えると、
シーズチューブの外径をあまり大きくし過ぎると、グロ
ープラグをエンジンに装着した場合に燃焼を妨げること
になることからシーズチューブの外径は事実上φ5.0
mm以下に制限されている関係上、その肉厚tが小さく
なり過ぎ、強度が不足する不具合につながる。また、上
記コイルの外径d1とシーズチューブの内径D2との比
d1/D2は0.5〜0.8の範囲で調整されているの
がよい。d1/D2が0.8を超えると、発熱性能の低
下を招く場合があるほか、シーズチューブ内面と発熱コ
イル及び制御コイルとの間で短絡を生じやすくなる。ま
た、d1/D2が0.5未満になると、コイルがシーズ
チューブ内にて蛇行しやすくなり、同様に短絡を生じや
すくなる。
【0026】なお、シーズチューブは、例えばステンレ
ス鋼、鉄基耐熱合金及びNi基耐熱合金のいずれかによ
り構成することができる。エンジン燃焼室内にて高温の
ガス流に直接さらされるシーズチューブをこれら材質に
て構成することにより、その耐久性を向上させることが
できる。ステンレス鋼としては、各種オーステナイト系
ステンレス鋼が、耐食性が特に良好であるので本発明に
好適に使用できる。
【0027】この場合、特に耐熱性が要求される場合に
はNi基耐熱合金、例えばInconel601(Inconelは商標
名)等のNi基超耐熱合金を好適に使用できる。また、
高速インジェクション型ディーゼルエンジンのように、
スワール流速の大きい環境下で使用する場合において
は、高温ガス流による酸化消耗を抑制するため、オース
テナイト系ステンレス鋼のうちでも特にNi含有量の高
い組成を有するもの(例えばSUS310S)や、これ
と類似の組成を有するオーステナイト系耐熱鋼(例えば
SUH309、SUH310、SUH330など)を好
適に使用できる。
【0028】また、発熱コイルの材質は、公知のグロー
プラグと同様の材質、例えば鉄−クロム系合金(例えば
鉄を主体としてクロムを13〜30重量%含有する合
金)を好適に使用できる。耐久性をそれほど要求されな
い場合にはニッケル−クロム合金(例えばニッケルを主
体としてクロムを8〜22重量%含有する合金)も使用
可能である。他方、制御コイルの材質としては、上記発
熱コイルの材質よりも電気比抵抗の温度係数が大きい材
質が用いられ、例えばコバルト−鉄合金(コバルトを主
体として鉄を6〜18重量%程度含有するもの)が、耐
久性に優れているので本発明に好適に使用できるが、こ
のほか、ニッケルメッキ鉄線やニッケル線等も使用でき
る。
【0029】そして、発熱コイルと制御コイルとは、材
質、線径及びコイル長を選択することにより、発熱コイ
ルの電気抵抗値をRH、同じく制御コイルの電気抵抗値
をRCとして、室温での電気抵抗比(RH/RC)RTの値
が1以上となり、かつ800℃での電気抵抗比(RH/
RC)800の値が0.1〜0.4となるように調整するの
がよい。(RH/RC)RTの値が1未満になると、ヒータ
の速熱性が十分に確保できなくなる場合がある。他方、
(RH/RC)800の値が0.1未満になると、制御コイ
ルによる通電制御が過剰となり、発熱コイルが十分に発
熱できなくなる場合がある。また、(RH/RC)800が
0.4を超えると、制御コイルによる通電制御効果が不
十分となり、発熱コイルの過昇が生じやすくなる。
【0030】次に、シーズチューブの主体金具からの突
出部長さは24〜50mmとするのがよい。突出部長さ
が24mm未満になると、該突出部内における発熱コイ
ルと制御コイルとの収容スペースが不十分となるととも
に、カーボン堆積を防止するべく金具の中にコイルが入
らない様に設計しているため、ひいては所期の昇温特性
(あるいは発熱性能)を得るのに必要なコイル長を確保
できなくなる場合がある。他方、該長さが50mmを超
えると、燃焼室内における燃焼の妨げになりやすい。な
お、該突出長さは、望ましくは26〜36mmとするの
がよい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明のグ
ロープラグの一例を示す全体図であり、図2はその縦断
面図である。該グロープラグ1は、シーズヒータ2と、
その外側に配置された主体金具3とを備える。シーズヒ
ータ2は、図2に示すように、先端側が閉じたシーズチ
ューブ11の内側に、2つの抵抗線コイル、すなわち先
端側に配置された発熱コイル21と、その後端に溶接等
により直列接続された制御コイル23とが、絶縁材料と
してのマグネシア粉末27とともに封入されて形成され
ている。
【0032】図1及び図2に示すように、シーズチュー
ブ11の発熱コイル21を埋設する発熱コイル埋設部分
11aの径D1は、制御コイル23を埋設する制御コイ
ル埋設部分11bの径D2よりも細く(ただし、先端部
は丸められている)形成されて、発熱コイル埋設部分1
1a及び制御コイル埋設部分11bは、先端側が主体金
具3から突出して突出部を形成している。このそして、
該D1がφ3.0〜4.5mm(望ましくはφ4.5m
m)とされている。ここで、発熱コイル21はその先端
においてシーズチューブ11と導通しているが、発熱コ
イル21及び制御コイル23の外周面とシーズチューブ
11の内周面とは、マグネシア粉末27の介在により絶
縁された状態となっている。
【0033】図2において、発熱コイル21は、例えば
その20℃での電気比抵抗ρ20が80〜180μΩ・c
m、800℃での電気比抵抗をρ800として、ρ800/ρ
20が0.9〜1.2程度の材料、具体的には鉄−クロム
合金線(融点1350℃〜1500℃)あるいはニッケ
ル−クロム合金線(融点1200℃〜1400℃)等に
より構成されている。そのコイルの線径kはφ0.15
〜0.3mm、コイル長CL1は5〜12mm、コイル
外径d1はφ1.5〜3.0mm、巻線ピッチPは0.
2〜0.8mm、巻線ターン数Nは8〜15である。
【0034】また、制御コイル23は、例えばその20
℃での電気比抵抗ρ20が5〜25μΩ・cm、800℃
での電気比抵抗をρ800として、ρ800/ρ20が7〜12
程度の材料、具体的には鉄−クロム合金線あるいはニッ
ケル−クロム合金線等により構成されている。そのコイ
ルの線径kはφ0.15〜0.3mm、コイル長CL2
は10〜32mm、コイル外径d2はφ1.5〜3.0
mm、巻線ピッチPは0.2〜0.8mm、巻線ターン
数Nは25〜40である。
【0035】また、発熱コイル21と制御コイル23と
は、発熱コイルの電気抵抗値をRH、同じく制御コイル
の電気抵抗値をRCとして、室温での電気抵抗比(RH/
RC)RTの値が1以上となり、かつ800℃での電気抵
抗比(RH/RC)800の値が0.1〜0.4となるよう
に調整されている。これら発熱コイル21及び制御コイ
ル23の間には、発熱コイル21の巻線ピッチよりも大
きいコイル間ギャップ25が形成されている。このコイ
ル間ギャップ25の大きさJLは、φ0.8〜3mm、
望ましくはφ1〜2mmの範囲で調整される。また、こ
れを発熱コイル21の巻線ピッチPにて捉えた場合は、
0.2〜0.8ピッチ(望ましくは0.3〜0.6ピッ
チ)の範囲で調整される。
【0036】次に、シーズチューブ11の発熱コイル埋
設部分11aの肉厚tは0.3〜0.75mm(望まし
くは0.45〜0.6mm)であり、かつt/D1の値
が0.08〜0.2(望ましくは0.11〜0.17)
となっている。また、発熱コイル埋設部分11aの内径
をD’1、発熱コイル21の外径をd1、制御コイル埋
設部分11bの内径をD’2、制御コイル23の外径を
d2としたときの、それらの半径差CG1=(D’1−
d1)/2及びCG2=(D’2−d2)/2の値は、
各々0.1〜0.8mm(望ましくは0.2〜0.6m
m)とされている。さらに、上記発熱コイル21の外径
d1と発熱コイル埋設部分11aの内径D’1との比d
1/D’1及び制御コイル23の外径d2と制御コイル
埋設部分11bの内径D’2との比d2/D’2は各々
0.5〜0.8(望ましくは0.6〜0.7)とされて
いる。
【0037】シーズチューブ11には、基端側から棒状
の通電端子軸13が挿入され、その先端が制御コイル2
3の後端に溶接等により接続されている。他方、図2に
示すように、該通電端子軸13の後端部には雄ねじ部1
3aが形成されている。
【0038】このようなシーズヒータ2の構造は、例え
ば次のようにして製造することができる。すなわち、図
3(b)に示すように、最終寸法よりも加工代分だけ大
径に形成されたシーズチューブ11’内に、発熱コイル
及び制御コイルをマグネシア粉末とともに封入し、この
状態でシーズチューブ11’に回転鍛造加工(スエージ
加工)を施すことにより、発熱コイル埋設部分11aと
制御コイル埋設部分11bとを形成する。
【0039】上記スエージ加工は、例えば図3(a)に
示すスエージングマシン70を用いて行うことができ
る。該スエージングマシン70においては、シーズチュ
ーブ11’を取り囲むように配置された複数のダイス7
3がそれぞれ対応するハンマ72によって支えられてお
り、それらが回転主軸74内に配置されて一体的に回転
させられる。この回転主軸74は、焼き入れ鋼等で構成
された複数のローラ71を有するケージ75の内側で回
転するようになっており、回転主軸74とともに回転し
ながらハンマ72がローラ71の位置にくると、ダイス
73が圧縮され、ハンマ72が隣接するローラ71,7
1の間にくるとダイス73は遠心力によって開く。従っ
て、回転主軸74の回転数を一定以上に上げれば、ダイ
ス73による圧縮加工を何度も繰り返すことができる。
【0040】次に、主体金具3は、図2に示すように軸
方向の貫通孔4を有する筒状に形成され、ここにシーズ
ヒータ2が、一方の開口端からシーズチューブ11の先
端側を所定長突出させた状態で挿入・固定されている。
該主体金具3の外周面には、グロープラグ1をディーゼ
ルエンジンに取り付けるに際して、トルクレンチ等の工
具を係合させるための六角断面形状の工具係合部9が形
成されており、これに続く形で取付け用のねじ部7が形
成されている。
【0041】主体金具3の貫通孔4は、シーズチューブ
11が突出する開口側に位置する大径部4bと、これに
続く小径部4aとを備え、この小径部4aに制御コイル
埋設部分11bの基端側に形成された大径部11cが圧
入され、固定されている。他方、貫通孔4の反対側の開
口部には座ぐり部3aが形成され、ここに、通電端子軸
13に外装されたゴム製のOリング15と絶縁ブッシュ
(例えばナイロン製のもの)16とが嵌め込まれてい
る。そして、そのさらに後方側において通電端子軸13
には、絶縁ブッシュ16の脱落を防止するための押さえ
リング17が装着されている。該押さえリング17は、
外周面に形成された加締め部17aにより通電端子軸1
3に固定されるとともに、通電端子軸13の対応する表
面には、加締め結合力を高めるためのローレット部13
bが形成されている。なお、19は、通電用のケーブル
を通電端子軸13に固定するためのナットである。
【0042】シーズチューブ11の、主体金具3からの
突出長L2は24〜50mm(望ましくは26〜36m
m)に調整されている。また、図2に示すように、通電
端子軸13の先端位置は主体金具3の開口端面とほぼ一
致している。
【0043】以下、図1及び図2のグロープラグ1の各
部の寸法等を具体的に例示する(図2も参照)。 ・全長L1=103mm。 (発熱コイル21) ・材質:鉄−クロム合金(組成:Al=7.5重量%;
Cr=26重量%;Fe=残部、ρ20=160μΩ・c
m、ρ800/ρ20=1.0、融点1490℃)。 ・寸法:k=0.22mm、CL1=10mm、d1=
2.2mm、P=0.37mm、N=15。コイル全体
の20℃での電気抵抗値RHは3Ω。 (制御コイル23) ・材質:コバルト−鉄合金(組成:Fe=8重量%;C
o=残部、ρ20=8μΩ・cm、ρ800/ρ20=9.
8、800℃まで抵抗値は温度上昇とともに下に凸に上
昇する)。 ・寸法:k=0.17mm、CL2=13mm、d2=
2.5mm、P=0.34mm、N=45。コイル全体
の室温での電気抵抗値RCは1Ω。
【0044】・(RH/RC)RT:3。 ・(RH/RC)800:0.3。 (コイル間ギャップ25) ・JL:2mm。
【0045】(シーズチューブ11) ・材質:SUS310S。 ・寸法:D1=4.5mm、t=0.75mm、t/D
1=0.17、CG1=0.39、D2=5.0mm、
t/D2=0.15、CG2=0.4、L2=28m
m。
【0046】(主体金具3) ・材質:機械構造用炭素鋼(S45C)。 ・寸法:ねじ部7よりも先端側に位置する部分(以下、
主要部5という)の長さL3=22.5mm、主要部5
の外径D4=8.2mm、ねじ部7の長さL4=19m
m、ねじ部7の外径D5=10mm。
【0047】以下、図1及び図2のグロープラグ1の作
用について説明する。グロープラグ1は、主体金具3の
ねじ部7においてディーゼルエンジンのシリンダブロッ
クに取り付けられる。これにより、発熱コイル21及び
制御コイル23が収容されたシーズチューブ11の先端
部は、エンジンの燃焼室(あるいは副燃焼室)内に位置
決めされる。この状態で、通電端子軸13に車載のバッ
テリーを電源として電圧を印加すると、通電端子軸13
→制御コイル23→発熱コイル21→シーズチューブ1
1→主体金具3→(エンジンブロックを介して接地)の
経路にて通電される。
【0048】これにより、グロープラグ1のシーズヒー
タ2は、通電初期においては制御コイル23の温度が低
く電気抵抗値が小さいため、発熱コイル21には比較的
大きな電流が流れてこれを急速昇温させる。そして、発
熱コイル21の温度が上昇すると、その発熱により制御
コイル23が加熱されるとともに制御コイル23自体も
通電により発熱することによって電気抵抗値が増大し、
発熱コイル21への通電電流値が減少する。これによ
り、ヒータの昇温特性は、通電初期に急速昇温した後、
以降は制御コイルの働きにより通電電流が抑制されて温
度が飽和する形となる。
【0049】そして、発熱コイル21の線径をφ0.2
2mm、かつ、融点を1350℃以上、制御コイル23
の線径をφ0.17mmに設定し、さらに、シーズチュ
ーブ11の発熱コイル埋設部分11aがほぼ一様な外径
D1を有する円筒状とされ、かつ制御コイル埋設部分1
1bの径D2とをD1<D2に設定することで、24V
定格のバッテリーに使用されるグロープラグであるにも
かかわらず、前述の過昇防止型昇温特性、具体的にはピ
ーク温度TPと60秒後温度TSとの差TP−TSが50〜
200℃、ピーク温度TPが900〜1150℃、及び
800℃に到達するまでの通電時間t800が5秒以下
の、速熱性に優れ耐久性も良好な特性を安定して実現す
ることが可能となる。
【0050】さらに、シーズチューブ11の肉厚tが
0.3〜0.75mmであり、かつ外径をD1としたと
きのt/D1の値が0.08〜0.2となっていること
で、所期の発熱性能が確保され、かつシーズチューブ1
1の強度も十分なものとなり、例えば取付け時に落下さ
せたりした場合もヒータに破損が生じにくい。また、シ
ーズチューブ11の本体部11aの内径と、発熱コイル
21及び制御コイル23の外径との半径差CGが0.1
〜0.8mmの範囲にて調整されていることで、シーズ
チューブ11の内面と各コイル21,23との間での短
絡が生じにくくなり、製造歩留まりを向上させることが
できる。
【0051】
【実施例】(実施例1)図1及び図2のグロープラグ1
を、以下に特記する条件を除いて、先に例示した寸法及
び材質により各種作製した。まず、シーズチューブ11
の発熱コイル埋設部分11aの外径D1のみをφ4.0
及び4.5mmの2種類作製し、これに合わせて発熱コ
イル21及び制御コイル23は外径d1のみ1.5〜
2.5mmの範囲で適宜変化させた。また、発熱コイル
21の線径を0.12〜0.35mmの範囲にて変化さ
せるとともに、制御コイル23の線径も0.12〜0.
35mmの範囲で変化させた。そして、発熱コイル21
の材質として融点1490℃の鉄−クロム系合金及び融
点1390℃のニッケル−クロム系合金を用い、制御コ
イル23の材質として、前記したコバルト−鉄合金製及
びニッケルメッキ鉄線(線径はφ0.2mm、メッキ厚
さは約1μm)を用いたものを作製した。これらの試験
品を用いて下記の昇温特性試験及び耐久性試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0052】昇温特性試験 これらグロープラグを室温中に保持し、通電電圧23V
にて通電したときの昇温特性曲線(温度−時間曲線)
を、以下のようにして測定した。温度測定は、グロープ
ラグ1を図5に示すような治具200に取り付けた状態
で行った。該治具200は、縦長円柱状(外径23m
m)の炭素鋼製のものであり、中心部に軸線方向のプラ
グ装着孔201が貫通形態で形成されている。図1に示
すグロープラグ1は、先端側をプラグ装着孔201内に
挿入し、該プラグ装着孔201の一方の端部側に形成さ
れた雌ねじ部201aに対してねじ部7を螺合させるこ
とにより、治具200に取り付けられる。治具200の
各部の寸法は図面中に記載した通りである(単位:m
m)。また、グロープラグ1のシーズチューブ11の先
端部は、上記装着状態において治具200の端面より5
mm突出するようになっている。そして、シーズチュー
ブ11の突出部において、その先端から軸線方向に5m
mまでの測定区間を設定し、その測定区間における最高
温度位置を予め調べておくとともに、該位置に熱電対
(Pt/Pt−Rh)を固定してシーズヒータ2に連続
通電し、温度の時間変化を測定して昇温特性曲線を得た
(以上の測定方法は、ISO7578(1986)に規
定された方法に準拠するものである)。得られた昇温特
性曲線から、前述の800℃到達時間(t800)の値を
それぞれ算出した。
【0053】耐久性試験 昇温特性試験に使用した治具200と同じ治具に上述の
グロープラグを装着して室温中に保持し、通電電圧26
Vにて180秒通電―60秒通電中止の繰り返し試験を
行なった。なお、本試験で通電電圧を26Vとしたのは
以下の理由による。即ち、定格24Vバッテリーを用い
たエンジンの場合は、異常電圧として最高30V印加さ
れる可能性がある。ところが実際のエンジンでは燃焼室
内でのスワールの影響及び吸気工程における温度の比較
的低い吸気によってグロープラグが冷却される。従っ
て、本試験のような強制冷却されない耐久性試験の場合
には、通電電圧26Vとすると実際のエンジンに装着し
た場合の耐久性の評価に相当すると考えられるためであ
る。
【0054】
【表1】
【0055】上記表において、昇温特性試験及び耐久性
試験の判断基準は以下の通りである。即ち、昇温特性試
験において、t800が5秒以下のものを優(◎)、5秒
を超え7秒以下のものを良(○)、7秒を超えるものを
不可(×)とした。また、耐久性試験では、5000サ
イクル以上の耐久性を持つものを優(◎)、3000サ
イクル以上5000サイクル未満を良(○)3000サ
イクル未満を不可(×)とした。
【0056】この結果から、発熱コイル21の材料に鉄
−クロム系、線径φ0.22mmを用いた場合であっ
て、制御コイル23の材料をコバルト−鉄系、線径φ
0.17mmを用いた場合には、発熱コイル埋設部分1
1aの外径D1がφ4.0mmである番号2及び同外径
D1がφ4.5mmである番号3のいずれのグロープラ
グでもt800が5秒以下となり良好な速熱性を示す。ま
た、制御コイル23の材料のみをニッケルメッキ鉄線、
線径φ0.2mmに変更した場合には、発熱コイル埋設
部分11aの外径D1がφ4.0mmである番号3のみ
がt800が5秒以下となり良好な速熱性を示す。また、
番号4の発熱コイル埋設部分11aの外径D1をφ4.
5mmに変更した番号5の場合にはt800が5秒〜7秒
となりやや速熱性が低下する。以上の番号2〜5では、
5000サイクル以上の耐久性を持ち良好であることが
わかる。
【0057】これに対し、発熱コイル21の材料に鉄−
クロム系、線径φ0.12mmを用いた場合には、この
発熱コイル21との抵抗バランスを合わせるため制御コ
イル23もφ0.12mm若しくはφ0.135mmの
細い線径のものを用いざるを得ず、番号6〜9のいずれ
のグロープラグにおいても速熱性がやや低下すると同時
に、耐久性も3000サイクル未満に低下する。一方、
番号10の発熱コイル21の材料にニッケル−クロム
系、線径φ0.22mmを用いた場合には、制御コイル
23の材料をコバルト−鉄系、線径φ0.17mmのも
のを用いることができるが、t800が5秒〜7秒となり
やや速熱性が低下する。そして、発熱コイル21の融点
が低いため耐久性も3000サイクル以上5000サイ
クル未満になりやや低下する。
【0058】(実施例2)実施例1の番号2のグロープ
ラグを、昇温特性試験と同じ治具200に装着し、実施
例1と同様にして印加電圧19V、23V、27Vの各
条件にて昇温特性曲線(温度−時間曲線)を測定し、得
られた昇温特性曲線から、前述の800℃到達時間(t
800)、ピーク温度(TP)及び40秒後温度(TS)
の値をそれぞれ算出した。以上の結果を図4に示す。
【0059】この結果から、t800は印加電圧23Vに
おいて約4.5秒で良好な速熱性を示している。また、
印加電圧23V以上ではピーク温度TPと40秒後温度
(飽和温度を反映したものとなる)TSの差TP−TSも
50℃以上となっており、良好な過昇防止型昇温特性が
得られていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグロープラグの一例を示す全体図及び
縦断面図。
【図2】そのシーズヒータの内部構造を示す断面図及び
その要部拡大模式図。
【図3】スエージングマシンの概念と、スエージングの
作用とを示す説明図。
【図4】実施例1の番号2のグロープラグの昇温特性曲
線。
【図5】グロープラグの温度測定に使用する治具の縦断
面図。
【符号の説明】
1 グロープラグ 2 シーズヒータ 3 主体金具 7 ねじ部 11 シーズチューブ 11a 本体部 11b 拡径部 13 通電端子軸 21 発熱コイル 23 制御コイル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端側が閉じたシーズチューブと、 前記シーズチューブの先端側を突出させた状態でその外
    側に配置される筒状の主体金具と、 そのシーズチューブ内において軸線方向に配置された複
    数の抵抗線コイルとを備え、 その抵抗線コイルは、前記シーズチューブの前記主体金
    具からの突出部内において、その先端側に配置される発
    熱コイルと、その発熱コイルの後方側にこれと直列接続
    されるとともに、該発熱コイルよりも抵抗温度係数の大
    きい制御コイルとを含み、 前記制御コイルを埋設する前記シーズチューブの制御コ
    イル部シーズ径を前記発熱コイルを埋設する前記シーズ
    チューブの発熱コイル部シーズ径よりも大きく設定する
    とともに、 前記発熱コイルは線径をφ0.15〜0.3mmであっ
    てかつその融点を1350℃以上とし、前記制御コイル
    は線径をφ0.15〜0.3mmとしたことを特徴とす
    るグロープラグ。
  2. 【請求項2】 前記制御コイル部シーズ径に対する前記
    発熱コイル部シーズ径の比が(発熱コイル部シーズ径/
    制御コイル部シーズ径)≦0.9に設定されている請求
    項1記載のグロープラグ。
  3. 【請求項3】 前記制御コイル部シーズ径に対する前記
    発熱コイル部シーズ径の比が(発熱コイル部シーズ径/
    制御コイル部シーズ径)>0.8に設定されていること
    を特徴とする請求項2に記載のグロープラグ。
  4. 【請求項4】 前記制御コイルは前記発熱コイルの後端
    に対し、該発熱コイルの巻線ピッチよりも大きいコイル
    間ギャップを隔てた形でこれに直結されており、該コイ
    ル間ギャップの大きさが1〜3mmに設定されている請
    求項1乃至3のいずれかに記載のグロープラグ。
  5. 【請求項5】 前記シーズチューブの先端部表面におけ
    る昇温特性が、通電初期にピーク温度TPを有して該ピ
    ーク温度TP以下で飽和するものとなるようにしたこと
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のグロープ
    ラグ。
  6. 【請求項6】 室温において通電電圧23Vにて前記昇
    温特性を測定したときに、前記ピーク温度TPが800
    ℃以上であり、かつそのピーク温度TPに到達する途上
    において800℃に到達するまでの通電時間t800が7
    秒以下である請求項1乃至5のいずれかに記載のグロー
    プラグ。
  7. 【請求項7】 前記ピーク温度TPが900〜1150
    ℃となっている請求項5に記載のグロープラグ。
  8. 【請求項8】 先端側が閉じたシーズチューブと、 前記シーズチューブの先端側を突出させた状態でその外
    側に配置される筒状の主体金具と、 そのシーズチューブ内において軸線方向に配置された複
    数の抵抗線コイルとを備え、 その抵抗線コイルは、前記シーズチューブの前記主体金
    具からの突出部内において、その先端側に配置される発
    熱コイルと、その発熱コイルの後方側にこれと直列接続
    されるとともに、該発熱コイルよりも抵抗温度係数の大
    きい制御コイルとを含み、 前記制御コイルを埋設する前記シーズチューブの制御コ
    イル部シーズ径を前記発熱コイルを埋設する前記シーズ
    チューブの発熱コイル部のシーズ径よりも大きく設定す
    るとともに、 前記シーズチューブの先端部表面における昇温特性が、
    室温において通電電圧23Vにて前記昇温特性を測定し
    たときに、通電初期にピーク温度TPを有して該ピーク
    温度TP以下で飽和するものとなるようにし、かつ前記
    ピーク温度TPが800℃以上であり、かつそのピーク
    温度TPに到達する途上において800℃に到達するま
    での通電時間t800が7秒以下であることを特徴とする
    グロープラグ。
  9. 【請求項9】 前記発熱コイルは、その融点が1350
    ℃以上の材料を使用したものであることを特徴とする請
    求項8に記載のグロープラグ。
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