JP2000127805A - 車両制動装置および車両走行制御装置 - Google Patents

車両制動装置および車両走行制御装置

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JP2000127805A
JP2000127805A JP10305666A JP30566698A JP2000127805A JP 2000127805 A JP2000127805 A JP 2000127805A JP 10305666 A JP10305666 A JP 10305666A JP 30566698 A JP30566698 A JP 30566698A JP 2000127805 A JP2000127805 A JP 2000127805A
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power
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキアシスト装置の失陥時における車両
の走行を適正化する。 【解決手段】 ブレーキペダル68の踏込みによってマ
スタシリンダ64の液圧室に発生した液圧により前輪5
6,58の液圧ブレーキ66を作動させ、車輪の回転を
抑制するマニュアルブレーキ装置60と、動力液圧源1
00の液圧をリニアバルブ装置134により制御してホ
イールシリンダ76,78,126,128に供給し、
車両を制動する動力ブレーキ装置62とを設ける。車両
駆動装置を設け、エンジン制御あるいはモータジェネレ
ータ制御により駆動トルクを生じさせ、クリープ条件成
立時にクリープトルクを発生させる。動力ブレーキ装置
62の失陥時にはクリープトルクを0に設定し、制動距
離の延びを防ぐ。ブレーキアシスト装置の失陥時に車両
の最大走行速度,最大加速度を正常時より低く抑えても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキアシスト
装置を備えた車両制動装置および車両走行制御装置に関
するものであり、特に、ブレーキアシスト装置の失陥時
の対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両には、クリープトルクが発生するよ
うに構成された車両がある。クリープトルクは、運転者
によるアクセル操作部材の操作が行われていない状態で
車両を駆動するトルクであり、例えば、流体を介して動
力を伝達するトルクコンバータを備えた車両において
は、アクセルペダルが踏み込まれていなくても、車速が
設定速度以下で、シフトレバーの位置(以下、シフト位
置と略称する)がパーキング(P)やニュートラル
(N)以外のドライブ(D),リバース(R)等にある
場合には、クリープトルクが発生する。クリープトルク
を利用すれば、渋滞時にアクセルペダルを踏まなくても
車両を微速走行させることができる。また、坂道発進時
にブレーキペダルを離しても、車両の後退を抑制するこ
とができる等、便利である。それに対して、トルクコン
バータを備えていない車両においては、クリープトルク
は当然には発生しない。そのため、トルクコンバータを
備えていない車両においては、例えば、特開平9−37
415号公報に記載されているように、エンジンや電動
モータ等の駆動源を制御することにより、意図的にクリ
ープトルクを発生させるようにされている。上記公報に
記載の車両は電気自動車であり、その車両駆動装置は、
アクセル操作部材の操作時には、アクセル操作量に応じ
てモータトルクが決定され、そのモータトルクに基づい
て電動モータが駆動されることにより車両が走行する。
クリープトルクは、アクセル操作部材が操作されておら
ず、かつ車速が設定値以下の場合に発生させられる。ク
リープトルクは、ブレーキ操作が為されているか否かに
関係なく、発生させられるのであるが、制動時には、非
制動時よりもクリープトルクが小さくなるようにされて
おり、坂道発進での車両の後退を回避し得るとともに、
車両の制動に対するクリープトルクの影響が小さくて済
む。
【0003】一方、車両には、動力源の動力に基づいて
マニュアルブレーキ装置のみの場合より制動効果を増大
させるブレーキアシスト装置を設けることが広く行われ
ている。ブレーキアシスト装置には、マニュアルブレー
キ装置の代わりに作動してマニュアルブレーキ装置より
大きな制動効果を発生させるものと、マニュアルブレー
キ装置と共に作動し、マニュアルブレーキ装置の制動効
果に自身の制動効果を付加するものとがある。前者の一
例は、マニュアルブレーキ装置がマスタシリンダを液圧
源とする液圧ブレーキ装置である場合に、マスタシリン
ダと並列に動力液圧源が接続され、通常は、ブレーキシ
リンダがマスタシリンダから遮断されて動力液圧源に接
続されて、動力液圧源の液圧により作動させられる動力
液圧ブレーキ装置である。後者には、例えば、マニュア
ルブレーキ装置が液圧ブレーキ装置である場合の液圧ブ
ースタのように、運転者によるブレーキ操作部材の操作
力に、動力液圧源の液圧により作動するパワーピストン
の作動力を付加することにより、マニュアルブレーキ装
置のみの場合より制動効果を増大させるものや、マニュ
アルブレーキ装置が摩擦部材をブレーキ回転体に押し付
けてそれの回転を抑制する摩擦ブレーキ装置である場合
に、その摩擦部材または別の摩擦部材にマニュアルブレ
ーキ装置とは別個の押付力を作用させて、マニュアルブ
レーキ装置のみの場合より制動効果を増大させるものが
含まれる。上記液圧ブースタ等は、いわばマニュアルブ
レーキ装置を介して制動効果増大作用を為すものである
ため、マニュアルブレーキ装置の失陥時にはブレーキア
シスト効果も得られないのに対し、摩擦部材に別個に押
付力を作用させるものは、マニュアルブレーキ装置の失
陥時にもブレーキアシスト装置による制動効果は得られ
る。
【0004】ブレーキアシスト装置が上記形態のいずれ
であろうとも、車両を制動するブレーキアシスト装置
と、車両を駆動するクリープトルクを発生させる車両駆
動装置との役割は互いに逆であり、前記公報に記載の車
両にブレーキアシスト装置を設ければ、ブレーキアシス
ト装置が失陥したとき、制動距離が長くなることを避け
得ない。制動時に発生させられるクリープトルクの大き
さが、ブレーキアシスト装置の失陥を考慮して設定され
ないからである。特に、駆動輪が後輪であり、ブレーキ
アシスト装置が動力液圧源の液圧により前輪および後輪
のブレーキシリンダのすべてを作動させるものであり、
マニュアルブレーキ装置がブレーキアシスト装置の失陥
時に前輪のブレーキシリンダのみがマスタシリンダの液
圧により作動させられるものである車両においては、路
面の摩擦係数μ(路面μと略称する)が小さい場合に、
車両がクリープトルクによって移動させられるのを制動
により停止させ難いことがある。路面μが十分大きい場
合には、ブレーキ操作力を増すことにより前輪の制動効
果を大きくすれば、後輪に加えられるクリープトルクに
打ち勝って車両を停止させることができるのであるが、
路面μが小さい場合には、ブレーキ操作力を大きくして
も前輪の制動効果はそれに応じては大きくならず、車両
を停止させにくいのである。以上の問題は、電気自動車
に限らず、車両制動時にクリープトルクが発生させら
れ、かつ、ブレーキアシスト装置を備えた車両において
同様に生ずる。例えば、トルクコンバータを備えたオー
トマチックトランスミッション車や、ギヤのシフトチェ
ンジが運転者によって行われるマニュアル車であって、
エンジンの出力が運転者によるアクセル操作部材の操作
とは関係なく制御可能であってクリープトルクが意図的
に発生させられる車両においても生ずるのである。
【0005】さらに、ブレーキアシスト装置の失陥によ
る制動距離延長の問題は、クリープトルクが発生させら
れない車両においても生ずる。ブレーキアシスト装置が
失陥すれば、マニュアルブレーキ装置のみにより車両を
制動しなければならなくなるため、当然制動距離が長く
なるのである。この問題を解消するために、特開平3−
70640号公報には、ブレーキアシスト装置を備えた
車両において、ブレーキアシスト装置の失陥時には、車
両が停止状態にあれば、変速機のシフト操作ができなく
なるようにされている。しかしながら、シフト操作がで
きなくされれば、マニュアルブレーキ装置が正常に作動
するにもかかわらず、車両を走行させ得なくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】本発明は、以上の事情を背景とし、ブレーキ
アシスト装置の失陥時における車両走行の適正化を課題
として為されたものであり、本発明によって、下記各態
様の車両制動装置および車両走行制御装置が得られる。
各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付
し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載す
る。これは、本明細書に記載の技術的特徴およびそれら
の組合わせの幾つかの理解を容易にするためであり、本
明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合わせが以下の
ものに限定されると解釈されるべきではない。 (1)運転者によるブレーキ操作部材の操作力に基づい
て車両を制動するマニュアルブレーキ装置と、動力源を
備え、その動力源の動力に基づいて前記マニュアルブレ
ーキ装置のみの場合より制動効果を増大させるブレーキ
アシスト装置と、そのブレーキアシスト装置の失陥時
に、ブレーキアシスト装置の正常時に比較してクリープ
トルクを減少させることを車両駆動装置に指示するクリ
ープトルク減少指示装置とを含む車両制動装置(請求項
1)。ブレーキアシスト装置の失陥とは、例えば、動力
源がアシストに必要な動力を生じさせることができなく
なること、ブレーキアシスト装置が電動モータ、電磁制
御弁,コンピュータ等、電気的に作動する構成要素を含
む場合、電気系統に異常が生じて、それら構成要素が正
常に作動しなくなること等である。ブレーキアシスト装
置を含む制動装置は、ブレーキアシスト装置が正常に作
動して、マニュアルブレーキ装置のみの場合より制動効
果を増大させる場合に、車両を適正に制動し得るように
構成される。車両駆動装置がクリープトルクを発生させ
るものである場合には、そのクリープトルクの発生を前
提として制動装置が構成されるのである。そのため、ブ
レーキアシスト装置が失陥すれば、マニュアルブレーキ
装置のみでは制動効果が不足することとなるが、本項に
記載の制動装置においては、ブレーキアシスト装置の失
陥時には、車両駆動装置はクリープトルク減少指示装置
の指示に基づいてクリープトルクを減少させるため、そ
の分、車両の制動に必要な制動効果が小さくて済み、ブ
レーキアシスト装置の失陥に起因する制動距離の延びが
なくされ、あるいは減少させられる。また、ブレーキ操
作部材の操作力を大きくしてマニュアルブレーキ装置が
発生させる制動効果を大きくしなくてもよく、運転者の
負担増加がなくされ、あるいは減少させられる。クリー
プトルク減少指示装置は、クリープトルクを減少させる
べきか減少させるべきではないかを表す単純な情報を発
生させる装置であっても、クリープトルクの減少量や減
少率、あるいは発生させるべきクリープトルクの大きさ
を表す情報を発生させる装置であってもよい。後者の場
合には、クリープトルクの減少量や減少率、あるいは発
生させるべきクリープトルクの大きさを状況に応じて変
えつつ発生させる装置であっも、状況によっては変化し
ない情報を発生させる装置であってもよい。いずれにし
ても、クリープトルク減少指示装置と車両駆動装置とは
互いに対応した構成とされる。 (2)前記ブレーキアシスト装置が、動力源を備え、そ
の動力源の動力に基づいて作動して、前記車両を制動す
る動力ブレーキ装置を含む (1)項に記載の車両制動装
置。本項に記載の動力ブレーキ装置が典型的なブレーキ
アシスト装置の一つではあるが、この他にも、例えば、
マニュアルブレーキ装置に設けられて、前記ブレーキ
操作部材の操作力を倍力してマスタシリンダに伝達する
液圧ブースタや、マニュアルブレーキ装置においてマ
スタシリンダとブレーキシリンダとを連通させる液通路
を遮断する遮断弁と、その遮断弁よりブレーキシリンダ
側の部分に作動液を追加してブレーキシリンダの液圧を
マスタシリンダの液圧より大きくする作動液追加装置と
の組合わせ等をブレーキアシスト装置として採用するこ
とも可能である。 (3)前記マニュアルブレーキ装置が、前記ブレーキ操
作部材の操作力に応じた液圧を発生させるマスタシリン
ダと、そのマスタシリンダに接続されたブレーキシリン
ダにより作動し、摩擦部材を前記車輪と共に回転するブ
レーキ回転体に押し付けることにより車輪の回転を抑制
する液圧ブレーキとを含む (1)項または (2)項に記載の
車両制動装置。 (4)前記動力ブレーキ装置が、前記動力源の動力に基
づいて液圧を発生させる動力液圧源と、その動力液圧源
に接続されたブレーキシリンダにより摩擦部材を前記車
輪と共に回転するブレーキ回転体に押し付けることによ
り車輪の回転を防止する液圧ブレーキと、その液圧ブレ
ーキのブレーキシリンダの液圧を前記ブレーキ操作部材
の操作力,操作ストローク等操作量に基づいて制御する
液圧制御装置とを含む (2)項または (3)項に記載の車両
制動装置。液圧制御装置は、動力液圧源が発生させる液
圧自体を制御するものでも、動力液圧源から前記ブレー
キシリンダへの液圧の伝達を制御するものでもよい。 (5)前記マニュアルブレーキ装置のブレーキシリンダ
と前記動力ブレーキ装置のブレーキシリンダとが共通で
ある (4)項に記載の車両制動装置。マニュアルブレーキ
装置と動力ブレーキ装置とが別個のブレーキシリンダを
備えたものとすることも可能であるが、ブレーキシリン
ダを共用にすれば、制動装置全体の構成を単純にでき
る。なお、ブレーキシリンダが共通の場合は、当然、摩
擦部材およびブレーキ回転体も共通となる。 (6)前記動力ブレーキ装置が、電気エネルギの供給に
応じて作動する電気作動装置の作動力に基づいて摩擦部
材をブレーキ回転体に押し付ける電動ブレーキと、前記
電気作動装置への電気エネルギの供給を前記ブレーキ操
作部材の操作力,操作ストローク等操作量に基づいて制
御する電気エネルギ制御装置とを含む (2)項または (3)
項に記載の車両制動装置。前記マスタシリンダおよび液
圧ブレーキを含む液圧ブレーキ装置を、本態様の動力ブ
レーキ装置と組み合わせて採用することも可能である
が、ブレーキ操作部材の操作力を純機械的に摩擦部材に
伝達する機械式ブレーキ装置を採用することも可能であ
る。 (7)当該車両制動装置が、後輪が駆動輪である車両に
設けられるものであり、前記マニュアルブレーキ装置
が、前記ブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生
させるマスタシリンダの液圧が前輪のブレーキシリンダ
には供給されるが後輪のブレーキシリンダには供給され
ない液圧ブレーキ装置である (1)項または (6)項に記載
の車両制動装置。本態様の車両制動装置を備えた車両に
おいては、従来は前述のように、路面μが小さい場合
に、クリープトルクによる移動を停止させ難かったので
あるが、本発明に従ってクリープトルクが減少させられ
れば、容易に停止させることができる。 (8)前記ブレーキアシスト装置が、前記マスタシリン
ダと並列に設けられた動力液圧源と、前記前輪および後
輪にそれぞれ設けられたブレーキシリンダにより作動す
る液圧ブレーキと、当該ブレーキアシスト装置の正常時
に、前記マスタシリンダを遮断する一方、前記動力液圧
源を前記前輪および後輪のブレーキシリンダに連通さ
せ、ブレーキアシスト装置の失陥時には、動力液圧源を
遮断する一方、マスタシリンダを前輪のブレーキシリン
ダに連通させる制御弁装置と、当該ブレーキアシスト装
置の正常時に、前記制御弁装置を介して前記前輪および
後輪のブレーキシリンダの液圧を前記ブレーキ操作部材
の操作力,操作ストローク等操作量に基づいて制御する
制御弁装置制御装置とを含む (7)項に記載の車両制動装
置。 (9)運転者によるアクセル操作部材の操作が行われて
いない状態で車両を駆動するクリープトルクを発生する
車両駆動装置と、運転者によるブレーキ操作部材の操作
力に基づいて前記車両を制動するマニュアルブレーキ装
置と、動力源を備え、その動力源の動力に基づいて前記
マニュアルブレーキ装置の制動効果より大きい制動効果
を発生させるブレーキアシスト装置と、そのブレーキア
シスト装置の失陥時に、ブレーキアシスト装置の正常時
に比較して前記車両駆動装置の前記クリープトルクを減
少させるクリープトルク減少制御装置とを含む車両走行
制御装置。クリープトルクは、例えば、エンジンを備え
た車両においてはエンジン回転の減少により、電動モー
タが発生させる駆動トルクにより走行させられる車両に
おいてはモータトルクの減少により、オートマチックト
ランスミッション車においては変速比の減少により、減
少させることができる。変速比は、車両の前進状態にお
いて最大の比より小さくすればよく、1でもよく、ある
いは1より小さくしてもよい。 (10)前記クリープトルク減少制御装置が、前記ブレ
ーキアシスト装置の失陥時に、前記クリープトルクを、
予め定められたブレーキアシスト装置失陥時トルクに減
少させる手段を含む (9)項に記載の車両走行制御装置。
ブレーキアシスト装置失陥時トルクは、ブレーキアシス
ト装置が失陥していない状態で発生させられるクリープ
トルクより小さく、マニュアルブレーキ装置による車両
の制動を妨げない大きさに設定される。本態様は、ブレ
ーキアシスト装置失陥時トルクが0の場合をも包含す
る。 (11)前記クリープトルク減少制御装置が、前記ブレ
ーキアシスト装置の失陥時に、前記クリープトルクを、
正常時のクリープトルクに予め定められた一定の比率を
掛けることにより得られるブレーキアシスト装置失陥時
トルクに減少させる手段を含む (9)項に記載の車両走行
制御装置。正常時のクリープトルクを減少させる比率
は、一定に限らず、状況に応じて変化させられてもよ
い。例えば、車両の走行速度と減速度(またはブレーキ
操作力)との少なくとも一方が大きいほど比率を無段階
あるいは多段階に大きくするのである。 (12)前記ブレーキアシスト装置の失陥時に、前記車
両駆動装置の駆動能力の上限をブレーキアシスト装置の
正常時に比較して低く制限する駆動抑制装置を含む (9)
項ないし(11)項のいずれか1つに記載の車両走行制御装
置。駆動抑制装置は、駆動能力の上限を低く制限するこ
とを指示する装置でもよく、実際に低く制限する装置で
もよい。ブレーキアシスト装置が失陥しても、マニュア
ルブレーキ装置が失陥していなければ、マニュアルブレ
ーキ装置によって車両を制動することができるが、ブレ
ーキアシスト装置が失陥していない場合に比較して制動
効果が小さい。車両駆動装置の駆動能力の上限を低く制
限すれば、マニュアルブレーキ装置のみでも車両を十分
に制動することができ、制動可能な範囲で車両を走行さ
せることができる。 (13)前記駆動抑制装置が、前記車両の最大走行速度
と最大加速度との少なくとも一方を小さくする手段を含
む(12)項に記載の車両走行制御装置。ブレーキアシスト
装置の失陥時には、車両の走行速度と加速度との少なく
とも一方が、失陥時最大走行速度と失陥時最大加速度と
の少なくとも一方に制限される。失陥時最大走行速度お
よび失陥時最大加速度は、マニュアルブレーキ装置のみ
でも車両を制動することができる走行速度および加速度
のうち、最大の走行速度および加速度であり、ブレーキ
アシスト装置が正常な状態での最大走行速度および最大
加速度より小さい。車両の停止状態においてブレーキア
シスト装置が失陥し、車両発進前にその失陥が検出され
た場合にも、車両を発進させ、走行させることはできる
が、走行速度と加速度との少なくとも一方が正常時より
小さく制限される。運転者が、車両の走行速度と加速度
との少なくとも一方が失陥時最大走行速度と失陥時最大
加速度との少なくとも一方を超える運転操作を行って
も、走行速度と加速度との少なくとも一方が、失陥時最
大走行速度と失陥時最大加速度との少なくとも一方に自
動的に抑えられるのである。それに対し、車両が、失陥
時最大走行速度と失陥時最大加速度との少なくとも一方
を超える状態で走行中に、ブレーキアシスト装置の失陥
が検出された場合には、走行速度や加速度が失陥時最大
走行速度や失陥時最大加速度まで自動的に減少させられ
るようにしてもよく、失陥検出時以降は失陥時最大走行
速度や失陥時最大加速度を超える領域では運転者の減速
操作は実行されるが加速操作は無視されるようにしても
よい。後者の場合は、ブレーキアシスト失陥検出時以降
は、実際の走行速度や加速度が運転者の操作に応じて一
旦減少させられれば、失陥時最大走行速度や失陥時最大
加速度を超える加速は不可能であり、徐々に失陥時最大
走行速度や失陥時最大加速度まで減少させられ、それ以
後は失陥時最大走行速度や失陥時最大加速度に抑制され
ることとなる。以上により、ブレーキアシスト装置が車
両の停止中に失陥しても走行中に失陥しても、車両を支
障なく走行させかつ制動することができる。車両の最大
走行速度と最大加速度との一方を小さくする場合には、
前者を小さくすることがより効果的である。 (14)運転者によるアクセル操作部材の操作に応じて
車両を駆動する車両駆動装置と、運転者によるブレーキ
操作部材の操作力に基づいて前記車両を制動するマニュ
アルブレーキ装置と、動力源を備え、その動力源の動力
に基づいて前記マニュアルブレーキ装置のみの場合より
制動効果を増大させるブレーキアシスト装置と、そのブ
レーキアシスト装置の失陥時に、ブレーキアシスト装置
の正常時に比較して前記車両駆動装置の駆動能力の上限
を低く制限する駆動抑制装置とを含む車両走行制御装置
(請求項2)。駆動抑制装置は、例えば、(13)項に記載
の駆動抑制装置と同様に構成される。駆動能力の上限
は、マニュアルブレーキ装置による制動が可能な駆動能
力のうち、最大の大きさに設定され、ブレーキアシスト
装置の失陥時における車両の安全性が増大する効果が得
られる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態である車
両制動装置を図面に基づいて説明する。図1には、本発
明の実施形態である車両制動装置を備えた車両が図示さ
れている。この車両はハイブリッド車であり、駆動輪と
しての後輪10,12は、電気的駆動装置14と内燃駆
動装置としてのエンジン16とを含む車両駆動装置18
によって駆動される。電気的駆動装置14は、モータジ
ェネレータ(発電機,電動モータとして機能するもの)
20,インバータ22,蓄電装置24等を含むものであ
り、このモータジェネレータ20とエンジン16との間
に遊星歯車装置26が設けられている。遊星歯車装置2
6の図示しないサンギヤにはモータジェネレータ20が
連結され、リングギヤにはエンジン16の出力軸がクラ
ッチを介して接続され、キャリアには出力軸28が連結
されている。また、キャリアとサンギヤとの間にもクラ
ッチが設けられている。出力軸28は、変速機30,デ
ィファレンシャルギヤ32を介して後輪10,12に連
結される。
【0008】これらクラッチの接続,遮断およびエンジ
ン16,モータジェネレータ20の作動状態が制御され
ることにより、出力軸28に、エンジン16からの出力
トルクが伝達されたり、モータジェネレータ20からの
出力トルクが伝達されたり、エンジン16からの出力ト
ルクとモータジェネレータ20からの出力トルクとの両
方が伝達されたりする。遊星歯車装置26は、モータジ
ェネレータ20の出力トルクとエンジン16の出力トル
クとを合成したり、分割したりする合成分割機構として
の機能を有するものなのである。
【0009】モータジェネレータ20と蓄電装置24と
の間には、インバータ22が設けられ、インバータ22
の制御により、モータジェネレータ20が、蓄電装置2
4から電気エネルギが供給されて回転させられる回転駆
動状態と、回生制動により発電機として機能することに
より蓄電装置24に電気エネルギを充電する充電状態
と、自由回転を許容する無負荷状態とに切り換えられ
る。上記インバータ22は、コンピュータを主体とする
電動モータ制御装置36からの指令に基づいてモータジ
ェネレータ20を制御する。また、前記エンジン16
は、コンピュータを主体とするエンジン制御装置38に
よって、その作動状態が制御される。エンジン16,モ
ータジェネレータ20は、主として、アクセル開度(ア
クセル操作部材たるアクセルペダルの踏込みにより開か
れるスロットルバルブの開度)に応じた駆動トルクが出
力されるように制御される。また、車両駆動装置18
は、予め設定された条件(後述する)が満たされたと
き、クリープトルクを発生させる。
【0010】変速機30は、図示しないシフトレバーの
シフト位置に基づいて機械的に切り換わる液圧回路と、
車速等に基づいて自動制御される複数のクラッチやブレ
ーキ等とを含むものであり、これら複数のクラッチ,ブ
レーキ等はシフト位置がD(ドライブ)である場合に自
動制御されることにより、走行時における変速比が制御
されるのである。本実施形態におけるシフトレバーは、
上記「D(ドライブ)」の他、「P(パーキング)」,
「N(ニュートラル)」,「B(駆動ブレーキ)」,
「R(リバース)」に切り換え可能なものであり、変速
機30の液圧回路は、前進(D),停止(N),後退
(R)で機械的に切り換えられる。また、電気的駆動装
置14においてモータジェネレータ20が充電状態にあ
る場合には、モータジェネレータ20の回生制動により
後輪10,12に回生制動トルクが加えられ、この場合
には、電気的駆動装置14が回生制動装置として機能す
ることになる。電気的駆動装置14が回生制動装置とし
て機能し、回生制動トルクを発生させるのは、車両の走
行速度が大きい場合であり、アクセル操作部材が操作さ
れた場合にはアクセル操作部材の操作量に応じた駆動ト
ルクを発生させ、アクセル操作部材が操作されていなく
ても、車両の低速走行時にクリープトルクを意図的に発
生させる。ブレーキ操作部材が操作されている場合でも
クリープトルクが発生させられることがあるのである
が、回生制動とクリープトルクに基づく車両の駆動とが
行われる速度領域は異なり、同時に行われることはな
く、回生制動は本発明に直接関係がなく、詳細な説明は
省略する。
【0011】電動モータ制御装置36,エンジン制御装
置38は、ハイブリッド制御装置40に接続されてい
る。ハイブリッド制御装置40は、PU,ROM,RA
MおよびI/Oポートを含むコンピュータを主体として
構成されており、電気的駆動装置14等と共に車両駆動
装置18を構成している。ハイブリッド制御装置40の
コンピュータのI/Oポートには、図示しないシフトレ
バーの位置を検出するシフト位置検出装置42,図示し
ないアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度検出
装置44,蓄電装置24の蓄電量を検出する蓄電量検出
装置46等が接続されており、これらからの出力信号に
基づいて電動モータ制御装置36,エンジン制御装置3
8等に制御指令を発したり、変速機30を制御したりす
る。コンピュータのROMには、図7にフローチャート
で表す駆動制御プログラム等、種々のプログラムが格納
されており、上記出力信号等に基づいて駆動制御等を実
行するのである。
【0012】ハイブリッド制御装置40から電動モータ
制御装置36へは、電動モータ,発電機としてのモータ
ジェネレータ20への要求トルクを表すデータ(以下、
出力トルク要求値と略称する)が出力され、電動モータ
制御装置36からハイブリッド制御装置40へは、モー
タジェネレータ20の回転数,電流等の作動状態を表す
情報が出力される。モータジェネレータ20に対する要
求トルクは、駆動トルクの場合と回生制動トルクの場合
とがある。電動モータ制御装置36はハイブリッド制御
装置40から供給された出力トルク要求値に応じた指令
をインバータ22に出力し、モータジェネレータ20
は、それの出力トルクが出力トルク要求値に対応する要
求トルクに近づくように制御される。ハイブリッド制御
装置40においては、モータジェネレータ20の作動状
態に基づいて実際に出力された出力トルク(駆動トルク
あるいは回生制動トルク)が取得される。
【0013】ハイブリッド制御装置40からエンジン制
御装置38へは、上述の場合と同様に、エンジン16へ
の要求トルクに対応する出力トルク要求値を出力し、エ
ンジン制御装置38からハイブリッド制御装置40へは
エンジン16の出力軸の回転数等を表す情報が出力され
る。エンジン制御装置38は、出力トルク要求値に応じ
て、エンジン16の作動状態(燃料噴射量,噴射タイミ
ング,点火時期,吸排気バルブの開閉,スロットル開度
等)を制御する。ハイブリッド制御装置40において
は、回転数等に基づいて、エンジン16から出力された
実際の駆動トルクの値が取得される。ハイブリッド制御
装置40は、要求トルクが駆動トルクであって、蓄電装
置24の蓄電量が設定量以下である場合には、出力トル
ク要求値をエンジン制御装置38に出力する。
【0014】本実施形態の車両には、マニュアルブレー
キ装置60およびブレーキアシスト装置を構成する動力
ブレーキ装置62が設けられている。マニュアルブレー
キ装置60は、図2に示すように、マスタシリンダ64
と左右の各前輪56,58に設けられた液圧ブレーキ6
6とを含む。マスタシリンダ64は、ブレーキ操作部材
としてのブレーキペダル68の操作力に応じた液圧を発
生させる。マスタシリンダ64はタンデム式であり、2
つの独立した加圧室に同じ大きさの液圧を発生させる。
マスタシリンダ64にはマスタリザーバ70が設けられ
ている。ブレーキペダル68がブレーキ非作用位置にあ
り、マスタシリンダ64内の加圧ピストンが後退端位置
にある状態では、マスタシリンダ64の2つの加圧室は
マスタリザーバ70と連通しており、加圧ピストンが後
退端位置から僅かに前進させられると、加圧室がマスタ
リザーバ70から遮断される。マスタシリンダ64の2
つの加圧室はそれぞれ、液通路72,74により、ブレ
ーキシリンダたるフロントホイールシリンダ76,78
に接続されている。液通路72,74にはそれぞれ常開
の電磁開閉弁から成るマスタシリンダカット弁80,8
2が設けられており、それらマスタシリンダカット弁8
0,82よりフロントホイールシリンダ76,78側の
液圧はホイールシリンダ液圧センサ84,86により検
出され、マスタシリンダ64側の液圧はマスタシリンダ
液圧センサ88により検出される。マスタシリンダ液圧
センサ88により検出されるマスタシリンダ液圧は、ブ
レーキペダル36の操作力である踏込力に対応してい
る。
【0015】ブレーキペダル68とマスタシリンダ64
との間にはストロークシミュレータ92が配設されると
ともに、マスタシリンダ64の加圧室にもストロークシ
ミュレータ94が接続されている。ストロークシミュレ
ータ94は、マスタシリンダカット弁80,82が閉じ
られた状態で液圧を増大させつつ作動液を収容すること
により、マスタシリンダ64からの作動液の排出を許容
するものであり、2つのストロークシミュレータ92,
94が共同して、動力ブレーキ装置62を備えない通常
の液圧ブレーキ装置におけるブレーキ操作に似た感触を
運転者に与える。
【0016】マスタシリンダカット弁80,82が開か
れた状態では、マスタシリンダ64の2つの加圧室に発
生させられた液圧はそれぞれ、フロントホイールシリン
ダ76,78に伝達される。それにより液圧ブレーキ6
6が作動し、液圧ブレーキ66の構成要素である摩擦部
材としてのパッド(図示省略)が、車輪と共に回転する
ブレーキ回転体たるロータ(図示省略)に押し付けら
れ、前輪56,58の回転が抑制される。
【0017】動力ブレーキ装置62は、図2に示すよう
に、動力液圧源100,液圧ブレーキ66,102およ
び液圧制御装置104を含んでいる。動力液圧源100
は、アキュムレータ108,ポンプ110,動力源たる
モータの一種である電動モータ112およびリリーフ弁
114を含む。ポンプ110が電動モータ112によっ
て作動させられ、前記マスタリザーバ70から作動液を
汲み上げてアキュムレータ108に蓄える。アキュムレ
ータ108には圧力スイッチ116が取り付けられてい
る。圧力スイッチ116においては、上限値と、それよ
り小さい下限値とが設定されており、圧力スイッチ11
6はアキュムレータ108に蓄えられた液圧が上限値よ
り大きくなったことと、下限値より小さくなったことと
を検出する。圧力スイッチ116の検出に基づいて電動
モータ112が制御されることにより、アキュムレータ
108に蓄えられる作動液の液圧が設定範囲に保たれ
る。アキュムレータ108の液圧が上限値より大きくな
れば、作動液がリリーフ弁114を介してマスタリザー
バ70に戻される。アキュムレータ108に蓄えられた
液圧が圧力スイッチ116の下限値より小さくなれば、
電動モータ112が起動され、アキュムレータ108に
液圧が蓄えられる。アキュムレータ108には更に別の
圧力スイッチ118が取り付けられている。この圧力ス
イッチ118の検出値は、圧力スイッチ118により検
出される下限値より更に低い値に設定され、アキュムレ
ータ108に蓄えられた作動液の液圧が、液圧ブレーキ
66,102を作動させることができないほど低下した
ことを検出する。
【0018】液圧ブレーキ102は、前記液圧ブレーキ
66と同様に構成され、前記後輪10,12に設けられ
ている。アキュムレータ108に蓄えられた作動液は、
液通路124により、前記フロントホイールシリンダ7
6,78および液圧ブレーキ102を構成するブレーキ
シリンダたるリヤホイールシリンダ126,128に供
給され、その液圧は液圧センサ130により検出され
る。それにより液圧ブレーキ66および液圧ブレーキ1
02が作動させられ、液圧ブレーキ66,102の構成
要素である摩擦部材たるパッドがブレーキ回転体たるロ
ータに押し付けられて車輪の回転が抑制され、車両が制
動される。マニュアルブレーキ装置60のホイールシリ
ンダと動力ブレーキ装置62のホイールシリンダとが共
通であるのであり、フロントホイールシリンダ76,7
8には、マスタシリンダ64の液圧とアキュムレータ1
08の液圧とが択一的に供給され、リヤホイールシリン
ダ126,128には必ずアキュムレータ108の液圧
が供給される。
【0019】液圧制御装置104は、リニアバルブ装置
134およびブレーキ制御装置136を含む。前輪5
6,58および後輪10,12の各ホイールシリンダ7
6,78,126,128の各々について1個ずつの増
圧リニアバルブ138および減圧リニアバルブ140が
設けられており、これら4個ずつの増圧リニアバルブ1
38および減圧リニアバルブ140がリニアバルブ装置
134を構成している。
【0020】フロントホイールシリンダ76について設
けられた増圧リニアバルブ138および減圧リニアバル
ブ140を代表的に説明する。増圧リニアバルブ138
および減圧リニアバルブ140は、図3に概略的に示す
構造を有しており、いずれも常閉のバルブである。増圧
リニアバルブ138は、弁座142とそれに対して着
座,離間可能な弁子144とから成るシート弁146を
備え、弁子144は、付勢装置としてのばね148によ
り着座方向に付勢されている。弁子144と一体的に可
動コア150が設けられており、これに対向して固定コ
ア152が設けられている。これら両コア150,15
2は上記ばね148により互いに離間させられている
が、コイル154に電流が供給されることにより磁化さ
れ、可動コア150が固定コア152側に吸引される。
それにより、弁子144が弁座142から離間させら
れ、シート弁146が開かれる。増圧リニアバルブ13
8は、それ自身の前後の液圧差が弁子144を弁座14
2から離間させる向きに作用する向きで動力液圧源10
0とフロントホイールシリンダ76とに接続されてい
る。したがって、弁子144は、シート弁146前後の
液圧差に基づく差圧作用力と、可動コア150,固定コ
ア152およびコイル154から成るソレノイド156
の電磁駆動力との和が、ばね148の付勢力と釣り合う
位置で停止することとなり、コイル154への供給電流
の制御による電磁駆動力の制御によって、シート弁14
6の開度を制御することができる。増圧リニアバルブ1
38の開度を制御することができるのであり、それによ
って作動液の流量、すなわちフロントホイールシリンダ
76の増圧速度を制御することができる。また、動力液
圧源100の液圧とフロントホイールシリンダ76の液
圧との差が小さくなり、差圧作用力と電磁駆動力との和
がばね148の付勢力より僅かに小さくなれば、弁子1
44が弁座に142に着座してシート弁146が閉じる
ため、コイル154への供給電流の制御により動力液圧
源100の液圧とフロントホイールシリンダ76の液圧
との差を制御することができる。
【0021】減圧リニアバルブ140の構造は増圧リニ
アバルブ138と同じであるため、互いに対応する構成
要素を同一の符号で示し、説明を省略する。ただし、減
圧リニアバルブ140は、フロントホイールシリンダ7
6の液圧とマスタリザーバ70の液圧との差に基づく差
圧作用力が、弁子144を弁座142から離間させる向
きに作用する向きで、フロントホイールシリンダ76と
マスタリザーバ70とに、液通路158と液通路160
とにより接続されている。したがって、コイル154へ
の供給電流の制御により、フロントホイールシリンダ7
6の減圧速度およびフロントホイールシリンダ76とマ
スタリザーバ70との差圧を制御することができる。マ
スタリザーバ70の液圧は実質的に大気圧と見なし得る
ため、フロントホイールシリンダ76とマスタリザーバ
70との差圧の制御は、フロントホイールシリンダ76
の液圧制御となる。
【0022】前記ブレーキ制御装置136は、PU(プ
ロセッシングユニット),ROM,RAMおよびI/O
ポートを含むコンピュータと、前記リニアバルブ装置1
34,マスタシリンダカット弁80,82,電動モータ
112等の駆動回路とを備えている。ブレーキ制御装置
136には、マスタシリンダ液圧センサ88,ホイール
シリンダ液圧センサ84,86,リヤホイールシリンダ
126,128の液圧を検出するホイールシリンダ液圧
センサ164,166,圧力スイッチ116,118,
液圧センサ130,4つの車輪56,58,10,12
の各回転速度を検出する車輪速センサ168,170,
172,174等が接続されている。ブレーキ制御装置
136はまた、図1に示すように前記ハイブリッド制御
装置40に接続されており、両制御装置136,40は
互いに制御指令を発するとともに、情報のやりとりを行
う。また、ROMには、ホイールシリンダ液圧を制御す
るための液圧制御プログラム,車両速度および車両加速
度演算プログラム,図6にフローチャートで表す失陥時
対応プログラム等、種々のプログラムが格納されてい
る。車両速度および車両加速度演算プログラムは、車輪
速センサ168〜174により検出される車輪速に基づ
いて車両の走行速度および加速度を演算するプログラム
である。これらプログラムは時分割で実行される。ハイ
ブリッド制御装置40は、ブレーキ制御装置136から
車両の走行速度および加速度等が得られる。
【0023】次に作動を説明する。車両走行時には、ア
クセルペダルの踏込みに基づいて、ハイブリッド制御装
置40から電動モータ制御装置36あるいはエンジン制
御装置38へ駆動トルク値が出力され、モータジェネレ
ータ20が電動モータとして機能し、あるいはエンジン
16が作動させられて車両が走行させられる。また、ク
リープ条件が成立した場合にクリープトルクが発生させ
られる。クリープ条件は、アクセル開度検出装置44
によって検出されたアクセル開度が0であること、シ
フト位置検出装置42によって検出されたシフト位置が
PでもNでもないこと、低速走行中であることの3つ
であり、これら3つがすべて満たされた場合に、クリー
プ条件が成立したとされる。車両の走行速度は、ブレー
キ制御装置136において演算され、ハイブリッド制御
装置40へ出力されて設定値と比較され、設定値以下で
あれば、低速走行中であるとされる。クリープトルク
は、モータジェネレータ20あるいはエンジン16によ
り発生させられる。クリープトルクの演算については、
後に説明する。
【0024】ブレーキペダル36の踏込みが開始されれ
ば、マスタシリンダカット弁80,82が閉じられ、マ
スタシリンダ64とフロントホイールシリンダ76,7
8との連通が遮断される。したがって、動力ブレーキ装
置62が正常である限り、ホイールシリンダ76,7
8,126,128には、アキュムレータ108からの
作動液が増圧用リニアバルブ138を経て供給される。
増圧用リニアバルブ138,減圧用リニアバルブ140
の制御により、ホイールシリンダ76,78,126,
128に所望の液圧が得られ、動力ブレーキ装置62に
よって車両が制動されるのである。
【0025】ブレーキペダル68が踏み込まれたなら
ば、ブレーキ制御装置136において、マスタシリンダ
液圧センサ88が検出するマスタシリンダ液圧(運転者
によるブレーキペダル68の踏込力に対応している)に
対応する制動トルク(所望制動トルクと称する)が設定
され、ハイブリッド制御装置40へ出力される。ハイブ
リッド制御装置40は、所望制動トルクを電動モータ制
御装置36へ出力し、それに基づいてインバータ22が
モータジェネレータ20を制御する。電動モータ制御装
置36からハイブリッド制御装置40へは、モータジェ
ネレータ20の作動状態に基づいて実際に発生させられ
た回生制動トルクが出力される。ハイブリッド制御装置
40は、ブレーキ制御装置136へ、モータジェネレー
タ20において実際に発生させられた回生制動トルクを
表す情報(実回生制動トルク値)を出力する。ブレーキ
制御装置136は、実回生制動トルクと液圧制動トルク
(動力ブレーキ装置62により生じさせられる制動トル
ク)との和が所望制動トルクとなるようにリニアバルブ
装置134を制御する。ただし、クリープトルク発生時
における車両の制動時には、回生制動トルクは発生させ
られないため、所望制動トルクはすべて動力ブレーキ装
置62により得られる。回生制動トルクが発生させられ
る場合も、発生させられない場合も、所望制動トルク
は、ブレーキペダル68の踏込力に対して、マニュアル
ブレーキ装置60のみの作動により得られる制動効果よ
り大きい制動効果が車両に得られる大きさに設定され、
動力ブレーキ装置62は、マニュアルブレーキ装置60
のみの場合より制動効果を増大させる。
【0026】ブレーキペダル68の踏込みが緩められた
ならば、動力ブレーキ装置62においてはホイールシリ
ンダ液圧が減少させられる。全部の増圧用リニアバルブ
138が閉じられ、減圧用リニアバルブ140が制御さ
れて、ホイールシリンダ液圧が減少させられるのであ
る。
【0027】車両の電源がONにされれば、図6にフロ
ーチャートで表す失陥時対応プログラムが実行される。
このプログラムのステップ1(以下、S1と略記する。
他のステップについても同じ)においては、動力ブレー
キ装置の失陥検出が行われる。例えば、液圧センサ13
0により検出される液圧、すなわちアキュムレータ10
8からホイールシリンダ76,78,126,128に
供給される液圧が適正な大きさ(圧力スイッチ116に
より検出される範囲の大きさ)であり、マスタシリンダ
液圧センサ88によりブレーキペダル68の踏込みが検
出されているにもかかわらず、ホイールシリンダ76,
78,126,128に液圧が得られないのであれば、
リニアバルブ装置134またはそれの駆動回路に何らか
の異常があると判定される。あるいは、圧力スイッチ1
18によりアキュムレータ108の液圧が異常に低下し
たことが検出され、それに基づいて電動モータ112を
作動させても、圧力スイッチ118による異常検出が解
消されなければ、電動モータ112の駆動回路に何らか
の異常があると判定される。
【0028】S2においては、S1の検出結果に基づい
て、動力ブレーキ装置62が失陥しているか否かの判定
が行われる。失陥していなければ、S2の判定結果はN
OとなってS5が実行され、正常情報がハイブリッド制
御装置40へ出力される。
【0029】動力ブレーキ装置62が失陥していれば、
S2の判定結果はYESになってS3が実行され、動力
ブレーキ装置62が作動を停止させられるとともに、マ
スタシリンダカット弁80,82が開かれる。動力ブレ
ーキ装置62においては、増圧リニアバルブ138およ
び減圧リニアバルブ140が閉じられる。それにより、
ブレーキペダル68の踏込みによりマスタシリンダ64
の2個の液圧室に発生させられた液圧に基づいて、前輪
56,58の液圧ブレーキ66が作動させられる。マニ
ュアルブレーキ装置60によって車両が制動されるので
あり、動力ブレーキ装置62の失陥時には、前輪56,
58の液圧ブレーキ66がマニュアルブレーキ装置60
の液圧ブレーキとして作動させられる。次いでS4が実
行され、失陥情報がハイブリッド制御装置40へ出力さ
れる。
【0030】車両の電源がONにされれば、ハイブリッ
ド制御装置40においては、図7に示す駆動制御プログ
ラムが実行される。まず、S11において、クリープ条
件が成立したか否か、すなわち前述のクリープ条件〜
がすべて満たされたか否かの判定が行われる。クリー
プ条件が成立していなければ、クリープトルクを発生さ
せなくてもよく、S11の判定結果はNOになってS1
2〜S14がスキップされ、S15が実行される。
【0031】S15においては、走行速度を増大させる
か否かの判定が行われる。この判定は、今回、アクセル
開度に基づいて設定された目標駆動トルク値TNMから、
先回、電動モータ制御装置36あるいはエンジン制御装
置38へ出力された指令駆動トルク値TO(n-1)(現在、
出力されている指令駆動トルク値である)を引いた値
(偏差H)が、設定値以上であるか否かにより行われ
る。この設定値は、0より大きい値である。設定値以上
であれば、アクセル開度が増大しており、走行速度を増
大させるのであり、S15の判定結果はYESになって
S16が実行され、増速制御が行われる。
【0032】S16においては、指令駆動トルク値TO
が演算され、電動モータ制御装置36あるいはエンジン
制御装置38へ出力される。指令駆動トルク値TO は、
先回の指令駆動トルク値TO(n-1)に、駆動トルクの増分
ΔTを加えることにより求められる。駆動トルクの増分
ΔTは、一般的には、偏差H,偏差Hの微分値および偏
差Hの積分値の関数として求められるが、本実施形態に
おいては、偏差Hおよび偏差Hの微分値の関数として、
式ΔT=C1 ・Hn +C2 ・(Hn −Hn-1 )/Δt+
3 により求められることとする。指令駆動トルク値T
O は、アクセル開度の増大量および増大速度に基づいて
設定されるのである。C1 ,C2 ,C3は定数である。
【0033】偏差Hが設定値以上でなければ、S17が
実行され、車両を減速させるか否かの判定が行われる。
この判定は、偏差Hが設定値以下であるか否かにより行
われる。この設定値は、0より小さい値である。偏差H
が設定値以下であれば、車両を減速させるのであり、S
17の判定結果はYESになってS18が実行され、指
令駆動トルク値TO が演算されるとともに、電動モータ
制御装置36あるいはエンジン制御装置38へ出力され
る。この演算は、S16におけると同様に実行される
が、ここでは、偏差Hが負の値であるため、演算により
得られる指令駆動トルク値TO は、先回の指令駆動トル
ク値TO(n-1)より小さい値になり、走行速度が減少させ
られる。指令駆動トルク値TO は、アクセル開度の減少
量および減少速度を考慮して演算されるのである。な
お、電動モータ制御装置36およびエンジン制御装置3
8へは、駆動トルクの増分あるいは減少分を出力するよ
うにしてもよい。
【0034】偏差Hが、S15において設定された設定
値より小さく、S17において設定された設定値より大
きければ、S15,S17の判定結果はいずれもNOに
なり、指令駆動トルク値TO の演算は行われない。指令
駆動トルク値TO の大きさは変わらないのであり、車両
の走行速度が一定に保たれる。
【0035】クリープ条件が成立すれば、S11の判定
結果がYESになってS12が実行され、動力ブレーキ
装置62が失陥しているか否かの判定が行われる。この
判定は、ブレーキ制御装置136からハイブリッド制御
装置40へ出力された失陥検出の結果に基づいて行われ
る。失陥が生じていなければ、S12の判定結果はNO
になってS14が実行され、クリープトルクの演算が行
われ、演算により得られたクリープトルクが電動モータ
制御装置36あるいはエンジン制御装置38へ出力され
る。クリープトルクは、図4,5に示すマップに従って
演算される。すなわち、車速に基づいて決まる基礎クリ
ープトルクTbcにブレーキ操作力に基づいて決まる係数
Kを掛ける(Tc=Tbc×K)ことによって求められる
のであるが、車速が大きくなるほど小さく、ブレーキ操
作力が大きいほど小さくされる。ブレーキ操作力が大き
く、車両を停止させる意図が強い場合には、クリープト
ルクは不要だからであり、不要なクリープトルクが小さ
くされることにより、消費エネルギの低減を図り得る。
クリープトルクは、前記条件〜のすべてを満たせ
ば、制動時および非制動時のいずれにおいても発生させ
られる。また、クリープトルク発生時における制動は、
回生制動装置によらず、動力ブレーキ装置62により行
われる。動力ブレーキ装置62の失陥時には、マニュア
ルブレーキ装置60により制動が行われる。
【0036】動力ブレーキ装置62に失陥が生じていれ
ば、S12の判定結果はYESになってS13が実行さ
れ、クリープトルクが0に設定される。本実施形態にお
いては、予め定められたブレーキアシスト装置失陥時ト
ルクが0とされており、動力ブレーキ装置62の失陥時
にはクリープトルクが0に減少させられ、発生させられ
ない。動力ブレーキ装置62が正常であれば、演算され
たクリープトルクの値がそのまま出力されるため、ブレ
ーキ制御装置136は、動力ブレーキ装置62が失陥し
ているか否かに応じて、クリープトルクを発生させるか
否かを指示すればよく、クリープトルクの発生の有無
を、動力ブレーキ装置62の失陥の有無によって指示す
ることができる。動力ブレーキ装置62の失陥情報の出
力がクリープトルクを0に減少させる指示の出力なので
ある。このように、動力ブレーキ装置62の失陥時に
は、クリープトルクが0に減少させられ、電動モータ制
御装置36あるいはエンジン制御装置38へは、クリー
プトルクの指令値が出力されず、クリープトルクは発生
させられない。そのため、マニュアルブレーキ装置60
のみによって車両が制動されるが、動力ブレーキ装置6
2の失陥に起因する制動距離の延びが回避される。
【0037】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ブレーキ制御装置136のS1を実行す
る部分が、動力ブレーキ装置62の失陥を検出する失陥
検出手段を構成し、S4を実行する部分がクリープトル
ク減少指示装置を構成している。本実施形態の車両にお
いて制動は、回生制動装置と、マニュアルブレーキ装置
60および動力ブレーキ装置62により構成される摩擦
制動装置の一種である液圧制動装置とによって行われ、
これらが車両制動装置を構成しているが、そのうち、マ
ニュアルブレーキ装置60,動力ブレーキ装置62およ
びクリープトルク減少指示装置等を含み、回生制動装置
を除いた部分が本発明の実施形態である車両制動装置を
構成している。また、クリープトルク減少指示装置は、
クリープトルク減少制御装置を構成し、車両駆動装置1
8,マニュアルブレーキ装置60および動力ブレーキ装
置62と共に車両走行制御装置を構成している。
【0038】上記実施形態においてクリープトルクは0
に減少させられるようにされていたが、0より大きい値
に減少させるようにしてもよい。0より大きい値に減少
させる例を図8および図9に基づいて説明する。本実施
形態においては、ブレーキ制御装置のコンピュータのR
OMに図8に示す失陥時対応プログラムが格納され、ハ
イブリッド制御装置のコンピュータのROMに図9にフ
ローチャートで表す駆動制御プログラムが格納されてい
る。
【0039】失陥時対応プログラムのS21〜S23
は、上記実施形態のS1〜S3と同様に実行される。動
力ブレーキ装置が失陥していなければ、S25が実行さ
れ、正常時クリープトルク制限値がハイブリッド制御装
置のコンピュータへ出力され、失陥していれば、S24
が実行されて失陥時クリープトルク制限値が出力され
る。正常時クリープトルク制限値は、車両において発生
が予定されているクリープトルクのうち、最大のクリー
プトルクより大きい値に設定されている。また、失陥時
クリープトルク制限値は、その大きさのクリープトルク
が発生させられても、マニュアルブレーキ装置のみによ
り車両を制動し得る大きさに設定されている。
【0040】駆動制御プログラムのS31,S32,S
37〜S40は、上記実施形態のS11,S14〜S1
8と同様に実行される。クリープトルクの演算後、S3
3において、ブレーキ制御装置から出力されているクリ
ープトルク制限値の値が読み込まれる。そして、S34
において、S32において演算されたクリープトルク値
(クリープトルク演算値と称する)が、S33において
読み込まれたクリープトルク制限値より大きいか否かの
判定が行われる。動力ブレーキ装置が失陥していなけれ
ば、正常時クリープトルク制限値が出力されており、大
きく、クリープトルク演算値がいかなる値であってもク
リープトルク制限値より小さくなるため、S34の判定
結果はNOになる。それによりS36が実行され、クリ
ープトルク演算値が電動モータ制御装置あるいはエンジ
ン制御装置へ出力される指令クリープトルク値に決定さ
れ、出力される。
【0041】動力ブレーキ装置が失陥していれば、ブレ
ーキ制御装置から出力されるクリープトルク制限値は失
陥時クリープトルク制限値であって小さく、クリープト
ルク演算値がクリープトルク制限値より大きい場合が生
ずる。その場合には、S34の判定結果がYESになっ
てS35が実行され、クリープトルク制限値が指令クリ
ープトルクに決定され、出力される。クリープトルク演
算値が、失陥時クリープトルク制限値以下であれば、S
34の判定結果はNOとなり、クリープトルク演算値が
指令クリープトルク値に決定され、出力される。動力ブ
レーキ装置の失陥時であっても、演算により得られたク
リープトルク値が失陥時クリープトルク制限値以下の大
きさであれば、発生させられても、マニュアルブレーキ
装置のみにより車両を制動することができるからであ
る。なお、失陥時クリープトルク制限値は、一定の値で
もよく、例えば、車両の走行速度や加速度等に応じて時
々刻々変化する値でもよい。
【0042】上記各実施形態において、動力ブレーキ装
置の失陥時には、クリープトルクは予め定められたブレ
ーキアシスト装置失陥時トルクに減少させられていた
が、動力ブレーキ装置が正常であるとして演算されたク
リープトルクに予め定められた一定の比率を掛けること
によりブレーキアシスト装置失陥時トルクを設定し、そ
のトルクに減少させてもよい。その例を図10および図
11に基づいて説明する。図10に示す失陥時対応プロ
グラムは、ブレーキ制御装置のコンピュータのROMに
格納されており、図11に示す駆動制御プログラムは、
ハイブリッド制御装置のコンピュータのROMに格納さ
れている。S51〜S53,S61,S64〜S68は
前記S1〜S3,S11,S14〜S18と同様に実行
され、説明を省略する。
【0043】失陥時対応プログラムにおいて、動力ブレ
ーキ装置が失陥していれば、S54が実行され、クリー
プトルクの設定比率が出力される。この設定比率は、本
実施形態においては0.5に設定されており、クリープ
トルクを減少させる減少比率であり、一定である。ま
た、動力ブレーキ装置が失陥していなければS55が実
行され、設定比率1が出力される。
【0044】駆動制御プログラムにおいては、クリープ
条件の成立時にS62が実行され、ブレーキ制御装置か
ら特殊情報が出力されているか否かの判定が行われる。
特殊情報とは、クリープトルクの減少比率0.5の情報
である。ブレーキ制御装置から設定比率1が出力されて
いれば、特殊情報ではなく、S62の判定結果はNOに
なってS64が実行され、上記各実施形態におけると同
様にクリープトルクが演算され、演算値がそのまま出力
される。クリープトルクが減少させられることはないの
である。ブレーキ制御装置から減少比率0.5が出力さ
れていれば、特殊情報であり、S62の判定結果がYE
SになってS63が実行され、S64おけると同様にク
リープトルクが演算された後、演算値に、ブレーキ制御
装置から指示された減少比率0.5を掛けて、クリープ
トルク値を減少させる。この減少クリープトルク値が電
動モータ制御装置あるいはエンジン制御装置へ出力さ
れ、クリープトルクが正常時よりも減少させられる。ク
リープトルクの減少比率は、一定の値に限らず、変化さ
せてもよい。例えば、車両の走行速度と減速度との少な
くとも一方に基づいて、0と1との間で変化させてもよ
い。
【0045】上記各実施形態においては、動力ブレーキ
装置の失陥時にクリープトルクが減少させられるように
なっていたが、それに加えて、車両の最大走行速度およ
び最大加速度を抑制するようにしてもよい。その例を図
12に基づいて説明する。
【0046】前記ハイブリッド制御装置のコンピュータ
のROMには、図12にフローチャートで表される駆動
制御プログラムが格納されており、ブレーキ制御装置の
コンピュータのROMには、図示は省略するが、前記図
6に示す失陥時対応プログラムと同様に構成された失陥
時対応プログラムが格納されている。
【0047】駆動制御プログラムのS71〜S75,S
79〜S81は、前記実施形態のS11〜S18と同様
に実行される。この駆動制御プログラムは、車両の増速
時に動力ブレーキ装置が失陥しており、車両の加速度が
失陥時最大加速度以上であっても、走行速度が失陥時最
大走行速度以上であっても、車両はそれ以上、増速させ
られず、車両の加速度が失陥時最大加速度より小さく、
かつ、走行速度が失陥時最大走行速度より小さい場合に
増速制御が行われるように構成されている(S76〜S
78)。失陥時最大加速度および失陥時最大走行速度
は、マニュアルブレーキ装置のみでも車両を制動するこ
とができる走行速度および加速度のうち、最大の走行速
度および加速度であり、動力ブレーキ装置が正常な状態
での最大加速度および最大走行速度より小さい。なお、
車両の加速度および走行速度は、ブレーキ制御装置から
供給される。
【0048】S76〜S78の実行により、動力ブレー
キ装置失陥時の加速度または走行速度が失陥時最大加速
度または失陥時最大走行速度を超えていた場合には、運
転者が加速操作を行ってもその操作は無視されて実行さ
れず、また、動力ブレーキ装置失陥時の加速度または走
行速度が失陥時最大加速度または失陥時最大走行速度以
下であれば、運転者の加速操作は実行されるが、失陥時
最大加速度または失陥時最大走行速度まで増大すれば、
それ以降の加速操作は実行されず、失陥時最大加速度お
よび失陥時最大走行速度に抑えられる。動力ブレーキ装
置の失陥時には、運転者のアクセル操作部材の操作量に
関係なく、最大走行速度および最大加速度が正常時より
も小さく制限され、車両駆動装置の駆動能力の上限が正
常時に比較して低く制限されるのであり、動力ブレーキ
装置が失陥していても、車両を支障なく制動することが
できる。本実施形態においては、S77,S77を実行
する部分が駆動抑制装置を構成している。なお、S77
とS78との少なくとも一方の判定がYESの場合に
は、加速度と走行速度との少なくとも一方を強制的に失
陥時最大加速度や失陥時最大走行速度まで減少させる強
制減速ステップを付加することも可能である。
【0049】図12に示す実施形態においては、動力ブ
レーキ装置の失陥時には、クリープトルクの減少と、車
両の走行速度,加速度の制限の両方が行われるようにさ
れていたが、車両の走行速度,加速度の制限のみを行う
ようにしてもよい。例えば、図12に示す実施形態の駆
動制御プログラムのうち、S71〜S74を除いたステ
ップにより駆動制御プログラムを構成してハイブリッド
制御装置のコンピュータのROMに格納し、ハイブリッ
ド制御装置に実行させる。ハイブリッド制御装置のこの
駆動制御プログラムを実行する部分が駆動抑制装置を構
成し、この駆動抑制装置,車両駆動装置(ハイブリッド
制御装置の駆動抑制装置を構成する部分は除く),マニ
ュアルブレーキ装置および動力ブレーキ装置を含む車両
走行制御装置が請求項2に記載の車両走行制御装置の一
実施形態である。
【0050】また、動力ブレーキ装置は、液圧ブレーキ
を含み、液圧に基づいて車輪の回転を抑制する装置に限
らず、電気ブレーキを含み、電気エネルギに基づいて車
輪の回転を抑制する装置としてもよい。電気ブレーキを
含む動力ブレーキ装置を備えた車両制動装置の例を図1
3および図14に示す。この車両制動装置のマニュアル
ブレーキ装置200は、マスタシリンダ202と、4輪
のそれぞれに設けられた液圧ブレーキ204とを含み、
動力ブレーキ装置208は、4輪のそれぞれに設けられ
た動力源の一種であるモータであって、電動モータたる
超音波モータ210と、電動ブレーキ212と、電気エ
ネルギ制御装置214とを含む。液圧ブレーキ204お
よび電動ブレーキ212はディスクブレーキにより構成
されており、摩擦部材たるブレーキパッドおよびブレー
キ回転体たるディスクロータを共用し、一体的に設けら
れている。
【0051】4輪のうちの1つについて設けられた液圧
ブレーキ204および電動ブレーキ212を、図14に
基づいて説明する。図14において218はブレーキ回
転体たるディスクロータであり、車輪と共に回転する。
ディスクロータ218の両面はそれぞれ摩擦面222
a,222bとされ、それら摩擦面222a,222b
に対向して一対の摩擦部材たるブレーキパッド224
a,224bが配設されている。各ブレーキパッド22
4a,224bは、前面において各摩擦面222a,2
22bと接触する摩擦材226を備えるとともに、その
摩擦材226の背面に鋼製の裏板228が固着されてい
る。
【0052】ブレーキパッド224a,224bは、図
示しない車体に固定されたマウンティングブラケット2
34により、ディスクロータ218の回転軸線(以下、
ロータ回転軸線と略称する)と平行な方向(図14にお
いては左右方向)に移動可能に支持されている。マウン
ティングブラケット234は、ブレーキパッド224
a,224bがディスクロータ218に押し付けられる
とき、両者の間に発生する摩擦力を受ける。
【0053】マウンティングブラケット234にはま
た、キャリパ240が、ロータ回転軸線と平行な方向に
移動可能に支持されている。キャリパ240は浮動式な
のである。キャリパ240は、パッド押圧機構部24
2,リアクション部244およびそれらパッド押圧機構
部242とリアクション部244とを連結する連結部2
46とを含み、ブレーキパッド224a,224bおよ
びディスクロータ218を跨いで設けられ、リアクショ
ン部244はブレーキパッド224aに対向させられ、
パッド押圧機構部242は、ブレーキパッド224bに
対向させられている。
【0054】パッド押圧機構部242には、加圧部材と
しての押圧ピストン250がシール部材252によりシ
ールされて液密かつ摺動可能に嵌合されている。押圧ピ
ストン250の背面側(ブレーキパッド224bとは反
対側)に、前記超音波モータ210が配設されている。
押圧ピストン250と超音波モータ210とは、パッド
移動方向に平行に互いに同軸に配置されるとともに、そ
れらの間に運動変換装置としてのボールねじ装置254
が設けられている。
【0055】超音波モータ210は、進行波式である。
超音波モータ210は、よく知られているように、ステ
ータに超音波振動を与えて表面波を生じさせるととも
に、ステータ256とロータ258との間に働く摩擦力
によってロータ258を回転させる。超音波モータ21
0は、有底円筒状のモータハウジング260にステータ
256とロータ258とが同軸に収容された構造とされ
ている。ステータ256は、弾性体262と圧電体26
4とが重ね合わされた構造とされている。
【0056】モータハウジング260は、複数の部材が
互いに一体的にかつ液密に固定されて成り、キャリパ2
40に固定されている。ロータ258は、押圧接触機構
270によってステータ256に押し付けられ、両者の
間に必要な摩擦力が得られるようになっている。ロータ
258のうち、ステータ256と接触する部分には摩擦
材料が接着されている。これにより、ステータ256に
発生した進行波振動がロータ258に伝達されてロータ
258が回転させられる。その押圧接触機構270によ
り、圧電体264に電圧が印加されない非通電状態(O
FF状態)でもステータ256とロータ258との間に
は一定の摩擦力が生じ、この摩擦力により静止保持トル
クが超音波モータ210に発生させられる。
【0057】ボールねじ装置254は、雄ねじ部材27
4と雌ねじ部材276とが複数個のボール(図示省略)
を介して螺合された構造とされている。モータハウジン
グ260にはスプライン嵌合部278が位置を固定して
設けられており、雄ねじ部材274は、そのスプライン
嵌合部278に回転不能かつ軸方向に移動可能に取り付
けられている。雌ねじ部材276は、それの軸線方向に
隔たったラジアル軸受280とラジアルスラスト軸受2
82とを介してキャリパのパッド押圧機構部242に回
転可能かつ軸方向に移動不能であって、シール部材28
4によりシールされて液密に保持されている。
【0058】雌ねじ部材276には、ロータ258が押
圧接触機構270と共に相対回転不能に取り付けられて
いる。したがって、ロータ258が正方向に回転させら
れれば、雌ねじ部材276が正方向に回転させられ、雄
ねじ部材274が前進させられて(図において右方へ移
動させられて)押圧ピストン250を前進させ、ブレー
キパッド224bをディスクロータ218に押し付け
る。ブレーキパッド224bがディスクロータ218に
押し付けられた状態から更に雌ねじ部材276が正方向
に回転させられることにより、キャリパ240が、リア
クション部244がブレーキパッド224aに接近する
向きに移動させられ、ブレーキパッド224aをディス
クロータ218に押し付けて車輪の回転を抑制する。ロ
ータ258が逆方向に回転させられれば、雌ねじ部材2
76が逆方向に回転させられ、雄ねじ部材274が後退
させられて(図14において左方へ移動させられて)、
押圧ピストン250が後退し、押付力が解除されてブレ
ーキパッド224a,224bがディスクロータ218
から離間する向きに移動することが許容される。
【0059】雄ねじ部材274の先端部には荷重センサ
286が同軸に取り付けられており、雄ねじ部材274
はその荷重センサ286を介して押圧ピストン250に
背後から係合する。したがって、荷重センサ286から
の出力信号に基づき、超音波モータ210によりブレー
キパッド224bが加圧される際の加圧力が検出可能と
なる。以上、説明した動力源たる超音波モータ210お
よびボールねじ装置254が電気作動装置を構成し、ブ
レーキパッド224a,224b,ディスクロータ21
8と共に電動ブレーキ204を構成している。
【0060】押圧ピストン250および雌ねじ部材27
6はそれぞれ、シール部材252,284によりシール
されてキャリパ240のパッド押圧機構部242に保持
されており、それらの間に液圧室290が設けられてい
る。この液圧室290は、液通路292によって、マス
タシリンダ202の加圧室に接続されており、液圧室2
90がブレーキシリンダを構成している。マスタシリン
ダ202はタンデム型であり、ブレーキペダル294の
踏込みに基づいてマスタシリンダ202の2つの加圧室
にそれぞれ液圧が発生させられる。一方の加圧室に発生
させられた液圧は、液通路292によって前輪296,
298に設けられた各液圧ブレーキ204の液圧室29
0に伝達され、他方の加圧室に発生させられた液圧は、
液通路290により後輪300,302に設けられた液
圧ブレーキ204の液圧室290に伝達される。それに
より、押圧ピストン250が前進させられてブレーキパ
ッド224bをディスクロータ218に押し付けるとと
もに、反力によりキャリパ240が移動させられてリア
クション部244がブレーキパッド224aをディスク
ロータ218に押し付け、車輪の回転が抑制される。
【0061】超音波モータ210は、前記電気エネルギ
制御装置214により制御される。電気エネルギ制御装
置214はPU,ROM,RAMおよびI/Oポートを
含むコンピュータを主体として構成されており、I/O
ポートには、前輪290,292,後輪300,302
の各回転速度を検出する車輪速センサ320,322,
324,326,荷重センサ286,マスタシリンダ液
圧センサ310等が接続されている。マスタシリンダ液
圧センサ310は、マスタシリンダ202から液圧室2
90に供給される作動液の液圧を検出する。また、コン
ピュータのROMには、図15に示す失陥時対応プログ
ラム,車両の走行速度および加速度を演算する走行速度
および加速度演算プログラム,電動ブレーキ212によ
る制動力を決定する制動力決定プログラム等が格納され
ており、これらプログラムは時分割で実行される。ま
た、図示は省略するが、本実施形態のマニュアルブレー
キ装置200および動力ブレーキ装置208を含む車両
には、上記各実施形態におけると同様に構成された車両
駆動装置が設けられ、ハイブリッド制御装置のコンピュ
ータのROMには、図7に示す駆動制御プログラムと同
様の駆動制御プログラムが格納されている。
【0062】動力ブレーキ装置208が正常であれば、
上記各実施形態におけると同様の回生制動装置,マニュ
アルブレーキ装置200および動力ブレーキ装置208
によって制動が行われ、ブレーキペダル294の踏込力
に応じた制動効果が得られる。マスタシリンダ液圧セン
サ310により検出されるマスタシリンダ液圧は、ブレ
ーキペダル294の踏込力に対応しており、電気エネル
ギ制御装置214においては、マスタシリンダ液圧セン
サ310の検出信号に基づいて所望制動トルクが決定さ
れ、ハイブリッド制御装置へ出力される。また、ハイブ
リッド制御装置から電気エネルギ制御装置214へは、
回生制動により得られる回生制動トルクの値が出力され
る。電気エネルギ制御装置214においては、回生制動
トルクおよび所望制動トルクに基づいて電動ブレーキ2
12により電気的に得る制動トルクを決定し、超音波モ
ータ210を制御する。所望制動トルクは、マニュアル
ブレーキ装置200のみの場合の制動効果より大きい制
動効果が車両に得られる大きさに設定されており、動力
ブレーキ装置208は、マニュアルブレーキ装置200
のみの場合より制動効果を増大させる。
【0063】失陥時対応プログラムのS91において
は、動力ブレーキ装置208の失陥検出が行われる。動
力ブレーキ装置208の失陥検出は、本実施形態におい
ては、マニュアル液圧センサ310によりブレーキペダ
ル294の踏込みが検出されているにもかかわらず、マ
スタシリンダ液圧に対応する大きさの減速度および荷重
(荷重センサ286により検出される荷重)が得られな
ければ、超音波モータ210またはそれの駆動回路に何
らかの異常があると判定されるように構成されている。
動力ブレーキ装置208が失陥していれば、S92の判
定結果がYESになってS93が実行され、超音波モー
タ210の作動が停止させられる。電圧の供給が停止さ
れるのである。次いでS94が実行され、失陥情報が出
力される。また、動力ブレーキ装置208が失陥してい
なければ、S92の判定結果がNOになってS95が実
行され、正常情報が出力される。
【0064】動力ブレーキ装置208の失陥が検出さ
れ、失陥情報が出力されれば、駆動制御プログラムにお
いてクリープトルクが0に設定され、動力ブレーキ装置
208の失陥時には、クリープトルクが発生させられな
い。
【0065】なお、動力ブレーキ装置を電動ブレーキに
より構成する場合、、動力ブレーキ装置の失陥時には、
クリープトルクを、0より大きいブレーキアシスト装置
失陥時減少トルクに減少させ、あるいは設定された比率
で減少させ、あるいはクリープトルクを減少させるとと
もに、車両の最高走行速度,最高加速度を正常時より小
さく制限するようにしてもよい。
【0066】また、図12に示す実施形態において、動
力ブレーキ装置の失陥時には、車両の最大走行速度と最
大加速度とのいずれか一方のみの制限が行われるように
してもよい。
【0067】さらに、上記各実施形態においては、動力
ブレーキ装置においてはブレーキ制御装置が設けられ、
車両駆動装置においてはハイブリッド制御装置,電動モ
ータ制御装置,エンジン制御装置が設けられ、駆動と制
動とがそれぞれ異なるコンピュータによって行われるよ
うにされていたが、駆動および制動を1つのコンピュー
タにより行うようにしてもよい。駆動用,制動用,失陥
時対応用等のプログラムは時分割で実行される。この場
合、このコンピュータを含む制御装置の、動力ブレーキ
装置の失陥を検出し、失陥検出時にクリープトルクを減
少させる部分がクリープトルク減少制御装置を構成する
こととなる。
【0068】さらに、上記各実施形態において、クリー
プトルク減少指示装置は、クリープトルクの減少値ある
いは減少比率を指示する装置とされていたが、減少を指
示する装置としてもよい。例えば、車両駆動装置が、減
少の指示に基づいて、クリープトルクの減少値あるいは
減少比率を自身で決定するように構成されているのであ
れば、減少を指示するのみで足りるのである。
【0069】さらに、図1ないし図12に示す各実施形
態において、液圧制御装置は、バルブ装置の一種である
リニアバルブ装置を含むものとされていたが、液圧制御
装置のバルブ装置は、1つのホイールシリンダについて
2個ずつの電磁開閉弁を設け、それら電磁開閉弁の開閉
の組合わせにより、ホイールシリンダ液圧を増大,減
少,保持させるように構成してもよい。
【0070】また、本発明は、回生制動が行われる車両
の車両制動装置に限らず、回生制動が行われない車両の
車両制動装置,車両走行制御装置や、後輪が駆動輪であ
り、マニュアルブレーキ装置のマスタシリンダにおいて
発生させられる液圧が前輪のブレーキシリンダのみに供
給される車両以外の車両の車両制動装置や車両走行制御
装置にも適用することができる。
【0071】以上、本発明の幾つかの実施形態を詳細に
説明したが、これは文字通り例示であり、本発明は、前
記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および
効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知
識に基づいて種々の変更,改良を形態で実施することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両制動装置を含む
車両全体の概略図である。
【図2】上記車両制動装置を表す回路図である。
【図3】上記車両制動装置を構成するリニアバルブ装置
の増圧リニアバルブおよび減圧リニアバルブの構造を概
略的に示す図である。
【図4】上記車両を構成する車両駆動装置のハイブリッ
ド制御装置のコンピュータのROMに格納されたクリー
プトルクと車速との関係を表すマップである。
【図5】上記ハイブリッド制御装置のコンピュータのR
OMに格納された係数とブレーキ操作力との関係を表す
マップである。
【図6】上記車両制動装置のブレーキ制御装置のROM
に格納された失陥時対応プログラムを表すフローチャー
トである。
【図7】上記ハイブリッド制御装置のコンピュータのR
OMに格納された駆動制御プログラムを表すフローチャ
ートである。
【図8】本発明の別の実施形態である車両制動装置のコ
ンピュータのROMに格納された失陥時対応プログラム
を表すフローチャートである。
【図9】図8に示す車両制動装置を備えた車両の車両駆
動装置を構成するハイブリッド制御装置のコンピュータ
のROMに格納された駆動制御プログラムを表すフロー
チャートである。
【図10】本発明の更に別の実施形態である車両制動装
置のコンピュータのROMに格納された失陥時対応プロ
グラムを表すフローチャートである。
【図11】図10に示す車両制動装置を備えた車両の車
両駆動装置を構成するハイブリッド制御装置のコンピュ
ータのROMに格納された駆動制御プログラムを表すフ
ローチャートである。
【図12】本発明の更に別の実施形態である車両制動装
置を含む車両に設けられた車両駆動装置のハイブリッド
制御装置のコンピュータのROMに格納された駆動制御
プログラムを表すフローチャートである。
【図13】本発明の更に別の実施形態である車両制動装
置を表す回路図である。
【図14】図13に示す車両制動装置を構成する動力ブ
レーキ装置をマニュアルブレーキ装置の一部と共に示す
正面図(一部断面)である。
【図15】図13に示す動力ブレーキ装置の電気エネル
ギ制御装置のコンピュータのROMに格納された失陥時
対応プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
18:車両駆動装置 60:マニュアルブレーキ装置
62:動力ブレーキ装置 64:マスタシリンダ
66:液圧ブレーキ 68:ブレーキペダル
76,78:フロントホイールシリンダ 100:動
力液圧源 102:液圧ブレーキ 126,12
8:リヤホイールシリンダ 134:リニアバルブ装
置 136:ブレーキ制御装置 200:マニュア
ルブレーキ装置 202:マスタシリンダ 20
4:液圧ブレーキ 208:動力ブレーキ装置 2
12:電動ブレーキ 214:電気エネルギ制御装置
294:ブレーキペダル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/02 341 F02D 29/02 341 Fターム(参考) 3D041 AA71 AB01 AC01 AC15 AC27 AD10 AD31 AD41 AD51 AE02 3D049 BB03 CC02 CC04 HH10 HH48 KK07 KK14 QQ01 3G093 AA01 AA05 BA04 CB14 DA06 DB05 DB11 DB15 EA01 FA12 FB02 5H115 PG04 PI16 PI29 PO17 PU01 PU22 PU23 PU25 QI04 QI07 QI12 QI15 QN03 RB08 RE05 SE04 SE05 SE08 SJ13 TB02 TB03 TE03 TI01 TO21 TO23 TO26 TO30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者によるブレーキ操作部材の操作力
    に基づいて車両を制動するマニュアルブレーキ装置と、 動力源を備え、その動力源の動力に基づいて前記マニュ
    アルブレーキ装置のみの場合より制動効果を増大させる
    ブレーキアシスト装置と、 そのブレーキアシスト装置の失陥時に、ブレーキアシス
    ト装置の正常時に比較してクリープトルクを減少させる
    ことを車両駆動装置に指示するクリープトルク減少指示
    装置とを含むことを特徴とする車両制動装置。
  2. 【請求項2】 運転者によるアクセル操作部材の操作に
    応じて車両を駆動する車両駆動装置と、 運転者によるブレーキ操作部材の操作力に基づいて前記
    車両を制動するマニュアルブレーキ装置と、 動力源を備え、その動力源の動力に基づいて前記マニュ
    アルブレーキ装置のみの場合より制動効果を増大させる
    ブレーキアシスト装置と、 そのブレーキアシスト装置の失陥時に、ブレーキアシス
    ト装置の正常時に比較して前記車両駆動装置の駆動能力
    の上限を低く制限する駆動抑制装置とを含むことを特徴
    とする車両走行制御装置。
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