JP2000124756A - 圧電振動子及び圧電発振器とこれらの封止方法 - Google Patents

圧電振動子及び圧電発振器とこれらの封止方法

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JP2000124756A
JP2000124756A JP10298931A JP29893198A JP2000124756A JP 2000124756 A JP2000124756 A JP 2000124756A JP 10298931 A JP10298931 A JP 10298931A JP 29893198 A JP29893198 A JP 29893198A JP 2000124756 A JP2000124756 A JP 2000124756A
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  • Oscillators With Electromechanical Resonators (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品内部の真空度を適切に確保し、安定した
周波数性能を得られるようにした圧電振動子及び圧電発
振器の封止方法を提供すること。 【解決手段】 圧電振動素子21と、前記圧電振動素子
を収納するためのベース22と、前記圧電振動素子がベ
ースに収納された状態で前記ベースを密封するための蓋
部23とを備え、前記蓋部と前記ベースとを密封封止す
る方法であって、密封前においては、前記ベース22に
対して前記蓋部を載置した状態では、これらの間に空隙
Gを設けるようにし、封止工程にて、少なくとも前記蓋
部23と前記ベース23とを固定すべき箇所の近傍を加
熱手段により加熱し、この封止工程において前記空隙を
溶融金属により塞ぐ封止方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電振動素子を収
納するためのベース部及びこのベース部を密封するため
の蓋部とを接合して圧電振動素子を封止した圧電振動子
または圧電発振器の封止方法の改良とこのような封止方
法により封止した圧電振動子及び圧電発振器に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図16は、一般的な圧電振動子の一例を
示す一部切断斜視図である。
【0003】この圧電振動子10は、板状の圧電振動素
子11を収納する空間部12aが形成された箱状のベー
ス部12と、空間部12aを密封するようにベース部1
2に接合された板状の蓋部13を備えている。圧電振動
素子11は、一端部11aが空間部12a内に一体に設
けた段部に配設されている電極14上に図示しない接着
剤を介して接続固定され、他端部11bが自由端とされ
ている。ベース部12と蓋部13は、封止材(ロウ材)
15を介して接合されている。
【0004】ここで、圧電振動素子11の材料として
は、例えば水晶が用いられ、ベース部12の材料として
は、アルミナ等のセラミックが用いられ、蓋部13の材
料としては、コバール等の金属あるいはアルミナ等のセ
ラミックが用いられる。また、封止材15の材料として
は、低融点ガラスまたは銀ロウや半田等が用いられる。
低融点ガラスを除くこのような構成の圧電振動子10内
に圧電振動素子11を収容して封止する封止工程は、例
えば図17に示すような加熱手段である電子ビーム照射
装置16が用いられる。
【0005】電子ビーム照射装置16は、電子ビームE
を照射するための電子銃17と、電子銃17から発射さ
れた電子ビームEを収束させる収束レンズ18と、収束
させた電子ビームEに所定の磁界を加えてその照射方向
を制御する偏向器19とを備えている。
【0006】これにより、電子ビーム照射装置16は、
偏向器19の機能に基づいて、試料に対して適切に電子
ビームEを照射することができるようになっている。
【0007】このような電子ビーム照射装置16を用い
て、上記封止工程は、図18に示すように行われてい
る。
【0008】先ず、所定の形状に形成した蓋部13の接
合面側に封止材15を配置する。この封止材15は例え
ば銀ロウである。そして、電子ビーム照射装置16内に
治具を用いてベース12を保持して、このベース12上
に、封止材15が配置された蓋部13の接合面を向けて
載置する。
【0009】ここで、ベース12の上記蓋部13に対す
る接合面には、複数の種類の金属を積層することにより
形成した金属被覆層12eが設けられている。この金属
被覆層12eは、上からニッケル(Ni)及び金(A
u)による被覆層12bと、タングステン(W)による
タングステン被覆層12cとでなっている。
【0010】そして、図18では、この蓋部13の上面
を図示しない押さえ板により加圧しながら押さえる。
【0011】この状態で、蓋部13は、ベース12に対
して位置決めされて保持されており、上方より電子ビー
ムEが照射されて封止材15とニッケル(Ni)及び金
(Au)による被覆層12bとが加熱溶融されて、ベー
ス部12と蓋部13が接合される。
【0012】具体的には、電子ビームEを蓋部13の上
面に対して照射し、加熱された熱がビーム照射位置の直
下の封止材15とニッケル(Ni)及び金(Au)によ
る被覆層12bとに伝えられ、この電子ビームEが照射
された領域Pを中心として蓋部13の下面とベース12
の上端面との間で溶融されて固定される。
【0013】以上により、圧電振動素子11が気密封止
された圧電振動子10を得ることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
に電子ビームを用いて、圧電振動素子11を封止する場
合には、上述したように蓋部13の上方から電子ビーム
Eを照射することにより加熱封止している。
【0015】すなわち、ベース12の上端面12fに対
応する蓋部13の上面の封止領域を数回周回するように
電子ビームEを照射して加熱している。
【0016】この場合、図示したように、ベース12の
上端と蓋部13の接合面である下面が密着状態にある。
そして、上記電子ビームEによる加熱時間が約0.1秒
程度と短い時間で行われる。ところが、この加熱封止工
程では、電子ビームEが照射された領域Pで発生する熱
が封止材15や金属被覆層12eの一部を溶融した際に
これらの一部を揮発蒸発させて、ガスが発生する。この
ガスは、加熱時間が短いこと等を理由として、空間S内
に閉じ込められた状態で封止されてしまうことがあっ
た。
【0017】このため、圧電振動素子11を真空状態で
収容すべき空間S内に上述したような熱により発生する
ガスが閉じ込められるため、真空度が低下してしまう場
合がある。
【0018】また、上記ガスが圧電振動素子11の表面
に付着すると、その重さが増加してしまう場合がある。
【0019】ここで、圧電振動素子11が所謂音叉型の
ものである場合には、上記真空度の低下を起因として周
波数変動が起こるだけでなく、圧電振動素子にガスの粒
子が付着すると重くなって周波数が低下する場合があ
る。
【0020】一方、圧電振動素子11が所謂AT振動子
である場合には、窒素等の不活性気体による封止の場合
と、真空封止の場合とがあるが、後者の場合には、封止
後の真空度の低下及び圧電振動素子に対するガス粒子の
付着により、上記と同様に周波数変動を生じる場合があ
る。
【0021】本発明の目的は、上記課題を解消して、容
器内での熱に起因する発生ガスによる真空度の低下や、
ガス粒子の圧電振動素子への付着を起因とする周波数変
化を防止して、製品内部の真空度を適切に確保し、安定
した周波数特性を得られるようにした圧電振動子及び圧
電発振器の封止方法とこの封止方法により封止した圧電
振動子及び圧電発振器を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1の
発明によれば、圧電振動素子と、前記圧電振動素子を収
納するためのベースと、前記圧電振動素子がベースに収
納された状態で前記ベースを密封するための蓋部とを備
え、前記蓋部と前記ベースとを密封封止する方法であっ
て、密封前においては、前記ベースに対して前記蓋部を
載置した状態では、これらの間に空隙を設けるように
し、封止工程にて、少なくとも前記蓋部と前記ベースと
を固定すべき箇所の近傍を加熱手段により加熱し、この
封止工程において前記空隙を溶融金属により塞ぐように
した、圧電振動子の封止方法により、達成される。
【0023】請求項1の構成によれば、封止前には、蓋
部とベースとの間には空隙が存在している。そして、封
止作業において、加熱を行うと溶融金属がこの空隙を埋
めるようにしたので、封止作業中の熱により、ベース内
等の接着箇所の接着剤等からガスが発生しても、このガ
スは封止工程において空隙から外部に排出される。そし
て、この封止工程にて空隙が塞がれると、内部にガスを
残さない状態で封止が完了する。
【0024】請求項2の発明は、請求項1の構成におい
て、前記蓋部の一面に配置した封止材の表面に凹凸を設
けることにより、前記空隙が形成されるようにしたこと
を特徴とする。
【0025】請求項2の構成によれば、蓋部とベースの
間に請求項1の作用を発揮するのに適切な機能を備える
空隙を適切に形成することができる。
【0026】請求項3の発明は、請求項1の構成におい
て、前記ベースの前記蓋部と固定される面には金属被覆
層が設けられており、この金属被覆層の表面に凹凸を設
けることにより、前記空隙が形成されることを特徴とす
る。
【0027】請求項3の構成によれば、蓋部とベースの
間に請求項1の作用を発揮するのに適切な機能を備える
空隙を適切に形成することができる。
【0028】請求項4の発明は、請求項3の構成におい
て、前記金属被覆層はニッケル層を含む複数種類の金属
層でなり、このニッケル層に金属フィラーを混入させ
て、金属被覆層の表面に凹凸を設けることにより、前記
空隙が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0029】請求項4の構成によれば、蓋部とベースの
間に請求項3における空隙を適切に形成することができ
る。
【0030】また、上記目的は、請求項5の発明によれ
ば、圧電振動素子と、前記圧電振動素子を収納するため
のベースと、前記圧電振動素子がベースに収納された状
態で前記ベースを密封するための蓋部とを備え、対向面
の少なくとも一方の面に予め凹凸が形成された前記蓋部
と前記ベースとを加熱して封止固定した、圧電振動子に
より、達成される。
【0031】また、上記目的は、請求項6の発明によれ
ば、圧電振動素子と、表面に形成した導電パターンに集
積回路を実装するとともに前記圧電振動素子を収納する
ためのベースと、前記圧電振動素子がベースに収納され
た状態で前記ベースを密封するための蓋部とを備え、前
記蓋部と前記ベースとを密封封止する方法であって、密
封前においては、前記ベースに対して前記蓋部を載置し
た状態では、これらの間に空隙を設けるようにし、封止
工程にて、少なくとも前記蓋部と前記ベースとを固定す
べき箇所の近傍を加熱手段により加熱し、この封止工程
において前記空隙を溶融金属により塞ぐようにした、圧
電発振器の封止方法により、達成される。
【0032】請求項7の発明は、請求項6の構成におい
て、前記蓋部の一面に配置した封止材の表面に凹凸を設
けることにより、前記空隙が形成されるようにしたこと
を特徴とする。
【0033】請求項8の発明は、請求項6の構成におい
て、前記ベースの前記蓋部と固定される面には金属被覆
層が設けられており、この金属被覆層の表面に凹凸を設
けることにより、前記空隙が形成されることを特徴とす
る。
【0034】請求項9の発明は、請求項8の構成におい
て、前記金属被覆層はニッケル層を含む複数種類の金属
層でなり、このニッケル層に金属フィラーを混入させ
て、金属被覆層の表面に凹凸を設けることにより、前記
空隙が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0035】また、上記目的は、請求項10の発明によ
れば、圧電振動素子と、表面に形成した導電パターンに
集積回路を実装するとともに前記圧電振動素子を収納す
るためのベースと、前記圧電振動素子を収納するための
ベースと、前記圧電振動素子がベースに収納された状態
で前記ベースを密封するための蓋部とを備え、対向面の
少なくとも一方の面に予め凹凸が形成された前記蓋部と
前記ベースとを加熱して封止固定した、圧電発振器によ
り、達成される。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を図面に基づいて説明する。
【0037】図1は、本発明の圧電振動子(本例では水
晶振動子)の実施形態を示す斜視図である。
【0038】この圧電振動子20は、板状の圧電振動素
子21を収納する空間部22aが形成された箱状のベー
ス22と、空間部22aを密封するようにベース22に
接合された板状の蓋部23を備えている。
【0039】ベース22には、図2に示すように電極2
4が設けられており、圧電振動素子21は、一端部21
aが空間部22a内に配設されている電極24の上部2
4aに導電性接着剤32を介して接続固定されていて、
他端部21bは自由端となっている。これにより、電極
24から印加される駆動電圧によって、所定の振動数で
振動できるようになっている。
【0040】ベース22と蓋部23は、後述する封止方
法により、封止材25を介して接合されている。ここ
で、圧電振動素子21の材料としては、例えば水晶が用
いられ、ベース22の材料としては、アルミナ等のセラ
ミックが用いられ、蓋部23の材料としては、アルミナ
等のセラミックの線膨張係数に近いコバール等の金属あ
るいはアルミナ等のセラミックが用いられる。
【0041】ベース22の上端面である接合面上には、
金属被覆層31が設けられている。この金属被覆層31
は複数種類の金属を積層して形成されており、例えば、
図1の一部に拡大して示すように、順次下からタングス
テンメタライズ22b、ニッケルメッキ22c、金メッ
キ22dでなっている。
【0042】図3は、本発明の圧電発振器の構造を示す
概略断面図である。
【0043】図3において、図2と同一の符号を付した
箇所は同じ構成である。
【0044】図において、圧電発振器40のベース22
では、図1と比べると空間部22aの下にさらに段部を
設けて、もうひとつの一段低い空間部42を形成してい
る。そして、ベース22の上面に形成した導電パターン
上に集積回路41を上記空間部42に収容し、電極部4
3と接続している。これにより、圧電振動素子21に所
定の駆動電圧を与えて、振動させ、その出力を上記集積
回路41に入力することにより、所定の周波数の信号を
取り出すようになっている。
【0045】この圧電発振器40においても、ベース2
2の上端面には、図1と同じ金属被覆層が形成されてお
り、蓋部23の下面には、銀ロウ等のロウ材が設けられ
ており、後述するように圧電振動子20と共通の封止方
法が適用されるようになっている。
【0046】図4は、圧電振動子20及び圧電発振器4
0の製造方法を概略的に示したフローチャートである。
【0047】先ず、圧電振動片の表裏面に励振電極およ
びベース22の電極24の上部24aに接続される接続
電極とを、例えば蒸着により形成して圧電振動素子21
を完成する(ST1)。
【0048】次にベース22の電極24の上部24aに
圧電振動素子21を図2及び図3に示すように導電性接
着剤32を介してマウントする(ST2)。次に、圧電
振動素子21の励振電極表面に蒸着等により銀を付加し
たり、スパッタ等によりこの励振電極の表面を薄く削る
等の処理によって重さを調整することにより、周波数調
整を行う(ST3)。
【0049】次いで、上記ベース22上に図1ないし図
3に示すように蓋部23を載せて、例えば蓋部23の上
方から電子ビームを照射することにより、封止を行う。
この封止工程については、後述する(ST4)。
【0050】封止完了後には、蓋部23の表面等に印刷
等の手段により必要な文字等を記入するマーキングを行
い(ST5)、検査工程へ送られる(ST6)。そし
て、必要な検査により合格判定されることで、圧電振動
子または圧電発振器が完成する。
【0051】図5は、図4におけるST4にて封止され
る蓋部23の製造工程を示している。
【0052】蓋部23は、先ずコバール等の板材を用意
し(ST11)、その表面を研磨し、封止材としてのロ
ウ材25を圧接できるように表面処理を行う(ST1
2)。次に、表面研磨を行った蓋部23の処理面に銀ロ
ウ等のロウ材を重ねて、冷間圧接により接合する(ST
13)。この場合、図6に示すように、例えばローラ4
5によりロウ材25に凹凸処理を行う。
【0053】次いで、蓋部23にロウ材を接合したもの
を熱処理して、ST13における圧接作業による応力を
緩和して、残留応力を除去する(ST14)。そして、
熱処理した板材に関して幅方向の切断を行い(ST1
5)、そして、ST13にて凹凸処理を行わなかった場
合には、プレスを用いて凹凸処理し、板材が所定の製品
単位の長さになるように切断する(ST16)。これに
より、蓋部23が完成する(ST17)。この凹凸処理
については、後で詳しく説明する。
【0054】図7及び図8は、図4の工程で説明したS
T2で用意するベース22の製造工程を示している。
【0055】図7に示すように、例えばアルミナ等のセ
ラミック材料を一方向に長いテープ状に成形し(図7
(a)),これを作業単位毎の長さに対応するようにカ
ットして板状にする(図7(b))。
【0056】次に、上記板状のベース材料に、導電パタ
ーンのスルーホールを形成するための貫通孔を必要な数
だけ形成し(図7(c))、各貫通孔に導体を充填する
(図7(d))。
【0057】(図7(e))では、上記板状の部材を複
数用意する場合を示している。すなわち、例えばベース
22を構成する部材が複数の板材でなる場合には、必要
な枚数の板材を用意する。例えば図3に示す圧電発振器
40では、ベース部22は、集積回路41を載置する下
層としての板材の上に、集積回路41を収容する空間部
42を有する中層としての板材を重ね、さらに、圧電振
動素子21を収容する空間部22aを備えた最上層とし
ての板材を重ねるために、複数のセラミック板材を用意
し、これを下の層から上の層へと重ねて固定するように
している。このような場合には、図示するように複数の
板材を用意し、これらには、後の工程でそれぞれ必要な
導電パターンや電極を形成するようにしている。
【0058】次いで、図8(a)に示すように、板材
(最上層のもの)の上面にメッシュ状の溝を形成するこ
とによって凹凸を形成する。この凹凸が形成される面
は、上述の蓋部23との接合面であり、この凹凸が後述
する空隙を形成する。
【0059】そして、板材を複数使用する製品の場合に
は、ここで、順次板材を積層して固定する(図8
(b))。
【0060】次に、複数の層からなる板材を重ねて固定
したベース材料の厚み方向に、製品単位の大きさにハー
フカットして切り込みをいれた後に、後で適当な作業単
位となるように縦横に切断し(図8(c))、さらに、
セラミック材料であるこれら板材を焼成して(図8
(d))、電気メッキにより金属被覆層を形成する。こ
の金属被覆層は、図1にて説明した符号31のものに対
応している。最後に上記切り込みを利用して製品単位に
切断してベース22を完成する(図8(e))。
【0061】図9は、図5のST13またはST16で
説明した凹凸処理の例を示しており、本発明の第1の実
施形態を説明する図である。
【0062】尚、図9(a)では、内部構造としての圧
電振動素子等を省略してベース22と蓋部23だけの要
部を示しており、図1ないし図3と同一の符号を付した
箇所は同一の構成であるから、重複する説明は省略す
る。図9(b)は、その接合部付近の拡大図である。
【0063】図において、封止材である銀ロウ25の下
面(接合面側)25aに図示するような凹凸が設けられ
ることにより細かい空隙Gが設けられている。このよう
な凹凸は、図5のST13またはST16にて説明した
ように蓋部23を形成する際に、ローラで挟んだり、プ
レスを用いたりすることにより形成される。この凹凸の
高さdは、好ましくは、10ないし40μm程度であ
る。
【0064】このような凹凸は、図5のST13で説明
したローラまたはST16で説明したプレス等を用いて
形成される。この場合、例えばローラ面またはプレス面
の一面(封止材25側)の面粗度を基準長さ0.8mm
に対してRmax30μm程度としておくことによっ
て、銀ロウ25の下面に対してその表面粗さを転写する
ことにより、図示のような凹凸が形成される。
【0065】これにより、例えば図18にて説明した手
法により電子ビームを照射して、加熱すると、ベース2
2の内部空間に収容された圧電振動素子21を固定して
いる導電性接着剤32(図2参照)等の成分が熱により
揮発してガスを発生しても、このガスが空隙Gから外部
に排出される。そして、銀ロウ25が熱により溶融され
て蓋部23とベース22とが封止されるときには、この
溶融した銀ロウ25及び/または金属被覆層31の被覆
金属の一部が上記空隙Gを塞ぐことになる。
【0066】これにより、圧電振動子20または圧電発
振器40の内部に、上記のようなアウトガスがたまった
まま封止されることがないので、このようなガスによ
り、製品内部の真空状態が阻害されることがない。この
ため、圧電振動子20または圧電発振器40の周波数特
性が悪影響を受けずに、初期の周波数が変化することな
く動作することができる。
【0067】図10は、蓋部23とベース22との間に
空隙を形成する凹凸を設ける別の手法を示しており、本
発明の第2の実施形態を説明する図である。図10にお
いて図1ないし図3と同一の符号を付した箇所は同一の
構成であるから、重複する説明は省略する。
【0068】尚、図10(a)では、内部構造としての
圧電振動素子等を省略してベース22と蓋部23だけの
要部を示しており、図10(b)は、その接合部付近の
拡大図である。
【0069】この実施形態は、図8にて説明したベース
22の製造工程において、凹凸を形成する方法を示して
いる。
【0070】図8で説明したベース22の製造工程にお
いて、図8(a)に示すように、最上層の板材(ベース
用セラミック材)の表面にタングステンメタライズを行
う際には、通常スクリーン印刷の手法により行う。この
時に、このスクリーン印刷で用いるメッシュの目を粗く
しておくと、このメッシュに対応してタングステン被覆
部22bの表面には、縦横のメッシュ状の溝が形成され
る。そして、その上にニッケル層22cと、金層22d
を被覆すると、図10(b)に示すように各層の上面は
凹凸となり、この結果、蓋部23の封止材25の下面と
の間には、空隙Gが形成されることになる。
【0071】これにより、第1の実施形態と同じ方法で
加熱封止を行うことにより、製品内部にガスが閉じ込め
られないで封止することができる。したがって、この第
2の実施形態では、第1の実施形態と同じ作用効果を発
揮することができる。
【0072】図11は、蓋部23とベース22との間に
空隙を形成する凹凸を設ける別の手法を示しており、本
発明の第3の実施形態を説明する図である。図11にお
いて図1ないし図3と同一の符号を付した箇所は同一の
構成であるから、重複する説明は省略する。
【0073】尚、図11(a)では、内部構造としての
圧電振動素子等を省略してベース22と蓋部23だけの
要部を示しており、図11(b)は、その接合部付近の
拡大図である。
【0074】この実施形態は、図8にて説明したベース
22の製造工程において、凹凸を形成する別の方法を示
している。つまり、この方法では、ベース22の金属被
覆部31側に凹凸を形成する点では、図10の場合と同
じだが、この方法では、ニッケル層22c内に粒状物と
して、フィラー51(例えば銀フィラー)を添加する。
これにより、ニッケル層22cの上面に凹凸を形成し、
さらに、その上に形成される金層22dの上面に凹凸を
形成することで、蓋部23との間に空隙Gを設けるよう
にしている。
【0075】図12は、このようなフィラー51を利用
する方法の一例を説明するための工程図である。
【0076】上述した図8の工程図の図8(e)におい
て、ベース22の上面(接合面側)には図12(a)に
示すように、タングステン(W)がこれより前の工程
(図8(a)の工程)にてスクリーン印刷により被覆さ
れている。次に、図12(b)に示すように、水平な基
準面GD上に銀フィラー51を並べて、その上に、図1
2(a)のベース22を逆さにしてタングステン被覆部
22b側を下にして、図12(c)に示すように、フィ
ラー51に対して押しつける。
【0077】次いで、図12(d)に示すように、タン
グステン被覆部22b上にフィラー51が載った状態
で、その上にニッケルメッキを施してニッケル被覆部2
2cを形成し、その後、その上に金をメッキするように
している。
【0078】この場合、図12(e)に示すように、フ
ィラー51の直径L1を10μm程度とすると、凹凸の
高さdが10μm程度となる。そして、凹凸間のピッチ
Pを20μm程度とすると好ましい。
【0079】かくして、上述の方法によりフィラー51
を利用して、図11に示すように、凹凸が形成され、金
属被覆部31と蓋部23との間に空隙Gを形成すること
ができる。
【0080】したがって、封止工程においては、この空
隙Gからアウトガスを排出することができ、溶融した金
属により、この空隙Gを塞ぐことにより、第3の実施形
態の場合も、第1の実施形態と同様の作用効果を得るこ
とができる。
【0081】図13は、蓋部23とベース22との間に
空隙を形成する凹凸を設ける別の手法を示しており、本
発明の第4の実施形態を説明する図である。図13にお
いて図1ないし図3と同一の符号を付した箇所は同一の
構成であるから、重複する説明は省略する。
【0082】尚、図13(a)では、内部構造としての
圧電振動素子等を省略してベース22と蓋部23だけの
要部を示しており、図13(b)は、その接合部付近の
拡大図である。
【0083】この場合、蓋部23と、ベース22側の金
属被覆部31の両方に凹凸を形成している。すなわち、
図9で説明した手法により、蓋部23側に凹凸を形成
し、図10で説明した手法を用いてベース22側に凹凸
を形成する。これにより、蓋部23とベース22との間
に空隙Gを形成することができる。
【0084】したがって、封止工程においては、この空
隙Gからアウトガスを排出することができ、溶融した金
属により、この空隙Gを塞ぐことにより、第4の実施形
態の場合も、第1の実施形態と同様の作用効果を得るこ
とができる。
【0085】図14は、上述した各実施形態における空
隙Gを形成するための凹凸の大きさdと封止不良率を実
験により確認したものである。また、図15は、凹凸の
大きさdと高温放置1000時間後の場合の周波数変化
量Δfを実験により確認したものである。
【0086】図15より、Rmaxが10μm以上であ
ると、高温放置試験を1000時間行った後の周波数変
化量Δfが1ppm以内となり、封止で発生したアウト
ガスが、内部に残留せず、圧電振動子や圧電発振器の周
波数特性に悪影響を及ぼしていないことがわかる。
【0087】また、図14より、Rmaxが40μm以
下であると、封止不良率が0となり、圧電振動子や圧電
発振器の性能が発揮できないという不具合を回避するこ
とができる。
【0088】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1及び6の発
明によれば、封止作業中の熱により、ベース内等の接着
箇所の接着剤等からガスが発生しても、このガスは封止
工程において空隙から外部に排出される。この封止工程
にて空隙が塞がれると、内部にガスを残さない状態で封
止が完了する。このため、製品内部の真空状態が適切に
確保され、ガス粒子が圧電振動素子に付着することが有
効に防止されるので、周波数特性に悪影響を与えること
がなく、安定した性能を備えた圧電振動子または圧電発
振器の封止方法を提供することができる。
【0089】請求項2または7の発明によれば、請求項
1または6の効果を得る上で、蓋部とベースとの接合部
に請求項1または6の作用を発揮するのに適切な機能を
備える空隙を適切に形成することができる。
【0090】請求項3または8の発明によれば、請求項
1または6の効果を得る上で、前記金属被覆層の表面に
凹凸を設けることにより、前記空隙を適切に形成するこ
とができる。
【0091】請求項4または9の発明によれば、請求項
1または7の効果を得る上で、蓋部とベースの間に請求
項3または8における空隙を適切に形成することができ
る。請求項5及び10の発明によれば、封止作業中の熱
により、ベース内等の接着箇所の接着剤等からガスが発
生しても、このガスは封止工程において空隙から外部に
排出され、この封止工程にて空隙が塞がれると、内部に
ガスを残さない状態で封止が完了する。このため、製品
内部の真空状態が適切に確保され、ガス粒子が圧電振動
素子に付着することが有効に防止されるので、周波数特
性に悪影響を与えることがなく、安定した性能を備えた
圧電振動子または圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の圧電振動子の実施形態を示す斜視
図。
【図2】 図1の圧電振動子の概略断面図。
【図3】 本発明の圧電発振器の実施形態を示す概略断
面図。
【図4】 図1の圧電振動子の製造方法の概略を示すフ
ローチャート。
【図5】 図1の圧電振動子または図3の圧電発振器の
蓋部を製造方法の概略を示すフローチャート。
【図6】 図5のローラ工程を示す説明図。
【図7】 図1の圧電振動子または図3の圧電発振器の
ベースを製造する前半工程を示す工程図。
【図8】 図1の圧電振動子または図3の圧電発振器の
ベースを製造する後半工程を示す工程図。
【図9】 本発明の封止方法の第1の実施形態の要部を
説明するための概略図。
【図10】 本発明の封止方法の第2の実施形態の要部
を説明するための概略図。
【図11】 本発明の封止方法の第3の実施形態の要部
を説明するための概略図。
【図12】 図11の封止方法における凹凸を形成する
工程を説明するための工程図。
【図13】 本発明の封止方法の第4の実施形態の要部
を説明するための概略図。
【図14】 本発明の各実施形態における空隙Gを形成
するための面粗度Rmaxと封止不良率の関係を示すグ
ラフ。
【図15】 本発明の各実施形態における空隙Gを形成
するための凹凸の大きさdと1000時間後の高温放置
した場合の周波数変化量Δfを示すグラフ。
【図16】 一般的な圧電振動子の一例を示す一部切断
斜視図。
【図17】 図16の圧電振動子の封止工程で利用する
電子ビーム装置の構成を示す概略図。
【図18】 図16の圧電振動子の封止工程の要部を示
す拡大図。
【符号の説明】
20 圧電振動子 21 圧電振動素子 22 ベース(収納部) 22a 空間部 22b タングステン被覆部 22c ニッケル被覆部 22d 金被覆部 23 蓋部 24 電極 25 封止材 31 金属被覆部 32 導電性接着剤 S 空隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03H 9/10 H04R 17/00 H04R 17/00 H01L 41/08 R

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電振動素子と、 前記圧電振動素子を収納するためのベースと、 前記圧電振動素子がベースに収納された状態で前記ベー
    スを密封するための蓋部とを備え、 前記蓋部と前記ベースとを密封封止する方法であって、 密封前においては、前記ベースに対して前記蓋部を載置
    した状態では、これらの間に空隙を設けるようにし、 封止工程にて、少なくとも前記蓋部と前記ベースとを固
    定すべき箇所の近傍を加熱手段により加熱し、 この封止工程において前記空隙を溶融金属により塞ぐよ
    うにしたことを特徴とする、圧電振動子の封止方法。
  2. 【請求項2】 前記蓋部の一面に配置した封止材の表面
    に凹凸を設けることにより、前記空隙が形成されるよう
    にした請求項1に記載の圧電振動子の封止方法。
  3. 【請求項3】 前記ベースの前記蓋部と固定される面に
    は金属被覆層が設けられており、この金属被覆層の表面
    に凹凸を設けることにより、前記空隙が形成されるよう
    にした請求項1に記載の圧電振動子の封止方法。
  4. 【請求項4】 前記金属被覆層はニッケル層を含む複数
    種類の金属層でなり、このニッケル層に金属フィラーを
    混入させて、金属被覆層の表面に凹凸を設けることによ
    り、前記空隙が形成されるようにした請求項3に記載の
    圧電振動子の封止方法。
  5. 【請求項5】 圧電振動素子と、 前記圧電振動素子を収納するためのベースと、前記圧電
    振動素子がベースに収納された状態で前記ベースを密封
    するための蓋部とを備え、 対向面の少なくとも一方の面に予め凹凸が形成された前
    記蓋部と前記ベースとを加熱して封止固定したことを特
    徴とする、圧電振動子。
  6. 【請求項6】 圧電振動素子と、 表面に形成した導電パターンに集積回路を実装するとと
    もに前記圧電振動素子を収納するためのベースと、 前記圧電振動素子がベースに収納された状態で前記ベー
    スを密封するための蓋部とを備え、 前記蓋部と前記ベースとを密封封止する方法であって、 密封前においては、前記ベースに対して前記蓋部を載置
    した状態では、これらの間に空隙を設けるようにし、 封止工程にて、少なくとも前記蓋部と前記ベースとを固
    定すべき箇所の近傍を加熱手段により加熱し、 この封止工程において前記空隙を溶融金属により塞ぐよ
    うにしたことを特徴とする、圧電発振器の封止方法。
  7. 【請求項7】 前記蓋部の一面に配置した封止の表面に
    凹凸を設けることにより、前記空隙が形成されるように
    した請求項6に記載の圧電発振器の封止方法。
  8. 【請求項8】 前記ベースの前記蓋部と固定される面に
    は金属被覆層が設けられており、この金属被覆層の表面
    に凹凸を設けることにより、前記空隙が形成されるよう
    にした請求項6に記載の圧電発振器の封止方法。
  9. 【請求項9】 前記金属被覆層はニッケル層を含む複数
    種類の金属層でなり、このニッケル層に金属フィラーを
    混入させて、金属被覆層の表面に凹凸を設けることによ
    り、前記空隙が形成されるようにした請求項8に記載の
    圧電発振器の封止方法。
  10. 【請求項10】 圧電振動素子と、 表面に形成した導電パターンに集積回路を実装するとと
    もに前記圧電振動素子を収納するためのベースと、 前記圧電振動素子を収納するためのベースと、前記圧電
    振動素子がベースに収納された状態で前記ベースを密封
    するための蓋部とを備え、 対向面の少なくとも一方の面に予め凹凸が形成された前
    記蓋部と前記ベースとを加熱して封止固定したことを特
    徴とする、圧電発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008125100A (ja) * 2001-10-31 2008-05-29 Piedekku Gijutsu Kenkyusho:Kk 水晶振動子、水晶ユニット、水晶発振器、携帯機器の製造方法

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