JP2000124568A - 金属ベース基板および半導体装置とその製造方法 - Google Patents

金属ベース基板および半導体装置とその製造方法

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JP2000124568A JP29673198A JP29673198A JP2000124568A JP 2000124568 A JP2000124568 A JP 2000124568A JP 29673198 A JP29673198 A JP 29673198A JP 29673198 A JP29673198 A JP 29673198A JP 2000124568 A JP2000124568 A JP 2000124568A
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利重 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放熱性を犠牲にする樹脂層を形成せず、陽極
酸化皮膜の表面に直接金属配線層を形成しても、十分な
絶縁性/信頼性を確保することができ、半導体装置とし
たとき高周波信号を良好に伝送できる金属ベース基板と
その製造方法を提供する。 【解決手段】 金属基板表面に無孔質バリヤー型酸化ア
ルミニウム絶縁層と、その上に形成された金属配線層と
を備え、金属配線層をコプレーナ構造で構成し、金属基
板とコプレーナ構造の接地線路とを非接続とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放熱性に優れた金
属ベース基板とその製造方法に関し、さらには放熱性に
優れた金属ベース基板を備えた高周波半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、放熱性に優れた配線基板とし
て、金属をベースにした基板、すなわち金属ベース基板
が盛んに用いられている。特に、金属ベース基板用の金
属基板として、安価で、軽く、熱伝導性に優れたアルミ
ニウムあるいはアルミニウム合金を用いた金属ベース基
板が多く使用されている。
【0003】このアルミニウムベースの基板は、通常そ
の表面に陽極酸化によって多孔質の酸化アルミニウム層
(単にアルミナ層とも言う) を10〜数十μmの厚みで形
成し、さらにその表面に樹脂層を10〜数十μmの厚みで
設けて絶縁層として使用する。
【0004】ところで、一般に陽極酸化により2μmを
越えた厚みに形成されたアルミナ層は多孔質となり、表
面には凹凸が形成される。このような凹凸を有する表面
に直接金属配線層を形成することは困難である。さら
に、厚みの大きいアルミナ層は、下地のアルミニウムあ
るいはアルミニウム合金と熱膨張係数が異なるため、通
常150 ℃以下の温度サイクルで繰り返し使用されるとク
ラックが発生し、十分な絶縁性/信頼性が確保されな
い。
【0005】したがって、アルミナ層表面に十分厚い樹
脂層を形成することで、表面の凹凸を無くすとともに、
使用中にクラックが発生しても十分な絶縁性/信頼性を
確保できるようにするのである。つまりアルミナ層表面
の凹凸と樹脂層とのアンカー効果を積極的に利用するこ
とによって、樹脂層との密着強度を巧みに向上させるの
である。(特開昭58−202590号公報、特開昭59−149094
号公報等参照)しかしながら、そのような目的で設けら
れる樹脂層は、熱伝導性が悪いため、その厚みが大きい
と、配線基板の放熱性が劣化するという問題があった。
また、製造プロセスも複雑になり、コストも増大すると
いう欠点があった。
【0006】一方、アルミニウムの陽極酸化膜を利用せ
ずに、絶縁性を樹脂層のみで確保することも考えられる
が、この場合、樹脂層と金属基板 (アルミニウム等) と
の密着強度が低いことが問題である。密着強度を向上さ
せるために、あらかじめ金属基板の表面に凹凸を形成し
ておく方法もあるが、コスト高になり、実用的でなかっ
た。また、樹脂を使用するため、放熱性の劣化も問題と
して残る。
【0007】すなわち、従来の金属ベース基板は、その
特徴である高放熱性を犠牲にする樹脂層をアルミナ層の
上に形成しないと、配線形成性および絶縁性/信頼性が
確保されないという問題点があった。
【0008】また、本来、絶縁層を安価に形成する方法
として非常に有用な、陽極酸化によって形成された数十
μm厚のアルミナ層は、それ自身の絶縁性は不十分 (温
度サイクルによるクラック発生) であり、むしろ多孔質
であることを利用して樹脂層との密着強度確保に使用さ
れているというのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みなされたもので、放熱性を犠牲にする樹脂層を形成
せず、陽極酸化によって形成されたアルミナ層の表面に
直接金属配線層を形成しても、十分な絶縁性/信頼性を
確保することができる金属ベース基板とその製造方法を
提供することを目的としている。
【0010】また、本発明は、高周波信号を良好に伝送
できる金属ベース基板を備えた半導体装置を提供するこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】ところで、金属ベース基
板においてこれまでアルミニウムおよびその合金の陽極
酸化膜としては、厚さ10μm以上に成長させることので
きる多孔質膜成長型の陽極酸化膜が利用されてきた。こ
のような多孔質膜の形成方法には硫酸法、シュウ酸法、
クロム酸法、有機酸添加硫酸法などがある。一方、同じ
アルミニウムの陽極酸化膜としては電解浴にほう酸アン
モニウム、酒石酸アンモニウムなどの皮膜溶解性の少な
い電解液を使用して得られる無孔質バリア型の陽極酸化
膜があるが、これまではアルミニウム電解コンデンサ等
の製造に用いられているにすぎない。その厚さは高々2
μm であり、金属ベース基板に用いるには絶縁層として
は厚さが薄すぎると考えられていたからである。
【0012】従来、陽極酸化によって形成されたアルミ
ナ層、さらにその表面に形成された樹脂層に数十μmの
厚みが必要であった理由は、1つは上述の通り、絶縁性
/信頼性の確保である。もう1つは、信号伝送特性の向
上である。
【0013】すなわち、高周波の信号伝送特性を向上さ
せるには、信号線路の特性インピーダンスZ0 を、搭載
される半導体素子や他の回路と整合の図りやすい値に制
御する必要がある。その値は回路の性質にも左右される
が、通常50オーム程度であることが多い。
【0014】一般に、特性インピーダンスZ0 は単位長
さ当たりの線路のインダクタンスLと線路の対地容量C
を用い、下記式(1) で表される。 Z0 ≒√(L/C) ・・・ (1) 従って、対地容量Cが大きすぎるとZ0 が低下し、信号
伝送特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0015】このことを、従来の金属ベース基板に当て
はめて考えてみると次の通りである。従来の金属ベース
基板は、金属基板を接地層として使用することを前提に
している。この場合の線路構造は、図3に断面図で示す
マイクロストリップラインやストリップラインといった
信号線路21の下面あるいは上面に絶縁層22を介して接地
線路20が存在するような構造となる。しかし、図3(a)
、(b) に示すように、絶縁層22の厚さが異なり、例え
ば図3(a) のように絶縁層22の厚みが薄いと対地容量C
が増大し、Z0 が低下するため、Z01 [図3(a)]<Z02
[図3(b)]となり、信号伝送特性、特に高周波あるいは
マイクロ波信号伝送特性が低下することになる。
【0016】一般に製造しやすい線路幅を10〜100 μm
のオーダと仮定し、上記のような線路構造の場合に必要
な絶縁層厚みを考える。Z0 を50オームのオーダに制御
するためには、アルミナの比誘電率を約9とした場合、
大まかに言って絶縁層22の厚みは10〜100 μmのオーダ
となる。
【0017】すなわち、路線構造がマイクロストリップ
ラインやストリップラインである限り、絶縁層厚みは10
〜100 μm程度必要なのである。ちなみに、絶縁層22の
厚さを2μm程度とするとZ0 を50オームに制御するに
は線路幅は数μm以下となり、配線抵抗の増大は免れな
い。
【0018】上記のような理由から、従来の金属ベース
基板では、必然的に絶縁層厚みを10〜100 μmと大きく
している。そこで、信号伝送特性上必要な絶縁層厚みを
薄くできると仮定し、樹脂層を形成せずに十分な絶縁性
を確保する陽極酸化膜の厚さについて検討した。
【0019】もし、絶縁性が確保された緻密な凹凸のな
い薄いアルミナ層を形成できるとしたら、アルミニウム
との熱膨張係数差から生じるクラックも発生せず、信頼
性向上のための樹脂層が不要になり、良好な放熱性を有
する金属ベース基板が得られるはずである。
【0020】本発明者らは、このような発想で、陽極酸
化方法を見直した。その結果、ホウ酸水溶液等の中性塩
浴中で形成される陽極酸化膜は膜厚は1μm程度と薄い
ものの、膜は凹凸がなく緻密で、十分な絶縁性を確保で
きることに着目した。これは、前述のようにアルミニウ
ム電解コンデンサの絶縁層形成に使用されている陽極酸
化方法で、従来の金属ベース基板用の陽極酸化膜が多孔
質皮膜成長型皮膜と言われるのに対して、それにより製
造される皮膜は無孔質バリア型皮膜と呼ばれている。無
孔質バリア型皮膜は十分な絶縁性を確保できることは知
られていたが、薄い膜しかできないために、すでに述べ
たような理由で、これまで配線基板形成用の陽極酸化膜
としては使用されることはなく、アルミニウム電解コン
デンサの製造に利用されていたにすぎない。
【0021】次に、本発明者らは、1μmという薄い絶
縁層であっても特性インピーダンスを50オーム程度にで
きる線路構造について検討した。高周波用あるいはマイ
クロ波用のマイクロストリップラインやストリップライ
ンでは50オーム程度の特性インピーダンスを実現できな
い理由が、信号線路の上層あるいは下層に接地線路が配
置されていることによって、絶縁層が薄いと線路の対地
容量Cが増大するためであることは上述した。逆に言う
と、接地線路が信号線路と同一層内に形成される平面回
路であれば、特性インピーダンスを増大 (対地容量Cを
低下) させることが可能である。
【0022】すなわち、従来、接地層として利用されて
きた金属基板を接地線路として用いず、接地線路を金属
配線層にコプレーナ構造で形成するのである。例えば、
図4に示すように、特性インピーダンスZ0 が問題とな
る高周波用半導体装置においては、金属基板34それ自体
をその上の配線の接地線路から切り離すとともに、薄い
絶縁層33の上の金属配線層に信号線路1と接地線路32を
有するコプレーナ構造の線路 (ライン) を形成し、高周
波伝送特性を向上させることが十分可能であるとの考え
に至った。したがって、図4に示すように信号線路31お
よび接地線路32から成る金属配線層がコプレーナ構造を
とるときは、対地容量Cが、信号線路31と同一層内で隣
接した接地線路32との間に形成されるので、両者の間隔
が対地容量Cを決定し、絶縁層厚みは大きく影響しな
い。ただし、金属ベース基板34はコプレーナ構造の接地
線路32と絶縁されている。つまり、非接続である。ま
た、この方法で形成された絶縁層は、高々2μm と薄い
ために、高温にさらしてもクラックが発生しない。
【0023】ここに、本発明は次の通りである。 (1) 金属基板表面に陽極酸化により形成された、厚さ2
μm以下の無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁層
と、該絶縁層の上に形成された金属配線層とを備えたこ
とを特徴とする金属ベース基板。
【0024】(2) 金属基板表面に陽極酸化により形成さ
れた無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁層と、該絶
縁層の上に形成された金属配線層とを備えた金属ベース
基板であって、前記金属配線層がコプレーナ構造で構成
され、前記金属基板とコプレーナ構造の接地線路が非接
続であることを特徴とする金属ベース基板。 (3) 上記(1) または(2) 記載の金属ベース基板に半導体
素子を実装して成る半導体装置。
【0025】(4) 金属基板表面の酸化アルミニウム絶縁
層上に、金属配線層を形成した金属ベース基板の製造方
法であって、陽極としての該金属基板および陰極を中性
塩浴中に配置し、両電極に電流を流すことで金属基板表
面を酸化して、無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁
層とする工程と、前記酸化アルミニウム絶縁層上に接地
線路を前記金属基板と非接続としたコプレーナ構造を有
する金属配線層を形成する工程、とを含むことを特徴と
する金属ベース基板の製造方法。 (5) 前記金属配線層をドライプロセスにより形成したこ
とを特徴とする、上記(4) 記載の金属ベース基板の製造
方法。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明にかかる半導体装
置10の断面で示す説明図である。図中、金属基板1の上
表面には、中性塩浴、例えばホウ酸アンモニウム浴で行
う陽極酸化により形成される無孔質バリヤー型酸化アル
ミニウム絶縁層2が設けられている。酸化アルミニウム
絶縁層2は、金属基板1を陽極として中性塩浴において
陰極と対向して配置し、両電極に電流を流すことで形成
される。この無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁層
は緻密で凹凸のない表面を有しており、処理中に成長が
とまり、それ以上成長しないので陽極酸化処理時間にか
かわらず膜厚は一定となり、製造条件の管理が容易とな
る。この絶縁層2の厚さは最初の処理条件で決まり、通
常、2μm 以下であり、好ましくは1μm 以下である。
この絶縁層の上には、金属配線層である信号線路9と接
地線路3とがコプレーナ構造で形成されている。
【0027】このときに金属配線層の形成手段は、特に
制限はなく、例えば電気めっきのようなウェットプロセ
スで形成してもよく、あるいは、ドライプロセスによっ
て金属配線層3を形成してもよい。しかし、密着強度の
点からはドライプロセスが好ましい。ここに、「ドライ
プロセス」とは、電気めっきのようないわゆる湿式処理
に対する用語であって、具体的には、スパッタ、蒸着、
イオンプレーティング、などの乾式処理によって金属基
板に銅皮膜などの導電性皮膜を形成し、次いでこれをエ
ッチングによって不要部分を除去して回路を形成する方
法を言う。
【0028】本発明の好適態様にあっては、前記金属配
線層がコプレーナ構造で構成され、前記金属基板と信号
路線に対してコプレーナ構造の接地線路とが非接続であ
る。
【0029】アルミナ層と金属薄膜との密着強度が十分
でない場合には、例えば導電性膜が銅膜の場合には、ア
ルミナ膜とCu膜の間にCr薄膜を下地金属として形成する
ことにより、配線の密着強度が確保される。Crの代わり
にTiでもよい。
【0030】このようにして形成された金属配線層の上
には、さらに半導体素子6をハンダバンプ5を用いてフ
リップチップ実装するとともに、接地端子となるハンダ
ボール4を接続する。ただし、このハンダボール4も下
面の金属基板とは非接続である。ここに、「接地端子」
は接地線路の接地端子ばかりでなく半導体素子の接地端
子をも意味することは明らかである。
【0031】半導体素子6は、例えば、一般にCSP(chip
scale package) と呼ばれている小型の半導体装置であ
ってもよい。半導体素子と半導体装置の熱膨張係数差に
よるクラック発生を防止する目的および半導体素子の耐
湿性を向上させる目的で、必要により、半導体素子と半
導体装置の界面にアンダーフィル (樹脂) を注入して使
用してもよい。
【0032】かくして本発明によれば、金属配線層の接
地端子とアルミニウム合金板から成る金属基板1は絶縁
されており、金属配線層の接地線路は金属配線層3と同
一層に形成されており、つまりコプレーナ構造で形成さ
れている。
【0033】さらに、本発明によれば、金属ベース基板
を高周波信号用回路基板あるいは高周波用半導体装置と
して使用する場合には、特性インピーダンスZ0 を制御
するために、線路構造をコプレーナ構造、つまり同一面
上に平板状に形成するとともに、同時に、金属ベース基
板が、コプレーナ構造の接地線路と接続されていないよ
うに構成する。
【0034】このように本発明によれば樹脂層を用いず
に高周波回路が形成でき、放熱性が十分に確保される。
また、本発明は特にハイパワーの高周波回路でも適用が
可能である。ここに、高周波回路とはその信号の周波数
が1GHz 以上である回路のことをいう。
【0035】図2は、本発明の変更例の半導体装置10の
断面で示す説明図である。図1と同一要素は同一符号で
示す。図中、半導体素子6は、酸化アルミニウム絶縁層
2の上に設けられた金属配線層 (図示せず) に対してワ
イヤボンディングされている。あるいは図1の場合のよ
うにフリップチップ実装されていてもよい。図2の場合
は、金属基板1の表裏面の両方に絶縁層2が設けられて
おり、それぞれに設けられた金属配線層を介して半導体
素子6が搭載されている。符号11は抵抗器などの受動部
品を示す。
【0036】本発明の好適態様において、酸化アルミニ
ウム絶縁層厚みを2μm以下に限定する理由は、次の通
りである。すなわち、2μm超の厚膜になると、アルミ
ナ層が多孔質になり表面に凹凸を生じ、金属配線層の形
成が困難になるからである。また、2μm超の厚みにな
ると金属基板との熱膨張係数の差からクラックが生じる
からである。これは多孔質であることもクラックが発生
しやすい要因になっている。
【0037】次に、酸化アルミニウム絶縁層を形成する
際に、ホウ酸アンモニウム水溶液等の中性塩浴を用いた
陽極酸化処理を利用するのは、このような陽極酸化方法
によれば、緻密な2μm以下の凹凸のない無孔質バリア
型酸化アルミニウム膜が形成されるからである。
【0038】すでに述べたように、かかる処理方法はア
ルミナ電解コンデンサの絶縁膜形成方法として知られて
いる。逆に、この方法を用いれば、陽極酸化時間にかか
わらず、酸化膜厚が2μm超になることがない。
【0039】ホウ酸アンモニウム水溶液以外に同様の効
果を示す浴としては、酒石酸アンモニウムやクエン酸ア
ンモニウム等の水溶液が挙げられる。また、LSI の動作
周波数が低い場合でも、信号線路の対地容量を低減する
ために、金属基板がコプレーナ構造の接地線路と非接続
であることが望ましい。さらに、金属配線層と絶縁層の
密着強度を向上させるために、スパッタ等のドライプロ
セスによって金属配線層を形成することが望ましい。
【0040】従来の金属ベース基板の配線形成方法に
は、主にメッキ法が用いられてきた。これはメッキプロ
セスが安価であるためである。ところが、一般に樹脂と
配線金属は化学的に結合しないため、密着強度が低い。
そこで、樹脂表面を機械研磨や化学研磨で粗化し、生じ
た凹凸によるアンカー効果によって配線金属との密着強
度を増大させていた。このため、プロセスが複雑で安価
ではなかった。この問題は、本発明においても同様で、
薄い凹凸のないアルミナ層上にメッキプロセスによって
密着強度の高い金属配線を形成することは不可能であ
る。また、アルミナ層が1μmと薄いため凹凸を形成す
ることもできない。そこで、密着強度に優れたドライプ
ロセスの適用が好ましい。さらに、厚み2μm以下の絶
縁層に十分な絶縁性を持たせるためには、陽極酸化され
るアルミニウム膜の純度を、99%以上とする。
【0041】一般にアルミニウム電解コンデンサに使用
されるアルミニウム箔の純度は、これと同等である。従
って、金属基板に高純度アルミニウムを用いても良い
し、安価な例えばアルミニウム合金等を金属基板として
使用し、その表面にスパッタ等の方法によって、2μm
程度の高純度アルミニウム膜を形成したものを使用する
ことも可能である。
【0042】
【実施例】(実施例1)本例では、図1を参照しながら、
本発明の第1の実施形態として高周波半導体装置に応用
した場合について、説明する。
【0043】図1は、本発明による半導体装置10の断面
図を示す。厚み0.5 mmのアルミニウム合金から成る金属
基板1上にスパッタによって高純度アルミニウム膜を厚
さ2μmに形成し(99.9 %高純度アルミニウム板を用い
てもかまわない) 、電解研磨、水洗による前処理後、表
面を陽極酸化によって無孔質バリア型酸化アルミナ層2
を約1μm形成した。
【0044】「陽極酸化処理条件」 浴:ホウ酸アンモニウム水溶液 陽極:アルミニウム基板 浴温度:90℃ 化成処理条件:浴を攪拌しながら、電圧が100 Vに達す
るまで、定電硫密度 (1mA/cm2) で化成する。100 Vに
達した後は、100 Vを維持する定低電圧化成に切り替
え、30分間化成処理を行った。次に、200 ℃で10分程度
熱処理を行った。
【0045】この表面にスパッタ法によるドライプロセ
スによって金属配線層3を形成した。金属薄膜構成は、
アルミナ膜上にCr 1000 Å、その上にCu薄膜を2μm形
成した。アルミナ膜とCu膜の間にCr薄膜を下地金属とし
て形成することにより、金属配線層の密着強度が確保さ
れる。次に、エッチングにより所望の配線パターンを形
成した。
【0046】さらに半導体素子6をハンダバンプ5を用
いてフリップチップ実装するとともに、接地線路に対す
る外部端子となるハンダボール4を接続して完成する。
接地線路とアルミニウム合金板である金属基板1は絶縁
されており、接地線路は信号線路3と同一層に形成され
ており、コプレーナ構造となっている。半導体素子6の
寸法は、例えば6mm角、半導体装置10の寸法は10mm角で
あり、一般にCSP(chip scale package) と呼ばれている
小型の半導体装置である。
【0047】この半導体装置のみの信号伝送特性を最長
信号線 (約4mm) についてネットワークアナライザを用
いて計測した結果、5GHz において、挿入損失は−0.3d
B 、隣接信号線路とのアイソレーションは−25dBといず
れも良好であった。
【0048】(実施例2)本例は、図2に示す第2の実施
例である回路基板に本発明を適用した場合を示す。
【0049】アルミニウム合金から成る金属基板1 (厚
み1mm) の両面にスパッタで高純度アルミニウム膜を2
μmづつ形成し (高純度アルミニウム板を使用しても
可) 、次に陽極酸化によって表裏面をアルミナ層2に約
1μm厚さに変質させる。さらに表裏面に金属配線層
(図示せず) をスパッタ法によるドライプロセスによっ
て形成することで、接地線路と信号線路とをコプレーナ
構造で形成した。金属基板と接地線路は非接続とした。
このように金属基板の表裏面に形成した金属配線層に半
導体素子6および受動部品11を搭載した。
【0050】本例の製造方法の詳細は実施例1に準ずる
ものであった。この回路基板の高速信号ライン (約10m
m) の伝送特性を計測した結果、10GHzにおいて挿入損失
が−0.4dB 、反射損失が−28dBといずれも良好であっ
た。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の金属ベー
ス基板および半導体装置においては、絶縁性/信頼性の
高い、薄くて緻密な陽極酸化膜のみを絶縁層として使用
することによって、安価で放熱性に優れた金属ベース基
板を実現することができる。
【0052】また、高周波用途においては、線路構造を
コプレーナ構造にすること、およびコプレーナ構造の接
地線路と金属ベース基板とを絶縁することにより、特性
インピーダンスZ0 を制御でき、信号伝送特性を低化さ
せることなく、高放熱配線基板を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る半導体装置の断面図であ
る。
【図2】本発明の実施例に係る高周波回路基板の断面図
である。
【図3】マイクロストリップ構造の断面図である。
【図4】本発明の実施例に係るコプレーナ構造の断面図
である。
【符号の説明】
1:金属 (アルミニウム合金) 基板 2:酸化アルミニウム絶縁層 3:金属配線層 4:ハンダボール 5:ハンダバンプ 6:半導体素子 10:半導体装置 11:受動部品
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月25日(1999.11.
25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】ここに、本発明は次の通りである。 (1) 金属基板表面に陽極酸化により形成された無孔質バ
リヤー型酸化アルミニウム絶縁層と、該絶縁層の上に形
成された金属配線層とを備えた金属ベース基板であっ
て、前記金属配線層がコプレーナ構造で構成され、前記
金属基板とコプレーナ構造の接地線路が非接続であるこ
とを特徴とする金属ベース基板。(2) 上記(1) 記載の金属ベース基板に半導体素子を実装
して成る半導体装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】(3) 金属基板表面の酸化アルミニウム絶縁
層上に、金属配線層を形成した金属ベース基板の製造方
法であって、陽極としての該金属基板および陰極を中性
塩浴中に配置し、両電極に電流を流すことで金属基板表
面を酸化して、無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁
層とする工程と、前記酸化アルミニウム絶縁層上に接地
線路を前記金属基板と非接続としたコプレーナ構造を有
する金属配線層を形成する工程、とを含むことを特徴と
する金属ベース基板の製造方法。(4) 前記金属配線層をドライプロセスにより形成したこ
とを特徴とする、上記(3) 記載の金属ベース基板の製造
方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 頼史 尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工業株式 会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 4E351 AA14 AA19 BB01 BB32 BB41 CC01 CC29 DD01 GG04 GG06 5E315 AA03 AA05 BB01 BB03 BB11 CC19 DD13 DD25 GG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基板表面に陽極酸化により形成され
    た、厚さ2μm以下の無孔質バリヤー型酸化アルミニウ
    ム絶縁層と、該絶縁層の上に形成された金属配線層とを
    備えたことを特徴とする金属ベース基板。
  2. 【請求項2】 金属基板表面に陽極酸化により形成され
    た無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁層と、該絶縁
    層の上に形成された金属配線層とを備えた金属ベース基
    板であって、前記金属配線層がコプレーナ構造で構成さ
    れ、前記金属基板とコプレーナ構造の接地線路が非接続
    であることを特徴とする金属ベース基板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の金属ベース基板
    に半導体素子を実装して成る半導体装置。
  4. 【請求項4】金属基板表面の酸化アルミニウム絶縁層上
    に、金属配線層を形成した金属ベース基板の製造方法で
    あって、陽極としての該金属基板および陰極を中性塩浴
    中に配置し、両電極に電流を流すことで金属基板表面を
    酸化して、無孔質バリヤー型酸化アルミニウム絶縁層と
    する工程と、前記酸化アルミニウム絶縁層上に接地線路
    を前記金属基板と非接続としたコプレーナ構造を有する
    金属配線層を形成する工程、とを含むことを特徴とする
    金属ベース基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属配線層をドライプロセスにより
    形成したことを特徴とする、請求項4記載の金属ベース
    基板の製造方法。
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