JP2000124196A - プラズマエッチング法に基づくポリメタル積層体の形成方法 - Google Patents

プラズマエッチング法に基づくポリメタル積層体の形成方法

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JP2000124196A
JP2000124196A JP10293726A JP29372698A JP2000124196A JP 2000124196 A JP2000124196 A JP 2000124196A JP 10293726 A JP10293726 A JP 10293726A JP 29372698 A JP29372698 A JP 29372698A JP 2000124196 A JP2000124196 A JP 2000124196A
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ceramic
forming
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新吾 門村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不純物を含有したポリシリコン層と金属層と
を、不純物の導電形に依存することなく、且つ、高精度
にてエッチングする方法を提供する。 【解決手段】ポリメタル積層体の形成方法は、(イ)基
体60を、ヨウ化物が内壁に堆積したエッチング用チャ
ンバーに搬入した後、(ロ)フッ素含有ガスを用いてエ
ッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物をから
脱離させながら、かかる脱離したヨウ化物と該フッ素含
有ガスとに基づき金属層63をプラズマエッチングし、
次いで、(ハ)ヨウ素含有ガスを用いて不純物を含有し
たポリシリコン層62をプラズマエッチングし、以て、
基体60上にポリシリコン層62と金属層63とが順次
積層されたポリメタル積層体を形成し、併せて、ヨウ素
含有ガスとポリシリコン層との反応生成物であるヨウ化
物をエッチング用チャンバーの内壁に堆積させる各工程
から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上にポリシリ
コン層と金属層若しくは金属化合物層とが順次積層され
たポリメタル積層体のプラズマエッチング法に基づく形
成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、CMOS半導体装置においては、
Nチャネル型MOS半導体装置及びPチャネル型MOS
半導体装置共、ポリシリコン層に含有される不純物をN
形不純物とし、Nチャネル型MOS半導体装置において
は表面チャネル型、Pチャネル型MOS半導体装置にお
いては埋込チャネル型とする構造が採用されてきた。し
かしながら、半導体装置の微細化に伴い、埋込チャネル
型の短チャネル効果が無視できないといった技術的背景
から、Nチャネル型MOS半導体装置においてはポリシ
リコン層に含有される不純物をN形不純物とし、Pチャ
ネル型MOS半導体装置においてはポリシリコン層に含
有される不純物をP形不純物とする、所謂、デュアルゲ
ート構造が採用されようとしている。
【0003】デュアルゲート構造を得るためには、通
常、Nチャネル型MOS半導体装置を形成すべき領域上
のポリシリコン層にイオン注入法に基づきN形不純物を
イオン注入し、次いで、Pチャネル型MOS半導体装置
を形成すべき領域上のポリシリコン層にイオン注入法に
基づきP形不純物をイオン注入する。イオン注入の順序
は逆であってもよい。そして、かかるポリシリコン層を
ドライエッチングすることによって、ゲート電極を形成
する。
【0004】ところで、ポリシリコン層のエッチング速
度は、含有する不純物の導電形に依存することが知られ
ている。即ち、ポリシリコン層表面にラジカルが到達し
たとき、ポリシリコン層表面から電子が供給され得るポ
リシリコン層(N形不純物を含有するポリシリコン層)
と、ポリシリコン層表面から電子が供給されないポリシ
リコン層(P形不純物を含有するポリシリコン層)とで
は、エッチング速度の大きな差があり、その結果、エッ
チング後の形状に差異が生じる。それ故、0.01μm
レベルの形状制御が要求される次世代以降のCMOS半
導体装置においては、この問題の解決は重要課題の1つ
である。
【0005】例えばフルサリサイド構造を前提とする半
導体装置の製造プロセスにおいては、ゲート電極はポリ
シリコン層単層にて構成される。従って、不純物を含有
していないポリシリコン層をエッチングした後、ポリシ
リコン層にN形不純物及びP形不純物を導入すればよ
い。これによって、上述の問題を回避することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、ゲート電極の低
抵抗化技術として、ポリメタル構造が着目されている。
このポリメタル構造のゲート電極は、不純物を含有した
ポリシリコン層と金属層若しくは金属化合物層とが順次
積層された構造を有する。デュアルゲート構造とポリメ
タル構造とを組み合わせたゲート電極を形成するために
は、先ず、Nチャネル型MOS半導体装置を形成すべき
領域上のポリシリコン層にイオン注入法に基づきN形不
純物をイオン注入し、次いで、Pチャネル型MOS半導
体装置を形成すべき領域上のポリシリコン層にイオン注
入法に基づきP形不純物をイオン注入する。イオン注入
の順序は逆であってもよい。そして、ポリシリコン層上
に例えばタングステン層を積層した後、タングステン層
及びポリシリコン層のドライエッチングを行う。このと
き、上述の問題、即ち、含有する不純物の導電形に依存
してポリシリコン層のエッチング速度に差が生じ、その
結果、エッチング後の形状に差異が生じるといった問題
が発生する。尚、不純物を含有していないポリシリコン
層の上にタングステン層を積層した後、ポリシリコン層
に不純物を導入することは不可能である。
【0007】また、金属層若しくは金属化合物層のプラ
ズマエッチングにおいて、フッ素含有ガスを用いた場
合、プラズマエッチングされた金属層若しくは金属化合
物層にはアンダーカットが発生し易いといった問題もあ
る。
【0008】従って、本発明の目的は、不純物を含有し
たポリシリコン層と金属層若しくは金属化合物層とを、
不純物の導電形に依存することなく、且つ、高精度にて
エッチングする方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のプラズマエッチング法に基づくポリメタル
積層体の形成方法は、(イ)不純物を含有したポリシリ
コン層と金属層若しくは金属化合物層とが順次積層され
た基体を、ヨウ化物が内壁に堆積したエッチング用チャ
ンバーに搬入した後、(ロ)フッ素含有ガスを用いてエ
ッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物をエッ
チング用チャンバーの内壁から脱離させながら、かかる
脱離したヨウ化物と該フッ素含有ガスとに基づき金属層
若しくは金属化合物層をプラズマエッチングし、次い
で、(ハ)ヨウ素含有ガスを用いてポリシリコン層をプ
ラズマエッチングし、以て、基体上にポリシリコン層と
金属層若しくは金属化合物層とが順次積層されたポリメ
タル積層体を形成し、併せて、ヨウ素含有ガスとポリシ
リコン層との反応生成物であるヨウ化物をエッチング用
チャンバーの内壁に堆積させる、各工程から成ることを
特徴とする。
【0010】ここで、エッチング用チャンバーの内壁と
は、エッチング用チャンバーの側壁、天板等であって、
エッチング用チャンバーに面した壁面を意味する。ま
た、エッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物
がエッチング用チャンバーの内壁から脱離するとは、エ
ッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物とフッ
素含有ガスとが反応し、反応後のヨウ化物がエッチング
用チャンバーの内壁から剥離する状態、及び、フッ素含
有ガスがエッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ
化物に衝突する結果、ヨウ化物がエッチング用チャンバ
ーの内壁から剥離する状態の両方の状態を意味する。エ
ッチング用チャンバーの内壁から脱離したヨウ化物の形
態や構造は、エッチング用チャンバーの内壁に堆積した
ヨウ化物の形態や構造と同じ場合もあるし、異なる場合
もある。エッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ
化物は、一般に、シリコン原子とヨウ素原子、炭素原子
とヨウ素原子、あるいは、シリコン原子と炭素原子とヨ
ウ素原子とから構成される。尚、シリコン原子、炭素原
子、ヨウ素原子のそれぞれの起源は、主に、ポリシリコ
ン層、プラズマエッチングの際に用いられるレジスト材
料、ヨウ素含有ガスである。
【0011】本発明のポリメタル積層体の形成方法にお
いては、ポリシリコン層に含有される不純物として、ホ
ウ素(B)等のP形不純物、ヒ素(As)、リン(P)
等のN形不純物を挙げることができる。金属層としてタ
ングステン層を例示することができ、金属化合物層とし
てタングステンシリサイド層を例示することができる。
また、フッ素含有ガスとして、SF6ガス、NF3ガス、
又は、CF4、C26等のCm2m+2ガス(但し、mは正
の整数)、Cm2mガス(但し、mは2以上の正の整
数)、又はCm2m-2ガス(但し、mは2以上の正の整
数)を挙げることができる。また、ヨウ素含有ガスとし
て、HIガス、I2ガス、CF3Iガス又はC25Iガス
を挙げることができる。
【0012】本発明のポリメタル積層体の形成方法にお
いては、プラズマエッチング条件を調整することによっ
て、ヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づく金属層若しく
は金属化合物層のプラズマエッチングの際、金属層若し
くは金属化合物層の側面にヨウ化物を堆積させ、金属層
若しくは金属化合物層の側面をフッ素含有ガスから保護
することが好ましい。尚、脱離したヨウ化物は、専ら金
属層若しくは金属化合物層の側面に堆積し、金属層若し
くは金属化合物層のプラズマエッチングには寄与せず、
金属層若しくは金属化合物層のプラズマエッチングは、
専ら、フッ素含有ガスによって行われる。この金属層若
しくは金属化合物層の側面に堆積したヨウ化物は、後の
工程において、例えばキレート剤を用いて除去すればよ
い。
【0013】本発明のポリメタル積層体の形成方法にお
いては、ポリメタル積層体の形成をロット単位で考えて
プラズマエッチングプロセスを構築している。即ち、前
回のポリシリコン層のプラズマエッチングにおいて、ヨ
ウ素含有ガスとポリシリコン層との反応生成物であるヨ
ウ化物をエッチング用チャンバーの内壁に堆積させ、か
かるエッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物
を次の金属層若しくは金属化合物層のプラズマエッチン
グに利用する。
【0014】前述のとおり、金属層若しくは金属化合物
層のプラズマエッチングにおいて、フッ素含有ガスを用
いた場合、プラズマエッチングされた金属層若しくは金
属化合物層にはアンダーカットが発生し易いという第1
の問題が生じる。また、デュアルゲート構造とポリメタ
ル構造を組み合わせたゲート電極を形成する場合、前述
のとおり、含有する不純物の導電形に依存してポリシリ
コン層のエッチング速度に差が生じ、その結果、エッチ
ング後の形状に差異が生じるといった第2の問題が発生
する。
【0015】第2の問題を解決するために、本発明のお
いては、エッチング用ガスとして、従来から用いられて
いるCl2ガスよりも反応性が低く、原理的にエッチン
グ後のポリシリコン層の形状に差異が生じ難いヨウ素含
有ガスを用いる。尚、従来の技術においては、ポリシリ
コン層のプラズマエッチングにヨウ素含有ガス、例えば
HIガスを用いると、ヨウ素含有ガスとポリシリコン層
との反応生成物であるヨウ化物の蒸気圧が低いため、ヨ
ウ化物がエッチング用チャンバーの内壁に堆積し、パー
ティクル源となる。それ故、ヨウ素含有ガスをポリシリ
コン層のプラズマエッチングに使用することは現実的で
はなかった。
【0016】本発明においては、ポリシリコン層のプラ
ズマエッチング時、ヨウ素含有ガスとポリシリコン層と
の反応生成物であるヨウ化物をエッチング用チャンバー
の内壁に、敢えて堆積させる。そして、このエッチング
用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物を次の金属層若
しくは金属化合物層のプラズマエッチングに利用する。
フッ素含有ガスを用いてエッチング用チャンバーの内壁
に堆積したヨウ化物をエッチング用チャンバーの内壁か
ら脱離させるので、エッチング用チャンバーの内壁はク
リーニングされる。しかも、かかる脱離したヨウ化物
は、金属層若しくは金属化合物層の側面保護膜として寄
与し得るので、金属層若しくは金属化合物層の異方性加
工が可能となり、第1の問題を確実に回避することがで
きるばかりか、ヨウ化物がパーティクル源となることも
ない。
【0017】本発明における基体として、シリコン半導
体基板、SOI構造を有する半導体基板、GaAs基板
等の化合物半導体を挙げることができる。あるいは又、
シリコン半導体基板や化合物半導体、半絶縁性基板、絶
縁性基板の上に形成された各種の絶縁層や絶縁領域(例
えば、素子分離領域)を例示することができる。絶縁層
としては、SiO2、BPSG、PSG、BSG、As
SG、PbSG、SbSG、NSG、SOG、LTO
(Low Temperature Oxide、低温CVD−SiO2)、S
iN、SiON等の公知の材料、あるいはこれらの材料
を積層したものを例示することができる。
【0018】従来のエッチング用チャンバーの側壁は、
通常、ステンレススチールやアルミニウムから作製され
ている。そして、例えばエッチング処理中に、側壁がプ
ラズマに直接曝されることに起因した金属汚染の発生防
止や、ハロゲンガスによる側壁の腐蝕の発生防止のため
に、アルミニウムから作製された側壁の表面にAl23
層(アルマイト層)を形成している。また、ステンレス
スチールから側壁が作製されている場合には、Al23
製のリフレクターをエッチング用チャンバーの内部の側
壁近傍に配設している。このような状態でエッチング用
チャンバーの加熱を行うと、側壁がアルミニウムから作
製されている場合、アルミニウムとAl23の線膨張率
の差に起因して、側壁の表面に形成されたAl23層に
割れ等が生じ易い。また、Al23製のリフレクターを
エッチング用チャンバーの内部の側壁近傍に配設した場
合、エッチング用チャンバーの外側からリフレクターを
十分に加熱することが困難であり、高々100゜C程度
までしかリフレクターを加熱することができない場合が
ある。
【0019】本発明のポリメタル積層体の形成方法にお
いては、内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チャン
バーの部分を、セラミックス部材の組織中にアルミニウ
ム系材料が充填された母材と、該母材の表面に設けられ
たセラミックス層とから成る複合材料から構成し、且
つ、該母材には温度制御手段が配設されている構造とす
ることが、従来のエッチング用チャンバーの側壁におけ
る上述の問題を解決するといった観点から好ましい。エ
ッチング用チャンバーの一部分をこのような構成・構造
とすることによって、母材とセラミックス層とを構成す
る材料間の熱膨張の相違に起因した損傷発生を回避で
き、高温あるいは冷温での使用に十分耐えることがで
き、金属汚染の発生を防止でき、しかも、高い耐腐蝕性
を内壁に付与することができる。
【0020】このような構成・構造を有するエッチング
用チャンバーを用いる場合、金属層若しくは金属化合物
層のプラズマエッチング時には複合材料を加熱し、ポリ
シリコン層のプラズマエッチング時には複合材料を冷却
することによって、エッチング用チャンバーの内壁に堆
積したヨウ化物をエッチング用チャンバーの内壁から容
易に脱離させることができ、あるいは又、ヨウ化物をエ
ッチング用チャンバーの内壁に確実に堆積させることが
できる。金属層若しくは金属化合物層のプラズマエッチ
ング時に複合材料を加熱したときの内壁の温度を、50
゜C乃至400゜C、好ましくは100゜C乃至300
゜C、一層好ましくは200゜C乃至300゜Cとする
ことが望ましい。また、ポリシリコン層のプラズマエッ
チング時に複合材料を冷却したときの内壁の温度を、−
100゜C乃至20゜C、好ましくは−80゜C乃至0
゜C、一層好ましくは−50゜C乃至0゜Cとすること
が望ましい。
【0021】ヨウ化物が堆積するエッチング用チャンバ
ーの内壁の正確且つ迅速な温度制御のために、母材には
温度制御手段が配設されていることが好ましく、更に
は、温度制御手段は、母材の内部に配設された温度制御
用熱媒体を流す配管から構成されていることが好まし
い。この場合、母材の線膨張率をα1[単位:10-6
K]としたとき、配管の線膨張率αP[単位:10-6
K]は(α1−4)≦αP≦(α1+4)を満足すること
が望ましい。場合によっては、温度制御手段をヒータか
ら構成することもできる。ヒータを複合材料の外部に配
設してもよいし、母材の内部に配設してもよく、後者の
場合、母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]とし
たとき、ヒータを構成する材料の線膨張率αH[単位:
10-6/K]は(α1−4)≦αH≦(α1+4)を満足
することが望ましい。尚、ヒータを構成する材料とは、
ヒータの母材と接する部分(例えば鞘管)を構成する材
料を意味する。以下においても同様である。母材の線膨
張率α1とヒータを構成する材料や配管の線膨張率αH
αPとがこれらの関係を満足することによって、セラミ
ックス層に損傷が発生することを効果的に防止すること
ができる。一般に、線膨張率αは、物体の長さをL、0
゜Cにおける物体の長さをL0、θを温度としたとき、
α=(dL/dθ)/L0で表すことができ、単位はK
-1(1/K)であるが、本明細書では、10-6/Kを単
位として線膨張率を表現している。以下、線膨張率を説
明するとき、単位を省略して説明する場合もある。
【0022】また、母材の線膨張率をα1[単位:10
-6/K]としたとき、セラミックス層の線膨張率α
2[単位:10-6/K]は(α1−4)≦α2≦(α1
4)の関係を満足することが好ましい。これによって、
例えば300゜C程度の高温にて使用しても、母材の線
膨張率α1とセラミックス層の線膨張率α2の差に起因し
たセラミックス層の損傷発生をほぼ確実に防止すること
が可能となる。
【0023】尚、このような母材は、例えば、(A)セ
ラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料を充填
し、以て、セラミックス部材の組織中にアルミニウム系
材料が充填された母材を作製する工程と、(B)この母
材の表面にセラミックス層を設ける工程に基づき作製す
ることができる。
【0024】この場合、母材を構成するセラミックス部
材の組成をコージエライトセラミックスとし、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(A
l)及びケイ素(Si)とし、セラミックス層を構成す
る材料をAl23やAlNとすることができる。セラミ
ックス層を構成する材料には、セラミックス層の線膨張
率や電気特性を調整するために、例えば、TiO2を添
加してもよい。(α1−4)≦α2≦(α1+4)の関係
を満足するように、コージエライトセラミックスとアル
ミニウム系材料との容積比を決定することが望ましい。
あるいは又、コージエライトセラミックス/アルミニウ
ム系材料の容積比を、25/75乃至75/25、好ま
しくは25/75乃至50/50とすることが望まし
い。このような容積比にすることによって、母材の線膨
張率の制御だけでなく、母材は、純粋なセラミックスの
電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近づいた値を有する
ようになる。その結果、このような母材には、電圧の印
加は勿論のこと、バイアスの印加も可能となる。更に
は、アルミニウム系材料を基準としたとき、アルミニウ
ム系材料には、ケイ素が12乃至35体積%、好ましく
は16乃至35体積%、一層好ましくは20乃至35体
積%含まれていることが、(α1−4)≦α2≦(α1
4)の関係を満足する上で望ましい。尚、実際には、コ
ージエライトセラミックスから成るセラミックス部材の
組織中に、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)が
充填され、アルミニウム(Al)中にケイ素(Si)が
含まれているわけではないが、アルミニウム系材料にお
けるアルミニウム(Al)とケイ素(Si)の容積比を
表すために、アルミニウム系材料にはケイ素が含まれて
いるという表現を用いる。以下においても同様である。
【0025】母材を構成するセラミックス部材の組成を
コージエライトセラミックスとし、母材を構成するアル
ミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)及びケイ
素(Si)とする場合、上記の工程(A)は、容器の中
に多孔質のコージエライトセラミックスを組成としたセ
ラミックス部材を配し、容器内に溶融したアルミニウム
とケイ素とを組成としたアルミニウム系材料を流し込
み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム
系材料を充填する工程から成ることが好ましい。この場
合、セラミックス部材は、例えば、金型プレス成形法、
静水圧成形法(CIP法あるいはラバープレス成形法と
も呼ばれる)、鋳込み成形法(スリップキャスティング
法とも呼ばれる)、あるいは泥漿鋳込み成形法によって
コージエライトセラミックスを成形した後、焼成(焼
結)を行うことによって得ることができる。
【0026】尚、セラミックス部材を、コージエライト
セラミックス粉末を成形した後、焼成することにより作
製することができるが、コージエライトセラミックス粉
末とコージエライトセラミックス繊維との混合物を焼成
(焼結)することにより作製することが、多孔質のセラ
ミックス部材を得る上で、また、母材作製の際にセラミ
ックス部材に損傷が発生することを防ぐ上で、好まし
い。後者の場合、焼成体(焼結体)におけるコージエラ
イトセラミックス繊維の割合は、1乃至20体積%、好
ましくは1乃至10体積%、一層好ましくは1乃至5体
積%であることが望ましい。また、コージエライトセラ
ミックス粉末の平均粒径は1乃至100μm、好ましく
は5乃至50μm、一層好ましくは5乃至10μmであ
り、コージエライトセラミックス繊維の平均直径は2乃
至10μm、好ましくは3乃至5μmであり、平均長さ
は0.1乃至10mm、好ましくは1乃至2mmである
ことが望ましい。更には、コージエライトセラミックス
粉末とコージエライトセラミックス繊維との混合物を8
00乃至1200゜C、好ましくは800乃至1100
゜Cにて焼成(焼結)することが望ましい。また、セラ
ミックス部材の空孔率は25乃至75%、好ましくは5
0乃至75%であることが望ましい。
【0027】また、容器内に溶融したアルミニウム系材
料を流し込む際のセラミックス部材の温度を500乃至
1000゜C、好ましくは700乃至800゜Cとし、
容器内に溶融したアルミニウム系材料を流し込む際のア
ルミニウム系材料の温度を700乃至1000゜C、好
ましくは750乃至900゜Cとし、高圧鋳造法にてセ
ラミックス部材中にアルミニウム系材料を充填する際に
加える絶対圧を200乃至1500kgf/cm2、好
ましくは800乃至1000kgf/cm2とすること
が望ましい。
【0028】あるいは又、母材を構成するセラミックス
部材の組成を窒化アルミニウム(AlN)とし、母材を
構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(A
l)あるいはアルミニウム(Al)とケイ素(Si)と
し、セラミックス層を構成する材料をAl23やAlN
とすることができる。尚、セラミックス層を構成する材
料には、セラミックス層の線膨張率や電気特性を調整す
るために、例えば、TiO2やYxyを添加してもよ
い。この場合、(α1−4)≦α2≦(α1+4)の関係
を満足するように、窒化アルミニウムとアルミニウム系
材料との容積比を決定することが好ましい。あるいは
又、窒化アルミニウム/アルミニウム系材料の容積比
を、40/60乃至80/20、好ましくは60/40
乃至70/30とすることが望ましい。このような容積
比にすることによって、母材の線膨張率の制御だけでな
く、母材は、純粋なセラミックスの電気伝導度や熱伝導
度よりも金属に近づいた値を有するようになり、このよ
うな母材には電圧の印加は勿論のこと、バイアスの印加
も可能となる。尚、母材を構成するアルミニウム系材料
の組成をアルミニウム及びケイ素とする場合、アルミニ
ウム系材料にはケイ素が12乃至35体積%、好ましく
は16乃至35体積%、一層好ましくは20乃至35体
積%含まれていることが、(α1−4)≦α2≦(α1
4)を満足する上で望ましい。
【0029】母材を構成するセラミックス部材の組成を
窒化アルミニウム(AlN)とし、母材を構成するアル
ミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)とした場
合、前述の工程(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、
窒化アルミニウム粒子から成形されたセラミックス部材
に溶融したアルミニウムを組成としたアルミニウム系材
料を非加圧状態にて浸透させる工程から成ることが好ま
しい。あるいは又、上記の工程(A)は、容器の中に多
孔質の窒化アルミニウム粉体若しくは窒化アルミニウム
から作製されたプリフォームを配し、容器内に溶融した
アルミニウムとケイ素とを組成としたアルミニウム系材
料を流し込み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にア
ルミニウム系材料を充填する工程から成ることが好まし
く、この場合、容器内に溶融アルミニウム系材料を流し
込む際の温度は、500乃至1000゜C、好ましくは
700乃至800゜Cとすることが望ましい。また、容
器内に流し込む際の溶融アルミニウム系材料の温度は、
700乃至1000゜C、好ましくは750乃至900
゜Cとすることが望ましい。更には、容器内の溶融アル
ミニウム系材料に加える絶対圧は、200乃至1500
kgf/cm2、好ましくは800乃至1000kgf
/cm2とすることが望ましい。尚、セラミックス部材
は、例えば、金型プレス成形法、静水圧成形法、鋳込み
成形法、あるいは泥漿鋳込み成形法によって成形した
後、500乃至1000゜C、好ましくは800乃至1
000゜Cの温度で焼成(焼結)を行うことによって得
ることができる。この場合、窒化アルミニウム粒子の平
均粒径は10乃至100μm、好ましくは10乃至50
μm、一層好ましくは10乃至20μmであることが望
ましい。
【0030】あるいは又、母材を構成するセラミックス
部材の組成を炭化ケイ素(SiC)とし、母材を構成す
るアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)又
はアルミニウム(Al)とケイ素(Si)とし、セラミ
ックス層を構成する材料をAl23又は窒化アルミニウ
ム(AlN)とすることができる。尚、セラミックス層
を構成する材料には、セラミックス層の線膨張率や電気
特性を調整するために、例えば、TiO2を添加しても
よい。この場合、母材の線膨張率をα1[単位:10-6
/K]としたとき、セラミックス層の線膨張率α2[単
位:10-6/K]が(α1−4)≦α2≦(α1+4)を
満足するように、炭化ケイ素粒子とアルミニウム系材料
との容積比を決定することが望ましい。あるいは又、炭
化ケイ素/アルミニウム系材料の容積比を、40/60
乃至80/20、好ましくは60/40乃至70/30
とすることが望ましい。このような容積比にすることに
よって、母材の線膨張率の制御だけでなく、母材は、純
粋なセラミックスの電気伝導度や熱伝導度よりも金属に
近づいた値を有するようになり、このような母材には電
圧の印加は勿論のこと、バイアスの印加も可能となる。
尚、母材を構成するアルミニウム系材料の組成をアルミ
ニウム及びケイ素とする場合、アルミニウム系材料には
ケイ素が12乃至35体積%、好ましくは16乃至35
体積%、一層好ましくは20乃至35体積%含まれてい
ることが、(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足する
上で望ましい。
【0031】この場合、工程(A)は、非加圧金属浸透
法に基づき、炭化ケイ素粒子から成形されたセラミック
ス部材に溶融したアルミニウム又はアルミニウムとケイ
素とを組成としたアルミニウム系材料を非加圧状態にて
浸透させる工程から成ることが好ましい。あるいは、工
程(A)は、容器の中に炭化ケイ素を組成としたセラミ
ックス部材を配し、該容器内に溶融したアルミニウム又
はアルミニウムとケイ素とを組成としたアルミニウム系
材料を流し込み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中に
アルミニウム系材料を充填する工程から成ることが好ま
しく、この場合、容器内に溶融したアルミニウム系材料
を流し込む際のセラミックス部材の温度を500乃至1
000゜Cとし、高圧鋳造法にてセラミックス部材中に
アルミニウム系材料を充填する際に加える絶対圧を20
0乃至1500kgf/cm2とすることが望ましい。
セラミックス部材は、例えば、金型プレス成形法、静水
圧成形法、鋳込み成形法、あるいは泥漿鋳込み成形法に
よって成形した後、500乃至1000゜C、好ましく
は800乃至1000゜Cの温度で焼成を行うことによ
って得ることができる。炭化ケイ素粒子の平均粒径は1
乃至100μm、好ましくは10乃至80μm、一層好
ましくは15乃至60μmであることが望ましい。
【0032】あるいは又、母材を構成するセラミックス
部材の組成は酸化アルミニウム(Al23)であり、母
材を構成するアルミニウム系材料の組成はアルミニウム
(Al)又はアルミニウム(Al)とケイ素(Si)で
あり、セラミックス層を構成する材料はAl23とする
ことができる。尚、セラミックス層を構成する材料に
は、セラミックス層の線膨張率や電気特性を調整するた
めに、例えば、TiO2を添加してもよい。この場合、
(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足するように、酸
化アルミニウムとアルミニウム系材料との容積比を決定
することが好ましい。あるいは又、酸化アルミニウム/
アルミニウム系材料の容積比を、50/50乃至90/
10、好ましくは70/30乃至85/15とすること
が望ましい。このような容積比にすることによって、母
材の線膨張率の制御だけでなく、母材は、純粋なセラミ
ックスの電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近づいた値
を有するようになり、このような母材には電圧の印加は
勿論のこと、バイアスの印加も可能となる。尚、母材を
構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及び
ケイ素とする場合、アルミニウム系材料にはケイ素が1
2乃至35体積%、好ましくは16乃至35体積%、一
層好ましくは20乃至35体積%含まれていることが、
(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足する上で望まし
い。尚、酸化アルミニウムの平均粒径は1乃至100μ
m、好ましくは10乃至80μm、一層好ましくは10
乃至60μmであることが望ましい。
【0033】母材を構成するセラミックス部材の組成を
酸化アルミニウムとし、母材を構成するアルミニウム系
材料の組成をアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)
とする場合、上記の工程(A)は、容器の中に多孔質の
酸化アルミニウムを組成としたセラミックス部材を配
し、容器内に溶融したアルミニウムとケイ素とを組成と
したアルミニウム系材料を流し込み、高圧鋳造法にてセ
ラミックス部材中にアルミニウム系材料を充填する工程
から成ることが好ましく、この場合、容器内に溶融した
アルミニウム系材料を流し込む際のセラミックス部材の
温度を500乃至1000゜Cとし、高圧鋳造法にてセ
ラミックス部材中にアルミニウム系材料を充填する際に
加える絶対圧を200乃至1500kgf/cm2とす
ることが望ましい。あるいは又、前述の工程(A)は、
非加圧金属浸透法に基づき、酸化アルミニウム粒子から
成形されたセラミックス部材に溶融したアルミニウムと
ケイ素を組成としたアルミニウム系材料を非加圧状態に
て浸透させる工程から成ることが好ましい。尚、セラミ
ックス部材は、例えば、金型プレス成形法、静水圧成形
法、鋳込み成形法、あるいは泥漿鋳込み成形法によって
成形した後、焼成(焼結)を行うことによって得ること
ができる。
【0034】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウム(Al)とする場合、純アルミニウ
ムの他、Si、Mg、Ni、Cu、Mg等を適宜含むア
ルミニウム合金等を用いることができる。
【0035】セラミックス層は、溶射法にて母材の表面
に形成されており、あるいは又、ロウ付け法にて母材の
表面に取り付けられていることが好ましい。ここで、ロ
ウ材の線膨張率[単位:10-6/K]も、母材の線膨張
率をα1[単位:10-6/K]としたとき、(α1−4)
以上、(α1+4)以下の範囲内にあることが望まし
い。
【0036】以上に説明した複合材料から、内壁にヨウ
化物が堆積するエッチング用チャンバーの部分を構成す
ることによって、母材はセラミックス部材とアルミニウ
ム系材料との中間的な性質を有するものとなり、例えば
線膨張率に関してもこれらの中間的な値に調整すること
が可能となる。それ故、母材とセラミックス層との熱膨
張に起因したセラミックス層の損傷発生を回避でき、複
合材料から作製されたエッチング用チャンバーの部分を
高温に加熱し、あるいは低温に冷却することが可能とな
る。しかも、母材は高い熱伝導率を有しているので、チ
ャンバーのかかる部分を効率良く加熱することが可能と
なる。更には、セラミックス層が設けられているので、
金属汚染の発生防止や、例えばハロゲン系ガスから成る
エッチング用ガスによる複合材料の腐蝕発生を防止する
ことができる。しかも、エッチング用チャンバーのかか
る部分を確実に所望の温度に制御することができるの
で、内壁上へのヨウ化物の堆積、内壁からのヨウ化物の
脱離を正確に制御することができる。
【0037】プラズマエッチング処理において、その加
工精度を上げるため、被エッチング物の温度制御や温度
管理が重要であることが認識されつつある。ところで、
高温でのプラズマエッチング処理においては、プラズマ
エッチング処理における被エッチング物に対するイオン
衝撃等に起因して、プラズマから被エッチング物ヘ大き
な入熱が生じる。その結果、例えば、被エッチング物の
温度がプラズマ発生前に比べて40゜C程度乃至100
゜C程度以上も上昇してしまうことがある。従って、基
体を保持する基体載置ステージ(例えばウエハステー
ジ)によって被エッチング物を加熱し、高温下でプラズ
マ処理を行うプロセスにおいても、プラズマから被エッ
チング物ヘの入熱の影響を抑え、基体を高い精度で設定
温度に制御する技術が重要である。
【0038】ところで、従来の技術では、高温下におけ
る被エッチング物の温度制御は十分なものとは云えな
い。従来の技術においては、プラズマエッチング処理中
に前述した程度の温度上昇が被エッチング物に起こるこ
とが当然とされ、このような被エッチング物の温度上昇
を見込んで予め基体載置ステージの温度を低めに設定し
ている。そして、このような被エッチング物の温度上昇
を見込んでプロセスを進行させるので、プロセス時間が
延長し、スループットが低下したり、温度変化が大きい
ことによってプロセスの再現性や制御性が低下するなど
といった、多くの改善すべき問題が残されている。
【0039】このような問題を解決する手段の1つとし
て、高温に加熱される基体載置ステージの上に静電チャ
ックを搭載することが考えられる。しかしながら、基体
載置ステージの上に静電チャックを搭載するためには、
加熱された基体載置ステージと静電チャックを構成する
誘電体との接合を如何にするかという大きな問題があ
り、この問題が静電チャックを搭載した基体載置ステー
ジの実用化を阻んできた。即ち、高温加熱仕様の基体載
置ステージにおいては、静電チャックを介して基体を基
体載置ステージ上に吸着固定した際、基体に効率良く熱
を伝えることが必要とされる。従って、基体載置ステー
ジと静電チャックとは、熱伝導の良い状態で接合されて
いることが必要である。
【0040】ところで、プラズマエッチング装置におけ
る基体載置ステージの材料としては、熱伝導率の高さや
加工の行い易さなどから、アルミニウム(Al)が用い
られることが多い。尚、アルミニウムの線膨張率は約2
3×10-6/Kである。また、一般に、静電チャックを
構成する誘電体としてはセラミックス材料が用いられて
いる。それ故、基体載置ステージと静電チャックとを直
接接合した場合、静電チャックを構成するセラミックス
材料と基体載置ステージを構成するアルミニウムとの線
膨張率の差に起因して、基体載置ステージの加熱・冷却
によってセラミックス材料に割れ等の損傷が生じる結
果、静電チャックが破壊されてしまうといった問題があ
る。このため、現在では静電チャックをネジ止め等の方
法で基体載置ステージに固定している。しかしながら、
このような構造では、プラズマエッチング装置内を減圧
状態とした場合、静電チャックと基体載置ステージとの
接合界面が真空断熱されてしまい、静電チャックを介し
た基体載置ステージと被エッチング物との間の熱交換の
効率が悪くなる結果、被エッチング物がプラズマから熱
を受け、設定温度以上に基体の温度が上昇してしまう。
【0041】これらの問題は、記載載置ステージを、セ
ラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料が充填さ
れた母材と、該母材の表面に設けられたセラミックス層
とから構成することによって解決することができる。そ
して、基体載置ステージを電極として用い、この際、静
電チャック機能をセラミックス層に発揮させる。あるい
は又、セラミックス層内に電極を設け、静電チャック機
能を発揮させる。
【0042】基体載置ステージの正確且つ迅速な温度制
御のために、基体載置ステージには温度制御手段が配設
されていることが好ましく、更には、この温度制御手段
はヒータから構成されていることが好ましい。ヒータを
複合材料の外部に配設してもよいし、母材の内部に配設
してもよく、後者の場合、母材の線膨張率をα1[単
位:10-6/K]としたとき、ヒータを構成する材料の
線膨張率αH[単位:10-6/K]は(α1−4)≦αH
≦(α1+4)を満足することが望ましい。あるいは
又、温度制御手段は、母材の内部に配設された温度制御
用熱媒体を流す配管から構成されていることが好まし
い。この場合、母材の線膨張率をα1[単位:10-6
K]としたとき、配管の線膨張率αP[単位:10-6
K]は(α1−4)≦αP≦(α1+4)を満足すること
が望ましい。母材の線膨張率α1とヒータを構成する材
料や配管の線膨張率αH,αPとがこれらの関係を満足す
ることによって、セラミックス層に損傷が発生すること
を効果的に防止することができる。
【0043】複合材料の構成は、内壁にヨウ化物が堆積
するエッチング用チャンバーの部分を構成する複合材料
と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。
【0044】また、プラズマエッチング装置の形式によ
っては、上部対向電極が設けられている。この上部対向
電極も、エッチング用チャンバーの一部分を構成する複
合材料と同様の複合材料から構成することが望ましい。
更には、上部対向電極には、配管から構成された温度制
御手段を配設することが好ましい。この場合、母材の線
膨張率をα1[単位:10-6/K]としたとき、配管の
線膨張率αP[単位:10-6/K]は(α1−4)≦αP
≦(α1+4)を満足することが望ましい。場合によっ
ては、温度制御手段をヒータから構成することもでき
る。ヒータを複合材料の内部に配設することが好まし
く、母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]とした
とき、ヒータを構成する材料の線膨張率αH[単位:1
-6/K]は(α1−4)≦αH≦(α1+4)を満足す
ることが望ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0046】(実施の形態1)実施の形態1にて用いた
プラズマエッチング装置20(以下、単に、エッチング
装置20と略称する)の概念図を、図2に示す。エッチ
ング装置20は、エッチング用チャンバー21と、RF
アンテナ22と、RFアンテナ23と、マルチポール磁
石24を備えている。チャンバー21は、石英製の上部
ベルジャー25Aと、上部ベルジャー25Aの下側に設
けられ、複合材料から構成された下部ベルジャー25B
と、石英製の天板25Eと、上部ベルジャー25Aと下
部ベルジャー25Bの繋ぎ部25Cと、底部ベルジャー
25Dから構成されている。尚、このエッチング装置2
0においては、基体としてシリコン半導体基板60を例
にとり説明する。尚、図2においては、エッチングガス
導入部、ゲートバルブ等のエッチング装置の細部に関し
ては、その図示を省略した。
【0047】下部ベルジャー25B(ヨウ化物が主に堆
積するエッチング用チャンバーの部分に相当する)を構
成する複合材料の模式的な一部断面図を、図3の(A)
に示す。この複合材料11は、セラミックス部材の組織
中にアルミニウム系材料が充填された母材12と、この
母材12の表面に設けられたセラミックス層13とから
成る。また、下部ベルジャー25Bには温度制御手段が
配設されている。温度制御手段は、複合材料11を構成
する母材12の内部に配設された温度制御用熱媒体を流
す配管14から構成されている。ここで、母材の線膨張
率をα1[単位:10-6/K]としたとき、配管14の
線膨張率αP[単位:10-6/K]は(α1−4)≦αP
≦(α1+4)を満足する。
【0048】実施の形態1においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成をコージエライトセラミッ
クスとした。ここで、コージエライトセラミックスと
は、MgOが約13重量%、SiO2が約52重量%、
Al23が約35重量%となる組成比に調整されたセラ
ミックスである。コージエライトセラミックスの線膨張
率は0.1×10-6/Kである。また、母材12を構成
するアルミニウム系材料の組成はアルミニウム(Al)
及びケイ素(Si)である。実施の形態1においては、
アルミニウム系材料を基準として、アルミニウム系材料
にはケイ素が20体積%含まれている。尚、セラミック
ス部材は、コージエライトセラミックス粉末とコージエ
ライトセラミックス繊維との混合物の焼成体であり、こ
の焼成体におけるコージエライトセラミックス繊維の割
合を3体積%とした。ここで、コージエライトセラミッ
クス粉末の平均粒径は10μmであり、コージエライト
セラミックス繊維の平均直径は5μmであり、平均長さ
は1mmである。セラミックス部材の空孔率は約50%
であり、空孔径は約1乃至2μmである。従って、コー
ジエライトセラミックス/アルミニウム系材料の容積比
は約1/1である。このような構成の母材12の線膨張
率は、100〜300゜Cにおける平均値で、約10.
6×10-6/Kである。即ち、α1=10.6である。
また、コージエライトセラミックス/アルミニウム系材
料の容積比が約1/1であるが故に、母材12は、純粋
なセラミックスの電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近
づいた値を有する。従って、このような母材12から作
製された下部ベルジャー25Bは、セラミックスのみか
ら作製された下部ベルジャーよりも高い熱伝導性を有す
る。
【0049】セラミックス層13を構成する材料を、T
iO2が約2.5重量%添加されたAl23とした。厚
さ約0.2mmのセラミックス層13は、溶射法にて母
材12の表面に形成されている。このような組成のセラ
ミックス層13の線膨張率は、100〜300゜Cにお
ける平均値で、約9×10-6/Kである。即ち、α2
約9であり、セラミックス層13の線膨張率α2は(α1
−4)≦α2≦(α1+4)を満足している。尚、Al2
3それ自体の線膨張率は約8×10-6/Kである。
【0050】配管14は、温度制御用熱媒体供給装置4
1に外部配管40A,40Bを介して接続されており、
金属あるいは合金から作製されている。温度制御用熱媒
体供給装置41から供給された温度制御用熱媒体(例え
ば、−140゜Cのガス冷媒、あるいは、シリコンオイ
ル等)を母材12内の配管14に流すことによって、ヨ
ウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバーの部分に
相当する下部ベルジャー25Bの温度制御を行うことが
できる。即ち、温度制御用熱媒体供給装置41に接続さ
れた配管40Aには、高低温での動作が可能な制御バル
ブ42が配設されている。一方、配管40Aと配管40
Bとの間のバイパス配管40Cにも制御バルブ42が配
設されている。そして、このような構成のもと、図示し
ない温度検出装置で検知された温度に基づき、図示しな
い制御装置(PIDコントローラ)によって制御バルブ
42の開閉度を制御することで、配管14への温度制御
用熱媒体の供給量を制御する。
【0051】配管14の熱膨張も複合材料11に影響を
与える。従って、母材12やセラミックス層13の線膨
張率α1,α2に近い値を有する材料を用いることが好ま
しい。具体的には、チタンやステンレススチール等、線
膨張率が9×10-6/K〜12×10-6/Kの材料から
作製された配管14を用いることが好ましい。即ち、配
管14を構成する材料の線膨張率αP[単位:10-6
K]は、(α1−4)≦αP≦(α1+4)を満足するこ
とが好ましい。
【0052】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャ
ンバーの部分に相当する下部ベルジャー25Bの作製方
法の詳細に関しては、後述する。
【0053】2つのRFアンテナ22は、チャンバー2
1の上部に設けられた直径350mmの円筒状石英菅か
ら成る上部ベルジャー25Aの外側を周回して配設さ
れ、M=1モードのプラズマを生成するアンテナ形状を
有し、マッチングネットワーク27を介してヘリコン波
プラズマ発生源28に接続されている。これらのRFア
ンテナ22の外側には、内周コイルと外周コイルとから
構成されたソレノイドコイル・アッセンブリ26が配設
されている。このソレノイドコイル・アッセンブリ26
のうち、内周コイルはヘリコン波の伝搬に寄与し、外周
コイルは生成したプラズマの輸送に寄与する。RFアン
テナ23は、チャンバー21の天板25Eの上にループ
状に設置されており、マッチングネットワーク29を介
して電源30に接続されている。マルチポール磁石24
は、下部ベルジャー25Bの外側に設けられており、エ
レクトロンがチャンバー21の側壁にて消失することを
抑制するためのカスプ磁場を形成する。また、チャンバ
ー21内には、基体であるシリコン半導体基板60を保
持・固定するための基体載置ステージ50が配設されて
いる。更に、チャンバー21内のガスを排気するための
排気口31が、真空ポンプ等の負圧手段(図示せず)に
接続されている。
【0054】基体載置ステージ50の模式的な断面図
を、図10の(A)に示す。この基体載置ステージ50
は複合材料111から構成されている。複合材料111
は、セラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料が
充填された母材112(温度調節ジャケットに相当す
る)と、この母材112の表面に設けられたセラミック
ス層113とから成る。母材112の形状は円盤であ
る。また、母材112を構成するアルミニウム系材料の
組成はアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)であ
り、下部ベルジャー25Bを構成する複合材料11の母
材12と同じ組成とした。従って、このような母材11
2から作製された基体載置ステージ50には、電圧の印
加は勿論のこと、バイアスの印加も可能である。セラミ
ックス層113を構成する材料も、下部ベルジャー25
Bを構成する複合材料11のセラミックス層13と同じ
組成とした。Al23にTiO2を約2.5重量%添加
することによって、セラミックス層113の体積固有抵
抗値を1011Ω/□オーダーに調整することができる。
これによって、セラミックス層113は誘電体として作
用し、静電チャックとしての機能を発揮することができ
る。このように体積固有抵抗値を調整する理由は、セラ
ミックス層113が1011Ω/□オーダーを越えると、
静電チャックとして用いた場合にセラミックス層113
の吸着力が弱くなりすぎ、基体をセラミックス層113
に充分吸着させることが困難となる虞があるからであ
る。一方、セラミックス層113が1011Ω/□オーダ
ーを下回ると、基体載置ステージ50を高温で用いた
際、セラミックス層113の抵抗値が更に低くなり、基
体とセラミックス層113との界面で電流が生じる虞が
ある。尚、使用条件によるが、一般的には、セラミック
ス層113の体積固有抵抗値を1011〜1016Ω/□と
することが望ましい。
【0055】この基体載置ステージ50は、静電チャッ
ク機能を有し、且つ、温度制御手段を備えている。具体
的には、誘電体層であるセラミックス層113は静電チ
ャック機能を有する。また、母材112の内部には温度
制御手段が配設され(埋め込まれ)、この温度制御手段
は、ヒータ115、及び温度制御用熱媒体を流す配管1
14から構成されている。
【0056】ヒータ115として、母材112の面積
(底面積)に応じた大型で大容量のシーズヒータを使用
した。ヒータ115は、ヒータ本体(図示せず)と、ヒ
ータ本体の外側に配設されそしてヒータ本体を保護する
鞘管(図示せず)から構成された公知のヒータである。
ヒータ115は、図示しない配線を介して電源39に接
続されている。ヒータ115の熱膨張は、基体載置ステ
ージ50に影響を与える。従って、母材112やセラミ
ックス層113の線膨張率α1,α2に近い値を有する材
料を用いることが好ましい。具体的には、チタンやステ
ンレススチール等、線膨張率が9×10-6/K〜12×
10-6/Kの材料から作製された鞘管を用いることが好
ましい。即ち、ヒータ115を構成する材料(母材11
2と接する鞘管の材料)の線膨張率αH[単位:10-6
/K]は、(α1−4)≦αH≦(α1+4)を満足する
ことが好ましい。尚、ヒータ115の本体の線膨張率
は、基体載置ステージ50に影響を与えることがないの
で、特に制限されない。
【0057】このような構成の基体載置ステージ50
(より具体的には母材112)には、配線(図示せず)
を介して直流電源33から直流電圧が印加される。従っ
て、基体載置ステージ50を電極として用いることによ
り、セラミックス層113が静電チャックとして機能す
る。また、基体載置ステージ50には、シリコン半導体
基板60への入射イオンエネルギーを制御するためのバ
イアス電源32が接続されている。更には、基体載置ス
テージ50の母材12内に配設されたヒータ115は、
電源39に接続されている。更には、基体であるシリコ
ン半導体基板60の温度を計測するための蛍光ファイバ
温度計36が、エッチング装置20には備えられてい
る。尚、この基体載置ステージ50には、セラミックス
層113上に載置、保持された基体(例えばシリコン半
導体基板)を押し上げるためのプッシャーピン(図示せ
ず)が埋設されている。また、このプッシャーピンに
は、プッシャーピンをセラミックス層113の頂面上に
突出させあるいは頂面下に埋没させる機構(図示せず)
が取り付けられている。
【0058】基体載置ステージ50の母材112内に配
設された配管114は、配管34A,34Bを介して温
度制御用熱媒体供給装置35に接続されている。温度制
御用熱媒体供給装置35は、シリコンオイル等の温度制
御用熱媒体を、配管34Aを介して基体載置ステージ5
0の配管114に供給し、配管34Bを介して配管11
4から送り出された温度制御用熱媒体を受け入れ、更
に、この温度制御用熱媒体を所定温度に加熱あるいは冷
却する。場合によっては、温度制御用熱媒体供給装置3
5にチラーを組み込み、配管34A,115,34B内
にフロンガス等の低温(例えば0゜C)の温度制御用熱
媒体(冷媒)を流してもよい。このように、温度制御用
熱媒体を配管114内に循環させることによって、基体
載置ステージ50上に保持・固定された基体であるシリ
コン半導体基板60の温度制御を行う。温度制御用熱媒
体供給装置35に接続された配管34Aには、高低温で
の動作が可能な制御バルブ37が配設されている。一
方、配管34Aと配管34Bとの間のバイパス配管34
Cにも制御バルブ37が配設されている。そして、この
ような構成のもと、制御バルブ37の開閉度を制御する
ことによって、配管114への温度制御用熱媒体の供給
量を制御する。また、蛍光ファイバ温度計36で検知さ
れた温度を制御装置(PIDコントローラ)38で検出
し、予め設定されたシリコン半導体基板60の温度との
差から、予め実験や計算によって決定された供給量とな
るように、温度制御用熱媒体の供給量が制御装置38に
よって決定される。
【0059】尚、図10の(A)に示した基体載置ステ
ージ50においては、基体であるシリコン半導体基板6
0の設定温度にも依るが、通常は、ヒータ115による
加熱によって主たる温度制御がなされる。そして、温度
制御用熱媒体による基体載置ステージ50の温度制御
は、シリコン半導体基板60の温度安定のための補助的
な温度制御である。即ち、プラズマエッチング処理等を
行った場合、プラズマからの入熱を基体であるシリコン
半導体基板60、更には基体載置ステージ50が受ける
結果、ヒータ115による加熱だけではシリコン半導体
基板60を設定温度に維持しておくことが困難となる場
合がある。このような場合、ヒータ115の加熱に加え
て、基体であるシリコン半導体基板60を設定温度に保
つべくプラズマからの入熱を相殺するように設定温度よ
り低い温度の温度制御用熱媒体を配管114に流す。こ
れによって、シリコン半導体基板60を設定温度に安定
させることができる。
【0060】基体載置ステージ50の作製方法の詳細に
関しては、後述する。
【0061】以下、図2に示したプラズマエッチング装
置20を用いた実施の形態1のプラズマエッチング法に
基づくポリメタル積層体の形成方法を、図1を参照し
て、説明する。尚、ポリメタル積層体はゲート電極とし
て機能し、デュアルゲート構造とポリメタル構造とが組
み合わされた構造を有する。
【0062】[工程−100]シリコン半導体基板60
に公知の方法で素子分離領域(図示せず)を形成した
後、シリコン半導体基板60の表面を熱酸化法等に基づ
き酸化し、シリコン半導体基板60の表面にSiO2
ら成るゲート絶縁膜61を形成する。そして、CVD法
にて全面にポリシリコン層62を堆積させた後、Nチャ
ネル型MOS半導体装置を形成すべき領域上のポリシリ
コン層62にイオン注入法に基づきN形不純物をイオン
注入し、次いで、Pチャネル型MOS半導体装置を形成
すべき領域上のポリシリコン層62にイオン注入法に基
づきP形不純物をイオン注入する。イオン注入の順序は
逆であってもよい。そして、ポリシリコン層上に例えば
タングステン層63を積層する。その後、リソグラフィ
技術を用いてタングステン層63上にパターニングされ
たレジスト層64を形成する(図1の(A)参照)。そ
して、不純物を含有したポリシリコン層62と金属層で
あるタングステン層63とが順次積層された基体(シリ
コン半導体基板60が相当する)を、ヨウ化物が内壁
(下部ベルジャー25B)に堆積したエッチング用チャ
ンバー21に搬入する。
【0063】[工程−110]そして、フッ素含有ガス
としてSF6を用いて、エッチング用チャンバーの内壁
(下部ベルジャー25B)に堆積したヨウ化物をエッチ
ング用チャンバーの内壁(下部ベルジャー25B)から
脱離させながら、かかる脱離したヨウ化物とフッ素含有
ガス(SF6)とに基づきタングステン層63をプラズ
マエッチングする(図1の(B)参照)。プラズマエッ
チング条件を以下の表1に例示する。尚、第1回目のタ
ングステン層63のプラズマエッチングにおいては、エ
ッチング用チャンバーの内壁(下部ベルジャー25B)
にヨウ化物が堆積していないので、ダミー基板を用い
て、予め、エッチング用チャンバーの内壁(下部ベルジ
ャー25B)にヨウ化物を堆積させておく。
【0064】
【表1】 エッチングガス :SF6=20sccm 圧力 :0.5Pa 電源28からのパワー(RFアンテナ22):1kW(13.56MHz) 電源30からのパワー(RFアンテナ23):1.5kW(13.56MHz) RFバイアス :100W 基板載置ステージ設定温度 :25゜C エッチング用チャンバー内壁温度 :200゜C
【0065】ヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づくタン
グステン層63のプラズマエッチングの際、タングステ
ン層63の側面にヨウ化物65が堆積し、タングステン
層63の側面をフッ素含有ガスから保護することがで
き、タングステン層63にアンダーカットが発生すると
いった問題の発生を回避することができる。
【0066】[工程−120]タングステン層63のプ
ラズマエッチングが完了した後、プラズマエッチング条
件を、以下の表2に例示する条件に切り替え、ヨウ素含
有ガスとしてHIガスを用いてポリシリコン層62をプ
ラズマエッチングする(図1の(C)参照)。これによ
って、基体であるシリコン半導体基板60上にゲート絶
縁膜61を介してポリシリコン層62とタングステン層
63とが順次積層されたポリメタル積層体であるゲート
電極を形成することができる。併せて、ヨウ素含有ガス
とポリシリコン層62との反応生成物であるヨウ化物を
エッチング用チャンバーの内壁(下部ベルジャー25
B)に堆積させることができる。尚、タングステン層6
3の側面に堆積したヨウ化物65は、後の工程におい
て、例えばキレート剤を用いて除去すればよい。
【0067】
【表2】 エッチングガス :HI=20sccm 圧力 :1Pa 電源28からのパワー(RFアンテナ22):1kW(13.56MHz) 電源30からのパワー(RFアンテナ23):1.5kW(13.56MHz) RFバイアス :100W 基板載置ステージ設定温度 :25゜C エッチング用チャンバー内壁温度 :−50゜C
【0068】実施の形態1では、[工程−120]にお
いて、ポリシリコン層62のプラズマエッチングに生成
するヨウ素含有ガスとポリシリコン層62との反応生成
物であるヨウ化物(SiIX、CIX、Si−C−I系生
成物)は、一般に蒸気圧が低く、エッチング用チャンバ
ーの内壁に堆積し易い。実施の形態1においては、エッ
チング用チャンバーの内壁の温度を低温(例えば−50
゜C)に制御することによって、エッチング用チャンバ
ーの内壁上へのヨウ化物の堆積を促進させている。一
方、[工程−110]において、フッ素含有ガスを用い
てエッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物を
エッチング用チャンバーの内壁から脱離させる。この
際、エッチング用チャンバーの内壁の温度を高温(例え
ば200゜C)に制御することによって、エッチング用
チャンバーの内壁上からのヨウ化物の脱離を促進させて
いる。そして、タングステン層63のプラズマエッチン
グを脱離したヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づき行う
ので、実質的には、フッ素含有ガスにヨウ化物を添加し
た状態でタングステン層63のプラズマエッチングを行
うことができる。従って、エッチング用チャンバーの内
壁から脱離したヨウ化物がタングステン層63の側壁保
護膜として機能し、タングステン層63の異方性エッチ
ングを確保することができる。しかも、エッチング用チ
ャンバーの内壁はクリーニングされるので、パーティク
ル源となる懸念は無い。即ち、パーティクルが存在する
こと無く、ヨウ素含有ガスを用いてポリシリコン層62
のプラズマエッチングを再び行うことができる。
【0069】(実施の形態2)実施の形態2にて用いた
プラズマエッチング装置20B(以下、単に、エッチン
グ装置20Bと略称する)の概念図を、図4に示す。エ
ッチング装置20Bは、エッチング用チャンバー21
と、平行平板の上部対向電極70と、基体載置ステージ
50を備えている。チャンバー21は、天板25Fと、
側壁25Gと、基部25Hから構成されている。
【0070】内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チ
ャンバーの部分に相当する天板25F及び側壁25G
は、実施の形態1にて説明した複合材料から作製されて
いる。天板25F及び側壁25Gを構成する複合材料の
母材12内には、実施の形態1と同様に配管14が配設
されており、この配管14は、温度制御用熱媒体供給装
置41に外部配管40A,40Bを介して接続されてい
る。温度制御用熱媒体供給装置41から供給された温度
制御用熱媒体(例えば、−140゜Cのガス冷媒、ある
いは、シリコンオイル等)を母材12内の配管14に流
すことによって、ヨウ化物が主に堆積するエッチング用
チャンバーの部分に相当する天板25F及び側壁25G
の温度制御を行うことができる。
【0071】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャ
ンバーの部分に相当する天板25F及び側壁25Gの作
製方法の詳細に関しては、後述する。
【0072】基体載置ステージ50の構造は、実施の形
態1にて説明した基板載置ステージの構造と同様とする
ことができる。
【0073】このエッチング装置20Bにおいては、下
部電極に相当する基体載置ステージ50と対向して、チ
ャンバー21内の上方に平行平板の上部対向電極70が
配置されている。この上部対向電極70は、RF電源7
1に接続されている。上部対向電極70の模式的な断面
図を図15の(A)に示す。
【0074】実施の形態2においては、上部対向電極7
0は、母材212とセラミックス層213から構成され
た複合材料211から成る。実施の形態2においては、
実施の形態1と同様に、母材212を構成するセラミッ
クス部材の組成をコージエライトセラミックスとした。
また、母材212を構成するアルミニウム系材料の組成
はアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)である。実
施の形態2においては、アルミニウム系材料を基準とし
て、アルミニウム系材料にはケイ素が20体積%含まれ
ている。尚、セラミックス部材は、コージエライトセラ
ミックス粉末とコージエライトセラミックス繊維との混
合物の焼成体であり、この焼成体におけるコージエライ
トセラミックス繊維の割合を5体積%とした。ここで、
コージエライトセラミックス粉末の平均粒径は10μm
であり、コージエライトセラミックス繊維の平均直径は
3μmであり、平均長さは1mmである。セラミックス
部材の空孔率は約50%であり、空孔径は約1乃至2μ
mである。従って、コージエライトセラミックス/アル
ミニウム系材料の容積比は約1/1である。このような
構成の母材212の線膨張率は、100〜300゜Cに
おける平均値で、約10.6×10-6/Kである。即
ち、α1=10.6である。また、コージエライトセラ
ミックス/アルミニウム系材料の容積比が約1/1であ
るが故に、母材212は、純粋なセラミックスの電気伝
導度や熱伝導度よりも金属に近づいた値を有する。従っ
て、このような母材212から作製された上部対向電極
70には、高周波も問題なく印加することができる。
【0075】セラミックス層213を構成する材料を、
TiO2が約2.5重量%添加されたAl23とした。
厚さ約0.2mmのセラミックス層213は、溶射法に
て母材212の表面に形成されている。このような組成
のセラミックス層213の線膨張率は、100〜300
゜Cにおける平均値で、約9×10-6/Kである。従っ
て、α2は約9であり、セラミックス層213の線膨張
率α2は(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足してい
る。尚、Al23それ自体の線膨張率は約8×10-6
Kである。
【0076】上部対向電極70の内部には、配管214
が配設されている。配管214は、温度制御用熱媒体供
給装置41に外部配管43A,43Bを介して接続され
ており、金属あるいは合金から作製されている。温度制
御用熱媒体供給装置41から供給された温度制御用熱媒
体(例えば、−140゜Cのガス冷媒、あるいは、シリ
コンオイル等)を母材212内の配管214に流すこと
によって、ヨウ化物が堆積する上部対向電極70の温度
制御を行うことができる。即ち、温度制御用熱媒体供給
装置41に接続された配管43Aには、高低温での動作
が可能な制御バルブ44が配設されている。一方、配管
43Aと配管43Bとの間のバイパス配管43Cにも制
御バルブ44が配設されている。そして、このような構
成のもと、図示しない温度検出装置で検知された温度に
基づき、図示しない制御装置(PIDコントローラ)に
よって制御バルブ44の開閉度を制御することで、配管
214への温度制御用熱媒体の供給量を制御する。
【0077】配管214の熱膨張も、複合材料211に
影響を与える。従って、母材212やセラミックス層2
13の線膨張率α1,α2に近い値を有する材料を用いる
ことが好ましい。具体的には、チタンやステンレススチ
ール等、線膨張率が9×10 -6/K〜12×10-6/K
の材料から作製された配管214を用いることが好まし
い。即ち、配管214を構成する材料の線膨張率α
P[単位:10-6/K]は、(α1−4)≦αP≦(α1
4)を満足することが好ましい。
【0078】上部対向電極70の作製方法の詳細に関し
ては、後述する。
【0079】以下、図4に示したプラズマエッチング装
置20Bを用いた実施の形態2のプラズマエッチング法
に基づくポリメタル積層体の形成方法を、図1を再び参
照して、説明する。尚、ポリメタル積層体はゲート電極
として機能し、デュアルゲート構造とポリメタル構造と
が組み合わされた構造を有する。
【0080】[工程−200]実施の形態1の[工程−
100]と同様に、シリコン半導体基板60に公知の方
法で素子分離領域(図示せず)を形成した後、シリコン
半導体基板60の表面にSiO2から成るゲート絶縁膜
61を形成する。そして、不純物を含有するポリシリコ
ン層62、タングステン層63を、順次形成した後、パ
ターニングされたレジスト層64を形成する(図1の
(A)参照)。そして、不純物を含有したポリシリコン
層62と金属層であるタングステン層63とが順次積層
された基体(シリコン半導体基板60が相当する)を、
ヨウ化物が内壁(天板25F及び側壁25G)に堆積し
たエッチング用チャンバー21に搬入する。
【0081】[工程−210]そして、フッ素含有ガス
としてNF3を用いて、エッチング用チャンバーの内壁
(天板25F及び側壁25G)に堆積したヨウ化物をエ
ッチング用チャンバーの内壁(天板25F及び側壁25
G)から脱離させながら、かかる脱離したヨウ化物とフ
ッ素含有ガス(NF3)とに基づきタングステン層63
をプラズマエッチングする(図1の(B)参照)。プラ
ズマエッチング条件を以下の表3に例示する。尚、第1
回目のタングステン層63のプラズマエッチングにおい
ては、エッチング用チャンバーの内壁(天板25F及び
側壁25G)にヨウ化物が堆積していないので、ダミー
基板を用いて、予め、エッチング用チャンバーの内壁
(天板25F及び側壁25G)にヨウ化物を堆積させて
おく。
【0082】
【表3】 エッチングガス :NF3=20sccm 圧力 :5Pa RFパワー :1.5kW 基板載置ステージ設定温度 :25゜C エッチング用チャンバー内壁温度:200゜C
【0083】ヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づくタン
グステン層63のプラズマエッチングの際、タングステ
ン層63の側面にヨウ化物65が堆積し、タングステン
層63の側面をフッ素含有ガスから保護することがで
き、タングステン層63にアンダーカットが発生すると
いった問題の発生を回避することができる。
【0084】[工程−220]タングステン層63のプ
ラズマエッチングが完了した後、プラズマエッチング条
件を、以下の表4に例示する条件に切り替え、ヨウ素含
有ガスとしてHIガスを用いてポリシリコン層62をプ
ラズマエッチングする(図1の(C)参照)。これによ
って、基体であるシリコン半導体基板60上にゲート絶
縁膜61を介してポリシリコン層62とタングステン層
63とが順次積層されたポリメタル積層体であるゲート
電極を形成することができる。併せて、ヨウ素含有ガス
とポリシリコン層62との反応生成物であるヨウ化物を
エッチング用チャンバーの内壁(天板25F及び側壁2
5G)に堆積させることができる。尚、タングステン層
63の側面に堆積したヨウ化物65は、後の工程におい
て、例えばキレート剤を用いて除去すればよい。
【0085】
【表4】 エッチングガス :HI=20sccm 圧力 :5Pa RFパワー :1.5kW 基板載置ステージ設定温度 :25゜C エッチング用チャンバー内壁温度 :−50゜C
【0086】実施の形態2では、[工程−220]にお
いて、ポリシリコン層62のプラズマエッチングに生成
するヨウ素含有ガスとポリシリコン層62との反応生成
物であるヨウ化物(SiIX、CIX、Si−C−I系生
成物)は、一般に蒸気圧が低く、エッチング用チャンバ
ーの内壁に堆積し易い。実施の形態2においても、エッ
チング用チャンバーの内壁の温度を低温(例えば−50
゜C)に制御することによって、エッチング用チャンバ
ーの内壁上へのヨウ化物の堆積を促進させている。一
方、[工程−210]において、フッ素含有ガスを用い
てエッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物を
エッチング用チャンバーの内壁から脱離させる。この
際、エッチング用チャンバーの内壁の温度を高温(例え
ば200゜C)に制御することによって、エッチング用
チャンバーの内壁上からのヨウ化物の脱離を促進させて
いる。そして、タングステン層63のプラズマエッチン
グを脱離したヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づき行う
ので、実質的には、フッ素含有ガスにヨウ化物を添加し
た状態でタングステン層63のプラズマエッチングを行
うことができる。従って、エッチング用チャンバーの内
壁から脱離したヨウ化物がタングステン層63の側壁保
護膜として機能し、タングステン層63の異方性エッチ
ングを確保することができる。しかも、エッチング用チ
ャンバーの内壁はクリーニングされるので、パーティク
ル源となる懸念は無い。即ち、パーティクルが存在する
こと無く、ヨウ素含有ガスを用いてポリシリコン層62
のプラズマエッチングを再び行うことができる。
【0087】以下に説明する各実施の形態においては、
内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チャンバーの部
分、基板載置ステージ、上部対向電極の作製方法を説明
する。
【0088】(実施の形態3)実施の形態3は、実施の
形態1にて説明したプラズマエッチング装置20におけ
る下部ベルジャー25B(ヨウ化物が主に堆積するエッ
チング用チャンバーの部分)を構成する複合材料11の
作製方法に関する。以下、複合材料11の作製方法を説
明するが、実施の形態2にて説明したプラズマエッチン
グ装置20Bにおける天板25F及び側壁25Gも同様
に作製することができる。
【0089】複合材料11は、(A)セラミックス部材
の組織中にアルミニウム系材料を充填し、以て、セラミ
ックス部材の組織中にアルミニウム系材料が充填された
母材を作製する工程と、(B)母材の表面にセラミック
ス層を設ける工程から作製される。実施の形態3におい
ては、この工程(A)は、容器(鋳型)の中に多孔質の
コージエライトセラミックスを組成としたセラミックス
部材を配し、容器(鋳型)内に溶融したアルミニウムと
ケイ素とを組成としたアルミニウム系材料を流し込み、
高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム系材
料を充填する工程から成る。
【0090】多孔質のコージエライトセラミックスを組
成としたセラミックス部材は、セラミックス部材を作製
する際の焼結過程において多孔質化される。実施の形態
3においては、多孔質のコージエライトセラミックスと
して、コージエライトセラミックス粉体とコージエライ
トセラミックス繊維とを焼結して得られる焼結体である
多孔質のコージエライトセラミックス・ファイバーボー
ド(以下、ファイバーボードと略称する)を用いた。一
般的な粉体焼結セラミックスが約1200゜Cで高温焼
結されるのに対して、ファイバーボードは約800゜C
で低温焼結されたものであり、コージエライトセラミッ
クス繊維の周りにコージエライトセラミックス粉体がバ
インダーを介して密着するように焼結され、多孔質化さ
れている。従って、例えば、コージエライトセラミック
ス粉体とコージエライトセラミックス繊維との容積比を
変えることによって、得られる多孔質のコージエライト
セラミックスを組成としたセラミックス部材の空孔率や
空孔径を調整することが可能である。
【0091】下部ベルジャー25Bを作製するには、先
ず、所定の形状(環状)に成形された複数のファイバー
ボードを用意する。尚、ファイバーボードには、必要に
応じて各種の配管等を取り付けるためのフランジや孔部
を設けておく。また、配管14を配設するための溝を設
けておく。そして、これらの環状のファイバーボードを
容器(鋳型)内に積み上げる。尚、環状のファイバーボ
ードと環状のファイバーボードとの間には、配管14を
配置する。そして、ファイバーボードを約800゜Cに
予備加熱しておき、続いて、容器(鋳型)内に約800
゜Cに加熱して溶融状態としたアルミニウム系材料(A
l80体積%−Si20体積%)を流し込む。そして、
容器(鋳型)内に約1トン/cm2の高圧を加える高圧
鋳造法を実行する。その結果、多孔質のファイバーボー
ドには、即ち、セラミックス部材の組織中には、アルミ
ニウム系材料が充填される。そして、アルミニウム系材
料を冷却・固化することによって、母材12が作製され
る。
【0092】次いで、中空円筒形の母材12の内面を研
磨する。その後、この研磨面に、Al23にTiO2
約2.5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を
真空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化させる。
これによって、厚さ約0.2mmのセラミックス層13
を溶射法にて形成することができる。尚、セラミックス
層13の形成の前に、溶射下地層として例えばアルミニ
ウムを約5重量%含んだニッケル(Ni−5重量%A
l)を溶射しておき、この溶射下地層上にセラミックス
層13を溶射法にて形成してもよい。
【0093】尚、図3の(B)の模式的な断面図に示す
ように、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法によ
って母材12の表面に設けてもよい。この場合には、焼
結法にて作製されたAl23製セラミックス環状部材か
ら成るセラミックス層16を、例えば、約600゜Cの
温度にてAl−Mg−Ge系のロウ材17を用いたロウ
付け法にて母材12の表面に取り付ければよい。
【0094】このようにして得られた下部ベルジャー2
5Bにあっては、多孔質のコージエライトセラミックス
・ファイバーボードにAl80体積%−Si20体積%
のアルミニウム系材料を充填して得られた材料で母材1
2が構成されており、母材12の線膨張率はセラミック
ス層13の線膨張率に近い値となっている。従って、下
部ベルジャー25Bの加熱・冷却による母材12とセラ
ミックス層13の伸縮の度合いは殆ど同じである。それ
故、これらの材料間の線膨張率の差に起因して、高温加
熱時や、低温冷却時、高温から低温、低温から高温に下
部ベルジャー25Bの温度を変化させたときに、セラミ
ックス層13に割れ等の損傷が発生することを確実に回
避することができる。また、複合材料11は優れた熱伝
導性を有するので、配管14によって下部ベルジャー2
5Bを効率よく加熱・冷却することができる。
【0095】このようにして得られた下部ベルジャー2
5Bのセラミックス層13の割れ防止効果を確認するた
めに、温風循環式のオーブンを用い、以下のようにして
下部ベルジャー25Bの熱サイクルテストを行った。
【0096】(1)下部ベルジャー25Bをオーブン内
に入れ、オーブン内を30分間かけて300゜Cに昇温
する。 (2)オーブン内を、300゜Cの温度で20分間保持
する。 (3)オーブン内を、40分間かけて降温し、常温に戻
す。 (4)オーブン内から下部ベルジャー25Bを取り出
し、外観を観察する。
【0097】このような(1)〜(4)の操作を10回
繰り返したところ、10回終了後においても下部ベルジ
ャー25Bの外観には変化が認められず、セラミックス
層13に割れ等の破損は生じていないことが確認され
た。
【0098】尚、実施の形態3においては、多孔質のコ
ージエライトセラミックス・ファイバーボードを用いて
いるが、高圧鋳造時にアルミニウム系材料がその空孔内
に入り込む際の衝撃にファイバーボードは耐え得る。そ
の結果、ファイバーボードに割れが生じることを抑制す
ることができる。即ち、通常の粉末焼結法によって得ら
れる多孔質のコージエライトセラミックスから成るセラ
ミックス部材においては、高圧鋳造時に割れが起こり易
い。然るに、多孔質のコージエライトセラミックス・フ
ァイバーボードを用いることによって、高圧鋳造時にお
けるセラミックス部材の割れ発生を抑えることができ
る。
【0099】そして、高圧鋳造時にファイバーボードに
割れ等が発生することを回避できるので、母材12の表
面に設けられたセラミックス層13にクラック等の損傷
が生じることを一層確実に防止することができる。即
ち、ファイバーボードに割れが発生したとしても、ファ
イバーボードから成るセラミックス部材の組織中にアル
ミニウム系材料を充填したとき、アルミニウム系材料が
一種の接着材として働く結果、母材12を得ることはで
きる。しかしながら、このようにして得られた母材12
においては、ファイバーボードに発生した割れ等の隙間
にアルミニウム系材料から成る層が形成されてしまう。
その結果、母材12の表面に設けられたセラミックス層
13が、下部ベルジャー25Bの使用時、温度変化に追
従できなくなり、セラミックス層13に割れが生じ易く
なる。つまり、セラミックス層13は、粒径が約10μ
mの混合粉末が溶射されそして母材12と同化されてい
るので、ファイバーボードにおける1〜2μmの空孔内
に充填されたアルミニウム系材料そのものの熱膨張から
は殆ど影響を受けない。しかしながら、ファイバーボー
ドの割れた部分の隙間に存在するアルミニウム系材料か
ら成る層は、セラミックス層13を形成する粒子の径よ
り大きい長さや幅を有する。従って、アルミニウム系材
料から成るかかる層の熱膨張によるセラミックス層13
への影響は無視できないものとなり、セラミックス層1
3に割れが発生する確率が高くなる。
【0100】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、大面積の複合部材を作製する
ことができ、下部ベルジャー25Bの大型化に容易に対
処することができる。しかも、セラミックス層13を母
材12上に溶射法にて形成するので、母材12とセラミ
ックス層13とがより一層一体化する。これによって、
母材12とセラミックス層13との間の応力緩和が図れ
ると共に、母材12からセラミックス層13への熱伝導
が速やかとなり、下部ベルジャー25Bの温度制御を迅
速に且つ確実に行うことが可能となる。
【0101】(実施の形態4)実施の形態4は実施の形
態3の変形である。実施の形態4が実施の形態3と相違
する点は、複合材料における母材を構成するセラミック
ス部材の組成を窒化アルミニウムとし、母材を構成する
アルミニウム系材料の組成をアルミニウムとした点にあ
る。尚、下部ベルジャー25Bの構造は、実施の形態3
にて説明したと同様である。
【0102】実施の形態4においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成を窒化アルミニウム(Al
N)とした。尚、窒化アルミニウムの線膨張率は5.1
×10-6/Kであり、熱伝導率は0.235cal/c
m・秒・Kである。また、母材を構成するアルミニウム
系材料の組成をアルミニウム(Al)とした。(α1
4)≦α2≦(α1+4)を満足するように窒化アルミニ
ウムとアルミニウムとの容積比は決定されており、具体
的には、窒化アルミニウム/アルミニウムの容積比は7
0/30である。尚、母材12の線膨張率は、100〜
300゜Cにおける平均値で、8.7×10-6/Kであ
る。即ち、α1=8.7である。セラミックス層13を
構成する材料を、TiO2が約2.5重量%添加された
Al23とした。セラミックス層13は、溶射法にて母
材12の表面に形成されている。Al23は本来その線
膨張率が約8×10-6/Kであるが、Al23にTiO
2を添加することによって、その線膨張率は、100〜
300゜Cにおける平均値で、約9×10-6/K(α2
は約9)となり、母材12の線膨張率α1とほぼ同じ値
となる。これによって、母材12の高温加熱、低温冷却
などによる温度変化によってもセラミックス層13に割
れ等の損傷が発生することを効果的に防止し得る。
【0103】複合材料によって構成される下部ベルジャ
ー25Bの作製方法を、以下、説明する。複合材料11
は、基本的には、(A)セラミックス部材の組織中にア
ルミニウム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の
組織中にアルミニウム系材料が充填された母材を作製す
る工程と、(B)母材の表面にセラミックス層を設ける
工程から作製される。実施の形態4においては、この工
程(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、窒化アルミニ
ウム粒子から成形されたセラミックス部材に溶融したア
ルミニウムを組成としたアルミニウム系材料を非加圧状
態にて浸透させる工程から成る。
【0104】具体的には、平均粒径10μmのAlN粒
子を泥漿鋳込み成形法にて成形した後、約800゜Cの
温度で焼成を行うことによって、AlN粒子を成形した
プリフォームであるセラミックス部材を作製した。そし
て、配管14を配置したこのセラミックス部材を約80
0゜Cに予備加熱しておき、約800゜Cに加熱して溶
融したアルミニウムを非加圧でセラミックス部材に浸透
させる。これによって、AlN70体積%−Al30体
積%の構成の母材12を作製することができる。次い
で、母材12を成形加工して円筒形状とする。次いで、
このようにして得られた母材12の頂面を研磨する。そ
の後、この研磨面に、Al23にTiO2を約2.5重
量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真空溶射法
によって溶融状態で吹き付け、固化させる。厚さ約0.
2mmのセラミックス層13を形成することができる。
尚、セラミックス層13の形成の前に、溶射下地層とし
て例えばアルミニウムを約5重量%含んだニッケル(N
i−5重量%Al)を溶射しておき、この溶射下地層上
にセラミックス層13を溶射法にて形成してもよい。
【0105】尚、下部ベルジャー25Bの作製方法は、
上述の方法に限定されない。上述の工程(A)を、容器
(鋳型)の中に窒化アルミニウムを組成としたセラミッ
クス部材を配し、この容器(鋳型)内に溶融したアルミ
ニウムを組成としたアルミニウム系材料を流し込み、高
圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム系材料
を充填する工程から構成することもできる。即ち、下部
ベルジャー25Bを作製するには、先ず、所定の円筒形
状に成形されたAlNから成るプリフォームを用意す
る。そして、配管14を配置したこのプリフォームから
成るセラミックス部材を約800゜Cに予備加熱してお
き、続いて、容器(鋳型)内に約800゜Cに加熱して
溶融状態としたアルミニウムを流し込む。そして、容器
(鋳型)内に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造
法を実行する。その結果、セラミックス部材の組織中に
は、アルミニウムが充填される。そして、アルミニウム
を冷却・固化させることによって、母材12が作製され
る。以下、先に述べたと同様の方法で下部ベルジャー2
5Bを作製すればよい。
【0106】このようにして作製された下部ベルジャー
25Bにあっては、セラミックス層13の線膨張率α2
が母材12(温度調節ジャケット)の線膨張率α1とほ
ぼ同じ値となっている。それ故、母材12の高温加熱、
低温冷却などによる温度変化によっても、セラミックス
層13に割れ等の損傷は発生しない。また、実施の形態
4にあっては、窒化アルミニウムとアルミニウムとの容
積比を調整することによって、更には、必要に応じて、
Al23から成るセラミックス層13におけるTiO2
の添加率を調整することによって、母材12の線膨張率
α1とセラミックス層13の線膨張率α2を、(α1
4)≦α2≦(α1+4)を満足する関係とすることがで
きる。その結果、下部ベルジャー25Bの温度変化に起
因するセラミックス層13の割れ等の損傷発生を、効果
的に防止することができる。
【0107】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、大面積の複合部材を作製する
ことができ、下部ベルジャー25Bの大型化に容易に対
処することができる。しかも、セラミックス層13を母
材12上に溶射法にて形成するので、母材12とセラミ
ックス層13とがより一層一体化する。これによって、
母材12とセラミックス層13との間の応力緩和が図れ
ると共に、母材12からセラミックス層13への熱伝導
が速やかとなり、下部ベルジャー25Bの温度制御を迅
速に且つ確実に行うことが可能となる。
【0108】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウムとしたが、その代わりに、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及びケ
イ素とすることができる。アルミニウム系材料の組成を
アルミニウム及びケイ素(例えば、Al80体積%−S
i20体積%)とすることによって、母材の線膨張率を
α1を制御することが可能となり、一層セラミックス層
の線膨張率α2との差を小さくすることが可能となる。
また、セラミックス層をAl23から構成する代わり
に、窒化アルミニウム(AlN)から構成してもよい。
【0109】(実施の形態5)実施の形態5も実施の形
態3の変形である。実施の形態5が実施の形態3と相違
する点は、複合材料における母材を構成するセラミック
ス部材の組成を炭化ケイ素(SiC)とし、母材を構成
するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)
とした点にある。尚、下部ベルジャー25Bの構造は、
実施の形態3にて説明したと同様である。
【0110】実施の形態5においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成を炭化ケイ素(SiC)と
した。尚、炭化ケイ素の線膨張率は4×10-6/Kであ
り、熱伝導率は0.358cal/cm・秒・K(15
0W/m・K)である。また、母材を構成するアルミニ
ウム系材料の組成をアルミニウム(Al)とした。(α
1−4)≦α2≦(α1+4)を満足するように炭化ケイ
素とアルミニウムとの容積比は決定されており、具体的
には、炭化ケイ素/アルミニウムの容積比は70/30
である。尚、母材12の線膨張率は、100〜300゜
Cにおける平均値で、6.2×10-6/Kである。即
ち、α1=6.2である。セラミックス層13を構成す
る材料を、TiO2が約1.5重量%添加されたAl2
3とした。セラミックス層13は、溶射法にて母材12
の頂面に形成されている。Al23は本来その線膨張率
が約8×10-6/Kであるが、Al23にTiO2を添
加することによって、その線膨張率は、100〜300
゜Cにおける平均値で、約8〜9×10-6/K(α2
約8〜9)となり、母材12の線膨張率α1とセラミッ
クス層13の線膨張率α2の関係は、(α1−4)≦α2
≦(α1+4)を満足する。これによって、母材12の
高温加熱、低温冷却などによる温度変化によってもセラ
ミックス層13に割れ等の損傷が発生することを効果的
に防止し得る。
【0111】複合材料によって構成される下部ベルジャ
ー25Bの作製方法を、以下、説明する。複合材料11
は、基本的には、(A)セラミックス部材の組織中にア
ルミニウム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の
組織中にアルミニウム系材料が充填された母材を作製す
る工程と、(B)母材の表面にセラミックス層を設ける
工程から作製される。実施の形態4においては、この工
程(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、窒化アルミニ
ウム粒子から成形されたセラミックス部材に溶融したア
ルミニウムを組成としたアルミニウム系材料を非加圧状
態にて浸透させる工程から成る。
【0112】具体的には、平均粒径15μmのSiC粒
子と平均粒径60μmのSiC粒子とを容積比で1:4
にて混合したものを泥漿鋳込み成形法にて成形した後、
約800゜Cの温度で焼成を行うことによって、SiC
粒子を成形したプリフォームであるセラミックス部材を
作製した。そして、配管14を配置したこのセラミック
ス部材を約800゜Cに予備加熱しておき、約800゜
Cに加熱して溶融したアルミニウムを非加圧でセラミッ
クス部材に浸透させる。これによって、SiC70体積
%−Al30体積%の構成の母材12を作製することが
できる。次いで、母材12を成形加工して円筒形状とす
る。次いで、このようにして得られた母材12の頂面を
研磨する。その後、この研磨面に、Al23にTiO2
を約1.5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末
を真空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化させ
る。これによって、厚さ約0.2mmのセラミックス層
13を形成することができる。尚、セラミックス層13
の形成の前に、溶射下地層として例えばアルミニウムを
約5重量%含んだニッケル(Ni−5重量%Al)を溶
射しておき、この溶射下地層上にセラミックス層13を
溶射法にて形成してもよい。
【0113】尚、下部ベルジャー25Bの作製方法は、
上述の方法に限定されない。上述の工程(A)を、容器
(鋳型)の中に炭化ケイ素を組成としたセラミックス部
材を配し、この容器(鋳型)内に溶融したアルミニウム
を組成としたアルミニウム系材料を流し込み、高圧鋳造
法にてセラミックス部材中にアルミニウム系材料を充填
する工程から構成することもできる。即ち、下部ベルジ
ャー25Bを作製するには、先ず、所定の円筒形状に成
形されたSiCから成るプリフォームを用意する。そし
て、配管14を配置したこのプリフォームから成るセラ
ミックス部材を約800゜Cに予備加熱しておき、続い
て、容器(鋳型)内に約800゜Cに加熱して溶融状態
としたアルミニウムを流し込む。そして、容器(鋳型)
内に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造法を実行
する。その結果、セラミックス部材の組織中には、アル
ミニウムが充填される。そして、アルミニウムを冷却・
固化させることによって、母材12が作製される。以
下、先に述べたと同様の方法で下部ベルジャー25Bを
作製すればよい。
【0114】このようにして作製された下部ベルジャー
25Bにあっては、母材12の高温加熱、低温冷却など
による温度変化によっても、セラミックス層13に割れ
等の損傷は発生しない。また、実施の形態5の複合材料
の作製方法にあっては、炭化ケイ素とアルミニウム系材
料との容積比を調整することによって、更には、必要に
応じて、Al23から成るセラミックス層13における
TiO2の添加率を調整することによって、母材12の
線膨張率α1とセラミックス層13の線膨張率α2を、
(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足する関係とする
ことができる。その結果、下部ベルジャー25Bの温度
変化に起因するセラミックス層13の割れ等の損傷発生
を、効果的に防止することができる。
【0115】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、大面積の複合部材を作製する
ことができ、下部ベルジャー25Bの大型化に容易に対
処することができる。しかも、セラミックス層13を母
材12上に溶射法にて形成するので、母材12とセラミ
ックス層13とがより一層一体化する。これによって、
母材12とセラミックス層13との間の応力緩和が図れ
ると共に、母材12からセラミックス層13への熱伝導
が速やかとなり、下部ベルジャー25Bの温度制御を迅
速に且つ確実に行うことが可能となる。
【0116】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウムとしたが、その代わりに、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及びケ
イ素(例えば、Al80体積%−Si20体積%)とす
ることができる。アルミニウム系材料の組成をアルミニ
ウム及びケイ素とすることによって、母材の線膨張率を
α1を制御することが可能となり、一層セラミックス層
の線膨張率α2との差を小さくすることが可能となる。
また、セラミックス層をAl23から構成する代わり
に、窒化アルミニウム(AlN)から構成してもよい。
【0117】(実施の形態6)実施の形態6も実施の形
態3の変形である。実施の形態6が実施の形態3と相違
する点は、複合材料における母材を構成するセラミック
ス部材の組成を酸化アルミニウム(Al23)とし、母
材を構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム
(Al)とした点にある。尚、下部ベルジャー25Bの
構造は、実施の形態3にて説明したと同様である。
【0118】実施の形態6においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成を酸化アルミニウム(Al
23)とした。尚、酸化アルミニウムの線膨張率は7.
8×10-6/Kであり、熱伝導率は0.069cal/
cm・秒・K(29W/m・K)である。また、母材を
構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(A
l)とした。(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足す
るように酸化アルミニウムアルミニウムとの容積比は決
定されており、具体的には、酸化アルミニウム/アルミ
ニウムの容積比は80/20である。尚、母材12の線
膨張率は、100〜300゜Cにおける平均値で、11
×10-6/Kである。即ち、α1=11である。セラミ
ックス層13を構成する材料を、TiO2が約1.5重
量%添加されたAl23とした。セラミックス層13
は、溶射法にて母材12の頂面に形成されている。そし
て、母材12の線膨張率α1とセラミックス層13の線
膨張率α2の関係は、(α1−4)≦α2≦(α1+4)を
満足する。これによって、母材12の高温加熱、低温冷
却などによる温度変化によってもセラミックス層13に
割れ等の損傷が発生することを効果的に防止し得る。
【0119】実施の形態6の下部ベルジャー25Bの作
製方法を、以下、説明する。複合材料11は、基本的に
は、(A)セラミックス部材の組織中にアルミニウム系
材料を充填し、以て、セラミックス部材の組織中にアル
ミニウム系材料が充填された母材を作製する工程と、
(B)母材の表面に溶射法にてセラミックス層を設ける
工程から作製される。実施の形態6においては、この工
程(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、酸化アルミニ
ウムから成形されたセラミックス部材に溶融したアルミ
ニウムを組成としたアルミニウム系材料を非加圧状態に
て浸透させる工程から成る。
【0120】具体的には、平均粒径20μmのAl23
粒子と平均粒径80μmのAl23粒子とを容積比で
1:4にて混合したものを泥漿鋳込み成形法にて成形し
た後、約800゜Cの温度で焼成を行うことによって、
Al23粒子を成形したプリフォームであるセラミック
ス部材を作製した。そして、配管14を配置したこのセ
ラミックス部材を約800゜Cに予備加熱しておき、約
800゜Cに加熱して溶融したアルミニウムを非加圧で
セラミックス部材に浸透させる。これによって、Al2
380体積%−Al20体積%の構成の母材12を作
製することができる。次いで、母材12を成形加工して
円筒形状とする。次いで、このようにして得られた母材
12の頂面を研磨する。
【0121】その後、この研磨面に、Al23にTiO
2を約1.5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉
末を真空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化させ
る。これによって、セラミックス層13を溶射法にて形
成することができる。尚、セラミックス層の形成の前
に、溶射下地層として例えばアルミニウムを約5重量%
含んだニッケル(Ni−5重量%Al)を溶射してお
き、この溶射下地層上にセラミックス層を溶射法にて形
成してもよい。
【0122】尚、下部ベルジャー25Bの作製方法は、
上述の方法に限定されない。上述の工程(A)を、容器
(鋳型)の中に酸化アルミニウムを組成としたセラミッ
クス部材を配し、この容器(鋳型)内に溶融したアルミ
ニウムを組成としたアルミニウム系材料を流し込み、高
圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム系材料
を充填する工程から構成することもできる。即ち、下部
ベルジャー25Bを作製するには、先ず、所定の円筒形
状に成形されたAl23から成るプリフォームを用意す
る。次いで、配管14を配置したこのプリフォームから
成るセラミックス部材を約800゜Cに予備加熱してお
き、続いて、容器(鋳型)内に約800゜Cに加熱して
溶融状態としたアルミニウムを流し込む。そして、容器
(鋳型)内に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造
法を実行する。その結果、セラミックス部材の組織中に
は、アルミニウムが充填される。そして、アルミニウム
を冷却・固化させることによって、母材12が作製され
る。以下、先に述べたと同様の方法で下部ベルジャー2
5Bを作製すればよい。
【0123】このようにして作製された下部ベルジャー
25Bにあっては、母材12の高温加熱、低温冷却など
による温度変化によっても、セラミックス層13に割れ
等の損傷は発生しない。また、実施の形態6の下部ベル
ジャー25Bにあっては、酸化アルミニウムとアルミニ
ウム系材料との容積比を調整することによって、更に
は、必要に応じて、Al23から成るセラミックス層1
3におけるTiO2の添加率を調整することによって、
母材12の線膨張率α1とセラミックス層13の線膨張
率α2を、(α1−4)≦α2≦(α1+4)を満足する関
係とすることができる。その結果、下部ベルジャー25
Bの温度変化に起因するセラミックス層13の割れ等の
損傷発生を、効果的に防止することができる。
【0124】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、大面積の複合部材を作製する
ことができ、下部ベルジャー25Bの大型化に容易に対
処することができる。しかも、母材12とセラミックス
層13とがより一層一体化するので、母材12とセラミ
ックス層13との間の応力緩和が図れると共に、母材1
2からセラミックス層13への熱伝導が速やかとなり、
下部ベルジャー25Bの温度制御を迅速に且つ確実に行
うことが可能となる。
【0125】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウムとしたが、その代わりに、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及びケ
イ素(例えば、Al80体積%−Si20体積%)とす
ることができる。アルミニウム系材料の組成をアルミニ
ウム及びケイ素とすることによって、母材の線膨張率α
1を制御することが可能となり、一層セラミックス層の
線膨張率α2との差を小さくすることが可能となる。ま
た、セラミックス層をAl23から構成する代わりに、
窒化アルミニウム(AlN)から構成してもよい。
【0126】(実施の形態7)実施の形態7は、基体載
置ステージ50の作製方法に関する。基体載置ステージ
50を構成する複合材料111は、(A)セラミックス
部材の組織中にアルミニウム系材料を充填し、以て、セ
ラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料が充填さ
れた母材を作製する工程と、(B)母材の表面にセラミ
ックス層を設ける工程から作製される。そして、実施の
形態7においては、この工程(A)は、容器(鋳型)の
中に多孔質のコージエライトセラミックスを組成とした
セラミックス部材を配し、容器(鋳型)内に溶融したア
ルミニウムとケイ素とを組成としたアルミニウム系材料
を流し込み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアル
ミニウム系材料を充填する工程から成る。複合材料11
1によって構成される基体載置ステージ50の作製方法
を、以下、説明する。
【0127】セラミックス部材である多孔質のコージエ
ライトセラミックスとして、コージエライトセラミック
ス粉体とコージエライトセラミックス繊維とを焼結して
得られる焼結体である多孔質の円盤状のファイバーボー
ドを用いた。尚、ファイバーボードは、実施の形態3と
同様のものを使用した。基体載置ステージ50を作製す
るには、先ず、所定の円盤形状に成形された第1のファ
イバーボードを用意する。尚、第1のファイバーボード
には、ヒータ115を配設するための溝を加工してお
く。また、第1のファイバーボードとは別の第2のファ
イバーボードを用意する。この第2のファイバーボード
には、配管114を配設するための溝を加工しておく。
そして、容器(鋳型)の底部に第1のファイバーボード
を配し、更に、第1のファイバーボードに設けられた溝
内にヒータ115を配置する。次に、第1のファイバー
ボード上に第2のファイバーボードを乗せ、第2のファ
イバーボードに設けられた溝内に配管114を配置す
る。そして、更に、この第2のファイバーボード上に第
3のファイバーボードを乗せる。尚、これらのファイバ
ーボードには、プッシャーピン等を埋設するための孔を
予め加工しておく。
【0128】次いで、これらのファイバーボードから成
るセラミックス部材を約800゜Cに予備加熱してお
き、続いて、容器(鋳型)内に約800゜Cに加熱して
溶融状態としたアルミニウム系材料(Al80体積%−
Si20体積%)を流し込む。そして、容器(鋳型)内
に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造法を実行す
る。その結果、多孔質のファイバーボードには、即ち、
セラミックス部材の組織中には、アルミニウム系材料が
充填される。そして、アルミニウム系材料を冷却・固化
させることによって、母材112が作製される。
【0129】次いで、母材112の頂面、即ち、ヒータ
側の面を研磨する。その後、この研磨面に、Al23
TiO2を約2.5重量%混合した粒径が約10μmの
混合粉末を真空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固
化させる。これによって、体積固有抵抗値が1011Ω/
□オーダーの厚さ約0.2mmのセラミックス層113
を溶射法にて形成することができる。尚、セラミックス
層113の形成の前に、溶射下地層として例えばアルミ
ニウムを約5重量%含んだニッケル(Ni−5重量%A
l)を溶射しておき、この溶射下地層上にセラミックス
層113を溶射法にて形成してもよい。
【0130】このようにして得られた基体載置ステージ
50は、多孔質のコージエライトセラミックス・ファイ
バーボードから成るセラミックス部材にAl80体積%
−Si20体積%のアルミニウム系材料を充填して得ら
れた母材(温度調節ジャケット)112によって構成さ
れており、母材112の線膨張率α1はセラミックス層
113の線膨張率α2に近い値となっている。従って、
基体載置ステージ50の加熱・冷却による母材112と
セラミックス層113の伸縮の度合いは殆ど同じであ
る。それ故、これらの材料間の線膨張率α1,α2の差に
起因して、高温加熱時や、高温から常温に基体載置ステ
ージ50を戻したときにセラミックス層113に割れ等
の損傷が発生することを確実に回避することができる。
【0131】尚、図10の(B)の模式的な断面図に示
すように、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法に
よって母材112の表面に設けてもよい。この場合に
は、焼結法にて作製されたAl23製セラミックス板か
ら成るセラミックス層116を、例えば、約600゜C
の温度にてAl−Mg−Ge系のロウ材117を用いた
ロウ付け法にて母材112の表面に取り付ければよい。
尚、ロウ材としては、その他、チタン、錫、アンチモ
ン、マグネシウムから成る合金を挙げることができる。
ロウ材の線膨張率[単位:10-6/K]も、母材の線膨
張率をα1[単位:10-6/K]としたとき、(α1
4)以上、(α1+4)以下の範囲内にあることが望ま
しい。
【0132】図11の(A)の模式的な断面図に示すよ
うに、母材112の底面にヒータ115Aが取り付けら
れた構造としてよい。ヒータ115Aは、約400゜C
までの加熱が可能なPBNヒータ(パイロリティック・
ボロン・ナイトライド・パイロリティック・グラファイ
ト・ヒータ)である。ヒータ115Aを母材112であ
る温度調節ジャケットの裏面に取り付けることにより、
母材112を常温から約400゜Cまでの範囲内で温度
制御することが可能となる。尚、図11の(B)の模式
的な断面図に示すように、セラミックス層116Bを溶
射法でなくロウ付け法によって母材112の頂面及び側
面に設けてもよい。この場合には、焼結法にて作製され
たAl23製セラミックス板から成るセラミックス層1
16を、例えば、約600゜Cの温度にてAl−Mg−
Ge系のロウ材117を用いたロウ付け法にて母材の頂
面及び側面に取り付ければよい。
【0133】尚、基体載置ステージ50を、実施の形態
4〜実施の形態6にて説明した複合材料の作製方法に基
づき作製することもできる。
【0134】(実施の形態8)実施の形態8は、上部対
向電極70の作製方法に関する。上部対向電極70を構
成する複合材料211は、(A)セラミックス部材の組
織中にアルミニウム系材料を充填し、以て、セラミック
ス部材の組織中にアルミニウム系材料が充填された母材
を作製する工程と、(B)母材の表面にセラミックス層
を設ける工程から作製される。実施の形態8において
は、この工程(A)は、容器(鋳型)の中に多孔質のコ
ージエライトセラミックスを組成としたセラミックス部
材を配し、容器(鋳型)内に溶融したアルミニウムとケ
イ素とを組成としたアルミニウム系材料を流し込み、高
圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム系材料
を充填する工程から成る。複合材料211によって構成
される上部対向電極70の作製方法を、以下、説明す
る。
【0135】セラミックス部材である多孔質のコージエ
ライトセラミックスとして、コージエライトセラミック
ス粉体とコージエライトセラミックス繊維とを焼結して
得られる焼結体である多孔質の直方形のファイバーボー
ドを用いた。尚、ファイバーボードは、実施の形態3と
同様のものを使用した。上部対向電極70を作製するに
は、先ず、所定の形状(直方形)に成形された第1のフ
ァイバーボードを用意する。この第1のファイバーボー
ドには、配管214を配設するための溝を加工してお
く。また、第1のファイバーボードとは別の第2のファ
イバーボードを用意しておく。そして、容器(鋳型)の
底部に第1のファイバーボードを配し、更に、第1のフ
ァイバーボードに設けられた溝内に配管214を配置す
る。次に、第1のファイバーボード上に第2のファイバ
ーボードを乗せる。そして、ファイバーボードを約80
0゜Cに予備加熱しておき、続いて、容器(鋳型)内に
約800゜Cに加熱して溶融状態としたアルミニウム系
材料(Al80体積%−Si20体積%)を流し込む。
そして、容器(鋳型)内に約1トン/cm2の高圧を加
える高圧鋳造法を実行する。その結果、多孔質のファイ
バーボードには、即ち、セラミックス部材の組織中に
は、アルミニウム系材料が充填される。そして、アルミ
ニウム系材料を冷却・固化することによって、母材21
2が作製される。
【0136】次いで、直方形の母材212の表面を研磨
する。その後、この研磨面に、Al 23にTiO2を約
2.5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真
空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化させる。こ
れによって、厚さ約0.2mmのセラミックス層213
を溶射法にて形成することができる。こうして、図15
の(A)に示した上部対向電極70を作製することがで
きる。尚、セラミックス層213の形成の前に、溶射下
地層として例えばアルミニウムを約5重量%含んだニッ
ケル(Ni−5重量%Al)を溶射しておき、この溶射
下地層上にセラミックス層213を溶射法にて形成して
もよい。
【0137】尚、図15の(B)の模式的な断面図に示
すように、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法に
よって母材212の表面に設けてもよい。この場合に
は、焼結法にて作製されたAl23製セラミックス板か
ら成るセラミックス層216を、例えば、約600゜C
の温度にてAl−Mg−Ge系のロウ材217を用いた
ロウ付け法にて母材212の表面に取り付ければよい。
【0138】このようにして得られた上部対向電極70
にあっては、多孔質のコージエライトセラミックス・フ
ァイバーボードにAl80体積%−Si20体積%のア
ルミニウム系材料を充填して得られた材料で母材212
が構成されており、母材212の線膨張率はセラミック
ス層213の線膨張率に近い値となっている。従って、
上部対向電極70の加熱・冷却による母材212とセラ
ミックス層213の伸縮の度合いは殆ど同じである。そ
れ故、これらの材料間の線膨張率の差に起因して、高温
加熱時や高温から常温に上部対向電極70を戻したとき
にセラミックス層213に割れ等の損傷が発生すること
を確実に回避することができる。また、複合材料211
は優れた熱伝導性を有するので、配管214によって上
部対向電極70を効率よく加熱・冷却することができ
る。
【0139】尚、上部対向電極70を、実施の形態4〜
実施の形態6にて説明した複合材料の作製方法に基づき
作製することもできる。
【0140】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明した、ドライエッチング
装置の構造は例示であり、適宜設計変更することができ
る。また、発明の実施の形態にて説明した各種の加工条
件も例示であり、適宜変更することができる。更には、
複合材料の組成、コージエライトセラミックス・ファイ
バーボードの物性も例示であり、適宜変更することがで
きる。
【0141】図5の(A)あるいは(B)に模式的な一
部断面図を示すように、内壁にヨウ化物が堆積するエッ
チング用チャンバーの部分を構成する複合材料11の母
材12に配設された温度制御手段を、母材12の内部に
配設された公知のシーズヒータから成るヒータ15とす
ることもできる。ヒータ15は、ヒータ本体(図示せ
ず)と、ヒータ本体の外側に配設されそしてヒータ本体
を保護する鞘管(図示せず)から構成されている。そし
て、ヒータ15は、図示しない配線を介して電源に接続
されている。ヒータ15の熱膨張は、複合材料11に影
響を与える。従って、セラミックス層13や母材12の
線膨張率に近い値を有する材料を用いることが好まし
い。具体的には、チタンやステンレススチール等、線膨
張率が9×10-6/K〜12×10-6/Kの材料から作
製された鞘管を用いることが好ましい。即ち、ヒータ1
5を構成する材料(母材12と接する鞘管の材料)の線
膨張率αH[単位:10-6/K]は、(α1−4)≦αH
≦(α1+4)を満足することが好ましい。尚、ヒータ
15の本体の線膨張率は、複合材料11に影響を与える
ことがないので、特に制限されない。場合によっては、
ヒータ15を配設すると同時に、実施の形態1にて説明
した配管14を複合材料11の内部に配設してもよい。
尚、図5の(A)に示す例においては、セラミックス層
13は、溶射法にて母材12の表面に形成されており、
図5の(B)に示す例においては、セラミックス層16
は、ロウ材17を用いて母材12の表面に取り付けられ
ている。
【0142】あるいは又、図6の(A)及び(B)に示
すように、内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チャ
ンバーの部分を構成する複合材料11の母材12に配設
された温度制御手段を、母材12の外面に配設されたP
BNヒータ15Aとすることもできる。これによって、
母材12を常温から約400゜Cまでの範囲内で温度制
御することが可能となる。尚、図6の(A)に示す例に
おいては、セラミックス層13は、溶射法にて母材12
の表面に形成されており、図6の(B)に示す例におい
ては、セラミックス層16は、ロウ材17を用いて母材
12の表面に取り付けられている。
【0143】内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チ
ャンバーの部分を、複合材料11と、例えば金属製の円
盤状部材18との組合せに基づき作製することもでき
る。図7〜図9には、ステンレススチール製あるいはア
ルミニウム製の中空円筒部材18に複合材料11をロウ
付け法又はビス止めにて固定して作製された下部ベルジ
ャー25Bの部分的な模式的断面図を示す。尚、ロウ材
あるいはビスは図示していない。図7の(A)あるいは
(B)においては、中空円筒部材18の内部に配管14
(ヒータであってもよい)が配設されている。母材12
は中空円筒部材18の内面及び外面に固定されている。
中空円筒部材18の内面(チャンバー21側)に固定さ
れた複合材料11の構造は、実施の形態3〜実施の形態
6にて説明した複合材料11と同様の構造を有する。図
8の(A)あるいは(B)においては、中空円筒部材1
8の外面の母材12が省略されている。図9の(A)あ
るいは(B)においては、中空円筒部材18の外面にP
BNヒータ15Aが取り付けられている。そして、複合
材料11が中空円筒部材18の内面に固定されている。
【0144】基体載置ステージも、複合材料111と、
例えば金属製の円盤状部材118との組合せに基づき作
製することができる。図12及び図13には、アルミニ
ウム製の円盤状部材118に複合材料111をロウ付け
法又はビス止めにて固定して作製された基体載置ステー
ジ50Aの模式的な断面図を示す。尚、ロウ材あるいは
ビスは図示していない。図12の(A)、(B)あるい
は図13の(A)、(B)においては、アルミニウム製
の円盤状部材118の内部に配管114が配設されてい
る。また、図12の(A)あるいは図13の(A)にお
いては、母材112は円盤状部材118の上面及び下面
に固定されている。円盤状部材118の上面に固定され
た複合材料111の構造は、実施の形態7にて説明した
複合材料111と同様の構造を有する。図12の(B)
あるいは図13の(B)においては、アルミニウム製の
円盤状部材118の下面の母材が省略されている。図1
2の(C)あるいは図13の(C)においては、アルミ
ニウム製の円盤状部材118の下面にPBNヒータ11
5Aが取り付けられている。そして、複合材料111が
円盤状部材118の上面に固定されている。
【0145】以上に説明した基体載置ステージ50,5
0Aは、所謂、単極形式である。一方、図13の(A)
に模式的な断面図を示し、複合部材の頂面端部の拡大断
面図を図13の(B)に示すように、基体載置ステージ
50Bを、所謂、双極形式とすることもできる。即ち、
セラミックス層113が、第1のセラミックス層130
Aと第2のセラミックス層130Bとが積層された構造
を有し、第1のセラミックス層130Aと第2のセラミ
ックス層130Bとの間には、セラミックス層113に
静電チャック機能を発揮させるための電極119が形成
されている。尚、セラミックス層113に静電チャック
機能を発揮させるために、電極に正又は負の直流電流を
流す。電極は、溶射法、ロウ付け法、メッキ法あるいは
印刷法等によって形成することができる。また、第1の
セラミックス層130A及び第2のセラミックス層13
0Bを構成する材料は、例えば、TiO2が約2.5重
量%添加されたAl23とすることができる。
【0146】このような構造を有する基体載置ステージ
50Bは、(A)セラミックス部材の組織中にアルミニ
ウム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の組織中
にアルミニウム系材料が充填された母材112を作製す
る工程と、(B)母材112の表面に溶射法にて第1の
セラミックス層130Aを形成した後、第1のセラミッ
クス層130A上に電極119を形成し、次いで、電極
119を含む第1のセラミックス層130A上に溶射法
にて第2のセラミックス層130Bを形成する工程に基
づき作製することができる。尚、上記の工程(A)は、
実施の形態7にて説明したと同様の工程とすればよい。
【0147】工程(B)においては、母材112の頂面
を研磨した後、この研磨面に、Al 23にTiO2を約
2.5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真
空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化させる。こ
れによって、体積固有抵抗値が1011Ω/□オーダーの
第1のセラミックス層130Aを形成することができ
る。尚、第1のセラミックス層130Aの形成の前に、
溶射下地層として例えばアルミニウムを約5重量%含ん
だニッケル(Ni−5重量%Al)を溶射しておき、こ
の溶射下地層上に第1のセラミックス層130Aを溶射
法にて形成してもよい。その後、ロウ材を用いて電極1
19を第1のセラミックス層130A上に形成する。電
極119の平面形状を模式的に図14の(C)に示す
が、電極119は、所謂櫛型電極形状を有し、双極形式
である。図14の(C)において、電極119を明確化
するために、電極119に斜線を付した。尚、ロウ材と
して、例えば、Al−Mg−Ge系、チタン、錫、アン
チモンあるいはマグネシウムから成る合金を挙げること
ができるが、これらに限定するものではない。電極11
9を構成するロウ材の線膨張率[単位:10-6/K]
も、母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]とした
とき、(α1−4)以上、(α1+4)以下の範囲内にあ
ることが望ましいが、電極の厚さが薄ければ、ロウ材の
線膨張率はこのような範囲から外れていても、問題は生
じ難い。その後、全面に、Al23にTiO 2を約2.
5重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真空溶
射法によって溶融状態で吹き付け、固化させることによ
って、第2のセラミックス層130Bを形成する。こう
して、内部に電極119が形成されたセラミックス層1
13(第1のセラミックス層130A及び第2のセラミ
ックス層130B)を形成することができる。母材12
の側面に溶射法にてセラミックス層113を形成しても
よい。尚、電極119の平面形状を所謂櫛型電極形状と
したが(図14の(C)参照)、電極119の形状はこ
のような形状に限定されず、例えば、円を2分割した2
つの半円形状等、任意の一対の形状とすることができ
る。
【0148】更には、上部対向電極も、複合材料211
と、例えば金属製の円盤状部材218との組合せに基づ
き作製することができる。図16には、ステンレススチ
ール製あるいはアルミニウム製の円盤状部材218に複
合材料211をロウ付け法又はビス止めにて固定して作
製された上部対向電極70Aの模式的な断面図を示す。
円盤状部材118の内部に配管214が配設されてい
る。複合部材211は円盤状部材218の上面及び下面
に固定されている。この複合材料211の構造は、実施
の形態8にて説明した複合材料211と同様の構造を有
する。図16の(C)においては、円盤状部材218の
上面には複合部材が省略されている。
【0149】
【発明の効果】本発明においては、フッ素含有ガスを用
いてエッチング用チャンバーの内壁に堆積したヨウ化物
をエッチング用チャンバーの内壁から脱離させるので、
エッチング用チャンバーの内壁がクリーニングされる。
しかも、かかる脱離したヨウ化物は、金属層若しくは金
属化合物層の側面保護膜として寄与し得るので、金属層
若しくは金属化合物層の異方性加工が可能となる。一
方、エッチング用ガスとして、エッチング後のポリシリ
コン層の形状に差異が生じ難いヨウ素含有ガスを用いる
ので、含有する不純物の導電形に依存してポリシリコン
層のエッチング速度に差が生じ、その結果、エッチング
後の形状に差異が生じるといった問題の発生を回避する
ことができる。以上の結果、本発明により、例えばデュ
アルゲート構造とポリメタル構造とを組み合わせたゲー
ト電極を、所望の形状通りに確実に且つ容易に形成する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1あるいは発明の実施の形態
2のプラズマエッチング法に基づくポリメタル積層体の
形成方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部
断面図である。
【図2】発明の実施の形態1におけるドライエッチング
装置の概念図である。
【図3】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分(下部ベルジャー)の模式的な一部断面図であ
る。
【図4】発明の実施の形態2におけるドライエッチング
装置の概念図である。
【図5】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分の変形例の模式的な一部断面図である。
【図6】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分の変形例の模式的な一部断面図である。
【図7】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分の変形例の模式的な一部断面図である。
【図8】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分の変形例の模式的な一部断面図である。
【図9】ヨウ化物が主に堆積するエッチング用チャンバ
ーの部分の変形例の模式的な一部断面図である。
【図10】基体載置ステージの模式的な断面図である。
【図11】基体載置ステージの変形例の模式的な断面図
である。
【図12】基体載置ステージの変形例の模式的な断面図
である。
【図13】基体載置ステージの変形例の模式的な断面図
である。
【図14】基体載置ステージの変形例の模式的な断面
図、及び電極の平面形状を模式的に示す平面図である。
【図15】上部対向電極の模式的な断面図である。
【図16】上部対向電極の変形例の模式的な断面図であ
る。
【符号の説明】
11,111,211・・・複合材料、12,112,
212・・・母材、13,16,113,116,21
3,216・・・セラミックス層、14,114,21
4・・・配管、15,115・・・ヒータ、17,11
7,217・・・ロウ材、20,20A・・・ドライエ
ッチング装置、21・・・チャンバー、22,23・・
・RFアンテナ、24・・・マルチポール磁石、25
A,25B,25C,25D,25E,25F,25
G,25H・・・ベルジャー構成部品、26・・・ソレ
ノイドコイル・アッセンブリ、27,29・・・マッチ
ングネットワーク、28・・・ヘリコン波プラズマ発生
源、30・・・電源、31・・・排気口、32・・・バ
イアス電源、33・・・直流電源、34A,34B,3
4C,40A,40B,40C,43A,43B,43
C・・・配管、35・・・温度制御用熱媒体供給装置、
36・・・蛍光ファイバ温度計、37,42,44・・
・制御バルブ、38・・・制御装置(PIDコントロー
ラ)、39・・・電源、50・・・基体載置ステージ、
60・・・シリコン半導体基板、61・・・ゲート絶縁
膜、62・・・ポリシリコン層、63・・・タングステ
ン層、64・・・マスクパターン、65・・・ヨウ化
物、70・・・上部対向電極、71・・・電源

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)不純物を含有したポリシリコン層と
    金属層若しくは金属化合物層とが順次積層された基体
    を、ヨウ化物が内壁に堆積したエッチング用チャンバー
    に搬入した後、 (ロ)フッ素含有ガスを用いてエッチング用チャンバー
    の内壁に堆積したヨウ化物をエッチング用チャンバーの
    内壁から脱離させながら、かかる脱離したヨウ化物と該
    フッ素含有ガスとに基づき金属層若しくは金属化合物層
    をプラズマエッチングし、次いで、 (ハ)ヨウ素含有ガスを用いてポリシリコン層をプラズ
    マエッチングし、以て、基体上にポリシリコン層と金属
    層若しくは金属化合物層とが順次積層されたポリメタル
    積層体を形成し、併せて、ヨウ素含有ガスとポリシリコ
    ン層との反応生成物であるヨウ化物をエッチング用チャ
    ンバーの内壁に堆積させる、各工程から成ることを特徴
    とする、プラズマエッチング法に基づくポリメタル積層
    体の形成方法。
  2. 【請求項2】ヨウ化物とフッ素含有ガスとに基づく金属
    層若しくは金属化合物層のプラズマエッチングの際、金
    属層若しくは金属化合物層の側面にヨウ化物を堆積さ
    せ、金属層若しくは金属化合物層の側面をフッ素含有ガ
    スから保護することを特徴とする請求項1に記載のポリ
    メタル積層体の形成方法。
  3. 【請求項3】フッ素含有ガスはSF6ガス、NF3ガス、
    m2m+2ガス(但し、mは正の整数)、Cm2mガス
    (但し、mは2以上の正の整数)、又はCm 2m-2ガス
    (但し、mは2以上の正の整数)であり、ヨウ素含有ガ
    スはHIガス、I2ガス、CF3Iガス又はC25Iガス
    であることを特徴とする請求項1に記載のポリメタル積
    層体の形成方法。
  4. 【請求項4】内壁にヨウ化物が堆積するエッチング用チ
    ャンバーの部分は、セラミックス部材の組織中にアルミ
    ニウム系材料が充填された母材と、該母材の表面に設け
    られたセラミックス層とから成る複合材料から構成さ
    れ、且つ、該母材には温度制御手段が配設されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリメタル積層体の形
    成方法。
  5. 【請求項5】金属層若しくは金属化合物層のプラズマエ
    ッチング時には複合材料を加熱し、ポリシリコン層のプ
    ラズマエッチング時には複合材料を冷却することを特徴
    とする請求項4に記載のポリメタル積層体の形成方法。
  6. 【請求項6】母材の線膨張率をα1[単位:10-6
    K]としたとき、セラミックス層の線膨張率α2[単
    位:10-6/K]は(α1−4)≦α2≦(α1+4)の
    関係を満足することを特徴とする請求項4に記載のポリ
    メタル積層体の形成方法。
  7. 【請求項7】温度制御手段は、母材の内部に配設された
    温度制御用熱媒体を流す配管から構成されており、 母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]としたと
    き、配管の線膨張率αP[単位:10-6/K]は(α1
    4)≦αP≦(α1+4)を満足することを特徴とする請
    求項4に記載のポリメタル積層体の形成方法。
  8. 【請求項8】母材を構成するセラミックス部材の組成は
    コージエライトセラミックスであり、母材を構成するア
    ルミニウム系材料の組成はアルミニウムとケイ素であ
    り、セラミックス層を構成する材料はAl23であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載のポリメタル積層体の形
    成方法。
  9. 【請求項9】母材を構成するセラミックス部材の組成は
    窒化アルミニウムであり、母材を構成するアルミニウム
    系材料の組成はアルミニウム又はアルミニウムとケイ素
    であり、セラミックス層を構成する材料はAl23又は
    窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項4に記
    載のポリメタル積層体の形成方法。
  10. 【請求項10】母材を構成するセラミックス部材の組成
    は炭化ケイ素であり、母材を構成するアルミニウム系材
    料の組成はアルミニウム又はアルミニウムとケイ素であ
    り、セラミックス層を構成する材料はAl23又は窒化
    アルミニウムであることを特徴とする請求項4に記載の
    ポリメタル積層体の形成方法。
  11. 【請求項11】母材を構成するセラミックス部材の組成
    は酸化アルミニウムであり、母材を構成するアルミニウ
    ム系材料の組成はアルミニウム又はアルミニウムとケイ
    素であり、セラミックス層を構成する材料はAl23
    あることを特徴とする請求項4に記載のポリメタル積層
    体の形成方法。
  12. 【請求項12】セラミックス層は、溶射法にて母材の表
    面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の
    ポリメタル積層体の形成方法。
  13. 【請求項13】セラミックス層は、ロウ付け法にて母材
    の表面に取り付けられていることを特徴とする請求項4
    に記載のポリメタル積層体の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006066744A (ja) * 2004-08-27 2006-03-09 Tokyo Institute Of Technology 固体ソースエッチング装置及び固体ソースエッチング方法

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