JPH11307515A - 銅薄膜のプラズマエッチング法 - Google Patents

銅薄膜のプラズマエッチング法

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JPH11307515A
JPH11307515A JP11186698A JP11186698A JPH11307515A JP H11307515 A JPH11307515 A JP H11307515A JP 11186698 A JP11186698 A JP 11186698A JP 11186698 A JP11186698 A JP 11186698A JP H11307515 A JPH11307515 A JP H11307515A
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thin film
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aluminum
copper thin
plasma etching
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JP11186698A
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Shingo Kadomura
新吾 門村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温にて銅薄膜の異方性加工を良好に且つ確実
に行うことができるプラズマエッチング法を提供する。 【解決手段】基体上に形成された銅薄膜のプラズマエッ
チング法は、ハロゲン系ガスをエッチング用ガスとして
用い、銅薄膜を230゜C乃至300゜Cに加熱した状
態で、エッチング生成物である銅−ハロゲン化合物の銅
薄膜表面からの脱離が銅−ハロゲン化合物の生成を上回
るように、エッチング用ガス流量及び圧力、並びに電子
密度を制御して、銅薄膜をプラズマエッチングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上に形成され
た銅薄膜のプラズマエッチング法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の超LSIにおいては、数mm角の
チップに数百万個以上の素子を集積することが要求され
ている。それ故、従来のような平面的な素子の微細化に
よってこのような高集積化を実現することは極めて困難
であり、配線を二重、三重に積み上げる多層配線技術が
不可欠である。一方、素子の高機能化、デバイスの動作
速度の高速化に対する要求も止まるところを知らず、こ
れらの要求を満たす半導体装置プロセス技術の整備が急
がれている。
【0003】これらの要求を満たす技術の1つとして、
次世代以降の配線材料として銅(Cu)を用いる技術が
注目されて久しい。銅は、従来から使用されているアル
ミニウム系合金よりも抵抗値が低く、しかもエレクトロ
マイグレーションに対する耐性が高い等、半導体装置の
配線材料として優れた特性を有する。その反面、加工が
難しいことから、その実用化が遅れている。
【0004】即ち、例えば、半導体基板上に設けられた
絶縁層上に形成された銅薄膜をプラズマエッチングする
場合、一般にプラズマエッチングに用いられるハロゲン
系ガスと銅とのエッチング生成物の蒸気圧は低い。その
ため、蒸気圧の低いエッチング生成物を気化させるため
に、銅薄膜を高温加熱しながらプラズマエッチングを行
う必要がある。ここで、プラズマエッチングを行う際に
は、エッチング装置のチャンバー内に配置された基体載
置ステージ(ウエハステージと呼ばれる場合がある)上
に半導体基板を載置・固定する。そして、銅薄膜の加熱
は、通常、基体載置ステージに内蔵されたヒータによっ
て行う。ところが、プラズマエッチングが進行するに従
い、銅薄膜へのプラズマ照射によって銅薄膜に大きな入
熱があり、その結果、銅薄膜、更には半導体基板の温度
が大幅に上昇する。そのため、従来の技術においては、
例えば250゜Cにて銅薄膜のプラズマエッチングを実
施する場合、プラズマ照射による銅薄膜の温度上昇が1
00゜Cであるとすれば、プラズマエッチング開始時、
この温度上昇分だけ銅薄膜の温度を下げた状態で、即
ち、基体載置ステージの設定温度を例えば150゜Cに
設定した状態で、プラズマエッチングを開始している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このよう
に、銅薄膜の温度を下げた状態(例えば150゜C)か
らプラズマエッチングを開始すると、銅薄膜のプラズマ
エッチングを開始した後、銅薄膜の表面に難エッチング
層である銅−ハロゲン化合物層(例えば、ハロゲン系ガ
スとしてCl2ガスを用いた場合、CuClX層)が形成
される。このような難エッチング層が形成されると、そ
れ以降、銅薄膜のプラズマエッチングが進行しなくな
る。一方、プラズマエッチング開始前から半導体基板を
設定温度(例えば250゜C)に保持した場合には、プ
ラズマからの入熱によってプラズマエッチング中に銅薄
膜の温度が上昇する。その結果、銅薄膜とエッチング用
ガスとの間の化学反応は進行し易くなるものの、エッチ
ングされた銅薄膜の形状制御が困難となり、エッチング
加工精度が大幅に低下するという問題がある。
【0006】また、たとえ、プラズマエッチング開始前
から半導体基板を設定温度(例えば250゜C)に保持
し、しかも、プラズマエッチング中にプラズマからの入
熱による銅薄膜の温度上昇を抑制することができたとし
ても、プラズマエッチング時に、未解離のハロゲン系ガ
ス成分あるいはそのラジカルが過剰に存在していると、
銅とハロゲン系ガスの反応生成物である銅−ハロゲン化
合物が銅薄膜表面から脱離する前に、銅のハロゲン化が
銅薄膜表面から内部へと進行してしまい、銅薄膜をエッ
チングできなくなるといった現象が認められている。
【0007】銅薄膜の温度制御を行いながら、半導体基
板上に設けられた絶縁層上に形成された銅薄膜をプラズ
マエッチングする場合、半導体基板を基体載置ステージ
に十分に密着させる必要がある。そのための簡便な手段
としてクランプがあるが、クランプを使用した場合、ク
ランプと接する部分の銅薄膜に対するエッチングを行う
ことができない。また、半導体基板の周辺部のみにおい
て半導体基板を基体載置ステージに押し付けるため、半
導体基板の大口径化に伴い、半導体基板の中央部と周辺
部とでの均一なる基体載置ステージへの密着が難しいと
いった問題を有する。
【0008】半導体基板を基体載置ステージに十分に密
着させる別の手段として、静電チャックがある。この静
電チャックは、文字通り、静電吸着によって半導体基板
を基体載置ステージに吸着するための装置である。即
ち、静電チャックは、通常、基体載置ステージの表面に
設けられた誘電体部材から成り、この誘電体部材に直流
電圧を印加することによって誘電体部材に静電吸着力を
生じさせる。静電チャックを使用すれば、クランプを使
用した場合と異なり、半導体基板の全面を基体載置ステ
ージに確実に密着させることができる。
【0009】ところで、従来の静電チャックを備えた基
体載置ステージを高温に加熱すると、基体載置ステージ
の線膨張率と誘電体部材の線膨張率との相違に起因し
て、誘電体部材にクラックが発生してしまい、静電チャ
ックとしての機能が失われてしまう。このような問題を
解決する手段が、例えば、特開平10−32239号公
報に開示されている。この特許公開公報に開示された静
電チャックステージは、静電チャック用セラミックス焼
結体プレートと、セラミックとアルミニウムとの複合プ
レートとを接合して成る。この静電チャックステージを
使用することによって、高温で優れた温度制御下、銅薄
膜のプラズマエッチングが可能である。しかしながら、
この特許公開公報には、具体的な銅薄膜のプラズマエッ
チング法について記載も示唆もなされていない。
【0010】従って、本発明の目的は、高温にて銅薄膜
の異方性加工を良好に且つ確実に行うことができるプラ
ズマエッチング法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、基体上に
形成された銅薄膜のプラズマエッチング法であって、ハ
ロゲン系ガスをエッチング用ガスとして用い、銅薄膜を
230゜C乃至300゜C、好ましくは230゜C乃至
270゜Cに加熱した状態で、エッチング生成物である
銅−ハロゲン化合物の銅薄膜表面からの脱離が銅−ハロ
ゲン化合物の生成を上回るように、エッチング用ガス流
量及び圧力、並びに電子密度を制御して、銅薄膜をプラ
ズマエッチングすることを特徴とする本発明の銅薄膜の
プラズマエッチング法によって達成することができる。
【0012】このように、銅薄膜の温度を230乃至3
00゜Cに保持した状態で銅薄膜のプラズマエッチング
を行えば、銅のハロゲン化が銅薄膜表面から内部へと進
行する前に、銅−ハロゲン化合物が銅薄膜表面から脱離
するので、プラズマエッチングの進行が妨げられること
がなくなる。尚、銅薄膜の温度を230゜C未満とした
のでは、銅薄膜表面に難エッチング層が形成され、プラ
ズマエッチングの進行が妨げられる虞がある。一方、銅
薄膜の温度が300゜Cを越えると、基体とエッチング
用ガスとの反応速度が早くなりすぎ、プラズマエッチン
グの進行の制御が困難になる場合がある。
【0013】例えば、ハロゲン系ガスとしてCl2ガス
を使用し、銅薄膜の温度を230乃至300゜Cに保持
した状態で銅薄膜のプラズマエッチングを行うとき、プ
ラズマ中で解離した塩素ラジカルや塩素イオン等の活性
種以外にも、未解離の塩素分子によっても銅薄膜表面に
CuClXが生成する。特に、未解離の塩素分子が過剰
に存在すると、基体加熱の効果も相俟って、エッチング
生成物である銅−ハロゲン化合物の銅薄膜表面からの脱
離が銅−ハロゲン化合物の生成を下回る結果、銅のハロ
ゲン化が銅薄膜表面から内部へと進行し、銅薄膜のエッ
チングの進行が妨げられる。
【0014】本発明においては、エッチング生成物であ
る銅−ハロゲン化合物(ハロゲン系ガスとしてCl2
スを使用した場合、CuClX)の銅薄膜表面からの脱
離が銅−ハロゲン化合物の生成を上回るように、エッチ
ング用ガス流量及び圧力、並びに電子密度を制御した状
態で銅薄膜をプラズマエッチングするので、銅のハロゲ
ン化が銅薄膜表面から内部へと進行することを抑制する
ことができ、プラズマエッチングの進行が妨げられるこ
とがなくなり、しかも、エッチング加工精度の低下を抑
えることができる。
【0015】基体として直径200mm(8インチ)の
シリコンウエハを使用し、ハロゲン系ガスとしてCl2
ガスを用い、銅薄膜を230゜C乃至270゜Cに加熱
した状態にて銅薄膜のプラズマエッチングを行う場合、
エッチング用ガス流量を20sccm以下(下限は銅薄
膜をエッチングできるガス流量)、エッチング用ガス圧
力を0.5Pa以下、好ましくは0.1Pa以下(下限
は銅薄膜をエッチングできる圧力)、電子密度を1×1
10/cm3以上、好ましくは1×1011/cm3以上
(上限は、使用するエッチング装置に依存するが、例え
ば1×1013/cm3)とするプラズマエッチング条件
を例示することができる。尚、銅薄膜1m2当たりのエ
ッチング用ガス流量を150乃至320sccmとする
ことが好ましい。また、このときのエッチング用ガス圧
力を0.01Pa乃至0.5Pa、電子密度を1×10
10/cm3乃至1×1011/cm3とすることが好まし
い。尚、電子密度とイオン密度は平均において等しく、
これらはプラズマ密度とも呼ばれる。従って、本明細書
中で電子密度と表現する場合の電子密度という用語は、
イオン密度あるいはプラズマ密度と等価である。ここ
で、エッチング生成物である銅−ハロゲン化合物の銅薄
膜表面からの脱離が銅−ハロゲン化合物の生成を確実に
上回るようにするためには、一般的には、エッチング用
ガス流量を少なくし、エッチング用ガスの圧力を低く
し、電子密度を高くすることが好ましい。即ち、未解離
のハロゲン系ガス成分を出来る限り少なくすることによ
って、銅のハロゲン化が銅薄膜表面から内部へと進行す
ることを抑制することが重要である。
【0016】本発明のプラズマエッチング法において
は、基体として、基板及びその上に設けられた絶縁層を
挙げることができる。あるいは又、例えばポリイミドフ
ィルム等のプラスチックフィルム等、半導体装置の製造
分野以外の分野における材料を挙げることができる。基
体を構成する基板としては、シリコン半導体基板、Ga
As基板等の化合物半導体若しくは半絶縁性基板、SO
I構造を有する半導体基板、絶縁性基板を挙げることが
できる。また、基体を構成する絶縁層しては、Si
2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbS
G、SbSG、NSG、SOG、LTO(Low Temperat
ure Oxide、低温CVD−SiO2)、SiN、SiON
等の公知の材料、あるいはこれらの材料を積層したもの
を例示することができる。
【0017】ハロゲン系ガスとして、Cl2ガスを挙げ
ることができる。
【0018】プラズマは、ECRプラズマ法、ICP
(Inductive Coupled Plasma)プラズマ法、ヘリコン波
プラズマ法等によって生成させることができる。
【0019】尚、基体を、基板及びその上に設けられた
絶縁層から構成し、静電チャック機能を有し、且つ、温
度制御手段を備えた基体載置ステージに基体を載置した
状態で銅薄膜のプラズマエッチングを行うことが好まし
い。この場合、基体載置ステージは、セラミックス部材
の組織中にアルミニウム系材料が充填された母材と、該
母材の表面に設けられたセラミックス層とから成る複合
材料から構成されていることが望ましい。そして、基体
載置ステージを電極として用い、セラミックス層は静電
チャック機能としての機能を発揮させることが好まし
い。尚、基体載置ステージには温度制御手段が配設さ
れ、この温度制御手段はヒータから構成されていること
が好ましい。ヒータを複合材料の外部に配設してもよい
し、母材の内部に配設してもよく、後者の場合、母材の
線膨張率をα1[単位:10-6/K]としたとき、ヒー
タを構成する材料の線膨張率αH[単位:10-6/K]
は(α1−3)≦αH≦(α1+3)の関係を満足するこ
とが好ましい。ここで、ヒータを構成する材料とは、母
材と接するヒータの部分(例えば鞘管)を構成する材料
を意味する。以下においても同様である。あるいは又、
基体載置ステージには温度制御手段が配設され、この温
度制御手段を、母材の内部に配設された温度制御用熱媒
体を流す配管から構成することもでき、この場合、母材
の線膨張率をα1[単位:10-6/K]としたとき、配
管の線膨張率αP[単位:10-6/K]は(α1−3)≦
αP≦(α1+3)の関係を満足することが好ましい。
尚、一般に、線膨張率αは、物体の長さをL、0゜Cに
おける物体の長さをL0、θを温度としたとき、α=
(dL/dθ)/L0で表すことができ、単位はK
-1(1/K)であるが、本明細書では、10-6/Kを単
位として線膨張率を表現している。以下、線膨張率を説
明するとき、単位を省略して説明する場合もある。
【0020】母材の線膨張率α1とヒータを構成する材
料や配管の線膨張率αH,αPとがこれらの関係を満足す
ることによって、セラミックス層に損傷が発生すること
を効果的に防止することができる。
【0021】また、母材の線膨張率をα1[単位:10
-6/K]としたとき、セラミックス層の線膨張率α
2[単位:10-6/K]は(α1−3)≦α2≦(α1
3)の関係を満足することが好ましい。これによって、
例えば300゜C程度の高温にて使用しても、母材の線
膨張率α1とセラミックス層の線膨張率α2の差に起因し
たセラミックス層の損傷発生をほぼ確実に防止すること
が可能となる。
【0022】尚、このような母材は、例えば、(A)セ
ラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料を充填
し、以て、セラミックス部材の組織中にアルミニウム系
材料が充填された母材を作製する工程と、(B)この母
材の表面にセラミックス層を設ける工程に基づき作製す
ることができる。
【0023】この場合、母材を構成するセラミックス部
材の組成をコージエライトセラミックスとし、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(A
l)及びケイ素(Si)とし、セラミックス層を構成す
る材料をAl23やAlNとすることができる。尚、セ
ラミックス層を構成する材料には、セラミックス層の線
膨張率や電気特性を調整するために、例えば、TiO2
を添加してもよい。(α1−3)≦α2≦(α1+3)の
関係を満足するように、コージエライトセラミックスと
アルミニウム系材料との容積比を決定することが望まし
い。あるいは又、コージエライトセラミックス/アルミ
ニウム系材料の容積比を、25/75乃至75/25、
好ましくは25/75乃至50/50とすることが望ま
しい。このような容積比にすることによって、母材の線
膨張率の制御だけでなく、母材は、純粋なセラミックス
の電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近づいた値を有す
るようになる。その結果、このような母材には、電圧の
印加は勿論のこと、バイアスの印加も可能となる。更に
は、アルミニウム系材料を基準としたとき、アルミニウ
ム系材料には、ケイ素が12乃至35体積%、好ましく
は16乃至35体積%、一層好ましくは20乃至35体
積%含まれていることが、(α1−3)≦α2≦(α1
3)の関係を満足する上で望ましい。尚、実際には、コ
ージエライトセラミックスから成るセラミックス部材の
組織中に、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)が
充填され、アルミニウム(Al)中にケイ素(Si)が
含まれているわけではないが、アルミニウム系材料にお
けるアルミニウム(Al)とケイ素(Si)の容積比を
表すために、アルミニウム系材料にはケイ素が含まれて
いるという表現を用いる。以下においても同様である。
【0024】母材を構成するセラミックス部材の組成を
コージエライトセラミックスとし、母材を構成するアル
ミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)及びケイ
素(Si)とする場合、上記の工程(A)は、容器の中
に多孔質のコージエライトセラミックスを組成としたセ
ラミックス部材を配し、容器内に溶融したアルミニウム
とケイ素とを組成としたアルミニウム系材料を流し込
み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム
系材料を充填する工程から成ることが好ましい。この場
合、セラミックス部材は、例えば、金型プレス成形法、
静水圧成形法(CIP法あるいはラバープレス成形法と
も呼ばれる)、鋳込み成形法(スリップキャスティング
法とも呼ばれる)、あるいは泥漿鋳込み成形法によって
コージエライトセラミックスを成形した後、焼成(焼
結)を行うことによって得ることができる。
【0025】尚、セラミックス部材を、コージエライト
セラミックス粉末を成形した後、焼成することにより作
製することができるが、コージエライトセラミックス粉
末とコージエライトセラミックス繊維との混合物を焼成
(焼結)することにより作製することが、多孔質のセラ
ミックス部材を得る上で、また、母材作製の際にセラミ
ックス部材に損傷が発生することを防ぐ上で、好まし
い。後者の場合、焼成体(焼結体)におけるコージエラ
イトセラミックス繊維の割合は、1乃至20体積%、好
ましくは1乃至10体積%、一層好ましくは1乃至5体
積%であることが望ましい。また、コージエライトセラ
ミックス粉末の平均粒径は1乃至100μm、好ましく
は5乃至50μm、一層好ましくは5乃至10μmであ
り、コージエライトセラミックス繊維の平均直径は2乃
至10μm、好ましくは3乃至5μmであり、平均長さ
は0.1乃至10mm、好ましくは1乃至2mmである
ことが望ましい。更には、コージエライトセラミックス
粉末とコージエライトセラミックス繊維との混合物を8
00乃至1200゜C、好ましくは800乃至1100
゜Cにて焼成(焼結)することが望ましい。また、セラ
ミックス部材の空孔率は25乃至75%、好ましくは5
0乃至75%であることが望ましい。
【0026】また、容器内に溶融したアルミニウム系材
料を流し込む際のセラミックス部材の温度を500乃至
1000゜C、好ましくは700乃至800゜Cとし、
容器内に溶融したアルミニウム系材料を流し込む際のア
ルミニウム系材料の温度を700乃至1000゜C、好
ましくは750乃至900゜Cとし、高圧鋳造法にてセ
ラミックス部材中にアルミニウム系材料を充填する際に
加える絶対圧を200乃至1500kgf/cm2、好
ましくは800乃至1000kgf/cm2とすること
が望ましい。
【0027】あるいは又、母材を構成するセラミックス
部材の組成を窒化アルミニウム(AlN)とし、母材を
構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(A
l)あるいはアルミニウム(Al)とケイ素(Si)と
し、セラミックス層を構成する材料をAl23やAlN
とすることができる。尚、セラミックス層を構成する材
料には、セラミックス層の線膨張率や電気特性を調整す
るために、例えば、TiO2やYxyを添加してもよ
い。この場合、(α1−3)≦α2≦(α1+3)の関係
を満足するように、窒化アルミニウムとアルミニウム系
材料との容積比を決定することが好ましい。あるいは
又、窒化アルミニウム/アルミニウム系材料の容積比
を、40/60乃至80/20、好ましくは60/40
乃至70/30とすることが望ましい。このような容積
比にすることによって、母材の線膨張率の制御だけでな
く、母材は、純粋なセラミックスの電気伝導度や熱伝導
度よりも金属に近づいた値を有するようになり、このよ
うな母材には電圧の印加は勿論のこと、バイアスの印加
も可能となる。
【0028】母材を構成するセラミックス部材の組成を
窒化アルミニウム(AlN)とし、母材を構成するアル
ミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)とした場
合、前述の工程(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、
窒化アルミニウム粒子から成形されたセラミックス部材
に溶融したアルミニウムを組成としたアルミニウム系材
料を非加圧状態にて浸透させる工程から成ることが好ま
しい。尚、セラミックス部材は、例えば、金型プレス成
形法、静水圧成形法、鋳込み成形法、あるいは泥漿鋳込
み成形法によって成形した後、500乃至1000゜
C、好ましくは800乃至1000゜Cの温度で焼成
(焼結)を行うことによって得ることができる。この場
合、窒化アルミニウム粒子の平均粒径は10乃至100
μm、好ましくは10乃至50μm、一層好ましくは1
0乃至20μmであることが望ましい。
【0029】あるいは又、母材を構成するセラミックス
部材の組成を炭化ケイ素(SiC)とし、母材を構成す
るアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)又
はアルミニウム(Al)とケイ素(Si)とし、セラミ
ックス層を構成する材料をAl23又は窒化アルミニウ
ム(AlN)とすることができる。尚、セラミックス層
を構成する材料には、セラミックス層の線膨張率や電気
特性を調整するために、例えば、TiO2を添加しても
よい。この場合、(α1−3)≦α2≦(α1+3)を満
足するように、炭化ケイ素とアルミニウム系材料との容
積比を決定することが好ましい。あるいは又、炭化ケイ
素/アルミニウム系材料の容積比を、40/60乃至8
0/20、好ましくは60/40乃至70/30とする
ことが望ましい。このような容積比にすることによっ
て、母材の線膨張率の制御だけでなく、母材は、純粋な
セラミックスの電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近づ
いた値を有するようになり、このような母材には電圧の
印加は勿論のこと、バイアスの印加も可能となる。尚、
母材を構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウ
ム及びケイ素とする場合、アルミニウム系材料にはケイ
素が12乃至35体積%、好ましくは16乃至35体積
%、一層好ましくは20乃至35体積%含まれているこ
とが、(α1−3)≦α2≦(α1+3)を満足する上で
望ましい。
【0030】セラミックス層は、溶射法にて母材の表面
に形成されており、あるいは又、ロウ付け法にて母材の
表面に取り付けられていることが好ましい。ここで、ロ
ウ材の線膨張率[単位:10-6/K]も、母材の線膨張
率をα1[単位:10-6/K]としたとき、(α1−3)
以上、(α1+3)以下の範囲内にあることが望まし
い。
【0031】エッチング用ガスを用いたプラズマエッチ
ング法によれば、銅薄膜の異方性加工が実現できる反
面、エッチング生成物の堆積物がエッチング装置のチャ
ンバーの側壁や天板に過剰に堆積し、その結果、この堆
積物がパーティクル源となってしまい、銅薄膜の加工を
損なう原因となる虞がある。即ち、エッチング生成物
は、エッチング装置に設けられた排気部に到達する以前
に、チャンバー側壁や天板に堆積してしまう。そのた
め、エッチングを繰り返すと、チャンバー側壁や天板に
堆積したエッチング生成物が剥がれ落ち、パーティクル
源となる結果、パーティクルレベルが悪化するといった
問題が生じる虞がある。
【0032】このような場合には、エッチング装置のチ
ャンバー側壁や天板の温度を銅薄膜の温度以上に保持し
た状態で、銅薄膜のプラズマエッチングを行うことが好
ましく、銅薄膜の温度をT1゜C、チャンバー側壁や天
板の温度をT2゜Cとしたとき、T1≦T2≦(T1+20
0)、好ましくは(T1+50)≦T2≦(T1+20
0)、一層好ましくは(T1+100)≦T2≦(T1
200)の関係を満足することが望ましい。
【0033】そして、チャンバー側壁や天板は、セラミ
ックス部材の組織中にアルミニウム系材料が充填された
母材と、この母材の表面に設けられたセラミックス層と
から成る複合材料から作製されていることが好ましい。
尚、複合材料には温度制御手段が配設され、この温度制
御手段はヒータから構成されていることが好ましい。ヒ
ータを複合材料の外部に配設してもよいし、母材の内部
に配設してもよく、後者の場合、母材の線膨張率をα1
[単位:10-6/K]としたとき、ヒータを構成する材
料の線膨張率αH[単位:10-6/K]は(α1−3)≦
αH≦(α1+3)の関係を満足することが好ましい。
【0034】このような複合材料から基体載置ステージ
やチャンバー側壁、天板を作製することによって、母材
はセラミックス部材とアルミニウム系材料との中間的な
性質を有するものとなり、例えば線膨張率に関してもこ
れらの中間的な値に調整することが可能となる。それ
故、母材とセラミックス層との熱膨張に起因したセラミ
ックス層の損傷発生を回避でき、複合材料から作製され
た基体載置ステージやチャンバー側壁、天板を高温で確
実に使用することが可能となる。しかも、母材は高い熱
伝導率を有しているので、基体載置ステージによって基
体を効率良く加熱することができ、あるいは又、チャン
バー側壁や天板を効率良く加熱することが可能となる。
更には、セラミックス層が設けられているので、金属汚
染の発生防止や、例えばハロゲン系ガスから成るエッチ
ング用ガスによる複合材料の腐蝕発生を防止することが
できる。また、チャンバー側壁や天板を、セラミックス
部材の組織中にアルミニウム系材料が充填された母材
と、この母材の表面に設けられたセラミックス層とから
成る複合材料から作製すれば、エッチング生成物がチャ
ンバー側壁や天板に堆積することを防止する十分に高い
温度にチャンバー側壁や天板を保持しても、セラミック
ス層に損傷が生じること無く、チャンバー側壁や天板を
確実に所望の温度に加熱することができる。
【0035】尚、従来のエッチング装置においては、チ
ャンバー側壁は、通常、ステンレススチールやアルミニ
ウムから作製されている。そして、例えばエッチング処
理中に、これらがプラズマに直接曝されることに起因し
た金属汚染の発生防止や、ハロゲン系ガスによるチャン
バー側壁の腐蝕の発生防止のために、アルミニウムから
作製されたチャンバー側壁の表面にAl23層(アルマ
イト層)を形成している。また、ステンレススチールか
らチャンバー側壁が作製されている場合には、Al23
製のリフレクターをエッチング装置の内部のチャンバー
側壁近傍に配設している。このような状態でチャンバー
側壁の高温加熱を行うと、チャンバー側壁がアルミニウ
ムから作製されている場合、アルミニウムとAl23
線膨張率の差に起因して、チャンバー側壁の表面に形成
されたAl23層に割れ等が生じ易い。また、Al23
製のリフレクターをエッチング装置の内部のチャンバー
側壁近傍に配設した場合、エッチング装置の外側からリ
フレクターを十分に加熱することは困難である。即ち、
リフレクターに入射したエッチング生成物をリフレクタ
ーから全て離脱させるような温度までリフレクターを加
熱することは難しく、高々100゜C程度までしかリフ
レクターを加熱することができない。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0037】(実施の形態1)実施の形態1での使用に
適したヘリコン波プラズマエッチング装置20(以下、
単にエッチング装置20と略称する)の概念図を図1に
示す。エッチング装置20のチャンバー21内には、シ
リコン半導体基板40を保持・固定するための基体載置
ステージ10が配設されている。
【0038】実施の形態1における基体載置ステージ1
0の模式的な断面図を、図2の(A)に示す。この基体
載置ステージ10は複合材料11から構成されている。
複合材料11は、セラミックス部材の組織中にアルミニ
ウム系材料が充填された母材12(温度調節ジャケット
に相当する)と、この母材12の表面に設けられたセラ
ミックス層13とから成る。この基体載置ステージ10
は、静電チャック機能を有し、且つ、温度制御手段を備
えている。具体的には、誘電体層であるセラミックス層
13は静電チャック機能を有する。また、母材12の下
面には、温度制御手段として、PBNヒータ(パイロリ
ティック・ボロン・ナイトライド・パイロリティック・
グラファイト・ヒータ)から成るヒータ14が取り付け
られている。尚、基体載置ステージ10には、セラミッ
クス層13上に載置、保持された例えばシリコン半導体
基板40を押し上げるためのプッシャーピン(図示せ
ず)が埋設されている。また、このプッシャーピンに
は、プッシャーピンをセラミックス層13の頂面上に突
出させあるいは頂面下に埋没させる機構(図示せず)が
取り付けられている。
【0039】実施の形態1における複合材料11は、具
体的には、コージエライトセラミックスから成るセラミ
ックス部材の組織中に、アルミニウム(Al)及びケイ
素(Si)から成るアルミニウム系材料が充填された母
材12と、この母材12の表面(チャンバー21側の面
及び側面)に設けられたAl23から成るセラミックス
層13とから構成されている。また、アルミニウム系材
料を基準として、アルミニウム系材料にはケイ素が20
体積%含まれている。母材12の形状は円盤状である。
ここで、コージエライトセラミックスとは、MgOが約
13重量%、SiO2が約52重量%、Al23が約3
5重量%となる組成比に調整されたセラミックスであ
る。コージエライトセラミックスの線膨張率は0.1×
10-6/Kである。
【0040】セラミックス部材は、コージエライトセラ
ミックス粉末とコージエライトセラミックス繊維との混
合物の焼成体(焼結体)であり、この焼成体におけるコ
ージエライトセラミックス繊維の割合を5体積%とし
た。ここで、コージエライトセラミックス粉末の平均粒
径は10μmであり、コージエライトセラミックス繊維
の平均直径は5μmであり、平均長さは2mmである。
セラミックス部材の空孔率は約50%であり、空孔径は
約1乃至2μmである。従って、コージエライトセラミ
ックス/アルミニウム系材料の容積比は約1/1であ
る。このような構成の母材12の線膨張率は、100〜
300゜Cにおける平均値で、約10.6×10-6/K
である。即ち、α1=10.6である。また、コージエ
ライトセラミックス/アルミニウム系材料の容積比は約
1/1であるが故に、母材12は、純粋なセラミックス
の電気伝導度や熱伝導度よりも金属に近づいた値を有す
る。従って、このような母材12から作製された基体載
置ステージ10は、セラミックスのみから作製された基
体載置ステージよりも高い熱伝導性を有するし、電圧の
印加は勿論のこと、バイアスの印加も可能である。
【0041】セラミックス層13を構成する材料を、T
iO2が約2.5重量%添加されたAl23とした。厚
さ約0.2mmのセラミックス層13は、溶射法にて母
材12の表面に形成されている。このような組成のセラ
ミックス層13の線膨張率は、100〜300゜Cにお
ける平均値で、約9×10-6/Kである。従って、α2
は約9であり、セラミックス層13の線膨張率α2
(α1−3)≦α2≦(α1+3)の関係を満足してい
る。尚、Al23それ自体の線膨張率は約8×10-6
Kである。
【0042】Al23にTiO2を約2.5重量%添加
することによって、セラミックス層13の体積固有抵抗
値を1011Ω/□オーダーに調整することができる。こ
れによって、セラミックス層13は誘電体として作用
し、静電チャックとしての機能を発揮することができ
る。このように体積固有抵抗値を調整する理由は、セラ
ミックス層13が1011Ω/□オーダーを越えると、静
電チャックとして用いた場合にセラミックス層13の吸
着力が弱くなりすぎ、シリコン半導体基板40をセラミ
ックス層13に充分吸着させることが困難になる虞があ
るからである。一方、セラミックス層13が1011Ω/
□オーダーを下回ると、基体載置ステージ10を高温で
用いた際、セラミックス層13の抵抗値が更に低くな
り、シリコン半導体基板40とセラミックス層13との
界面で電流が生じる虞がある。尚、使用条件によるが、
一般的には、TiO2を0〜約10重量%添加すること
によって、セラミックス層の体積固有抵抗値を1011
1016Ω/□とすることが望ましい。
【0043】複合材料11によって構成される基体載置
ステージ10の作製方法を、以下、説明する。複合材料
11は、(A)セラミックス部材の組織中にアルミニウ
ム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の組織中に
アルミニウム系材料が充填された母材を作製する工程
と、(B)母材の表面にセラミックス層を設ける工程か
ら作製される。具体的には、この工程(A)は、容器の
中に多孔質のコージエライトセラミックスを組成とした
セラミックス部材を配し、容器内に溶融したアルミニウ
ムとケイ素とを組成としたアルミニウム系材料を流し込
み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニウム
系材料を充填する工程から成る。
【0044】多孔質のコージエライトセラミックスを組
成としたセラミックス部材は、セラミックス部材を作製
する際の焼結過程において多孔質化される。実施の形態
1においては、多孔質のコージエライトセラミックスと
して、コージエライトセラミックス粉体とコージエライ
トセラミックス繊維とを焼結して得られる焼結体である
多孔質のコージエライトセラミックス・ファイバーボー
ド(以下、ファイバーボードと略称する)を用いた。一
般的な粉体焼結セラミックスが約1200゜Cで高温焼
結されるのに対して、ファイバーボードは約800゜C
で低温焼結されたものであり、コージエライトセラミッ
クス繊維の周りにコージエライトセラミックス粉体がバ
インダーを介して密着するように焼結され、多孔質化さ
れている。従って、例えば、コージエライトセラミック
ス粉体とコージエライトセラミックス繊維との容積比を
変えることによって、得られる多孔質のコージエライト
セラミックスを組成としたセラミックス部材の空孔率や
空孔径を調整することが可能である。
【0045】基体載置ステージ10を作製するには、先
ず、所定の円盤形状に成形されたファイバーボードを用
意する。そして、容器(鋳型)の底部にファイバーボー
ドを配置する。尚、ファイバーボードには、プッシャー
ピン等を埋設するための孔を予め加工しておく。
【0046】次いで、ファイバーボードから成るセラミ
ックス部材を約800゜Cに予備加熱しておき、続い
て、容器(鋳型)内に約800〜850゜Cに加熱して
溶融状態としたアルミニウム系材料(Al80体積%−
Si20体積%)を流し込む。そして、容器(鋳型)内
に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造法を実行す
る。その結果、多孔質のファイバーボードには、即ち、
セラミックス部材の組織中には、アルミニウム系材料が
充填される。そして、アルミニウム系材料を冷却・固化
させることによって、母材12が作製される。
【0047】次に、母材12の上面、即ち、ヒータ側の
頂面、及び側面を研磨する。その後、この研磨面に、A
23にTiO2を約2.5重量%混合した粒径が約1
0μmの混合粉末を真空溶射法によって溶融状態で吹き
付け、固化させる。これによって、体積固有抵抗値が1
11Ω/□オーダーの厚さ約0.2mmのセラミックス
層13を溶射法にて形成することができる。尚、セラミ
ックス層13の形成の前に、溶射下地層として例えばア
ルミニウムを約5重量%含んだニッケル(Ni−5重量
%Al)を溶射しておき、この溶射下地層上にセラミッ
クス層13を溶射法にて形成してもよい。その後、母材
12の下面、即ちセラミックス層13が設けられた面と
反対側の面にPBNヒータから成るヒータ14を取り付
け、基体載置ステージ10を得る。
【0048】このようにして得られた基体載置ステージ
10は、多孔質のコージエライトセラミックス・ファイ
バーボードから成るセラミックス部材にAl80体積%
−Si20体積%のアルミニウム系材料を充填して得ら
れた母材(温度調節ジャケット)12によって構成され
ており、母材12の線膨張率α1はセラミックス層13
の線膨張率α2に近い値となっている。従って、基体載
置ステージ10の加熱・冷却による母材12とセラミッ
クス層13の伸縮の度合いは殆ど同じである。それ故、
これらの材料間の線膨張率α1,α2の差に起因して、高
温加熱時や、高温から常温に基体載置ステージ10を戻
したときに、セラミックス層13に割れ等の損傷が発生
することを確実に回避することができる。
【0049】また、基体載置ステージ10の作製方法に
あっては、特に、多孔質のコージエライトセラミックス
・ファイバーボードを用いているが、高圧鋳造時にアル
ミニウム系材料がその空孔内に入り込む際の衝撃にファ
イバーボードは耐え得る。その結果、ファイバーボード
に割れが生じることを抑制することができる。即ち、通
常の粉末焼結法によって得られる多孔質のコージエライ
トセラミックスから成るセラミックス部材においては、
高圧鋳造時に割れが起こり易い。然るに、多孔質のコー
ジエライトセラミックス・ファイバーボードを用いるこ
とによって、高圧鋳造時におけるセラミックス部材の割
れ発生を抑えることができる。
【0050】そして、高圧鋳造時にファイバーボードに
割れ等が発生することを回避できるので、母材の表面に
設けられたセラミックス層にクラック等の損傷が生じる
ことを一層確実に防止することができる。即ち、ファイ
バーボードに割れが発生したとしても、ファイバーボー
ドから成るセラミックス部材の組織中にアルミニウム系
材料を充填したとき、アルミニウム系材料が一種の接着
材として働く結果、母材を得ることはできる。しかしな
がら、このようにして得られた母材においては、ファイ
バーボードに発生した割れ等の隙間にアルミニウム系材
料から成る層が形成されてしまう。その結果、母材の表
面に設けられたセラミックス層が、基体載置ステージ1
0の使用時、温度変化に追従できなくなり、セラミック
ス層に割れが生じ易くなる。つまり、セラミックス層
は、粒径が約10μmの混合粉末が溶射されそして母材
と同化されているので、ファイバーボードにおける1〜
2μmの空孔内に充填されたアルミニウム系材料そのも
のの熱膨張からは殆ど影響を受けない。しかしながら、
ファイバーボードの割れた部分の隙間に存在するアルミ
ニウム系材料から成る層は、セラミックス層を形成する
粒子の径より大きい長さや幅を有する。従って、アルミ
ニウム系材料から成るかかる層の熱膨張によるセラミッ
クス層への影響は無視できないものとなり、セラミック
ス層13に割れが発生する確率が高くなる。
【0051】また、セラミックス層を母材上に溶射法に
て形成するので、母材12とセラミックス層13とがよ
り一層一体化する。これによって、母材12とセラミッ
クス層13との間の応力緩和が図れると共に、母材12
からセラミックス層13への熱伝導が速やかとなり、基
体載置ステージ10を構成するセラミックス層13に保
持・固定された基体(あるいは銅薄膜)の温度制御を迅
速に且つ確実に行うことが可能となる。
【0052】尚、図2の(B)の模式的な断面図に示す
ように、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法によ
って母材12の表面(必要に応じて、更に側面)に設け
てもよい。この場合には、焼結法にて作製されたAl2
3製セラミックス板から成るセラミックス層16を、
例えば、約600゜Cの温度にてAl−Mg−Ge系の
ロウ材17を用いたロウ付け法にて母材12の表面に取
り付ければよい。尚、ロウ材としては、その他、チタ
ン、錫、アンチモン、マグネシウムから成る合金を挙げ
ることができる。必要に応じて、基体載置ステージ10
の側面にセラミックス材料から成る環状のカバーを取り
付けてもよい。
【0053】このような基体載置ステージ10を組み込
んだ実施の形態1のエッチング装置20は、更に、チャ
ンバー21と、RFアンテナ26と、マルチポール磁石
24を備えている。尚、このエッチング装置20におい
ては、プラズマエッチングすべき銅薄膜がシリコン半導
体基板40上に設けられた絶縁層上に形成されている場
合を例にとり説明する。
【0054】2つのRFアンテナ26は、チャンバー2
1の上部に設けられた直径350mmの円筒状石英菅か
ら成るベルジャー(チャンバー側壁)23の外側を周回
して配設され、M=1モードのプラズマを生成するアン
テナ形状を有し、マッチングネットワーク27を介して
ヘリコン波プラズマ発生源28に接続されている。これ
らのRFアンテナ26の外側には、内周コイルと外周コ
イルとから構成されたソレノイドコイル・アッセンブリ
25が配設されている。このソレノイドコイル・アッセ
ンブリ25のうち、内周コイルはヘリコン波の伝搬に寄
与し、外周コイルは生成したプラズマの輸送に寄与す
る。マルチポール磁石24は、チャンバー21の下部外
側に設けられており、エレクトロンがチャンバー21の
側壁にて消失することを抑制するためのカスプ磁場を形
成する。尚、参照番号22は、チャンバー21の天板で
ある。
【0055】チャンバー21内には、シリコン半導体基
板40を保持・固定するための基体載置ステージ10
(図2の(A)参照)が配設されている。更に、チャン
バー21内のガスを排気するための排気口29が、真空
ポンプ等の負圧手段(図示せず)に接続されている。基
体載置ステージ10には、シリコン半導体基板40への
入射イオンエネルギーを制御するためのバイアス電源3
1が接続され、更には、誘電体部材であるセラミックス
層13に静電吸着力を発揮させるための直流電源32が
接続されている。また、基体載置ステージ10のヒータ
14は、電源33に接続されている。更には、シリコン
半導体基板40の温度を計測するための蛍光ファイバ温
度計35が、エッチング装置20には備えられている。
尚、基体載置ステージ10の温度制御は、蛍光ファイバ
温度計35で検知された温度を制御装置(PIDコント
ローラ)34で検出し、ヒータ14へ電力を供給するた
めの電源33を制御することによって行うことができ
る。尚、図1において、エッチングガス導入部、ゲート
バルブ等のエッチング装置の細部については、その図示
を省略した。
【0056】次に、エッチング装置20を用いたプラズ
マエッチング法を、図3の(A)及び(B)を参照して
説明する。
【0057】先ず、シリコン半導体基板40の上に形成
されたSiO2から成る下地絶縁層41の上に、銅薄膜
を形成する。具体的には、先ず、シリコン半導体基板4
0の上に公知のCVD法で形成された下地絶縁層41の
上に、密着層としてTiN膜42をスパッタ法によって
形成した。続いて、TiN膜42の上にスパッタ法によ
って銅薄膜43を形成し、更にその上にSiN膜を形成
し、更に公知のリソグラフィ技術及びエッチング技術に
よってこのSiN膜をパターニングし、SiN膜から成
るマスクパターン44を形成した。この状態を、図3の
(A)の模式的な一部断面図に示す。
【0058】次いで、マスクパターン44を形成したシ
リコン半導体基板40を図1に示したエッチング装置2
0内の基体載置ステージ10上に載置し、セラミックス
層13に静電吸着力を発揮させてシリコン半導体基板4
0を基体載置ステージ10上に保持・固定した。そし
て、ヒータ14の作動によって基体載置ステージ10の
温度制御を行い、銅薄膜43を含むシリコン半導体基板
40を以下の表1に示す設定温度に調整した。
【0059】そして、マスクパターン44をエッチング
用マスクとして、以下の表1に示す条件にて、銅薄膜4
3及びTiN膜42に対してプラズマエッチング処理を
行い、銅薄膜43から構成された配線を得た。この状態
を、図3の(B)の模式的な一部断面図に示す。また、
比較のために、エッチング用ガスの圧力及びヘリコン波
プラズマ発生源28からのソースパワーを変えた試験を
行った。尚、全ての試験において、エッチング用ガスと
してCl2を使用し、流量を10sccmとした。ま
た、RFバイアスを300Wとした。
【0060】
【表1】 圧力 発生源28からのパワー 基板温度 (RFアンテナ26) (13.56MHz) 単 位 (Pa) (kW) (゜C) 実施の形態1(A) 0.1 1.5 230 比較例1 1 1.5 230 実施の形態1(B) 0.5 2.5 250 比較例2 0.5 0.5 250
【0061】表1に示した実施の形態1(A)及び比較
例1の条件における電子密度は1010/cm3オーダー
である。また、実施の形態1(B)の条件における電子
密度は1011/cm3オーダーであり、比較例2の条件
における電子密度は109/cm3オーダーである。
【0062】プラズマエッチング処理においては、プラ
ズマの発生によって銅薄膜43(更にはシリコン半導体
基板40)に大きな入熱がある。しかしながら、蛍光フ
ァイバ温度計35で検知された温度を制御装置(PID
コントローラ)34で検出し、この検出値に基づいてヒ
ータ14を制御することによって、シリコン半導体基板
40の温度を設定温度(表1の基板温度)に維持した。
このように、銅薄膜43を含むシリコン半導体基板40
の温度を高精度で安定させることができたため、実施の
形態1(A)及び実施の形態1(B)においては、Cl
2ガスの解離が十分に進み、豊富な活性種と銅との反応
が速やかに進行し、エッチング用ガスとしてCl2を用
いて良好な異方性形状を有する配線を形成することがで
き、銅薄膜43の異方性加工を良好に行うことができ
た。また、エッチング生成物である銅−ハロゲン化合物
の銅薄膜表面からの脱離が銅−ハロゲン化合物の生成を
上回り、難エッチング層の生成は全く認められなかっ
た。
【0063】一方、圧力を1Paとした比較例1のプラ
ズマエッチング条件においては、エッチング用ガスのチ
ャンバー21内での滞留時間が、圧力を0.1Paとし
た実施の形態1(A)のプラズマエッチング条件よりも
約10倍長く、未解離の塩素ガスと銅とが反応し、Cu
ClX層が銅薄膜表面から内部へと形成され、エッチン
グ開始直後からエッチングが進行しなくなった。また、
ヘリコン波プラズマ発生源28からのソースパワーを
0.5kWとした比較例2においては、即ち、電子密度
が1010/cm3を下回るプラズマエッチング条件にあ
っては、未解離の塩素ガスと銅とが反応し、CuClX
層が銅薄膜表面から内部へと形成され、エッチング開始
直後からエッチングが進行しなくなった。
【0064】(実施の形態2)実施の形態2での使用に
適したヘリコン波プラズマエッチング装置20Aの概念
図を図4に示す。実施の形態2においては、基体載置ス
テージ10Aの模式的な断面図を図5の(A)に示すよ
うに、温度制御手段を、母材12Aの内部に配設された
ヒータ14A、及び母材12Aの内部に配設された温度
制御用熱媒体を流す配管15Aから構成した。ヒータ1
4Aとして、母材12Aの面積(底面積)に応じた大型
で大容量のシーズヒータを使用した。ヒータ14Aは、
ヒータ本体(図示せず)と、ヒータ本体の外側に配設さ
れそしてヒータ本体を保護する鞘管(図示せず)から構
成された公知のヒータである。ヒータ14Aは、配線を
介して電源33(図4参照)に接続されている。ヒータ
14Aの熱膨張は、基体載置ステージ10Aに影響を与
える。従って、母材12Aやセラミックス層13Aの線
膨張率α1,α2に近い値を有する材料を用いることが好
ましい。具体的には、チタンやステンレススチール等、
線膨張率が9×10-6/K〜12×10-6/Kの材料か
ら作製された鞘管を用いることが好ましい。即ち、ヒー
タ14Aを構成する材料(母材12Aと接する鞘管の材
料)の線膨張率αH[単位:10-6/K]は、(α1
3)≦αH≦(α1+3)の関係を満足することが好まし
い。尚、ヒータ14Aの本体の線膨張率は、基体載置ス
テージ10Aに影響を与えることがないので、特に制限
されない。
【0065】基体載置ステージ10Aの母材12A内に
配設された配管15Aは、配管36A,36Bを介して
温度制御用熱媒体供給装置38(図4参照)に接続され
ている。そして、金属あるいは合金から作製されてい
る。温度制御用熱媒体供給装置38から供給された温度
制御用熱媒体を基体載置ステージ10A内の配管15A
に流すことによって、基体載置ステージ10Aの温度制
御を行うことができる。配管15Aの熱膨張も、基体載
置ステージ10Aに影響を与える。従って、母材12A
やセラミックス層13Aの線膨張率α1,α2に近い値を
有する材料を用いることが好ましい。具体的には、チタ
ンやステンレススチール等、線膨張率が9×10-6/K
〜12×10-6/Kの材料から作製された配管15Aを
用いることが好ましい。即ち、配管15Aを構成する材
料の線膨張率αP[単位:10-6/K]は、(α1−3)
≦αP≦(α1+3)の関係を満足することが好ましい。
【0066】温度制御用熱媒体供給装置38は、例え
ば、フロンガス等の低温(例えば0゜C)の温度制御用
熱媒体(冷媒)を供給するチラーから構成されている。
そして、温度制御用熱媒体供給装置38は、フロンガス
等の低温(例えば0゜C)の温度制御用熱媒体(冷媒)
(場合によってはシリコンオイル等の温度制御用熱媒
体)を、配管36Aを介して基体載置ステージ10Aの
配管15Aに供給し、配管36Bを介して配管15Aか
ら送り出された温度制御用熱媒体を受け入れ、更に、こ
の温度制御用熱媒体を所定温度に冷却する。このよう
に、温度制御用熱媒体を配管15A内に循環させること
によって、基体載置ステージ10A上に保持・固定され
た基体の温度制御を行うことができる。温度制御用熱媒
体供給装置38に接続された配管36Aには、高温での
動作が可能な制御バルブ37が配設されている。一方、
配管36Aと配管36Bとの間のバイパス配管36Cに
も制御バルブ37が配設されている。そして、このよう
な構成のもと、制御バルブ37の開閉度を制御すること
によって、配管15Aへの温度制御用熱媒体の供給量を
制御する。また、蛍光ファイバ温度計35で検知された
温度を制御装置(PIDコントローラ)34で検出し、
予め設定された基体の温度との差から、予め実験や計算
によって決定された供給量となるように、温度制御用熱
媒体の供給量が制御装置34によって決定される。
【0067】図5の(A)に示した基体載置ステージ1
0Aにおいては、基体の設定温度にも依るが、通常は、
ヒータ14Aによる加熱によって主たる温度制御がなさ
れる。そして、温度制御用熱媒体による基体載置ステー
ジ10Aの温度制御は、基体の温度安定のための補助的
な温度制御である。即ち、プラズマエッチング処理を行
った場合、プラズマからの入熱を銅薄膜43、更にはシ
リコン半導体基板40が受ける結果、ヒータ14Aによ
る加熱だけでは銅薄膜43を設定温度に維持しておくこ
とが困難となる場合がある。このような場合、ヒータ1
4Aの加熱に加えて、銅薄膜43を設定温度に保つべく
プラズマからの入熱を相殺するように設定温度より低い
温度(例えば0゜C)の温度制御用熱媒体を配管15A
に流す。これによって、銅薄膜43を一層確実に設定温
度に安定させることができる。
【0068】複合材料11Aによって構成される基体載
置ステージ10Aの作製方法を、以下、説明する。複合
材料11Aも、(A)セラミックス部材の組織中にアル
ミニウム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の組
織中にアルミニウム系材料が充填された母材を作製する
工程と、(B)母材の表面にセラミックス層を設ける工
程から作製される。具体的には、この工程(A)は、容
器の中に多孔質のコージエライトセラミックスを組成と
したセラミックス部材を配し、容器内に溶融したアルミ
ニウムとケイ素とを組成としたアルミニウム系材料を流
し込み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にアルミニ
ウム系材料を充填する工程から成る。
【0069】基体載置ステージ10Aを作製するには、
先ず、所定の円盤形状に成形された第1のファイバーボ
ードを用意する。尚、第1のファイバーボードには、ヒ
ータ14Aを配設するための溝を加工しておく。また、
第1のファイバーボードとは別の第2のファイバーボー
ドを用意する。この第2のファイバーボードには、配管
15Aを配設するための溝を加工しておく。そして、容
器(鋳型)の底部に第1のファイバーボードを配し、更
に、第1のファイバーボードに設けられた溝内にヒータ
14Aを配置する。次に、第1のファイバーボード上に
第2のファイバーボードを乗せ、第2のファイバーボー
ドに設けられた溝内に配管15Aを配置する。そして、
更に、この第2のファイバーボード上に第3のファイバ
ーボードを乗せる。尚、これらのファイバーボードに
は、プッシャーピン等を埋設するための孔を予め加工し
ておく。
【0070】次いで、これらのファイバーボードから成
るセラミックス部材を約800゜Cに予備加熱してお
き、続いて、容器(鋳型)内に約800〜850゜Cに
加熱して溶融状態としたアルミニウム系材料(Al80
体積%−Si20体積%)を流し込む。そして、容器
(鋳型)内に約1トン/cm2の高圧を加える高圧鋳造
法を実行する。その結果、多孔質のファイバーボードに
は、即ち、セラミックス部材の組織中には、アルミニウ
ム系材料が充填される。そして、アルミニウム系材料を
冷却・固化させることによって、母材12Aが作製され
る。
【0071】次に、母材12Aの上面、即ち、ヒータ側
の面を研磨する。その後、この研磨面に、Al23にT
iO2を約2.5重量%混合した粒径が約10μmの混
合粉末を真空溶射法によって溶融状態で吹き付け、固化
させる。
【0072】この基体載置ステージ10Aを用いたプラ
ズマエッチング法は、実施の形態1にて説明した方法と
実質的には同様とすることができるので、詳細な説明は
省略する。
【0073】尚、図5の(B)の模式的な断面図に示す
ように、基体載置ステージ10Bにおいては、セラミッ
クス層を溶射法でなくロウ付け法によって母材12Aの
表面に設けている。この場合には、焼結法にて作製され
たAl23製セラミックス板から成るセラミックス層1
6Aを、例えば、約600゜Cの温度にてAl−Mg−
Ge系のロウ材17Aを用いたロウ付け法にて母材12
Aの表面に取り付ければよい。必要に応じて、基体載置
ステージ10Bの側面にセラミックス材料から成る環状
のカバーを取り付けてもよい。また、場合によっては、
図5の(C)の模式的な断面図に示す基体載置ステージ
10Cのように、配管15Aを省略してもよいし、ヒー
タ14Aを省略して配管15Aのみとしてもよい。更に
は、ヒータを母材12Aに埋設する代わりに、母材の下
面に取り付けてもよい。
【0074】(実施の形態3)実施の形態3も、実施の
形態1の変形である。実施の形態3が実施の形態1と相
違する点は、複合材料における母材を構成するセラミッ
クス部材の組成を窒化アルミニウム(TiN)とし、母
材を構成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム
(Al)とした点にある。尚、実施の形態3における基
体載置ステージ10の構造は、図1の(A)に模式的な
断面図を示したと同様である。
【0075】実施の形態3においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成を窒化アルミニウム(Al
N)とした。尚、窒化アルミニウムの線膨張率は5.1
×10-6/Kであり、熱伝導率は0.235cal/c
m・秒・Kである。また、母材を構成するアルミニウム
系材料の組成をアルミニウム(Al)とした。(α
3)≦α≦(α1+3)の関係を満足するように窒化
アルミニウムとアルミニウムとの容積比は決定されてお
り、具体的には、窒化アルミニウム/アルミニウムの容
積比は70/30である。尚、母材12の線膨張率は、
100〜300゜Cにおける平均値で8.7×10-6
Kである。即ち、α1は8.7である。セラミックス層
13を構成する材料を、TiO2が約2.5重量%添加
されたAl23とした。セラミックス層13は、溶射法
にて母材12の表面に形成されている。Al23にTi
2を添加することによって、その線膨張率は、100
〜300゜Cにおける平均値で約9×10-6/K(α2
=約9)となり、母材12の線膨張率α1とほぼ同じ値
となる。これによって、母材12の高温加熱などによる
温度変化によってもセラミックス層13に割れ等の損傷
が発生することを効果的に防止し得る。また、Al23
にTiO2を添加することにより、セラミックス層13
の体積固有抵抗値を1011Ω/□のオーダーに調整する
ことができる。これによって、セラミックス層13が静
電チャックとしての機能を効果的に発揮する。即ち、基
体載置ステージ10の母材12に配線(図示せず)を介
して直流電圧を電源から印加すれば、母材12を電極と
して用いることができ、セラミックス層13が静電チャ
ックとして機能する。尚、この基体載置ステージ10に
は、セラミックス層13上に載置・保持された例えばシ
リコン半導体基板を押し上げるためのプッシャーピン
(図示せず)が埋設されている。また、このプッシャー
ピンには、プッシャーピンをセラミックス層13の頂面
上に突出させあるいは頂面下に埋没させる機構(図示せ
ず)が取り付けられている。
【0076】実施の形態3におけるヒータ14も、約4
00゜Cまでの加熱が可能なPBNヒータである。ヒー
タ14を母材12の外側表面に取り付けることにより、
母材12を常温から約400゜Cまでの範囲内で温度制
御することが可能となる。
【0077】複合材料11によって構成される基体載置
ステージ10の作製方法を、以下、説明する。複合材料
11は、基本的には、実施の形態1と同様に、(A)セ
ラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料を充填
し、以て、セラミックス部材の組織中にアルミニウム系
材料が充填された母材を作製する工程と、(B)母材の
表面にセラミックス層を設ける工程から作製される。実
施の形態3においては、この工程(A)は、非加圧金属
浸透法に基づき、窒化アルミニウム粒子から成形された
セラミックス部材に溶融したアルミニウムを組成とした
アルミニウム系材料を非加圧状態にて浸透させる工程か
ら成る。
【0078】具体的には、平均粒径10μmのAlN粒
子を泥漿鋳込み成形法にて成形した後、約1000゜C
の温度で焼成(焼結)を行うことによって、AlN粒子
を成形したプリフォームであるセラミックス部材を作製
した。そして、このセラミックス部材を約800゜Cに
予備加熱しておき、約800゜Cに加熱して溶融したア
ルミニウムを非加圧でセラミックス部材に浸透させる。
これによって、AlN70体積%−Al体積30%の構
成の母材12を作製することができる。次いで、母材1
2を成形加工して円盤状とする。次いで、このようにし
て得られた母材12の頂面及び側面を研磨する。その
後、この研磨面に、Al23にTiO2を約2.5重量
%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真空溶射法に
よって溶融状態で吹き付け、固化させる。その後、母材
12の下面、即ちセラミックス層13が設けられた面と
反対側の面にPBNヒータから成るヒータ14を取り付
け、基体載置ステージ10を得る。尚、セラミックス層
13の形成の前に、溶射下地層として例えばアルミニウ
ムを約5重量%含んだニッケル(Ni−5重量%Al)
を溶射しておき、この溶射下地層上にセラミックス層1
3を溶射法にて形成してもよい。
【0079】このようにして作製された基体載置ステー
ジ10にあっては、セラミックス層13の線膨張率α2
が母材12の線膨張率α1とほぼ同じ値となっている。
それ故、母材12の高温加熱などによる温度変化によっ
ても、セラミックス層13に割れ等の損傷は発生しな
い。また、窒化アルミニウムとアルミニウムとの容積比
を調整することによって、更には、必要に応じて、Al
23から成るセラミックス層13におけるTiO2の添
加率を調整することによって、母材12の線膨張率α1
とセラミックス層13の線膨張率α2を、(α1−3)≦
α2≦(α1+3)の関係を満足する関係とすることがで
きる。その結果、基体載置ステージ10の温度変化に起
因するセラミックス層13の割れ等の損傷発生を、効果
的に防止することができる。
【0080】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、母材12とセラミックス層1
3とがより一層一体化する。これによって、母材12と
セラミックス層13との間の応力緩和が図れると共に、
母材12からセラミックス層13への熱伝導が速やかと
なる。
【0081】複合材料11によって構成される基体載置
ステージ10を備えた実施の形態3のエッチング装置
は、実施の形態1にて説明したプラズマエッチング装置
と同様とすることができるので、詳細な説明は省略す
る。また、実施の形態3におけるプラズマエッチング法
は、実質的には、実施の形態1にて説明したプラズマエ
ッチング法と同様とすることができるので、詳細な説明
は省略する。尚、基体載置ステージ10の温度制御は、
蛍光ファイバ温度計35で検知された温度を制御装置
(PIDコントローラ)34で検出し、ヒータ14へ電
力を供給するための電源33を制御することによって行
うことができる。
【0082】図2の(B)の模式的な断面図に示したと
同様に、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法によ
って母材12の表面(必要に応じて、更に側面)に設け
てもよい。この場合には、焼結法にて作製されたAl2
3製セラミックス板から成るセラミックス層16を、
例えば、約600゜Cの温度にてAl−Mg−Ge系の
ロウ材17を用いたロウ付け法にて母材12の表面に取
り付ければよい。必要に応じて、基体載置ステージ10
の側面にセラミックス材料から成る環状のカバーを取り
付けてもよい。あるいは又、実施の形態2における基体
載置ステージと同様の温度制御手段とすることもでき
る。
【0083】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウムとしたが、その代わりに、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及びケ
イ素(例えば、Al80体積%−Si20体積%)とす
ることができる。アルミニウム系材料の組成をアルミニ
ウム及びケイ素とすることによって、母材の線膨張率を
α1を制御することが可能となり、一層セラミックス層
の線膨張率α2との差を小さくすることが可能となる。
また、セラミックス層をAl23から構成する代わり
に、窒化アルミニウム(AlN)から構成してもよい。
【0084】(実施の形態4)実施の形態4も実施の形
態1の変形である。実施の形態4が実施の形態1と相違
する点は、複合材料における母材を構成するセラミック
ス部材の組成を炭化ケイ素(SiC)とし、母材を構成
するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム(Al)
とした点にある。
【0085】実施の形態4における基体載置ステージ1
0の構造は、図2の(A)に模式的な断面図を示したと
同様である。
【0086】実施の形態4においては、母材12を構成
するセラミックス部材の組成を炭化ケイ素(SiC)と
した。尚、炭化ケイ素の線膨張率は4×10-6/Kであ
り、熱伝導率は0.358cal/cm・秒・K(15
0W/m・K)である。また、母材を構成するアルミニ
ウム系材料の組成をアルミニウム(Al)とした。(α
1−3)≦α2≦(α1+3)を満足するように炭化ケイ
素とアルミニウムとの容積比は決定されており、具体的
には、炭化ケイ素/アルミニウムの容積比は70/30
である。尚、母材12の線膨張率は、100〜300゜
Cにおける平均値で、6.2×10-6/Kである。即
ち、α1=6.2である。セラミックス層13を構成す
る材料を、TiO2が約1.5重量%添加されたAl2
3とした。セラミックス層13は、溶射法にて母材12
の頂面及び側面に形成されている。Al23は本来その
線膨張率が約8×10-6/Kであるが、Al23にTi
2を添加することによって、その線膨張率は、100
〜300゜Cにおける平均値で、約8〜9×10-6/K
(α2は約8〜9)となり、母材12の線膨張率α1とセ
ラミックス層13の線膨張率α2の関係は、(α1−3)
≦α2≦(α1+3)を満足する。これによって、母材1
2の高温加熱などによる温度変化によってもセラミック
ス層13に割れ等の損傷が発生することを効果的に防止
し得る。また、Al23にTiO2を添加することによ
り、セラミックス層13の体積固有抵抗値を1011Ω/
□のオーダーに調整することができる。これによって、
セラミックス層13が静電チャックとしての機能を効果
的に発揮する。
【0087】ヒータ14は、実施の形態1と同様に、P
BNヒータである。ヒータ14を母材12である温度調
節ジャケットの裏面に取り付けることにより、母材12
を常温から約400゜Cまでの範囲内で温度制御するこ
とが可能となる。あるいは又、実施の形態2における基
体載置ステージと同様の温度制御手段とすることもでき
る。そして、基体載置ステージ10の母材12に配線
(図示せず)を介して直流電圧を印加すれば、母材12
を電極として用いることができ、セラミックス層13が
静電チャックとして機能する。尚、この基体載置ステー
ジ10には、セラミックス層13上に載置、保持された
例えばシリコン半導体基板を押し上げるためのプッシャ
ーピン(図示せず)が埋設されている。また、このプッ
シャーピンには、プッシャーピンをセラミックス層13
の頂面上に突出させあるいは頂面下に埋没させる機構
(図示せず)が取り付けられている。
【0088】基体載置ステージ10の作製方法を、以
下、説明する。複合材料11は、基本的には、実施の形
態1と同様に、(A)セラミックス部材の組織中にアル
ミニウム系材料を充填し、以て、セラミックス部材の組
織中にアルミニウム系材料が充填された母材を作製する
工程と、(B)母材の表面にセラミックス層を設ける工
程から作製される。実施の形態4においては、この工程
(A)は、非加圧金属浸透法に基づき、炭化ケイ素粒子
から成形されたセラミックス部材に溶融したアルミニウ
ムを組成としたアルミニウム系材料を非加圧状態にて浸
透させる工程から成る。
【0089】具体的には、平均粒径15μmのSiC粒
子と平均粒径60μmのSiC粒子とを容積比で1:4
にて混合したものを鋳込み泥漿成形法にて成形した後、
約800゜Cの温度で焼成を行うことによって、SiC
粒子を成形したプリフォームであるセラミックス部材を
作製した。そして、このセラミックス部材を約800゜
Cに予備加熱しておき、約800゜Cに加熱して溶融し
たアルミニウムを非加圧でセラミックス部材に浸透させ
る。これによって、SiC70体積%−Al30体積%
の構成の母材12を作製することができる。次いで、母
材12を成形加工して円盤状の温度調節ジャケットの形
状とする。尚、この母材12には、プッシャーピン等を
埋設するための孔も予め加工しておく。次いで、このよ
うにして得られた母材12の頂面及び側面を研磨する。
その後、この研磨面に、Al23にTiO2を約1.5
重量%混合した粒径が約10μmの混合粉末を真空溶射
法によって溶融状態で吹き付け、固化させる。これによ
って、体積固有抵抗値が1011Ω/□オーダーの厚さ約
0.2mmのセラミックス層13を形成することができ
る。その後、母材12の底面、即ちセラミックス層13
が設けられた頂面と反対側の面にPBNヒータから成る
ヒータ14を取り付け、基体載置ステージ10を得る。
尚、セラミックス層13の形成の前に、溶射下地層とし
て例えばアルミニウムを約5重量%含んだニッケル(N
i−5重量%Al)を溶射しておき、この溶射下地層上
にセラミックス層13を溶射法にて形成してもよい。
【0090】尚、基体載置ステージ10の作製方法は、
上述の方法に限定されない。上述の工程(A)を、実施
の形態1と同様に、容器(鋳型)の中に炭化ケイ素を組
成としたセラミックス部材を配し、この容器(鋳型)内
に溶融したアルミニウムを組成としたアルミニウム系材
料を流し込み、高圧鋳造法にてセラミックス部材中にア
ルミニウム系材料を充填する工程から構成することもで
きる。即ち、基体載置ステージ10を作製するには、先
ず、所定の円盤形状に成形されたSiCから成るプリフ
ォームを用意する。尚、プリフォームには、プッシャー
ピン等を埋設するための孔を予め加工しておく。次い
で、プリフォームから成るセラミックス部材を約800
゜Cに予備加熱しておき、続いて、容器(鋳型)内に約
800゜Cに加熱して溶融状態としたアルミニウムを流
し込む。そして、容器(鋳型)内に約1トン/cm2
高圧を加える高圧鋳造法を実行する。その結果、セラミ
ックス部材の組織中には、アルミニウムが充填される。
そして、アルミニウムを冷却・固化させることによっ
て、母材12が作製される。以下、先に述べたと同様の
方法で基体載置ステージ10を作製すればよい。
【0091】このようにして作製された基体載置ステー
ジ10にあっては、母材12の高温加熱などによる温度
変化によっても、セラミックス層13に割れ等の損傷は
発生しない。また、炭化ケイ素とアルミニウム系材料と
の容積比を調整することによって、更には、必要に応じ
て、Al23から成るセラミックス層13におけるTi
2の添加率を調整することによって、母材12の線膨
張率α1とセラミックス層13の線膨張率α2を、(α1
−3)≦α2≦(α1+3)を満足する関係とすることが
できる。その結果、基体載置ステージ10の温度変化に
起因するセラミックス層13の割れ等の損傷発生を、効
果的に防止することができる。
【0092】また、セラミックス層13を母材12上に
溶射法にて形成するので、母材12とセラミックス層1
3とがより一層一体化する。これによって、母材12と
セラミックス層13との間の応力緩和が図れると共に、
母材12からセラミックス層13への熱伝導が速やかと
なり、セラミックス層13に保持・固定された基体(例
えばシリコン半導体基板)の温度制御を迅速に且つ確実
に行うことが可能となる。
【0093】図2の(B)の模式的な断面図に示すよう
に、セラミックス層を溶射法でなくロウ付け法によって
母材12の頂面(必要に応じて、更に側面)に設けても
よい。この場合には、焼結法にて作製されたAl23
セラミックス板から成るセラミックス層16を、例え
ば、約600゜Cの温度にてAl−Mg−Ge系のロウ
材17を用いたロウ付け法にて母材の頂面に取り付けれ
ばよい。
【0094】尚、母材を構成するアルミニウム系材料の
組成をアルミニウムとしたが、その代わりに、母材を構
成するアルミニウム系材料の組成をアルミニウム及びケ
イ素(例えば、Al80体積%−Si20体積%)とす
ることができる。アルミニウム系材料の組成をアルミニ
ウム及びケイ素とすることによって、母材の線膨張率α
1を制御することが可能となり、一層セラミックス層の
線膨張率α2との差を小さくすることが可能となる。ま
た、セラミックス層をAl23から構成する代わりに、
窒化アルミニウム(AlN)から構成してもよい。
【0095】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明した、ドライエッチング
装置の構造は例示であり、適宜設計変更することができ
る。また、発明の実施の形態にて説明した各種の加工条
件も例示であり、適宜変更することができる。更には、
複合材料の組成やコージエライトセラミックス・ファイ
バーボードの物性も例示であり、適宜変更することがで
きる。
【0096】発明の実施の形態においては、専ら、一体
的に形成された母材から基体載置ステージを作製した
が、基体載置ステージは、例えばアルミニウム材料と母
材との組み合わせから作製することもできる。このよう
な基体載置ステージの模式的な断面図を図6及び図7に
示す。基体載置ステージ110は、アルミニウム製の円
盤状部材118に複合材料111をロウ付け法又はビス
止めにて固定して作製されている。尚、ロウ材あるいは
ビスは図6、図7及び後述する図11〜図13には図示
していない。図6に示す構造においては、基体載置ステ
ージ110の頂面はセラミックス層113にて被覆され
ている。尚、必要に応じて、基体載置ステージ110の
側面をセラミックス層113にて被覆しておいてもよ
い。一方、図7に示す構造においては、基体載置ステー
ジ110の頂面には、例えばAl23製セラミックス板
から成るセラミックス層116がロウ材117によって
取り付けられている。図6の(A)あるいは図7の
(A)においては、アルミニウム製の円盤状部材118
の内部に配管115が配設されている。また、母材11
2が円盤状部材118の上面及び下面に固定されてい
る。円盤状部材118の上面に固定された複合材料11
1の構造、及び円盤状部材118の下面に固定された母
材112の構成は、実施の形態1〜実施の形態4にて説
明した複合材料の構造、母材の構成と同様とすることが
できる。図6の(B)あるいは図7の(B)において
は、アルミニウム製の円盤状部材118の下面には母材
が省略されている。図6の(C)あるいは図7の(C)
においては、アルミニウム製の円盤状部材118の下面
にPBNヒータ114が取り付けられている。そして、
複合材料111が円盤状部材118の上面に固定されて
いる。
【0097】プラズマエッチング装置を、図8に示すよ
うに、例えば、ICP型のプラズマエッチング装置とす
ることもできる。エッチング装置20Bには、チャンバ
ー側壁52と天板53から構成されたチャンバー51
と、天板53を加熱するためのヒータ54と、チャンバ
ー側壁52の外側に配設された誘導結合コイル55が備
えられている。尚、チャンバー側壁52は石英製であ
り、天板53は後述するように複合材料から作製されて
いる。チャンバー51内には、基体であるシリコン半導
体基板40を保持・固定するための基体載置ステージ1
0(図2の(A)参照)が配設されている。更に、チャ
ンバー51内のガスを排気するための排気口59が、真
空ポンプ等の負圧手段(図示せず)に接続されている。
基体載置ステージ10には、シリコン半導体基板40へ
の入射イオンエネルギーを制御するためのバイアス電源
56が接続され、更には、母材12に相当する温度調節
ジャケットにはセラミックス層13に静電吸着力を発揮
させるための直流電源57が接続されている。また、基
体載置ステージ10の母材12に配設されたヒータ14
は、電源58に接続されている。更には、基体であるシ
リコン半導体基板40の温度を計測するための蛍光ファ
イバ温度計(図示せず)が、エッチング装置20には備
えられている。基体載置ステージ10の温度制御は、蛍
光ファイバ温度計で検知された温度を制御装置(PID
コントローラ)(図示せず)で検出し、ヒータ14へ電
力を供給するための電源58を制御することによって行
うことができる。
【0098】プラズマエッチング装置のチャンバー側壁
23あるいは天板22,53は、複合材料から作製され
ていることが好ましい。図1に示したプラズマエッチン
グ装置20におけるチャンバー21のチャンバー側壁2
3の模式的な一部断面図を、図9〜図13に示す。この
チャンバー側壁23は、セラミックス部材の組織中にア
ルミニウム系材料が充填された母材212と、この母材
212の表面に設けられたセラミックス層213とから
成る複合材料211から作製されている。
【0099】チャンバー側壁23の内部には、公知のシ
ーズヒータから成るヒータ214が配設されている(図
9の(A)及び(B)参照)。ヒータ214は、ヒータ
本体(図示せず)と、ヒータ本体の外側に配設されそし
てヒータ本体を保護する鞘管(図示せず)から構成され
ている。そして、ヒータ214は、配線を介して電源
(図示せず)に接続されている。ヒータ214の熱膨張
は、チャンバー側壁23に影響を与える。従って、母材
212やセラミックス層213の線膨張率α1,α2に近
い値を有する材料を用いることが好ましい。具体的に
は、チタンやステンレススチール等、線膨張率が9×1
-6/K〜12×10-6/Kの材料から作製された鞘管
を用いることが好ましい。即ち、ヒータ214を構成す
る材料(母材212と接する鞘管の材料)の線膨張率α
H[単位:10-6/K]は、(α1−3)≦αH≦(α1
3)の関係を満足することが好ましい。尚、ヒータ21
4の本体の線膨張率は、チャンバー側壁23に影響を与
えることがないので、特に制限されない。場合によって
は、ヒータ214を配設すると同時に、先に説明した配
管15Aと同様の構造の配管をチャンバー側壁23の内
部に配設してもよいし、ヒータ214を配設する代わり
に、配管をチャンバー側壁23の内部に配設してもよ
い。
【0100】あるいは又、図9の(B)の模式的な断面
図に示すように、チャンバー側壁23においては、セラ
ミックス層216を溶射法でなくロウ付け法によって母
材212の表面に設けてもよい。この場合には、焼結法
にて作製されたAl23製セラミックス環状部材から成
るセラミックス層216を、例えば、約600゜Cの温
度にてAl−Mg−Ge系のロウ材217を用いたロウ
付け法にて母材212の表面に取り付ければよい。尚、
ロウ材としては、その他、チタン、錫、アンチモン、マ
グネシウムから成る合金を挙げることができる。
【0101】あるいは又、図10の(A)や(B)の模
式的な断面図に示すように、ヒータ214を母材212
に埋設する代わりに、チャンバー側壁23の外面(チャ
ンバー21と面する面とは反対側の面)に、例えば、P
BNヒータから成るヒータ214Aを取り付けてもよ
い。
【0102】図11〜図13には、ステンレススチール
製あるいはアルミニウム製の中空円筒部材218に複合
材料211をロウ付け法又はビス止めにて固定して作製
されたプラズマエッチング装置の側壁の模式的な断面図
を示す。図11の(A)あるいは(B)においては、中
空円筒部材218の内部にヒータ214(配管であって
もよい)が配設されている。母材212は中空円筒部材
218の内面及び外面に固定されている。中空円筒部材
218の内面(チャンバー21側)に固定された複合材
料211の構造は、実施の形態にて説明した複合材料と
同様の構造を有する。図12の(A)あるいは(B)に
おいては、中空円筒部材218の外面の母材212が省
略されている。図13の(A)あるいは(B)において
は、中空円筒部材218の外面にPBNヒータ214B
が取り付けられている。そして、複合材料211が中空
円筒部材218の内面に固定されている。
【0103】プラズマエッチング装置の天板22,53
も同様の構造とすればよい。尚、これらのプラズマエッ
チング装置のチャンバー側壁22あるいは天板22,5
3は、実施の形態1〜実施の形態4にて説明した複合材
料の製造方法と同様の方法に基づき作製することができ
るので、詳細な説明は省略する。
【0104】
【発明の効果】本発明の銅薄膜のプラズマエッチング法
によれば、銅のハロゲン化が銅薄膜表面から内部へと進
行することを抑制することができ、プラズマエッチング
の進行が妨げられることがなくなる。それ故、銅薄膜の
エッチング加工精度の低下を抑えることができ、良好な
異方性形状を有する銅薄膜パターンを形成することがで
きる。従って、このように銅薄膜の加工を良好に行える
ことから、本発明のプラズマエッチング法を例えばLS
Iにおける多層配線構造の形成に適用することにより、
配線の低抵抗化や耐エレクトロマイグレーション性の向
上を図ることができる。
【0105】また、複合材料を母材とセラミックス層と
から構成すれば、母材はセラミックス部材とアルミニウ
ム系材料との中間的な性質を有するものとなり、例えば
線膨張率に関してもこれらの中間的な値に調整が可能と
なる。それ故、母材とセラミックス層との熱膨張に起因
したセラミックス層の損傷発生を回避でき、複合材料を
高温で確実に使用することが可能となる。しかも、母材
は高い熱伝導率を有しているので、銅薄膜を効率よく加
熱することが可能であるし、例えば温度制御手段によっ
て効率よく複合材料を加熱することができる。また、従
来の技術では、セラミックス層の割れ等が原因で行うこ
とができなかった高温加熱時における高精度の温度制御
を行うことができ、これにより、プラズマエッチング処
理といった半導体装置の製造プロセスを高い精度で安定
して実行することができる。また、例えば、300mm
程度の大径の基体載置ステージも実現可能となり、これ
により将来のウエハの大径化にも十分対応が可能とな
る。更には、セラミックス層が設けられているので、金
属汚染の発生防止や、ハロゲン系ガスによる複合材料の
腐蝕発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1での使用に適したヘリコン
波プラズマエッチング装置の概念図である。
【図2】発明の実施の形態1における基体載置ステージ
の模式的な断面図である。
【図3】本発明のプラズマエッチング法を説明するため
の半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図4】発明の実施の形態2での使用に適したヘリコン
波プラズマエッチング装置の概念図である。
【図5】発明の実施の形態2における基体載置ステージ
の模式的な断面図である。
【図6】基体載置ステージの別の形態の模式的な断面図
である。
【図7】基体載置ステージの別の形態の模式的な断面図
である。
【図8】ICP型のプラズマエッチング装置の概念図で
ある。
【図9】チャンバー側壁の模式的な一部断面図である。
【図10】チャンバー側壁の模式的な一部断面図であ
る。
【図11】チャンバー側壁の模式的な一部断面図であ
る。
【図12】チャンバー側壁の模式的な一部断面図であ
る。
【図13】チャンバー側壁の模式的な一部断面図であ
る。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C,110・・・基体載置
ステージ、11,11A,111,211・・・複合材
料、12,12A,112,212・・・母材、13,
13A,113,213・・・セラミックス層、14,
14A,114,214,214A,214B・・・ヒ
ータ、15A,115・・・配管、16,16A,11
6,216・・・セラミックス層、118・・・円盤状
部材、218・・・中空円筒部材、17,17A,11
7,217・・・ロウ材、20,20A・・・ヘリコン
波プラズマエッチング装置、20B・・・ICP型プラ
ズマエッチング装置、21・・・チャンバー、22・・
・天板、23・・・チャンバー側壁、24・・・マルチ
ポール磁石、25・・・ソレノイドコイル・アッセンブ
リ、26・・・RFアンテナ、27・・・マッチングネ
ットワーク、28・・・ヘリコン波プラズマ発生源、2
9・・・排気口、31・・・バイアス電源、32・・・
直流電源、33・・・電源、34・・・制御装置、35
・・・蛍光ファイバ温度計、36A,36B,36C・
・・配管、37・・・制御バルブ、38・・・温度制御
用熱媒体供給装置、40・・・シリコン半導体基板、4
1・・・下地絶縁層、42・・・TiN膜、43・・・
銅薄膜、44・・・マスクパターン、51・・・チャン
バー、52・・・チャンバー側壁、53・・・天板、5
4・・・ヒータ、55・・・誘導結合コイル、56・・
・バイアス電源、57・・・直流電源、58・・・電
源、59・・・排気口

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に形成された銅薄膜のプラズマエッ
    チング法であって、 ハロゲン系ガスをエッチング用ガスとして用い、銅薄膜
    を230゜C乃至300゜Cに加熱した状態で、エッチ
    ング生成物である銅−ハロゲン化合物の銅薄膜表面から
    の脱離が銅−ハロゲン化合物の生成を上回るように、エ
    ッチング用ガス流量及び圧力、並びに電子密度を制御し
    て、銅薄膜をプラズマエッチングすることを特徴とする
    銅薄膜のプラズマエッチング法。
  2. 【請求項2】ハロゲン系ガスはCl2ガスであることを
    特徴とする請求項1に記載の銅薄膜のプラズマエッチン
    グ法。
  3. 【請求項3】基体は、基板及びその上に設けられた絶縁
    層から成り、 静電チャック機能を有し、且つ、温度制御手段を備えた
    基体載置ステージに基体を載置した状態で銅薄膜のプラ
    ズマエッチングを行い、 該基体載置ステージは、セラミックス部材の組織中にア
    ルミニウム系材料が充填された母材と、該母材の表面に
    設けられたセラミックス層とから成る複合材料から構成
    されていることを特徴とする請求項1に記載の銅薄膜の
    プラズマエッチング法。
  4. 【請求項4】基体載置ステージを電極として用い、セラ
    ミックス層は静電チャック機能を有することを特徴とす
    る請求項3に記載の銅薄膜のプラズマエッチング法。
  5. 【請求項5】基体載置ステージには温度制御手段が配設
    され、該温度制御手段はヒータから構成されていること
    を特徴とする請求項3に記載の銅薄膜のプラズマエッチ
    ング法。
  6. 【請求項6】ヒータは母材の内部に配設されており、 母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]としたと
    き、ヒータを構成する材料の線膨張率αH[単位:10
    -6/K]は(α1−3)≦αH≦(α1+3)を満足する
    ことを特徴とする請求項5に記載の銅薄膜のプラズマエ
    ッチング法。
  7. 【請求項7】基体載置ステージには温度制御手段が配設
    され、該温度制御手段は、母材の内部に配設された温度
    制御用熱媒体を流す配管から構成されており、 母材の線膨張率をα1[単位:10-6/K]としたと
    き、配管の線膨張率αP[単位:10-6/K]は(α1
    3)≦αP≦(α1+3)を満足することを特徴とする請
    求項3に記載の銅薄膜のプラズマエッチング法。
  8. 【請求項8】母材の線膨張率をα1[単位:10-6
    K]としたとき、セラミックス層の線膨張率α2[単
    位:10-6/K]は(α1−3)≦α2≦(α1+3)を
    満足することを特徴とする請求項3に記載の銅薄膜のプ
    ラズマエッチング法。
  9. 【請求項9】母材を構成するセラミックス部材の組成は
    コージエライトセラミックスであり、母材を構成するア
    ルミニウム系材料の組成はアルミニウムとケイ素であ
    り、セラミックス層を構成する材料はAl23であるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の銅薄膜のプラズマエッ
    チング法。
  10. 【請求項10】母材を構成するセラミックス部材の組成
    は窒化アルミニウムであり、母材を構成するアルミニウ
    ム系材料の組成はアルミニウム又はアルミニウムとケイ
    素であり、セラミックス層を構成する材料はAl23
    は窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項8に
    記載の銅薄膜のプラズマエッチング法。
  11. 【請求項11】母材を構成するセラミックス部材の組成
    は炭化ケイ素であり、母材を構成するアルミニウム系材
    料の組成はアルミニウム又はアルミニウムとケイ素であ
    り、セラミックス層を構成する材料はAl23又は窒化
    アルミニウムであることを特徴とする請求項8に記載の
    銅薄膜のプラズマエッチング法。
  12. 【請求項12】セラミックス層は、溶射法にて母材の表
    面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の
    銅薄膜のプラズマエッチング法。
  13. 【請求項13】セラミックス層は、ロウ付け法にて母材
    の表面に取り付けられていることを特徴とする請求項3
    に記載の銅薄膜のプラズマエッチング法。
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