JP2000123867A - 非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池

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JP2000123867A
JP2000123867A JP10297465A JP29746598A JP2000123867A JP 2000123867 A JP2000123867 A JP 2000123867A JP 10297465 A JP10297465 A JP 10297465A JP 29746598 A JP29746598 A JP 29746598A JP 2000123867 A JP2000123867 A JP 2000123867A
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房次 喜多
Minako Iwasaki
美奈子 岩崎
Yuki Ishikawa
祐樹 石川
Kazunobu Matsumoto
和伸 松本
Koji Abe
浩司 安部
Tsutomu Takai
勉 高井
Shunichi Hamamoto
俊一 浜本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で、かつサイクル特性が優れた非水二
次電池を提供する。 【解決手段】 正極、負極および電解質を有し、正極に
4V級の活物質を用い、電極積層体の単位体積当たりの
放電容量が130mAh/cm3 以上の非水二次電池に
おいて、上記電解質中に環状で環内にC=C不飽和結合
を有するエステルまたはその誘導体を含有させる。環状
で環内にC=C不飽和結合を有するエステルまたはその
誘導体としては、例えば、ビニレンカーボネート、クマ
リン、カテコールカーボネート、フタライド、アルキル
基置換ビニレンカーボネート、アルキル基置換カテコー
ルカーボネートなどが好ましく、その含有量としては電
解質の溶媒成分中0.05〜8重量%が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水二次電池に関
し、さらに詳しくは、高容量で、かつサイクル特性が優
れた非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン二次電池に代表される非
水二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギ
ー密度、高出力であることから、ますます需要が増える
傾向にある。
【0003】しかしながら、この非水二次電池につい
て、本発明者らは、さらなる高性能化を目指して検討を
進めていくうちに、電池の容量が増加するのに伴い、特
に電極積層体の単位体積当たりの放電容量が130mA
h/cm3 以上の高容量になると、所望のサイクル特性
が得られにくくなることが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の非水二次電池の問題点を解決し、電極積層体の
単位体積当たりの放電容量が130mAh/cm3 以上
の高容量の非水二次電池において、サイクル特性が優れ
た非水二次電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、正極、負極お
よび電解質を有し、正極に4V級の活物質を用い、電極
積層体の単位体積当たりの放電容量が130mAh/c
3 以上の非水二次電池において、電解質中に環状で環
内にC=C不飽和結合を有するエステルまたはその誘導
体を含有させることによって、上記課題を解決したもの
である。
【0006】
【発明の実施の形態】また、本発明においては、負極に
炭素材料を用い、その負極の負極合剤層の密度が1.4
5g/cm3 以上で、かつ上記炭素材料の(002)面
の面間距離d 002 が3.5Å以下で、c軸方向の結晶子
の大きさLcが30Å以上である場合や、環状で環内に
C=C不飽和結合を有するエステルまたはその誘導体の
含有量が電解質の溶媒成分中0.05〜8重量%である
ことを好ましい形態とする。
【0007】本発明において用いる環状で環内にC=C
不飽和結合を有するエステルとしては、例えば、ビニレ
ンカーボネート、クマリン、カテコールカーボネート、
フタリドなどが挙げられ、その誘導体としては、例え
ば、アルキル基置換ビニレンカーボネート、アルキル基
置換カテコールカーボネートなどが挙げられる。そし
て、上記環状のエステルまたはその誘導体の環内のC=
C不飽和結合は共鳴構造でないことが好ましく、またカ
ーボネート構造であることが好ましい。従って、環状で
環内にC=C不飽和結合を有するエステルまたはその誘
導体としては、特にビニレンカーボネートまたはその誘
導体が好ましい。
【0008】上記環状で環内にC=C不飽和結合を有す
るエステルまたはその誘導体の電解質中の含有量は、電
解質の溶媒成分中0.05重量%以上であることが好ま
しく、それによって、電池のサイクル特性を顕著に向上
させることができ、より好ましくは0.1重量%以上、
さらに好ましくは0.5重量%以上である。また、上記
環状で環内にC=C不飽和結合を有するエステルまたは
その誘導体の電解質中の含有量は、電解質の溶媒成分中
8重量%以下であることが好ましく、それによって、電
池の容量の低下を少なくすることができ、より好ましく
は4重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、さら
に好ましくは1重量%以下である。本発明において、環
状で環内にC=C不飽和結合を有するエステルまたはそ
の誘導体の電解質の溶媒成分中の含有量とは、電池を化
成、エイジングした後、標準使用条件〔1C(その電池
を1時間で放電できる電流)で25℃で4.2Vまで充
電し、4.2Vに達した後は、定電圧充電を行い、充電
を2時間半で終了し、0.2Cで2.75Vまで放電す
る条件〕で放電した後、電池内の電解質の溶媒成分をガ
スクロマトグラフィで分析することによって、測定した
環状で環内にC=C不飽和結合を有するエステルまたは
その誘導体が電解質の溶媒成分中において占める量であ
る。
【0009】本発明において、電解質としては、液状電
解質、ゲル状電解質、固体電解質のいずれであってもよ
いが、本発明においては、特に液状電解質を用いること
が多いことから、以下、この液状電解質を当業者間で慣
用されている「電解液」という表現を用い、それを中心
に詳細に説明する。
【0010】本発明において、電解液の溶媒としてはエ
ステルが好適に用いられる。特に鎖状エステルは、電解
液の粘度を下げ、イオン伝導度を高めることから好適に
用いられる。このような鎖状エステルとしては、例え
ば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メ
チルエチルカーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖
状のCOO−結合を有する有機溶媒、リン酸トリメチル
などの鎖状リン酸トリエステルなどが挙げられ、それら
の中でも特に鎖状のカーボネート類が好ましい。
【0011】また、上記鎖状エステルなどに下記の誘電
率が高いエステル(誘電率30以上)を混合して用いる
と負荷特性などが向上するので好ましい。このような誘
電率が高いエステルとしては、例えば、エチレンカーボ
ネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブ
チレンカーボネート(BC)、ガンマーブチロラクトン
(γ−BL)、エチレングリコールサルファイト(EG
S)などが挙げられる。特に環状構造のものが好まし
く、とりわけ環状のカーボネートが好ましく、エチレン
カーボネート(EC)が最も好ましい。
【0012】上記高誘電率エステルは電解液の全溶媒中
の50体積%未満が好ましく、より好ましくは40体積
%以下、さらに好ましくは35体積%以下である。そし
て、これらの誘電率に高いエステルによる特性の向上
は、上記エステルが電解液の全溶媒中で10体積%以上
になると顕著になり、20体積%に達するとより顕著に
なる。また、これと混合する鎖状エステルは、電解液の
全溶媒中の50体積%以上が好ましく、より好ましくは
60体積%以上、さらに好ましくは65%以上である。
【0013】上記エステル以外に併用可能な溶媒として
は、例えば、1,2−ジメトキシエタン(DME)、
1,3−ジオキソラン(DO)、テトラヒドロフラン
(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(2Me
−THF)、ジエチルエーテル(DEE)などが挙げら
れる。そのほか、アミン系またはイミド系有機溶媒や、
含イオウ系または含フッ素系有機溶媒なども用いること
ができる。また、ポリエチレンオキサイドやポリメタク
リル酸メチルなどのポリマーを含んでゲル状になってい
てもよい。
【0014】電解液の溶質としては、例えば、LiCl
4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiS
bF6 、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3 、Li
CF 3 CO2 、Li2 2 4 (SO3 2 、LiN
(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、Li
n 2n+1SO3 (n≧2)、LiN(RfOSO2
2 〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などが単独でま
たは2種以上混合して用いられるが、特にLiPF6
LiC4 9 SO3 などが好ましい。電解液中における
溶質の濃度は、特に限定されるものではないが、濃度を
1mol/l以上の多めにすると安全性がよくなるので
好ましい。1.2mol/l以上がより好ましい。ま
た、1.7mol/lより少ないと電気特性が良くなる
ので好ましく、1.5mol/lより少ないとさらに好
ましい。
【0015】本発明においては、環状で環内にC=C不
飽和結合を有するエステルまたはその誘導体の電解質中
の含有量を、電解質の溶媒成分中において上記環状で環
内にC=C不飽和結合を有するエステルまたはその誘導
体が占める重量%で規定するが、上記溶媒成分はすべて
が常温で液体のもので構成されていることを要しない。
例えば、上記環状で環内にC=C不飽和結合を有するエ
ステルまたはその誘導体中にはクマリンなどのように常
温で固体のものもあるが、それを溶媒に溶かすと溶液に
なるので、本発明では、それを溶媒成分ということにす
る。言い換えると、電解質をリチウム塩でイオン伝導に
直接関与する溶質とそれ以外のものとに分けた場合に溶
質以外のものを溶媒成分という。
【0016】上記環状で環内にC=C不飽和結合を有す
るエステルまたはその誘導体を含有する電解液の調製
は、例えば、溶媒と上記環状で環内にC=C不飽和結合
を有するエステルまたはその誘導体を混合し、そこに溶
質を溶解させればよい。
【0017】本発明において、正極に4V級の活物質を
用いるのは、高エネルギー密度の電池が得られやすいと
いう理由によるものであり、このような4V級の活物質
としては、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、Li
Mn2 4 、または、それらを主成分とする活物質、例
えばLiNi0.7 Co0.3 2 などが挙げられる。
【0018】正極は、例えば、上記正極活物質に、必要
に応じて、例えば鱗片状黒鉛などの導電助剤やポリフッ
化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのバイ
ンダを加え、混合して正極合剤を調製し、それを溶剤で
分散させてペーストにし(バインダはあらかじめ溶剤に
溶解させてから正極活物質などと混合してもよい)、そ
の正極合剤ペーストを金属箔などからなる正極集電材に
塗布し、乾燥して、正極集電材の少なくとも一部に正極
合剤層を形成することによって作製される。ただし、正
極の作製方法は、上記例示の方法に限られることなく、
他の方法によってもよい。
【0019】正極に用いる正極集電材は、アルミニウム
を主成分とする金属箔が好ましく、その純度は98重量
%以上99.9重量%未満が好ましい。通常のリチウム
イオン二次電池では純度が99.9重量%以上のアルミ
ニウム箔が正極集電材として用いられているが、本発明
においては高容量化やサイクル特性の向上を図るため厚
さが15μm以下の薄い金属箔を用いるのが好ましい。
そのため、薄くても使用に耐え得る強度にしておくこと
が好ましく、そのような強度を確保するためには純度が
99.9重量%未満であることが好ましい。アルミニウ
ムに添加する金属として特に好ましいのは、鉄とシリコ
ンである。鉄は0.5重量%以上が好ましく、さらに好
ましくは0.7重量%以上であり、また、2重量%以下
が好ましく、より好ましくは1.3重量%以下である。
シリコンは0.1重量%以上が好ましく、より好ましく
は0.2重量%以上であり、また1.0重量%以下が好
ましく、より好ましくは0.3重量%以下である。これ
らの鉄やシリコンはアルミニウムと合金化していること
が必要であり、アルミニウム中に不純物として存在する
ものではない。
【0020】そして、正極集電材の引張り強度としては
150N/mm2 以上が好ましく、より好ましくは18
0N/mm2 以上である。また、本発明において用いる
正極集電材は、伸びが2%以上であることが好ましく、
より好ましくは3%以上である。これは電極積層体の単
位体積当たりの放電容量が大きくなるにつれて電極合剤
層の充電時の膨張が大きくなるため、その膨張によって
正極集電材に応力が発生し、それによって、正極集電材
に亀裂や切断などが発生しやすくなるが、正極集電材の
伸びを大きくしておくと、その伸びによって応力を緩和
し、正極集電材の亀裂や切断などを防止できるようにな
るからである。
【0021】本発明においては、上記のように、正極集
電材として厚みが15μm以下のアルミニウムを主成分
とする金属箔を用いることが好ましいとしているが、こ
れは厚みが薄いほど電池の高容量化に好都合であるとい
う理由によるものである。しかし、あまりにも薄くなり
すぎると、製造時に正極集電材の強度不足による切断な
どが生じるおそれがあるため、正極集電材の厚みとして
は、上記のように15μm以下であって、5μm以上、
特に8μm以上が実用上適している。
【0022】また、正極集電材の表面は片面が粗面化し
ていることが好ましい。そして、その粗な面が巻回体に
おいて外周側の面にあることが好ましい。これは、巻回
体の場合、外周側の面が巻回中心部に近くなるほど対向
する負極が多く存在しているので正極が劣化しやすいた
め、外周側に粗な面を用いて接着性を高めることにより
正極の劣化を低減できるからである。粗な面の好ましい
平均粗度はRaで0.1〜0.5μmであり、より好ま
しくは0.2〜0.3μmである。そして、光沢面の好
ましい平均粗度はRaで0.2μm以下で、より好まし
くは0.1μm以下である。
【0023】また、正極集電材の濡れ性が悪い場合、電
池をサイクル(充放電)させた場合にサイクル特性の低
下が生じやすい傾向にある。そのような場合には正極集
電材の濡れ性を37dyne/cm以上にすることが好
ましい。
【0024】負極に用いる材料は、リチウムイオンをド
ープ、脱ドープできるものであればよく、本発明におい
ては、それを負極活物質と呼んでいるが、そのような負
極活物質の具体例としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素
類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の
焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性
炭などの炭素材料が挙げられる。特に2500℃以上で
焼成したメソカーボンマイクロビーズは、負極合剤層を
高密度に作製してもサイクル特性が良好であることから
好ましい。また、Si、Sn、Inなどの合金あるいは
Liに近い低電圧で充放電できる酸化物などの化合物な
ども負極活物質として用いることができる。
【0025】負極活物質として炭素材料を用いる場合、
該炭素材料は下記の特性を持つものが好ましい。すなわ
ち、その(002)面の面間距離d002 に関しては、
3.5Å以下が好ましく、より好ましくは3.45Å以
下、さらに好ましくは3.4Å以下である。またc軸方
向の結晶子の大きさLcは30Å以上が好ましく、より
好ましくは80Å以上、さらに好ましくは250Å以上
である。そして、上記炭素材料の平均粒径は8〜20μ
m、特に10〜15μmが好ましく、純度は99.9重
量%以上が好ましい。
【0026】負極は、例えば、上記負極活物質に、必要
に応じ、正極の場合と同様の導電助剤やバインダなどを
加え、混合して負極合剤を調製し、それを溶剤に分散さ
せてペーストにし(バインダはあらかじめ溶剤に溶解さ
せておいてから負極活物質などと混合してもよい)、そ
の負極合剤ペーストを銅箔などからなる負極集電材に塗
布し、乾燥して、負極集電材の少なくとも一部に負極合
剤層を形成することによって作製される。ただし、負極
の作製方法は上記例示の方法に限られることなく、他の
方法によってもよい。
【0027】上記負極集電材としては、例えば、銅箔、
アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔などの金
属箔や、それらの金属を網状にしたものなどが用いられ
るが、特に銅箔が適している。
【0028】負極に炭素材料を用いる場合は、その負極
の負極合剤層の密度を1.45g/cm3 以上にするこ
とが高容量化を図る上で好ましく、より好ましくは1.
5g/cm3 以上である。通常、負極合剤層を高密度に
すると、高容量は得られやすくなるが、電解液の浸透が
遅くなり、また活物質の利用度も不均一になりやすいた
め、サイクル特性が低下しやすくなるが、本発明によれ
ば、そのような場合にも、優れたサイクル特性が得られ
る。すなわち、本発明において用いる環状で環内にC=
C不飽和結合を有するエステルまたはその誘導体は、上
記のように負極合剤層を高密度にした場合にも、その効
果を顕著に発現する。
【0029】セパレータとしては、特に限定されること
はないが、例えば、厚みが20μm以下の微孔性ポリエ
チレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔
性エチレン−プロピレンコポリマーフィルムなどのポリ
オレフィン系セパレータは、薄くても充分な強度を有し
ているので、正極活物質や負極活物質などの充填量を高
めることができるとともに熱伝導性が改善され、電池内
部の発熱に対しても放熱を促進するので、本発明におい
て好適に使用される。特に電極積層体と電池ケースとの
間にセパレータが介在する場合は電極内部の熱を放熱す
る効果が大きい。
【0030】本発明は、電極積層体の単位体積当たりの
放電容量が130mAh/cm3 以上の非水二次電池を
対象としているが、これは高容量化を図るという理由に
基づいている。本発明において、電極積層体の体積と
は、正極、負極およびセパレータを積層したものまたは
正極、負極およびセパレータを巻回したものの電池内に
おける嵩体積であって、後者のように巻回したものにあ
っては、巻回に際して使用した巻き軸に基づく巻回体中
心部の透孔などは体積として含まない。要は正極、負
極、セパレータが占める嵩体積を合計したものである。
これら正極、負極、セパレータの3つの体積は電池の容
量を決定する重要な因子であり、電池の大きさにかかわ
らず、電極積層体の単位体積当たりの放電容量(放電容
量/電極積層体の体積)を計算することによって、電池
の容量密度を比較することができる。また、ここでいう
放電容量とは、電池を前記の標準使用条件で充放電させ
た場合の放電容量である。そして、より高容量化を図る
という観点からは、電極積層体の単位体積当たりの放電
容量は140mAh/cm3 以上がより好ましく、15
0mAh/cm3 以上がさらに好ましい。
【0031】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0032】実施例1 メチルエチルカーボネートとエチレンカーボネートとビ
ニレンカーボネートとを体積比65:33:2で混合
し、この混合溶媒にLiPF6 を1.4mol/l溶解
させて、組成が1.4mol/lLiPF6 /EC:M
EC:VC(33:65:2体積比)で示される電解液
を調製した。
【0033】上記電解液における、ECはエチレンカー
ボネートの略称であり、MECはメチルエチルカーボネ
ートの略称であり、VCはビニレンカーボネートの略称
である。従って、上記電解液を示す1.4mol/l
LiPF6 /EC:MEC:VC(33:65:2体積
比)は、メチルエチルカーボネート65体積%とエチレ
ンカーボネート33体積%とビニレンカーボネート2体
積%との混合溶媒にLiPF6 を1.4mol/l溶解
相当を溶解させたものであることを示している。
【0034】上記とは別に、LiCoO2 に導電助剤と
して鱗片状黒鉛を重量比100:6で加えて混合し、こ
の混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリ
ドンに溶解させた溶液とを混合してペースト状にした。
このポリフッ化ビニリデンの量はLiCoO2 に対して
重量比で100:3.8(LiCoO2 100重量部に
対してポリフッ化ビニリデン3.8重量部)であった。
この正極合剤ペーストを70メッシュの網を通過させて
大きなものを取り除いた後、厚さ15μmのアルミニウ
ムを主成分とする金属箔からなる正極集電材の両面に塗
布量が24.6mg/cm2 (ただし、乾燥後の正極合
剤量)となるように均一に塗布し、乾燥して正極合剤層
を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、
切断した後、リード体を溶接して、帯状の正極を作製し
た。
【0035】上記正極集電材として用いたアルミニウム
を主成分とする金属箔は、鉄を1重量%、シリコンを
0.15重量%含んでおり、アルミニウムの純度は98
重量%以上であった。また、正極集電材として用いたア
ルミニウムを主成分とする金属箔の引張り強度は185
N/mm2 であり、粗面の平均粗度Raは0.2μm
で、光沢面の平均粗度Raは0.04μmであった。そ
して、上記正極集電材として用いたアルミニウムを主成
分とする金属箔の濡れ性は38dyne/cmで、伸び
は3%であった。
【0036】つぎに、メソカーボンマイクロビーズの黒
鉛系炭素材料〔ただし、(002)面の面間距離d002
が3.37Åで、c軸方向の結晶子の大きさLcが95
0Åであり、平均粒径15μm、純度99.9重量%以
上という特性を持つ黒鉛系炭素材料〕を、ポリフッ化ビ
ニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液と混
合してペーストにした。このポリフッ化ビニリデンの量
は黒鉛系炭素材料に対して重量比で92:8(黒鉛系炭
素材料100重量部に対してポリフッ化ビニリデン8.
7重量部)であった。この負極合剤ペーストを70メッ
シュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ
10μmの帯状の銅箔からなる負極集電材の両面に塗布
量が12.0mg/cm2 (ただし、乾燥後の負極合剤
量)となるように均一に塗布し、乾燥して負極合剤層を
形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、切
断した後、リード体を溶接して、帯状の負極を作製し
た。なお、負極の負極合剤層の密度は1.5g/cm3
であった。
【0037】前記帯状の正極を厚さ20μmの微孔性ポ
リエチレンフィルムを介して上記帯状の負極に重ね、渦
巻状に巻回して渦巻状巻回構造の電極積層体にした。そ
の際、アルミニウムを主成分とする金属箔からなる正極
集電材の光沢面が内周側になるようにした。上記電極積
層体の体積は11.4cm3 であった。その後、この電
極積層体を外径18mmの有底円筒状の電池ケース内に
充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った。
【0038】つぎに、上記電解液を電池ケース内に注入
し、電解液がセパレータなどに充分に浸透した後、封口
し、予備充電、エイジングを行い、図1の模式図に示す
ような構造の筒形の非水二次電池を作製した。この電池
を前記標準使用条件で放電後、電池内の電解液成分をガ
スクロマトグラフィにより分析し、ビニレンカーボネー
トの電解液の溶媒成分中の含有量を調べたところ、0.
79重量%であった。
【0039】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の正極で、2は前記の負極である。ただし、図1で
は、繁雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあた
って使用された集電体などは図示していない。そして、
これらの正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状
に巻回され、渦巻状電極積層体にして、上記の特定電解
液からなる電解質4と共に電池ケース5内に収容されて
いる。
【0040】電池ケース5は前記のようにステンレス鋼
製で、その底部には上記渦巻状電極積層体の挿入に先立
って、ポリプロピレンからなる絶縁体6が配置されてい
る。封口板7は、アルミニウム製で円板状をしていて、
その中央部に薄肉部7aを設け、かつ上記薄肉部7aの
周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入
口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉
部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接
部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設け
た薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上で
の理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、
切断面後方の輪郭線は図示を省略している。また、封口
板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aの溶接部分1
1も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張
した状態に図示している。
【0041】端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメ
ッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしてお
り、この端子板8にはガス排出口8aが設けられる。防
爆弁9は、アルミニウム製で円板状をしており、その中
央部には発電要素側(図1では、下側)に先端部を有す
る突出部9aが設けられ、かつ薄肉部9bが設けられ、
上記突出部9aの下面が、前記したように、封口板7の
薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成して
いる。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で環状
をしており、封口板7の周縁部の上部に配置され、その
上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9と
を絶縁するとともに、両者の間から液状の電解質が漏れ
ないように両者の間隙を封止している。環状ガスケット
12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウ
ム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、渦巻状電極
積層体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と電池
ケース5の底部とはニッケル製のリード体15で接続さ
れている。
【0042】実施例2 正極合剤ペーストの塗布量を23.6mg/cm2 (た
だし、乾燥後の正極合剤量)とし、負極合剤ペーストの
塗布量を11.49mg/cm2 ただし、乾燥後の負極
合剤量)とし、セパレータとして従来から汎用されてい
る厚さ25μmの微孔性ポリエチレンフィルムを用いた
以外は、実施例1と同様に筒形の非水二次電池を作製し
た。この実施例2の電池においても、実施例1の電池と
同様に電解液の溶媒成分中のビニレンカーボネートの含
有量を調べたところ、0.80重量%であった。
【0043】実施例3 電解液の溶媒成分中におけるビニレンカーボネートの占
める量を1体積%に減らし、そのぶんメチルエチルカー
ボネートを増量して66体積%にした以外は、実施例1
と同様に筒形の非水二次電池を作製した。この実施例3
の電池のビニレンカーボネートの電解液の溶媒成分中の
含有量を実施例1と同様に測定したところ、0.1重量
%であった。
【0044】実施例4 電解液の溶媒成分中におけるビニレンカーボネートの占
める量を5体積%に増やし、そのぶんメチルエチルカー
ボネートを減らして62体積%にした以外は、実施例1
と同様に筒形の非水二次電池を作製した。この実施例4
の電池のビニレンカーボネートの電解液の溶媒成分中の
含有量を実施例1と同様に測定したところ、2.6重量
%であった。
【0045】実施例5 電解液の溶媒成分中におけるビニレンカーボネートの占
める量を10体積%に増やし、そのぶんメチルエチルカ
ーボネートを減らして57体積%にした以外は、実施例
1と同様に筒形の非水二次電池を作製した。この実施例
5の電池のビニレンカーボネートの電解液の溶媒成分中
の含有量を実施例1と同様に測定したところ、7.7重
量%であった。
【0046】実施例6 ビニレンカーボネートの代わりにクマリンを用いた以外
は、実施例1と同様に筒形の非水二次電池を作製した。
この実施例6の電池のクマリンの電解液の溶媒成分中の
含有量を実施例1と同様に測定したところ、1.2重量
%であった。
【0047】比較例1 ビニレンカーボネートを用いず、そのぶんメチルエチル
カーボネートを増量した以外は、実施例1と同様に筒形
の非水二次電池を作製した。
【0048】比較例2 ビニレンカーボネートを用いず、そのぶんメチルエチル
カーボネートを増量し、負極合剤量を減らして負極の負
極合剤層の密度を1.4g/cm3 にした以外は、実施
例1と同様に筒形の非水二次電池を作製した。
【0049】比較例3 ビニレンカーボネートを用いず、そのぶんメチルエチル
カーボネートを増量し、正極集電材として従来から汎用
されている厚さ20μmのアルミニウムを主成分とする
箔を用いた。このアルミニウムを主成分とする箔には鉄
が0.03重量%、シリコンが0.02重量%含まれて
おり、純度は99.94重量%であった。引張り強度は
140N/mm2 (15μm換算値)であり、両面光沢
面で平均粗度Raは0.04μmであった。また、濡れ
性は36dyne/cmで、伸びは3%であった。この
正極集電材の両面に実施例1と同様の正極合剤ペースト
を塗布量が23.9mg/cm2 (ただし、乾燥後の正
極合剤量)となるように均一に塗布し、乾燥して正極合
剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形
した後、切断し、リード体を溶接して、帯状の正極を作
製した。また、負極は実施例1と同様の厚さ10μmの
銅箔からなる負極集電材の両面に実施例1と同様の負極
合剤ペーストを塗布量が11.0mg/cm2 (ただ
し、乾燥後の負極合剤量)となるように塗布し、乾燥し
て負極合剤層を形成し、セパレータとして実施例2と同
様に従来から汎用されている厚さ25μmの微孔性ポリ
エチレンフィルムを用い、それら以外は実施例1と同様
に筒形の非水二次電池を作製した。
【0050】比較例4 正極合剤ペーストの塗布量を20.0mg/cm2 (た
だし、乾燥後の正極合剤量)とし、負極合剤ペーストの
塗布量を12.0mg/cm2 (ただし、乾燥後の負極
合剤量)とし、それ以外は比較例3と同様に筒形の非水
二次電池を作製した。
【0051】上記実施例1〜6および比較例1〜4の電
池を、1700mA(1C)で2.75Vまで放電した
後、1700mAで充電し、4.2Vの定電圧に保つ条
件で2時間半充電を行った。その後、電池を1700m
Aで2.75Vまで放電する充放電を繰り返し、1サイ
クル目の放電容量および100サイクル目の放電容量を
測定し、それに基づき、100サイクル目での1サイク
ル目に対する容量保持率〔(100サイクル目の放電容
量)/(1サイクル目の放電容量)×100〕を求め
た。その結果を電極積層体の単位体積当たりの放電容
量、1サイクル目の放電容量および電極積層体の体積と
共に表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示すように、ビニレンカーボネート
を用いなかった比較例1〜3の電池では、100サイク
ル目での容量保持率が78%以下にまで低下したのに対
し、ビニレンカーボネートを用いた実施例1〜5の電池
やクマリンを用いた実施例6の電池は100サイクル目
での容量保持率が91%以上であって、サイクル特性が
優れていた。また、実施例1〜6の電池は、放電容量が
大きく、高容量であり、特に薄いセパレータを用いた実
施例1、実施例3〜4および実施例6の電池は放電容量
が大きかった。なお、比較例4の電池は、100サイク
ル目での容量保持率が94%と高く、サイクル特性は優
れていたが、容量が小さく、電極積層体の単位体積当た
りの放電容量が130mAh/cm3 に満たなかった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、正極
に4V級の活物質を用い、電極積層体単位体積当たりの
放電容量が130mAh/cm3 以上という高容量の非
水二次電池において、サイクル特性の優れた非水二次電
池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水二次電池の一例を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 美奈子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 石川 祐樹 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 松本 和伸 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 安部 浩司 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 高井 勉 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 浜本 俊一 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL06 AM01 AM02 AM03 AM04 AM07 AM16 BJ02 BJ14 HJ00 HJ01 HJ02 HJ18 HJ19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極および電解質を有し、正極に
    4V級の活物質を用い、電極積層体の単位体積当たりの
    放電容量が130mAh/cm3 以上の非水二次電池で
    あって、上記電解質中に環状で環内にC=C不飽和結合
    を有するエステルまたはその誘導体を含有することを特
    徴とする非水二次電池。
  2. 【請求項2】 負極に炭素材料を用い、その負極の負極
    合剤層の密度が1.45g/cm3 以上であり、かつ上
    記炭素材料の(002)面の面間距離d002が3.5Å
    以下で、c軸方向の結晶子の大きさLcが30Å以上で
    ある請求項1記載の非水二次電池。
  3. 【請求項3】 環状で環内にC=C不飽和結合を有する
    エステルまたはその誘導体の含有量が電解質の溶媒成分
    中0.05〜8重量%である請求項1記載の非水二次電
    池。
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