JP2000120751A - ロータリダンパ - Google Patents

ロータリダンパ

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JP2000120751A
JP2000120751A JP10299182A JP29918298A JP2000120751A JP 2000120751 A JP2000120751 A JP 2000120751A JP 10299182 A JP10299182 A JP 10299182A JP 29918298 A JP29918298 A JP 29918298A JP 2000120751 A JP2000120751 A JP 2000120751A
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passage
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータリダンパの作動時における作動油の流
動抵抗自体に位置依存特性を付与することで、当該位置
依存特性の変更および調整幅を広げて自由度を拡大する
と共に、両方向への作動の際にもそれぞれ異なった位置
依存特性をもたせることができるようにする。 【解決手段】 ロータリダンパの回動動作に伴い交互に
収縮と拡張を繰り返す二組の作動油室を連絡油路により
減衰バルブを通して相互に連通すると共に、各組毎の作
動油室を組単位で連通する連通油路の少なくとも一方の
連通油路27の途中に、ロータリダンパの回動変位に応
動して開口面積を変化する調整機構98と当該調整機構
98を迂回するバイパス油路90とを設け、当該バイパ
ス油路90に対して収縮側となった作動油室から押し出
されてくる作動油の流れを阻止するチェックバルブ91
を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車や産業車
両等の各種車両のサスペンション装置は勿論のこと、特
に、自動二輪車の後輪サスペンション装置への使用に好
適なロータリダンパの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のサスペンション装置
は、車体懸架スプリングと共用して用いる振動減衰機構
が直動型油圧ダンパであると回動型ロータリダンパであ
るとに拘らず、車体振動速度が変わらなければその時々
の振動位置に関係なく減衰特性は一定となる。
【0003】そのために、通常の車体振動位置を基準に
して減衰特性を決めてやったとすると、圧縮荷重の大き
いボトミング位置での緩衝作用に不足が生じて乗心地を
悪くする。
【0004】そこで、特開平1−101289号公報に
開示されているように、ばね上である車体側に装着した
ロータリダンパのロータシャフトから後方へと向って水
平にクッションアームを伸ばし、このクッションアーム
の先端を車体懸架スプリングが伸び切ったアッパ位置で
略々直角状態を保つクッションバーを通してばね下であ
る車輪側へと連結する。
【0005】このようにして、車体がアッパ位置からボ
トミング位置へと向う懸架スプリングの圧縮動作の初期
には、当該圧縮長さに対するロータリダンパの回転角比
すなわちクッションレシオを大として減衰効果を大きく
保ち、しかも、圧縮動作が後期に向うに従いクッション
アームの作用長を減少させてクッションレシオを増大さ
せ、クッションバーに対する作用力を減少させて効果的
に衝撃の発生を吸収するようにしている。
【0006】言い換えれば、上記のものにあっては、ば
ね上である車体とばね下である車輪との位置関係により
クッションアームとクッションバーを通してリンクレシ
オだけを変化させ、結果として、減衰効果に対し位置依
存特性を持たせるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、そうとは言っ
ても、上記した先の提案に係るロータリダンパを用いた
車両のサスペンション装置にあっては、クッションアー
ムとクッションバーのレイアウトが車両側のレイアウト
により左右されて制限を受けることから、リンクレシオ
の大きな変更および調整が困難で自由度が少なく、効果
的な衝撃の吸収が行い難いという問題点を有する。
【0008】また、これに加えて、車体の上下振動に伴
うロータリダンパの両方向への動作に対して上記したリ
ンクレシオが対象的に全く同じに作用するために、これ
ら車体の上下振動に伴うリンクレシオに個々の自由度が
なく、これによっても、効果的な衝撃の吸収が行い難い
という不都合をも有する。
【0009】したがって、この発明の目的は、ロータリ
ダンパの作動時における作動油の流動抵抗自体に位置依
存特性を付与することで、当該位置依存特性の変更およ
び調整幅を広げて自由度を拡大すると共に、両方向への
作動の際にもそれぞれ異なった位置依存特性をもたせる
ことのできる新規の構成を備えたロータリダンパを提供
することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、この発
明において、ハウジングとロータシャフトの回動変位に
伴い交互に収縮と拡張を繰り返す作動油室を一つ置きに
分けて二組とし、これら作動油室を組単位毎にロータシ
ャフトに穿った連通油路で相互に連通すると共に、それ
ぞれの組の一つの作動油室を連絡油路により減衰バルブ
を通して連通したロータリダンパにおいて、各組毎の作
動油室を組単位で連通する連通油路の少なくとも一方の
途中にハウジングとロータシャフトの回動変位に応動し
て開口面積を変化する調整機構と当該調整機構を迂回す
るバイパス油路とを設け、当該バイパス油路に対して収
縮時における作動油の流れを阻止するチェックバルブを
配置することによって達成される。
【0011】すなわち、上記のように構成することによ
って、ハウジングとロータシャフトが回動変位を始める
と、そのとき収縮する組の作動油室内の作動油がハウジ
ングの該当する側の連絡油路を通して減衰バルブを押し
開き、当該減衰バルブで減衰力を発生しつつそのとき拡
張する他方の組の作動油室へと向って流れる。
【0012】このとき、収縮する側の作動油室にあって
は、バイパス油路のチェックバルブが閉じ方向に作用す
ると共に、作動油室同志を結ぶ調整機構の開口面積が絞
られて発生減衰力が上昇し、当該減衰力が連絡油路中の
減衰バルブの発生減衰力に加算される。
【0013】なお、拡張側の作動油室に対しては、バイ
パス油路を通して送り込まれてきた作動油の大部分がチ
ェックバルブを押し開いて殆ど流動抵抗を受けることな
く各作動油室へと流れ込む。
【0014】これにより、ロータリダンパは、ハウジン
グとロータシャフトの所定方向への回動変位に伴って位
置依存性をもつ減衰特性を発揮し、しかも、調整機構に
おける開口面積の絞り変化割合を任意に選定することで
位置依存特性に対して容易に自由度を付与することがで
きる。
【0015】また、上記に加えて、調整機構とチェック
バルブをもつバイパス油路を両方の組の作動油室に対し
て設置することにより、両方向への動作に対してそれぞ
れ異なった位置依存特性をもたせることも可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を明
細書に添付した図面に基いて説明していくことにする。
【0017】この発明の実施の形態であるロータリダン
パ1は、添付した図1の一部縦断正面図と、左側面図で
ある図2、並びに、図1におけるA−A線からの縦断正
面図である図3から分かるように、軸方向へと向い18
0度の位相差をもって上下に二つのセパレートブロック
2,3を形成したボアー4をもつハウジング5を有して
いる。
【0018】ボアー4の両端開口部は、ハウジング5の
両側面に対しシール6,7を介装してボルト8により取
り付けた左右のサイドカバー9,10によって閉じられ
ており、これらハウジング5とサイドカバー9,10と
でロータリダンパ1のケーシング11を構成している。
【0019】ハウジング5におけるボアー4の中心部分
には、左右のサイドカバー9,10を貫通してロータシ
ャフト12がベアリング13とオイルシール14および
ダストシール15を介し両持ち支持して回動自在に挿通
してある。
【0020】ロータシャフト12は、上記ハウジング5
におけるボアー4内の上下に形成したセパレートブロッ
ク2,3の先端面と摺接し、かつ、これらセパレートブ
ロック2,3の間における外周面の部分から180度の
位相差をもって外方へと向い放射状に延びる二枚のベー
ン16,17を備えている。
【0021】これらベーン16,17は、基端部分を除
く両側面から先端面へと亙って設けたベーンシール1
8,19を介してボアー4と左右のサイドカバー9,1
0の各内壁面に接し、これら接触部分を油密状態に保っ
て摺接するようにしてある。
【0022】同様に、ハウジング5におけるセパレート
ブロック2,3もまた、先端面から両側面へと亙って設
けたブロックシール20,21を介してロータシャフト
12の外周面と左右のサイドカバー9,10の内壁面と
に接し、これら接触部分を油密状態に保っている。
【0023】かくして、セパレートブロック2,3とベ
ーン16,17は、互に協同してボアー4の内部をハウ
ジング5とロータシャフト12の回動変位に伴い交互に
収縮と拡張を繰り返す四つの作動油室22,23,2
4,25に区画する。
【0024】そして、対角に位置する作動油室22,2
3および作動油室24,25をロータシャフト12に穿
った連通油路26と連通油路27a,27bとからなる
連通油路27で相互に連通し、これら連通油路26と連
通油路27a,27bを通して作動油室22,23と作
動油室24,25をそれぞれ二組に分けて構成してい
る。
【0025】なお、図3において示してあるピン28,
29は、ハウジング5に対して右方のサイドカバー10
の位置決めを行うダウエルピンであって、特に図示はし
ないが、ハウジング5と左方のサイドカバー9との間に
も同様のダウエルピンが設けられていることは言うまで
もない。
【0026】一方、ハウジング5には、この発明を構成
する上で特に重要な構成部分を形作る減衰力発生機構3
0がボアー4と並べて、上方部分に水平方向へと向けボ
ルト31により固定して設置してある。
【0027】上記減衰力発生機構30は、図1における
B−B線からの拡大横断面である図4に示すように、前
記ボアー4の軸線に沿い横方向へと並べてハウジング5
aに併設した二本のボアー32,33と、これらボアー
32,33と交差する方向に並べて配置した一本のボア
ー34とを有する。
【0028】ボアー32,33のそれぞれには、各開口
端から内部へと向って減衰特性のみを異にする同一構造
の減衰力発生要素35,36を同じ向きにねじ込んで配
設してある。
【0029】各減衰力発生要素35,36は、ボアー3
2,33との間にシール37,38を介して油密にねじ
込んだ保持体39,40と、これら保持体39,40の
先端から延びる保持杆41,42に嵌挿して固定した隔
壁体43,44とを備え、当該隔壁体43,44の外周
面に設けたシール45,46でボアー32,33の内部
を室47,48と室49,50とに区画している。
【0030】これら室47,48,49,50のうち室
47と室49は、図3に破線で示してあるハウジング5
に穿った二つの油路51,52を通してボアー4側にお
けるそれぞれの作動油室22,24へと通じ、さらに、
ここからロータシャフト12に設けた連通油路26と連
通油路27a,27bで作動油室23,25にも通じて
いる。
【0031】また、室47と室48および室49と室5
0は、図4にみられるように、各減衰力発生要素35,
36の隔壁体43,44に設けた減衰ポート53,55
と戻りポート54,56の二組のポート群を通して相互
に連通し、かつ、室48と室50がハウジング5aに設
けた油路57で相互に連通している。
【0032】しかも、ロータリダンパ1の不作動時にお
いて、これら減衰ポート53,55の室48,50に対
する開口部は減衰バルブ58,59によってそれぞれ閉
じられており、同様に、戻りポート54,56の室4
7,49に対する開口部は、戻りバルブ60,61によ
ってそれぞれ塞がれている。
【0033】このようにして、連通油路26と連通油路
27a,27bを通して相互に連通する二組の作動油室
22,23と作動油室24,25とは、油路51,52
と室47,48,49,50、および油路57とからな
る一連の連絡油路62を通して相互に連通し、この連絡
油路62の途中に隔壁体43,44を挟んで減衰バルブ
58,59と戻りバルブ60,61をもつ二つの減衰力
発生要素35,36をそれぞれ同じ方向に向けて介装し
たのである。
【0034】なお、各減衰力発生要素35,36に対し
て内装した調整杆63,64は、外部からの操作を可能
にすることでそれぞれの減衰バルブ58,59を迂回す
る調整油路65,66の絞り抵抗を調整し、これら減衰
バルブ58,59での発生減衰力を微細に亙って調節す
るためのものである。
【0035】一方、上記二つの減衰力発生要素35,3
6と交差する方向に並べて配置したボアー34は、ロー
タリダンパ1の使用環境の温度変化や作動時の発熱等に
伴う内部作動油の膨張および収縮による増減を吸収する
ための温度補償機構67として形成してある。
【0036】すなわち、ボアー34の内部は、外周面に
シール68を備えたフリーピストン69により交互に拡
縮を繰り返す開放端側の貯油室70と閉塞端側のガス室
71とに区画されている。
【0037】上記貯油室70の開放端側は、外部からボ
アー34へとシール72を介してねじ込んだプラグ73
によって油密に閉じられており、かつ、この貯油室70
を分岐油路74で前記した連絡油路62の室48の部分
へと連通している。
【0038】また、プラグ73は、ロータリダンパ1内
の各部に作動油を注入するための注油口を兼ねており、
しかも、当該注油口は、作動油の注入作業終了後におい
てプラグ73をねじ込むことによりシール72で密封さ
れる。
【0039】さらに、ガス室71の閉塞端側には、当該
ガス室71へのガスの供給および排出を行うガス給排用
のバルブ75が設置してあり、このガス給排用のバルブ
75を通してガス室71の内部ガス圧力を設定し得るよ
うにしたのである。
【0040】そして、このように構成したロータリダン
パ1に対して当該実施の形態にあっては、図1の部分拡
大図である図5にみられるように、ロータシャフト12
の左端面から軸線に沿って有底穴76を穿ち、この有底
穴76の内部にスリーブ77を圧入すると共に、当該ス
リーブ77に摺接してコントロールシャフト78を回転
可能に挿入してある。
【0041】上記スリーブ77は、ロータシャフト12
の有底穴76へと螺着したストッパ79の先端で押圧し
つつ外周面に設けたシール80により有底穴76との間
を油密状態に保って固定し、また、コントロールシャフ
ト78は、ストッパ79の先端との間に介装したスラス
トベアリング81と外周面に設けたシール82を介して
回動自在に油密状態を保って支持している。
【0042】しかも、ここで、先のハウジング5内にお
ける作動油室24,25を常時連通状態に保っておくた
めに、図5および図6のC,D矢視にみられるように、
ロータシャフト12に設けた連通油路27a,27bと
対向してスリーブ77の外周面に窪み83,84を設
け、これら窪み83,84をスリーブ77に穿った通孔
85と三角状の通孔86でスリーブ77の内周面へと導
いている。
【0043】また、コントロールシャフト78の外周面
には、スリーブ77側における通孔85,86と対面し
て円周方向に伸びる長溝状の窪み87と軸方向に向って
伸びる同じく長溝状の窪み88をそれぞれ設け、これら
窪み87,88をコントロールシャフト78に穿った半
径方向に向う通路89で相互に連通すると共に、当該通
路89から分れたバイパス油路90とコントロールシャ
フト78の先端に設けたチェックバルブ91、および、
室92とコントロールシャフト78の先端切欠93、並
びに、スリーブ77の外周面に軸方向へと向けて穿った
油路94から窪み84を通して作動油室25へと連通し
ている。
【0044】一方、上記において、作動油室24側にお
けるスリーブ77の通孔85とコントロールシャフト7
8の窪み87との関係は、スリーブ77とコントロール
シャフト78の相対変位に関係なく常に連通面積が一定
値を保つように、例えば、図6(a)に示す如く、スリ
ーブ77側の通孔85を丸穴に形成すると共に、コント
ロールシャフト78側の窪み87を円周方向に伸びる小
判状の窪みとして形成してある。
【0045】それに対し、作動油室25側におけるスリ
ーブ77の通孔86とコントロールシャフト78の窪み
88との関係は、スリーブ77とコントロールシャフト
78の相対変位に伴って連通面積が増減するように、図
6(b)に示す如く、スリーブ77側の通孔86を円周
方向に伸びる三角状の穴として形成すると共に、コント
ロールシャフト78側の窪み88を軸方向へと向って伸
びる例えば長溝状の窪みとして形成してある。
【0046】このようにして、上記したロータシャフト
12の内部に収納したコントロールシャフト78をボル
ト95,96により連結プレート97を通してロータリ
ダンパ1のサイドカバー9へと連結し、これら通孔86
と窪み88とによって発生減衰力の調整機構98を構成
したのである。
【0047】次に、以上のようにして構成したロータリ
ダンパ1の作用について説明することにする。
【0048】ロータリダンパ1は、ハウジング5に形成
した脚部99の取付孔100(図2および図3参照)と
ロータシャフト12における端部のセレーション101
(図1参照)を通して、例えば、車両のばね上とばね下
とに取り付けることによって使用される。
【0049】そのために、車両に発生した上下振動によ
ってロータリダンパ1のハウジング5とロータシャフト
12との間にセパレートブロック2,3とベーン16,
17を通して作動油室22,23を収縮する方向の相対
変位が生じたとする。
【0050】すると、作動油室23内にある作動油がロ
ータシャフト12の連通油路26を通して作動油室22
へと入り、この作動油室22内の作動油と一緒になって
油路51から図4に示す減衰力発生要素35の室47へ
と押し出されてくる。
【0051】この減衰力発生要素35の室47へと押し
出されてきた作動油は、隔壁体43の減衰ポート53か
ら減衰バルブ58を押し開いて所定の減衰力を発生しつ
つ室48へと流入し、ここから油路57を通して減衰力
発生要素36側の室50へと流入する。
【0052】そして、この室50から減衰力発生要素3
6の隔壁体44における戻りポート56を通して戻りバ
ルブ61を押し開きつつ室49へと流れ、ここから油路
52を通してそのとき拡張する側の作動油室24に流入
する。
【0053】なお、上記作動油の流れは、分岐油路74
を通して温度補償機構67の貯油室70内へも流入しよ
うとするが、当該分岐油路74には、減衰力発生要素3
5の減衰バルブ58を押し開いて低圧となった後の作動
油が流れてくるので、当該作動油分岐油路74を通して
貯油室70へと流れ込むことはない。
【0054】しかし、ロータリダンパ1の使用環境の温
度変化や作動時の発熱等で生じた作動油体積の増減は、
ロータリダンパ1の作動時における分岐油路74の部分
の圧力変動に比べて時間的に極めてゆっくりと生じるこ
とになるので、分岐油路74の作動油通過面積を連絡油
路62のそれより小さくとったとしても、殆ど抵抗なく
連絡油路62と貯油室70の間で作動油のやり取りが行
われてロータリダンパ1の内圧変動を抑制する。
【0055】その結果、作動油室24に向って殆ど全量
の作動油が押し出され、当該作動油は、今度は、ロータ
シャフト12に設けた連通油路27aからスリーブ77
の窪み83および通孔85、並びにコントロールシャフ
ト78の窪み87と通路89を通してバイパス油路90
へと入り、ここからチェックバルブ91を押し開いて室
92と切欠93および油路94並びに窪み84と連通油
路27bとを通り、そのとき拡張する側の作動油室25
にも流入してこれら作動油室24,25に生じる作動油
の不足分を補う。
【0056】それに対して、上記とは逆の方向にロータ
リダンパ1が動作して、ハウジング5とロータシャフト
12が作動油室24,25を収縮する方向に相対変位を
起こしたとする。
【0057】この場合にあっては、作動油室25内の作
動油がロータシャフト12における連通油路27bから
スリーブ77の窪み84および油路94並びに切欠93
を通して室92に押し出されてくるが、この方向からの
作動油の流れは、チェックバルブ91が閉じ方向へと向
って押されることになるので阻止される。
【0058】そのために、上記した作動油室25からの
作動油は、スリーブ77の窪み84と通孔86およびコ
ントロールシャフト78の窪み88と通路89、並び
に、コントロールシャフト78の反対側の窪み87とス
リーブ77の通孔85および窪み83からロータシャフ
ト12の通孔85を通して作動油室24に押し出されて
くる。
【0059】この作動油室24へと押し出されてきた作
動油は、ここで作動油室24内の作動油と一緒になって
油路52から減衰力発生要素36の室49と隔壁体44
の減衰ポート55を通り、減衰バルブ59を押し開いて
所定の減衰力を発生しつつ室50へと流入し、ここから
油路57を通して減衰力発生要素35側の室48へと流
入する。
【0060】そして、この室48から減衰力発生要素3
5の隔壁体43における戻りポート54を通って戻りバ
ルブ60を押し開きつつ室47へと流れ、ここから油路
51を通してそのとき拡張する側の作動油室22に流入
する。
【0061】しかも、この作動油室22に流入した作動
油は、ロータシャフト12に設けた連通油路26を通し
て抵抗なくそのとき同時に拡張する側の作動油室25に
も流入し、これら作動油室24,25に生じる作動油の
不足分を補うことになる。
【0062】このことから、例えば、車両に対して当該
ロータリダンパ1をばね上の沈下時に作動油室22,2
3が拡張し、かつ、作動油室24,25が収縮するよう
にハウジング5の取付孔100とロータシャフト12の
セレーション101を用いてばね上とばね下との間に介
装して取り付けてやる。
【0063】これにより、ばね上の沈み込み時にあって
は、収縮する作動油室25内の作動油がチェックバルブ
91を押し開いて流れることなく、図6(b)に示すコ
ントロールシャフト12の窪み88に対するスリーブ7
7の通孔86の開口部分を通して作動油室24へと流れ
る。
【0064】しかも、ばね上の沈み込みによるロタリダ
ンパ1の作動に伴ってロータシャフト12内のスリーブ
77とコントロールシャフト78が相対変位を起こし、
先の図6(b)に示すコントロールシャフト78の窪み
88に対するスリーブ77の通孔86の開口面積が絞ら
れて発生減衰力が上昇し、当該減衰力が連絡油路62中
の減衰バルブ59の発生減衰力に加算される。
【0065】なお、上記において、コントロールシャフ
ト78の反対側における窪み87とスリーブ77の通孔
85との関係は、図6(a)に示す如く両者の相対変位
に関係なく常い一定の開口面積を保つたままであるの
で、当該連通油路26によっては殆ど流動抵抗を受ける
ことなく作動油室23へと流入することになる。
【0066】これにより、ロータリダンパ1は、ハウジ
ング5とロータシャフト12の回動変位の進行に伴って
減衰力発生要素35,36によりそれぞれの方向に対す
る減衰特性を受け、かつ、これに加えて、所定の方向へ
の減衰特性に対して位置依存特性をも付与することがで
きる。
【0067】また、一方の組の作動油室24,25を連
通する連通油路27にだけ上記した位置依存特性を付与
するための絞り機構を設けることなく、他方の組の作動
油室22,23を連通する連通油路26に対しても同様
の絞り機構を設けてやることで、ロータリダンパ1の何
れの作動方向に対しても位置依存特性を付与することが
できるばかりでなく、必要によっては、それぞれの作動
方向に対して異なった変化率をもつ位置依存特性を与え
ることも可能となる。
【0068】さらに、通孔86の形状をこれまで述べて
きた実施の形態のように三角状の孔として形成する代わ
りに、これと同じような可変絞り作用をもつ形状として
形成することによっても発生減衰力に任意の位置依存特
性をもたせ得ることは言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】以上述べてきたように、請求項1の発明
によれば、各組毎の作動油室を組単位で連通する連通油
路の少なくとも一方の途中に、ハウジングとロータシャ
フトの回動変位に応動して開口面積を変化する調整機構
と、当該調整機構を迂回するバイパス油路とを設け、当
該バイパス油路に対して収縮時における作動油の流れを
阻止するチェックバルブを配置したことにより、ロータ
リダンパ自体の減衰特性に対して位置依存特性を付与す
ることができ、したがって、位置依存特性に自由度を与
えて広範囲に亙る適切な減衰力制御を行うことが可能と
なる。
【0070】また、請求項2の発明によれば、ロータシ
ャフトに固定したスリーブの内部にコントロールシャフ
トを回動自在に挿入し、このコントロールシャフトの外
周面に小判状と三角状の窪みを通路で連通して配置する
と共に、これら窪みをスリーブの内周面に形成したそれ
ぞれの通孔と対向させて各組毎の作動油室を組単位で連
通する連通油路を構成し、かつ、上記コントロールシャ
フトを連結プレートでロータリダンパの外壁へと連結し
て、ハウジングとロータシャフトの回動変位に伴い開口
面積を変化する調整機構を形成したことにより、極めて
簡単な構成を用いて上記した請求項1の効果を達成する
ことができる。
【0071】さらに、請求項3の発明によれば、コント
ロールシャフトの端面にチェックバルブを配設し、小判
状および三角状の窪みを互いに連通する通路から分岐し
て伸びるバイパス油路を通して上記チェックバルブを押
し開きつつ、スリーブの外周面に軸方向へと向けて穿っ
た油路を通して同期する作動油室を相互に連通したこと
により、上記の効果に加えて、ロータリダンパの一方向
に対する回動時の減衰特性に対して位置依存性を付与す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるロータリダンパの実施の形態を
一部切断して示す部分縦断正面図である。
【図2】同上のロータリダンパを左側からみた側面図で
ある。
【図3】同じく、図1におけるA−A線からの縦断側面
図である。
【図4】同上、図1におけるB−B線からの拡大横断平
面図である。
【図5】この発明にとって重要な減衰特性に位置依存性
を付与する調整機構を取り出して拡大して示す部分縦断
正面図である。
【図6】(a)は、図5におけるC矢視を、また、
(b)は、同じく図5におけるD矢視をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 ロータリダンパ 2,3 セパレートブロック 5,5a ハウジング 9,10 サイドカバー 11 ケーシング 12 ロータシャフト 16,17 ベーン 22,23,24,25 作動油室 26,27a,27b 連通油路 30 減衰力発生機構 35,36 減衰力発生要素 53,55 減衰ポート 54,56 戻りポート 58,59 減衰バルブ 60,61 戻りバルブ 61 連絡油路 62 連絡油路 67 温度補償機構 77 スリーブ 78 コントロールシャフト 83,84 窪み 85 通孔 86 円周方向に伸びる三角状の通孔 87 円周方向に伸びる長溝状の窪み 88 軸方向に伸びる長溝状の窪み 89 通路 90 バイパス油路 91 チェックバルブ 94 上記チェックバルブの戻り油路 97 連結プレート 98 調整機構 99 脚部 100 取付孔 101 セレーション

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングとロータシャフトの回動変位
    に伴い交互に収縮と拡張を繰り返す作動油室を一つ置き
    に分けて二組とし、これら作動油室を組単位毎にロータ
    シャフトに穿った連通油路で相互に連通すると共に、そ
    れぞれの組の一つの作動油室を連絡油路により減衰バル
    ブを通して連通したロータリダンパにおいて、各組毎の
    作動油室を組単位で連通する連通油路の少なくとも一方
    の途中にハウジングとロータシャフトの回動変位に応動
    して開口面積を変化する調整機構と当該調整機構を迂回
    するバイパス油路とを設け、当該バイパス油路に対して
    収縮時における作動油の流れを阻止するチェックバルブ
    を配置したことを特徴とするロータリダンパ。
  2. 【請求項2】 ロータシャフト内に固定したスリーブ
    と、当該スリーブの内部に回動自在に挿入したコントロ
    ールシャフトとを備え、当該コントロールシャフトの外
    周面に円周方向と軸方向とに向けて対応配置した長溝状
    の窪みを通路で互いに連通すると共に、これら窪みをス
    リーブの内周面に対して形成した通孔と三角状の通孔と
    にそれぞれ対向させ、かつ、コントロールシャフトを連
    結プレートでロータリダンパの外壁へと連結した請求項
    1のロータリダンパ。
  3. 【請求項3】 コントロールシャフトの端面にチェック
    バルブを配設し、小判状および三角状の窪みを互いに連
    通する通路から分岐して伸びるバイパス油路を通して上
    記チェックバルブを押し開きつつ、スリーブの外周面に
    軸方向へと向けて穿った油路を通して同期する作動油室
    を相互に連通した請求項2のロータリダンパ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010116893A (ja) * 2008-11-14 2010-05-27 Yamaha Motor Co Ltd スロットル操作装置およびそれを備えた車両
CN111188866A (zh) * 2020-03-02 2020-05-22 唐山保靓汽车配件有限公司 一种用于减震器的阻尼双调节装置
US20230265904A1 (en) * 2020-05-19 2023-08-24 Somic Management Holdings Inc. Rotary damper

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