JP2000120541A - ピストン及びピストンに対する溝の形成方法 - Google Patents

ピストン及びピストンに対する溝の形成方法

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JP2000120541A
JP2000120541A JP10297093A JP29709398A JP2000120541A JP 2000120541 A JP2000120541 A JP 2000120541A JP 10297093 A JP10297093 A JP 10297093A JP 29709398 A JP29709398 A JP 29709398A JP 2000120541 A JP2000120541 A JP 2000120541A
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groove
piston
head
peripheral surface
oil
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Takahiro Hoshida
隆宏 星田
Manabu Sugiura
学 杉浦
Kazue Murao
和重 村尾
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Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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    • F04B27/08Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素地に溝を形成しなくとも良い、溝を有する
ピストンを提供すること。 【解決手段】 ピストン20は、頭部22を以ってシリ
ンダボア12aに収容されている。油掻き溝22b及び
油送溝22cは、頭部外周面22aに形成されている。
コート層Cは頭部外周面22aに形成されている。ピス
トン素地20Wの頭部外周面22aにおいて、前記油掻
き溝22b及び油送溝22cの形成予定地Yにはコート
層Cが形成されていない。従って、形成予定地Yには、
その周囲の部分とのコート層Cの膜厚差によって両溝2
2b,22cが出現されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両空調
装置に適用されて冷媒ガスの圧縮を行なうピストン式圧
縮機のピストン及びピストンに対する溝の形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種のピストン式圧縮機としては、本
出願人が提案した次のようなものが存在する(特開平1
0−26081)。
【0003】すなわち、駆動軸はハウジングに回転可能
に支持されている。斜板はハウジング内において駆動軸
に一体回転可能に連結されている。ピストンは頭部と首
部とからなる。ピストンは、頭部を以ってハウジングの
シリンダボアに挿入されている。ピストンは、首部に内
装されたシューを介して斜板に連結されている。そし
て、外部駆動源による駆動軸の回転駆動により、斜板及
びシューを介してピストンが往復直線運動されること
で、シリンダボア内において冷媒ガスの圧縮が行われ
る。
【0004】図11(a)に示すように、油掻き溝102b
は、ピストン101 の頭部外周面102aにおいて、その周方
向に沿って環状に形成されている。油掻き溝102bは、ピ
ストン101 の往復直線運動により、シリンダボアの内面
に付着された、冷媒ガス中に含まれて移動して来た潤滑
油を掻き集める。長穴状をなす油送溝102cは、頭部外周
面102aにおいて油掻き溝102b付近から首部103 に向かっ
て、ピストン101 の軸線方向に延設されている。油送溝
102cは、油掻き溝102bにて掻き集められた潤滑油をクラ
ンク室に導く。これら油掻き溝102b及び油送溝102cを備
えることで、ピストン101 の往復直線運動を利用して、
クランク室の各摺動部分に対して十分な量の潤滑油を供
給するようになっている。
【0005】なお、ピストン101 の頭部外周面102aに
は、上述した油掻き溝102b及び油送溝102cを形成する以
外にも、つまり、シリンダボアからクランク室への給油
を主目的とした溝を形成する以外にも、シリンダボアか
らクランク室へのブローバイガスの量を調節するための
溝や、ピストンリングを備える場合には、ピストンリン
グの嵌合固定用の溝を形成することもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図11
(b)に示すように、前記油掻き溝102b及び油送溝102c
は、ピストン101 の頭部102 に対して素地の段階で形成
されている(ブローバイガス調節用の溝やピストンリン
グ用の溝も同様である)。従って、特に、ピストン101
の軽量化のために頭部102 を中空状に構成した場合、油
掻き溝102b及び油送溝102cの形成箇所が他の箇所と比較
して肉薄となっていた。その結果、油掻き溝102b及び油
送溝102cの形成箇所を、所定の強度を維持した肉厚とす
るには、頭部102 の多くを占める他の箇所を必要以上に
肉厚としなくてはならず、ピストン101の軽量化が阻害
されていた。
【0007】また、ピストン101 を鍛造や鋳造により製
造し、油掻き溝102b及び油送溝102cを金型段階で形成し
た場合、例えば、油掻き溝102b及び油送溝102cの深さや
幅を変更するには金型の変更が必要であった。
【0008】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その目的は、素地に
溝を形成しなくとも良い、溝を有するピストン及びピス
トンに対する溝の形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明では、ハウジングに形成されたシリン
ダボアに収容される頭部の外周面に溝を有するピストン
において、前記頭部の外周面にはコート層が形成され、
頭部素地の外周面において溝の形成予定地とこの形成予
定地の周囲の部分とに形成予定地が小となるようにコー
ト層の膜厚に差を付けることで、形成予定地に溝が出現
されたピストンである。
【0010】請求項2の発明では、前記溝の形成予定地
にはコート層が形成されていない。請求項3の発明で
は、前記コート層は、転写手段によってコーティング材
料を塗布することで形成されている。
【0011】請求項4の発明では、ハウジングに形成さ
れたシリンダボアに収容されるピストンの頭部の外周面
に溝を形成する溝の形成方法であって、前記頭部の外周
面にコート層を形成し、このコート層の形成の際、頭部
素地の外周面において溝の形成予定地と形成予定地の周
囲の部分とに形成予定地が小となるようにコート層の膜
厚に差を付けることで、形成予定地に溝を出現させる溝
の形成方法である。
【0012】請求項5の発明では、前記溝の形成予定地
にはコート層を形成しないものである。請求項6の発明
では、前記コート層の形成は、転写手段によってコーテ
ィング材料を塗布することでなされている。
【0013】(作用)上記構成の請求項1及び4の発明
においては、ピストン素地の段階では、頭部外周面には
溝の形成予定地が存在するのみで、溝として成立してい
ない。従って、特に、ピストンの頭部を中空状に構成し
た場合においても、溝の形成予定地が他の箇所と比較し
て肉薄となることはない。その結果、頭部の多くを占め
る他の箇所を必要以上に肉厚としなくとも良く、ピスト
ンの軽量化を達成できる。
【0014】請求項2及び5の発明においては、溝の形
成予定地はシリンダボアの内面と摺動することはなく、
この形成予定地にコート層を形成する必要性はほとんど
ない。従って、溝の形成予定地にコート層を形成しない
ことは、コーティング材料の浪費を抑えることにつなが
る。
【0015】請求項3及び6の発明においては、コーテ
ィング材料を所定の部位にのみ塗布することができ、例
えば、スプレーコーティング法等のように、周囲にコー
ティング材料が飛散される無駄を回避できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、車両空調装置に
用いられる片頭ピストン式の可変容量型圧縮機において
具体化した第1及び第2実施形態について説明する。な
お、第2実施形態においては第1実施形態との相違点に
ついてのみ説明し、第1実施形態と同一又は相当部材に
は同じ番号を付して説明を省略する。
【0017】(第1実施形態)図1に示すように、フロ
ントハウジング11は、センタハウジングとしてのシリ
ンダブロック12のフロント側の端部に接合固定されて
いる。リヤハウジング13は、シリンダブロック12の
リヤ側の端部に弁・ポート形成体14を介して接合固定
されている。フロントハウジング11、シリンダブロッ
ク12及びリヤハウジング13が、圧縮機のハウジング
を構成する。
【0018】クランク室15は、フロントハウジング1
1とシリンダブロック12とに囲まれて区画形成されて
いる。駆動軸16は、クランク室15を通るようにフロ
ントハウジング11とシリンダブロック12との間で回
転可能に架設支持されている。図示しないが、駆動軸1
6は、外部駆動源としての車両エンジンに電磁クラッチ
等のクラッチ機構を介して作動連結されている。従っ
て、駆動軸16は、車両エンジンの起動時において電磁
クラッチの接続により回転駆動される。
【0019】回転支持体17は、クランク室15におい
て駆動軸16に止着されている。カムプレートとしての
斜板18は、駆動軸16に傾動可能に支持されている。
ヒンジ機構19は回転支持体17と斜板18との間に介
在されている。斜板18は、回転支持体17に対するヒ
ンジ機構19を介したヒンジ連結により、駆動軸16と
一体回転可能であるとともに駆動軸16に対して傾動可
能である。
【0020】シリンダボア12aは、シリンダブロック
12において駆動軸16の軸線L周りに複数(図面中に
は一個所のみ示す)が貫設形成されている。複数の片頭
型のピストン20は各シリンダボア12aに収容されて
いる。ピストン20はシュー21を介して斜板18に係
留されている。従って、駆動軸16の回転運動は、斜板
18及びシュー21を介して、ピストン20のシリンダ
ボア12aでの往復運動に変換される。
【0021】吸入室27及び吐出室28は、リヤハウジ
ング13にぞれぞれ区画形成されている。吸入ポート2
9、吸入弁30、吐出ポート31及び吐出弁32は、そ
れぞれ弁・ポート形成体14に形成されている。そし
て、吸入室27の冷媒ガスは、ピストン20の復動動作
により吸入ポート29及び吸入弁30を介してシリンダ
ボア12aに吸入される。シリンダボア12aに吸入さ
れた冷媒ガスは、ピストン20の往動動作により所定の
圧力となるまで圧縮され、吐出ポート31及び吐出弁3
2を介して吐出室28に吐出される。
【0022】給気通路33は吐出室28とクランク室1
5を接続する。抽気通路34はクランク室15と吸入室
27とを接続する。容量制御弁35は電磁弁よりなり、
給気通路33上に介在されている。容量制御弁35は、
給気通路33を開閉する弁体35aと、励磁・消磁に基
づいて弁体35aを動作させるソレノイド35bとを備
えている。
【0023】そして、容量制御弁35により給気通路3
3の開度を変更することで、クランク室15への吐出冷
媒ガスの導入量が変更され、シリンダボア12aからの
ブローバイガスの量及び冷媒ガスの抽気通路34を介し
た吸入室27への逃がし量との関係から、クランク室1
5の圧力が変更される。従って、クランク室15の圧力
とシリンダボア12aの圧力とのピストン20を介した
差が変更され、斜板18の傾角が変更される。その結
果、ピストン20のストローク量が変更され、吐出容量
が調節される。
【0024】次に、前記ピストン20の構成について詳
述する。図2(a)及び図2(b)に示すように、前記
ピストン20は、シリンダボア12aに挿入される有蓋
円筒状をなす頭部22と、シリンダボア12aの外方
(クランク室15)に位置する首部23とが接合され、
従って、頭部22が中空状をなしている。ピストン20
(頭部22及び首部23)は、例えば、鉄系の金属材料
と比較して軽量なアルミニウム合金等のアルミニウム系
の金属材料により構成され、鍛造や鋳造等によって製造
されている。一対のシュー座23aは首部23の内側に
凹設されている。一対のシュー21は首部23に内装さ
れており、それぞれ対応するシュー座23aによって球
面受けされている。斜板18は、その外周部の表裏面が
シュー21によって摺動可能に狭持されている。
【0025】前述した冷媒ガス中には潤滑油が含まれて
いる。シリンダボア12aに吸入された冷媒ガスから
は、慣性や比重差等によって潤滑油が分離される。油掻
き溝22bは、ピストン20の頭部外周面22aにおい
て環状に形成されている。油掻き溝22bはピストン2
0が往復運動されることで、シリンダボア12aの内面
に付着された潤滑油を掻き集める。直線状をなす油送溝
22cは、ピストン20の頭部外周面22aにおいて、
油掻き溝22b付近から首部23に向かって軸線L方向
に延設されている。油送溝22cは、油掻き溝22bに
て掻き集められた潤滑油をクランク室15に導くための
ものである。
【0026】なお、頭部外周面22aにおいて油掻き溝
22bと油送溝22cとは接続されていないが、これ
は、本実施形態の構成の圧縮機の場合、好適なクランク
室15の圧力調節、つまり、好適な容量制御のために
は、両溝22b,22cを接続した場合よりも、シリン
ダボア12aからクランク室15へのブローバイガスの
量を少なくする必要があったからである。
【0027】このように、油掻き溝22b及び油送溝2
2cを頭部22に形成することで、ピストン20の往復
運動を利用して、シリンダボア12aの潤滑油をクラン
ク室15に積極供給するようになっている。つまり、ク
ランク室15には、詳述しないベアリングや駆動軸16
を封止する軸封部材、斜板18とシュー21及びシュー
21とピストン20のシュー座23aの各間等の摺動部
分が存在するからである。
【0028】図2(a)において点描にて示すように、
コート層Cは、ピストン20の頭部外周面22aに被膜
形成されている。コート層Cは、フッ素樹脂としてのP
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の固体潤滑材
により構成されている。コート層Cは20μm〜80μ
mの厚みを有する。コート層Cが形成された頭部外周面
22aは、素地の場合よりも摩擦係数が小さくなり、ピ
ストン20(頭部外周面22a)とシリンダブロック1
2(シリンダボア12aの内面)の低摩擦摺動性及び耐
久性が向上される。
【0029】さて、図2(b)に示すように、前記油掻
き溝22b及び油送溝22cは、ピストン20が素地2
0W(コート層Cの形成前)の段階では頭部外周面22
aに出現されておらず、従って、頭部外周面22aには
周囲と同一円筒面上にある、言い換えれば、深さがなく
溝として成立していない、油掻き溝22b及び油送溝2
2cの形成予定地Yが存在するのみである。しかし、前
記油掻き溝22b及び油送溝22cは、コート層Cの形
成の後には頭部外周面22aにおいて形成予定地Yに出
現し、溝として成立されることになる。つまり、本実施
形態において油掻き溝22b及び油送溝22cは、頭部
外周面22aにおいてそれらの形成予定地Yにコート層
Cを形成しないことで、言い換えれば、形成予定地Yに
被膜形成されるコート層Cの膜厚をゼロとすることで、
形成予定地Yの周囲に形成されたコート層Cの膜厚との
厚み差で形成されている。
【0030】図2(b)の拡大円中に示すように、前記
油掻き溝22b及び油送溝22cにおいて、ピストン2
0の往復移動方向に向かう縁部は、曲面Rに処理されて
いる。なお、図2において油掻き溝22b及び油送溝2
2cの深さ、つまり、コート層Cの膜厚は、理解を容易
とするために誇張して描いてある。
【0031】次に、前記油掻き溝22b及び油送溝22
cの形成方法について説明する。図3は、ロールコーテ
ィング装置41を模式的に示している。ロールコーティ
ング装置41は、コーティング材料Zが貯留された材料
パン42と、材料パン42のコーティング材料Z中に一
部が没入されたメタルロール43と、コンマロール44
と、合成ゴム製の転写ロール45と、ピストン素地20
Wを回転可能に保持するワークホルダ46と、各ロール
43〜45及びワークホルダ46をそれぞれ回転駆動す
る駆動部47とを備えている。前記コーティング材料Z
は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の固体
潤滑材料を主として、バインダ樹脂等の接着剤、Nメチ
ルピロリドン等の溶剤及び充填剤等が含まれている。
【0032】さて、前記駆動部47を起動して各ロール
43〜45及びワークホルダ46(ピストン素地20
W)を回転させると、材料パン42中のコーティング材
料Zがメタルロール43に付着される。メタルロール4
3に付着されたコーティング材料Zは、コンマロール4
4により膜厚が調節された後、転写ロール45へ移動さ
れる。転写ロール45に移動されたコーティング材料Z
は、それに圧接されるピストン素地20Wの頭部外周面
22aにのみ転写・塗布される。
【0033】ここで、図4に示すように、前記転写ロー
ル45は、その外周面45aに油掻き溝形成用凹部45
bが周方向に環状に形成されている。転写ロール45
は、その外周面45aに油送溝形成用凹部45cが、油
掻き溝形成用凹部45b付近から軸線方向に延設されて
いる。そして、転写ロール45の外周面45aは、油掻
き溝形成用凹部45b及び油送溝形成用凹部45cにお
いては、ピストン素地20Wの頭部外周面22aに接触
されない。つまり、ピストン素地20Wの頭部外周面2
2aにおいて、転写ロール45の油掻き溝形成用凹部4
5b及び油送溝形成用凹部45cが対応される部分(油
掻き溝22b及び油送溝22cの形成予定地Y)には、
コーティング材料Zが塗布されない。
【0034】前記駆動部47はシンクロ機構を有し、特
に、油送溝形成用凹部45cと油送溝22cの形成予定
地Yとがずれないように、転写ロール45とワークホル
ダ46とを同期して回転駆動する。
【0035】コーティング材料Zが頭部外周面22aに
塗布されたピストン素地20Wは、ワークホルダ46か
ら取り外され、乾燥工程においてコーティング材料Z中
の溶剤が除去されるとともに、焼成工程において焼成さ
れる。なお、油掻き溝22b及び油送溝22cにおいて
縁部の曲面Rは、焼成工程の後の研磨によって形成され
ている。
【0036】上記構成の本実施形態においては次のよう
な効果を奏する。 (1)ピストン素地20Wの頭部外周面22aにおい
て、油掻き溝22b及び油送溝22cの形成予定地Yと
この形成予定地Yの周囲の部分とに形成予定地Yが小と
なるようにコート層Cの膜厚に差を付けることで、形成
予定地Yに油掻き溝22b及び油送溝22cが出現され
ている。つまり、油掻き溝22b及び油送溝22cは、
ピストン素地20Wの段階ではその形成予定地Yが存在
するのみで、溝として成立していない。従って、特に、
本実施形態のようにピストン素地20Wの頭部22を中
空状に構成した場合においても、油掻き溝22b及び油
送溝22cの形成箇所が他の箇所と比較して肉薄となる
ことはない。その結果、頭部22の多くを占める他の箇
所を必要以上に肉厚としなくても良く、ピストン20の
軽量化を達成できる。
【0037】また、本実施形態とは油掻き溝22b及び
油送溝22cの深さを変更する場合には、ロールコーテ
ィング装置41の調節でコート層Cの膜厚を変更するこ
とにより、容易に対応することができる。さらに、本実
施形態とは油掻き溝22b及び油送溝22cの幅を変更
したり、図7〜図10に示すような溝を形成する場合に
おいても、ロールコーティング装置41の転写ロール4
5をそれ用に取り替えるのみで容易に対応することがで
きる。このように、溝の形態を変更した場合においても
ピストン素地20Wに変更はなく、本実施形態のピスト
ン20用の製造金型をそのまま使用することができて、
汎用性が高められる。
【0038】(2)油掻き溝22b及び油送溝22c
は、ピストン素地20Wの頭部外周面22aにおいてそ
れらの形成予定地Yにコート層Cを形成しないことで形
成されている。油掻き溝22b及び油送溝22cの形成
予定地Yはシリンダボア12aの内面に摺動することは
なく、この形成予定地Yにコート層Cを形成する必要性
はほとんどない。従って、油掻き溝22b及び油送溝2
2cの形成予定地Yにコート層Cを形成しないことは、
コーティング材料Zの浪費を抑えることにつながり、ひ
いてはピストン20の単価低減につながる。
【0039】(3)コート層Cは、転写法によってコー
ティング材料Zを塗布することで形成されている。従っ
て、コート層Cを形成したくない部位、例えば、頭部2
2において油掻き溝22b及び油送溝22cの形成予定
地Yや、首部23においてシュー座23a等にマスキン
グしなくとも、頭部外周面22aにのみコーティング材
料Zを塗布することが可能である。従って、マスクをピ
ストン20に対して着脱する工程を削除できるし、コー
ティング材料Zの無駄な使用が回避される。また、例え
ば、スプレーコーティング法のように、コーティング作
業中にコーティング材料Zが周囲に飛散されないため、
装置41の周囲に防護壁等の周辺設備を必要としない。
以上のように、コート層Cを低コストでピストン20に
形成でき、ひいてはピストン20が組み込まれる圧縮機
を安価に提供することが可能となる。
【0040】(4)油掻き溝22b及び油送溝22cに
おいて、ピストン20の往復移動方向に向かう縁部は曲
面Rに処理されている。従って、ピストン20の往復移
動にともなう、シリンダボア12aの内面に対するコー
ト層Cの角当たりを防止できる。その結果、コート層C
は、その剥がれ等を防止できて耐久性が高められる。
【0041】(5)下記第2実施形態にて説明するスク
リーン印刷装置51のスクリーン53は、ある程度の印
刷回数をこなした後には、網目に目詰まりが生じる等し
て新しいものと取り替える必要があり、一般に消耗品と
考えられている。しかし、ロールコーティング装置41
の転写ロール45は、清掃等のメンテナンスを定期的に
行うことにより、長期に渡って同一のものを継続使用可
能である。従って、装置41のランニングコストは低い
ものとなる。
【0042】(第2実施形態)図5及び図6においては
第2実施形態を示す。本実施形態は、ロールコーティン
グ装置41に代えてスクリーン印刷装置51を用いるこ
とで、コーティング材料Zを、ピストン素地20Wの頭
部外周面22aに対して塗布する点が上記第1実施形態
とは異なる。
【0043】前記スクリーン印刷装置51は、ピストン
素地20Wを回転可能に保持するワークホルダ52と、
網目(転写パターン)53aを備えたスクリーン53
と、スクリーン53を直線移動させるとともにワークホ
ルダ52を回転駆動するための駆動部54と、スクリー
ン53の上面に当接可能なスキージ55とを備えてい
る。
【0044】さて、コーティング材料Zを、ピストン素
地20Wにおいて頭部外周面22aに塗布するには、先
ず、図示しない供給手段によりスクリーン53の上面に
コーティング材料Zを供給する。そして、駆動部54の
起動によりワークホルダ52を回転させるとともに、ス
クリーン53をスライド移動させる。この時、スキージ
55がスクリーン53の上面に当接され、スキージ55
と頭部外周面22aとの間でスクリーン53が狭持され
た状態となる。従って、コーティング材料Zがスキージ
55によりスクリーン53に押し付けられ、スクリーン
53の網目53aを通過されて、ピストン素地20Wの
頭部外周面22aにのみ塗布される。
【0045】ここで、図6に示すように、前記スクリー
ン53の網目53aは、ピストン素地20Wの頭部外周
面22aにおいて、油掻き溝22b及び油送溝22cの
形成予定地Yを避けるようにして形成されている。つま
り、スクリーン53には、油掻き溝形成用マスク部53
bと油送溝形成用マスク部53cとが形成されている。
そして、駆動部54はシンクロ機構を有し、特に、油送
溝形成用マスク部53cと油送溝22cの形成予定地Y
とがずれないように、ワークホルダ52とスクリーン5
3とを同期して駆動する。
【0046】従って、ピストン素地20Wの頭部外周面
22aにおいて、油掻き溝形成用マスク部53b及び油
送溝形成用マスク部53cが対応される部分(油掻き溝
22b及び油送溝22cの形成予定地Y)には、両マス
ク部53b,53cがコーティング材料Zを通過させな
いことで、コーティング材料Zの塗布が回避される。そ
の結果、上記第1実施形態と同様にして、コート層Cの
形成の後には、油掻き溝22b及び油送溝22cが頭部
外周面22aの形成予定地Yに出現し、溝として成立さ
れることとなる。
【0047】本実施形態においても、上記第1実施形態
の(1)〜(4)と同様な効果を奏する。なお、本発明
の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施でき
る。
【0048】○図7に示すように、上記各実施形態のピ
ストン20において、油送溝22cを油掻き溝22bに
接続すること。このようにすれば、油掻き溝22bにて
掻き集められた潤滑油を、スムーズかつ確実にクランク
室15に供給することができる。
【0049】○図8に示すように、ピストン20の頭部
外周面22aに形成される溝としては、上記実施形態の
油掻き溝22b及び油送溝22c以外にも、つまり、シ
リンダボア12aからクランク室15への給油を主目的
とした溝以外にも、シリンダボア12aからクランク室
15へのブローバイガスの量の調節を主目的とした、ブ
ローバイ調節用溝22dが挙げられる。ブローバイ調節
用溝22dは、ピストン20の頭部外周面22aにおい
て、先端から基端にかけて直線状に形成され、シリンダ
ボア12aとクランク室15とを連通する。そして、前
記ブローバイ調節用溝22dを、上記第1実施形態或い
は第2実施形態のようにして形成すること。
【0050】○図9に示すように、複数のブローバイ調
節用溝22dを、上記第1実施形態或いは第2実施形態
のようにして形成すること。複数のブローバイ調節用溝
22dは、ピストン20の軸線回りに等間隔で形成され
ている。
【0051】○図10に示すように、ピストン20の軸
線に対して傾斜し、互いの中央部でクロスした2本のブ
ローバイ調節用溝22dを、上記第1実施形態或いは第
2実施形態のようにして形成すること。ブローバイ調節
用溝22dをピストン20の往復移動方向に傾斜させる
ことで、シリンダボア12aの内面に付着された潤滑油
を掻き集める効果が奏され、クランク室15への給油の
面からも有効となる。
【0052】○ピストン素地20Wにおいて、油掻き溝
22b及び油送溝22cの形成予定地Yにもコート層C
を形成する。そして、この形成予定地Yにおけるコート
層Cの膜厚を、その周囲のコート層Cの膜厚よりも薄く
することで、油掻き溝22b及び油送溝22cを形成す
ること。
【0053】○ピストン素地20Wに対するコーティン
グ材料Zの塗布に、スプレーコーティング法や浸漬塗布
法を用いること。 ○コート層Cを形成する材料としては、PTFE以外に
も、例えば、二硫化モリブデンにグラファイトを混合し
たものやスズメッキ等、コート層Cを形成する以前より
も、ピストン20の頭部22とシリンダボア12aの内
面との低摩擦摺動性及び耐摩耗性を向上し得る材料であ
ればなんでも良い。
【0054】○ピストンリングを備えたピストンにおい
て具体化すること。この場合、ピストンリングが嵌合固
定されるリング溝を、ピストン素地においてリング溝の
形成予定地とこの形成予定地の周囲の部分とのコート層
Cの膜厚差で出現させるようにしても良い。
【0055】○片頭ピストン式の固定容量型圧縮機に用
いられるピストンにおいて具体化すること。 ○両頭ピストン式の固定容量型圧縮機に用いられる両頭
型のピストンにおいて具体化すること。
【0056】○前述した固定容量型圧縮機において、カ
ムプレートをウエーブカムとすること。 ○油圧ポンプやエアポンプ等のピストン式ポンプのピス
トンにおいて具体化すること。
【0057】○レシプロタイプの内燃機関のピストンに
おいて具体化すること。上記実施形態から把握できる技
術的思想について記載する。 (1)前記頭部22は中空状をなす請求項1〜3のいず
れかに記載のピストン。
【0058】このようにすれば、溝22b,22cの形
成箇所が他の箇所と比較して肉薄となることはなく、頭
部22の多くを占める他の箇所を必要以上に肉厚としな
くとも良くなって、ピストン20の軽量化を達成でき
る。
【0059】(2)前記溝22b、22cにおいて、ピ
ストン20の往復移動方向に向かう縁部は曲面Rに処理
されている請求項1〜3のいずれかに記載のピストン。
このようにすれば、ピストン20の往復移動にともな
う、シリンダボア12aの内面に対するコート層Cの角
当たりを防止でき、コート層Cの耐久性が高められる。
【0060】
【発明の効果】上記構成の本発明によれば、ピストン素
地の頭部外周面において、溝の形成予定地とこの形成予
定地の周囲の部分とに形成予定地が小となるようにコー
ト層の膜厚に差を付けることで、形成予定地に溝が出現
されている。つまり、溝は、ピストン素地の段階ではそ
の形成予定地が存在するのみで、溝として成立していな
い。従って、特に、ピストン素地の頭部を中空状に構成
した場合においても、溝の形成箇所が他の箇所と比較し
て肉薄となることはない。その結果、頭部の多くを占め
る他の箇所を必要以上に肉厚としなくとも良く、ピスト
ンの軽量化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 片頭ピストン式の可変容量型圧縮機の縦断面
図。
【図2】 (a)ピストンの斜視図、(b)ピストンの
要部拡大断面図。
【図3】 ロールコーティング装置の模式図。
【図4】 ロールコーティング装置において、転写ロー
ル及びピストン素地のみを示す正面図。
【図5】 第2実施形態を示すスクリーン印刷装置の模
式図。
【図6】 スクリーン印刷装置において、スクリーン及
びピストン素地のみを示す平面図。
【図7】 別例を示すピストンの斜視図。
【図8】 別例を示すピストンの斜視図。
【図9】 別例を示すピストンの斜視図。
【図10】 別例を示すピストンの斜視図。
【図11】 (a)従来のピストンを示す斜視図、
(b)ピストンの要部拡大断面図。
【符号の説明】
12…ハウジングを構成するシリンダブロック、12a
…シリンダボア、20…ピストン、20W…ピストン素
地、22…頭部、22a…外周面、22b…溝としての
油掻き溝、22c…同じく油送溝、C…コート層、Y…
形成予定地。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村尾 和重 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H003 AA03 AC03 BD10 CB00 CC06 CC11 3H076 AA06 BB17 BB41 CC17 CC31 CC84

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングに形成されたシリンダボアに
    収容される頭部の外周面に溝を有するピストンにおい
    て、 前記頭部の外周面にはコート層が形成され、頭部素地の
    外周面において溝の形成予定地とこの形成予定地の周囲
    の部分とに形成予定地が小となるようにコート層の膜厚
    に差を付けることで、形成予定地に溝が出現されたピス
    トン。
  2. 【請求項2】 前記溝の形成予定地にはコート層が形成
    されていない請求項1に記載のピストン。
  3. 【請求項3】 前記コート層は、転写手段によってコー
    ティング材料を塗布することで形成された請求項1又は
    2に記載のピストン。
  4. 【請求項4】 ハウジングに形成されたシリンダボアに
    収容されるピストンの頭部の外周面に溝を形成する溝の
    形成方法であって、 前記頭部の外周面にコート層を形成し、このコート層の
    形成の際、頭部素地の外周面において溝の形成予定地と
    形成予定地の周囲の部分とに形成予定地が小となるよう
    にコート層の膜厚に差を付けることで、形成予定地に溝
    を出現させる溝の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記溝の形成予定地にはコート層を形成
    しない請求項4に記載のピストン。
  6. 【請求項6】 前記コート層の形成は、転写手段によっ
    てコーティング材料を塗布することでなされる請求項4
    又は5に記載の溝の形成方法。
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