JP2000120080A - 中空筒状体およびその構築方法 - Google Patents

中空筒状体およびその構築方法

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JP2000120080A
JP2000120080A JP10292449A JP29244998A JP2000120080A JP 2000120080 A JP2000120080 A JP 2000120080A JP 10292449 A JP10292449 A JP 10292449A JP 29244998 A JP29244998 A JP 29244998A JP 2000120080 A JP2000120080 A JP 2000120080A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高層ビルや橋脚のなどの構造物の基礎とし
て、地中に構築される中空筒状体1には、構造物に対す
る外力として、地震による慣性力や風の力が加わった場
合に、水平方向の力のみならず鉛直方向の力、すなわち
引き抜き力が加わる。そのとき、中空筒状体が地中から
引き抜かれてしまわないよう、周辺地盤との密着性を大
きくする。 【解決手段】 中空筒状体1に予め形成された複数の貫
通孔を貫通して、複数の棒状体19を周辺地盤に挿入す
る。棒状体19の基部は、中空筒状体の内側に打設され
る鉄筋コンクリートに、埋め込まれ、固定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高層ビルや橋脚
のなどの構造物の基礎として地中に構築される中空筒状
体の構造、および該中空筒状体の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、高層ビルや橋脚などの構造物
の基礎として、地中に中空筒状体を構築し、内部にコン
クリートを打設する場合がある。この構築は、複数のピ
ース部材を連結した中空筒状体を縦にして、上方から圧
入力を加えて沈設し、且つ、中空筒状体の内部の地盤を
掘削することによって行われる。あるいは、圧入力は加
えずに、中空筒状体の内部の地盤を掘削し、その掘削し
た分だけ、中空筒状体の下端にピース部材を連結してい
く。
【0003】前者の構築を採用する工法として、アーバ
ンリング工法、あるいはセグメント圧入工法などと呼ば
れるものがある。圧入オープンケーソン工法もこのうち
に入る。また、後者の構築を採用する工法として、ライ
ナープレートを用いる深礎工法と呼ばれるものがある。
【0004】そして、構造物に対する外力として、地震
による慣性力や風の力が加わった場合には、基礎として
の中空筒状体には、水平方向の力や鉛直方向の力が加わ
る。このうち、鉛直方向の上向きの力、すなわち引き抜
き力が加わった場合に、中空筒状体が地中から引き抜か
れてしまわないか否かは、中空筒状体と周辺地盤との密
着性に関係する。
【0005】従来は、この密着性を大きくするために、
中空筒状体と周辺地盤との間に充填剤を注入していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この充填剤の
効果は、地盤の性質など種々の条件によるものであり、
一定していなかった。特に、圧入オープンケーソン工法
などの場合で、中空筒状体と周辺地盤との間に積極的に
隙間を形成させ、これにより圧入力を軽減させる場合が
あるが、その場合には、充填剤の効果は、さらに小さく
なることがある。
【0007】すなわち、中空筒状体の下端にフリクショ
ンカットと呼ばれる、外側へリング状に拡径した部分を
形成し、これにより、中空筒状体を圧入する際には、こ
の拡径の分だけ、中空筒状体と周辺地盤との間に隙間を
積極的に形成することができる。この隙間により、周辺
地盤に対する中空筒状体の摩擦は小さくなり、その分、
圧入力は軽減されることになる。しかし、その形成され
た隙間の分だけ、充填剤が大量に必要になり、隙間が大
きくなりすぎている場合などの部分には充填剤が効か
ず、効果が小さくなる。
【0008】従って、実際の施工工事における評価にお
いても、一般的には、充填剤であるコンタクトグラウト
を注入すれば、中空筒状体の周面摩擦力度の向上が見込
めると評価されるものの、耐引き抜き力に関しては、中
空筒状体と周辺地盤との密着性を簡便に評価することが
難しく、中空筒状体と周辺地盤との間の摩擦力によって
鉛直荷重、すなわち引き抜き力を分担支持することを設
計に評価・反映できなかった。
【0009】そのため、摩擦力を大きくするために摩擦
面を増大させ、あるいは全体の重量を増大させて引き抜
き力を分担支持する必要があり、中空筒状体の径と深さ
が過大となる傾向があり、経済的に最適な材料設計とな
らなかったのみならず、費用、工期、周辺への影響など
において、工事に余分な負担がかかっていた。
【0010】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、周辺地盤との密着性を安定的に向上さ
せ、引き抜き力に対する十分な耐力を得ることができる
中空筒状体およびその構築方向を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、第一の発明は、構造物の基礎として、複数のピー
ス部材(3)を連結して地中に縦方向に構築する中空筒
状体(1)において、前記中空筒状体に形成された複数
の貫通孔(17)と、この貫通孔を貫通して周辺地盤に
挿入された複数の棒状体(19)と、前記中空筒状体に
引き抜き力が働いた場合に前記棒状体に働く曲げモーメ
ントに対抗するため、前記棒状体の基部を前記中空筒状
体に固定する曲げモーメント対抗手段と、を有すること
を特徴とする中空筒状体(1)である。
【0012】第二の発明は、さらに、前記曲げモーメン
ト対抗手段は、前記棒状体(19)の基部が埋め込ま
れ、中空筒状体(1)の内側に打設されたコンクリー
ト、または鉄筋コンクリート(29、35)であること
を特徴とする中空筒状体である。
【0013】第三の発明は、さらに、前記鉄筋は、中空
筒状体の内側に略同心状に配置された鉄筋籠(29)で
あり、この鉄筋籠に前記棒状体の基部が固定されている
ことを特徴とする中空筒状体である。
【0014】第四の発明は、さらに、前記棒状体(1
9)は、地中に地盤改良剤を注入できるよう内径が8m
m以上のバイプ状であることを特徴とする中空筒状体で
ある。
【0015】第五の発明は、さらに、前記貫通孔(1
7)は、ピース部材に予め形成されていることを特徴と
する中空筒状体である。
【0016】第六の発明は、さらに、構造物の基礎とし
て、複数のピース部材(3)を連結して地中に構築する
中空筒状体(1)の構築方法において、縦穴を掘削しつ
つ中空筒状体を該縦穴内に順次配置する工程と、この配
置が完了した後に前記中空筒状体の内側に鉄筋籠(2
9)を略同心状に配置する工程と、前記中空筒状体に形
成された貫通孔(17)に棒状体(19)を貫通させ周
辺地盤に挿入する工程と、前記棒状体の基部を鉄筋籠に
固定する工程と、前記鉄筋籠の内側に内型枠(31)を
配置する工程と、前記筒状体と内型枠との間にコンクリ
ート(35)を打設する工程と、を有してなることを特
徴とする中空筒状体の構築方法である。
【0017】なお、以上の用語の末尾に付した( )内
の番号は、発明の理解を容易にするために、発明の実施
の形態における図中で対応する部分を示すものである
が、用語の解釈を、その番号の部分に限定するものでは
ない。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を、図1乃
至図6において説明する。図1の全体図に示すように、
この中空筒状体1は、鋼製セグメントであり、多数のピ
ース部材3が連結されて構成される。すなわち、中空筒
状体1を筒体の軸方向に複数のリング状に分割し、且
つ、このリングを更に周方向に分割した形状を有するピ
ース部材3を、周方向や軸方向に連結しながら中空筒状
体1を構成し、地中への圧入や内部での掘削を行う。
【0019】図3に、このようなピース部材3の一種で
ある鋼製セグメントピースを示す。この鋼製セグメント
ピースは、主桁5、継手板7、縦リブ9、スキンプレー
ト11を有して構成される。
【0020】すなわち主桁5は、筒体の周方向に長く、
上下一対が略平行に配置される。この両主桁5の両端部
を、左右一対が略平行に配置される継手板7によって接
続する。更に、主桁5の中央部分には、複数の略平行な
縦リブ9が接続される。そして、これら主桁5、継手板
7、及び縦リブ9の外側にスキンプレート11が張り渡
される。これら各部材5、7、9、11の接合は溶接に
よって行われる。
【0021】また、主桁5と継手板7とにはボルト孔1
3が形成され、隣接する鋼製セグメントピース同士が前
記ボルト孔13を連通させボルト14(図4)を締結す
ることで連結される。なお、図示の鋼製セグメントピー
スには、継手板7の中央部分を接続する補強桁15が主
桁5と平行に設けられる。
【0022】さて、図3、図4、図5、または図6に示
すように、以上のような鋼製セグメントピースのスキン
プレート11には、所定の場所に予め貫通孔17が形成
される。この貫通孔17には、スキンプレート11の内
側からシール用のキャップ20が、予めピース部材3の
出荷時から取り付けられている。貫通孔17の内周面に
は、雌ネジ17Aが形成され、キャップ20の外周面に
形成された雄ネジ20Aと螺合する。キャップ20のフ
ランジ20Bには、スキンプレート11に面する側にO
リング20Cが取り付けられ、周辺地盤からの地下水な
どを封じる構成になっている。
【0023】そして、現場において、キャップ20が取
り除かれた貫通孔17を貫通して、周辺地盤に棒状体1
9が挿入される。すなわち、棒状体19は、先端部側が
貫通孔17を貫通し、基部側には雄ネジ21が形成され
ている。この基部は、ピース部材3のスキンプレート1
1と同じ曲率のペアリングプレート21、ベベルワッシ
ャー23、ナット25に通され、ナット25の締込みに
より、固定される。この際、雄ネジ21を形成した棒状
体の基部は、後述するように鉄筋籠の鉄筋にとめて固定
し、将来鉄筋コンクリートとなる部分に入れる。
【0024】また、棒状体19は、内径が8mm以上の
バイプ状であり、内部を通して地盤改良剤、例えば棒状
体19を地盤に定着するためのグラウトなどを注入でき
る。この実施形態における具体的な寸法は、長さが、1
500mmで、外径が35mmで、地盤には長さ100
0mmを略水平に挿入する。
【0025】(構築手順)以上説明した中空筒状体1で
ある鋼製セグメントを地中に構築する手順を、図2をも
とにして、以下説明する。
【0026】まず、同図(A)に示すように、縦穴27
を掘削しつつ中空筒状体1をその縦穴27内に順次配置
する。すなわち、ピース部材3をリング状に連結し、短
い中空筒状体1にして地表に縦置きした後に、中空筒状
体1の内部を掘削する。そして、上方から、中空筒状体
1に圧入力を加え、地中に沈設する。次ぎに、この沈設
した分だけ、中空筒状体1の上端に、次のピース部材3
を連結し、中空筒状体1の長さを長くし、圧入力を加
え、地中に沈設する。これを繰り返して、地中の所定の
深さまで、中空筒状体1を長く延ばし配置する。
【0027】次に、同図(B)に示すように、配置が完
了した中空筒状体1の内側に筒状の鉄筋籠29を、中空
筒状体1と同心状に配置する。配置した鉄筋籠29は、
中空筒状体1の内側に連結する。この連結は、主桁5、
継手板7、縦リブ9、補強桁15に対して行うことがで
きるほか、後述するように棒状体19の基部に対して行
うことができる。
【0028】そして、中空筒状体1を構成するピース部
材3に形成された貫通孔17から、キャップ20を外
す。貫通孔17とキャップ20は、予め多めに設けてお
くことができる。使わない貫通孔17は、キャップ20
をしたままにする。地下水のある場所で、地下水や土砂
の侵入が不都合な場合、事前に貫通孔17にキャップ2
0をしておく必要がある。
【0029】周辺地盤が固いなどの場合には、棒状体1
9を挿入する前に、地盤に対し、キャップ20を外した
貫通孔17を通して、ドリルなどにより穿孔作業を行
い、この穿孔に棒状体19を挿入する。地盤がある程度
柔らかく、棒状体19を直接に地盤に打込むことができ
る場合には、穿孔作業は不要である。
【0030】周辺地盤がかなり柔らかい場合には、パイ
プ状の棒状体19を直接に打ち込み、パイプ状の中空部
から、棒状体19を地盤に定着するためのグラウトなど
を注入する。また、中空筒状体1と周辺地盤の間に、コ
ンタクトグラウトを注入することもできる。これらの注
入のためにパイプ状の内径は8mm以上とし、地盤改
【0031】なお、地盤改良剤には、セメントモルタル
型、セメントミルクで急結剤併用型、樹脂型、発泡性の
樹脂型などがある。
【0032】棒状体19は貫通孔17を貫通させ、周辺
地盤に挿入した後に、基部を鉄筋籠29に固定する。す
なわち、基部を、鉄筋籠29に接触あるいは近接する部
分で、針金により固定する。スキンプレート11には、
ワッシャー23およびナット25で固定したので、この
棒状体19の基部は、二箇所で固定され、さらに後述す
るように打設されるコンクリートに埋め込まれるので、
十分に固定され、大きな曲げモーメントにも対抗でき
る。なお、以上の固定により、鉄筋籠29は棒状体19
を介して中空筒状体1に連結されることになる。
【0033】棒状体19の基部の長さ寸法は、鉄筋籠2
9を通ってコンクリート層の内面へ飛び出さないよう
に、定めておく。この基部の寸法が長すぎると、後述す
る内型枠の設置などの作業の妨げになる。棒状体19本
数は、ピース部材一つあたり2〜4本(この実施形態で
は4本)が望ましい。中空筒状体1全体では、略放射状
に、あたかもハリネズミのように多数本が設けられるこ
とになる。
【0034】次に、同図(C)に示すように、配置した
鉄筋籠29の内側に、中空筒状の内型枠31を配置す
る。この内型枠31は、合板あるいは波形鋼板などを組
み立て構成しても良い。鉄筋籠29と内型枠31は連結
される。
【0035】そして、同図(D)に示すように、そし
て、中空筒状体1と内型枠31との間に形成される空間
33にコンクリート35を打設する。コンクリートが十
分に養生されたら、内型枠31を撤去する。もっとも、
この撤去は行わなくても良い。このコンクリートの養生
により、コンクリート製筒体37(図6)が中空筒状体
1と同心に一体的に設けられることになる。
【0036】(実施形態の効果)以上の実施形態によれ
ば、以下の作用効果を得る。周辺地盤に挿入された複数
の棒状体19によって、中空筒状体1は周辺地盤との密
着性を安定的に向上できる。
【0037】すなわち、現実問題としては、従来の充填
剤を用いての中空筒状体と周辺地盤との直接の密着性は
効果の評価が難しいとされるので、中空筒状体1と周辺
地盤とを棒状体19を介して積極的に密着させるもので
ある。
【0038】特に、工法によっては、中空筒状体と周辺
地盤との間に積極的に隙間を形成させ、これにより圧入
力を軽減させる場合があるが、その場合にも、十分に長
い棒状体19を用いることで、密着性を向上できる。ま
た、周辺地盤の性質など種々の条件にそれほど関わら
ず、中空筒状体は周辺地盤との密着性を安定的に向上で
きる。
【0039】また、中空筒状体1は、仮設構造物であっ
ても、建物の基礎として設置後に撤去されないものとす
ることにより、構造体として有効な力学性能を有するも
のになるので、前記向上した密着性の効果は、最終構造
物に作用する外力に対して有効に働く。さらに、中空筒
状体1が仮設構造物でなく、本体構造物として使われる
場合は本体構造体としての性能が加わり、前記向上した
密着性の効果は、なおさら有効に働くものと評価される
と考えられる。
【0040】また、棒状体19は、スキンプレート11
にナット25で固定するのみならず、鉄筋籠29に固定
し、よって、二箇所で固定することになり、また基部の
全体がコンクリートによって固定されるので、大きな曲
げモーメントにも対抗できる。
【0041】すなわち、中空筒状体1に上向きの引き抜
き力F(図6)が働くと、周辺地盤から棒状体19には
下向きの大きな力が働くが、この下向きの力は、棒状体
19の基部に大きな曲げモーメントMを生じる。そし
て、棒状体19の基部は十分に固定されているので、こ
の大きな曲げモーメントMに耐えられ、斜めに傾いたり
しない。このため、密着性を十分に維持できる。
【0042】また、棒状体19の固定は、中空筒状体1
の内側に打設されたコンクリート35によって主に行わ
れるので、あらたに曲げモーメント対抗する手段を設け
なくても済み、よってコストを押さえられる。
【0043】また、棒状体19が貫通する貫通孔17
は、ピース部材3に予め工場で形成されてくるので、現
場での作業が容易となる。
【0044】(他の実施形態)以上の実施形態において
は、中空筒状体として鋼製セグメントが用いられ、地中
に圧入されて構築されるものであったが、他の実施形態
においては、中空筒状体を圧入力を加えずに地中に構築
するものとしても良い。
【0045】すなわち、例えば、中空筒状体としてコン
クリートセグメントを用い、コンクリートセグメントの
自重により、地中に沈設されるものとしても良い。
【0046】あるいは、中空筒状体としてライナープレ
ートを用い、圧入力は加えずに、中空筒状体の内部の地
盤を掘削し、その掘削した分だけ、中空筒状体の下端
に、ライナーピースと呼ばれるピース部材を連結してい
くものとしても良い。
【0047】以上の実施形態においては、内型枠31を
用いたが、他の実施形態において、中空筒状体1内にコ
ンクリートを全面打設する場合には、内型枠31は用い
ない。以上の実施形態においては、棒状体19を略水平
方向に設けるものとしたが、他の実施形態では、この方
向に限定するものではない。すなわち、斜め上方あるい
は斜め下方であっても良い。中空筒状体1の引抜き抵抗
力を向上するためには、棒状体19は鉛直方向に一直線
状に配置されない方が好ましい。
【0048】以上の実施形態においては、棒状体19の
形状はパイプ状であったが、他の実施形態では、その断
面(水平方向の断面)が円形でなくとも、閉じた断面で
あればよい。すなわち、棒状体は地盤条件等によりきめ
られ、ツイスト棒鋼、異形棒鋼、全ねじ棒鋼を使うこと
ができる。
【0049】また、棒状体19にスエレックスボルト
(市販品の名前)を使うことで、より効果的な定着をす
ることもできる。すなわち、ボルト(鋼管)を300k
g/cm2のような高圧水で膨張成形して、あらかじめ
穿孔してある孔に定着するものを使用できる。
【0050】以上の実施形態においては、鉄筋籠29は
一重であったが、他の実施形態においては、二重とし、
棒状体19の基部は、二重の鉄筋籠に固定されることに
することもできる(図8)。二重に固定することで、引
き抜き力によって棒状体19に生じる大きな曲げモーメ
ントMに、より有効に耐えられる。
【0051】以上の実施形態においては、キャップ20
は単なる盲栓であったが、他の実施形態においては、逆
止弁41が設けられたキャップ20(図7)を用いるこ
とができる。逆止弁41の働きにより、中空筒状体1の
内部に溜まった地下水は、外の地盤に排出でき、外の地
下水等が内部に浸入するのは防止できる。以上の実施形
態においては、圧入時に貫通孔17を仮に塞いでおくた
めにキャップ20を用いたが、他の実施形態では、樹脂
で仮に塞いでおき、後に樹脂をドリル等で破って開口さ
せても良い。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、第一乃至第九の発
明のうちいずれか1つの発明によれば、周辺地盤に挿入
された複数の棒状体によって、中空筒状体は周辺地盤と
の密着性を安定的に向上できる。また、各棒状体は、曲
げモーメント対抗手段によって基部が中空筒状体に固定
されているので、引き抜き力によって各棒状体に生じる
大きな曲げモーメントに耐えられる。
【0053】また、第二の発明によれば、さらに、前記
曲げモーメント対抗手段は、前記棒状体の基部が埋め込
まれ、中空筒状体の内側に打設されたコンクリート、ま
たは鉄筋コンクリートであることから、コストを押さえ
られる。
【0054】また、第三の発明によれば、さらに、棒状
体の基部は、鉄筋籠に固定されることになり、引き抜き
力によって各棒状体に生じる大きな曲げモーメントに、
より有効に耐えられる。
【0055】また、第四の発明によれば、さらに、前記
棒状体は、内径が8mm以上のバイプ状とすることか
ら、この棒状体の内部を通して、地中に地盤改良剤を注
入でき、周辺地盤との密着性をより向上できる。
【0056】また、第五の発明によれば、さらに、棒状
体が貫通する貫通孔は、ピース部材に予め形成されてい
るので、現場での作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る中空筒状体の全体
斜視図である。
【図2】(A)(B)(C)(D)は図1の中空筒状体
を構築する構築手順を示す図である。
【図3】図1の中空筒状体を構成するピース部材1を示
す斜視図である。
【図4】図3のピース部材に設けられた貫通孔の働きを
説明するために、要部を拡大し一部を切り欠いて示す拡
大斜視図である。
【図5】図4の貫通孔を塞ぐキャップを説明するもので
あり、 (A)は縦断面図 (B)は(A)のキャップのみの縦断面図 (C)は(B)のキャップの正面図である。
【図6】図4の棒状体の働きを示す縦断面側面図であ
る。
【図7】図4の貫通孔を塞ぐキャップの他の変形例を示
すものであり、 (A)は縦断面図 (B)は(A)のキャップのみの縦断面図 (C)は(B)のキャップの正面図である。
【図8】他の実施形態を示すもので、図6に対応する図
である。
【符号の説明】
1 中空筒状体 3 ピース部材 5 主桁 7 継手板 9 縦リブ 11 スキンプレート 13 ボルト孔 14 ボルト 15 補強桁 17 貫通孔 19 棒状体 20 キャップ 21 ペアリングプレート 23 ベベルワッシャー 25 ナット 27 縦穴 29 鉄筋籠 31 内型枠 33 空間 35 コンクリート 37 コンクリート製筒体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の基礎として、複数のピース部材
    を連結して地中に縦方向に構築する中空筒状体におい
    て、 前記中空筒状体に形成された複数の貫通孔と、この貫通
    孔を貫通して周辺地盤に挿入された複数の棒状体と、前
    記中空筒状体に引き抜き力が働いた場合に前記棒状体に
    働く曲げモーメントに対抗するため、前記棒状体の基部
    を前記中空筒状体に固定する曲げモーメント対抗手段
    と、を有することを特徴とする中空筒状体。
  2. 【請求項2】 前記曲げモーメント対抗手段は、前記棒
    状体の基部が埋め込まれ、中空筒状体の内側に打設され
    たコンクリート、または鉄筋コンクリートであることを
    特徴とする請求項1に記載の中空筒状体。
  3. 【請求項3】 前記鉄筋は、中空筒状体の内側に略同心
    状に配置された鉄筋籠であり、この鉄筋籠に前記棒状体
    の基部が固定されていることを特徴とする請求項2に記
    載の中空筒状体。
  4. 【請求項4】 前記棒状体は、地中に地盤改良剤を注入
    できるよう内径が8mm以上のパイプ状であることを特
    徴とする請求項1、2、または3に記載の中空筒状体。
  5. 【請求項5】 前記貫通孔は、ピース部材に予め形成さ
    れていることを特徴とする請求項1、2、3、または4
    に記載の中空筒状体。
  6. 【請求項6】 構造物の基礎として、複数のピース部材
    を連結して地中に構築する中空筒状体の構築方法におい
    て、 縦穴を掘削しつつ中空筒状体を該縦穴内に順次配置する
    工程と、この配置が完了した後に前記中空筒状体の内側
    に鉄筋籠を略同心状に配置する工程と、前記中空筒状体
    に形成された貫通孔に棒状体を貫通させ周辺地盤に挿入
    する工程と、前記棒状体の基部を鉄筋籠に固定する工程
    と、前記鉄筋籠の内側に内型枠を配置する工程と、前記
    筒状体と内型枠との間にコンクリートを打設する工程
    と、を有してなることを特徴とする中空筒状体の構築方
    法。
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