JP2000119585A - フィルム用コ―ティング剤 - Google Patents

フィルム用コ―ティング剤

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JP2000119585A JP11153798A JP15379899A JP2000119585A JP 2000119585 A JP2000119585 A JP 2000119585A JP 11153798 A JP11153798 A JP 11153798A JP 15379899 A JP15379899 A JP 15379899A JP 2000119585 A JP2000119585 A JP 2000119585A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスバリヤー性に優れたコーティングフ
ィルムを得ることが可能なフィルム用コーティング剤を
提供する。 【解決手段】 炭素数が4以下のα−オレフィン単位を
3〜19モル%含有する水溶性ポリビニルアルコール系
重合体からなるフィルム用コーティング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸素ガスバリヤー性
に優れたコーティングフィルムを得ることが可能なフィ
ルム用コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素ガスバリヤー性フィルムおよびそれ
を用いた包装材としては、各種のものが知られている。
アルミニウム(以下「Al」と略記する。)箔は、完璧
な酸素ガスバリヤー性を有しているが、それ単独ではピ
ンホールが生じ易いため、ラミネートフィルムの中間層
として使用されている。しかしながら、Al箔をラミネ
ートしたフィルムは、不透明なため内容物が見えにく
く、焼却後に残さとして残り、また金属探知器による金
属類の混入が検知できないという問題がある。
【0003】その他の酸素ガスバリヤー性フィルムとし
ては、ポリ塩化ビニリデン(以下「PVDC」と略記す
る。)フィルムおよびPVDCをコーティングしたフィ
ルムが知られている。PVDCは吸湿性が殆どなく、高
湿下でも良好なガスバリヤー性を有するため、種々の基
材にコーティングされている。PVDCがコーティング
されている基材としては、二軸延伸ポリプロピレン(以
下「OPP」と略記する。)、二軸延伸ナイロン(以下
「ON」と略記する。)、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレート(以下「OPET」と略記する。)、セロファ
ンなどのフィルムが使用されている。しかしながら、P
VDCがラミネートされたフィルムは、一般廃棄物とし
て焼却される時に塩化水素ガスを生じるという問題があ
る。
【0004】また、酸素ガスバリヤー性フィルムとして
は、完全けん化の未変性ポリビニルアルコール(以下
「PVA」と略記する。)フィルムも知られている。P
VAフィルムは吸湿量が少ない場合には酸素ガスバリヤ
ー性が非常に良いが、吸湿性が激しく、相対湿度が70
%程度以上になると酸素ガスバリヤー性が急激に低下す
る。また、PVAフィルムは、基材フィルムに用いられ
るOPPやOPETとの接着性が低いという問題があ
る。PVAの吸湿性を改良するため、エチレンを20モ
ル%以上共重合させたエチレン・ビニルアルコール共重
合体(以下「EVOH」と略記する。)を用いたり、P
VAフィルムの両面にPVDCをコーティングするなど
の提案がある。しかしながら、EVOHをコーティング
する場合には表面平滑性が不良になり、またPVDCを
コーティングしたものは焼却時に塩化水素ガスが発生す
るという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸素
ガスバリヤー性に優れたコーティングフィルムを得るこ
とが可能なフィルム用コーティング剤を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはPVDCに
代わる材料で、水性コーティングが可能なガスバリヤー
性樹脂について鋭意検討した結果、炭素数が4以下のα
−オレフィン単位を3〜19モル%含有する水溶性PV
A系重合体からなるフィルム用コーティング剤を見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のPVA系重合体は、炭素
数が4以下のα−オレフィン単位を3〜19モル%含有
する水溶性PVA系重合体である。本発明における「水
溶性PVA系重合体」とは、該PVA系重合体が水に溶
解するか、又は低級脂肪族アルコールを50重量%以下
含有する水性溶液に溶解することを意味する。α−オレ
フィンの種類としては、エチレンおよびプロピレンが好
ましい。炭素数が4以下のα−オレフィン単位の含有量
は、3〜19モル%であり、好ましくは5〜16モル
%、さらに好ましくは7〜14モル%である。含有量が
3モル%未満では高湿時において良好なバリヤー性が得
られず、19モル%を越える場合には表面平滑性が不良
になる。
【0008】本発明のPVA系重合体のけん化度は、9
0〜99.99モル%が好ましく、より好ましくは97
〜99.95モル%、さらに好ましくは99〜99.9
0モル%である。けん化度が99.99モル%を越える
ものは工業的に得ることが困難であり、水溶液の表面に
皮張りが生じ易くなる。また、けん化度90モル%未満
では十分なバリヤー性が得られにくい。
【0009】本発明のPVA系重合体の重合度は、20
00以下が好ましく、より好ましくは1000以下、さ
らに好ましくは600以下、特に好ましくは100〜4
00である。重合度が2000を越える場合には、水溶
液の粘度が高くなりすぎて塗工性が低下する。重合度が
100未満の場合には強度が低下し、ピンホールが生じ
易くなる。なお、PVA系重合体の重合度は、JIS
K6726に基づき測定した値である。
【0010】本発明のPVA系重合体は、炭素数が4以
下のα−オレフィンを3〜19モル%含有すると共に、
シリル基含有単位を5モル%以下含有するPVA系重合
体がより好ましい。シリル基含有単位の含有量は5モル
%以下であり、好ましくは3モル%以下、さらに好まし
くは0.1モル%〜1.5モル%である。シリル基含有
単位の含有量が5モル%を越えるとPVA系重合体水溶
液の安定性が著しく低下する。本発明のPVA系重合体
は、従来公知の方法により得られる。
【0011】本発明のPVA系重合体には、酢酸ナトリ
ウムが0.01〜2重量%含まれているのが好ましい。
酢酸ナトリウムの含有量としては、好ましくは0.02
〜1重量%、さらに好ましくは0.03〜0.5重量
%、特に好ましくは0.03〜0.45重量%である。
酢酸ナトリウムの含有量が0.01〜2重量%の範囲か
ら外れる場合には、十分なバリヤー性が得られにくい。
【0012】本発明のフィルム用コーティング剤は、下
記に示す特定の方法で測定した酸素透過量を有するもの
が好ましい。酸素透過量の測定は、本発明のフィルム用
コーティング剤を製膜して得られたフィルムを空気中で
熱処理(好ましくは140〜240℃、より好ましくは
160〜200℃、モデルテストの場合には180℃;
好ましくは10〜300秒間、より好ましくは30〜1
80秒間、モデルテストの場合には120秒間)し、2
0℃、85%RHで調湿した後、フィルムの酸素透過量
を測定し、それをフィルム用コーティング剤の厚みを2
0μmに換算した酸素透過量である。また、既に積層体
の形態になっている場合には、該積層体の酸素透過量を
測定し、フィルム用コーティング剤の厚みを20μmに
換算した酸素透過量である。なお、積層体の場合には何
らかの熱処理が施されたことによりガスバリヤー性が発
現していることから、酸素透過量の測定に際して、さら
に熱処理する必要はない。また、フィルム用コーティン
グ剤からなるフィルムの酸素ガスバリヤーに比較して、
基材フィルムの酸素ガスバリヤー性は非常に低いことか
ら、積層体の酸素ガスバリヤー性はフィルム用コーティ
ング剤からなるフィルムの酸素ガスバリヤー性により実
質的に決まる。したがって、積層体の場合であっても、
フィルム用コーティング剤の厚みを20μmに換算した
酸素透過量を算出することが可能である。以下、特に断
りのない限り、酸素透過量とは、フィルム用コーティン
グ剤の厚みを20μmに換算した酸素透過量を意味す
る。上記の方法で測定された酸素透過量は15cc/m
・day・atm以下であるような酸素ガスバリヤー
性を有するものが好ましく、好ましくは10cc/m
・day・atm以下であり、さらに好ましくは5cc
/m・day・atm以下である。フィルム用コーテ
ィング剤の酸素ガスバリヤー性は、PVA系重合体のα
−オレフィン単位の含有量、けん化度、酢酸ナトリウム
の含有量などを前述の好適範囲に設定することにより、
顕著に向上する。
【0013】フィルム用コーティング剤を塗工する基材
フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエス
テルフィルム、ポリアミドフィルムなどが挙げられる。
ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルムおよび
ポリアミドフィルムなどの基材フィルムには、珪素(S
i)を含有させることが好ましい。珪素の含有量は2重
量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下、
より好ましくは0.1〜0.5重量%である。珪素含有
量が0.1〜2重量%の場合には、ポリオレフィンフィ
ルム、ポリエステルフィルムおよびポリアミドフィルム
とフィルム用コーティング剤からなるフィルムとの接着
性が向上する。珪素は、通常シリカ化合物の形態で添加
され、酸化珪素、アルキルシリケートなどの公知のシリ
カ化合物が用いられる。これらの中でも、コロイダルシ
リカ(SiO2)が好適に用いられる。基材フィルムへのシ
リカ化合物の添加方法は、基材フィルムの製膜時に予め
樹脂中に混合する方法が一般的である。基材フィルムの
厚み(延伸する場合には最終的な厚み)としては、5〜
100μmが好ましい。
【0014】本発明のフィルム用コーティング剤を用い
て得られる積層体は、炭素数が4以下のα−オレフィン
単位を3〜19モル%含有する水溶性PVA系重合体か
らなる層(A)およびポリオレフィン、ポリエステルま
たはポリアミドからなる層(B)を有することを特徴と
する積層体であるが、特に、下記の測定法による、層
(A)の表面1cm当りの凹凸の山の高さの合計が50
μm以下である表面平滑度を有する積層体が好ましい。 [表面平滑度の測定法]基材フィルム上に本発明のPV
A系重合体をコーティングし、乾燥して積層体を得る。
次に「万能表面形状測定器」[SE−3C、(株)小坂
研究所 製]を用い、PVA系重合体コーティング面の
表面平滑性を測定する。得られたチャートから、1cm
当りの凹凸の山の高さの合計を測定し、「表面平滑度」
とする。
【0015】本発明のフィルム用コーティング剤を基材
フィルムに塗布して積層体を得るには、フィルム用コー
ティング剤を単独で用いても良いが、耐水性を付与する
目的で架橋剤を併用するのが好ましい。架橋剤として
は、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アルデヒ
ド化合物、シリカ化合物、アルミ化合物、ジルコニウム
化合物、硼素化合物などが挙げられる。これらの中で
も、コロイダルシリカ、アルキルシリケートなどのシリ
カ化合物が好ましい。架橋剤の添加量は、PVA系重合
体100重量部に対して通常5〜60重量部であり、好
ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは15〜3
0重量部である。架橋剤の添加量が60重量部を越える
場合は、バリヤー性に悪影響を与えることがある。
【0016】フィルム用コーティング剤を基材フィルム
に塗布して積層体を得る際には、通常フィルム用コーテ
ィング剤の水溶液の形態で塗布される。水溶液の濃度は
特に制限はないが、5〜50重量%が好ましい。濃度が
5重量%未満では乾燥負荷が大きくなり、50重量%を
越える場合は水溶液粘度が高くなり塗工性が低下する。
【0017】フィルム用コーティング剤の水溶液を塗布
する際には、界面活性剤、レベリング剤等を添加しても
良い。また、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコールなどの低級脂肪族アルコールを50重量%程度
まで添加しても良い。低級脂肪族アルコールを添加する
ことにより、塗工性が向上する。また、フィルム用コー
ティング剤の水溶液には、防黴剤、防腐剤などを添加す
ることができる。フィルム用コーティング剤の水溶液の
塗工時の温度は、20〜80℃が好ましい。塗工方法
は、グラビアロールコーティング法、リバースグラビア
コーティング法、リバースロールコーティング法、マイ
ヤーバーコーティング法が好適に用いられる。フィルム
用コーティング剤の水溶液の塗工方法としては、基材フ
ィルムの延伸や熱処理をした後に塗工する方法、塗工し
た後に延伸や熱処理する方法が挙げられる。これらの方
法の中でも、作業性を考慮すると、基材フィルムを一段
延伸した後、水溶性PVA系重合体の水溶液を塗布した
後、さらに二段延伸を行い、その二段延伸中または二段
延伸後に熱処理をする方法が好ましい。フィルム用コー
ティング剤の厚み(延伸する場合には最終的な厚み)
は、0.1〜20μmが好ましく、0.1〜9μmが特
に好ましい。
【0018】本発明の積層体の製造方法においては、フ
ィルム用コーティング剤水溶液を塗工した後の乾燥条件
も重要であり、ポリオレフィン、ポリエステルまたはポ
リアミドからなるフィルムの表面に、炭素数が4以下の
α−オレフィン単位を3〜19モル%含有する水溶性P
VA系重合体水溶液を塗工した後、蒸発速度2〜200
0g/m・minで乾燥することが好ましい。特に好
ましい乾燥条件は、蒸発速度50〜500g/m・m
inである。
【0019】フィルム用コーティング剤からなるフィル
ム層と基材フィルム層との間には、接着性を向上させる
目的で、接着性成分層を形成せしめてもよい。接着成分
は、フィルム用コーティング剤の水溶液を塗工する前
に、基材フィルムの表面に塗布したり、フィルム用コー
ティング剤の水溶液中に混合して使用することができ
る。
【0020】ガスバリヤー性積層体フィルムは、通常P
VA系重合体フィルム層の上に、さらにヒートシール樹
脂層が形成される。ヒートシール樹脂層の形成は、通常
押し出しラミネート法あるいはドライラミネート法によ
りなされる。ヒートシール樹脂としては、HDPE,L
DPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オ
レフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などが使
用できる。
【0021】延伸の有無および熱処理温度などには特に
制限はないが、通常、フィルム用コーティング剤を塗工
した後、延伸されたポリオレフィンフィルム、ポリエス
テルフィルム、ポリアミドフィルムなどのそれぞれの樹
脂に適した温度で、空気中などで熱処理される。熱処理
温度は、ポリオレフィンフィルムの場合には140℃〜
170℃であり、ポリエステルフィルムおよびポリアミ
ドフィルムの場合には140℃〜240℃である。フィ
ルム用コーティング剤からなるフィルム層の熱処理は、
通常、基材フィルムと同時に熱処理される。なお、DS
Cにより求められるPVA系重合体の融点(Tm)(単
位:℃)に応じて、熱処理温度を変更するのが好まし
い。熱処理温度(T)(単位:℃)としては、下記の式
(1)を満足する範囲が好ましく、下記の式(2)を満
足する範囲が特に好ましい。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
【0024】
【実施例】本発明を実施例および比較例により具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、以下の実施例および比較例において、「部」
および「%」は特に断りのない限り、重量基準を意味す
る。また、PVAコーティングフィルム(基材とPVA
との積層体)の酸素透過量(OTR)(単位:cc/m
・day・atm)は、該積層体を温度20℃,相対
湿度85%の状態で5日間調湿した後、測定した。以下
の表に示す酸素透過量とは、フィルム用コーティング剤
の厚みを20μmに換算した値である。
【0025】実施例1〜20、比較例1 イソプロピルアルコールを7%(但し、実施例2、3、
18、19はイソプロピルアルコールの含有量は0%
[つまり水のみ]、実施例4、5、6、7、17はイソ
プロピルアルコールの含有量が20%)含有する水中
に、表1に示すPVAを攪拌しながら徐々に投入し、均
一に分散させた後、約95℃に加熱して完全に溶解させ
た。濾過をした後、冷却して、濃度20%(但し、実施
例16および17の場合には濃度5%)のPVA水溶液
を調製した。グラビアコーターを用いて、表2に示す厚
み15μmの基材フィルムの表面に、上記で得られたP
VA溶液を50℃でコーティングし、120℃で乾燥し
た後、表2に示す温度で120秒間の熱処理を空気中で
行った。PVAコーティング層の厚みは2.0μmであ
った。PVAコーティングフィルム(基材とPVAとの
積層体)の酸素透過量を表2に示す。
【0026】比較例2 PVA水溶液をキャスト製膜して得られたPVAフィル
ムを、イソシアネート系接着剤を用いて、表1に示す厚
み15μmの基材フィルムに、ドライラミネート法で積
層したこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得
た。PVAコーティング層の厚みは2.0μmであっ
た。積層体の酸素透過量を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】実施例21〜27、比較例3〜4 PVA水溶液に、表3に示す架橋剤を添加したこと以外
は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。PVAコー
ティング層の厚みは3.0μmであった。積層体の酸素
透過量を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】実施例28〜47 実施例1と同様の方法で表5に示すPVAの水溶液を調
製した(但し、実施例31、32、36、37、41、
42、46、47においては、イソプロピルアルコール
を7重量%含有する水の替わりに、イソプロピルアルコ
ールを20重量%含有する水を用いた)。次に、基材フ
ィルムとして厚み15μmのOPETを用い、グラビア
コーターにて上記PVA溶液を50℃でコーティング
し、120℃で乾燥した後、表6に示す温度で120秒
間の熱処理を空気中で行った。PVAコーティング層の
厚みは1.2μmであった。積層体の酸素透過量を表6
に示す。
【0033】実施例48〜51 実施例1と同様の方法で表5に示すPVAの水溶液を調
製した。次に、基材フィルムとして厚み15μmのOP
ETを用い、グラビアコーターにて上記PVA溶液を5
0℃でコーティングし、120℃で乾燥した後、表6に
示す温度で120秒間の熱処理を空気中で行った。PV
Aコーティング層の厚みは1.5μmであった。積層体
の酸素透過量を表6に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】実施例52 エチレン単位含量8モル%、けん化度98.8モル%、
重合度550の変性PVAを水中に投入し、均一に分散
させた後、約95℃に加熱して完全に溶解させた。濾過
した後、冷却して、濃度20%の水溶液を得た。グラビ
アコーターを用いて、厚み15μmのOPP基材フィル
ム上に50℃でコーティングし、100℃で乾燥した。
この時の蒸発速度は100g/m・minであった。
得られた積層フィルムの酸素透過量を測定した。次に、
得られた積層フィルムの表面平滑度を、万能表面形状測
定器[SE−3C;(株)小坂研究所 製]を用いて測
定し、1cm当りの凹凸の山の高さの合計を測定し、表
面平滑度(μm)とした。また、得られた積層フィルム
のPVAコーティング面に、ドライラミネート用接着剤
を1μmの厚みで塗布し、その上に、ラミネート用無延
伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネートし
た。得られたラミネートフィルムのCPP面を合わせ、
180℃でヒートシール性の試験を行った。結果を表7
に示す。
【0037】比較例5 けん化度98.3モル%、重合度500の未変性PVA
を用いた以外は、実施例52と同様に実験を行った。結
果を表7に示す。
【0038】比較例6 エチレン単位含量28モル%、けん化度99.7モル
%、重合度1000のエチレン−ビニルアルコール系共
重合体(EVOH)を用い、溶媒として水/n−プロピ
ルアルコール=5/5の混合溶媒を用いた以外は、実施
例52と同様に実験を行った。結果を表7に示す。
【0039】
【表7】
【0040】
【発明の効果】本発明によると、食品包装用フィルムな
どの包装用フィルムなどに好適な酸素ガスバリヤー性に
優れたコーティングフィルム(基材とPVAとの積層
体)が得られる。また、本発明により得られたコーティ
ングフィルムは、焼却時に有害な塩化水素ガスが生じな
い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が4以下のα−オレフィン単位を
    3〜19モル%含有する水溶性ポリビニルアルコール系
    重合体からなることを特徴とするフィルム用コーティン
    グ剤。
  2. 【請求項2】 水溶性ポリビニルアルコール系重合体が
    けん化度90〜99.99モル%の水溶性ポリビニルア
    ルコール系重合体である請求項1記載のフィルム用コー
    ティング剤。
  3. 【請求項3】 水溶性ポリビニルアルコール系重合体が
    酢酸ナトリウムを0.01〜2重量%含有する水溶性ポ
    リビニルアルコール系重合体である請求項1記載のフィ
    ルム用コーティング剤。
  4. 【請求項4】 水溶性ポリビニルアルコール系重合体が
    シリル基含有単位を5モル%以下含有する水溶性ポリビ
    ニルアルコール系重合体である請求項1記載のフィルム
    用コーティング剤。
  5. 【請求項5】 製膜して得られたフィルムを熱処理する
    ことにより20℃、85%RHで調湿した後のフィルム
    用コーティング剤の厚みを20μmに換算した酸素透過
    量が15cc/m・day・atm以下である酸素ガ
    スバリヤー性を有するフィルムを得ることが可能な請求
    項1記載のフィルム用コーティング剤。
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