JP2000118135A - 相変化形光記録媒体 - Google Patents

相変化形光記録媒体

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JP2000118135A JP10288492A JP28849298A JP2000118135A JP 2000118135 A JP2000118135 A JP 2000118135A JP 10288492 A JP10288492 A JP 10288492A JP 28849298 A JP28849298 A JP 28849298A JP 2000118135 A JP2000118135 A JP 2000118135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチスピードで記録・消去が可能な相変化
形光ディスクを提供する。 【解決手段】 基板/第1耐熱層/記録層/第2耐熱層
/反射放熱層/紫外線硬化樹脂の順に積層してなる相変
化光記録媒体において、記録層がAgαInβSbγ
δN/Oεで、0<α≦6、3≦β≦15、50≦γ
≦65、20≦δ≦35、0≦ε≦10、α+β+γ+
δ+ε=100であり、反射放熱層の少なくとも1層の
熱伝導率が0.5〜2.0W/cm・Kである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ビームを照射す
ることにより記録層材料に相変化を生じさせ、情報の記
録・再生を行い、かつ、書き換えが可能である相変化形
情報記録媒体に関し、光メモリー関連機器、特に書き換
え可能なコンパクトディスク(CD−RW)に応用され
るものである。
【0002】
【従来の技術】電磁波、特にレーザービームの照射によ
る記録、再生および消去可能な光メモリー媒体のひとつ
として、結晶−非結晶相間あるいは結晶−結晶相間の転
移を利用する、いわゆる相変化形記録媒体がよく知られ
ている。特に光磁気メモリーでは困雑な単一ビームによ
るオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系も
より単純であることなどから、最近その研究開発が活発
になっている。その代表的な記録材料として、USP3
530441に開示されているように、Ge−Te、G
e−Te−Sn、Ge−Te−S、Ge−Se−S、G
e−Se−Sb、Ge−As−Se、ln−Te、Se
−Te、Se−Asなどのいわゆるカルコゲン系合金材
料があげられる。また安定性、高速結晶化などの向上を
目的に、Ge−Te系にAu(特開昭61−21969
2号)、SnおよびAu(特開昭61−270190
号)、Pd(特開昭62−19490号)などを添加し
た材料の提案や、記録/消去のくり返し性能向上を目的
に、Ge−Te−Se−Sb、Ge−Te−Sbの組成
比を特定した材料(特開昭62−73438号、特開昭
63−228433号)の提案などもなされている。し
かし、そのいずれもが相変化形書換可能な光メモリー媒
体として要求される諸特性のすべてを満足しうるものと
はいえない。特に、記録感度、消去感度の向上、オーバ
ーライト時の消し残りによる消去比低下の防止、ならび
に記録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重要課題
となっている。
【0003】特開昭63−251290号では結晶状態
が実質的に3元以上の多元化合物単層からなる記録層を
具備した記録媒体が提案されている。ここで実質的に三
元以上の多元化合物単層とは三元以上の化学量論組成を
持った化合物(例えばIn3SbTe2)を記録層中に9
0原子%以上含むものとされている。このような記録層
を用いることにより記録、消去特性の向上が図れるとし
ている。しかしながら消去比が小さい、記録消去に要す
るレーザーパワーが未だ充分に低減されてはいないなど
の欠点を有している。
【0004】さらに、特開平1−277338号には
(SbaTe1-a1-yy(ここで0.4≦a≦0.7、
y≦0.2であり、MはAg、Al、As、Au、B
i、Cu、Ga、Ge、In、Pb、Pt、Se、S
i、Sn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1
種である。)で表される組成の合金からなる記録層を有
する光記録媒体が提案されている。この系の基本はSb
2Te3であり、Sb過剰にすることにより、高速消去、
繰り返し特性を向上させ、Mの添加により高速消去を促
進させている。加えて、DC光による消去比も大きいと
している。しかし、この文献にはオーバーライト時の消
去比は示されておらず(本発明者らの検討結果では消し
残りが認められた)、記録感度も不十分である。
【0005】同様に、特開昭60−177446号では
記録層に(In1-xSbx1-yy(0.55≦x≦0.
80、0≦y≦0.20であり、MはAu、Ag、C
u、Pd、Pt、Al、Si、Ge、Ga、Sn、T
e、Se、Biである。)なる合金を用い、また、特開
昭63−228433号では記録層にGeTe−Sb2
Te3−Sb(過剰)なる合金を用いているが、いずれ
も感度、消去比等の特性を満足するものではなかった。
【0006】加えて、特開平4−163839号には記
録薄膜をTe−Ge−Sb合金にNを含有させることに
よって形成し、特開平4−52188号には記録薄膜を
Te−Ge−Se合金にこれら成分のうちの少なくとも
一つが窒化物となっているものを含有させて形成し、特
開平4−52189号には記録薄膜がTe−Ge−Se
合金にNを吸着させることによって形成し、これら記録
薄膜をそれぞれ設けた光記録媒体が記載されている。し
かし、これらの光記録媒体でも十分な特性を有するもの
を得ることはできていない。これまでみてきたように、
光記録媒体においては、特に記録感度、消去感度の向
上、オーバーライト時の消し残りによる消去比低下の防
止、並びに記録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最
重要課題となっている。
【0007】一方、近年CD(コンパクトディスク)の
急速な普及にともない、一回だけの書き込みが可能な追
記型コンパクトディスク(CD−R)が開発され、市場
に普及されはじめた。しかし、CD−Rでは書き込み時
に一度でも失敗すると修正不可能なためそのディスクは
使用不能となってしまい廃棄せざるを得ない。したがっ
て、その欠点を補える書き換え可能なコンパクトディス
クの実用化が待望されていた。研究開発された一つの例
として、光磁気ディスクを利用した書き換え可能なコン
パクトディスクがあるが、オーバーライトの困難さや、
CD−ROM、CD−Rとの互換がとりにくい等といっ
た欠点を有するため、原理的に互換確保に有利な相変化
形光ディスクの実用化開発が活発化してきた。
【0008】相変化形光ディスクを用いた書き換え可能
なコンパクトディスクの研究発表例としては、古谷
(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予稿
集,70(1992)、神野(他):第4回相変化記録
研究会シンポジウム講演予稿集,76(1992)、川
西(他):第4回相変化記録研究会シンポジウム講演予
稿集,82(1992)、T.Handa(et a
l):Jpn.J.App1.Phys.,32(19
93)、米田(他):第5回相変化記録研究会シンポジ
ウム講演予稿集,9(1993)、富永(他):第5回
相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集,5(199
3)のようなものがあるが、いずれも、CD−ROMや
CD−Rとの互換性確保、記録消去性能、記録感度、書
き換えの繰り返し可能回数、再生回数、保存安定性等、
総合性能を充分満足させるものではなかった。それらの
欠点は、主に記録材料の組成、構造に起因する消去比の
低さによるところが大きかった。
【0009】これらの事情から消去比が大きく、高感度
の記録、消去に適する相変化形記録材料の開発、さらに
は高性能で書き換え可能な相変化形コンパクトディスク
が望まれていた。
【0010】本発明者等は、それらの欠点を解決する新
卒鞘として、AglnSbTe系記録材料を見出し提案
してきた。その代表例としては、特開平4−78031
号、特開平4−123551号、H.Iwasaki
(et al):Jpn.J.Appl.Phys.,
31(1992)461、井手(他):第3回相変化記
録研究会シンポジウム講演予稿集,102(199
1)、H.Iwasaki(et al):Jpn.
J.Appl.Phys.,32(1993)5241
等があげられる。また、1996年10月には、書き換
え可能なコンパクトディスク(CD−RW)の規格とし
て、オレンジブックパートIII(ver1.0)が発行
された。
【0011】しかし、オレンジブックパートIII(ve
r1.0)は、2X線速度記録(2.4〜2.8m/
s)のCD−RWに対する規格であるが、このような低
線速度の記録では、記録時間が長くかかってしまい、よ
り高速記録の書き換え可能なコンパクトディスクが望ま
れた。一方、CD−RWは、オーディオ用途として、1
X線速度記録媒体としても期待されている。これら種々
の記録線速度で用いられる記録媒体は、同一の記録媒体
で対応できることが望ましい。つまり、1X線速度、2
X線速度、4X線速度のマルチスピードで記録可能な記
録媒体が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】これらの開示技術によ
り、AgInSbTeを記録層とすることによって極め
て優れた性能を有する2X線速度で記録可能な相変化形
光記録媒体を獲得できることは既に明らかであったが、
CD−Rとの互換性確保等、上記総合性能を完璧に満足
し、多様な新たな市場を形成しえるに足るマルチスピー
ドで記録可能な相変化形光ディスクの作製技術を完成さ
せるためには、さらなる改良が望まれていた。したがっ
て、本発明の目的は、上記従来技術における問題をすべ
て解消し、速度が1.2m/sから5.6m/sの領域
で記録消去を行う最適な光記録媒体を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、前記目的に合致する相変化形光記録媒体を
見出した。
【0014】すなわち、本発明によれば、(1)円盤状
の基板上に第1耐熱層、記録層、第2耐熱層、反射放熱
層、紫外線硬化樹脂の順に積層してなる相変化形光記録
媒体において、記録層の構成元素が主にAg、In、S
b、TeおよびNあるいは0であり、それぞれの組成比
α、β、γ、δ、ε(原子%)が、 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦10 α+β+γ+δ+ε=100 であり、反射放熱層の少なくとも1層の熱伝導率が0.
5〜2.0W/cm・Kであることを特徴とするマルチ
スピード記最可能な相変化形光記録媒体、(2)反射放
熱層がAl合金からなり、その添加物および不純物が
1.5wt%以下であることを特徴とする(1)に記載
のマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体、
(3)反射放熱層が2層以上で構成されていることを特
徴とする(1)に記載のマルチスピード記録可能な相変
化形光記録媒体、(4)2層以上からなる反射放熱層に
おいて、第2耐熱層上の反射放射層より紫外線硬化樹脂
下の反射放熱層の方が熟伝導率が大きいことを特徴とす
る(3)に記載のマルチスピード記録可能な相変化形光
記録媒体、(5)第2耐熱層上の反射放熱層が窒素元素
を含有していることを特徴とする(4)に記載のマルチ
スピード記録可能な相変化形光記録媒体、(6)2層以
上からなる反射放熱層において、第2耐熱層上の反射放
熱層より紫外線硬化樹脂下の反射放熱層の方が熟伝導率
が小さいことを特徴とする(3)に記載のマルチスピー
ド記録可能な相変化形光記録媒体、(7)紫外線硬化樹
脂下の反射放熱層が窒素元素を含有していることを特徴
とする(6)に記載のマルチスピード記録可能な相変化
形光記録媒体、(8)記録層の結晶化温度が170〜2
20℃であることを特徴とする(1)に記載のマルチス
ピード記録可能な相変化形光記録媒体、(9)記録層の
融点が570〜620℃であることを特徴とする(8)
に記載のマルチスピード記録可態な相変化形光記録媒
体、(10)第1耐熱層と第2耐熱層の膜厚比(第2耐
熱層膜厚/第1耐熱層膜厚)が0.3〜0.4であるこ
とを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載のマ
ルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体、(11)
酸素元素の含有量が第2耐熱層より第1耐熱層の方が多
いことを特徴とする(10)に記載のマルチスピード記
録可能な相変化形光記録媒体、(12)記録線速度が、
1.2〜1.4m/sおよぴまたは2.4〜2.8m/
sおよびまたは4.8〜5.6m/sであることを特徴
とする(1)〜(11)のいずれかに記載のマルチスピ
ード記録可能な相変化形光記録媒体、が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1に示
す。基本的な構成は、案内溝を有する基板1上に第1耐
熱層2、記録層3、第2耐熱層4、反射放熱層5、オー
バーコート層6を有する。好ましくは、オーバーコート
層上に印刷層7、基板鏡面に、ハードコート層8を設け
ることもできる。さらに好ましくは、反射放熱層5が2
層(反射放射層a、b)以上から構成されている。
【0016】基板の材料は通常ガラス、セラミックス、
あるいは樹脂であり、樹脂基板が成型性、コストの点で
好適である。樹脂の例としてはポリカーボネート樹脂、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アク
リロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系
樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などがあげられるが、
成型性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネー
ト樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0017】ただし、本発明の光記録媒体を書き換え可
能なコンパクトディスク(CD−RW)に応用する場合
には、以下のような特定の条件が付与されることが望ま
しい。その条件は、使用する基板に形成される案内溝
(グルーブ)の幅が0.25〜0.65μm好適には
0.30〜0.60μm、その案内溝の深さが200〜
650Å、好適には250〜450Åとなっていること
である。基板の厚さは、特に制限されるものではない
が、1.2mm、0.6mmが好適である。
【0018】記録層としては、Ag、ln、Sb、Te
を含む4元系の相変化形記録材料を主成分として含有す
る材料が、記録(アモルファス化)感度・速度、消去
(結晶化)感度・速度、及び消去比が極めて良好なため
適している。
【0019】しかしながら、AgInSbTeは、その
組成比によって最適な記録線速度が存在する。そのた
め、目的とする記録線速度および線速度領域によって、
AgInSbTeの組成比を調整する必要がある。これ
までの検討の結果、AgInSbTe記録層のTeの組
成比が記録線速度に高い相関があることが分かってい
る。
【0020】図2に、種々の組成比を有するAgInS
bTeを記録層として作製した相変化形光ディスクの最
適記録線速度のTe組成比依存性を示す。層構成は、ハ
ードコート層3〜5μm/基板1.2mm/第1耐熱層
95nm/AgInSbTe25nm/第2耐熱層30
nm/反射放熱層140nm/オーバーコート層8〜1
0μmとした。記録は、NA0.50、λ780nmの
ピックアップを用い、EFM変調による記録をした。記
録パルスストラテジは、オレンジブックパートIIIに準
拠した。記録パワー、イレースパワー、バイアスパワー
は、13mW、6.5mW、1mWとした。最適記録線
速とは、オーバーライト回数がもっとも多くなる線速と
した。
【0021】図2に示すように、最適記録線速と記録層
のTe組成比がR2=0.9133の高い相関があるこ
とが分かった。この結果および実験精度±1at%を考
慮すると、記録線速がどんなに遅くとも(0m/s)、
Te組成比は35at%以下と推測される。CD線蓮1
X、2X、4X、8Xに対応した光記録媒体を得るため
には、その線速1.2〜1.4m/s、2.4〜2.8
m/s、4.8〜5.6m/s、9.6〜11.2に対
応するTe組成比は、33、30、27、20at%程
度と推測される。
【0022】一方、AgInSbTeを記録層とする相
変化形記録媒体は、それらの組成によって、保存信頼性
に影響を与える。Agが6at%を超えると、オーバー
ライトシェルフの劣化が顕著になる。つまり、製造後数
年たって、記録したときに十分な信号が記録できなくな
ってしまう。また、Inが15at%を超えるとアーカ
イバルの劣化が顕著になる。一方、3at%より少ない
と、記録感度の低下をもたらす。
【0023】Sbは、その組成比が大きい方が、オーバ
ーライトの綾り返し特性に優れるが、65at%を超え
るとアーカイバル劣化をもたらす。また、アーカイバル
劣化の低減に、Nおよびまたは0の添加が効果的であ
る。それによって、アモルファスマークが安定化され
る。それらのメカニズムの詳細は、必ずしも明確ではな
いが、膜中への適量の窒素混入により、膜密度の減少、
微小欠陥の増加等により、構造的には粗の方向に変化す
る。その結果、窒素無添加の状態に比べ、膜の秩序性が
緩和され、アモルファスから結晶への転移は抑制される
方向になる。したがって、アモルファスマークの安定性
が増し、保存寿命が向上する。NおよびOは、Teおよ
びまたはSbに結合していることがIRスペクトルから
明らかになっている。
【0024】好適なNおよびOの組成比は、10at%
以下である。10at%を超えると、記録層の窒化が進
み過ぎてしまい、結晶化が困難になる。その結果、初期
化不足や消去比の低減を生じてしまう。記録層へのN、
Oの導入はスパッタリング時のアルゴンガスに窒素ガス
や酸素ガスを0mol%以上10mol%以下混合した
ガスを用いることで得られる。また、窒素ガスとアルゴ
ンガスとの混合ガスを用いることにより記録層へのN、
Oの導入を可能にする。混合ガスは所望のモル比であら
かじめ混合したガスを用いても、チャンバー導入時に所
望のモル比になるように流量をそれぞれ調整してもよ
い。
【0025】さらに、NおよびOの添加効果の一つとし
て、最適記録線速度の制御法としても有効である。具体
的には、NおよびOの添加により、最適な記録線速度を
低線速度側に変化させることができる。これは、同一の
ターゲットを使っても、記録膜作製時のN2(O2/Ar
ガス混合比の制御のみで、相変化光ディスクの最適記録
線速度を調整することができる。
【0026】記録膜中のNおよびOの化学結合状態とし
ては、Ag、In、Sb、Teのいずれか一種以上と結
合していることが望ましいが、特に、Teに結合した状
態、具体的には、Te−N、Te−O、Sb−Te−N
といった化学結合が存在した時に、O/Wの繰り返し回
数の向上に、より効果が大きい。そのような化学結合状
態の分析手段としては、FT−IRやXPS等の分光分
析注が有効である。例えばFT−IRでは、Te−Nに
よる吸収帯は500〜600cm-1付近にそのピークを
もち、Sb-Te−Nは、600〜650cm-1付近に
そのピークが出現する。
【0027】さらに、本発明の記録層材料には、さらな
る性能向上、信頼性向上等の目的に他の元素や不純物を
添加することができる。一例としては、特願平4−14
88号に記載されている元素(B、N、C、P、Si)
やO、S、Se、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pd、Pt、Au等が
好ましい例として挙げられる。
【0028】本発明においては、記録層の組成は記録膜
を発光分析法により測定して得られる値を用いたが、そ
の他にもX線マイクロアナリシス、ラザフォード後方散
乱、オージェ電子分光、蛍光X線等の分光法が考えられ
る。その場合は、発光分光法で得られる値との比較検討
をする必要がある。また、一般に発光分析法の場合、測
定値のおよそ±5%は分析誤差と考えられる。2次イオ
ン質量分析法などの質量分析も有効である。
【0029】記録層中に含まれる物質の観測はX線回折
または電子線回折が適している。すなわち結晶状態の判
定として、電子線回折像でスポット状乃至およびまたは
デバイリング状のパターンが観測される場合には結晶状
態、リング状のパターン乃至ハローパターンが観測され
る場合には非結晶(アモルファス)状態とする。結晶子
径はX繰回折ピークの半値幅からシェラーの式を用いて
求めることができる。さらに、記録層中の化学結合状態
たとえば酸化物、窒化物等の分析には、FT−IR、X
PS等の分析手法が有効である。
【0030】記録層の膜厚としては10〜100nm、
好適には15〜50nmとするのがよい。さらに、ジッ
ター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率を考
慮すると、好適には15〜35nmとするのがよい。1
0nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層とし
ての役割を果たさなくなる。また、100nmより厚い
と高速で均一な相変化がおこりにくくなる。このような
記録層は、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパ
ッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオン
プレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成
できる。なかでも、スパッタリング法が、生産性、膜質
等に優れている。
【0031】第1耐熱層および第2耐熱層の材料として
は、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、T
iO2、In23、MgO、ZrO2などの金属酸化物、
Si34、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化
物、ZnS、ln23、TaS4などの硫化物、Si
C、TaC、B4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化
物やダイヤモンド状カーボンあるいは、それらの混合物
があげられる。これらの材料は、単体で保護層とするこ
ともできるが、互いの混合物としてもよい。また、必要
に応じて不純物を含んでもよい。必要に応じて、耐熱層
を多層化することもできる。ただし、第1耐熱層および
第2耐熱層の融点は記録層よりも高いことが必要であ
る。このような第1耐熱層および第2耐熱層の材料とし
ては、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スバッタ
リング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレ
ーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成でき
る。なかでも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に
優れている。
【0032】第1耐熱層の膜厚は、DVD(デジタルビ
デオディスク)の再生波長である650nmの反射率に
大きく影響する。780nmと650nmの再生波長で
CD−RWディスクの規格である反射率0.15〜0.
25を満足するためには、第1耐熱層を65〜130n
mとすることが要求される。また、650nmの再生波
長でも十分な反射率(18%程度)を得るためには、第
一耐熱層を110nm以下とすることが望ましい。した
がって、波長780nmでの記録再生および650nm
の再生で十分な信号特性を得るためには、第1耐熱層を
80〜110nmとすることが好適と判断される。
【0033】第2耐熱層の膜厚としては、15〜45n
m、好適には20〜40nmとするのがよい。15nm
より薄くなると耐熱性保護層としての機能を果たさなく
なる。また、感度の低下を生じる。一方、45nmより
厚くなると、1.2〜5.6m/sの低線速度で使用し
た場合、界面剥離を生じやすくなり、繰り返し記録性能
も低下する。
【0034】反射放熱層としては、Al、Au、Ag、
Cu、Taなどの金属材料、またはそれらの合金などを
用いることができる。また添加元素としては、Cr、T
i、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが使用される。
このような反射放熱層は、各種気相成長法、たとえば真
空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光C
VD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法な
どによって形成できる。反射放熱層の膜厚としては、7
0〜200nm、好適には100〜180nmとするの
がよい。
【0035】反射放熱層の上には、その酸化防止として
オーバーコート層を有することが望ましい。オーバーコ
ート層としては、スピンコートで作製した紫外線硬化樹
脂が一般的である。その厚さは、7〜15μmが適当で
ある。7μm以下では、オーバーコート層上に印刷層を
設ける場合、エラーの増大が認められることがある。一
方、15μm以上の厚さでは、内部応力が大きくなって
しまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
【0036】ハードコート層としては、スピンコートで
作製した紫外線硬化樹脂が一般的である。その厚さは、
2〜6μmが適当である。2μm以下では、十分な耐擦
傷性が得られない。6μm以上の厚さでは、内部応力が
大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響
してしまう。その硬度は、布でこすっても大きな傷がつ
かない鉛筆硬度であるH以上とする必要がある。必要に
応じて、導電性の材料を混入させ、帯電防止を図り、埃
等の付着を防止することも効果的である。
【0037】本発明の情報記録媒体の初期化、記録、再
生、消去に用いる電磁波としてはレーザー光、電子線、
X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波など種々
のものが採用可能である。中でも小型でコンパクトな半
導体レーザーが最適である。以下、本発明をさらに詳細
に説明する。
【0038】本発明のマルチスピード記録とは、同一の
記録媒体で、2倍以上の記録線速度で記録消去を可能と
するものである。相変化形光記録媒体の記録・消去のメ
カニズムは、一般的に記録層の溶融急冷・結晶化であ
る。したがって、マルチスピード記録を可能とするため
には、異なる記録線速度において、同等の記録層の溶融
急冷・結晶化ができなければならない。しかし、一般的
に、相変化形光記録媒体では、低線速度記録では、結晶
化は容易となるが急冷が困難となる。一方、高線速度記
録では、急冷は容易となるが結晶化は困難となる。本発
明は、この相反する熱特性を記録層の組成、反射放熱層
の材料、熱特性、構造、第1耐熱層と第2耐熱層の膜厚
比等からコントロールした結果得られるマルチスピード
記録可能な相変化形記録媒体を提供するものである。以
下で、CD1培速度(1X)、2倍速度(2X)、4倍
速度(4X)のマルチスピード記録の場合を例に、本発
明を説明する。もちろん、このほかのマルチスピード記
録についても同様に適応できる。
【0039】マルチスピード可能な相変化形光記録媒体
の開発にあたっては、 1) 低線速度記録における記録(記録層のアモルファ
ス化) 2) 高線速度記録における消去(記録層の結晶化) が最重要課題であった。1)の課題に対しては、実験計
画法などの手法で要因解析した結果、相変化形光記録媒
体のディスク構成をより急冷構造とすることが効果的で
あった。具体的には、反射放熱層の熱伝導率を大きくす
ることで、低線速度での記録が可能となった。
【0040】表1に、各種熱伝導率を有する反射放熱層
を用いたCD−RWディスクの1X記録での最適記録パ
ワーとその記録パワーでの3Tランドジッターを示す。
ディスク層構成は、基板/ZnSSiO2(95nm)
/AgInSbTe(20nm)/ZnSSiO2(3
5nm)/反射放熱層150nmとした。記録条件はC
Dフォーマットによる記録を行った。マルチスピード記
録の場合、低線速度記録の方が高線速度記録よりも1m
W程度小さい最適記録パワーを選択した。したがって、
マルチスピード記録可能なCD−RWディスクに本発明
を応用する場合、CD−RWの規格である15mW以下
の記録パワーを達成するためには、低線速度記録では、
少なくとも14mW以下の記録パワーとしなければなら
ない。また、記録した信号品質を示す3Tランドジッタ
ーは、CD−RWディスクの規格は1X再生で35ns
以下であるが、種々のドライブとのマッチングを考慮す
ると30ns以下が望ましい。
【0041】表1から、反射放熱層の熱伝導率が2.O
W/cm・K以下で、最適記録パワーが14mW以下と
なり、実際のドライブでマルチスピード記録が可能とな
る。また、反射放熱層の熱伝導率が0.5W/cm・K
以上で、3Tランドジッターが実際のドライブで実用可
能な30ns以下となる。したがって、マルチスピード
記録を可能とする最適記録パワーと3Tランドジッター
を確保するためには、反射放熱層の熱伝導率を0.5〜
2.OW/cm・Kとすることが望ましい。また、その
熱伝導率を有する材料としては、種々金属材料が選択で
きるが、安価なAl合金が好適である。しかし、上記熱
伝導率のAl合金としては、表1に見られるように、
1.5wt%以下の添加元素を有するAl合金が望まし
い。
【0042】
【表1】
【0043】本発明のマルチスピード記録可能な相変化
形光記録媒体に用いる反射放熱層は、2層以上とするこ
とも可能である。特に、相変化形光記録媒体では、一般
的に反射放熱層が他の層に比べ厚いため、生産において
は2層以上に分けて製膜した方が、生産性が高くなる。
さらに、2層以上の反射放熱層では、それらの界面でA
l合金のグレインが分断されることで、より小さなグレ
インサイズとなり、グレインバンダリーが多くなる。そ
れによって、記録消去の熱ストレスが緩和されオーバー
ライト特性が改善される。
【0044】また、2層以上からなる反射放熱層では、
それぞれの層で機能分離することが可能となる。図3で
は熱伝導率の大きい反射放熱層aを第2耐熱層上に配置
し、その上に熱伝導率の小さい反射放熱層bを配置して
いる。この構成では、記録層の再結晶化速度が大きい場
合に好適であり、低線速度記録に好適である。本発明の
記録層組成では、Te組成が20〜30原子%の場合に
好適である。一方、熱伝導率の小さい反射放熱層bを第
2耐熱層上に配置し、その上に熱伝導率の大きい反射放
熱層aを配置している図4の構成は、Te組成が25〜
35原子%の場合に好適であり、光線速度記録に好適で
ある。反射放熱層および反射放熱層bの膜厚は、それぞ
れ10nmから200nm、好ましくは20nmから1
80nmが好適である。生産性を考慮すると、各反射放
熱層の膜厚が2倍以上の差がないことが望まれる。熱伝
導率の異なる反射放熱層の作製は、Au、Ag、Alと
いった金属材料の異なる反射放熱層の積層や、AlTi
(1wt%)、AlTi(1.5wt%)の積層といっ
た添加元素の添加量を増減することでも可能である。ま
た、AlTi(1wt%)、AlTa(1wt%)とい
った異なる添加元素のAlの積層によっても可能であ
る。また、AlSi(1wt%)の製膜の際、部分的に
2ガスを添加して製膜する方法も有効である。この方
法では、1種類の反射放熱層材料で、複数の熱伝導率を
有する材料が得られる。例えば、Alのスパッタ製膜の
際、第2耐熱層上にはArガスのみでのスパッタで熱伝
導率の大きいAl膜を形成し、その上には、Ar+N2
ガスのスパッタで熱伝導率の小さい部分的に窒化したA
l膜を積層することが可能となる。
【0045】2)の高線速度記録における消去に対する
課題は、記録層の熱物性を詳細に制御することが重要で
あった。記録層の熱物性としては、融点、結晶化温度の
制御が重要である。相変化光記録媒体では、消去つまり
記録層の結晶化の際、消去パワーが大きいと部分的に記
録層が溶融してしまう。その際、単一線速度記録専用、
あるいは記録線速度が近いマルチスピード記録対応でな
い相変化形光記録媒体では、記録線速度での消去パワー
が大きく、部分的に記録層が溶融しても再結晶化速度が
大きいため結晶状態を維持する。しかし、マルチスピー
ド記録における高線速度記録では、消去パワーが大き
く、部分的に記録層が溶融すると、光線速度では再結晶
化できずに、その部分はアモルファス化してしまう。つ
まり、マルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体で
は、高線速度での消去の際、消去パワーが大きいとアモ
ルファス化してしまい、見かけ上消し残りとなってしま
う。高線速度における過剰な消去パワーによる記録層の
アモルファス化は、記録層の融点を高くすることで対応
できる。しかしながら、本発明の組成領域の記録層の融
点は約560℃であり、組成にあまり依存しない。記録
層を高融点化するためには、記録膜中にNあるいはOを
導入させることが効果的であり、また融点を精度よく制
御可能である。5原子%のNあるいはOの導入によっ
て、50℃程度の融点増大が可能となる。マルチスピー
ド記録における高線速度記録で、消去パワーマージンを
確保するためには、記録層融点を570〜620℃とす
ることが望ましかった。
【0046】相変化形光記録媒体の記録層の結晶化温度
は、生産での初期化容易性から220℃以下が望まし
い。記録層の結晶化温度が220℃を超えると、現在汎
用されている生産用の初期化装置で初期化が困難にな
る。一方、記録層の結晶化温度が低いと保存信頼性に劣
るようになる。また、再生光による信号の劣化も顕著に
なる。その下限の結晶化温度は170℃程度であった。
本発明の記録層組成の結晶化温度は、図5に示すよう
に、In組成に相関があり、好適な結晶化温度170〜
220℃では、In組成4〜14原子%となる。
【0047】これまで述べた本発明で、マルチスピード
記録可能な相変化形光記録媒体が得られる。しかし、本
発明を実際の生産に展開した場合、記録感度が変動して
しまう。その原因は、第1耐熱層の膜厚変動と第2耐熱
層の膜厚変動に基因するものだった。第1耐熱層厚の増
大、および第2耐熱層厚の減少は、感度の低下を招い
た。この感度の変動は、第1耐熱層と第2耐熱層の膜厚
の増減を一致させることで相殺されることを見出した。
つまり、第1耐熱層と第2耐熱層の膜厚が一緒に増減さ
せることで、相変化形光記録媒体の感度の変動が低減さ
れた。この膜厚変動は、製膜がスパッタの場合、ターゲ
ットの経時変化によるものであり、生産におけるターゲ
ットの交換サイクルを一致させることで第1耐熱層と第
2耐熱層の膜厚の増減が一致し、相変化形光記録媒体の
感度の変動が低減された。また、本発明のマルチスピー
ド記録可能な相変化形光記録媒体は、その膜厚比(第2
耐熱層厚/第1耐熱層厚)0.3〜0.4で好適な感度
を示した。つまり、膜厚比(第2耐熱層厚/第1耐熱層
厚)が0.3以下では、記録パワーが15mWを超えて
しまい、膜厚比(第2耐熱層厚/第1耐熱層厚)が0.
4以上では、高感度化は達成されるものの、高線速度記
録における消去の際、記録層が融点を超えてしまい消し
残りを生じてしまう。さらに好ましくは、その膜厚比
(第2耐熱層厚/第1耐熱層厚)0.33〜0.38で
感度とマルチスピード記録のオーバーライト特性をバラ
ンスよく有する相変化形光記録媒体が得られた。
【0048】さらに、ドライブマッチング等の観点か
ら、マルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体の面
内反射率分布やディスク間の反射率ばらつきを低減させ
ることが望まれている。反射率分布およびばらつきは、
第1耐熱層の膜厚分布および膜厚ばらつきに基因してい
る。第1耐熱層の膜厚分布およびばらつきによる反射率
分布およびばらつきの影響を緩和させるためには、第1
耐熱層の屈折率を小さくすることが効果的である。具体
的には、第1耐熱層の酸素元素量を微増させることで、
屈折率を低減させることが効果的であった。一般に、酸
化物のスパッタリングでは、酸素欠乏の状態で膜が形成
される。したがって、第1耐熱層が酸化物を含む場合、
酸素が微増することで、化学量論組成により近い膜が形
成されることになる。第1耐熱層の酸素量を微増させる
方法として、第1耐熱層の製膜時に酸素を共存させるこ
とによって達成される。また、第1耐熱層の製膜前に基
板に吸着している水蒸気量をコントロールすることでも
達成される。基板に吸着している水蒸気量は、基板の温
度によってコントロールされる。基板温度が低い方が吸
着水蒸気量は多くなり、第1耐熱層の屈折率を低減させ
ることができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 実施例1〜16、比較例1〜3
【0050】
【表2】
【0051】幅0.55μm、深さ32nmのグルーブ
を有する1.2mm厚のポリカーボネート基板に、実施
例および比較例に示す第1耐熱層(ZnSSiO2)、
記録層20nm、第2耐熱層(ZnSSiO2)、Al
合金を松葉形スパッタ装置によって、10秒タクトで連
続製膜した。第1耐熱層は、基板温度40℃で製膜を開
始させ、基板の水蒸気吸着による酸素含有量の微増を図
った。記録層の結晶化温度は170〜220℃に、融点
は570〜620℃に組成およびN,Oの添加で制御し
た。次いで、紫外線硬化樹脂のスピンコートによるハー
ドコート、オーバーコートを形成し、相変化形光ディス
クを作製した。ついで、大口径のLDを有する初期化装
置によって、ディスクの記録層の結晶化処理を行った。
次いで、オーバーコート層の上に、印刷層を形成した。
【0052】このようにして得た相変化形光ディスクの
評価は、波長780nm、NA0.5のピックアップを
搭載した評価機を用いて行った。記録ストラテジは、オ
レンジブックIIIver1.0に準拠した。マルチスピ
ード記録の評価はCD1X、2X、4Xでの記録信号が
オレンジブックIIIverl.0の規格を満足するか否
かで判断した。再生パワーは、1.0mWとした。結果
を表2に示す。
【0053】本発明の結果、実施例1〜16で示すよう
に、マルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体が得
られた。一方、反射放熱層の熱伝導率が0.5W/cm
・K以下である比較例1〜3は、マルチスピード記録が
できなかった。
【0054】
【発明の効果】以下に、本発明の効果を請求項ごとに示
す。請求項1の相変化形光記録媒体は、円盤状の基板上
に第1耐熱層、記録層、第2耐熱層、反射放熱層、紫外
線硬化樹脂の順に積層してなり、記録層の構成元素を主
にAg、In、Sb、Te、NあるいはOとし、それぞ
れの組成比α、β、γ、δ、ε(原子%)を 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦10 α+β+γ+δ+ε=100 とし、反射放熱層の少なくとも1層の熱伝導率を0.5
〜2.OW/cm・Kとすることで記録線速度で2倍以
上の広い線速度領域で記録が可能となる。
【0055】請求項2では、反射放熱層の熱伝導率を
0.5〜2.OW/cm・Kとし、その材料に安価なA
l合金を用いるため、より廉価なマルチスピード記録が
可能な相変化形光記録媒体を提供できる。請求項3で
は、よりオーバーライト性能の向上したマルチスピード
記録可能な相変化形光記録媒体を提供できる。
【0056】請求項4では、2層以上からなる反射放熱
層において、第2耐熱層上の反射放熱層より紫外線硬化
樹脂下の反射放熱層の熟伝導率を大きくすることで、高
感度で高線速度記録のオーバーライト性能に優れるマル
チスピード記録可能な相変化形光記録媒体を提供でき
る。
【0057】請求項5では、熱伝導率の異なる2層以上
の反射放熱層を作製する際、反射放熱層材料は同一で
も、製膜中の窒素ガスで熱伝導率を制御するため、より
安価な材料から任意の熱伝導率を設定できるようにな
る。その結果、より安価、高感度で高線速度記録のオー
バーライト性能に優れるマルチスピード記録可能な相変
化形光記録媒体を提供できる。請求項6では、2層以上
からなる反射放熱層において、第2耐熱層上の反射放熱
層より紫外線硬化樹脂下の反射放熱層の熱伝導率を小さ
くすることでより高感度で低線速度記録のオーバーライ
ト性能に優れるマルチスピード記録可能な相変化形光記
録媒体を提供できる。
【0058】請求項7では、熱伝導率の異なる2層以上
の反射放熱層を作製する際、反射放熱層材料は同一で
も、製膜中の窒素ガスで熱伝導率を制御するため、より
安価な材料から任意の熱伝導率を設定できるようにな
る。その結果、より安価、高度度で低線速度記録のオー
バーライト性能に優れるマルチスピード記録可能な相変
化形光記録媒体を提供できる。請求項8では、反射放熱
層の少なくとも1層の熱伝導率を0.5〜2.0W/c
m・Kとし、記録層の結晶化温度を170〜220℃と
することで、再生光劣化がなく、かつ生産での初期化が
容易となるマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒
体を提供できる。
【0059】請求項9では、反射放熱層の少なくとも1
層の熱伝導率を0.5〜2.0W/cm・Kとし、記録
層の融点を570〜620℃とすることで、高線速度記
録で消し残りが低減され、高線速度でのオーバーライト
特性に優れるマルチスピード記録可能な相変化形光記録
媒体を提供できる。請求項10では、第1耐熱層と第2
耐熱層の膜厚比(第2耐熱層膜厚/第1耐熱層膜厚)を
0.3〜0.4とすることで、記録感度と製造安定性に
優れたマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体を
提供できる。
【0060】請求項11では、酸素元素の含有量が第2
耐熱層より第1耐熱層の方が多いことにより、第1耐熱
層の屈折率が低減され、第1耐熱層の膜厚変動による反
射率分布および反射率ばらつきが低減される。その結
果、ドライブとのマッチングに優れた相変化形光記録媒
体を提供できる。
【0061】請求項12では、記録線速度を1.2〜
1.4m/sおよびまたは2.4〜2.8m/sおよび
または4.8〜5.6m/sとすることで、CD互換の
マルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の層構成の説明図である。
【図2】本発明における最適記録線速のTe(at%)
依存性を示すグラフである。
【図3】2層の反射放熱層の配置の説明図である。
【図4】2層の反射放熱層の配置の説明図である。
【図5】本発明におけるIn組成と記録層の結晶化温度
を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 野田 英治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 相原 謙一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小川 一平 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA31 EA33 EA36 FA01 FA11 FA12 FA14 FA15 FA18 FA23 FA28 FA30 FB09 FB12 FB17 FB21 FB24 FB25 FB30 5D029 JA01 JB35 JB48 JC11 MA13 MA16 MA17 MA27

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円盤状の基板上に第1耐熱層、記録層、
    第2耐熱層、反射放熱層、紫外線硬化樹脂の順に積層し
    てなる相変化形光記録媒体において、記録層の構成元素
    が主にAg、In、Sb、TeおよびNあるいは0であ
    り、それぞれの組成比α、β、γ、δ、ε(原子%)
    が、 0<α≦6 3≦β≦15 50≦γ≦65 20≦δ≦35 0≦ε≦10 α+β+γ+δ+ε=100 であり、反射放熱層の少なくとも1層の熱伝導率が0.
    5〜2.0W/cm・Kであることを特徴とするマルチ
    スピード記録可能な相変化形光記録媒体。
  2. 【請求項2】 反射放熱層がAl合金からなり、その添
    加物および不純物が1.5wt%以下であることを特徴
    とする請求項1に記載のマルチスピード記録可能な相変
    化形光記録媒体。
  3. 【請求項3】 反射放熱層が2層以上で構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のマルチスピード記録
    可能な相変化形光記録媒体。
  4. 【請求項4】 2層以上からなる反射放熱層において、
    第2耐熱層上の反射放射層より紫外線硬化樹脂下の反射
    放熱層の方が熟伝導率が大きいことを特徴とする請求項
    3に記載のマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 第2耐熱層上の反射放熱層が窒素元素を
    含有していることを特徴とする請求項4に記載のマルチ
    スピード記録可能な相変化形光記録媒体。
  6. 【請求項6】 2層以上からなる反射放熱層において、
    第2耐熱層上の反射放熱層より紫外線硬化樹脂下の反射
    放熱層の方が熟伝導率が小さいことを特徴とする請求項
    3に記載のマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 紫外線硬化樹脂下の反射放熱層が窒素元
    素を含有していることを特徴とする請求項6に記載のマ
    ルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体。
  8. 【請求項8】 記録層の結晶化温度が170〜220℃
    であることを特徴とする請求項1に記載のマルチスピー
    ド記録可能な相変化形光記録媒体。
  9. 【請求項9】 記録層の融点が570〜620℃である
    ことを特徴とする請求項8に記載のマルチスピード記録
    可態な相変化形光記録媒体。
  10. 【請求項10】 第1耐熱層と第2耐熱層の膜厚比(第
    2耐熱層膜厚/第1耐熱層膜厚)が0.3〜0.4であ
    ることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の
    マルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体。
  11. 【請求項11】 酸素元素の含有量が第2耐熱層より第
    1耐熱層の方が多いことを特徴とする請求項10に記載
    のマルチスピード記録可能な相変化形光記録媒体。
  12. 【請求項12】 記録線速度が、1.2〜1.4m/s
    およびまたは2.4〜2.8m/sおよびまたは4.8
    〜5.6m/sであることを特徴とする請求項1〜11
    のいずれかに記載のマルチスピード記録可能な相変化形
    光記録媒体。
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US7482109B2 (en) * 2001-02-01 2009-01-27 Ricoh Company, Ltd. Optical information recording medium

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WO2004030919A1 (ja) * 2002-09-30 2004-04-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 光情報記録担体およびそれを用いた記録再生装置

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