JP2000117076A - 複合半透膜およびその製造方法 - Google Patents

複合半透膜およびその製造方法

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JP2000117076A
JP2000117076A JP10295218A JP29521898A JP2000117076A JP 2000117076 A JP2000117076 A JP 2000117076A JP 10295218 A JP10295218 A JP 10295218A JP 29521898 A JP29521898 A JP 29521898A JP 2000117076 A JP2000117076 A JP 2000117076A
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composite semipermeable
semipermeable membrane
acid
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JP10295218A
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Akihiko Ito
明彦 伊藤
Shunji Kono
俊司 河野
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、特定の方法を用いることによって、
低い操作圧力においても透水性と溶質排除性とがともに
高い複合半透膜およびその製造方法を提供する。 【解決手段】多孔性支持膜上に架橋ポリアミドからなる
分離膜を設けて複合半透膜を得るに際し、カルボン酸存
在下にて、多官能アミン水溶液と多官能酸ハライドの有
機溶媒溶液とを界面重縮合させて架橋ポリアミドを得、
分離膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海水やかん水の淡
水化、超純水の製造、上水の浄化、ボイラー用水の製
造、排水や下水の再利用、自動車の下塗り塗装などに用
いられる電着塗料の回収、果汁濃縮やワイン製造などに
好適に使用できる、各種混合溶液を選択的に分離するた
めの複合半透膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半透膜を用いた物質の分離は、その分離
対象物質の大きさによって、一般に精密ろ過法(MF
法)や限外ろ過法(UF法)や逆浸透法(RO法)など
に分類されるが、さらに最近では、分離対象物質が上記
UF法とRO法の中間領域のものが注目されつつあり、
ルースRO膜として上市されるに至っている。これらは
膜素材としてだけでなく、それらを組み込んだモジュー
ルとしての開発も進められ、その形態は多様化の一途を
たどっている。
【0003】上記RO法やルースRO法に用いられる膜
としては、従来から芳香族ポリアミド系半透膜が知られ
ている。これは、その分子中にベンゼン環を含むことに
よって剛直性に富むとともに、芳香族多官能アミンと芳
香族多官能酸ハライドとの界面重縮合により比較的容易
に製造できるため普及が進んでいる。その製造方法とし
ては、たとえば、不織布などのポリエステル基材上にポ
リスルホン限外ろ過膜を多孔性支持膜として形成させ、
その上に芳香族多官能性アミンの水溶液を塗布し、続い
て、芳香族多官能酸ハライドを非極性溶媒に溶かした溶
液を塗布することによって界面重縮合反応をさせ、芳香
族ポリアミド系半透膜を形成する方法が知られている
(特開平4−90835号公報)。
【0004】また、上記の界面重縮合反応においては、
膜の透水性向上のために、エーテル類やケトン類やエス
テル類を添加する方法が報告されている(特開平6−4
7260号公報)。さらに、このような効果は、膜形態
の変化によって発現していることがSEMやAFMなど
によって確認されている(特開平9−85068号公
報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したよ
うな半透膜の透水性能は現状でも十分ではなく、さらな
る低圧運転においても十分な透過水量を有する膜の開発
が望まれており、電力および設備コストの低減が期待さ
れている。また、半導体産業においては最近の半導体の
高密度化に伴い、洗浄用として使われる超純水の要求基
準も厳しくなっており、上記に加えて、より高い溶質排
除性能が求められている。
【0006】本発明の目的は、従来に比してさらに低い
運転圧力においても、高い透水性を備え、加えて高い溶
質排除性能を有する複合半透膜およびその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分
離膜を形成してなる複合半透膜であって、25℃におい
て、0.74MPaの圧力で1,500ppmの塩化ナ
トリウム水溶液を透過させたときの透過流束が少なくと
も1.0(m3/m2・d)である複合半透膜を特徴とす
るものである。
【0008】ここで、塩化ナトリウム排除率が少なくと
も99%であることも好ましい。
【0009】また、カルボン酸存在下において、1分子
中に少なくとも2個の1級および/または2級アミノ基
を有する多官能アミンと、1分子中に少なくとも2個の
酸ハライド基を有する多官能酸ハライドとを多孔性支持
膜上で界面重縮合させ、前記多孔性支持膜上に架橋ポリ
アミドを含む分離膜を形成する複合半透膜の製造方法も
好ましい。
【0010】ここで、カルボン酸の沸点が240℃以下
であることも好ましく、多官能酸ハライドが多官能芳香
族酸ハライドであることも好ましく、さらに多官能アミ
ンが多官能芳香族アミンであることも好ましい。
【0011】また、本発明の製造方法を用いて製造され
た複合半透膜も好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る複合半透膜は、低圧
力下においても高い透過流束を有することに特徴があ
る。具体的には、圧力0.74MPaにて、塩化ナトリ
ウム濃度が1,500ppm、温度が25℃、pHが
6.5の水溶液を複合半透膜に3時間透過したときに計
測した透過流束の値が少なくとも1.0m3/m2・dで
あることを特徴とする。上記の条件のもとで、透過流束
の値が少なくとも1.0m3/m2・dであれば、より低
い圧力においても十分な透水量を得ることができ、造水
を効率的に行うことができる。
【0013】また、上記の水溶液を供給水として、次式
により算出される塩化ナトリウム排除率の値が少なくと
も99%であると好ましい。
【0014】
【数1】 上式で算出された塩化ナトリウム排除率が少なくとも9
9%であると、透過水に対する、より高い要求基準にも
十分に対応することができる。
【0015】なお、塩化ナトリウム濃度は通常の電導度
測定により求めればよい。
【0016】上記のような複合半透膜を得る方法とし
て、カルボン酸存在下において、1分子中に少なくとも
2個の1級および/または2級アミノ基を有する多官能
アミンと、1分子中に少なくとも2個の酸ハライド基を
有する多官能酸ハライドとを多孔性支持膜上で界面重縮
合させ、前記多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分
離膜を形成する方法を挙げることができる。
【0017】上記の多官能アミンとしては、 1分子中
に少なくとも2個の1級または/および2級アミノ基を
有するアミン化合物の群から選ばれる少なくとも1種を
含むもので、たとえば、2つのアミノ基がオルト、メ
タ、パラのいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフ
ェニレンジアミンや1,3,5−トリアミノベンゼンや
1,2,4−トリアミノベンゼンや3,5−ジアミノ安
息香酸やキシリレンジアミンなどの芳香族多官能アミ
ン、エチレンジアミンやプロピレンジアミンなどの脂肪
族多官能アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンや
1,4−ジアミノシクロヘキサンやピペラジンや4−ア
ミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミンを挙げ
ることができる。これらのアミンは単独で用いてもよ
く、たとえば1,3−フェニレンジアミンと1,3,5
−トリアミノベンゼンの混合物を用いてもよい。
【0018】上記した多官能アミンは水溶液として用い
るとよい。この場合、水溶液には触媒や界面活性剤や層
間移動触媒などの添加剤を加えることができる。
【0019】触媒を加える場合は、たとえば、ε−カプ
ロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−メ
チルピロリドン、2−ピロリドン、2−ピペリドン、テ
トラメチルウレア、ビス(ペンタメチレン)ウレア、
1,1’−カルボニルジピロリジン、N,N’−ジメチ
ルプロピレンウレア、ジメチルスルホキシド、ヘキサメ
チルホスホアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジブチルホル
ムアミドのようなアミド化合物を挙げることができる。
これらの触媒は、酸ハライドを含む溶液に加えることも
できる。
【0020】また、界面活性剤を加える場合は、たとえ
ば、ドデシル硫酸ナトリウム(DSS)やドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを挙げることができる。界面
活性剤は、多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、多官
能アミン水溶液と酸ハライドを含む溶液との間の界面張
力を減少させる効果がある。
【0021】さらに、相間移動触媒を加える場合は、た
とえば、n−ヘプチルトリエチルアンモニウムクロライ
ドやトリオクチルメチルアンモニウムクロライドやベン
ジルトリエチルアンモニウムクロライド(Makosz
aの触媒)やヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロ
ライドのような4級のアンモニウム塩やホスホニウム塩
を挙げることができる。相間移動触媒は、水相である多
官能アミン水溶液と有機相である酸ハライドを含む溶液
との間の反応性を促進する作用をもつ。
【0022】上記において、アミン水溶液中の上記多官
能アミンの濃度は0.1〜20重量%の範囲であること
が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%の範
囲である。アミン濃度が0.1重量%を下回ると界面重
縮合の反応速度が遅くなりがちであり、20重量%を超
えると、分離膜の膜厚が大きくなり透水性が低下する傾
向がみられる。
【0023】また、上記のアミン水溶液に添加する添加
剤の濃度は0.1〜20重量%の範囲であることが好ま
しく、さらに好ましくは0.5〜10重量%の範囲であ
る。添加剤の濃度が0.1重量%を下回ると、その効果
が発揮されにくい傾向にあり、20重量%を超えると、
本来の界面重縮合が阻害されやすくなる。
【0024】一方、上記の多官能酸ハライドとしては、
1分子中に少なくとも2個の酸ハライド基を有する酸ハ
ライド化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含むも
ので、たとえば、3官能酸ハライドとしてはトリメシン
酸クロライドや1,3,5−シクロヘキサントリカルボ
ン酸トリクロライドや1,2,4−シクロブタントリカ
ルボン酸トリクロライドを挙げることができる。また、
2官能酸ハライドとしてはビフェニルジカルボン酸ジク
ロライドやビフェニレンジカルボン酸ジクロライドやア
ゾベンゼンジカルボン酸ジクロライドやテレフタル酸ク
ロライドやイソフタル酸クロライドやナフタレンジカル
ボン酸クロライドなどの芳香族2官能酸ハライド、アジ
ポイルクロライドやセバコイルクロライドなどの脂肪族
2官能酸ハライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロ
ライドやシクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドやテ
トラヒドロフランジカルボン酸ジクロライドなどの脂環
式2官能酸ハライドを挙げることができる。これらの酸
ハライドは単独で用いてもよく、混合物で用いてもよ
い。
【0025】上記の多官能酸ハライドは、水と非混和性
であり、かつ多官能酸ハライドを溶解し、また多官能酸
ハライドと有為な速度では反応せず、多孔性支持膜を溶
解するなどして破壊しない溶媒の溶液として用いるとよ
い。さらに、界面重縮合あるいは界面反応において薄膜
を形成しうるものであれば好ましい。このような溶媒と
しては、炭化水素やトリクロロトリフルオロエタンなど
の非極性溶媒を挙げることができるが、オゾン層保護の
観点や、入手のしやすさや、取り扱いの容易さを考慮す
ると、炭化水素が好ましい。さらに、常温および常圧で
揮発しにくいものであることや、安全性をを考慮する
と、たとえば、n−オクタン、n−ノナン、n−デカ
ン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカンの
ような直鎖状炭化水素や、2−メチルヘプタン、2,3
−ジメチルヘプタンなどの分岐鎖状炭化水素や、それら
の混合物が好ましい。
【0026】上記溶媒溶液における多官能酸ハライドの
濃度は、0.01〜5.0重量%の範囲が好ましく、さ
らに好ましくは0.02〜2.0重量%の範囲である。
多官能酸ハライド濃度が0.01重量%を下回ると界面
重縮合の反応速度が遅くなりがちであり、5.0重量%
を超えると、分離膜の膜厚が大きくなり透水性が低下す
る傾向がみられる。
【0027】本発明では、界面重縮合をカルボン酸存在
下において行う必要がある。カルボン酸を存在させるこ
とにより、より低い操作圧力において高い透水性と高い
溶質排除性能とを達成しうる複合半透膜を得ることがで
きる。これは、たとえば、上記した多官能酸ハライドの
溶媒溶液にカルボン酸を含ませることで行うことができ
る。
【0028】本発明で用いられるカルボン酸は、たとえ
ば、脂肪族カルボン酸や芳香族カルボン酸である。脂肪
族カルボン酸とは、分子構造が直鎖または分岐鎖である
脂肪族炭化水素基からなる化合物で、その炭化水素基は
飽和であっても不飽和であってもよい。直鎖飽和脂肪族
カルボン酸としてはカプロン酸、ヘプタン酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン
酸、ドデカン酸、トリデカン酸などを挙げることができ
る。また、分岐鎖飽和脂肪族カルボン酸としてはイソ酪
酸、イソペンタン酸、2−エチルヘプタン酸、3−メチ
ルノナン酸などを挙げることができる。また、不飽和脂
肪族カルボン酸としてはメタクリル酸、trans−3
−ヘキセン酸、cis−2−オクテン酸、trans−
4−ノネン酸などを挙げることができる。芳香族カルボ
ン酸とは、芳香環がカルボン酸基で直接置換された化合
物である。芳香族カルボン酸としては安息香酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、2−ナフタレンカルボン酸、4
−ナフタレンカルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボ
ン酸などを挙げることができる。これらのカルボン酸は
単独で添加してもよく、混合物として添加してもよい。
これらカルボン酸の大気圧での沸点は、240℃以下が
好ましい。沸点が240℃を超えると、製膜工程におい
てカルボン酸の蒸発が十分に行われず、膜上に残って膜
の親水性を低下させたり、多孔性支持膜の孔を塞いだり
して、高透過水性が発現しない傾向がある。
【0029】多官能酸ハライドを含有する、水と非混和
性の有機溶媒溶液に添加するカルボン酸の濃度は、添加
するカルボン酸によって最適濃度を決定するのが好まし
い。カルボン酸の濃度が低すぎると、透水性が発現しに
くくなる。また、カルボン酸の濃度が高くなりすぎる
と、透水性が低下する傾向にある。有機溶媒溶液に添加
する上記カルボン酸の量は0.03〜30重量%にある
ことが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%
の範囲である。多官能酸ハロゲン化物に対しては0.5
〜500当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.
5〜150当量の範囲である。
【0030】界面重縮合を行う方法は、たとえば、上記
アミン水溶液を多孔性支持膜上に塗布した後、上記多官
能酸ハライドの有機溶媒溶液を接触させる方法を挙げる
ことができる。
【0031】多孔性支持膜へのアミン水溶液の塗布は、
アミン水溶液が多孔性支持膜上に均一にかつ連続的に塗
設されればよい。たとえば、水溶液を多孔性支持膜にコ
ーティングする方法や、多孔性支持膜を水溶液に浸漬す
る方法を挙げることができる。水溶液塗布後は、膜上に
水滴が残らないように十分に液切りする。水滴が残る
と、膜形成後に水滴残存部分が膜欠点となって膜性能の
低下を招く傾向がある。アミン水溶液への接触時間は1
〜10分間の範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜3
分間の範囲である。接触時間が1分間を下回ると、十分
な量のアミンが膜上に残存せず、10分間を超えると過
剰量のアミンが支持膜に担持される傾向にある。
【0032】アミン水溶液の液切りの方法は、たとえ
ば、アミン水溶液接触後の多孔性支持膜を垂直方向に維
持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、さらにそ
のあとでエアノズルから窒素などの気体を吹き付け、強
制的に液切りする方法を挙げることができる。
【0033】こうして得られたアミン水溶液塗布後の膜
に、多官能酸ハライドと上記したカルボン酸を含む非極
性溶媒を接触させて、界面重縮合反応により架橋ポリア
ミドからなる分離膜を形成させる。
【0034】多官能酸ハライドを溶解した非極性溶媒の
接触時間は、多官能アミンが多官能酸ハライドと反応
し、多孔性支持膜上に薄膜を形成しうるに十分な接触時
間があればよい。通常は10秒〜10分の範囲でよい。
このようにして界面重縮合によって架橋ポリアミドから
なる分離膜を多孔性支持膜上に設ける。
【0035】酸ハライド溶液を塗布して分離膜を多孔性
支持膜上に設けたあとは、溶媒を液切りするとよい。液
切りの方法は、膜を垂直方向に維持して過剰の非極性溶
媒を自然流下して除去する方法を挙げることができる。
垂直方向に維持する時間は適宜きめれば良いが、通常は
1〜5分の範囲である。
【0036】液切りした後は乾燥を行う。乾燥の方法
は、たとえば、熱風を吹き付ける方法を用いることがで
きる。この場合、膜面での風速は2〜20m/秒の範囲
にあることが好ましく、特に好ましくは3〜10m/秒
の範囲であり、温度は10〜80℃の範囲、特に好まし
くは20〜40℃の範囲にある気体を膜に吹き付けると
よい。気体の風速が20m/秒を上回ったり、温度が8
0℃を超えたりすると、水分の過度な蒸発によって多孔
性支持膜が収縮し、透水性の低い膜ができる傾向があ
る。
【0037】本発明で用いる多孔性支持膜は、海水淡水
化などにおいて運転される圧力に耐えられる耐圧性を有
することが好ましい。この多孔性支持膜は、実質的に分
離性能を有さず、均一で微細な孔あるいは片面からもう
一方の面まで徐々に大きくなる非対称性の微細な孔を有
し、表面に開孔している微細孔の大きさが100nm以
下であるような構造の支持膜が好ましい。上記の多孔性
支持膜は、たとえば、ポリスルホンや、ポリエーテルス
ルホンや、ポリフェニレンスルフィドスルホンや、ポリ
フェニレンスルホンや、ポリイミドや、ポリフッ化ビニ
リデンなどのホモポリマあるいはそれらをブレンドした
ものを用いて構成することができる。中でも、化学的、
機械的、熱的に安定であるポリスルホンやポリエーテル
スルホンが好ましく用いられる。
【0038】製法としては、たとえば、ポリスルホンの
ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、密に織ったポ
リエステル織布または不織布の上に一定の厚さで塗布し
た後、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびD
MF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによ
って、表面の大部分が直径数10nm以下の微細孔をも
つ多孔性支持膜を得ることができる。
【0039】上記の多孔性支持膜の厚さは、25〜10
0μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは4
0〜75μmの範囲である。
【0040】また上記のポリエステル織布や不織布の厚
さは、50〜300μmの範囲にあることが好ましく、
より好ましくは75〜200μmの範囲である。
【0041】このようにして得られた複合半透膜は、そ
れだけでも十分良好な分離性能を有するが、炭酸ナトリ
ウムなどのアルカリ水溶液に接触させて、残存する酸ハ
ライドを加水分解する工程や、熱処理する工程や、塩素
含有水溶液に浸漬する工程などを加えると、膜の溶質排
除性能や透水性能の向上を達成することができ好まし
い。上記の熱処理する工程にあっては、通常その温度範
囲は50〜150℃でよく、その時間は1〜10分間の
範囲でよい。温度が50℃を下回ったり、乾燥時間が1
分を下回ったりすると乾燥が不十分となりやすい。ま
た、温度が150℃を超えたり、乾燥時間が10分間を
上回ると膜の変形が生じたりする傾向がある。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例においては、基材
として不織布(ポリエステル製抄紙不織布基材)を用
い、多孔性支持膜としては、ポリスルホン系ポリマ(た
とえばユニオン・カーバイド(株)製Udel P−3
500)を用いて形成した厚さ50μmの限外ろ過膜を
用いた。
【0043】(実施例1)1,3−フェニレンジアミン
を1.5重量%、触媒としてN−メチルピロリドン(表
1においてNMPと略記)を1.5重量%含む水溶液を
ポリスルホン膜に2分間接触させた後、膜面に水滴が残
らないように液切りを行った。こうして得られた1,3
−フェニレンジアミンで被覆された膜に、トリメシン酸
クロライド(表1においてTMCと略記)0.06重量
%、カルボン酸としてプロピオン酸(表1においてPr
Aと略記)0.3重量%を含むデカン溶液を1分間接触
させた。その後、液切りを1分間行って、送風器を使い
20℃の気体を吹き付けて乾燥させた。次に該被覆膜
を、Na2CO3を1重量%、DSSを0.3重量%含む
水溶液に2分間浸漬して反応を停止させた。こうして得
られた複合逆浸透膜を90℃、2分間熱水洗浄し、その
後、500ppm、pH7の塩素濃度の水溶液に2分間
浸漬した後、0.1重量%の亜硫酸水素ナトリウム(S
BS)水溶液に保存した。評価結果を表1に示す。
【0044】(実施例2)実施例1において、カルボン
酸をプロピオン酸から酪酸(表1においてBAと略記)
に変える以外は実施例1と同様にして複合半透膜を得
た。評価結果を表1に示す。
【0045】(実施例3)実施例1において、カルボン
酸をプロピオン酸からイソ酪酸(表1においてisoB
Aと略記)に変える以外は実施例1と同様にして複合半
透膜を得た。評価結果を表1に示す。
【0046】(実施例4)実施例1において、カルボン
酸をプロピオン酸から吉草酸(表1においてPAと略
記)に変える以外は実施例1と同様にして複合半透膜を
得た。評価結果を表1に示す。
【0047】(実施例5)実施例1において、カルボン
酸をプロピオン酸からイソ吉草酸(表1においてiso
PAと略記)に変える以外は実施例1と同様にして複合
半透膜を得た。評価結果を表1に示す。
【0048】(実施例6)実施例3において、触媒をN
−メチルピロリドンからε−カプロラクタム(表1にお
いてε−CLと略記)に変える以外は実施例3と同様に
して複合半透膜を得た。評価結果を表1に示す。
【0049】(実施例7)実施例6において、カルボン
酸の濃度を0.3重量%から0.03重量%に変える以
外は実施例6と同様にして複合半透膜を得た。評価結果
を表1に示す。
【0050】(実施例8)実施例6において、カルボン
酸の濃度を0.3重量%から0.1重量%に変える以外
は実施例6と同様にして複合半透膜を得た。評価結果を
表1に示す。
【0051】(実施例9)実施例6において、カルボン
酸の濃度を0.3重量%から0.6重量%に変える以外
は実施例6と同様にして複合半透膜を得た。評価結果を
表1に示す。
【0052】(実施例10)実施例5において、触媒を
N−メチルピロリドンからε−カプロラクタムに変える
以外は実施例5と同様にして複合半透膜を得た。評価結
果を表1に示す。
【0053】
【比較例】(比較例)実施例1において、カルボン酸を
添加しないこと以外は実施例1と同様にして複合半透膜
を得た。評価結果を表1に示す。
【0054】また、1.13m3/m2・dの透過流束を
得るためには、0.98MPaの高圧を必要とした。
【0055】
【表1】 表1から分かるように、カルボン酸を添加した実施例1
〜10においては、添加しない比較例と比べて、0.7
4MPaという低い圧力において透過流束が向上してい
る。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、分離膜であるポリアミ
ド系分離膜を形成するにあたり、カルボン酸存在下にお
いて、多官能アミンと多官能酸ハライドとの界面重縮合
を行うので、より低い操作圧力において高い透水性と高
い溶質排除性能を両立した複合半透膜を得ることができ
る。
【0057】ここで、上記カルボン酸の沸点が240℃
以下であると、より透水性を向上することができる。
【0058】また、上記多官能アミンが芳香族多官能ア
ミンであると、さらに透水性を向上することができる。
【0059】さらに、上記多官能酸ハライドが芳香族多
官能酸ハライドである場合にも、より透水性を向上する
ことができる。
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Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分
    離膜を形成してなる複合半透膜であって、25℃におい
    て、0.74MPaの圧力で1,500ppmの塩化ナ
    トリウム水溶液を透過させたときの透過流束が少なくと
    も1.0(m3/m2・d)であることを特徴とする複合
    半透膜。
  2. 【請求項2】塩化ナトリウム排除率が少なくとも99%
    である、請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 【請求項3】カルボン酸存在下において、1分子中に少
    なくとも2個の1級および/または2級アミノ基を有す
    る多官能アミンと、1分子中に少なくとも2個の酸ハラ
    イド基を有する多官能酸ハライドとを多孔性支持膜上で
    界面重縮合させ、前記多孔性支持膜上に架橋ポリアミド
    を含む分離膜を形成することを特徴とする複合半透膜の
    製造方法。
  4. 【請求項4】沸点が240℃以下のカルボン酸を用い
    る、請求項3に記載の複合半透膜の製造方法。
  5. 【請求項5】多官能酸ハライドとして多官能芳香族酸ハ
    ライドを用いる、請求項3または4に記載の複合半透膜
    の製造方法。
  6. 【請求項6】多官能アミンとして多官能芳香族アミンを
    用いる、請求項3〜5のいずれかに記載の複合半透膜の
    製造方法。
  7. 【請求項7】請求項3〜6のいずれかに記載の方法を用
    いて製造された複合半透膜。
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