JP2000113512A - 光記録媒体及びその製造方法並びに駆動装置 - Google Patents

光記録媒体及びその製造方法並びに駆動装置

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JP2000113512A
JP2000113512A JP10297558A JP29755898A JP2000113512A JP 2000113512 A JP2000113512 A JP 2000113512A JP 10297558 A JP10297558 A JP 10297558A JP 29755898 A JP29755898 A JP 29755898A JP 2000113512 A JP2000113512 A JP 2000113512A
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lubricant
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JP10297558A
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Hideo Daimon
英夫 大門
Yoshikazu Suzuki
芳和 鈴木
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Maxell Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浮上型光ヘッドで長期間繰り返しシーク動作
を行なっても摩耗粉が殆ど発生しない光記録媒体及びそ
の製造方法並びに駆動装置を提供する。 【解決手段】 光記録媒体100は、基板1上に、反射
層2、記録層4、保護層6及び潤滑層7をこの順で含
む。潤滑層7を加熱または/及び紫外線照射して潤滑剤
結合率を20%より大きく且つ60%より小さくし、化
学吸着性潤滑剤層上に適度な量の物理吸着性潤滑剤層を
形成する。これによりソリッドイマージョンレンズを搭
載した浮上型光ヘッドを用いて100時間を超える記録
再生を行なっても摩耗粉が発生することはなく、媒体表
面にスクラッチ傷が形成されることは殆どない。本発明
の駆動装置は浮上型光ヘッドの光射出側の面に付着また
は移着した潤滑剤をワイパーを用いて除去できる。本発
明の光記録媒体用の駆動装置として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮上型光ヘッドを
用いて記録再生を行う光記録媒体及びその製造方法並び
に光記録媒体の駆動装置に関し、更に詳細には、媒体の
表面にスクラッチ傷が形成されることを防止した光記録
媒体及びその製造方法、並びに浮上型光ヘッドの光射出
側の面や浮上型光ヘッドに搭載されているソリッドイマ
ージョンレンズの光射出面に移着または付着した潤滑剤
を拭き取ることが可能な駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチメディア時代の到来により、音楽
や動画像、コンピュータのデータなどの大量の情報を記
録再生することが可能な媒体として光記録媒体が広く利
用されている。光記録媒体は、CDやレーザーディスク
のように情報の再生だけが可能な再生専用光記録媒体、
CD−Rのように1度だけ記録が可能な追記型光記録媒
体、何度でもデータの書換え消去が可能な書換型光記録
媒体に分類される。
【0003】上記書換型光記録媒体の一種としては、例
えば、光磁気記録媒体が知られている。光磁気記録媒体
は、通常、透明基板上に第1誘電体層、光磁気記録層、
第2誘電体層、反射層、保護層を順次積層した構造を有
しており、光ヘッドと磁界発生用コイルを用いて情報の
記録再生が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、取り扱う情報量
の増加に伴い光記録媒体においては記憶容量を一層増大
することが要望されている。この要望に応えるために、
ソリッドイマージョンレンズ(SIL)と、それを搭載
したスライダーとを備えた浮上型光ヘッドを用いて記録
再生を行う方法が提案されている。この方法によれば従
来よりも小さな光スポット径で記録再生することが可能
となるので、従来の光磁気記録媒体に比べて単位面積当
たりの記録密度を約1桁高めることができる。
【0005】ソリッドイマージョンレンズを用いて記録
再生する場合には、ソリッドイマージョンレンズから滲
み出る近接場光を記録再生光として用いることができ
る。近接場光は、光の波長の1/4程度の距離で減衰し
てしまうため、ソリッドイマージョンレンズと記録層と
の間隔を記録再生光の波長の1/4以下にする必要があ
る。例えば、波長680nmの赤色レーザーを用いた場
合は、ソリッドイマージョンレンズの光射出面と記録層
との距離を170nm以下にしなければならない。従来
の光磁気記録媒体では透明基板の厚さは1.2mm程度
であるので、基板を通して近接場光を記録層に到達させ
ることは困難である。このため近接場光を用いる場合に
は、基板と反対側から光を入射する方法が採用されてい
る。これに伴い近接場光を用いる光磁気記録媒体の積層
順序も従来の媒体と異なり、通常は、透明基板上に、反
射層、第1誘電体層、光磁気記録層、第2誘電体層を順
次積層した構造を有している。また、浮上型光ヘッドを
用いて記録再生を行なうため、浮上型光ヘッドがシーク
動作を行なう際に、媒体に浮上型光ヘッドが接触する。
このため、光磁気記録媒体の第2誘電体層上には耐シー
ク性を高めるための保護層及び潤滑層がこの順で形成さ
れている。
【0006】ところで、潤滑層を有する光磁気記録媒体
上を浮上型光ヘッドがシークするとき、潤滑層を構成す
る潤滑剤の一部が、レーザー光の熱で気化してソリッド
イマージョンレンズの光射出面に移着したり、或いは潤
滑層上をソリッドイマージョンレンズが摺動することに
より直接ソリッドイマージョンレンズの光射出面に付着
したりするという問題があった。この問題を解決するた
めに、本発明者は、特願平10−237943号で、保
護層上に存在する潤滑剤の潤滑剤結合率を60%〜10
0%に高めることを提案した。潤滑剤結合率は、潤滑層
の全膜厚に対して、保護層上で保護層と化学結合した化
学吸着性潤滑剤層の膜厚が占める割合で定義され、潤滑
剤結合率が高いということは、化学吸着性潤滑剤が多
く、その上層に存在するフリーな物理吸着性潤滑剤が少
ないことを意味する。前記出願では、潤滑剤結合率を6
0%以上に高めて化学吸着性潤滑剤を多くすることによ
り、浮上型光ヘッドが光磁気記録媒体上をシークしたと
きに、ソリッドイマージョンレンズの光射出面上に物理
吸着性潤滑剤が移着または付着することを防止してい
る。
【0007】しかしながら、潤滑剤結合率を60%以上
に高めた光記録媒体に、長期間の使用のために、例えば
100時間を超えるシーク動作を行うと、浮上型光ヘッ
ドと化学吸着性潤滑剤層との接触により化学吸着性潤滑
剤層が削られて多量の摩耗粉が発生することが本発明者
の調査で新たに分かった。発生した摩耗粉は、スライダ
ーの表面とソリッドイマージョンレンズの光射出面に付
着し、シーク動作により光記録媒体の表面にスクラッチ
傷を形成する恐れがあった。
【0008】本発明は、かかる点を鑑みてなされたもの
であり、その目的は、浮上型光ヘッドとの接触による摩
耗粉の発生を抑制して、媒体表面にスクラッチ傷が形成
されることを防止または抑制した光記録媒体を提供する
ことにある。
【0009】また、本発明の別の目的は、ソリッドイマ
ージョンレンズを用いた記録再生を実現するとともに、
浮上型光ヘッドを用いて繰り返し何度もシーク動作を行
っても、表面にスクラッチ傷が殆ど形成されることのな
い光記録媒体を製造する方法を提供することにある。
【0010】本発明の更に別の目的は、浮上型光ヘッド
を構成するスライダーの底面やソリッドイマージョンレ
ンズの光射出面に移着または付着した潤滑剤を除去する
ことが可能な駆動装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、基板上に、反射層、記録層、保護層及び潤滑剤か
ら構成される潤滑層をこの順で含む光記録媒体におい
て、上記保護層に対する上記潤滑剤の潤滑剤結合率が2
0%より大きく且つ60%より小さいことを特徴とする
光記録媒体が提供される。
【0012】本発明に従う光記録媒体の構造の一例を図
1に示す。光記録媒体100は、基板1上に、反射層
2、第1誘電体層3、記録層4、第2誘電体層5、保護
層6及び潤滑層7をこの順で備える。図1に示したよう
に、潤滑層7は、保護層6上に保護層と結合して存在す
る化学吸着性潤滑剤層8と、該化学吸着性潤滑剤層8上
に存在し且つ保護層と結合していない物理吸着性潤滑剤
層9とから構成されている。ところで、潤滑層に関して
云えば、従来より用いられている磁気ディスクについて
も磁気ヘッドによる磁気ディスクの摩耗を低減するため
に磁気ディスクの最上層に形成されていることが知られ
ている。かかる潤滑層と潤滑層が被覆される面(例え
ば、保護層)との結合の度合いを表すための尺度として
潤滑剤結合率が知られている。この潤滑剤結合率は、潤
滑層の中で化学吸着性潤滑剤層が占める割合で表され
る。潤滑剤結合率を数値化するために、本明細書におい
ては、潤滑層の膜厚をAとし、この潤滑層及びその被覆
面を含む基体または情報記録媒体を溶媒中で30秒間超
音波洗浄した後の潤滑層の膜厚をBとしたときに、潤滑
剤結合率をB/A×100%として表すものとする。
【0013】本発明の光記録媒体では、潤滑層の潤滑剤
結合率を20%より大きく、60%未満にしたことに特
徴がある。通常、潤滑層の潤滑性は、保護層上に存在し
保護層と結合した化学吸着性潤滑剤層と、その直上に存
在するフリーな物理吸着性潤滑剤層とによって発揮され
る。化学吸着性潤滑剤層が少ないと、すなわち、潤滑層
の潤滑剤結合率が低いと、光記録媒体上を浮上型光ヘッ
ドが摺動した際に、浮上型光ヘッドが直接保護層に接触
して光記録媒体に損傷を与える。一方、物理吸着性潤滑
剤層が少ないと、すなわち、潤滑層の潤滑剤結合率が高
いと、浮上型光ヘッドが光記録媒体と接触した際に生じ
る浮上型光ヘッドと光記録媒体との間のせん断力を吸収
することができず、潤滑効果が低下して浮上型光ヘッド
及び光記録媒体に損傷を与える。本発明では、潤滑層の
潤滑剤結合率を20%よりも大きくして、浮上型光ヘッ
ドが光記録媒体上をシークしても保護層に浮上型光ヘッ
ドが直接接触することがない程度に化学吸着性潤滑剤層
を形成している。これにより、浮上型光ヘッドが直接保
護層と接触することが抑制される。また、潤滑層の潤滑
剤結合率を60%未満に調整して、浮上型光ヘッドが光
記録媒体と接触した際に生じる浮上型光ヘッドと光記録
媒体とのせん断力を吸収することができる程度に物理吸
着性潤滑剤層を形成している。これにより、本発明の光
記録媒体に対して、長期にわたって繰り返しシーク動作
を行っても摩耗粉は発生することは殆どないので、光記
録媒体の表面にスクラッチ傷が形成されることを防止ま
たは抑制することができる。ところで、かかる光記録媒
体に浮上型光ヘッドを用いて記録再生を行うと浮上型ヘ
ッドの光射出側の面に潤滑剤が付着または移着するが、
後述する駆動装置を用いることにより解決することがで
きる。
【0014】本発明において潤滑層は、分子片末端また
は両端に、アルコール基、カルボキシル基、エステル基
またはピペロニル基を有する分子量2000〜1000
0のパーフルオロポリエーテル潤滑剤を用いて構成され
ることが好ましい。分子量が2000未満の場合は、潤
滑効果が不十分であるとともに温度上昇により気化し易
くなる。また分子量が10000を超えると潤滑剤の粘
度が増加して摩擦係数が上昇し、浮上型光ヘッドが光記
録媒体上を良好に摺動することが困難になる。
【0015】潤滑剤を保護層と結合させて耐久性を更に
高めるために、保護層上に潤滑層を形成した後、50℃
〜120℃の温度範囲内で加熱したり、波長185nm
〜254nmの紫外線、例えば現時点で使用可能な波長
254nmの紫外線を照射したり、不活性雰囲気中で、
紫外線、例えば現時点で使用可能な波長185nm及び
254nmの紫外線を照射したりすることが好ましい。
また、加熱と紫外線照射を併用することにより保護層へ
の潤滑剤の結合をより一層促進させることができる。
【0016】本発明の光記録媒体において、長期間繰り
返し浮上型光ヘッドをシークさせることによって媒体表
面上にスクラッチ傷が形成されることを一層効果的に防
止するためには、潤滑層の潤滑剤結合率を30%〜55
%の範囲内にすることが好ましい。潤滑剤結合率を30
%〜55%にするには、例えば、保護層上に潤滑層を形
成した後の加熱処理の温度や処理時間、紫外線照射の照
射時間を調整すればよい。
【0017】本発明の光記録媒体の保護層はカーボンか
ら構成し得る。カーボンは、水素、窒素、珪素及びフッ
素からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含
有し得る。例えば、水素含有カーボン、窒素含有カーボ
ン、珪素含有カーボン、フッ素含有カーボン、水素と窒
素を含有するカーボン、水素とフッ素を含有するカーボ
ン、水素とフッ素と珪素を含有するカーボンから構成さ
れ得る。これらの材料を用いることにより浮上型光ヘッ
ドが光記録媒体上を良好に滑るので、媒体表面に摺動傷
が形成されることが防止または抑制される。また、保護
層の膜厚は、5nm〜100nmであることが好まし
い。保護層の膜厚が、5nm未満であると被覆性が十分
でなく、100nmを超えると記録層と浮上型光ヘッド
との距離が増加し、近接場光を用いた記録再生が実現で
きなくなる。
【0018】本発明の光記録媒体は、CD、CD−RO
M、DVD−ROMのように、凹凸ピットや穴の有無、
結晶層とアモルファス相との反射率の違いから情報を再
生する再生専用の光記録媒体や、CD−Rのように有機
色素層やTe化合物などの無機物層にレーザーで穴を空
けて記録する追記型光記録媒体、TbFeCoやDyF
eCoなどの希土類金属と遷移金属の合金層を記録層と
する光磁気記録媒体、及びGe合金やIn合金等の記録
膜を光照射により結晶相と非晶質相との間で可逆的に変
化させることができる相変化型光記録媒体のような書換
え型光記録媒体など、何れの光記録媒体をも対象とす
る。
【0019】本発明の光記録媒体で用いられる基板は、
ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリメチルアクリ
レート、ポリスチレン、ナイロンなどの樹脂基板のほか
に、ガラス、シリコン、熱酸化シリコン、Al、Tiな
どの金属製ディスク基板を用いることができる。
【0020】本発明の第2の態様に従えば、基板上に、
反射層、記録層、保護層及び潤滑層をこの順で含む光記
録媒体を製造する方法において、上記保護層上に潤滑剤
を塗布した後、保護層に対する潤滑剤の潤滑剤結合率が
20%より大きく且つ60%より小さくなるように加熱
及び紫外線照射の少なくとも一方を行うことにより潤滑
層を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法が
提供される。
【0021】本発明の光記録媒体の製造方法では、保護
層上に潤滑剤を塗布した後、加熱や紫外線照射によって
潤滑層を形成し、潤滑層の潤滑剤結合率を20%より大
きく且つ60%より小さくすることができる。加熱と紫
外線照射とは併用することもでき、これにより潤滑剤の
保護層への結合がより一層促進される。本発明におい
て、加熱のための温度は、50℃〜120℃の範囲内で
行なうことが好ましい。50℃未満では、保護層上への
潤滑剤結合反応が十分に進行しなくなるため好ましくな
く、120℃を超えると熱により基板が変形するため好
ましくない。
【0022】また、紫外線照射で用いられる紫外線とし
ては、波長185nm〜254nmの紫外線、例えば、
現時点で使用可能な波長185nmまたは254nmの
紫外線を使用することができ、この2種類の紫外線を併
用して照射することもできる。大気中で紫外線照射を行
うと、特に波長185nmの紫外線の場合は、活性酸素
が発生して潤滑剤を分解してしまうので、紫外線照射は
不活性雰囲気中で行なわれることが好ましい。不活性雰
囲気としては、例えば窒素雰囲気やアルゴン雰囲気、ヘ
リウム雰囲気が好ましい。
【0023】本発明の第3の態様に従えば、光記録媒体
の駆動装置において、光記録媒体上を浮上する浮上型光
ヘッドと、該浮上型光ヘッドの光射出側の面の汚れを拭
き取るためのワイパーとを備えることを特徴とする駆動
装置が提供される。
【0024】本発明の駆動装置は、浮上型光ヘッドと、
浮上型光ヘッドがアンロードしたときに浮上型光ヘッド
の光射出側の面に付着している汚れを拭き取るワイパー
とを備える。ワイパーは、例えば、駆動装置に装着され
た拭き取り材にすることができる。拭き取り材を浮上型
光ヘッドの光射出側の面に接触させつつ、拭き取り材と
浮上型光ヘッドの少なくとも一方を相対的に移動させる
ことによって浮上型光ヘッドの光射出側の面の汚れを拭
き取ることができる。また、汚れを拭き取った後は、新
しい拭き取り材が供給されることが望ましい。このた
め、拭き取り材はロール上に巻かれた拭き取りテープの
形態が好ましい。このように構成することにより汚れが
付着したテープ部分を巻き取って新しいテープ部分を次
の拭き取りに供することができる。
【0025】本発明の駆動装置において、浮上型光ヘッ
ドは、ソリッドイマージョンレンズと、該ソリッドイマ
ージョンレンズを搭載したスライダーとを備えることが
できる。かかる浮上型光ヘッドを用いて、例えば、潤滑
剤から構成される潤滑層を最上層に備える光記録媒体に
情報の記録または再生を行うと、スライダーの底面やソ
リッドイマージョンレンズの光射出面に潤滑剤が移着ま
たは付着する。本発明の駆動装置は、ワイパーを用い
て、これらスライダーの底面やソリッドイマージョンレ
ンズの光射出面に移着または付着した潤滑剤を除去する
ことができる。したがって、かかる駆動装置を用いれ
ば、例えば100時間を超えるシーク動作に耐え得るよ
うに潤滑層の潤滑剤結合率を20%より大きく且つ60
%より小さくした光記録媒体であっても、長時間安定し
て記録及び再生の少なくとも一方を行うことができる。
【0026】本発明において、浮上型光ヘッドの汚れを
拭き取る部分を構成する材料は、浮上型光ヘッドの光射
出側の面に傷を付けない材料であることが好ましく、汚
れを拭き取る際に浮上型光ヘッドで擦られても塵や埃、
屑などが殆ど発生しないような材料であることが好まし
い。また、上述のように潤滑剤を拭き取るためには、例
えば、東レ社製のトレシーMCクロスやクリーンクロ
ス、テックスワイプ社製のアルファ10、アルファワイ
パーを用いて構成することができる。
【0027】また、本発明において、常に良好に記録及
び再生の少なくとも一方を行うためには、浮上型光ヘッ
ドの光射出面に付着または移着した汚れを、ワイパーを
用いて定期的に拭き取ることが好ましい。拭き取りの時
間間隔は特に限定されないが、1日に1回程度が好まし
い。1日に1回より多く拭き取り操作を行うと拭き取り
材の消費が多くなり好ましくない。
【0028】また、本発明において、駆動装置とは、情
報の再生だけが可能な再生装置、情報の記録だけが可能
な光記録装置、及びこれら情報の再生と記録の機能を兼
ね備えた光記録再生装置を含む概念である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光記録媒体及び駆
動装置の実施の形態及び実施例について具体的に説明す
る。
【0030】製造例1 本製造例では、図2に示す断面構造を有する光磁気記録
媒体200を製造した。光磁気記録媒体200は、基板
1上に、反射層2、第1誘電体層3、記録層4、第2誘
電体層5及び保護層6を順次積層した構造を有する。か
かる構造の光磁気記録媒体200の製造方法を以下に示
す。
【0031】最初に、ランド及びグルーブに対応する凹
凸パターンが形成されたスタンパを射出成形機の金型に
装填し、ポリカーボネート樹脂材料を金型内に射出成形
することによりポリカーボネート基板1を作製した。次
いで、得られたポリカーボネート基板1をDCマグネト
ロンスパッタ装置に装填し、スパッタリングによりポリ
カーボネート基板1上に、反射層2としてのAlTiを
膜厚50nmにて、第1誘電体層3としてのSiNx
膜厚30nmにて、記録層4としてのTbFeCoを膜
厚20nmにて、第2誘電体層5としてのSiNxを膜
厚80nmにて、保護層6としてのカーボンを膜厚10
nmにてそれぞれ成膜した。これらの層2〜6をスパッ
タリングした際のスパッタ条件は以下の通りである。反
射層2の成膜では、ターゲット材料としてAlTi合金
を用い、スパッタ雰囲気としてArガスを5×10-3
orrの圧力で用いた。第1誘電体層3及び第2誘電体
層5の成膜では、ターゲット材料としてSiを用い、ス
パッタ雰囲気としてAr+N2ガスを7×10-3Tor
rの圧力で用いた。記録層4の成膜では、ターゲット材
料としてTbFeCoを用い、スパッタ雰囲気としてA
rガスを5×10-3Torrの圧力で用いた。保護層6
の成膜では、ターゲット材料としてカーボンを用い、ス
パッタ雰囲気としてArガスを5×10-3Torrの圧
力で用いた。こうして得られた光磁気記録媒体を試料1
とする。
【0032】製造例2 製造例1において保護層6をスパッタリングする際のス
パッタ雰囲気ガスにAr+H2ガスを用い、保護層6と
して水素含有カーボン保護層を成膜した以外は、製造例
1と同様にして光磁気記録媒体を製造した。こうして得
られた光磁気記録媒体を試料2とする。
【0033】製造例3 製造例1において保護層6をスパッタリングする際のス
パッタ雰囲気ガスにAr+CH4ガスを用い、保護層6
として水素含有カーボン保護層を成膜した以外は、製造
例1と同様にして光磁気記録媒体を製造した。こうして
得られた光磁気記録媒体を試料3とする。
【0034】製造例4 製造例1において保護層6をスパッタリングする際のス
パッタ雰囲気ガスにAr+N2ガスを用い、保護層6と
して窒素含有カーボン保護層を成膜した以外は、製造例
1と同様にして光磁気記録媒体を製造した。こうして得
られた光磁気記録媒体を試料4とする。
【0035】製造例5 製造例1において保護層6をスパッタリングする際のス
パッタ雰囲気ガスにAr+N2+H2ガスを用い、保護層
6として水素及び窒素含有カーボン保護層を成膜した以
外は、製造例1と同様にして光磁気記録媒体を製造し
た。こうして得られた光磁気記録媒体を試料5とする。
【0036】製造例6 メタンをモノマーガスとし、水素をキャリアガスに用
い、13.56MHzの高周波を用いたプラズマCVD
法により、第2誘電体層上に保護層6として水素含有カ
ーボン(ダイヤモンドライクカーボン)保護層を成膜し
た以外は、製造例1と同様にして光磁気記録媒体を製造
した。こうして得られた光磁気記録媒体を試料6とす
る。
【0037】製造例7 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖がF(C36O)n−であ
り、末端官能基がアルコール基(水酸基)である平均分
子量7000のパーフルオロポリエーテル潤滑剤aを2
nmの膜厚でディップコーターにより塗布して潤滑層を
形成した。
【0038】製造例8 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖がF(C36O)n−であ
り、末端官能基がカルボキシル基である平均分子量40
00のパーフルオロポリエーテル潤滑剤bを2nmの膜
厚でディップコーターにより塗布して潤滑層を形成し
た。
【0039】製造例9 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖がF(C36O)n−であ
り、末端官能基がそれぞれ−C24COOCH3及び−
24CH2COOCH3で表されるエステル基である平
均分子量4000のパーフルオロポリエーテル潤滑剤c
を2nmの膜厚でディップコーターにより塗布して潤滑
層を形成した。
【0040】製造例10 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖がF(C36O)n−であ
り、末端官能基がピペロニル基である平均分子量440
0のパーフルオロポリエーテル潤滑剤dを2nmの膜厚
でディップコーターにより塗布して潤滑層を形成した。
【0041】製造例11 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖が−(C24O)n(CF2
O)m−であり(n=m)、末端官能基がアルコール基
である平均分子量5000のパーフルオロポリエーテル
潤滑剤eを2nmの膜厚でディップコーターにより塗布
して潤滑層を形成した。
【0042】製造例12 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖が−(C24O)n(CF2
O)m−であり(n=m)、末端官能基がエステルそれ
ぞれ−C24COOCH3及び−CF2CH2COOCH3
で表されるエステル基である平均分子量4000のパー
フルオロポリエーテル潤滑剤fを2nmの膜厚でディッ
プコーターにより塗布して潤滑層を形成した。
【0043】製造例13 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖が−(C24O)n(CF2
O)m−であり(n=m)、末端官能基がカルボキシル
基である平均分子量4000のパーフルオロポリエーテ
ル潤滑剤gを2nmの膜厚でディップコーターにより塗
布して潤滑層を形成した。
【0044】製造例14 製造例1〜6と同様にして試料1〜6を製造し、それぞ
れの試料の保護層上に、主鎖が−(C24O)n(CF2
O)m−であり(n=m)、末端官能基がピペロニル基
である平均分子量3200のパーフルオロポリエーテル
潤滑剤hを2nmの膜厚でディップコーターにより塗布
して潤滑層を形成した。
【0045】上記製造例7〜14で用いた潤滑剤a〜h
を下記表1にまとめて示し、製造例1〜14で用いた媒
体と潤滑剤との対応を下記表2にまとめて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】実施例1 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体を、大気中にて、恒温槽を用いて100℃で2
時間熱処理した。
【0049】実施例2 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体の表面に、大気中にて波長254nmの紫外線
を発生する低圧水銀ランプを用いて5分間紫外線を照射
した。紫外線の照射パワーは200Wであった。
【0050】実施例3 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体の表面に、窒素雰囲気中で、波長185nm及
び254nmの紫外線を発生する低圧水銀ランプを用い
て5分間紫外線を照射した。紫外線の照射パワーは20
0Wであった。
【0051】実施例4 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体の表面を、大気中にて、赤外線ランプを用いて
100℃に加熱しながら、波長254nmの紫外線を発
生する低圧水銀ランプを用いて5分間紫外線を照射し
た。紫外線の照射パワーは200Wであった。
【0052】実施例5 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体の表面を、窒素雰囲気中で、赤外線ランプを用
いて100℃に加熱しながら、波長185nm及び25
4nmの紫外線を発生する低圧水銀ランプを用いて5分
間紫外線を照射した。紫外線の照射パワーは200Wで
あった。こうして本発明に従う光磁気記録媒体を得た。
【0053】〔潤滑層の厚みの計測及び潤滑剤結合率の
算出〕実施例1〜5で製造した光磁気記録媒体につい
て、X線光電子分光法(XPS)を用いて次のようにし
て潤滑層の厚みを計測して潤滑剤結合率を算出した。ま
ず、それぞれの光磁気記録媒体から分析用試料として中
心から半径方向40mmの位置で5mm×5mmの分析
用試料を2個ずつ切り出し、一方の分析用試料はそのま
まXPSで分析して潤滑剤の膜厚を測定した。他方の分
析用試料は、Iuchi社製の超音波洗浄器(Mode
l VS−100)を用いて超音波洗浄を行なった。超
音波洗浄では、溶媒としてパーフルオロオクタン(C8
18)を用い、周波数50kHz、出力100Wで30
秒間超音波洗浄した。次いで、超音波洗浄を終えたそれ
ぞれの分析用試料についてXPS分析を行い、潤滑層の
膜厚を測定した。その測定結果を下記表3に示す。表3
において、超音波洗浄する前の潤滑層膜厚をA、超音波
洗浄後の潤滑層膜厚をBとし、潤滑剤結合率をB/A×
100%と定義した。実施例1〜5のいずれの光磁気記
録媒体も、超音波洗浄前の潤滑層の膜厚Aは2.00n
mであり、超音波洗浄後の潤滑層の膜厚Bは0.72〜
1.08の範囲内にあった。潤滑層の潤滑剤結合率はい
ずれも20%より大きく60%未満であった。
【0054】
【表3】
【0055】比較例1 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体について、何の後処理もしないで、上記実施例
で得られた光磁気記録媒体と同様にXPSを用いて潤滑
層の厚みを計測した。超音波洗浄前の潤滑層の膜厚Aは
2.00nmであったのに対して、超音波洗浄後の潤滑
層の膜厚Bは0.40nmであった。この結果から潤滑
剤結合率を算出すると20%と低い値であった。結果を
上記表3に示した。
【0056】比較例2 製造例7〜14と同様にして製造したそれぞれの光磁気
記録媒体の表面に、窒素雰囲気中で、波長185nm及
び254nmの紫外線を発生する低圧水銀ランプを用い
て20分間紫外線を照射した。紫外線の照射パワーは2
00Wであった。
【0057】こうして得られた光磁気記録媒体につい
て、上記実施例で得られた光磁気記録媒体と同様にXP
Sを用いて潤滑層の厚みを計測した。超音波洗浄前の潤
滑層の膜厚Aは2.00nmであったのに対して、超音
波洗浄後の潤滑層の膜厚Bは1.70nmであった。こ
の結果から潤滑剤結合率を算出すると85%と高い値で
あった。結果を上記表3に示した。
【0058】実施例6 図3に、本発明に従う駆動装置の概略図を示す。駆動装
置300は、浮上型光ヘッド32、アーム33、ボイス
コイルモーター34、ランプ35及びワイパー36を備
える。浮上型光ヘッド32は、アーム33の先端に固定
されて設けられている。浮上型光ヘッド32は、スライ
ダーとソリッドイマージョンレンズ(ともに不図示)と
を備え、ソリッドイマージョンレンズはスライダーに搭
載されている。ソリッドイマージョンレンズは、直径8
0μm、屈折率2.2のジルコニア製の半球状のレンズ
を用いた。
【0059】アーム33は、その一端がボイスコイルモ
ーター34と連結して設けられている。ボイスコイルモ
ーター34を制御することによって、アーム33の他端
に設けられている浮上型光ヘッド32を所定の位置まで
移動させることができる。ボイスコイルモーター34が
作動していないときは、浮上型光ヘッド32はランプ3
5上に待避される。
【0060】ワイパー36は、浮上型光ヘッド32の光
射出側の面の汚れを拭き取るための拭き取り部38と、
拭き取り部38を浮上型光ヘッド32の光射出面側に駆
動させるための駆動部(不図示)とを備える。ワイパー
36は、浮上型光ヘッド32をランプ35に待避させた
際に、浮上型光ヘッド32の直下に位置するように設け
られており、上述の不図示の駆動部により、図3におい
て紙面に垂直な方向に昇降可能になっている。拭き取り
部38について図4を用いて説明する。図4はワイパー
36の拭き取り部38を概略的に示した図である。拭き
取り部38は、テープ形状の拭き取り材41、未使用の
拭き取り材を巻き付けたローラー42、巻き取りローラ
ー43、モーター44、歯車45及び支軸46を備え
る。拭き取り材41は、テックスワイプ社製のアルファ
10で構成されている。ローラー42に巻き付けられた
拭き取り材41の先端は巻き取りローラー43に接続さ
れている。モータ44のモーター軸47と駆動ローラー
43との間には、駆動力伝達歯車45が設けられてい
る。モーター軸47を回転させることにより歯車45を
介して巻き取りローラー43を回転させることができ、
それによりローラー42に巻き付けられている拭き取り
材41は、巻き取りローラー43に巻き取られる。
【0061】かかる構造を有するワイパー36の拭き取
り操作について図3及び図4を用いて説明する。浮上型
光ヘッド32がランプ35上に待避してワイパー36の
直上に配置されると、ワイパー36は浮上型光ヘッド側
に上昇して、拭き取り部38の拭き取り材を浮上型光ヘ
ッド32の光射出側の面に押し付ける。そして、モータ
ー44を用いて巻き取りローラー43を所定の速度で回
転させることにより拭き取り材41を浮上型光ヘッド3
2に対して摺動させる。これにより、浮上型光ヘッド3
2を構成しているスライダーの底面やソリッドイマージ
ョンレンズの光射出面に付着または移着した潤滑剤が拭
き取られる。
【0062】かかる本発明の駆動装置300を用いて、
実施例1〜5及び比較例1で得られた光磁気記録媒体に
ついて、浮上型光ヘッドにてシークを行いながら連続1
00時間の記録再生試験を行った。浮上型光ヘッドの光
磁気記録媒体からの浮上高さは、略100nmに維持し
た。この連続100時間の記録再生試験中、24時間ご
とに浮上型光ヘッドをランプ上に待避させ、ワイパーの
拭き取り部を浮上型光ヘッドの光射出側に押し当てなが
ら拭き取り材を5mm/minの速度で一分間走行させ
た。記録再生試験終了後、光学顕微鏡を用いてソリッド
イマージョンレンズ(SIL)の光射出面の汚れ具合と
光磁気記録媒体の表面に形成されるスクラッチ傷の状態
を調べた。結果を表4にまとめて示す。
【0063】
【表4】
【0064】表4からわかるように、実施例1〜5及び
比較例1の光磁気記録媒体の表面に形成されていたスク
ラッチ傷の数は20個以下と少なかった。しかしなが
ら、比較例2の光磁気記録媒体のでは、スクラッチ傷の
数は150個と多い。これは、潤滑剤結合率を85%に
高めて化学吸着性潤滑剤を多くしたことにより、100
時間を超えるシーク動作で、浮上型光ヘッドと化学吸着
性潤滑剤とが接触して摩耗粉が発生し、これら摩耗粉が
スライダーの底面やSILの光射出面に付着して媒体表
面を傷つけたものと考えられる。
【0065】また、表4からわかるように、実施例1〜
5の光磁気記録媒体に記録再生試験を行なった後のSI
Lの光射出面の汚れ具合は軽微であった。これは、駆動
装置に設けられたワイパーにより、SILの光射出面に
移着または付着した潤滑剤が拭き取られたものと考えら
れる。ワイパーの拭き取り部を駆動装置から取り出し
て、巻き取りローラに巻き取られた拭き取り材を観察す
ると、拭き取り材には潤滑剤が付着していた。一方、比
較例1の光磁気記録媒体の場合、多量の潤滑剤がSIL
の光射出面に移着していた。これは、比較例1の光磁気
記録媒体は、潤滑剤結合率が20%と低く、多量の物理
吸着性潤滑剤が存在するため、駆動装置に設けられてい
るワイパーの拭き取り周期及び拭き取り条件では、SI
Lの光射出面に移着または付着した潤滑剤を除去するこ
とができなかったものと考えられる。
【0066】上記実験では、ワイパーによる拭き取りを
24時間ごとに行なったが、比較例1の光磁気記録媒体
に対してはより短い時間間隔で拭き取りを実行すること
によりスライダーの底面やSILの光射出面に付着する
ことを防止することができる。また、比較例2について
も、スライダーの底面やSILの光射出面に付着した摩
耗粉を拭き取ることが可能なワイパーを用いて摩耗粉を
拭き取ることにより、媒体表面にスクラッチ傷が形成さ
れることを防止することができる。
【0067】以上、本発明の光記録媒体及びその製造方
法並びに駆動装置について実施例1〜6により具体的に
説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。例えば、本発明の光記録媒体は光磁気記録媒体に
限定されず、相変化型の光記録媒体や有機色素を記録層
に有する追記型の光記録媒体、再生専用光記録媒体など
任意の光記録媒体に適用することができる。例えば、相
変化型の光記録媒体の場合、媒体構成として、基板上
に、反射層、誘電体層、記録層、誘電体層、保護膜及び
本発明に従う潤滑層を備えた構成にすることができ、具
体的には、基板/AlTi/ZnS+SiO2/GeS
bTe/ZnS+SiO2/カーボン/潤滑剤とするこ
とができる。
【0068】また、上記実施例6では、拭き取り材を浮
上型光ヘッドの光射出側の面に押し付け、モーターを用
いて駆動ローラーを所定の速度で回転させて拭き取り材
を搬送することにより、浮上型光ヘッドの光射出側の面
やソリッドイマージョンレンズの光射出面に付着または
移着した潤滑剤を拭き取ったが、拭き取り材を浮上型光
ヘッドの光射出側の面に押し付け、浮上型光ヘッドが搭
載されているアームを拭き取り材の表面と平行な方向に
僅かに振動させることにより浮上型光ヘッドの光射出側
の面やソリッドイマージョンレンズの光射出面に付着ま
たは移着した潤滑剤を拭き取ることもできる。
【0069】
【発明の効果】本発明の光記録媒体は、潤滑剤結合率が
20%より大きく且つ60%より小さい潤滑層を保護層
上に形成しているので、ソリッドイマージョンレンズを
搭載した浮上型光ヘッドを用いて長期間繰り返しシーク
動作を行っても摩耗粉が発生することは殆どない。した
がって、浮上型光ヘッドのスライダーの底面やソリッド
イマージョンレンズの光射出面に摩耗粉が付着すること
も殆どなくなるので、摩耗粉によって媒体の表面が傷つ
けられることもなくなり、良好に情報の記録及び/また
は再生を行なうことができる。
【0070】また、本発明の光記録媒体の製造方法によ
れば、保護層上に潤滑剤を塗布した後、加熱や紫外線照
射して潤滑層の潤滑剤結合率を20%より大きく且つ6
0%より小さくすることができるので、例えば、ソリッ
ドイマージョンレンズを搭載した浮上型光ヘッドを用い
て100時間以上のシーク動作を行っても、表面にスク
ラッチ傷が殆ど形成されることのない光記録媒体を製造
することができる。したがって、上記本発明の光記録媒
体を製造するための方法として極めて好適である。
【0071】また、本発明の駆動装置は、シーク動作中
に浮上型光ヘッドの光射出面に移着または付着した潤滑
剤を、ワイパーを用いて定期的に除去することができる
ので、長時間安定して記録及び再生の少なくとも一方を
行うことができる。それゆえ、上記本発明の光記録媒体
用の駆動装置として極めて好適である。更に、特願平1
0−237943号で開示した光記録媒体の駆動装置と
しても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】浮上型光ヘッドを用いて記録再生される光磁気
記録媒体の断面構造を概略的に示す図である。
【図2】実施例1で製造した光磁気記録媒体の断面構造
を概略的に示す図である。
【図3】本発明に従う駆動装置の概略図である。
【図4】本発明の駆動装置に設けられたワイパーの拭き
取り部を概略的に示した図である。
【符号の説明】
1 基板 2 反射層 3 第1誘電体層 4 記録層 5 第2誘電体層 6 保護層 7 潤滑層 8 化学吸着性潤滑剤層 9 物理吸着性潤滑剤層 32 浮上型光ヘッド 33 アーム 34 ボイスコイルモーター 36 ワイパー 38 拭き取り部 41 拭き取り材 100、200 光磁気記録媒体 300 駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/10 523 G11B 11/10 523 541 541F 566 566B 566Z Fターム(参考) 5D029 LA06 LA11 LA12 LB01 LC21 NA12 NA14 5D075 AA03 CD17 EE03 FG04 FH02 GG04 GG16 5D119 AA32 BA01 BB05 CA06 JA44 MA10 5D121 AA04 EE21 EE23 EE28 GG02 GG07 GG20

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、反射層、記録層、保護層及び
    潤滑剤から構成される潤滑層をこの順で含む光記録媒体
    において、 上記保護層に対する上記潤滑剤の潤滑剤結合率が20%
    より大きく且つ60%より小さいことを特徴とする光記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 上記潤滑剤が、分子片末端または両末端
    にアルコール基、カルボキシル基、エステル基及びピペ
    ロニル基からなる群から選ばれた1種の官能基を有する
    分子量2000〜10000のパーフルオロポリエーテ
    ルであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 上記保護層が、カーボンから構成されて
    いることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 上記保護層が、水素、窒素、珪素及びフ
    ッ素からなる群から選択された少なくとも1種の元素を
    含有することを特徴とする請求項3に記載の光記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 ソリッドイマージョンレンズを搭載した
    浮上型光ヘッドを用いて記録及び再生の少なくとも一方
    が行なわれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    一項に記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記潤滑剤結合率が、30%〜55%で
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記
    載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記光記録媒体が、光磁気記録媒体であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載
    の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 基板上に、反射層、記録層、保護層及び
    潤滑層をこの順で含む光記録媒体を製造する方法におい
    て、 上記保護層上に潤滑剤を塗布した後、 保護層に対する潤滑剤の潤滑剤結合率が20%より大き
    く且つ60%より小さくなるように加熱及び紫外線照射
    の少なくとも一方を行うことにより潤滑層を形成するこ
    とを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記加熱のための温度が50℃〜120
    ℃の範囲内にあることを特徴とする請求項8に記載の光
    記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記紫外線照射に用いられる紫外線
    が、波長185nm〜254nmの紫外線であることを
    特徴とする請求項8または9に記載の光記録媒体の製造
    方法
  11. 【請求項11】 上記紫外線照射を不活性雰囲気中で行
    うことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記
    載の光記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記不活性雰囲気が、窒素雰囲気、ア
    ルゴン雰囲気及びヘリウム雰囲気からなる群から選ばれ
    た雰囲気であることを特徴とする請求項11に記載の光
    記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記光記録媒体が、光磁気記録媒体で
    あることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に
    記載の光記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8に記載の製造方法により製造
    された光記録媒体。
  15. 【請求項15】 光記録媒体の駆動装置において、 光記録媒体上を浮上する浮上型光ヘッドと、 該浮上型光ヘッドの光射出側の面の汚れを拭き取るため
    のワイパーとを備えることを特徴とする駆動装置。
  16. 【請求項16】 上記浮上型光ヘッドが、ソリッドイマ
    ージョンレンズとそれを搭載するスライダーとを備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の駆動装置。
  17. 【請求項17】 上記光記録媒体が、上記浮上型光ヘッ
    ドと対向する側の最上層として潤滑剤から構成される潤
    滑層を備えることを特徴とする請求項15または16に
    記載の駆動装置。
  18. 【請求項18】 上記光記録媒体が、基板上に、反射
    層、記録層、保護層及び潤滑層をこの順で含み、保護層
    に対する潤滑剤の潤滑剤結合率が20%より大きく且つ
    60%より小さいことを特徴とする請求項17に記載の
    駆動装置。
  19. 【請求項19】 上記ワイパーが、光記録媒体の潤滑層
    からスライダーの底面及びソリッドイマージョンレンズ
    の光射出面の少なくとも一方の面に移着または付着した
    潤滑剤を拭き取ることを特徴とする請求項17または1
    8に記載の駆動装置。
  20. 【請求項20】 上記ワイパーは、一定時間ごとに拭き
    取りを行うことを特徴とする請求項15〜19のいずれ
    か一項に記載の駆動装置。
  21. 【請求項21】 記録及び再生の少なくとも一方を行う
    ことを特徴とする請求項15〜20のいずれか一項に記
    載の駆動装置。
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