JP2000110866A - 電動式ブレーキ装置 - Google Patents

電動式ブレーキ装置

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JP2000110866A
JP2000110866A JP10281546A JP28154698A JP2000110866A JP 2000110866 A JP2000110866 A JP 2000110866A JP 10281546 A JP10281546 A JP 10281546A JP 28154698 A JP28154698 A JP 28154698A JP 2000110866 A JP2000110866 A JP 2000110866A
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Japan
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brake
motor
reverse
switch
brake motor
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JP10281546A
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English (en)
Inventor
Satoru Niwa
悟 丹羽
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電動式ブレーキ装置に関し、ブレーキモータ
の所定位置を越える逆回転を確実に防止した後にブレー
キモータを正回転させる。 【解決手段】 ブレーキモータに回転に伴ってブレーキ
パッドを押圧する加圧ピストンを、導電性部材で構成
し、加圧ピストンの、ディスクロータとは反対側にイン
ターロックスイッチを配設する。スイッチは、加圧ピス
トンが接触することによりオン状態となる。スイッチが
オン状態となった状況下でモータ電流Imがブレーキモ
ータを逆回転させるための電流である場合、モータ電流
Im を“0”にする。この場合、ブレーキモータの逆回
転は停止される。モータ電流がブレーキモータを正回転
させる電流の場合は、モータ電流をブレーキモータに供
給する。この場合、ブレーキモータは、停止状態を継続
し、あるいは、正回転する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ装置に係
り、特に、ブレーキモータを、車両を制動させる場合に
所定方向に回転させ、車両の制動を解除する場合に所定
方向とは逆方向に回転させる装置として好適な電動式ブ
レーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−29112
0号に開示される如く、電動式ブレーキ装置が知られて
いる。上記従来の装置は、ディスクブレーキを備えてい
る。このディスクブレーキは、ブレーキモータを内蔵す
るキャリパと、車輪と共に回転するディスクロータとに
より構成されている。上記キャリパは、ブレーキモータ
の回転に伴ってディスクロータの軸方向に変位するスピ
ンドル、および、スピンドルに押圧されることによりデ
ィスクロータに向けて変位するブレーキパッドを備えて
いる。
【0003】上記従来の装置において、ブレーキパッド
がスピンドルによりディスクロータに対して押圧される
と、ブレーキパッドとディスクロータとの間の摩擦力に
より制動力が発生する。一方、ブレーキパッドは、スピ
ンドルからの押圧力が消滅した場合、ディスクロータか
ら離間する。この場合、上記の摩擦力が消滅すること
で、車両の制動が解除される。従って、上記従来の装置
によれば、ブレーキモータに供給する電力を適当に制御
することで、車両に所望の制動力を発生させることがで
きる。以下、ブレーキパッドがディスクロータに向けて
変位する場合のブレーキモータの回転方向を「正回転」
と、ブレーキパッドがディスクロータから離間する場合
のブレーキモータの回転方向を「逆回転」と、それぞれ
称す。
【0004】ところで、ブレーキパッドがディスクロー
タから離間する状況下で、ブレーキモータが所定位置を
越えて逆回転する場合がある。この場合、ブレーキモー
タのモータ軸によってモータ軸の軸方向に配設された部
品が破損する事態が生じ得る。上記従来の装置は、機械
式クラッチ機構を備えている。この機械式クラッチ機構
は、ブレーキモータのモータ軸が所定の位置に到達した
際、モータ軸とスピンドルとの連結部を機械的に切断す
る。かかる場合、スピンドルは、ブレーキモータの回転
に関わらず変位しなくなる。従って、上記従来の装置に
よれば、ブレーキモータが所定位置を越えて逆回転した
場合でも、ブレーキモータの動力がスピンドルに伝達さ
れるのを防止することができる。このため、上記従来の
装置によれば、ブレーキモータが所定位置を越えて逆回
転したことに起因する部品の破損を防止することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、上記従来
の装置は、部品の破損を防止すべく機械式クラッチ機構
を用いている。この場合、電動式ブレーキ装置の構造が
複雑となってしまう。かかる不都合を回避しつつ部品の
破損を防止する手法として、スピンドルのディスクロー
タと反対側の端部に感圧スイッチを設け、その感圧スイ
ッチの状態に応じてブレーキモータの駆動を停止させる
手法が考えられる。
【0006】かかる手法において、感圧スイッチは、ス
ピンドルがディスクロータと反対側の所定の位置に到達
した場合にオン信号を出力する。感圧スイッチがオン信
号を出力した場合、ブレーキモータの駆動は停止され
る。ブレーキモータの駆動が停止されると、スピンドル
も停止状態に維持される。従って、上記の手法によれ
ば、ブレーキモータの所定位置を越える逆回転を防止す
ることで、部品の破損を防止することが可能となる。
【0007】上記の手法において、上述の如く、感圧ス
イッチがオン信号を出力した場合、ブレーキモータの駆
動は停止される。かかる状態で車両を制動させるべくブ
レーキモータを正回転させるためには、感圧スイッチを
オン状態からオフ状態に切り替える必要がある。しか
し、上記の手法では、ブレーキモータが正回転すること
でスピンドルがディスクロータに向けて変位しない限
り、感圧スイッチをオン状態からオフ状態に切り替える
ことができない。すなわち、感圧スイッチがオン信号を
出力することでブレーキモータの駆動が停止した後、感
圧スイッチがオン信号を出力する状態が継続する。従っ
て、上記の手法では、一旦、感圧スイッチがオン信号を
出力することでブレーキモータの駆動が停止した場合、
その後に、車両を制動させるべくブレーキモータを正回
転させることができなくなってしまう。
【0008】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、簡易な構成でブレーキモータが所定位置を越え
て逆回転することを確実に防止すると共に、ブレーキモ
ータの所定位置を越える逆回転を防止する処理が実行さ
れた後でもブレーキモータを正回転させ得る電動式ブレ
ーキ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、ブレーキモータが所定方向に回転する
ことにより制動力を発生し、前記所定方向とは逆方向に
回転することにより制動力の発生を解除する電動式ブレ
ーキ装置において、前記ブレーキモータが前記逆方向に
所定位置を越えて回転する場合にオン信号を出力する過
逆転スイッチ手段と、前記過逆転スイッチ手段がオン信
号を出力する場合に前記ブレーキモータの前記逆方向へ
の回転を禁止する逆転禁止手段と、を備えることを特徴
とする電動式ブレーキ装置により達成される。
【0010】本発明において、ブレーキモータが所定方
向に回転することで制動力が発生し、ブレーキモータが
所定方向とは逆方向に回転することで制動力の発生が解
除される。過逆転スイッチ手段は、ブレーキモータが所
定位置を越えて逆方向に回転する場合にオン信号を出力
する。過逆転スイッチ手段がオン信号を出力した場合、
ブレーキモータの逆方向への回転は禁止される。従っ
て、本発明によれば、機械的に複雑な構成によることな
く電気的に簡易な構成で、ブレーキモータが所定位置を
越えて逆方向に回転することが防止される。
【0011】また、本発明において、上述の如く、過逆
転スイッチ手段がオン信号を出力した場合、ブレーキモ
ータの逆方向への回転は禁止される。この場合、ブレー
キモータの所定方向への回転は許容される。このため、
本発明によれば、ブレーキモータが所定位置を越えて逆
方向に回転するのを防止する処理が実行された後、ブレ
ーキモータを所定方向に回転させることが可能となる。
【0012】また、請求項2に記載する如く、請求項1
記載の電動式ブレーキ装置において、所定状況下で前記
ブレーキモータを前記逆方向に回転させる強制逆転手段
と、前記強制逆転手段により前記ブレーキモータが前記
逆方向に回転している過程で前記過逆転スイッチ手段が
オン信号を出力しない場合に、前記過逆転スイッチ手段
が異常であると判定するスイッチ異常判定手段と、前記
過逆転スイッチ手段が異常であると判定された場合に前
記ブレーキモータの駆動を禁止する駆動禁止手段と、を
備えることを特徴とする電動式ブレーキ装置は、ブレー
キシステムの信頼性の向上を図るうえで有効である。
【0013】本発明において、強制逆転手段は、所定の
状況下でブレーキモータを逆方向に回転させる。ブレー
キモータが逆方向に回転している過程で過逆転スイッチ
手段がオン信号を出力する場合は、過逆転スイッチ手段
が正常に機能していると判断できる。一方、上記の過程
で過逆転スイッチ手段がオン信号を出力しない場合は、
過逆転スイッチ手段が正常に機能していない、すなわ
ち、過逆転スイッチ手段に異常が発生していると判断で
きる。過逆転スイッチ手段が異常である場合は、ブレー
キモータを駆動するのは適切ではない。従って、過逆転
スイッチ手段が異常であると判断された場合は、ブレー
キモータの駆動は禁止される。このため、本発明によれ
ば、ブレーキシステムの信頼性の向上を図ることができ
る。
【0014】更に、請求項3に記載する如く、請求項1
記載の電動式ブレーキ装置において、所定状況下で前記
ブレーキモータを前記逆方向に回転させる強制逆転手段
と、前記強制逆転手段により前記ブレーキモータが前記
逆方向に回転している過程で前記過逆転スイッチ手段が
オン信号を出力しない場合に、前記過逆転スイッチ手段
が異常であると判定するスイッチ異常判定手段と、前記
過逆転スイッチ手段が異常であると判定された場合に警
報を促す異常警報手段と、を備えることを特徴とする電
動式ブレーキ装置は、ブレーキシステムの異常を運転者
に知らせるうえで有効である。
【0015】本発明において、強制逆転手段は、所定の
状況下でブレーキモータを逆方向に回転させる。ブレー
キモータが逆方向に回転している過程で過逆転スイッチ
手段がオン信号を出力する場合は、過逆転スイッチ手段
が正常に機能していると判断できる。一方、上記の過程
で過逆転スイッチ手段がオン信号を出力しない場合は、
過逆転スイッチ手段が正常に機能していない、すなわ
ち、過逆転スイッチ手段に異常が発生していると判断で
きる。過逆転スイッチ手段が異常である場合は、その異
常を運転者に知らせる必要がある。従って、過逆転スイ
ッチ手段が異常であると判断された場合は、運転者に対
して異常警報が発せられる。このため、本発明によれ
ば、ブレーキシステムの信頼性の向上を図ることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
電動式ブレーキ装置のシステム構成図である。本実施例
の電動式ブレーキ装置は、電子制御ユニット(以下、E
CUと称す)10を備えており、ECU10に制御され
ることによりブレーキ操作量に応じた制動力を発生す
る。
【0017】本実施例の電動式ブレーキ装置は、ブレー
キペダル12を備えている。ブレーキペダル12は、作
動軸14を介してストロークシミュレータ16に連結さ
れている。ブレーキペダル12が踏み込まれると、作動
軸14がストロークシミュレータ16に進入する。スト
ロークシミュレータ16は、作動軸14の進入量に応じ
た反力を発生する。このため、ブレーキぺダル12に
は、ペダルストロークXp に応じた反力が伝達される。
【0018】ブレーキぺダル12に近傍には、ペダルス
イッチ18が配設されている。ペダルスイッチ18は、
ブレーキペダル12の踏み込みが解除されている場合に
オフ状態を維持し、ブレーキペダル12の踏み込みが行
われている場合にオン信号を出力する。ペダルスイッチ
18の出力信号は、ECU10に供給されている。EC
U10は、ペダルスイッチ18の出力信号に基づいてブ
レーキ操作が行われているか否かを判断する。
【0019】作動軸14には、ペダルストロークセンサ
20が配設されている。ペダルストロークセンサ20
は、ペダルストロークXp に応じた電気信号を出力す
る。ペダルストロークセンサ20の出力信号は、ECU
10に供給されている。ECU10は、ペダルストロー
クセンサ20の出力信号に基づいてペダルストロークX
pを検出する。
【0020】ECU10には、イグニションスイッチ
(IGスイッチ)21および回転センサ22が接続され
ている。IGスイッチ21は、運転者が車両のキースイ
ッチを操作することによりオン状態になる。本実施例の
電動式ブレーキ装置は、IGスイッチ21がオン状態と
なった時点で作動可能な状態となる。また、回転センサ
22は、後述するモータ軸56の外周に配設されてお
り、後述の如く、磁束の強度に応じた電気信号を出力す
る。ECU10は、回転センサ22の出力信号に基づい
て、モータ軸56の回転角を検出する。
【0021】ECU10には、インターロックスイッチ
24が接続されている。インターロックスイッチ24
は、後述する加圧ピストン64の、ディスクロータ42
とは反対側に配設されており、後述の如く、加圧ピスト
ン64が接触することによりオン状態となる。ECU1
0には、また、警報器26が接続されている。ECU1
0は、各種スイッチおよび各種センサに異常が発生した
場合に、警報器26を駆動する。これにより、車両の運
転者に対して注意が喚起される。
【0022】ECU10には、更に、モータドライバ2
8,29が接続されている。モータドライバ28には、
右前輪FRに配設されるブレーキモータ30、および、
左後輪RLに配設されるブレーキモータ32が接続され
ている。一方、モータドライバ29には、左前輪FLに
配設されるブレーキモータ34、および、右後輪RRに
配設されるブレーキモータ36が接続されている。
【0023】モータドライバ28は、ECU10から供
給される指令信号に応じてブレーキモータ30,32を
制御する。また、モータドライバ29は、ECU10か
ら供給される指令信号に応じてブレーキモータ34,3
6を制御する。各車輪には、ブレーキモータ30〜36
を動力源とするディスクブレーキ40が配設されてい
る。ディスクブレーキ40は、ブレーキモータ30〜3
6の作動状態に応じた制動力を発生する。
【0024】図2は、本実施例の電動式ブレーキ装置が
備えるディスクブレーキ40の断面図を示す。尚、図2
は、右前輪FRに配設されるディスクブレーキ40の構
造である。本実施例の電動式ブレーキ装置が備えるディ
スクブレーキ40は、各車輪での構成および動作におい
て異なるところがない。このため、以下では、右前輪F
Rに配設されるディスクブレーキ40についてのみ、そ
の構成と動作を説明する。
【0025】本実施例のディスクブレーキ40は、車輪
と共に回転するディスクロータ42、および、ディスク
ロータ42の外周部に配設されたキャリパ44を備えて
いる。ディスクロータ42は、鋳鉄性の耐熱性材料によ
り構成された環状の部材である。キャリパ44は、フロ
ーティング型のキャリパであり、車体のナックルに固定
されたマウンティングブラケット46に、ディスクロー
タ42の軸方向に移動可能に支持されている。キャリパ
44には、上記のブレーキモータ30が固定されてい
る。
【0026】ブレーキモータ30は、永久磁石で構成さ
れた回転子48、および、コイル50とコア52とを有
する固定子54を備えるDCブラシレスモータで構成さ
れている。ブレーキモータ30の回転子48は、固定子
54にモータ電流が供給されていない場合、回転子48
に作用する摩擦力により実質的に回転が禁止された状態
となる。また、固定子54にモータ電流が供給されてい
る場合、回転子48にモータ電流に応じた回転トルクが
発生し得る状態となる。
【0027】ブレーキモータ30の回転子48には、ブ
レーキモータ30のモータ軸56が固定されている。モ
ータ軸56は、中空のロッド状に構成された部材であ
り、ベアリング58,60を介してキャリパ44の外壁
に回転可能に支持されている。ブレーキモータ30は、
固定子54にモータ電流が供給されることによって生ず
る磁界により、モータ軸56をキャリパ44に対して回
転させる。
【0028】モータ軸56には、その外周部に複数の歯
を有するロータが形成されている。ロータの歯は、外周
に所定間隔毎に設けられている。また、モータ軸56の
外周側には、ホール素子からなる上記の回転センサ22
が配設されている。更に、回転センサ22の上部には、
マグネットが配設されている。回転センサ22およびマ
グネットは、キャリパ44に固定されている。マグネッ
トが発する磁束は、マグネットと回転センサ22との間
に形成されるエアギャップを介して回転センサ22に伝
達される。
【0029】上記の経路を辿って還流する磁束の強度
は、回転センサ22がロータの歯のいずれかに対向して
いる場合に大きく、対向していない場合に小さくなる。
回転センサ22は、モータ軸56が所定回転角回転する
毎に強度の大きい磁束を検出する。回転センサ22は、
磁束の強度に応じた電気信号を出力する。回転センサ2
2の出力信号は、ECU10に供給されている。ECU
10は、上述の如く、回転センサ22の出力信号に基づ
いて、モータ軸56の回転角を検出する。
【0030】モータ軸56の中空部には、ローラねじ6
2を介してモータ軸56と同軸になるように加圧ピスト
ン64が螺合されている。加圧ピストン64は、導電性
を有する材料により構成されたロッド状の部材である。
加圧ピストン64は、キャリパ44に固定された部材に
回転不能に、かつ、軸方向に変位可能に支持されてい
る。加圧ピストン64は、シール部材66によってキャ
リパ44に対する軸方向への変位を許容されている。
【0031】ローラねじ62は、モータ軸56の回転を
加圧ピストン64の変位に変換する構成を有している。
従って、加圧ピストン64は、モータ軸56の回転に伴
って軸方向に変位することができる。上記の構成によれ
ば、ブレーキモータ30の回転運動を加圧ピストン64
の軸方向への直線運動に変換することができる。尚、E
CU10は、モータ軸56の回転角を、加圧ピストン6
4の軸方向のピストンストロークSに換算することがで
きる。
【0032】加圧ピストン64のディスクロータ42と
は反対側には、図1に示したインターロックスイッチ2
4が配設されている。インターロックスイッチ24は、
導電性を有する加圧ピストン64と接触していない場合
にオフ状態を維持し、接触することによりオン状態とな
る。インターロックスイッチ24の出力信号は、ECU
10に供給されている。ECU10は、インターロック
スイッチ24がオン状態である場合に加圧ピストン64
がインターロックスイッチ24に接触していると判断す
る。
【0033】キャリパ44は、ブレーキパッド70,7
2を備えている。ブレーキパッド70,72は、耐磨耗
性および耐熱性に優れた材料で構成された部材であり、
マウンティングブラケット46にディスクロータ42の
軸方向に変位可能に支持されている。ブレーキパッド7
0はディスクロータ42に対して車体内側に、ブレーキ
パッド72はディスクロータ42に対して車体外側に、
それぞれディスクロータ42の表面に対向するように配
設されている。ブレーキパッド70は、加圧ピストン6
4に押圧されることによりディスクロータ42に向けて
変位し、ディスクロータ42に押圧される。ブレーキパ
ッド72は、キャリパ44の爪部に押圧されることによ
りディスクロータ42に向けて変位し、ディスクロータ
42に押圧される。
【0034】本実施例のディスクブレーキ40におい
て、ブレーキモータ30が作動していない場合、ディス
クロータ42とブレーキパッド70,72との間には、
所定のクリアランスが確保されている。かかる状況下で
ブレーキペダル12が踏み込まれると、ECU10は、
ペダルストロークXp に基づいて運転者が要求する制動
力を検出する。そして、その制動力と等しい制動力が車
両に生ずるように、かつ、右前輪FRの制動力と左後輪
RLの制動力とが所定の比率となるように、ブレーキモ
ータ30を制御する。
【0035】具体的には、ECU10は、ブレーキモー
タ30に適切なモータ電流が供給されるように、モータ
ドライバ28に指令信号を出力する。ブレーキモータ3
0にモータ電流が供給されると、モータ軸56が回転す
る。モータ軸56が回転すると、加圧ピストン64が軸
方向に変位する。加圧ピストン64は、ディスクロータ
42に向けて変位する過程で、ブレーキパッド70に当
接する。加圧ピストン64の変位が更に継続すると、ブ
レーキパッド70がディスクロータ42に向けて変位し
始める。ブレーキパッド70は、上記のクリアランス分
だけ変位すると、ディスクロータ42に押圧される。こ
の際、ブレーキパッド70とディスクロータ42との間
に摩擦力が発生する。
【0036】そして、キャリパ44は、ブレーキパッド
70がディスクロータ42に押圧される際に生じる反力
により図2において左方に変位する。この際、ブレーキ
パッド72がディスクロータ42に向けて変位する。ブ
レーキパッド72は、上記のクリアランス分だけ変位す
ると、ディスクロータ42に押圧される。この際、ブレ
ーキパッド72とディスクロータ42との間に摩擦力が
発生する。従って、上記の構成によれば、ブレーキパッ
ド70,72とディスクロータ42との間に摩擦力が発
生することで、右前輪FRに所望の制動力を発生させる
ことができる。以下、車両の制動力を増加させるブレー
キモータ30の回転方向を「正回転」と称す。
【0037】車両に制動力が発生している状況下でブレ
ーキペダル12の踏み込みが緩和されると、ECU10
は、その制動力が減少するようにブレーキモータ30を
制御する。この場合、加圧ピストン64は、図2におい
て左方に変位する。加圧ピストン64が左方に変位する
と、ブレーキパッド70がディスクロータ42から離間
する。ブレーキパッド70がディスクロータ42から離
間すると、キャリパ44は、ディスクロータ42からの
反力が減少することで図2において右方に変位する。こ
の場合、ブレーキパッド72もディスクロータ42から
離間する。
【0038】このため、ブレーキパッド70とディスク
ロータ42との間、および、ブレーキパッド72とディ
スクロータ42との間に生じていた摩擦力が減少する。
従って、上記の構成によれば、右前輪FRに生じていた
制動力を減少させることができる。以下、車両の制動力
を減少させるブレーキモータ30の回転方向を「逆回
転」と称す。
【0039】ところで、ブレーキパッド70,72とデ
ィスクロータ42との間のクリアランスが大きくなる
と、それに起因して次のブレーキ作動時の応答性が低下
する事態が生じ得る。このため、ブレーキパッド70,
72をディスクロータ42から離間させる際には、ブレ
ーキパッド70,72を常に適当な位置で停止させる必
要がある。ブレーキパッド70,72を適当な位置で停
止させるためには、加圧ピストン64が所定の位置に到
達した時点でブレーキモータ30の回転を停止させるこ
とが重要である。
【0040】しかし、ブレーキパッド70,72をディ
スクロータ42から離間させた場合に、回転センサ22
の異常に起因して、ブレーキモータ30が上記クリアラ
ンスを越えて逆回転する場合がある。この場合、ブレー
キモータ30の逆回転に伴って加圧ピストン64がディ
スクロータ42に対して反対方向に大きく変位すること
になる。加圧ピストン64が大きく変位すると、加圧ピ
ストン64の軸方向に配設された部品が加圧ピストン6
4の変位によって破損する事態が生じ得る。部品を破損
させないためには、加圧ピストン64が所定の距離以上
に図2における左方に変位しないように、ブレーキモー
タ30の上記クリアランスを越える逆回転を確実に防止
する必要がある。
【0041】本実施例の電動式ブレーキ装置は、加圧ピ
ストン64の、ディスクロータ42とは反対側にインタ
ーロックスイッチ24を備えている。インターロックス
イッチ24は、加圧ピストン64が接触することにより
オン状態となる。本実施例の電動式ブレーキ装置は、イ
ンターロックスイッチ24の状態に基づいてブレーキモ
ータ30の上記クリアランスを越える逆回転を確実に防
止する点に第1の特徴を有している。
【0042】本実施例のシステムにおいて、インターロ
ックスイッチ24がオン状態となり、部品の破損を防止
すべくブレーキモータ30の逆回転が停止された後に、
車両を制動させるべくブレーキモータ30を正回転させ
たい場合がある。本実施例の電動式ブレーキ装置は、ブ
レーキモータ30の上記クリアランスを越える逆回転を
防止する処理が実行された後でも確実にブレーキモータ
30を正回転させ得る点に第2の特徴を有している。
【0043】以下、図3〜図5を参照して、上述した特
徴的機能を実現するための処理の内容にについて説明す
る。図3および図4は、本実施例の電動式ブレーキ装置
において各種スイッチおよびセンサの異常およびピスト
ンストロークの基準位置を検出すべく実行される制御ル
ーチンの一例のフローチャートを示す。図3および図4
に示すルーチンは、その処理が終了する毎に繰り返し起
動される。図3および図4に示すルーチンが起動される
と、まずステップ100の処理が実行される。
【0044】ステップ100では、前回の処理サイクル
から今回の処理サイクルにかけてIGスイッチ21がオ
フ状態からオン状態に変化したか否かが判別される。そ
の結果、IGスイッチ21がオフ状態のまま、あるい
は、オン状態のままであると判別される場合は、以後、
何ら処理が実行されることなく今回のルーチンが終了さ
れる。一方、上記の条件が成立すると判別される場合
は、次にステップ102の処理が実行される。
【0045】ステップ102では、回転センサ22の出
力信号に基づいてモータ軸56の回転角が検出される。
そして、そのモータ軸56の回転角に基づいて換算され
た現在のピストンストロークSnow が初期ストロークS
1 として記憶される。ステップ104では、モータ電流
Im =−(Ag +α1 )をブレーキモータ30に供給す
る処理が実行される。尚、電流Ag は、その電流がブレ
ーキモータ30に流通しても加圧ピストン64がディス
クロータ42に対して反対方向に変位することがないよ
うな最大の電流である。また、電流α1 は、ブレーキモ
ータ30の製造上のバラツキに対する適合値である。本
ステップ104の処理が実行されると、通常、ブレーキ
モータ30は逆回転し始める。
【0046】ステップ106では、本ステップ106の
処理が実行される時点でのピストンストロークSnow
が、上記ステップ102で記憶された初期ストロークS
1 より小さいか否かが判別される。Snow <S1 である
場合は、上記ステップ104で供給されたモータ電流I
m によってブレーキモータ30が逆回転し、加圧ピスト
ン64がディスクロータ42に対して反対方向に変位し
ていると判断できる。この場合、回転センサ22が正常
に機能していると判断できる。従って、Snow <S1 で
あると判別された場合は、次にステップ108の処理が
実行される。
【0047】ステップ108では、前回の処理サイクル
から今回の処理サイクルにかけてインターロックスイッ
チ24がオフ状態からオン状態に変化したか否かが判別
される。インターロックスイッチ24がオフ状態を維持
する場合は、加圧ピストン64が本ステップ108の処
理が実行される時点における位置から更にインターロッ
クスイッチ24側に変位することは可能である。このた
め、ブレーキモータ30にモータ電流Im が継続して供
給される。本ステップ108で上記条件が成立しないと
判別された場合は、次にステップ110の処理が実行さ
れる。
【0048】ステップ110では、現在のピストンスト
ロークSnow が、初期ストロークS1 からSαを減算し
た値より小さいか否かが判別される。尚、ストロークS
αは、加圧ピストン64がインターロックスイッチ24
に接触した状態からブレーキパッド70をディスクロー
タ42に押圧するまでのストロークであり、加圧ピスト
ン64が最大に変位できる距離である。本ステップ11
0においてSnow <S1 −Sαでない場合、すなわち、
Snow ≧S1 −Sαである場合は、加圧ピストン64が
インターロックスイッチ24に向けて変位する過程であ
ると判断できる。従って、この場合は、上記ステップ1
08の処理が繰り返し実行される。
【0049】上記ステップ108において、インターロ
ックスイッチ24がオフ状態からオン状態に変化した場
合は、インターロックスイッチ24と加圧ピストン64
とが互いに接触していると判断できる。この場合、加圧
ピストン64が更にインターロックスイッチ24に向け
て変位することは適切ではない。従って、上記の条件が
成立する場合は、次にステップ112の処理が実行され
る。
【0050】ステップ112では、モータ電流Im の値
を“0”にする処理が実行される。かかる処理が実行さ
れた後、ブレーキモータ30の駆動が停止され、加圧ピ
ストン64は変位しなくなる。本ステップ112の処理
が終了すると、次にピストンストロークSの基準位置を
定めるべくステップ114の処理が実行される。ステッ
プ114では、今回の処理サイクルにおけるピストンス
トロークSm が、前回の処理サイクルにおけるピストン
ストロークSm-1 と等しいか否かが判別される。Sm =
Sm-1 である場合は、上記ステップ112の処理が実行
された後、前回の処理サイクルから今回の処理サイクル
にかけて加圧ピストン64が変位していないと判断でき
る。従って、Sm =Sm-1 であると判別される場合は、
次にステップ116の処理が実行される。
【0051】ステップ116では、モータ電流Im を
“0”から所定量だけ増加させた値をブレーキモータ3
0に供給する処理が実行される。本ステップ116の処
理の後、上記ステップ114の処理が繰り返し実行され
る。その結果、上記ステップ114において、Sm =S
m-1 でない場合は、上記ステップ116で供給されるモ
ータ電流Im によってブレーキモータ30が正回転し、
加圧ピストン64がディスクロータ42に向けて変位し
ていると判断できる。従って、Sm =Sm-1 でないと判
別された場合は、次にステップ118の処理が実行され
る。
【0052】ステップ118では、上記ステップ116
で供給されたモータ電流Im を電流As に置き換える処
理が実行される。尚、電流As は、その電流がブレーキ
モータ30に流通した場合に加圧ピストン64がディス
クロータ42に向けて変位できるような最小の電流であ
る。本実施例において、この電流As に基づいて、無効
電流Ag が設定される。
【0053】ステップ120では、今回の処理サイクル
におけるピストンストロークSn が、前回の処理サイク
ルにおけるピストンストロークSn-1 と等しいか否かが
判別される。Sn =Sn-1 でない場合は、ディスクロー
タ42側への加圧ピストン64の変位が継続していると
判断できる。従って、Sn =Sn-1 でないと判別される
場合は、Sn =Sn-1 であると判別されるまで繰り返し
本ステップ120の処理が実行される。
【0054】本ステップ120において、Sn =Sn-1
である場合は、ディスクロータ42側への加圧ピストン
64の変位が終了した、すなわち、ブレーキパッド70
がディスクロータ42に押圧されていると判断できる。
従って、Sn =Sn-1 であると判別された場合は、次に
ステップ122の処理が実行される。ステップ122で
は、ブレーキパッド70がディスクロータ42に押圧さ
れた時点での加圧ピストン64のピストンストロークS
now を、基準ピストンストロークS0 として記憶する処
理が実行される。本ステップ122の処理が終了する
と、次にステップ124の処理が実行される。
【0055】ステップ124では、モータ電流Im の値
を“0”にする処理が実行される。かかる処理が実行さ
れた後、ブレーキモータ30の駆動が停止され、加圧ピ
ストン64は変位しなくなる。本ステップ124の処理
が終了すると、今回のルーチンは終了される。上記ステ
ップ106において、Snow <S1 でない場合、すなわ
ち、Snow ≧S1 である場合は、ブレーキモータ30が
逆回転するのに必要最小限のモータ電流Im が供給され
ているにも関わらず、ブレーキモータ30が作動してい
ないと判断できる。この場合、回転センサ22が正常に
機能していないと判断できる。回転センサ22が正常に
機能していない場合、ブレーキモータ30を適切に作動
させることはできない。従って、Snow <S1 でないと
判別された場合は、次にステップ126の処理が実行さ
れる。
【0056】ステップ126では、回転センサ22に異
常が発生したとする処理が実行される。本ステップ12
6の処理が実行されると、警報器26に対して指令信号
が供給される。そして、警報器26が駆動することで、
運転者に対して回転センサ22が異常であるとして注意
が喚起される。本ステップ126の処理が終了すると、
以後上記ステップ124の処理が実行された後、今回の
ルーチンが終了される。
【0057】上記ステップ110において、Snow <S
1 −Sαである場合は、インターロックスイッチ24が
未だオフ状態であるにも関わらず、加圧ピストン64が
ディスクロータ42と反対方向に大きく変位していると
判断できる。この場合、インターロックスイッチ24が
正常に機能していないと判断できる。インターロックス
イッチ24が正常に機能していない場合、ブレーキモー
タ30を適切に作動させることはできない。従って、S
now <S1 −Sαであると判別された場合は、次にステ
ップ128の処理が実行される。
【0058】ステップ128では、インターロックスイ
ッチ24に異常が発生したとする処理が実行される、本
ステップ128の処理が実行されると、警報器26に対
して指令信号が供給される。そして、警報器26が駆動
することで、運転者に対してインターロックスイッチ2
4が異常であるとして注意が喚起される。本ステップ1
28の処理が終了すると、以後上記ステップ124の処
理が実行された後、今回のルーチンが終了される。
【0059】上記の処理によれば、IGスイッチ21が
オフ状態からオン状態に変化した場合、ブレーキモータ
30が逆回転するのに必要最小限のモータ電流Im をブ
レーキモータ30に供給することで、回転センサ22の
異常を判定することができる。このため、本実施例によ
れば、ブレーキ制御を実行するうえで不可欠な加圧ピス
トン64のピストンストロークSを、正確に検出するこ
とができる。上記の構成において、回転センサ22に異
常が発生している場合、ブレーキモータ30に供給する
モータ電流Im は“0”にされる。このため、本実施例
によれば、回転センサ22が異常である場合にブレーキ
モータ30の駆動を禁止することで、ブレーキシステム
の信頼性の向上を図ることができる。
【0060】また、上記の処理によれば、加圧ピストン
64が所定ストローク以上に変位した場合、インターロ
ックスイッチ24の異常を判定することができる。この
ため、本実施例によれば、ブレーキモータ30の所定ク
リアランスを越える逆回転を防止するうえで不可欠なイ
ンターロックスイッチ24の状態を、正確に判定するこ
とができる。上記の処理において、インターロックスイ
ッチ24に異常が発生している場合、ブレーキモータ3
0に供給するモータ電流Im は“0”にされる。このた
め、本実施例によれば、インターロックスイッチ24が
異常である場合にブレーキモータ30の駆動を禁止する
ことで、ブレーキシステムの信頼性の向上を図ることが
できる。
【0061】更に、上記の処理によれば、インターロッ
クスイッチ24がオン状態となった後に加圧ピストン6
4をディスクロータ42に向けて変位させるべく、ブレ
ーキモータ30にモータ電流Im が供給される場合、そ
のモータ電流Im を所定の値ごとに増加させていくこと
で、ブレーキモータ30を正回転させるために必要な最
小モータ電流Im0を検出することができる。
【0062】本実施例において、かかる最小モータ電流
Im0がブレーキモータ30に供給されると、ブレーキモ
ータ30は極低速で回転する。かかる状況においては、
万一インターロックスイッチ24が故障していても、加
圧ピストン64が軸方向に配設された部品に接触する
と、その変位は直ちに停止する。このため、本実施例に
よれば、ブレーキモータ30が駆動するために必要な最
小モータ電流Im0をブレーキモータ30に流通させて各
種スイッチおよびセンサの異常判定処理を実行すること
で、軸方向の部品を破損させることがなくなる。
【0063】また、本実施例において、ブレーキパッド
70がディスクロータ42に当接した時点での加圧ピス
トン64のピストンストロークSは、基準ピストンスト
ロークS0 として設定されている。本実施例のブレーキ
制御は、この基準ピストンストロークS0 に基づいて適
宜実行される。また、基準ピストンストロークS0 の設
定は、IGスイッチ21がオフ状態からオン状態に変化
する毎に繰り返し実行される。このため、ブレーキモー
タ30の温度変化やブレーキパッド70,72の引き摺
り変化に対するロバスト性の向上が図られる。従って、
本実施例によれば、ブレーキ制御を、常に適切な基準ピ
ストンストロークS0 に基づいて実行することが可能と
なる。
【0064】図5は、本実施例の電動式ブレーキ装置で
実行されるメインルーチンの一例のフローチャートを示
す。図5に示すルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起
動される定時割り込みルーチンである。図5に示すルー
チンが起動されると、まずステップ140の処理が実行
される。ステップ140では、上記図3のルーチンが実
行された結果に基づいて、インターロックスイッチ24
が異常であるか否かが判別される。その結果、インター
ロックスイッチ24が異常でないと判別された場合は、
次にステップ142の処理が実行される。一方、インタ
ーロックスイッチ24が異常であると判別された場合
は、次にステップ141の処理が実行される。
【0065】ステップ141では、モータ電流Im の出
力を禁止するための処理、具体的には、モータドライバ
28に内蔵されるリレーユニットを遮断状態とする処理
が実行される。本ステップ141の処理が実行される
と、以後、ブレーキモータ30へのモータ電流Im の供
給が禁止される。本ステップ141の処理が終了する
と、今回のルーチンが終了される。
【0066】ステップ142では、ペダルストロークセ
ンサ20の出力信号に基づいてペダルストロークXp が
検出される。ステップ144では、上記ステップ142
で検出されたペダルストロークXpに基づいて、ブレー
キモータ30に供給すべきモータ電流Im が演算され
る。ステップ146では、インターロックスイッチ24
がオン状態であるか否かが判別される。インターロック
スイッチ24がオン状態でない場合は、上記ステップ1
44で演算されたモータ電流Im をブレーキモータ30
に供給しても何ら不都合はない。従って、インターロッ
クスイッチ24がオン状態でないと判別される場合は、
次にステップ152の処理が実行される。
【0067】一方、上記ステップ146においてインタ
ーロックスイッチ24がオン状態である場合は、加圧ピ
ストン64の左端がインターロックスイッチ24に接触
していると判断できる。この場合、ブレーキモータ30
に、加圧ピストン64がインターロックスイッチ24に
向けて変位するようにモータ電流Im を供給することは
適切ではない。従って、インターロックスイッチ24が
オン状態であると判別される場合は、次にステップ14
8の処理が実行される。
【0068】ステップ148では、上記ステップ144
で演算されたモータ電流Im が0未満であるか否か、す
なわち、加圧ピストン64が左方に変位するようにブレ
ーキモータ30にモータ電流Im が供給されるか否かが
判別される。Im <0でない場合、すなわち、Im ≧0
である場合は、ブレーキモータ30が正回転している
か、あるいは、停止していると判断できる。ブレーキモ
ータ30が正回転している場合は、加圧ピストン64
は、右方に、すなわち、制動力を発生させる方向に変位
していると判断できる。この場合、ペダルストロークX
p に応じたモータ電流Im をブレーキモータ30に供給
することとしても、何ら不都合は生じない。従って、I
m <0でないと判別される場合は、次にステップ152
の処理が実行される。
【0069】一方、上記ステップ148においてIm <
0である場合は、加圧ピストン64がインターロックス
イッチ24に接触している状態で更に左方に変位すると
判断できる。この場合、ブレーキモータ30に、加圧ピ
ストン64がインターロックスイッチ24に向けて変位
するようにモータ電流Im を供給することは適切ではな
い。従って、Im <0であると判別される場合は、次に
ステップ150の処理が実行される。
【0070】ステップ150では、上記ステップ144
で演算されたモータ電流Im を“0”にする処理、すな
わち、ブレーキモータ30へのモータ電流Im の供給を
停止する処理が実行される。本ステップ150の処理が
終了すると、次にステップ152の処理が実行される。
ステップ152では、ブレーキモータ30に対してモー
タ電流Im を供給するための処理が実行される。本ステ
ップ152の処理が実行されると、右前輪FRおよび左
後輪RLのブレーキ装置は、ペダルストロークXp およ
びインターロックスイッチ24のオン・オフ状態に応じ
た制動力を発生する。本ステップ152の処理が終了す
ると、今回のルーチンが終了される。
【0071】上記の処理によれば、インターロックスイ
ッチ24がオフ状態である場合に、ペダルストロークX
p に応じたモータ電流Im をブレーキモータ30に供給
することができる。また、インターロックスイッチ24
がオン状態であり、かつ、加圧ピストン64が更に左方
に変位しようとする場合に、ブレーキモータ30へのモ
ータ電流Im の供給を停止することができる。このた
め、本実施例によれば、ブレーキモータ30の所定クリ
アランスを越える逆回転を確実に防止することができ
る。従って、本実施例の電動式ブレーキ装置によれば、
ブレーキモータ30の所定クリアランスを越える逆回転
の防止を、機械的に複雑な構成によることなく電気的に
簡易な構成で実現することができる。
【0072】また、上記の処理において、インターロッ
クスイッチ24がオン状態であり、かつ、加圧ピストン
64が右方に変位しようとする場合、ブレーキモータ3
0には、ペダルストロークXp に応じたモータ電流Im
が供給される。このため、本実施例によれば、ブレーキ
モータ30の所定クリアランスを越える逆回転を防止す
る処理が実行された後に、制動力が発生するようにブレ
ーキモータ30を正回転させることができる。
【0073】本実施例において、ブレーキモータ30の
所定クリアランスを越える逆回転を防止する処理が実行
された後にブレーキモータ30が正回転すると、インタ
ーロックスイッチ24がオン状態からオフ状態に変化す
る。従って、本実施例の電動式ブレーキ装置によれば、
インターロックスイッチ24のオン状態が解除されるこ
とで、以後、ブレーキモータ30を正常に作動させるこ
とが可能となる。
【0074】尚、上記の実施例においては、インターロ
ックスイッチ24が請求項に記載した「過逆転スイッチ
手段」に、IGスイッチ21がオフ状態からオン状態に
変化する状況が請求項に記載した「所定状況」に、それ
ぞれ相当していると共に、ECU10が上記ステップ1
50の処理を実行することにより請求項に記載した「逆
転禁止手段」が実現されている。
【0075】また、上記の実施例においては、ECU1
0が、上記ステップ102および104の処理を実行す
ることにより請求項に記載した「強制逆転手段」が、上
記ステップ108、110、および128の処理を実行
することにより請求項に記載した「スイッチ異常判定手
段」が、上記ステップ141の処理を実行することによ
り請求項に記載した「駆動禁止手段」が、上記ステップ
128の処理を実行した後に警報器26を駆動すること
により請求項に記載した「異常警報手段」が、それぞれ
実現されている。
【0076】ところで、上記の実施例においては、IG
スイッチ21がオフ状態からオン状態に変化する毎に、
各種スイッチおよびセンサの異常判定処理、および、ピ
ストンストロークの基準位置確認処理が実行されている
が、これらの処理の実行はかかる場合に限定されるもの
ではなく、例えば車速が“0”である場合やサイドブレ
ーキを作動させている場合、あるいは、車両の走行中に
所定の加速度が得られた場合等に実行することとしても
よい。
【0077】本実施例において、各種スイッチおよびセ
ンサの異常判定処理、および、ピストンストロークの基
準位置確認処理が実行される場合、ブレーキモータ30
に供給されるモータ電流Im は、ブレーキモータ30が
作動し始める程度の小さな値である。この場合、ブレー
キモータ30は、ディスクロータ42の回転を抑制させ
るほど大きな力でブレーキパッド70を押圧していな
い。このため、本実施例においては、上記の処理を車両
の走行中に実行することも可能である。従って、本実施
例によれば、上記の処理を頻繁に行うことで、各種スイ
ッチおよびセンサの故障を早期に発見することができ
る。
【0078】また、上記の実施例においては、ブレーキ
モータ30が所定クリアランスを越えて逆回転した場合
に、インターロックスイッチ24を用いてブレーキモー
タ30の逆回転を不可能とし、正回転を可能とすること
をソフト的に実現することとしているが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、ハード的に実現することと
してもよい。
【0079】更に、上記の実施例においては、インター
ロックスイッチ24に異常が発生した場合に右前輪FR
のディスクブレーキ40についてのブレーキ制御を禁止
することとしている。この場合、右前輪FR以外の車輪
(左前輪FL,右後輪RR,左後輪RL)のディスクブ
レーキ40は、右前輪FRが発生すべき制動力が生ずる
ように分担制御される。これにより、車両の制動が確保
される。
【0080】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、機械的に複雑な構成によることなく電気的に簡易な
構成でブレーキモータの所定位置を越える逆方向への回
転を防止することができると共に、ブレーキモータの所
定位置を越える逆方向への回転を防止する処理が実行さ
れた後でもブレーキモータを所定方向に回転させて所望
の制動力を得ることができる。
【0081】請求項2記載の発明によれば、過逆転スイ
ッチ手段が異常である場合にブレーキモータの駆動を禁
止することで、ブレーキシステムの信頼性の向上を図る
ことができる。また、請求項3記載の発明によれば、過
逆転スイッチ手段が異常である場合に運転者に注意を喚
起することで、ブレーキシステムの信頼性の向上を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電動式ブレーキ装置の
システム構成図である。
【図2】本実施例の電動式ブレーキ装置が備えるディス
クブレーキの断面図である。
【図3】本実施例の電動式ブレーキ装置において各種ス
イッチの異常およびピストンストロークの基準位置を検
出すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャー
トである。
【図4】本実施例の電動式ブレーキ装置において各種ス
イッチの異常およびピストンストロークの基準位置を検
出すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャー
トである。
【図5】本実施例の電動式ブレーキ装置で実行されるメ
インルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 22 回転センサ 24 インターロックスイッチ 30〜36 ブレーキモータ 56 モータ軸 64 加圧ピストン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキモータが所定方向に回転するこ
    とにより制動力を発生し、前記所定方向とは逆方向に回
    転することにより制動力の発生を解除する電動式ブレー
    キ装置において、 前記ブレーキモータが前記逆方向に所定位置を越えて回
    転する場合にオン信号を出力する過逆転スイッチ手段
    と、 前記過逆転スイッチ手段がオン信号を出力する場合に前
    記ブレーキモータの前記逆方向への回転を禁止する逆転
    禁止手段と、 を備えることを特徴とする電動式ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電動式ブレーキ装置にお
    いて、 所定状況下で前記ブレーキモータを前記逆方向に回転さ
    せる強制逆転手段と、 前記強制逆転手段により前記ブレーキモータが前記逆方
    向に回転している過程で前記過逆転スイッチ手段がオン
    信号を出力しない場合に、前記過逆転スイッチ手段が異
    常であると判定するスイッチ異常判定手段と、 前記過逆転スイッチ手段が異常であると判定された場合
    に前記ブレーキモータの駆動を禁止する駆動禁止手段
    と、 を備えることを特徴とする電動式ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電動式ブレーキ装置にお
    いて、 所定状況下で前記ブレーキモータを前記逆方向に回転さ
    せる強制逆転手段と、 前記強制逆転手段により前記ブレーキモータが前記逆方
    向に回転している過程で前記過逆転スイッチ手段がオン
    信号を出力しない場合に、前記過逆転スイッチ手段が異
    常であると判定するスイッチ異常判定手段と、 前記過逆転スイッチ手段が異常であると判定された場合
    に警報を促す異常警報手段と、 を備えることを特徴とする電動式ブレーキ装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016166511A (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 住友建機株式会社 ショベル

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JP2016166511A (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 住友建機株式会社 ショベル

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