JP2004314756A - 電動駐車ブレーキシステム - Google Patents
電動駐車ブレーキシステム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004314756A JP2004314756A JP2003110424A JP2003110424A JP2004314756A JP 2004314756 A JP2004314756 A JP 2004314756A JP 2003110424 A JP2003110424 A JP 2003110424A JP 2003110424 A JP2003110424 A JP 2003110424A JP 2004314756 A JP2004314756 A JP 2004314756A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- parking brake
- electric parking
- rotation
- current
- motor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】故障の早期検出を可能とする電動駐車ブレーキシステムを提供すること。
【解決手段】電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a)と、制動指示信号を出力する上位ECU6と、制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御装置7(7a)とを備える。下位制御装置7aには、モータ13aの回転状態を検出するための第1回転センサ31a及び第2回転センサ32a、モータ13aに供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを接続する。そして、下位制御装置7aは、制動指示信号、回転状態、電流量、及び経過時間のうちの少なくとも何れか一つに基づいて、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも何れか一つにおいて発生した故障を検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a)と、制動指示信号を出力する上位ECU6と、制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御装置7(7a)とを備える。下位制御装置7aには、モータ13aの回転状態を検出するための第1回転センサ31a及び第2回転センサ32a、モータ13aに供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを接続する。そして、下位制御装置7aは、制動指示信号、回転状態、電流量、及び経過時間のうちの少なくとも何れか一つに基づいて、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも何れか一つにおいて発生した故障を検出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駐車ブレーキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両等の駐車ブレーキシステムとして、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと、運転者の要求(制動又は解除)を検知し電動駐車ブレーキを制御する制御装置とを備えた電動駐車ブレーキシステムが知られている。
【0003】
このような電動駐車ブレーキシステムの中に、運転者の要求を受付けるための入力装置と、入力装置が出力する信号を介して運転者の要求を検出し少なくとも一の駐車ブレーキを制御するための電子制御装置とを備え、入力装置が電子制御装置に対して複数の冗長的な信号を出力するものがある。そして、更に入力装置の電気的な故障を検出するための評価ユニットを備え、入力装置の各信号線、供給線及びアース線には少なくとも一の抵抗が接続され、評価ユニットは、これらの各抵抗について電位測定を行うことより入力装置の電気的な故障を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
そして、このような構成とすれば、測定された各抵抗の電位及び上記冗長的な信号に基づいて上記各配線の断線又は腐食等によるスイッチ接点の接触不良、及び供給線の短絡を検出することができるので、これらの故障について迅速に対応することができる。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−529314号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電動駐車ブレーキシステムにおいては、電動駐車ブレーキは、車両走行時の振動が伝達されやすい位置に配置され、また被水する可能性もある。従って、信号入力側の入力装置側よりも、むしろ電子制御装置から電動駐車ブレーキ側の方に故障が発生する可能性が高い。
【0007】
しかし、上記従来の電動駐車ブレーキシステムでは、電子制御装置は、入力装置側の電気的な故障を検出することはできるが、制御対象である電動駐車ブレーキ側の故障を検出することができない。従って、電動駐車ブレーキ及び電動駐車ブレーキへの電力供給経路における故障の早期検出ができず、これらの故障について迅速な対処ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、故障の早期検出を可能とする電動駐車ブレーキシステムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと、制動指示信号を出力する上位制御手段と、前記制動指示信号に基づいて前記電動駐車ブレーキの作動を制御する下位制御手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、前記モータの回転状態を検出する回転センサと、前記モータへ供給する駆動電流の電流量を検出する電流センサとを備え、前記下位制御手段は、前記制動指示信号、前記電流量、前記回転状態、及び経過時間のうちの少なくとも一つに基づいて、前記電動駐車ブレーキ、前記モータへの電力供給経路、前記回転センサ、及び前記電流センサのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する故障検出手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記電流量が無負荷電流を基準として設定された第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転センサから入力される回転信号が変化無しである場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において断線が発生したものと判定することを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記電流量が拘束電流を基準として設定された第2の所定電流よりも大きい場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において短絡が発生したものと判定することを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記モータへの通電開始から前記電流量が前記無負荷電流になるまでの時間を基準として設定された第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電流センサに故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より大きく、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータの回転が拘束される故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動信号が入力され、前記経過時間が制動終了時間を基準として設定された第2の所定時間経過後であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータが空転する故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動解除信号が入力され、前記経過時間が制動解除終了時間を基準として設定された第3の所定時間経過後であり、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて逆転不良が発生したものと判定することを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記電動駐車ブレーキは、車輪と一体回転する回転体と、前記モータの正逆回転により前記回転体に対して接離する方向に移動する摩擦部材とを備え、前記下位制御手段は、前記モータの回転数に基づき前記摩擦部材の移動距離を推定する移動距離推定手段を備え、前記故障検出手段は、前記制動解除信号の入力時において、推定される移動距離が制動解除を終了する距離として設定された所定距離に達しておらず、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて過逆転が発生したものと判定することを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、複数の前記回転センサを備え、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも大きく、且つ何れかの前記回転センサから入力された回転信号が変化無しである場合に、該変化無しの回転信号を入力した回転センサに故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記下位制御手段は、前記故障の発生を検出した場合に前記上位制御手段に対し異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキ、モータへの電力供給経路、回転センサ、及び電流センサのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障が早期に検出される。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、モータ又は電力供給経路において発生した断線が早期に検出される。
請求項3に記載の発明によれば、モータ又は電力供給経路において発生した短絡が早期に検出される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、電流センサの故障が早期に検出される。
請求項5に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因もモータの回転が拘束される故障と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因もモータが空転する故障と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因も逆転不良と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因も過逆転と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、回転センサの故障が早期に発見される。更に、故障した回転センサが特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
請求項10に記載の発明によれば、何れかの箇所が故障した場合にも早期に対処することができ故障による被害の拡大の防止が可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2と、電動駐車ブレーキ2を制御するための制御装置5とを備える。制御装置5は、制動指示信号を出力する上位制御手段としての上位ECU6と、入力される制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御手段としての下位制御装置7とを備えている。尚、本実施形態では、下位制御装置7が、故障検出手段、移動距離推定手段、及び検出信号出力手段を構成する。
【0027】
図2に示すように、電動駐車ブレーキ2は、車輪(図示せず)に設けられ車輪に制動力を付与する制動部11と、制動部11を駆動するアクチュエータ12とからなり、アクチュエータ12は、モータ13の正逆回転を出力軸14の軸線方向に往復運動に変換することにより制動部11を駆動する。
【0028】
制動部11は、車輪とともに一体回転する回転体15と、回転体15に対し接近又は離間する方向に移動可能に支持された摩擦部材16とを備え、摩擦部材16は、アクチュエータ12に駆動されることにより、回転体15に対して接近又は離間する方向に移動する。
【0029】
そして、電動駐車ブレーキ2は、制動部11がアクチュエータ12に駆動され、その摩擦部材16が回転体15に接近する方向に移動し回転体15と圧接することにより車輪に制動力を付与し、摩擦部材16が回転体15から離間する方向に移動することによりその制動を解除する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、複数(2つ)の電動駐車ブレーキ2a,2bを備えており、制御装置5は、各電動駐車ブレーキ2a,2bの作動を制御する下位制御装置7a,7bを備えている。そして、電動駐車ブレーキ2aと下位制御装置7a、及び電動駐車ブレーキ2bと下位制御装置7bは、それぞれ独立した第1制動系20a及び第2制動系20bを構成している。
【0031】
上位ECU6は、各制動系の下位制御装置7a,7bに対して制動指示信号(制動信号又は制動解除信号)を並列出力することにより、車両の駐車制動及びその解除を制御している。本実施形態では、上位ECU6には、車両状態情報を検出するための複数の検知装置23〜27が接続されており、上位ECU6は、これらの各検知装置23〜27により検出された車両状態情報に基づいて、下位制御装置7a,7bに出力する制動指示信号を決定することができる。
【0032】
次に、各制動系について説明する。尚、第1制動系20a及び第2制動系20bは同一の構成となっているため、以下、第1制動系20aについてのみ説明し、第2制動系20bについては符号に「b」を付し説明を省略する。
【0033】
第1制動系20aは、電動駐車ブレーキ2aに駆動電力を供給するドライバ21aを備え、電動駐車ブレーキ2aは、ドライバ21aを介して下位制御装置7aと接続されている。
【0034】
詳述すると、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12aのモータ13a)は、ドライバ21aを介してバッテリー22と接続されており、ドライバ21aは下位制御装置7aと接続されている。
【0035】
下位制御装置7aは、上位ECU6から入力された制動指示信号に基づいてドライバ21aに駆動指令(回転指令又は停止指令)を出力し、ドライバ21aは、下位制御装置7aから入力される駆動指令に基づいてアクチュエータ12aのモータ13aに駆動電力を供給する。本実施形態では、ドライバ21aは、回転指令が入力された場合には、一定の所定電圧をモータ13aに供給し、停止指令が入力された場合には、その供給を停止する。
【0036】
そして、アクチュエータ12aは、モータ13aの正逆回転により制動部11aを駆動し、制動部11aは、アクチュエータ12aに駆動されることにより車輪に制動力を付与し(制動)又はその制動を解除する。即ち、下位制御装置7aは、駆動指令をドライバ21aに出力することにより電動駐車ブレーキ2aの作動を制御している。
【0037】
また、本実施形態では、下位制御装置7aには、電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出するための複数のセンサが接続されており、下位制御装置7aは、これら各センサから入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を監視している。そして、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2aの作動状態に基づいてその作動を制御するとともに、第1制動系20aにおける異常(故障)の発生を検出する。
【0038】
詳述すると、第1制動系20aは、モータ13aの回転状態を検出するため第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及びモータ13aへ供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを備えており、これらの各センサは、下位制御装置7aに接続されている。そして、下位制御装置7aは、これら各センサから出力される信号に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を監視している。
【0039】
尚、本実施形態では、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aは、リングマグネットとホールICとにより構成され、リングマグネットは、モータ13aの回転によりホールICを通過する磁束が周期的に変化するように取着されている。従って、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aは、モータ13aの回転に応じてレベルが変化するパルス信号を出力する。そして、下位制御装置7aは、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力されるパルス信号(回転信号)のパルス数をカウントし、このカウント数に基づいて検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離を推定する。
【0040】
そして、下位制御装置7aは、上位ECU6から入力される制動指示信号、モータ13aの回転状態、モータ13aに供給される駆動電流の電流量、及びモータ13aへの通電経過時間(経過時間)のうちの少なくとも一つに基づいて、第1制動系20a及びこれら各センサにおける故障の発生を検出する。具体的には、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2a、前記モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する。
【0041】
尚、本実施形態では、電力供給経路は、バッテリー22からモータ13aまでの駆動電力の供給経路(電力線)、即ちバッテリー22とドライバ21aとを接続する配線、ドライバ21a、及びドライバ21aとモータ13aとを接続する配線から構成されている。
【0042】
図3に示すように、下位制御装置7aはメモリ35を備え(図1参照)、メモリ35には、制御テーブル36が格納されている。制御テーブル36には、制動指示信号、経過時間、及び上記各センサから入力される信号(回転信号の変化の有無及び電流量)と、故障発生箇所(及び原因)との対応が記憶されている。
【0043】
尚、本実施形態では、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aからモータ13aの回転を示す回転信号の入力がある(パルスがある)場合を「変化有り」、回転を示す回転信号の入力がない(パルス信号が無い)場合を「変化無し」とする。従って、各回転センサから入力される回転信号が「変化有り」の場合には、モータ13aは回転状態にあり、かかる回転信号が「変化無し」の場合には、モータ13aは停止状態にある。
【0044】
下位制御装置7aは、この制御テーブル36に基づいて第1制動系20a及びこれら各センサにおける故障の発生を検出する。そして、下位制御装置7aは、第1制動系20a及びこれら各センサに何らかの異常を検出した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力する。
【0045】
尚、本実施形態では、下位制御装置7aには、他の制動系(他制動系)である第2制動系20bの第1回転センサ31b、第2回転センサ32b及び電流センサ33bが接続されている。同様に、第2制動系20bの下位制御装置7bにも、他制動系である第1制動系20aの第1回転センサ31a、第2回転センサ32a及び電流センサ33aが接続されている(図1参照)。
【0046】
そして、各下位制御装置7a(7b)は、他制動系の第1回転センサ31b(31a)、第2回転センサ32b(32a)及び電流センサ33b(33a)からの入力に基づいて、他制動系の電動駐車ブレーキ2b(2a)の作動状態を相互に監視している。
【0047】
また、本実施形態では、各下位制御装置7a,7bには、他制動系の下位制御装置7a,7bの出力した駆動指令が入力されるようになっている。そして、各下位制御装置7a,7bは、検出した他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて、入力された他制動系の下位制御装置7a,7bの駆動指令が適正であるか否かを相互に監視している。
【0048】
そして、各下位制御装置7a,7bは、他制動系の下位制御装置7a,7bの出力した駆動指令が適正ではないと判断した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力するとともに、他制御系の適正化装置38a,38bに対し訂正信号を出力し不適正な駆動指令を適正化するようになっている。そして、上位ECU6は、各制動系の何れかに故障が発生したことを検知した場合には、車両の搭乗者に対しその箇所に故障が発生した旨を警告する。
【0049】
次に、下位制御装置による故障検出について詳述する。
まず、正常時における電動駐車ブレーキの作動状態(経過時間)と、モータの回転状態及びモータに供給される駆動電流の電流量との関係について説明する。
【0050】
図4は、制動時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び制動部の摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート、図5は、制動解除時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び制動部の摩擦部材の移動距離の関係を示すタイムチャートである。
【0051】
図4に示すように、制動初期段階において、制動部11aの摩擦部材16(図2参照)が移動し始めるまでの状態、即ちモータ13aの始動時には、モータ13aには高負荷がかかるため、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、通電と同時に急激に上昇する。尚、通電開始からモータ13aが回転し始めるまでの経過時間は、無視できる程度のごく短時間である。
【0052】
次に、モータ13aが回転し、摩擦部材16が移動し始めると、慣性によって負荷が減少するため電流量Iは低下する。そして、摩擦部材16が回転体15に近接する方向に向かって空走する状態、即ちモータ13aが定速回転する状態になると、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iは、無負荷電流Inとなり、略一定の値をとる。
【0053】
ここで、モータ13aには一定の所定電圧が供給されるため、繰り返し駆動されるモータ13aでは通電開始から毎回略一定の時間で電流量Iが無負荷電流Inとなる。本実施形態では、この通電開始から電流量Iが無負荷電流Inになるまでの時間を所定時間T0と設定している。
【0054】
次に、摩擦部材16が更に移動し、摩擦部材16と回転体15とが圧接する状態となると、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、摩擦部材16と回転体15との圧接に伴う負荷の増大により次第に増加する。そして、摩擦部材16が完全に移動できない状態、即ちモータ13aの回転が拘束された状態になると、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、拘束電流Itとなり、略一定の値をとる。
【0055】
ここで、先述の所定時間T0の場合と同様、モータ13aには一定の所定電圧が供給されるため、繰り返し駆動されるモータ13aでは通電開始から毎回略一定の時間で電流量Iが拘束電流Itとなる。即ち制動終了までの時間もまた毎回略一定となる。本実施形態では、この通電開始から電流量Iが拘束電流Itとなるまでの時間、即ち制動終了までの経過時間を所定時間T1と設定している。
【0056】
一方、図5に示すように、制動解除時もまた制動時と同様に、制動解除初期状態においては、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、通電と同時に急激に上昇し、その後、モータ13aが回転し始めることにより低下する。そして、摩擦部材16が回転体15から離間する方向に向かって空走する状態、即ちモータ13aが低速回転する状態になると、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iは、所定時間T0で無負荷電流Inとなり、その後略一定の値をとる。
【0057】
本実施形態では、摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0となったときに制動解除を終了する。ここで、所定時間T0経過後は、モータ13aは低負荷状態にあるため、モータ13aの回転運動により発生する駆動トルクは、ほぼ全てが摩擦部材16の移動に費やされる。従って、摩擦部材16の移動距離Xは、モータ13aの回転数と通電開始からの経過時間Tに比例する。そして、本実施形態では、この摩擦部材16が制動解除完了となる所定距離X0まで移動する時間を所定時間T2として設定している。
【0058】
次に、制御テーブルに記憶された経過時間及び上記各センサから入力される信号(回転信号の変化及び電流量)と故障箇所との関係について詳述する。
図3に示すように、本実施形態では、制御テーブル36には、上記各所定時間T0,T1,T2と、無負荷電流Inを基準として設定された所定電流I1,拘束電流Itを基準として設定された所定電流I2,I3と、各回転センサから入力される回転信号の変化と、故障箇所との対応関係が定義されている。
【0059】
尚、上記所定電流I1,I3は、バラツキを考慮し、理論値に対して約−20%の値に設定されている。同様に、所定電流I2は、理論値に対して約+20%の値に設定されている。また、所定時間T0,T1,T2も理論値に対して約+20%の値に設定されている。
【0060】
また、所定時間T0を第1の所定時間、所定時間T1を第2の所定時間、所定時間T0を第3の所定時間とし、所定電流I1を第1の所定電流、所定電流I2を第2の所定電流、所定電流I3を第3の所定電流とする。
【0061】
[電力供給経路における断線]
図4及び図5に示すように、通電状態において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inより小さい場合は、モータ13aの始動時のみであり、この時間は無視できる程度のごく短時間である。従って、経過時間に関わらず、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ各回転センサから入力される回転信号が変化無しである場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと推定することができる。
【0062】
[電力供給経路における短絡]
モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、モータ13aが拘束状態にある場合に、最大の拘束電流Itとなる。従って、経過時間、制動時及び制動解除時の如何を問わず、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I2より大きい場合には、モータ13a又は電力供給経路において短絡が発生したものと推定することができる。尚、「制動時」とは制動指示信号として制動信号が、同様に「制動解除時」とは制動解除信号が入力されている場合である。
【0063】
[電流センサ故障]
制動又は制動解除時の初期、即ち所定時間T0内において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inより小さい場合は、モータ13aの始動時のみである。従って、所定時間T0内において、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ各回転センサから入力される回転信号が変化有りである場合には、電流センサ33aが故障したものと推定することができる。
【0064】
[回転センサ故障]
所定時間T0内において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inの値より大きい場合、モータ13aは回転状態にある。従って、所定時間T0内において、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より大きく、且つ第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しである場合には、変化無しの回転信号を出力した側の回転センサが故障したものと推定することができる。
【0065】
[アクチュエータ故障(ロック)]
所定時間T0内においては、始動時のごく短時間を除いてモータ13aは回転状態にある。従って、所定時間T0内において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無し、且つ電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I3より大きい場合、アクチュエータ12aにおいて、モータ13aの回転が拘束される故障が発生したと推定することができる。
【0066】
[アクチュエータ故障(モータ空転)]
図4に示すように、既に制動が終了している時間、即ち所定時間T1経過後においては、モータ13aは拘束状態にあり、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iも拘束電流Itとなっているはずである。従って、所定時間T1経過後において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化有り、且つ電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I3より小さい場合、アクチュエータ12aに不具合が生じ摩擦部材16が未だ移動状態にあると推定することができる。そして、その原因をモータ13aの空転と推定することができる。
【0067】
[アクチュエータ故障(逆転不良)]
図5に示すように、既に制動が終了している時間、即ち所定時間T2経過後においては、モータ13aは停止していなければならない。従って、所定時間T2経過後において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化有りである場合には、摩擦部材16の移動距離Xが未だ所定距離X0に達していない、即ちアクチュエータ12aに逆転不良が発生したものと推定することができる。
【0068】
[アクチュエータ故障(過逆転)]
本実施形態では、下位制御装置7aは、各回転センサから入力されるパルス信号(回転信号)をカウントし、検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離Xを推定する。そして摩擦部材16が制動解除完了となる所定距離X0まで移動する時間を所定時間T2として設定している。従って、摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0に達していないと推定されるにもかかわらず、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無しである場合、摩擦部材16が所定距離X0を超えてそれ以上移動不能となる位置まで移動したものと推定することができる。そして、その原因として、モータ13aの1回転あたりの摩擦部材16の移動距離が大きくなり摩擦部材16が進み過ぎる故障、即ちアクチュエータ12aに過逆転が発生したものと推定することができる。
【0069】
次に、下位制御装置による故障検出の処理について説明する。
図6及び図7は、下位制御装置による故障検出の処理を示すフローチャートである。
【0070】
先ず、下位制御装置7aは、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しであるか否かを判断する(ステップ101)。そして、電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく、且つ各回転センサから入力された回転信号がともに変化無しである場合には、下位制御装置7aは、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと判定する(ステップ102)。
【0071】
次に、上記ステップ101において、電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく且つ回転信号がともに変化なし以外と判断した場合、下位制御装置7aは、電流量Iが所定電流I2よりも大きいか否かを判断(ステップ103)する。そして、電流量Iが所定電流I2よりも大きい場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において短絡が発生したものと判定する(ステップ104)。
【0072】
一方、上記ステップ103において、電流量Iの値が所定電流I2よりも小さいと判断した場合、下位制御装置7aは、続いて所定時間T0の経過前であるか否かを判断する(ステップ105)。
【0073】
ステップ105において、所定時間T0経過前である場合には、下位制御装置7aは、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ106)。
【0074】
このステップ106において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化有りの場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I1より小さいか否かを判断する(ステップ107)。そして、このステップ107において、電流量Iが所定電流I1よりも小さい場合、即ち所定時間T0経過前において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化有り、且つ電流量Iが所定電流I1より小さい場合には、下位制御装置7aは、電流センサ33aに故障が発生したと判定する(ステップ108)。尚、上記ステップ107において、電流量Iが所定電流I1よりも大きい場合には、下位制御装置7aは、ステップ108以降の処理を行わない。
【0075】
一方、上記ステップ106において、両回転センサから入力される回転信号の両方が変化有りではないと判断した場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I1より大きいか否かを判断する(ステップ109)。そして、上記ステップ109において、電流量Iが所定電流I1よりも大きい場合には、下位制御装置7aは、次に第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しであるか否かを判断する(ステップ110,ステップ111)。
【0076】
そして、下位制御装置7aは、ステップ110において、第1回転センサ31aから入力される回転信号が変化無しであると判断した場合には、第1回転センサ31aに故障が発生したものと判定する(ステップ112)。同様に、下位制御装置7aは、ステップ111において、第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無しであると判断した場合には、第2回転センサ32aに故障が発生したものと判定する(ステップ113)。尚、上記ステップ109において、電流量Iが所定電流I1よりも小さい場合には、下位制御装置7aは、ステップ110以降の処理を行わない。
【0077】
次に、下位制御装置7aは、上記ステップ110,111において、回転信号の何れか一方のみが変化無しではないと判断した場合、即ち両回転センサから入力される回転信号がともに変化無しであると判断した場合には、電流量Iが所定電流I3よりも大きいか否かを判断する(ステップ114)。そして、電流量Iが所定電流I3よりも大きい場合、即ち所定時間T0経過前において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化無し、且つ電流量Iが所定電流I3より大きい場合には、下位制御装置7aは、アクチュエータ12aがロックしたものと判定する(ステップ115)。尚、上記ステップ114において、電流量Iが所定電流I3よりも小さい場合には、下位制御装置7aは、ステップ115以降の処理を行わない。
【0078】
次に、上記ステップ105において、所定時間T0を経過している場合には、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2aが制動時(制動指示信号入力時)であり且つ所定時間T1を経過しているか否かを判断する(ステップ116)。
【0079】
ステップ116において、電動駐車ブレーキ2aが制動時であり且つ所定時間T1を経過している場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I3より小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ117)。そして、電流量Iが所定電流I3より小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りである場合には、下位制御装置7aは、アクチュエータ12aにおいてモータ13aの空転が発生しているものと判定する(ステップ118)。尚、上記ステップ117において、電流量Iが所定電流I3より小さく且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有り以外の場合には、下位制御装置7aは、ステップ118以降の処理を行わない。
【0080】
一方、上記ステップ116において、電動駐車ブレーキ2aが制動時であり且つ所定時間T1を経過している以外の状態と判断した場合、下位制御装置7aは、次に、電動駐車ブレーキ2aが制動解除時(制動解除信号入力時)であり且つ所定時間T2を経過しているか否かを判断する(ステップ119)。
【0081】
ステップ119において、電動駐車ブレーキ2aが制動解除時であり且つ所定時間T2を経過している場合には、下位制御装置7aは、続いて第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ120)。そして、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りである場合には、アクチュエータ12aに逆転不良が発生しているものと判定する(ステップ121)。尚、上記ステップ120において、入力される回転信号が変化無しである場合には、下位制御装置7aは、示すステップ121以降の処理を行わない。
【0082】
一方、上記ステップ119において、制動解除時且つ所定時間T2を経過している以外の状態と判断した場合、下位制御装置7aは、制動解除時、且つ制動部11aの摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0に達していると推定されるか否かを判断する(ステップ122)。
【0083】
このステップ122において、制動解除時、且つ制動部11aの摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0によりも達していないと推定される場合には、下位制御装置7aは、続いて第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しであるか否かを判断する(ステップ123)。そして、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しである場合には、アクチュエータ12aに逆転不良が発生しているものと判定する(ステップ124)。
【0084】
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a)と、制動指示信号を出力する上位ECU6と、制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御装置7(7a)とを備える。下位制御装置7aには、モータ13aの回転状態を検出するための第1回転センサ31a及び第2回転センサ32a、モータ13aに供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを接続する。
【0085】
そして、下位制御装置7aは、制動指示信号、回転状態、電流量、及び経過時間のうちの少なくとも一つに基づいて、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する。
【0086】
このような構成とすれば、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を早期に検出することができる。
【0087】
(2)下位制御装置7aは、電流量Iの値が無負荷電流Inを基準として設定された所定電流I1より小さく、且つ回転信号が変化無しである場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと判定する。
【0088】
これにより、モータ13a又は電力供給経路において断線が発生した場合でも早期に検出することができる。
(3)下位制御装置7aは、電流量Iの値が拘束電流Itを基準として設定された所定電流I2より大きい場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において短絡が発生したものと判定する。
【0089】
これにより、モータ13a又は電力供給経路において短絡が発生した場合でも早期に検出することができる。
(4)下位制御装置7aは、モータ13aへの通電開始から電流量Iが無負荷電流Inになるまでの時間を基準として設定された所定時間T0内において、電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ回転信号が変化有りである場合には、電流センサ33aが故障したものと判定する。
【0090】
これにより、電流センサ33aが故障した場合でも早期に検出することができる。
(5)下位制御装置7aは、所定時間T0内において、回転信号が変化無し、電流量Iの値が拘束電流Itを基準として設定された所定電流I3より大きい場合、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)において、モータ13aが拘束される故障、即ちアクチュエータ12aがロックしたと判定する。
【0091】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因をアクチュエータ12aのロックと特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0092】
(6)下位制御装置7aは、制動時、制動終了時間を基準として設定された所定時間T1経過後において、回転信号が変化有り、且つ電流量Iの値が所定電流I3より小さい場合、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)において、モータ13aが空転する故障が発生したものと判定する。
【0093】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因をモータ13aの空転と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0094】
(7)下位制御装置7aは、制動解除時、制動解除終了時間を基準として設定された所定時間T2経過後において、回転信号が変化有りである場合には、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)に逆転不良が発生したものと判定する。
【0095】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因を逆転不良と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0096】
(8)電動駐車ブレーキ2aは、車輪とともに一体回転する回転体15と、モータ13aの正逆回転により回転体15に対し接近又は離間する方向に移動する摩擦部材16とを備える。下位制御装置7aは、各回転センサから入力されるパルス信号(回転信号)をカウントし、検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離Xを推定する。
【0097】
そして、下位制御装置7aは、制動解除時、推定される移動距離Xが制動解除を終了する距離として設定された所定距離X0に達していないにもかかわらず、回転信号が変化無しである場合、摩擦部材16が所定距離X0を超えてそれ以上移動不能となる位置まで移動したものと判定する。そして、その原因として、モータ13aの1回転あたりの摩擦部材16の移動距離が大きくなり摩擦部材16が進み過ぎる故障、即ち電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)に過逆転が発生したものと判定する。
【0098】
このような構成とすれば、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因を過逆転と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0099】
(9)電動駐車ブレーキシステム1は、複数の回転センサとして第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aを備える。
そして、下位制御装置7aは、所定時間T0内において、電流量Iの値が所定電流I1より大きく、且つ第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しである場合には、変化無しの回転信号を出力した側の回転センサが故障したものと判定する。
【0100】
このような構成とすれば、第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aの何れかが故障した場合であっても早期に検出することができる。さらに、故障した回転センサを適切に特定するできるので、適切かつ迅速に対処することができる。
【0101】
(10)下位制御装置7aは、何らかの故障を検出した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力する。
従って、何れかの箇所が故障した場合にも、早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することができる。
【0102】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、複数(2つ)の電動駐車ブレーキ2a,2bと、各電動駐車ブレーキの作動を制御する下位制御装置7a,7bを備え、これら電動駐車ブレーキ2a,2bと下位制御装置7a,7bから独立した第1制動系20a及び第2制動系20bを構成した。しかし、制動系は一系統であっても、三系統以上でもよい。
【0103】
・電動駐車ブレーキ2は、回転体15及び摩擦部材16としてブレーキディスク及びブレーキパッドを備えるディスクブレーキ方式を採用するものでも、ブレーキドラム及びブレーキシューを備えたドラムブレーキ方式を採用するものであってもよい。
【0104】
・電動駐車ブレーキ2は、制動部とアクチュエータとが一体に構成されたものであってもよく、制動部とアクチュエータとが別位置に配置されたものであってもよい。
【0105】
・本実施形態では、各ドライバ21aは、各電動駐車ブレーキ2aと別体とする構成としたが、ドライバを内蔵する型式の電動駐車ブレーキを用いてもよい。
・本実施形態では、モータ13aの回転状態を検出するために、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aの2つの回転センサを設けた。しかし、これに限らず、回転センサの数は、1モータあたり一つでも、3つ以上であってもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、故障の早期検出を可能とする電動駐車ブレーキシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動駐車ブレーキシステムの概略構成図。
【図2】電動駐車ブレーキの概略構成図。
【図3】制御テーブルの概略構成図。
【図4】制動時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート。
【図5】制動解除時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート。
【図6】故障検出処理の態様を示すフローチャート。
【図7】故障検出処理の態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…電動駐車ブレーキシステム、2,2a,2b…電動駐車ブレーキ、6…上位ECU、7,7a,7b…下位制御装置、13…モータ、15…回転体、16…摩擦部材、31a,31b…第1回転センサ、32a,32b…第2回転センサ、33a,33b…電流センサ、I…電流量、In…無負荷電流、It…拘束電流、I1,I2,I3…所定電流、T…経過時間、T0,T1,T2…所定時間、X…移動距離、X0…所定距離。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駐車ブレーキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両等の駐車ブレーキシステムとして、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと、運転者の要求(制動又は解除)を検知し電動駐車ブレーキを制御する制御装置とを備えた電動駐車ブレーキシステムが知られている。
【0003】
このような電動駐車ブレーキシステムの中に、運転者の要求を受付けるための入力装置と、入力装置が出力する信号を介して運転者の要求を検出し少なくとも一の駐車ブレーキを制御するための電子制御装置とを備え、入力装置が電子制御装置に対して複数の冗長的な信号を出力するものがある。そして、更に入力装置の電気的な故障を検出するための評価ユニットを備え、入力装置の各信号線、供給線及びアース線には少なくとも一の抵抗が接続され、評価ユニットは、これらの各抵抗について電位測定を行うことより入力装置の電気的な故障を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
そして、このような構成とすれば、測定された各抵抗の電位及び上記冗長的な信号に基づいて上記各配線の断線又は腐食等によるスイッチ接点の接触不良、及び供給線の短絡を検出することができるので、これらの故障について迅速に対応することができる。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−529314号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電動駐車ブレーキシステムにおいては、電動駐車ブレーキは、車両走行時の振動が伝達されやすい位置に配置され、また被水する可能性もある。従って、信号入力側の入力装置側よりも、むしろ電子制御装置から電動駐車ブレーキ側の方に故障が発生する可能性が高い。
【0007】
しかし、上記従来の電動駐車ブレーキシステムでは、電子制御装置は、入力装置側の電気的な故障を検出することはできるが、制御対象である電動駐車ブレーキ側の故障を検出することができない。従って、電動駐車ブレーキ及び電動駐車ブレーキへの電力供給経路における故障の早期検出ができず、これらの故障について迅速な対処ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、故障の早期検出を可能とする電動駐車ブレーキシステムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと、制動指示信号を出力する上位制御手段と、前記制動指示信号に基づいて前記電動駐車ブレーキの作動を制御する下位制御手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、前記モータの回転状態を検出する回転センサと、前記モータへ供給する駆動電流の電流量を検出する電流センサとを備え、前記下位制御手段は、前記制動指示信号、前記電流量、前記回転状態、及び経過時間のうちの少なくとも一つに基づいて、前記電動駐車ブレーキ、前記モータへの電力供給経路、前記回転センサ、及び前記電流センサのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する故障検出手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記電流量が無負荷電流を基準として設定された第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転センサから入力される回転信号が変化無しである場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において断線が発生したものと判定することを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記電流量が拘束電流を基準として設定された第2の所定電流よりも大きい場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において短絡が発生したものと判定することを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記モータへの通電開始から前記電流量が前記無負荷電流になるまでの時間を基準として設定された第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電流センサに故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より大きく、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータの回転が拘束される故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動信号が入力され、前記経過時間が制動終了時間を基準として設定された第2の所定時間経過後であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータが空転する故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動解除信号が入力され、前記経過時間が制動解除終了時間を基準として設定された第3の所定時間経過後であり、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて逆転不良が発生したものと判定することを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記電動駐車ブレーキは、車輪と一体回転する回転体と、前記モータの正逆回転により前記回転体に対して接離する方向に移動する摩擦部材とを備え、前記下位制御手段は、前記モータの回転数に基づき前記摩擦部材の移動距離を推定する移動距離推定手段を備え、前記故障検出手段は、前記制動解除信号の入力時において、推定される移動距離が制動解除を終了する距離として設定された所定距離に達しておらず、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて過逆転が発生したものと判定することを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、複数の前記回転センサを備え、前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも大きく、且つ何れかの前記回転センサから入力された回転信号が変化無しである場合に、該変化無しの回転信号を入力した回転センサに故障が発生したものと判定することを要旨とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記下位制御手段は、前記故障の発生を検出した場合に前記上位制御手段に対し異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキ、モータへの電力供給経路、回転センサ、及び電流センサのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障が早期に検出される。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、モータ又は電力供給経路において発生した断線が早期に検出される。
請求項3に記載の発明によれば、モータ又は電力供給経路において発生した短絡が早期に検出される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、電流センサの故障が早期に検出される。
請求項5に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因もモータの回転が拘束される故障と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因もモータが空転する故障と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因も逆転不良と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、電動駐車ブレーキにおいて発生した故障が早期に検出される。更に、その故障原因も過逆転と特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、回転センサの故障が早期に発見される。更に、故障した回転センサが特定されるので適切かつ迅速な対処が可能になる。
請求項10に記載の発明によれば、何れかの箇所が故障した場合にも早期に対処することができ故障による被害の拡大の防止が可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2と、電動駐車ブレーキ2を制御するための制御装置5とを備える。制御装置5は、制動指示信号を出力する上位制御手段としての上位ECU6と、入力される制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御手段としての下位制御装置7とを備えている。尚、本実施形態では、下位制御装置7が、故障検出手段、移動距離推定手段、及び検出信号出力手段を構成する。
【0027】
図2に示すように、電動駐車ブレーキ2は、車輪(図示せず)に設けられ車輪に制動力を付与する制動部11と、制動部11を駆動するアクチュエータ12とからなり、アクチュエータ12は、モータ13の正逆回転を出力軸14の軸線方向に往復運動に変換することにより制動部11を駆動する。
【0028】
制動部11は、車輪とともに一体回転する回転体15と、回転体15に対し接近又は離間する方向に移動可能に支持された摩擦部材16とを備え、摩擦部材16は、アクチュエータ12に駆動されることにより、回転体15に対して接近又は離間する方向に移動する。
【0029】
そして、電動駐車ブレーキ2は、制動部11がアクチュエータ12に駆動され、その摩擦部材16が回転体15に接近する方向に移動し回転体15と圧接することにより車輪に制動力を付与し、摩擦部材16が回転体15から離間する方向に移動することによりその制動を解除する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、複数(2つ)の電動駐車ブレーキ2a,2bを備えており、制御装置5は、各電動駐車ブレーキ2a,2bの作動を制御する下位制御装置7a,7bを備えている。そして、電動駐車ブレーキ2aと下位制御装置7a、及び電動駐車ブレーキ2bと下位制御装置7bは、それぞれ独立した第1制動系20a及び第2制動系20bを構成している。
【0031】
上位ECU6は、各制動系の下位制御装置7a,7bに対して制動指示信号(制動信号又は制動解除信号)を並列出力することにより、車両の駐車制動及びその解除を制御している。本実施形態では、上位ECU6には、車両状態情報を検出するための複数の検知装置23〜27が接続されており、上位ECU6は、これらの各検知装置23〜27により検出された車両状態情報に基づいて、下位制御装置7a,7bに出力する制動指示信号を決定することができる。
【0032】
次に、各制動系について説明する。尚、第1制動系20a及び第2制動系20bは同一の構成となっているため、以下、第1制動系20aについてのみ説明し、第2制動系20bについては符号に「b」を付し説明を省略する。
【0033】
第1制動系20aは、電動駐車ブレーキ2aに駆動電力を供給するドライバ21aを備え、電動駐車ブレーキ2aは、ドライバ21aを介して下位制御装置7aと接続されている。
【0034】
詳述すると、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12aのモータ13a)は、ドライバ21aを介してバッテリー22と接続されており、ドライバ21aは下位制御装置7aと接続されている。
【0035】
下位制御装置7aは、上位ECU6から入力された制動指示信号に基づいてドライバ21aに駆動指令(回転指令又は停止指令)を出力し、ドライバ21aは、下位制御装置7aから入力される駆動指令に基づいてアクチュエータ12aのモータ13aに駆動電力を供給する。本実施形態では、ドライバ21aは、回転指令が入力された場合には、一定の所定電圧をモータ13aに供給し、停止指令が入力された場合には、その供給を停止する。
【0036】
そして、アクチュエータ12aは、モータ13aの正逆回転により制動部11aを駆動し、制動部11aは、アクチュエータ12aに駆動されることにより車輪に制動力を付与し(制動)又はその制動を解除する。即ち、下位制御装置7aは、駆動指令をドライバ21aに出力することにより電動駐車ブレーキ2aの作動を制御している。
【0037】
また、本実施形態では、下位制御装置7aには、電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出するための複数のセンサが接続されており、下位制御装置7aは、これら各センサから入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を監視している。そして、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2aの作動状態に基づいてその作動を制御するとともに、第1制動系20aにおける異常(故障)の発生を検出する。
【0038】
詳述すると、第1制動系20aは、モータ13aの回転状態を検出するため第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及びモータ13aへ供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを備えており、これらの各センサは、下位制御装置7aに接続されている。そして、下位制御装置7aは、これら各センサから出力される信号に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を監視している。
【0039】
尚、本実施形態では、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aは、リングマグネットとホールICとにより構成され、リングマグネットは、モータ13aの回転によりホールICを通過する磁束が周期的に変化するように取着されている。従って、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aは、モータ13aの回転に応じてレベルが変化するパルス信号を出力する。そして、下位制御装置7aは、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力されるパルス信号(回転信号)のパルス数をカウントし、このカウント数に基づいて検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離を推定する。
【0040】
そして、下位制御装置7aは、上位ECU6から入力される制動指示信号、モータ13aの回転状態、モータ13aに供給される駆動電流の電流量、及びモータ13aへの通電経過時間(経過時間)のうちの少なくとも一つに基づいて、第1制動系20a及びこれら各センサにおける故障の発生を検出する。具体的には、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2a、前記モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する。
【0041】
尚、本実施形態では、電力供給経路は、バッテリー22からモータ13aまでの駆動電力の供給経路(電力線)、即ちバッテリー22とドライバ21aとを接続する配線、ドライバ21a、及びドライバ21aとモータ13aとを接続する配線から構成されている。
【0042】
図3に示すように、下位制御装置7aはメモリ35を備え(図1参照)、メモリ35には、制御テーブル36が格納されている。制御テーブル36には、制動指示信号、経過時間、及び上記各センサから入力される信号(回転信号の変化の有無及び電流量)と、故障発生箇所(及び原因)との対応が記憶されている。
【0043】
尚、本実施形態では、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aからモータ13aの回転を示す回転信号の入力がある(パルスがある)場合を「変化有り」、回転を示す回転信号の入力がない(パルス信号が無い)場合を「変化無し」とする。従って、各回転センサから入力される回転信号が「変化有り」の場合には、モータ13aは回転状態にあり、かかる回転信号が「変化無し」の場合には、モータ13aは停止状態にある。
【0044】
下位制御装置7aは、この制御テーブル36に基づいて第1制動系20a及びこれら各センサにおける故障の発生を検出する。そして、下位制御装置7aは、第1制動系20a及びこれら各センサに何らかの異常を検出した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力する。
【0045】
尚、本実施形態では、下位制御装置7aには、他の制動系(他制動系)である第2制動系20bの第1回転センサ31b、第2回転センサ32b及び電流センサ33bが接続されている。同様に、第2制動系20bの下位制御装置7bにも、他制動系である第1制動系20aの第1回転センサ31a、第2回転センサ32a及び電流センサ33aが接続されている(図1参照)。
【0046】
そして、各下位制御装置7a(7b)は、他制動系の第1回転センサ31b(31a)、第2回転センサ32b(32a)及び電流センサ33b(33a)からの入力に基づいて、他制動系の電動駐車ブレーキ2b(2a)の作動状態を相互に監視している。
【0047】
また、本実施形態では、各下位制御装置7a,7bには、他制動系の下位制御装置7a,7bの出力した駆動指令が入力されるようになっている。そして、各下位制御装置7a,7bは、検出した他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて、入力された他制動系の下位制御装置7a,7bの駆動指令が適正であるか否かを相互に監視している。
【0048】
そして、各下位制御装置7a,7bは、他制動系の下位制御装置7a,7bの出力した駆動指令が適正ではないと判断した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力するとともに、他制御系の適正化装置38a,38bに対し訂正信号を出力し不適正な駆動指令を適正化するようになっている。そして、上位ECU6は、各制動系の何れかに故障が発生したことを検知した場合には、車両の搭乗者に対しその箇所に故障が発生した旨を警告する。
【0049】
次に、下位制御装置による故障検出について詳述する。
まず、正常時における電動駐車ブレーキの作動状態(経過時間)と、モータの回転状態及びモータに供給される駆動電流の電流量との関係について説明する。
【0050】
図4は、制動時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び制動部の摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート、図5は、制動解除時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び制動部の摩擦部材の移動距離の関係を示すタイムチャートである。
【0051】
図4に示すように、制動初期段階において、制動部11aの摩擦部材16(図2参照)が移動し始めるまでの状態、即ちモータ13aの始動時には、モータ13aには高負荷がかかるため、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、通電と同時に急激に上昇する。尚、通電開始からモータ13aが回転し始めるまでの経過時間は、無視できる程度のごく短時間である。
【0052】
次に、モータ13aが回転し、摩擦部材16が移動し始めると、慣性によって負荷が減少するため電流量Iは低下する。そして、摩擦部材16が回転体15に近接する方向に向かって空走する状態、即ちモータ13aが定速回転する状態になると、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iは、無負荷電流Inとなり、略一定の値をとる。
【0053】
ここで、モータ13aには一定の所定電圧が供給されるため、繰り返し駆動されるモータ13aでは通電開始から毎回略一定の時間で電流量Iが無負荷電流Inとなる。本実施形態では、この通電開始から電流量Iが無負荷電流Inになるまでの時間を所定時間T0と設定している。
【0054】
次に、摩擦部材16が更に移動し、摩擦部材16と回転体15とが圧接する状態となると、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、摩擦部材16と回転体15との圧接に伴う負荷の増大により次第に増加する。そして、摩擦部材16が完全に移動できない状態、即ちモータ13aの回転が拘束された状態になると、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、拘束電流Itとなり、略一定の値をとる。
【0055】
ここで、先述の所定時間T0の場合と同様、モータ13aには一定の所定電圧が供給されるため、繰り返し駆動されるモータ13aでは通電開始から毎回略一定の時間で電流量Iが拘束電流Itとなる。即ち制動終了までの時間もまた毎回略一定となる。本実施形態では、この通電開始から電流量Iが拘束電流Itとなるまでの時間、即ち制動終了までの経過時間を所定時間T1と設定している。
【0056】
一方、図5に示すように、制動解除時もまた制動時と同様に、制動解除初期状態においては、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、通電と同時に急激に上昇し、その後、モータ13aが回転し始めることにより低下する。そして、摩擦部材16が回転体15から離間する方向に向かって空走する状態、即ちモータ13aが低速回転する状態になると、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iは、所定時間T0で無負荷電流Inとなり、その後略一定の値をとる。
【0057】
本実施形態では、摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0となったときに制動解除を終了する。ここで、所定時間T0経過後は、モータ13aは低負荷状態にあるため、モータ13aの回転運動により発生する駆動トルクは、ほぼ全てが摩擦部材16の移動に費やされる。従って、摩擦部材16の移動距離Xは、モータ13aの回転数と通電開始からの経過時間Tに比例する。そして、本実施形態では、この摩擦部材16が制動解除完了となる所定距離X0まで移動する時間を所定時間T2として設定している。
【0058】
次に、制御テーブルに記憶された経過時間及び上記各センサから入力される信号(回転信号の変化及び電流量)と故障箇所との関係について詳述する。
図3に示すように、本実施形態では、制御テーブル36には、上記各所定時間T0,T1,T2と、無負荷電流Inを基準として設定された所定電流I1,拘束電流Itを基準として設定された所定電流I2,I3と、各回転センサから入力される回転信号の変化と、故障箇所との対応関係が定義されている。
【0059】
尚、上記所定電流I1,I3は、バラツキを考慮し、理論値に対して約−20%の値に設定されている。同様に、所定電流I2は、理論値に対して約+20%の値に設定されている。また、所定時間T0,T1,T2も理論値に対して約+20%の値に設定されている。
【0060】
また、所定時間T0を第1の所定時間、所定時間T1を第2の所定時間、所定時間T0を第3の所定時間とし、所定電流I1を第1の所定電流、所定電流I2を第2の所定電流、所定電流I3を第3の所定電流とする。
【0061】
[電力供給経路における断線]
図4及び図5に示すように、通電状態において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inより小さい場合は、モータ13aの始動時のみであり、この時間は無視できる程度のごく短時間である。従って、経過時間に関わらず、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ各回転センサから入力される回転信号が変化無しである場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと推定することができる。
【0062】
[電力供給経路における短絡]
モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iは、モータ13aが拘束状態にある場合に、最大の拘束電流Itとなる。従って、経過時間、制動時及び制動解除時の如何を問わず、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I2より大きい場合には、モータ13a又は電力供給経路において短絡が発生したものと推定することができる。尚、「制動時」とは制動指示信号として制動信号が、同様に「制動解除時」とは制動解除信号が入力されている場合である。
【0063】
[電流センサ故障]
制動又は制動解除時の初期、即ち所定時間T0内において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inより小さい場合は、モータ13aの始動時のみである。従って、所定時間T0内において、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ各回転センサから入力される回転信号が変化有りである場合には、電流センサ33aが故障したものと推定することができる。
【0064】
[回転センサ故障]
所定時間T0内において、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が無負荷電流Inの値より大きい場合、モータ13aは回転状態にある。従って、所定時間T0内において、電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I1より大きく、且つ第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しである場合には、変化無しの回転信号を出力した側の回転センサが故障したものと推定することができる。
【0065】
[アクチュエータ故障(ロック)]
所定時間T0内においては、始動時のごく短時間を除いてモータ13aは回転状態にある。従って、所定時間T0内において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無し、且つ電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I3より大きい場合、アクチュエータ12aにおいて、モータ13aの回転が拘束される故障が発生したと推定することができる。
【0066】
[アクチュエータ故障(モータ空転)]
図4に示すように、既に制動が終了している時間、即ち所定時間T1経過後においては、モータ13aは拘束状態にあり、モータ13aへ供給される駆動電流の電流量Iも拘束電流Itとなっているはずである。従って、所定時間T1経過後において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化有り、且つ電流センサ33aから入力される電流量Iの値が所定電流I3より小さい場合、アクチュエータ12aに不具合が生じ摩擦部材16が未だ移動状態にあると推定することができる。そして、その原因をモータ13aの空転と推定することができる。
【0067】
[アクチュエータ故障(逆転不良)]
図5に示すように、既に制動が終了している時間、即ち所定時間T2経過後においては、モータ13aは停止していなければならない。従って、所定時間T2経過後において、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化有りである場合には、摩擦部材16の移動距離Xが未だ所定距離X0に達していない、即ちアクチュエータ12aに逆転不良が発生したものと推定することができる。
【0068】
[アクチュエータ故障(過逆転)]
本実施形態では、下位制御装置7aは、各回転センサから入力されるパルス信号(回転信号)をカウントし、検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離Xを推定する。そして摩擦部材16が制動解除完了となる所定距離X0まで移動する時間を所定時間T2として設定している。従って、摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0に達していないと推定されるにもかかわらず、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無しである場合、摩擦部材16が所定距離X0を超えてそれ以上移動不能となる位置まで移動したものと推定することができる。そして、その原因として、モータ13aの1回転あたりの摩擦部材16の移動距離が大きくなり摩擦部材16が進み過ぎる故障、即ちアクチュエータ12aに過逆転が発生したものと推定することができる。
【0069】
次に、下位制御装置による故障検出の処理について説明する。
図6及び図7は、下位制御装置による故障検出の処理を示すフローチャートである。
【0070】
先ず、下位制御装置7aは、モータ13aに供給される駆動電流の電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しであるか否かを判断する(ステップ101)。そして、電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく、且つ各回転センサから入力された回転信号がともに変化無しである場合には、下位制御装置7aは、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと判定する(ステップ102)。
【0071】
次に、上記ステップ101において、電流量Iの値が所定電流I1よりも小さく且つ回転信号がともに変化なし以外と判断した場合、下位制御装置7aは、電流量Iが所定電流I2よりも大きいか否かを判断(ステップ103)する。そして、電流量Iが所定電流I2よりも大きい場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において短絡が発生したものと判定する(ステップ104)。
【0072】
一方、上記ステップ103において、電流量Iの値が所定電流I2よりも小さいと判断した場合、下位制御装置7aは、続いて所定時間T0の経過前であるか否かを判断する(ステップ105)。
【0073】
ステップ105において、所定時間T0経過前である場合には、下位制御装置7aは、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ106)。
【0074】
このステップ106において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化有りの場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I1より小さいか否かを判断する(ステップ107)。そして、このステップ107において、電流量Iが所定電流I1よりも小さい場合、即ち所定時間T0経過前において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化有り、且つ電流量Iが所定電流I1より小さい場合には、下位制御装置7aは、電流センサ33aに故障が発生したと判定する(ステップ108)。尚、上記ステップ107において、電流量Iが所定電流I1よりも大きい場合には、下位制御装置7aは、ステップ108以降の処理を行わない。
【0075】
一方、上記ステップ106において、両回転センサから入力される回転信号の両方が変化有りではないと判断した場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I1より大きいか否かを判断する(ステップ109)。そして、上記ステップ109において、電流量Iが所定電流I1よりも大きい場合には、下位制御装置7aは、次に第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しであるか否かを判断する(ステップ110,ステップ111)。
【0076】
そして、下位制御装置7aは、ステップ110において、第1回転センサ31aから入力される回転信号が変化無しであると判断した場合には、第1回転センサ31aに故障が発生したものと判定する(ステップ112)。同様に、下位制御装置7aは、ステップ111において、第2回転センサ32aから入力される回転信号が変化無しであると判断した場合には、第2回転センサ32aに故障が発生したものと判定する(ステップ113)。尚、上記ステップ109において、電流量Iが所定電流I1よりも小さい場合には、下位制御装置7aは、ステップ110以降の処理を行わない。
【0077】
次に、下位制御装置7aは、上記ステップ110,111において、回転信号の何れか一方のみが変化無しではないと判断した場合、即ち両回転センサから入力される回転信号がともに変化無しであると判断した場合には、電流量Iが所定電流I3よりも大きいか否かを判断する(ステップ114)。そして、電流量Iが所定電流I3よりも大きい場合、即ち所定時間T0経過前において、両回転センサから入力される回転信号がともに変化無し、且つ電流量Iが所定電流I3より大きい場合には、下位制御装置7aは、アクチュエータ12aがロックしたものと判定する(ステップ115)。尚、上記ステップ114において、電流量Iが所定電流I3よりも小さい場合には、下位制御装置7aは、ステップ115以降の処理を行わない。
【0078】
次に、上記ステップ105において、所定時間T0を経過している場合には、下位制御装置7aは、電動駐車ブレーキ2aが制動時(制動指示信号入力時)であり且つ所定時間T1を経過しているか否かを判断する(ステップ116)。
【0079】
ステップ116において、電動駐車ブレーキ2aが制動時であり且つ所定時間T1を経過している場合には、下位制御装置7aは、続いて電流量Iが所定電流I3より小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ117)。そして、電流量Iが所定電流I3より小さく、且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りである場合には、下位制御装置7aは、アクチュエータ12aにおいてモータ13aの空転が発生しているものと判定する(ステップ118)。尚、上記ステップ117において、電流量Iが所定電流I3より小さく且つ第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有り以外の場合には、下位制御装置7aは、ステップ118以降の処理を行わない。
【0080】
一方、上記ステップ116において、電動駐車ブレーキ2aが制動時であり且つ所定時間T1を経過している以外の状態と判断した場合、下位制御装置7aは、次に、電動駐車ブレーキ2aが制動解除時(制動解除信号入力時)であり且つ所定時間T2を経過しているか否かを判断する(ステップ119)。
【0081】
ステップ119において、電動駐車ブレーキ2aが制動解除時であり且つ所定時間T2を経過している場合には、下位制御装置7aは、続いて第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りであるか否かを判断する(ステップ120)。そして、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化有りである場合には、アクチュエータ12aに逆転不良が発生しているものと判定する(ステップ121)。尚、上記ステップ120において、入力される回転信号が変化無しである場合には、下位制御装置7aは、示すステップ121以降の処理を行わない。
【0082】
一方、上記ステップ119において、制動解除時且つ所定時間T2を経過している以外の状態と判断した場合、下位制御装置7aは、制動解除時、且つ制動部11aの摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0に達していると推定されるか否かを判断する(ステップ122)。
【0083】
このステップ122において、制動解除時、且つ制動部11aの摩擦部材16の移動距離Xが所定距離X0によりも達していないと推定される場合には、下位制御装置7aは、続いて第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しであるか否かを判断する(ステップ123)。そして、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aから入力される回転信号がともに変化無しである場合には、アクチュエータ12aに逆転不良が発生しているものと判定する(ステップ124)。
【0084】
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a)と、制動指示信号を出力する上位ECU6と、制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2の作動を制御する下位制御装置7(7a)とを備える。下位制御装置7aには、モータ13aの回転状態を検出するための第1回転センサ31a及び第2回転センサ32a、モータ13aに供給される駆動電流の電流量を検出するための電流センサ33aを接続する。
【0085】
そして、下位制御装置7aは、制動指示信号、回転状態、電流量、及び経過時間のうちの少なくとも一つに基づいて、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する。
【0086】
このような構成とすれば、電動駐車ブレーキ2a、モータ13aへの電力供給経路、第1回転センサ31a、第2回転センサ32a、及び電流センサ33aのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を早期に検出することができる。
【0087】
(2)下位制御装置7aは、電流量Iの値が無負荷電流Inを基準として設定された所定電流I1より小さく、且つ回転信号が変化無しである場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において断線が発生したものと判定する。
【0088】
これにより、モータ13a又は電力供給経路において断線が発生した場合でも早期に検出することができる。
(3)下位制御装置7aは、電流量Iの値が拘束電流Itを基準として設定された所定電流I2より大きい場合には、モータ13a又はモータ13aへの電力供給経路において短絡が発生したものと判定する。
【0089】
これにより、モータ13a又は電力供給経路において短絡が発生した場合でも早期に検出することができる。
(4)下位制御装置7aは、モータ13aへの通電開始から電流量Iが無負荷電流Inになるまでの時間を基準として設定された所定時間T0内において、電流量Iの値が所定電流I1より小さく、且つ回転信号が変化有りである場合には、電流センサ33aが故障したものと判定する。
【0090】
これにより、電流センサ33aが故障した場合でも早期に検出することができる。
(5)下位制御装置7aは、所定時間T0内において、回転信号が変化無し、電流量Iの値が拘束電流Itを基準として設定された所定電流I3より大きい場合、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)において、モータ13aが拘束される故障、即ちアクチュエータ12aがロックしたと判定する。
【0091】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因をアクチュエータ12aのロックと特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0092】
(6)下位制御装置7aは、制動時、制動終了時間を基準として設定された所定時間T1経過後において、回転信号が変化有り、且つ電流量Iの値が所定電流I3より小さい場合、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)において、モータ13aが空転する故障が発生したものと判定する。
【0093】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因をモータ13aの空転と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0094】
(7)下位制御装置7aは、制動解除時、制動解除終了時間を基準として設定された所定時間T2経過後において、回転信号が変化有りである場合には、電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)に逆転不良が発生したものと判定する。
【0095】
これにより、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因を逆転不良と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0096】
(8)電動駐車ブレーキ2aは、車輪とともに一体回転する回転体15と、モータ13aの正逆回転により回転体15に対し接近又は離間する方向に移動する摩擦部材16とを備える。下位制御装置7aは、各回転センサから入力されるパルス信号(回転信号)をカウントし、検出されたモータの回転数に正常時における1回転あたりの摩擦部材16の移動距離を乗することにより摩擦部材16の移動距離Xを推定する。
【0097】
そして、下位制御装置7aは、制動解除時、推定される移動距離Xが制動解除を終了する距離として設定された所定距離X0に達していないにもかかわらず、回転信号が変化無しである場合、摩擦部材16が所定距離X0を超えてそれ以上移動不能となる位置まで移動したものと判定する。そして、その原因として、モータ13aの1回転あたりの摩擦部材16の移動距離が大きくなり摩擦部材16が進み過ぎる故障、即ち電動駐車ブレーキ2a(アクチュエータ12a)に過逆転が発生したものと判定する。
【0098】
このような構成とすれば、電動駐車ブレーキ2aにおいて故障が発生した場合でも早期に検出することができる。さらに、併せてその故障原因を過逆転と特定できるので適切かつ迅速に対処することができる。
【0099】
(9)電動駐車ブレーキシステム1は、複数の回転センサとして第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aを備える。
そして、下位制御装置7aは、所定時間T0内において、電流量Iの値が所定電流I1より大きく、且つ第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aから入力される回転信号の何れか一方が変化無しである場合には、変化無しの回転信号を出力した側の回転センサが故障したものと判定する。
【0100】
このような構成とすれば、第1回転センサ31a又は第2回転センサ32aの何れかが故障した場合であっても早期に検出することができる。さらに、故障した回転センサを適切に特定するできるので、適切かつ迅速に対処することができる。
【0101】
(10)下位制御装置7aは、何らかの故障を検出した場合には、上位ECU6に対して異常検出信号を出力する。
従って、何れかの箇所が故障した場合にも、早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することができる。
【0102】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、複数(2つ)の電動駐車ブレーキ2a,2bと、各電動駐車ブレーキの作動を制御する下位制御装置7a,7bを備え、これら電動駐車ブレーキ2a,2bと下位制御装置7a,7bから独立した第1制動系20a及び第2制動系20bを構成した。しかし、制動系は一系統であっても、三系統以上でもよい。
【0103】
・電動駐車ブレーキ2は、回転体15及び摩擦部材16としてブレーキディスク及びブレーキパッドを備えるディスクブレーキ方式を採用するものでも、ブレーキドラム及びブレーキシューを備えたドラムブレーキ方式を採用するものであってもよい。
【0104】
・電動駐車ブレーキ2は、制動部とアクチュエータとが一体に構成されたものであってもよく、制動部とアクチュエータとが別位置に配置されたものであってもよい。
【0105】
・本実施形態では、各ドライバ21aは、各電動駐車ブレーキ2aと別体とする構成としたが、ドライバを内蔵する型式の電動駐車ブレーキを用いてもよい。
・本実施形態では、モータ13aの回転状態を検出するために、第1回転センサ31a及び第2回転センサ32aの2つの回転センサを設けた。しかし、これに限らず、回転センサの数は、1モータあたり一つでも、3つ以上であってもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、故障の早期検出を可能とする電動駐車ブレーキシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動駐車ブレーキシステムの概略構成図。
【図2】電動駐車ブレーキの概略構成図。
【図3】制御テーブルの概略構成図。
【図4】制動時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート。
【図5】制動解除時におけるモータに供給される駆動電流の電流量及び摩擦部材の移動距離との関係を示すタイムチャート。
【図6】故障検出処理の態様を示すフローチャート。
【図7】故障検出処理の態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…電動駐車ブレーキシステム、2,2a,2b…電動駐車ブレーキ、6…上位ECU、7,7a,7b…下位制御装置、13…モータ、15…回転体、16…摩擦部材、31a,31b…第1回転センサ、32a,32b…第2回転センサ、33a,33b…電流センサ、I…電流量、In…無負荷電流、It…拘束電流、I1,I2,I3…所定電流、T…経過時間、T0,T1,T2…所定時間、X…移動距離、X0…所定距離。
Claims (10)
- モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと、制動指示信号を出力する上位制御手段と、前記制動指示信号に基づいて前記電動駐車ブレーキの作動を制御する下位制御手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、
前記モータの回転状態を検出する回転センサと、
前記モータへ供給する駆動電流の電流量を検出する電流センサとを備え、
前記下位制御手段は、
前記制動指示信号、前記電流量、前記回転状態、及び経過時間のうちの少なくとも一つに基づいて、前記電動駐車ブレーキ、前記モータへの電力供給経路、前記回転センサ、及び前記電流センサのうちの少なくとも一つにおいて発生した故障を検出する故障検出手段とを備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記電流量が無負荷電流を基準として設定された第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転センサから入力される回転信号が変化無しである場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において断線が発生したものと判定すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1又は請求項2に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記電流量が拘束電流を基準として設定された第2の所定電流よりも大きい場合に、前記モータ又は前記電力供給経路において短絡が発生したものと判定すること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記経過時間が前記モータへの通電開始から前記電流量が前記無負荷電流になるまでの時間を基準として設定された第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電流センサに故障が発生したものと判定すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項4のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より大きく、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータの回転が拘束される故障が発生したものと判定すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項5のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動信号が入力され、前記経過時間が制動終了時間を基準として設定された第2の所定時間経過後であり、前記電流量が前記拘束電流を基準として設定された第3の所定電流より小さく、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて前記モータが空転する故障が発生したものと判定すること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項6のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記故障検出手段は、前記制動指示信号として制動解除信号が入力され、前記経過時間が制動解除終了時間を基準として設定された第3の所定時間経過後であり、且つ前記回転信号が変化有りである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて逆転不良が発生したものと判定すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項7のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記電動駐車ブレーキは、車輪と一体回転する回転体と、前記モータの正逆回転により前記回転体に対して接離する方向に移動する摩擦部材とを備え、
前記下位制御手段は、前記モータの回転数に基づき前記摩擦部材の移動距離を推定する移動距離推定手段を備え、
前記故障検出手段は、前記制動解除信号の入力時において、推定される移動距離が制動解除を終了する距離として設定された所定距離に達しておらず、且つ前記回転信号が変化無しである場合に、前記電動駐車ブレーキにおいて過逆転が発生したものと判定すること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項8のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
複数の前記回転センサを備え、
前記故障検出手段は、前記経過時間が前記第1の所定時間内であり、前記電流量が前記第1の所定電流よりも大きく、且つ何れかの前記回転センサから入力された回転信号が変化無しである場合に、該変化無しの回転信号を入力した回転センサに故障が発生したものと判定すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項9のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記下位制御手段は、前記故障の発生を検出した場合に前記上位制御手段に対し異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003110424A JP2004314756A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 電動駐車ブレーキシステム |
US10/822,881 US6969127B2 (en) | 2003-04-11 | 2004-04-08 | Electric parking brake system |
DE102004017544A DE102004017544A1 (de) | 2003-04-11 | 2004-04-08 | Elektrisches Feststellbremssystem |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003110424A JP2004314756A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 電動駐車ブレーキシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004314756A true JP2004314756A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33471287
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003110424A Pending JP2004314756A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-15 | 電動駐車ブレーキシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004314756A (ja) |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006232259A (ja) * | 2005-01-27 | 2006-09-07 | Hitachi Ltd | 電動ブレーキ装置および電動ブレーキ制御装置 |
JP2007137182A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Hitachi Ltd | 電動ブレーキシステム及びそれに用いる電動ブレーキ装置 |
JP2008168661A (ja) * | 2007-01-09 | 2008-07-24 | Hi-Lex Corporation | 車両の電動パーキングブレーキシステム |
JP2009190503A (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-27 | Advics Co Ltd | 駐車ブレーキ制御装置 |
KR20130133191A (ko) * | 2010-10-18 | 2013-12-06 | 콘티넨탈 테베스 아게 운트 코. 오하게 | 자동차용 고장-안전 주차 브레이크 |
WO2014013972A1 (ja) * | 2012-07-16 | 2014-01-23 | 株式会社アドヴィックス | 駐車ブレーキ制御装置 |
CN103847722A (zh) * | 2012-11-30 | 2014-06-11 | 日立汽车系统株式会社 | 制动装置 |
KR101417857B1 (ko) * | 2010-05-13 | 2014-07-09 | 주식회사 만도 | 전자식 주차 브레이크 시스템의 제어 방법 |
KR101476136B1 (ko) * | 2013-03-05 | 2014-12-24 | 주식회사 만도 | 전자식 파킹 브레이크 장치의 동작 측정 장치 및 그 동작 측정 방법 |
JP2017065374A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ブレーキ装置 |
KR101817520B1 (ko) | 2013-05-02 | 2018-01-11 | 주식회사 만도 | 전자식 주차 브레이크 시스템 |
CN114228686A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-03-25 | 长沙泊呈科技有限公司 | 一种驻车及解驻控制方法 |
CN114954412A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-08-30 | 上海三一重机股份有限公司 | 驻车故障检测方法、装置、系统及作业机械 |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003110424A patent/JP2004314756A/ja active Pending
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006232259A (ja) * | 2005-01-27 | 2006-09-07 | Hitachi Ltd | 電動ブレーキ装置および電動ブレーキ制御装置 |
JP2007137182A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Hitachi Ltd | 電動ブレーキシステム及びそれに用いる電動ブレーキ装置 |
JP2008168661A (ja) * | 2007-01-09 | 2008-07-24 | Hi-Lex Corporation | 車両の電動パーキングブレーキシステム |
JP2009190503A (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-27 | Advics Co Ltd | 駐車ブレーキ制御装置 |
KR101417857B1 (ko) * | 2010-05-13 | 2014-07-09 | 주식회사 만도 | 전자식 주차 브레이크 시스템의 제어 방법 |
KR101889994B1 (ko) * | 2010-10-18 | 2018-08-20 | 콘티넨탈 테베스 아게 운트 코. 오하게 | 자동차용 고장-안전 주차 브레이크 |
KR20130133191A (ko) * | 2010-10-18 | 2013-12-06 | 콘티넨탈 테베스 아게 운트 코. 오하게 | 자동차용 고장-안전 주차 브레이크 |
WO2014013972A1 (ja) * | 2012-07-16 | 2014-01-23 | 株式会社アドヴィックス | 駐車ブレーキ制御装置 |
CN103847722A (zh) * | 2012-11-30 | 2014-06-11 | 日立汽车系统株式会社 | 制动装置 |
CN103847722B (zh) * | 2012-11-30 | 2018-01-26 | 日立汽车系统株式会社 | 制动装置 |
KR101476136B1 (ko) * | 2013-03-05 | 2014-12-24 | 주식회사 만도 | 전자식 파킹 브레이크 장치의 동작 측정 장치 및 그 동작 측정 방법 |
KR101817520B1 (ko) | 2013-05-02 | 2018-01-11 | 주식회사 만도 | 전자식 주차 브레이크 시스템 |
JP2017065374A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ブレーキ装置 |
CN114228686A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-03-25 | 长沙泊呈科技有限公司 | 一种驻车及解驻控制方法 |
CN114954412A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-08-30 | 上海三一重机股份有限公司 | 驻车故障检测方法、装置、系统及作业机械 |
CN114954412B (zh) * | 2022-05-31 | 2023-08-22 | 上海三一重机股份有限公司 | 驻车故障检测方法、装置、系统及作业机械 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6969127B2 (en) | Electric parking brake system | |
US7673949B2 (en) | Electrically powered brake system and control unit for electrically powered brake system | |
JP4912670B2 (ja) | 電動ブレーキシステム | |
JP5243383B2 (ja) | 電気ブレーキを備えた乗物用ブレーキシステムにおける保護方法 | |
EP2444293B1 (en) | Vehicle creep control device | |
JP6313152B2 (ja) | 電動ブレーキ装置 | |
JP2004314756A (ja) | 電動駐車ブレーキシステム | |
JP4959438B2 (ja) | ブレーキ制御装置 | |
JP2016210267A (ja) | 電動ブレーキシステム | |
CN105711574B (zh) | 用于运行制动装置的方法和设备、制动装置 | |
US10744989B2 (en) | Brake device for vehicle | |
JP2007002904A (ja) | 電動ブレーキ装置 | |
US9902378B2 (en) | Brake system | |
US8421385B2 (en) | Method for braking an electromotor and electrical drive | |
JP2003220943A (ja) | 制動制御装置 | |
KR101417857B1 (ko) | 전자식 주차 브레이크 시스템의 제어 방법 | |
JP2004314687A (ja) | 電動駐車ブレーキシステム | |
KR102010743B1 (ko) | 전자 브레이크 시스템의 초기 위치 판별 방법 | |
JP4928977B2 (ja) | 電気負荷の制御装置及び電動ブレーキ装置 | |
KR20200011878A (ko) | 전기 모터를 모니터링하기 위한 방법, 전자 제어 모듈, 유압식 브레이크 시스템 및 저장 매체 | |
JP4140388B2 (ja) | 移動体の非常停止装置、及び移動体の非常停止装置の故障判定方法 | |
US20230075904A1 (en) | Electronic parking brake system and control method thereof | |
JP7153793B2 (ja) | 制御装置 | |
KR20230165313A (ko) | 전동 브레이크의 제어 장치, 전동 브레이크의 제어 방법, 및 모터 제어 장치 | |
CN115675425A (zh) | 制动装置、动作异常判定方法以及动作异常判定程序 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050419 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060829 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060907 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070417 |