JP2004314687A - 電動駐車ブレーキシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】制動安定性の高い電動駐車ブレーキシステムを提供すること。
【解決手段】各制動系の各制御装置3a,3bは、他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。また、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、入力値と内部値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。
【選択図】 図1
【解決手段】各制動系の各制御装置3a,3bは、他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。また、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、入力値と内部値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駐車ブレーキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の駐車ブレーキシステムとして、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキを備えた電動駐車ブレーキシステムが知られている。
【0003】
このような電動駐車ブレーキシステムの中に、ブレーキ作動装置と、入力信号を個別に処理し対応する出力信号に変換するための並列に操作される複数の制御装置を備えた電子的制御装置と、出力信号に応じて作動可能な複数のパーキングブレーキ(電動駐車ブレーキ)とを備えたものがある。そして、更に上記各制御装置の下流に接続され多数決をするために使用される少なくとも一の投票装置を備えたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このような構成とすれば、一の支線において電気的な欠陥が生じた場合にも、他の支線を介して少なくとも一のパーキングブレーキが作動可能であるので、緊急操作モードが確実になされる。また、上記投票装置における多数決により一の出力信号が決定されるので、各制御装置の出力信号の間に差異がある場合でも、パーキングブレーキに対し安定した出力信号を出力することができる。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−523616号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一の支線において電気的な欠陥が生じた場合には、その支線におけるパーキングブレーキが作動不能となることには変わりはなく、緊急操作モード、即ちパーキングブレーキの一部を欠いた状態での駐車制動では、制動の確実性及び安定性が損なわれるという問題がある。また、投票装置が機能するためには、少なくとも三以上の奇数個の制御装置が必要であるため構成が複雑になり高コスト化につながるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、制動安定性の高い電動駐車ブレーキシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと該電動駐車ブレーキの作動を制御するための駆動指令を出力する制御装置とを有する複数の独立した制動系を備え、前記各制御装置は、自制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する自制動検出手段と、該自制動検出手段の検出結果に基づいて前記駆動指令を決定する自出力決定手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、前記各制御装置は、他制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する他制動検出手段と、他制動系の前記制御装置が出力した駆動指令を検出する他出力検出手段と、前記他制動検出手段の検出結果に基づいて他制動系の前記制御装置が出力すべき駆動指令を推定する適正指令推定手段と、検出した駆動指令と推定した駆動指令とが一致するか否かを判断し、前記検出した駆動指令と前記推定した駆動指令とが一致しない場合に他制動系に異常が発生したと判断する異常検出手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記各制動系は、不適正な前記駆動指令を適正化するための適正化装置を備え、前記各制御装置は、前記一致しない場合に他制動系の前記適正化装置へ訂正信号を出力する訂正信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記適正化装置は、自制動系の制御装置が出力した駆動指令、及び他制動系の制御装置が出力した訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路により構成されることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記各制御装置に対し制動指示信号を並列出力する上位制御手段を備え、前記各制御装置は、前記一致しない場合に前記上位制御手段に異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記上位制御手段は、前記異常検出信号が入力され且つ異常が発生した側の制動系の制御装置に応答なき場合に、該制御装置が故障したものと判断する故障判定手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記上位制御手段は、車両状態情報を検出する車両状態検出手段と、該検出した車両状態情報に基づいて前記制動指示信号を決定する制動指示信号決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置を備え、前記車両状態検出手段は、前記各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を冗長的に検出することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、各制御装置は、他制動系の状態を相互に監視するので、早期に他制動系における異常の発生を発見し迅速に対処することが可能になる。その結果、制動安定性が向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、他制動系において何らかの異常が発生し、不適正な駆動指令が出力された場合であっても、適正化装置において、訂正信号に基づく駆動指令の適正化がなされる。従って、異常が発生した制動系においても確実に制動がなされるので制動安定性が向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、不適正な駆動指令と訂正信号との排他的論理和により駆動指令が適正化されるので、制動安定性が向上するとともに、構成が簡素になる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、各制動系において異常が発生、即ち何れかの箇所が故障した場合にも早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することが可能になるので、信頼性が向上する。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、早期に制御装置の故障を発見し迅速に対処することが可能になるので、信頼性が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、車両状態に応じた駐車制動を行うことが可能になる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせたので、より適切な駐車制動を行うことが可能になり、その結果、信頼性が向上するとともに制動安定性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2と電動駐車ブレーキ2の作動を制御するための駆動指令を出力する制御装置3とを有する複数の独立した制動系10と、各制動系10の制御装置3に制動指示信号を出力する上位制御手段としての上位ECU11とを備えている。尚、本実施形態では、各制御装置3が、自制動検出手段、自出力決定手段、他制動検出手段、他出力検出手段、適正指令推定手段、異常検出手段、訂正信号出力手段、及び異常検出信号出力手段を構成する。また、上位ECU11が、故障判定手段、車両状態検出手段、及び制動指示信号決定手段を構成する。
【0022】
本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、第1制動系10a及び第2制動系10bの二系統の制動系を備えており、第1制動系10aは、電動駐車ブレーキ2a及び制御装置3aを、第2制動系10bは、電動駐車ブレーキ2b及び制御装置3bを備えている。そして、上位ECU11は、これら第1制動系10a及び第2制動系10bの制御装置3a,3bに対して制動指示信号(制動信号又は制動解除信号)を並列出力することにより車両の駐車制動を制御している。
【0023】
尚、本実施形態では、上位ECU11と各制御装置3a,3bとの接続形態は、電気的信号により通信を行う接続形態であるが、ネットワークにより通信を行う接続形態であってもよい。
【0024】
また、電動駐車ブレーキシステム1は、車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置を備え、これらの車両状態検知装置は上位ECU11に接続されている。そして、上位ECU11は、これらの車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて、制御装置3a,3bに出力する制動指示信号としての制動信号又は制動解除信号を決定する。
【0025】
本実施形態では、上位ECU11には、車両状態検知装置として、アクセル操作量センサ12、操作スイッチ(パーキングブレーキスイッチ)13、シフト位置センサ14、ブレーキ操作量センサ15、及び車輪速センサ16が接続されている。尚、車輪速センサ16には、ホールIC等が用いられる。
【0026】
尚、本実施形態では、上位ECU11は、各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を複数の方法で検出する。そして、上位ECU11は、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせることにより高い信頼性を担保している。
【0027】
そして、上位ECU11は、検出された車両状態情報、即ち、車輪の回転速度、車両の速度、シフト位置、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、操作スイッチのオン/オフ、等の何れか一つ、又はこれらの所定の組み合わせにより制御装置3a,3bに出力する制動信号又は制動解除信号を決定する。
【0028】
例えば、上位ECU11は、操作スイッチがオン且つアクセルペダルがオフの場合には制動信号を、操作スイッチがオフ且つ車両に十分な制動力を発生しうるブレーキペダル操作量がある場合には制動解除信号を制御装置3a,3bに対して出力する。
【0029】
次に、各制動系について詳述する。尚、第1制動系10a及び第2制動系10bは同一の構成となっているため、第1制動系10aについてのみ説明し第2制動系10bについては符号に「b」を付すこととしてその説明を省略する。
【0030】
本実施形態の第1制動系10aは、電動駐車ブレーキ2aに駆動電力を供給するドライバ17aと、制御装置3aが出力する駆動指令を適正化するための適正化装置18aとを備える。
【0031】
電動駐車ブレーキ2aは、車輪(図示せず)に設けられた制動部21aと、モータ22aを駆動源として制動部21aを駆動するアクチュエータ23aとからなり、モータ22aは、ドライバ17aを介してバッテリー25と接続されている。そして、ドライバ17aは、適正化装置18aを介して制御装置3aと接続されている。
【0032】
制御装置3aは、上位ECU11から入力された制動信号又は制動解除信号に基づいてモータ22aの回転方向を決定し、駆動指令(モータ22aの回転指令又は停止指令)をドライバ17aに出力する。ドライバ17aは、制御装置3aから入力された駆動指令に基づいてモータ22aに駆動電力を供給し、アクチュエータ23aは、モータ22aの正逆回転により制動部21aを駆動する。そして、制動部21aは、アクチュエータ23aに駆動されることにより車輪に制動力を付与し(制動)又はその制動を解除する。
【0033】
即ち、制御装置3aは、駆動指令をドライバ17aに出力することにより電動駐車ブレーキ2aの作動を制御している。そして、制御装置3aは、電動駐車ブレーキ2aの作動状態(制動状態及び制動解除状態)に基づいてドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。
【0034】
詳述すると、電動駐車ブレーキシステム1は、モータ22aの回転状態を検出するための回転センサ27a,28a、及びモータ22aへ供給される電流量を検出するための電流センサ29aを備え、これら回転センサ27a,28a及び電流センサ29aは、制御装置3aに接続されている。そして、制御装置3aは、これら各センサからの入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出し、この検出された電動駐車ブレーキ2aの作動状態に基づいてドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。
【0035】
また、本実施形態では、制御装置3aは、自らの制動系(自制動系)である第1制動系10aにおける電動駐車ブレーキ2aの作動を制御するともに、他の制動系(他制動系)である第2制動系10bの状態を監視している。同様に、制御装置3bは、自制動系の電動駐車ブレーキ2bの作動を制御するともに、他制動系である第1制動系10aの状態を監視している。即ち、制御装置3a,3bは相互に他制動系の状態を監視している。
【0036】
詳述すると、制御装置3aには、自制動系の回転センサ27a,28a及び電流センサ29aとともに、他制動系である第2制動系10bの回転センサ27b,28b及び電流センサ29bが接続されている。同様に、第2制動系10bの制御装置3bには、自制動系の回転センサ27b,28b及び電流センサ29bとともに他制動系である第1制動系10aの回転センサ27a,28a及び電流センサ29aが接続されている。
【0037】
また、第1制動系10aの制御装置3aと第2制動系10bの制御装置3bとは相互に接続されており、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。
【0038】
各制御装置3a,3bは、これら他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。
【0039】
そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、この内部値と入力値とが一致するか否か、即ち他制動系の制御装置3a,3bが出力した駆動指令は適正であるか否かを判断する。そして、この内部値と入力値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したと判断する。
【0040】
本実施形態では、各制御装置3a,3bは、他制動系の異常を検出した場合には、ECU11に対して異常検出信号を出力する。そして、ECU11は、異常検出信号に基づいて異常発生側の制御装置3a,3bと通信を行い、応答がない場合には、この制御装置3a,3bが故障したものと判断する。
【0041】
尚、本実施形態の制御装置3a,3bは、電動駐車ブレーキ2a,2b及び上記各センサの故障を検出することが可能であり、ECU11に出力する異常検出信号には、これらの故障を示す信号が含まれる。そして、ECU11は、各制動系10(10a,10b)の何れかに故障が発生したことを検知した場合には、車両の搭乗者に対しその箇所に故障が発生した旨を警告する。
【0042】
また、本実施形態では、第1制動系10aの制御装置3aは、他制動系である第2制動系10bの適正化装置18bと接続されており、同様に第2制動系10bの制御装置3bは、他制動系である第1制動系10aの適正化装置18aと接続されている。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、他制動系の適正化装置18a,18bに訂正信号を出力することにより他制動系の駆動指令の適正化を行う。
【0043】
詳述すると、本実施形態では、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令、及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路(EOR回路)により構成されている。そして、制御装置3a,3bは、排他的論理和により適正化装置18a,18bからドライバ17a,17bへ出力される駆動指令を適正化するための訂正信号を他制動系の適正化装置18a,18bに出力する。
【0044】
本実施形態では、各制御装置3a,3bが出力する駆動指令は、オン/オフ信号、即ち「1」又は「0」で出力され、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、訂正信号として「1」を他制動系の制御装置3a,3bに出力する。尚、本実施形態では、回転指令が「1」、停止指令が「0」とされている。
【0045】
例えば、制御装置3a(3b)は、他制動系の各センサの出力に基づいて推定した他制動系における適正な駆動指令が「1」であるのに対し、他制動系の制御装置3b(3a)が出力した駆動指令が「0」である場合には、訂正信号として「1」を他制動系の適正化装置18b(18a)へ出力する。これにより、他制動系の適正化装置18b(18a)からドライバ17b(18a)へ出力される駆動指令は、「1」と「0」との排他的論理和により「1」に適正化される。
【0046】
また、制御装置3a(3b)は、推定された適正な駆動指令が「0」であるのに対し、他制動系の制御装置3b(3a)が出力した駆動指令が「1」である場合にも、訂正信号として「1」を他制動系の適正化装置18b(18a)へ出力する。これにより、他制動系の適正化装置18b(18a)からドライバ17b(17a)へ出力される駆動指令は、「1」と「1」との排他的論理和により「0」に適正化される。
【0047】
次に、上記のように構成された電動駐車ブレーキシステムの制御態様について説明する。尚、第1制動系10a及び第2制動系10bは同一の構成であり各制御装置3a,3bは同一の処理を行うため、第1制動系10aの制御装置3aによる処理についてのみ説明し、第2制動系10bの制御装置3bによる処理は省略する。
【0048】
図2及び図3は、電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャートである。
制御装置3aは、上位ECU11から制動指示信号が入力されると(ステップ101)、この入力された制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を行うため、モータ22aの回転方向を決定する。(ステップ102)。
【0049】
次に、制御装置3aは、自制動系である第1制動系10aの回転センサ27a,28a及び電流センサ29aからの入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出する(ステップ103)。そして、制御装置3aは、モータ22aの停止条件が成立しているか否か、即ち自制動系における電動駐車ブレーキ2aによる制動又は制動解除を終了させるか否かを判断し、ドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。(ステップ104)。
【0050】
そして、制御装置3aは、上記ステップ104において、自制動系のモータ22aの停止条件が成立したと判断する場合には、ドライバ17aに停止指令を出力し(ステップ105)、モータ22aの停止条件が成立していないと判断する場合には、ドライバ17aに回転指令を出力する(ステップ106)。
【0051】
次に、制御装置3aは、他制動系である第2制動系10bの回転センサ27b,28b及び電流センサ29bからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2bの作動状態を検出する(ステップ107)。そして、制御装置3aは、他制動系のモータ22bの停止条件が成立しているか否か、即ち他制動系における電動駐車ブレーキ2bによる制動又は制動解除を終了させるか否かを判断する(ステップ108)。
【0052】
そして、制御装置3aは、上記ステップ108において、他制動系のモータ22bの停止条件が成立したと判断する場合には、他制動系の制御装置3bが出力すべき駆動指令(内部値)として停止指令を推定する(ステップ109)。また、制御装置3aは、上記ステップ108において、他制動系のモータ22bの停止条件が成立していないと判断する場合には、内部値として回転指令を推定する(ステップ110)。
【0053】
次に、制御装置3aは、他制動系の制御装置3bが出力した駆動指令(入力値)が入力される(ステップ111)と、この入力値と上記ステップ109、ステップ110で推定した内部値とが一致するか否かを判断する(ステップ112)。
【0054】
そして、制御装置3aは、上記ステップ112において入力値と内部値とが一致しない、即ち他制動系の制御装置3bが出力した駆動指令は適正ではない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。そして、上位ECU11に異常検出信号を出力するとともに、他制動系の適正化装置18bに訂正信号を出力することにより他制動系における駆動指令の適正化を行う(ステップ113)。
【0055】
尚、制御装置3aは、上記ステップ112において入力値と内部値とが一致する場合には、上記ステップ113の処理は行わない。
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
【0056】
(1)電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a,2b)と電動駐車ブレーキ2を制御するための駆動を指令出力する制御装置3(3a,3b)とを有する複数の独立した制動系10(10a,10b)を備えている。
【0057】
各制動系の各制御装置3a,3bは、他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。また、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、入力値と内部値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。
【0058】
つまり、各制御装置3a,3bが他制動系の状態を相互に監視するので、早期他制動系における異常の発生を発見することができ、迅速に対処することができる。従って、高い制動安定性を確保することができる。
【0059】
また、従来のような各制御装置の下流に設けられた投票装置による多数決方式を採用しないので、制動系が二系統(又は二系統以上の複数の制動系)の場合でも有効に機能し、且つ簡素な構成とすることができる。
【0060】
(2)各制動系10(10a,10b)は、不適正な駆動指令を適正化するための適正化装置18a,18bを備え、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、他制動系の適正化装置18a,18bに訂正信号を出力する。
【0061】
このような構成とすれば、他制動系において何らかの異常が発生し、不適正な駆動指令が出力された場合であっても駆動指令を適正化することができ、異常が発生した制動系においても確実に制動がなされるので、高い制動安定性を確保することができる。
【0062】
(3)各制御装置3a,3bが出力する駆動指令は、オン/オフ信号、即ち「1」又は「0」で出力され、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令、及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路(EOR回路)により構成される。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、訂正信号として「1」を他制動系の制御装置3a,3bに出力する。
【0063】
このような構成とすれば、不適正な駆動指令と訂正信号との排他的論理和により適正化装置18a,18bから出力される駆動指令を適正化することができる。その結果、簡素な構成で高い制動安定性を確保することができる。
【0064】
(4)電動駐車ブレーキシステム1は、各制動系10の制御装置3に制動指示信号を出力する上位ECU11を備え、上位ECU11は、第1制動系10a及び第2制動系10bの制御装置3a,3bに対して制動信号又は制動解除信号を並列出力することにより車両の駐車制動を制御する。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の異常を検出した場合には、ECU11に対して異常検出信号を出力する。
【0065】
従って、各制動系10に異常が発生、即ち何れかの箇所が故障した場合にも、早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することができる。その結果、高い信頼性を確保することができる。
【0066】
(5)ECU11は、異常検出信号に基づいて異常発生側の制御装置3a,3bと通信を行い、応答がない場合には、この制御装置3a,3bが故障したものと判断する。
【0067】
従って、早期に制御装置3a,3bの故障を発見し対処することができるので、高い信頼性を確保することができる。
(6)上位ECU11には、車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置が接続され、上位ECU11は、これらの車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて制動指示信号を決定する。
【0068】
このような構成とすれば、車両状態に応じた駐車制動を行うことができる。
(7)上位ECU11は、各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を複数の方法で検出する。
【0069】
従って、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせることができるので、より適切な駐車制動を行うことができる。その結果、高い信頼性を確保することができる。
【0070】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、電動駐車ブレーキシステム1は、複数の独立した制動系10として第1制動系10a及び第2制動系10bの二系統の制動系を備えた。しかし、これに限らず、制動系10は、三系統以上としてもよく奇数系統でも偶数系統でもよい。
【0071】
・本実施形態では、上位ECU11は、複数の車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて制動指示信号としての制動信号又は制動解除信号を決定し各制動系10の制御装置3に出力する。しかし、これに限らず、上位ECU11は、検出した車両状態情報を各制動系10の制御装置3に出力するものとし、電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除の決定は、各制御装置3が決定する構成としてもよい。
【0072】
・本実施形態では、各制動系10の制御装置3は、上位ECU11から入力された制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を行う。しかし、これに限らず、電動駐車ブレーキシステム1には、上位ECU11を設けず、各制御装置3に各車両状態検知装置を接続し、各制御装置3が電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を決定する構成としてもよい。
【0073】
・電動駐車ブレーキ2は、ディスクブレーキ型であってもドラムブレーキ型であってもよい。
・電動駐車ブレーキ2は、制動部とアクチュエータとが一体に構成されたものであってもよく、制動部とアクチュエータとが別位置に配置されたものであってもよい。
【0074】
・本実施形態では、各ドライバ17a,17bは、各電動駐車ブレーキ2a,2bと別体とする構成としたが、ドライバを内蔵する型式の電動駐車ブレーキを用いてもよい。
【0075】
・本実施形態では、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が直接的に入力され、推定した駆動指令(内部値)とこの入力された駆動指令(入力値)とを比較した。しかし、これに限らず、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令を間接的に検出する構成とし、推定した駆動指令と検出した駆動指令とを比較する構成としてもよい。
【0076】
・本実施形態では、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力側とするEOR(排他的論理和)回路により構成した。しかし、適正化装置はこれ以外の構成としてもよい。例えば、適正化装置に自制動系の制御装置との通信機能を持たせるとともに、各制御装置は、訂正信号として他制動系の制御装置が出力すべき駆動指令(内部値)を出力する。そして、適正化装置は、自制動系の制御装置との通信により応答なき場合には、他制動系から入力された訂正信号を適正な駆動指令として出力する等の構成としてもよい。
【0077】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項6又は請求項7に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、前記車両状態検出手段は、車両状態情報として、車輪速、車速、シフト位置、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、操作スイッチのオン/オフのうちの少なくとも一つを検出し、前記制動指示信号決定手段は、該検出された各車両状態情報の単数又は所定の組み合わせにより前記制動指示信号を決定すること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
【0078】
(ロ)前記(イ)に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
車輪速又は車速を検出するための車両状態検出手段としてホールICを備えたこと、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
【0079】
このような構成とすれば、低速領域でも安定して車速(車輪速)を検出することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、制動安定性の高い電動駐車ブレーキシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動駐車ブレーキシステムの概略構成図。
【図2】電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャート。
【図3】電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…電動駐車ブレーキシステム、2,2a,2b…電動駐車ブレーキ、3,3a,3b…制御装置、10…制動系、10a…第1制動系、10b…第2制動系、11…上位ECU、12…アクセル操作量センサ、13…操作スイッチ、14…シフト位置センサ、15…ブレーキ操作量センサ、16…車輪速(車速)センサ、18a,18b…適正化装置、22a,22b…モータ、27a,27b,28a,28b…回転センサ、29a,29b…電流センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駐車ブレーキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の駐車ブレーキシステムとして、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキを備えた電動駐車ブレーキシステムが知られている。
【0003】
このような電動駐車ブレーキシステムの中に、ブレーキ作動装置と、入力信号を個別に処理し対応する出力信号に変換するための並列に操作される複数の制御装置を備えた電子的制御装置と、出力信号に応じて作動可能な複数のパーキングブレーキ(電動駐車ブレーキ)とを備えたものがある。そして、更に上記各制御装置の下流に接続され多数決をするために使用される少なくとも一の投票装置を備えたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このような構成とすれば、一の支線において電気的な欠陥が生じた場合にも、他の支線を介して少なくとも一のパーキングブレーキが作動可能であるので、緊急操作モードが確実になされる。また、上記投票装置における多数決により一の出力信号が決定されるので、各制御装置の出力信号の間に差異がある場合でも、パーキングブレーキに対し安定した出力信号を出力することができる。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−523616号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一の支線において電気的な欠陥が生じた場合には、その支線におけるパーキングブレーキが作動不能となることには変わりはなく、緊急操作モード、即ちパーキングブレーキの一部を欠いた状態での駐車制動では、制動の確実性及び安定性が損なわれるという問題がある。また、投票装置が機能するためには、少なくとも三以上の奇数個の制御装置が必要であるため構成が複雑になり高コスト化につながるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、制動安定性の高い電動駐車ブレーキシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと該電動駐車ブレーキの作動を制御するための駆動指令を出力する制御装置とを有する複数の独立した制動系を備え、前記各制御装置は、自制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する自制動検出手段と、該自制動検出手段の検出結果に基づいて前記駆動指令を決定する自出力決定手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、前記各制御装置は、他制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する他制動検出手段と、他制動系の前記制御装置が出力した駆動指令を検出する他出力検出手段と、前記他制動検出手段の検出結果に基づいて他制動系の前記制御装置が出力すべき駆動指令を推定する適正指令推定手段と、検出した駆動指令と推定した駆動指令とが一致するか否かを判断し、前記検出した駆動指令と前記推定した駆動指令とが一致しない場合に他制動系に異常が発生したと判断する異常検出手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記各制動系は、不適正な前記駆動指令を適正化するための適正化装置を備え、前記各制御装置は、前記一致しない場合に他制動系の前記適正化装置へ訂正信号を出力する訂正信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記適正化装置は、自制動系の制御装置が出力した駆動指令、及び他制動系の制御装置が出力した訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路により構成されることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記各制御装置に対し制動指示信号を並列出力する上位制御手段を備え、前記各制御装置は、前記一致しない場合に前記上位制御手段に異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記上位制御手段は、前記異常検出信号が入力され且つ異常が発生した側の制動系の制御装置に応答なき場合に、該制御装置が故障したものと判断する故障判定手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記上位制御手段は、車両状態情報を検出する車両状態検出手段と、該検出した車両状態情報に基づいて前記制動指示信号を決定する制動指示信号決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置を備え、前記車両状態検出手段は、前記各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を冗長的に検出することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、各制御装置は、他制動系の状態を相互に監視するので、早期に他制動系における異常の発生を発見し迅速に対処することが可能になる。その結果、制動安定性が向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、他制動系において何らかの異常が発生し、不適正な駆動指令が出力された場合であっても、適正化装置において、訂正信号に基づく駆動指令の適正化がなされる。従って、異常が発生した制動系においても確実に制動がなされるので制動安定性が向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、不適正な駆動指令と訂正信号との排他的論理和により駆動指令が適正化されるので、制動安定性が向上するとともに、構成が簡素になる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、各制動系において異常が発生、即ち何れかの箇所が故障した場合にも早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することが可能になるので、信頼性が向上する。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、早期に制御装置の故障を発見し迅速に対処することが可能になるので、信頼性が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、車両状態に応じた駐車制動を行うことが可能になる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせたので、より適切な駐車制動を行うことが可能になり、その結果、信頼性が向上するとともに制動安定性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2と電動駐車ブレーキ2の作動を制御するための駆動指令を出力する制御装置3とを有する複数の独立した制動系10と、各制動系10の制御装置3に制動指示信号を出力する上位制御手段としての上位ECU11とを備えている。尚、本実施形態では、各制御装置3が、自制動検出手段、自出力決定手段、他制動検出手段、他出力検出手段、適正指令推定手段、異常検出手段、訂正信号出力手段、及び異常検出信号出力手段を構成する。また、上位ECU11が、故障判定手段、車両状態検出手段、及び制動指示信号決定手段を構成する。
【0022】
本実施形態の電動駐車ブレーキシステム1は、第1制動系10a及び第2制動系10bの二系統の制動系を備えており、第1制動系10aは、電動駐車ブレーキ2a及び制御装置3aを、第2制動系10bは、電動駐車ブレーキ2b及び制御装置3bを備えている。そして、上位ECU11は、これら第1制動系10a及び第2制動系10bの制御装置3a,3bに対して制動指示信号(制動信号又は制動解除信号)を並列出力することにより車両の駐車制動を制御している。
【0023】
尚、本実施形態では、上位ECU11と各制御装置3a,3bとの接続形態は、電気的信号により通信を行う接続形態であるが、ネットワークにより通信を行う接続形態であってもよい。
【0024】
また、電動駐車ブレーキシステム1は、車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置を備え、これらの車両状態検知装置は上位ECU11に接続されている。そして、上位ECU11は、これらの車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて、制御装置3a,3bに出力する制動指示信号としての制動信号又は制動解除信号を決定する。
【0025】
本実施形態では、上位ECU11には、車両状態検知装置として、アクセル操作量センサ12、操作スイッチ(パーキングブレーキスイッチ)13、シフト位置センサ14、ブレーキ操作量センサ15、及び車輪速センサ16が接続されている。尚、車輪速センサ16には、ホールIC等が用いられる。
【0026】
尚、本実施形態では、上位ECU11は、各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を複数の方法で検出する。そして、上位ECU11は、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせることにより高い信頼性を担保している。
【0027】
そして、上位ECU11は、検出された車両状態情報、即ち、車輪の回転速度、車両の速度、シフト位置、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、操作スイッチのオン/オフ、等の何れか一つ、又はこれらの所定の組み合わせにより制御装置3a,3bに出力する制動信号又は制動解除信号を決定する。
【0028】
例えば、上位ECU11は、操作スイッチがオン且つアクセルペダルがオフの場合には制動信号を、操作スイッチがオフ且つ車両に十分な制動力を発生しうるブレーキペダル操作量がある場合には制動解除信号を制御装置3a,3bに対して出力する。
【0029】
次に、各制動系について詳述する。尚、第1制動系10a及び第2制動系10bは同一の構成となっているため、第1制動系10aについてのみ説明し第2制動系10bについては符号に「b」を付すこととしてその説明を省略する。
【0030】
本実施形態の第1制動系10aは、電動駐車ブレーキ2aに駆動電力を供給するドライバ17aと、制御装置3aが出力する駆動指令を適正化するための適正化装置18aとを備える。
【0031】
電動駐車ブレーキ2aは、車輪(図示せず)に設けられた制動部21aと、モータ22aを駆動源として制動部21aを駆動するアクチュエータ23aとからなり、モータ22aは、ドライバ17aを介してバッテリー25と接続されている。そして、ドライバ17aは、適正化装置18aを介して制御装置3aと接続されている。
【0032】
制御装置3aは、上位ECU11から入力された制動信号又は制動解除信号に基づいてモータ22aの回転方向を決定し、駆動指令(モータ22aの回転指令又は停止指令)をドライバ17aに出力する。ドライバ17aは、制御装置3aから入力された駆動指令に基づいてモータ22aに駆動電力を供給し、アクチュエータ23aは、モータ22aの正逆回転により制動部21aを駆動する。そして、制動部21aは、アクチュエータ23aに駆動されることにより車輪に制動力を付与し(制動)又はその制動を解除する。
【0033】
即ち、制御装置3aは、駆動指令をドライバ17aに出力することにより電動駐車ブレーキ2aの作動を制御している。そして、制御装置3aは、電動駐車ブレーキ2aの作動状態(制動状態及び制動解除状態)に基づいてドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。
【0034】
詳述すると、電動駐車ブレーキシステム1は、モータ22aの回転状態を検出するための回転センサ27a,28a、及びモータ22aへ供給される電流量を検出するための電流センサ29aを備え、これら回転センサ27a,28a及び電流センサ29aは、制御装置3aに接続されている。そして、制御装置3aは、これら各センサからの入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出し、この検出された電動駐車ブレーキ2aの作動状態に基づいてドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。
【0035】
また、本実施形態では、制御装置3aは、自らの制動系(自制動系)である第1制動系10aにおける電動駐車ブレーキ2aの作動を制御するともに、他の制動系(他制動系)である第2制動系10bの状態を監視している。同様に、制御装置3bは、自制動系の電動駐車ブレーキ2bの作動を制御するともに、他制動系である第1制動系10aの状態を監視している。即ち、制御装置3a,3bは相互に他制動系の状態を監視している。
【0036】
詳述すると、制御装置3aには、自制動系の回転センサ27a,28a及び電流センサ29aとともに、他制動系である第2制動系10bの回転センサ27b,28b及び電流センサ29bが接続されている。同様に、第2制動系10bの制御装置3bには、自制動系の回転センサ27b,28b及び電流センサ29bとともに他制動系である第1制動系10aの回転センサ27a,28a及び電流センサ29aが接続されている。
【0037】
また、第1制動系10aの制御装置3aと第2制動系10bの制御装置3bとは相互に接続されており、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。
【0038】
各制御装置3a,3bは、これら他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。
【0039】
そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、この内部値と入力値とが一致するか否か、即ち他制動系の制御装置3a,3bが出力した駆動指令は適正であるか否かを判断する。そして、この内部値と入力値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したと判断する。
【0040】
本実施形態では、各制御装置3a,3bは、他制動系の異常を検出した場合には、ECU11に対して異常検出信号を出力する。そして、ECU11は、異常検出信号に基づいて異常発生側の制御装置3a,3bと通信を行い、応答がない場合には、この制御装置3a,3bが故障したものと判断する。
【0041】
尚、本実施形態の制御装置3a,3bは、電動駐車ブレーキ2a,2b及び上記各センサの故障を検出することが可能であり、ECU11に出力する異常検出信号には、これらの故障を示す信号が含まれる。そして、ECU11は、各制動系10(10a,10b)の何れかに故障が発生したことを検知した場合には、車両の搭乗者に対しその箇所に故障が発生した旨を警告する。
【0042】
また、本実施形態では、第1制動系10aの制御装置3aは、他制動系である第2制動系10bの適正化装置18bと接続されており、同様に第2制動系10bの制御装置3bは、他制動系である第1制動系10aの適正化装置18aと接続されている。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、他制動系の適正化装置18a,18bに訂正信号を出力することにより他制動系の駆動指令の適正化を行う。
【0043】
詳述すると、本実施形態では、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令、及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路(EOR回路)により構成されている。そして、制御装置3a,3bは、排他的論理和により適正化装置18a,18bからドライバ17a,17bへ出力される駆動指令を適正化するための訂正信号を他制動系の適正化装置18a,18bに出力する。
【0044】
本実施形態では、各制御装置3a,3bが出力する駆動指令は、オン/オフ信号、即ち「1」又は「0」で出力され、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、訂正信号として「1」を他制動系の制御装置3a,3bに出力する。尚、本実施形態では、回転指令が「1」、停止指令が「0」とされている。
【0045】
例えば、制御装置3a(3b)は、他制動系の各センサの出力に基づいて推定した他制動系における適正な駆動指令が「1」であるのに対し、他制動系の制御装置3b(3a)が出力した駆動指令が「0」である場合には、訂正信号として「1」を他制動系の適正化装置18b(18a)へ出力する。これにより、他制動系の適正化装置18b(18a)からドライバ17b(18a)へ出力される駆動指令は、「1」と「0」との排他的論理和により「1」に適正化される。
【0046】
また、制御装置3a(3b)は、推定された適正な駆動指令が「0」であるのに対し、他制動系の制御装置3b(3a)が出力した駆動指令が「1」である場合にも、訂正信号として「1」を他制動系の適正化装置18b(18a)へ出力する。これにより、他制動系の適正化装置18b(18a)からドライバ17b(17a)へ出力される駆動指令は、「1」と「1」との排他的論理和により「0」に適正化される。
【0047】
次に、上記のように構成された電動駐車ブレーキシステムの制御態様について説明する。尚、第1制動系10a及び第2制動系10bは同一の構成であり各制御装置3a,3bは同一の処理を行うため、第1制動系10aの制御装置3aによる処理についてのみ説明し、第2制動系10bの制御装置3bによる処理は省略する。
【0048】
図2及び図3は、電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャートである。
制御装置3aは、上位ECU11から制動指示信号が入力されると(ステップ101)、この入力された制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を行うため、モータ22aの回転方向を決定する。(ステップ102)。
【0049】
次に、制御装置3aは、自制動系である第1制動系10aの回転センサ27a,28a及び電流センサ29aからの入力に基づいて電動駐車ブレーキ2aの作動状態を検出する(ステップ103)。そして、制御装置3aは、モータ22aの停止条件が成立しているか否か、即ち自制動系における電動駐車ブレーキ2aによる制動又は制動解除を終了させるか否かを判断し、ドライバ17aに出力する駆動指令を決定する。(ステップ104)。
【0050】
そして、制御装置3aは、上記ステップ104において、自制動系のモータ22aの停止条件が成立したと判断する場合には、ドライバ17aに停止指令を出力し(ステップ105)、モータ22aの停止条件が成立していないと判断する場合には、ドライバ17aに回転指令を出力する(ステップ106)。
【0051】
次に、制御装置3aは、他制動系である第2制動系10bの回転センサ27b,28b及び電流センサ29bからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2bの作動状態を検出する(ステップ107)。そして、制御装置3aは、他制動系のモータ22bの停止条件が成立しているか否か、即ち他制動系における電動駐車ブレーキ2bによる制動又は制動解除を終了させるか否かを判断する(ステップ108)。
【0052】
そして、制御装置3aは、上記ステップ108において、他制動系のモータ22bの停止条件が成立したと判断する場合には、他制動系の制御装置3bが出力すべき駆動指令(内部値)として停止指令を推定する(ステップ109)。また、制御装置3aは、上記ステップ108において、他制動系のモータ22bの停止条件が成立していないと判断する場合には、内部値として回転指令を推定する(ステップ110)。
【0053】
次に、制御装置3aは、他制動系の制御装置3bが出力した駆動指令(入力値)が入力される(ステップ111)と、この入力値と上記ステップ109、ステップ110で推定した内部値とが一致するか否かを判断する(ステップ112)。
【0054】
そして、制御装置3aは、上記ステップ112において入力値と内部値とが一致しない、即ち他制動系の制御装置3bが出力した駆動指令は適正ではない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。そして、上位ECU11に異常検出信号を出力するとともに、他制動系の適正化装置18bに訂正信号を出力することにより他制動系における駆動指令の適正化を行う(ステップ113)。
【0055】
尚、制御装置3aは、上記ステップ112において入力値と内部値とが一致する場合には、上記ステップ113の処理は行わない。
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
【0056】
(1)電動駐車ブレーキシステム1は、電動駐車ブレーキ2(2a,2b)と電動駐車ブレーキ2を制御するための駆動を指令出力する制御装置3(3a,3b)とを有する複数の独立した制動系10(10a,10b)を備えている。
【0057】
各制動系の各制御装置3a,3bは、他制動系の各センサからの入力に基づいて他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態を検出し、この検出された他制動系の電動駐車ブレーキ2a,2bの作動状態に基づいて他制動系の制御装置3a,3bが出力すべき駆動指令を推定する。また、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が相互に入力される。そして、各制御装置3a,3bは、上記推定した駆動指令(内部値)と入力された駆動指令(入力値)とを比較し、入力値と内部値とが一致しない場合には、他制動系に異常が発生したものと判断する。
【0058】
つまり、各制御装置3a,3bが他制動系の状態を相互に監視するので、早期他制動系における異常の発生を発見することができ、迅速に対処することができる。従って、高い制動安定性を確保することができる。
【0059】
また、従来のような各制御装置の下流に設けられた投票装置による多数決方式を採用しないので、制動系が二系統(又は二系統以上の複数の制動系)の場合でも有効に機能し、且つ簡素な構成とすることができる。
【0060】
(2)各制動系10(10a,10b)は、不適正な駆動指令を適正化するための適正化装置18a,18bを備え、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、他制動系の適正化装置18a,18bに訂正信号を出力する。
【0061】
このような構成とすれば、他制動系において何らかの異常が発生し、不適正な駆動指令が出力された場合であっても駆動指令を適正化することができ、異常が発生した制動系においても確実に制動がなされるので、高い制動安定性を確保することができる。
【0062】
(3)各制御装置3a,3bが出力する駆動指令は、オン/オフ信号、即ち「1」又は「0」で出力され、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令、及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路(EOR回路)により構成される。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bが不適正な駆動指令を出力した場合には、訂正信号として「1」を他制動系の制御装置3a,3bに出力する。
【0063】
このような構成とすれば、不適正な駆動指令と訂正信号との排他的論理和により適正化装置18a,18bから出力される駆動指令を適正化することができる。その結果、簡素な構成で高い制動安定性を確保することができる。
【0064】
(4)電動駐車ブレーキシステム1は、各制動系10の制御装置3に制動指示信号を出力する上位ECU11を備え、上位ECU11は、第1制動系10a及び第2制動系10bの制御装置3a,3bに対して制動信号又は制動解除信号を並列出力することにより車両の駐車制動を制御する。そして、各制御装置3a,3bは、他制動系の異常を検出した場合には、ECU11に対して異常検出信号を出力する。
【0065】
従って、各制動系10に異常が発生、即ち何れかの箇所が故障した場合にも、早期に対処することができ、故障による被害の拡大を防止することができる。その結果、高い信頼性を確保することができる。
【0066】
(5)ECU11は、異常検出信号に基づいて異常発生側の制御装置3a,3bと通信を行い、応答がない場合には、この制御装置3a,3bが故障したものと判断する。
【0067】
従って、早期に制御装置3a,3bの故障を発見し対処することができるので、高い信頼性を確保することができる。
(6)上位ECU11には、車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置が接続され、上位ECU11は、これらの車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて制動指示信号を決定する。
【0068】
このような構成とすれば、車両状態に応じた駐車制動を行うことができる。
(7)上位ECU11は、各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を複数の方法で検出する。
【0069】
従って、制動指示信号の決定の基礎となる車両状態情報に冗長性を持たせることができるので、より適切な駐車制動を行うことができる。その結果、高い信頼性を確保することができる。
【0070】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、電動駐車ブレーキシステム1は、複数の独立した制動系10として第1制動系10a及び第2制動系10bの二系統の制動系を備えた。しかし、これに限らず、制動系10は、三系統以上としてもよく奇数系統でも偶数系統でもよい。
【0071】
・本実施形態では、上位ECU11は、複数の車両状態検知装置により検出された車両状態情報に基づいて制動指示信号としての制動信号又は制動解除信号を決定し各制動系10の制御装置3に出力する。しかし、これに限らず、上位ECU11は、検出した車両状態情報を各制動系10の制御装置3に出力するものとし、電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除の決定は、各制御装置3が決定する構成としてもよい。
【0072】
・本実施形態では、各制動系10の制御装置3は、上位ECU11から入力された制動指示信号に基づいて電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を行う。しかし、これに限らず、電動駐車ブレーキシステム1には、上位ECU11を設けず、各制御装置3に各車両状態検知装置を接続し、各制御装置3が電動駐車ブレーキ2による制動又は制動解除を決定する構成としてもよい。
【0073】
・電動駐車ブレーキ2は、ディスクブレーキ型であってもドラムブレーキ型であってもよい。
・電動駐車ブレーキ2は、制動部とアクチュエータとが一体に構成されたものであってもよく、制動部とアクチュエータとが別位置に配置されたものであってもよい。
【0074】
・本実施形態では、各ドライバ17a,17bは、各電動駐車ブレーキ2a,2bと別体とする構成としたが、ドライバを内蔵する型式の電動駐車ブレーキを用いてもよい。
【0075】
・本実施形態では、各制御装置3a,3bには、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令が直接的に入力され、推定した駆動指令(内部値)とこの入力された駆動指令(入力値)とを比較した。しかし、これに限らず、各制御装置3a,3bは、他制動系の制御装置3a,3bの出力した駆動指令を間接的に検出する構成とし、推定した駆動指令と検出した駆動指令とを比較する構成としてもよい。
【0076】
・本実施形態では、適正化装置18a,18bは、自制動系の制御装置3a,3bが出力する駆動指令及び他制動系の制御装置3a,3bが出力する訂正信号を入力側とするEOR(排他的論理和)回路により構成した。しかし、適正化装置はこれ以外の構成としてもよい。例えば、適正化装置に自制動系の制御装置との通信機能を持たせるとともに、各制御装置は、訂正信号として他制動系の制御装置が出力すべき駆動指令(内部値)を出力する。そして、適正化装置は、自制動系の制御装置との通信により応答なき場合には、他制動系から入力された訂正信号を適正な駆動指令として出力する等の構成としてもよい。
【0077】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項6又は請求項7に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、前記車両状態検出手段は、車両状態情報として、車輪速、車速、シフト位置、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、操作スイッチのオン/オフのうちの少なくとも一つを検出し、前記制動指示信号決定手段は、該検出された各車両状態情報の単数又は所定の組み合わせにより前記制動指示信号を決定すること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
【0078】
(ロ)前記(イ)に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
車輪速又は車速を検出するための車両状態検出手段としてホールICを備えたこと、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
【0079】
このような構成とすれば、低速領域でも安定して車速(車輪速)を検出することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、制動安定性の高い電動駐車ブレーキシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動駐車ブレーキシステムの概略構成図。
【図2】電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャート。
【図3】電動駐車ブレーキシステムの制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…電動駐車ブレーキシステム、2,2a,2b…電動駐車ブレーキ、3,3a,3b…制御装置、10…制動系、10a…第1制動系、10b…第2制動系、11…上位ECU、12…アクセル操作量センサ、13…操作スイッチ、14…シフト位置センサ、15…ブレーキ操作量センサ、16…車輪速(車速)センサ、18a,18b…適正化装置、22a,22b…モータ、27a,27b,28a,28b…回転センサ、29a,29b…電流センサ。
Claims (7)
- モータ駆動により車輪に制動力を付与する電動駐車ブレーキと該電動駐車ブレーキの作動を制御するための駆動指令を出力する制御装置とを有する複数の独立した制動系を備え、前記各制御装置は、自制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する自制動検出手段と、該自制動検出手段の検出結果に基づいて前記駆動指令を決定する自出力決定手段とを備えた電動駐車ブレーキシステムであって、
前記各制御装置は、
他制動系の前記電動駐車ブレーキの作動状態を検出する他制動検出手段と、
他制動系の前記制御装置が出力した駆動指令を検出する他出力検出手段と、
前記他制動検出手段の検出結果に基づいて他制動系の前記制御装置が出力すべき駆動指令を推定する適正指令推定手段と、
検出した駆動指令と推定した駆動指令とが一致するか否かを判断し、前記検出した駆動指令と前記推定した駆動指令とが一致しない場合に他制動系に異常が発生したと判断する異常検出手段とを備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記各制動系は、不適正な前記駆動指令を適正化するための適正化装置を備え、
前記各制御装置は、前記一致しない場合に他制動系の前記適正化装置へ訂正信号を出力する訂正信号出力手段を備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項2に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記適正化装置は、自制動系の制御装置が出力した駆動指令、及び他制動系の制御装置が出力した訂正信号を入力信号とする排他的論理和回路により構成されること、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記各制御装置に対し制動指示信号を並列出力する上位制御手段を備え、
前記各制御装置は、前記一致しない場合に前記上位制御手段に異常検出信号を出力する異常検出信号出力手段を備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項4に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記上位制御手段は、前記異常検出信号が入力され且つ異常が発生した側の制動系の制御装置に応答なき場合に、該制御装置が故障したものと判断する故障判定手段を備えたこと、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項4又は請求項5に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記上位制御手段は、車両状態情報を検出する車両状態検出手段と、該検出した車両状態情報に基づいて前記制動指示信号を決定する制動指示信号決定手段とを備えたこと、を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。 - 請求項6に記載の電動駐車ブレーキシステムにおいて、
前記車両状態情報を検出するための複数の車両状態検知装置を備え、
前記車両状態検出手段は、前記各車両状態検知装置の単体又は所定の組み合わせにより、同目的の車両状態情報を冗長的に検出すること、
を特徴とする電動駐車ブレーキシステム。
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