JP2000108847A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

ウエビング巻取装置

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JP2000108847A
JP2000108847A JP10282952A JP28295298A JP2000108847A JP 2000108847 A JP2000108847 A JP 2000108847A JP 10282952 A JP10282952 A JP 10282952A JP 28295298 A JP28295298 A JP 28295298A JP 2000108847 A JP2000108847 A JP 2000108847A
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Japan
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pinion
side rotating
webbing
driven
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JP10282952A
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English (en)
Inventor
Seiji Hori
誠司 堀
Yasunori Murayama
靖典 村山
Keiichi Kato
啓一 加藤
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Tokai Rika Co Ltd
Original Assignee
Tokai Rika Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置の大型化を抑制すると共に、ウエビング
の遊びが大きい場合でも、プリテンショナ作動時にウエ
ビングを確実に緊張状態とするまで巻取軸へ巻き取る。 【解決手段】 プリテンショナ作動時にピッチ線に沿っ
て移動するラック34がピニオン29の歯を加圧する
と、ピニオン29はラック34からの加圧力を回転力へ
変換し、ワンウェイクラッチ19はピニオン29からス
プール15へトルク伝達可能となるオン状態となる。こ
のとき、駆動側回転部材30の押圧部33はロータ23
の被押圧部26へ押圧し、ピニオン29からのトルクが
スプール15へ伝達される。またピストン38がピスト
ンシリンダ37の移動ストロークの終端まで移動する
と、ロータ23及びトルク伝達軸20は、被押圧部26
を押圧部33から離間させることによりスプール15と
共に巻取方向Wへ回転可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝突等による車両
の緊急減速時にシートベルト装置の乗員拘束用ウエビン
グを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナを有する
ウエビング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用シートベルト装置へ用いられるウ
エビング巻取装置には、車両衝突等の緊急減速時にウエ
ビングを引込んで緊張させ、ウエビングの遊びを除去す
るプリテンショナを有するものがある。このようなウエ
ビング巻取装置は、例えば、特許公報2500192号
に記載されている。この特許公報2500192号に記
載されているウエビング巻取装置であるベルトリトラク
ターは、ベルトウェブ(ウエビング)が巻き付けられる
ベルトドラムと、このベルトドラムへ一方向の回転のみ
を伝達するフリーホイール連結装置及び歯車伝達手段を
介して連結されたピニオンと、このピニオンへ噛み合っ
たラックと、このラックへピストンを連結させたピスト
ン駆動装置とを有し、車両衝突時にガス発生器が発生し
たガスによりピストン駆動装置が作動してラックを移動
させ、ピニオンをベルトウェブの巻取方向へ回転させる
と共に、歯車伝達手段がピニオンの回転を角速度を増速
してベルトドラムへ伝達する。
【0003】また、上記のようなウエビング巻取装置
は、プリテンショナの非作動時にも、ウエビングの遊び
が小さくなるようにウエビング巻取軸を常に巻取方向へ
付勢するが、ウエビングにより乗員へ強い圧迫感を与え
ることを避けるために、巻取軸によるウエビングへの巻
取力をあまり大きくすることができない。この結果、ウ
エビングには若干の遊びができることがあり、この遊び
の大小に応じて車両衝突等の緊急時にウエビングを緊張
状態とするまでの巻取量が変化する。このことから、従
来のウエビング巻取装置では、車両衝突等の緊急時にウ
エビングを確実に緊張状態とするために、ウエビングの
遊びが略最大になっている状態を想定してプリテンショ
ナにより巻き取ることができるウエビングの巻取量が大
きく設定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなウエビン
グ巻取装置において、プリテンショナによるウエビング
の巻取量を大きくするためには、ピストン駆動装置によ
るラックの移動ストロークを長くするか、ラックの移動
量に対するベルトドラムの回転量が大きくなるように歯
車伝達手段による増速比を大きくする必要がある。しか
し、ピストン駆動機構によるラックの移動ストロークを
長くすると、ピストン駆動装置及びラックが長尺となっ
て装置が大型化し、また歯車伝達手段の増速比を大きく
するには、歯車伝達手段を構成するギヤを多段化する必
要があるため装置が大型化する。
【0005】本発明の目的は、上記の事実を考慮し、ウ
エビングの遊びが大きい場合でも、プリテンショナ作動
時にウエビングを確実に緊張状態とするまで巻取軸へ巻
き取ることができる小型のウエビング巻取装置を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のウエビン
グ巻取装置は、車両の緊急減速時に乗員拘束用ウエビン
グを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナを有する
ウエビング巻取装置であって、前記ウエビングの一端が
固着された巻取軸と、ピニオンと、前記ピニオンへ噛み
合い前記プリテンショナ作動時にピニオンを一方向へ回
転させる駆動ギヤと、前記駆動ギヤによる前記ピニオン
の回転時に、前記ピニオンを前記巻取軸へ連結してピニ
オンからのトルクにより巻取軸をウエビング巻取方向へ
回転させ、前記駆動ギヤにより回転されていた前記ピニ
オンの停止時に、前記巻取軸を前記ピニオンから切り離
して該巻取軸の前記ウエビング巻取方向への慣性力によ
る回転を可能とするトルク伝達手段と、を有するもので
ある。
【0007】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
駆動ギヤによるピニオンの回転時にはピニオンから伝達
されるトルクにより巻取軸をウエビング巻取方向へ回転
させ、この巻取軸によりウエビングを巻取軸へ巻き取る
ことができ、また駆動ギヤと噛み合ったピニオンの回転
が停止した時に、ウエビングに遊びが残っている場合に
は、巻取軸へ回転負荷として作用するウエビングの張力
が小さくなって巻取軸が慣性力によりウエビング巻取方
向へ回転するので、ウエビングを緊張状態とする前にピ
ニオンの回転が停止し、かつ駆動ギヤによりピニオンの
回転が拘束されていても、巻取軸の慣性力に釣り合う張
力がウエビングに発生するまで巻取軸がウエビング巻取
方向へ回転する。
【0008】従って、駆動ギヤの停止時に巻取軸に生じ
る慣性力を十分大きくすれば、ウエビングの遊びが大き
くても、乗員へ装着されたウエビングの遊びが除去され
るまで巻取軸をウエビング巻取方向へ回転させることが
できる。
【0009】ここで、巻取軸の慣性力による回転とは、
巻取軸へ作用する慣性力によって生じる巻取軸の回転運
動であり、巻取軸へ作用する慣性力には、巻取軸自体の
質量に基づく慣性力に加えて、巻取軸と連動して回転す
るギヤ、従動側回転部材等の質量に基づく慣性力が含ま
れる。
【0010】請求項2記載のウエビング巻取装置は、請
求項1記載のウエビング巻取装置において、前記トルク
伝達手段は、前記ピニオンと連動して回転する駆動側回
転部材と、前記駆動側回転部材における軸心回りに設け
られた押圧部と、前記駆動側回転部材と同軸的に配置さ
れ、前記巻取軸と連動して回転する従動側回転部材と、
前記従動側回転部材における軸心回りに設けられ、前記
駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記押圧部に
より押圧されて前記従動側回転部材を前記駆動側回転部
材と一体的に回転させ、前記駆動ギヤにより回転されて
いた前記ピニオンが停止すると、前記押圧部から離間し
て前記従動側回転部材を前記ウエビング巻取方向と対応
する方向へ回転可能とする被押圧部と、を有するもので
ある。
【0011】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
駆動ギヤによるピニオンの回転時に、被押圧部が押圧部
により押圧されて従動側回転部材を駆動側回転部材と一
体的に回転させ、駆動ギヤにより回転されていたピニオ
ンが停止すると、被押圧部が押圧部から離間して従動側
回転部材をウエビング巻取方向と対応する方向へ回転可
能とすることにより、駆動ギヤによるピニオンの回転時
には、ピニオンからのトルクが巻取軸へ伝達されるよう
にピニオンと巻取軸とを連結することができ、また駆動
ギヤにより回転していたピニオンが停止した時には、駆
動ギヤによりピニオンの回転が拘束されていても、巻取
軸が慣性力によりウエビング巻取方向へ回転可能とな
る。
【0012】ここで、駆動側回転部材は、ピニオンと同
軸上に固定されてピニオンと一体的に回転するもので
も、ピニオンと一体に形成されたものでも、あるいはピ
ニオンからのトルクがギヤ等により伝達されて回転する
ものでもよい。また従動側回転部材も、巻取軸と同軸上
に固定されてピニオンと一体的に回転するものでも、巻
取軸と一体に形成されたものでも、あるいは巻取軸から
のトルクがギヤ等により伝達されて回転するものでもよ
い。尚、この駆動側回転部材及び従動側回転部材の定義
ついては他の請求項3〜7でも同様である。
【0013】請求項3記載のウエビング巻取装置は、請
求項1記載のウエビング巻取装置において、前記トルク
伝達手段は、前記ピニオンと連動して回転する駆動側回
転部材と、前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前
記巻取軸と連動して回転する従動側回転部材と、前記駆
動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか一方へ同
軸的に設けられた雌ねじ穴と、前記駆動側回転部材及び
前記従動側回転部材の何れか他方へ同軸的に設けられる
と共に前記雌ねじ穴へねじ込まれ、前記駆動ギヤによる
前記ピニオンの回転時に、前記雌ねじ穴へのねじ込み抵
抗により前記従動側回転部材と前記駆動側回転部材とを
同軸上へ固定し、前記駆動ギヤにより回転されていた前
記ピニオンが停止すると、前記雌ねじ穴から抜け出す方
向へ回転して前記従動側回転部材を前記ウエビング巻取
方向と対応する方向へ回転可能とする雄ねじ部と、を有
するものである。
【0014】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
駆動ギヤによるピニオンの回転時に、雄ねじ部が雌ねじ
穴へのねじ込み抵抗により従動側回転部材と駆動側回転
部材とを同軸上へ固定し、駆動ギヤにより回転されてい
たピニオンが停止すると、雄ねじ部が雌ねじ穴から抜け
出す方向へ回転して従動側回転部材をウエビング巻取方
向と対応する方向へ回転可能とすることにより、駆動ギ
ヤによるピニオンの回転時には、ピニオンからのトルク
が巻取軸へ伝達されるようにピニオンと巻取軸とを連結
することができ、また駆動ギヤにより回転していたピニ
オンが停止した時には、駆動ギヤによりピニオンの回転
が拘束されていても、巻取軸が慣性力によりウエビング
巻取方向へ回転可能となる。
【0015】請求項4記載のウエビング巻取装置は、請
求項3記載のウエビング巻取装置において、前記駆動側
回転部材及び前記従動側回転部材の何れか一方の軸心回
りに設けられた第1の爪部と、前記駆動側回転部材及び
前記従動側回転部材の何れか他方の軸心回りに設けら
れ、前記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記
爪部へ当たって前記雄ねじ部の前記雌ねじ穴へのねじ込
み深さを制限する第2の爪部と、を有するものである。
【0016】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
第1の爪部及び第2の爪部により雄ねじ部の雌ねじ穴へ
のねじ込み深さが制限されることにより、ピニオン回転
時に雄ねじ部が雌ねじ穴へ完全にねじ込まれることを防
止できるので、雄ねじ部の雌ねじ穴に対する締め付けト
ルクが過大になることを防止できる。この結果、ピニオ
ン停止時に雄ねじ部が低トルクで雌ねじ穴から抜け出す
方向へ回転可能となるので、従動側回転部材をウエビン
グ巻取方向と対応する方向へ回転開始させる時の初期回
転抵抗を抑制できる。
【0017】請求項5記載のウエビング巻取装置は、請
求項1記載のウエビング巻取装置において、前記トルク
伝達手段は、前記ピニオンと連動して回転する駆動側回
転部材と、前記駆動側回転部材と同軸上へ固定され、前
記巻取軸と連動して回転する従動側回転部材と、前記駆
動側回転部材と前記従動側回転部材との間へ介在し、前
記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記駆動側
回転部材と前記従動側回転部材とを同軸上へ固定し、前
記駆動ギヤにより回転されていた前記ピニオンが停止す
ると、前記従動側回転部材を前記駆動側回転部材から切
り離すワンウェイクラッチと、を有するものである。
【0018】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
ワンウェイクラッチが、駆動ギヤによる前記ピニオンの
回転時に駆動側回転部材と従動側回転部材とを同軸上へ
固定し、駆動ギヤにより回転されていた前記ピニオンが
停止すると、従動側回転部材を駆動側回転部材から切り
離してウエビング巻取方向と対応する方向へ回転可能と
することにより、駆動ギヤによるピニオンの回転時に
は、ピニオンからのトルクが巻取軸へ伝達されるように
ピニオンと巻取軸とを連結することができ、また駆動ギ
ヤにより回転していたピニオンが停止した時には、駆動
ギヤによりピニオンの回転が拘束されていても、巻取軸
が慣性力によりウエビング巻取方向へ回転可能となる。
【0019】請求項6記載のウエビング巻取装置は、請
求項1記載のウエビング巻取装置において、前記トルク
伝達手段は、前記ピニオンと連動して回転する駆動側回
転部材と、前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前
記巻取軸と連動して回転する従動側回転部材と、前記駆
動側回転部材及び前記従動側回転部材の軸心に沿って移
動可能に配置されると共に軸心回りに回転連結部が設け
られ、前記駆動ギヤにより前記ピニオンが回転開始して
から停止直前までは、前記回転連結部を前記駆動側回転
部材及び前記従動側回転部材の双方へ係合させて従動側
回転部材と駆動側回転部材とを同軸上へ固定し、前記駆
動ギヤにより回転されていた前記ピニオンの停止時に、
前記回転連結部を軸心に沿って前記駆動側回転部材及び
前記従動側回転部材の少なくとも一方から離脱する位置
へ移動させて従動側回転部材を駆動側回転部材から切り
離す連結軸と、を有するもである。
【0020】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
駆動ギヤによりピニオンが回転開始してから停止直前ま
では、連結軸が回転連結部を駆動側回転部材及び従動側
回転部材の双方へ係合させて従動側回転部材と駆動側回
転部材とを同軸上へ固定し、ピニオンの停止直前に回転
連結部を駆動側回転部材及び従動側回転部材の少なくと
も一方から離脱させる位置へ移動させて従動側回転部材
を駆動側回転部材から切り離すことにより、駆動ギヤに
よりピニオンが回転開始してから停止直前までは、ピニ
オンからのトルクが巻取軸へ伝達されるようにピニオン
と巻取軸とを連結することができ、またピニオンが停止
する直前のタイミングで巻取軸が慣性力によりウエビン
グ巻取方向へ回転可能となる。
【0021】請求項7記載のウエビング巻取装置は、請
求項1記載のウエビング巻取装置において、前記トルク
伝達手段は、前記ピニオンと連動して回転する駆動側回
転部材と、前記駆動側回転部材の軸心回り設けられた係
止部と、前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記
巻取軸と連動して回転する従動側回転部材と、前記従動
側回転部材へ同軸的に設けられた係止軸と、前記係止軸
へ一端が固着されて該係止軸の外周面へ複数回巻き付け
られると共に前記係止部へ他端が固着され、前記駆動ギ
ヤによる前記ピニオンの回転時に、前記係止軸と前記係
止部との間へ張り渡されて前記従動側回転部材を前記駆
動側回転部材とを一体的に回転させ、前記駆動ギヤによ
り回転されていた前記ピニオンが停止すると、前記係止
軸への巻き付きを緩めて前記従動側回転部材を前記ウエ
ビング巻取方向と対応する方向へ回転可能とする長尺の
トルク伝達部材と、を有するものである。
【0022】上記構成のウエビング巻取装置によれば、
従動側回転部材の係止軸へ一端が固着されて該係止軸の
外周面へ複数回巻き付けられると共に係止部へ他端が固
着された長尺のトルク伝達部材が、駆動ギヤによる前記
ピニオンの回転時に、係止軸と係止部との間へ張り渡さ
れて従動側回転部材を駆動側回転部材と一体的に回転さ
せ、駆動ギヤにより回転されていた前記ピニオンが停止
すると、係止軸への巻き付きを緩めて前記従動側回転部
材を前記ウエビング巻取方向と対応する方向へ回転可能
とすることにより、駆動ギヤによるピニオンの回転時に
は、ピニオンからのトルクが巻取軸へ伝達されるように
ピニオンと巻取軸とを連結することができ、また駆動ギ
ヤにより回転していたピニオンが停止した時には、駆動
ギヤによりピニオンの回転が拘束されていても、巻取軸
が慣性力によりウエビング巻取方向へ回転可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0024】(第1の実施形態の構成)図1から図3に
は本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取装置1
0が示されている。図1に示されるようにウエビング巻
取装置10は車両へ固定されるフレーム11を備えてい
る。このフレーム11は、車両へ締結するボルト等を挿
通させる貫通穴12Aが形成されたプレート12と、こ
のプレート12の両側から直角に屈曲され互いに平行と
された一対の側板13,14からなる。フレーム11は
側板13,14により巻取軸であるスプール15を回転
可能に支持しており、スプール15には乗員拘束用ウエ
ビング16の一端が止着されている。一方の側板14に
はスプール15の回転中心である軸心Aを中心として円
形開口17が形成されており、この円形開口17へ面し
てスプール15の一側面には軸心Aを中心として円形凹
状の嵌挿穴18が形成されている。
【0025】フレーム11には、一方の側板14の外側
にワンウェイクラッチ19が配置される。このワンウェ
イクラッチ19は、図1に示されるようにトルク伝達軸
20の一部を構成した内輪部25、円柱状のコロ21、
保持板22及びロータ23を備えている。トルク伝達軸
20はそれぞれ外径が異なる円柱状に形成されたスプラ
イン軸部24及び内輪部25からなり、小径のスプライ
ン軸部24及び大径の内輪部25は互いに同軸的に、か
つ一体的に設けられている。スプライン軸部24の外周
面には軸心Aと平行な方向へ延在するスプライン歯24
Aが周方向へ所定のピッチ毎に形成されており、一方、
嵌挿穴18の内周面にはスプライン軸部24のスプライ
ン歯24Aの形状と対応する形状のスプライン溝18A
がスプライン歯24Aと等しいピッチで形成されてい
る。これにより、スプライン軸部24が嵌挿穴18内へ
挿入されてスプライン歯24Aとスプライン溝18Aと
が噛み合うと、トルク伝達軸20はスプール15の軸心
A上へ支持されると共にスプール15と一体となって回
転するようにスプール15へ連結される。またトルク伝
達軸20には、軸方向Sにおける外側の側面に軸心Aに
沿ってねじ穴20Aが形成されている。
【0026】ワンウェイクラッチ19の保持板22は薄
肉円板状に形成され、その外径寸法が側板14の円形開
口17の内径より僅かに小径とされている。保持板22
には、中心部にトルク伝達軸20の内輪部25の外径よ
り僅かに大径とされた円形の開口部22Aが形成される
と共に、この開口部22Aの内周面から半径方向外側へ
U字状に切り欠かれた3個のコロ保持部22Bが形成さ
れている。コロ保持部22Bはコロ21の直径より僅か
に幅広に形成されており、軸心Aを中心とする周方向に
おいて互いに等間隔(120°間隔)となるように設け
られている。
【0027】保持板22は開口部22Aを内輪部25の
外周面へ嵌挿し、側板14の円形開口17を通してスプ
ール15の側面上へ載置される。これにより、保持板2
2は半径方向へは内輪部25の外周面と円形開口17の
内周面との間へ形成されるリング状の凹部内へ保持さ
れ、スプール15の軸心Aと同軸上ヘ位置決めされる。
【0028】3個のコロ21は、それぞれ中心軸が軸心
Aと平行とされ、保持板22のコロ保持部22Bを通し
てスプール15の側面上へ設置される。これにより、3
個のコロ21はそれぞれコロ保持部22Bにより周方向
へ等間隔となるように位置決めされ、軸心Aを中心とし
て保持板22が回転すると、等間隔を保ってスプール2
0の側面上を周方向へ摺動する。
【0029】ロータ23はワンウェイクラッチ19の外
輪として構成されており、図1に示されるように内輪部
25の軸方向Sにおける高さより肉厚の円板状に形成さ
れている。ロータ23内には内輪収納室23A及び、こ
の内輪収納室23Aへ連通した3個のコロ収納室23B
がそれぞれ形成され、これらの内輪収納室23A及びコ
ロ収納室23Bはロータ23のスプール15側の側面へ
開口している。ここで、内輪収納室23Aはロータ23
の内部に内輪部25と対応する円柱形状の空間を形成し
ており、コロ収納室23Bは内輪収納室23Aの内周面
から外側へ延出する空間を形成し、軸心Aを中心とする
周方向へ互いに等間隔(120°間隔)になるように設
けられている。このコロ収納室23Bは、図2に示され
るように軸心Aを中心とする螺旋方向へ長い略長円状に
形成されており、コロ収納室23Bの螺旋方向における
外側の端部と内輪収納室23Aとの間には内輪挿入室2
3Aの内周面に沿って隔壁状の係止突起23Cが突出し
ている。ここで、コロ収納室23Bは、軸方向から見て
内輪収納室23Aへ収納された内輪部25の外周面との
間に螺旋方向の内側へ向かって除々に幅が狭くなるよう
な略くさび状の空間を形成する。
【0030】またロータ23には、図1に示されるよう
に軸心Aを略中心として外側の側面から内輪収納室23
Aへ連通する挿通穴23Dが形成されている。この挿通
穴23Dの内周面は、図4及び図5に示されるように軸
心Aを中心として一定の曲率半径となるように湾曲した
曲面部23Eと、この曲面部23Eに対して軸心Aの方
向へ突出した被押圧部26とからなり、この被押圧部2
6には、周方向における一端部に軸心Aに対する半径方
向と略平行の平面からなる被押圧面26Aが形成されて
いる。
【0031】ロータ23は保持板22を介してスプール
15の側面上へ設置され、内輪収納室23A内へトルク
伝達軸20の内輪部25を収納すると共に、3個のコロ
収納室23B内へそれぞれコロ21を収納する。側板1
4には、図1に示されるようにスプール15の側面上へ
設置されたロータ23の外周面を囲むように湾曲した一
対のガイド板27,28が設けられている。これらのガ
イド板27,28の内周面は、軸心Aを中心としてロー
タ23の外周面より僅かに大きい曲率半径で湾曲してい
る。これにより、ロータ23は半径方向への移動が制限
され、スプール15の軸心Aと同軸上へ位置決めされ
る。
【0032】図1に示されるように、ロータ23におけ
る挿通穴23Dが開口する側面上にはピニオン29が配
置され、ロータ23の挿通穴23D内にはピニオン29
と一体的に、かつ同軸的に設けられた駆動側回転部材3
0が挿通する。ピニオン29及び駆動側回転部材30に
は軸心Aに沿って円形の中心穴31が貫通しており、こ
の中心穴31には連結部材32が挿通する。
【0033】連結部材32は、図1に示されるように丸
棒状の軸部32Aと、この軸部32Aの先端部に設けら
れた雄ねじ部32Bと、軸部32Aの後端部へ支持され
た頭部32Cとからなり、頭部32Cは軸部32Aによ
り回転可能に支持されており、ピニオン29及び駆動側
回転部材30の回転抵抗を抑制するためのスラスト軸受
とされている。
【0034】連結部材32は、軸部32Aをピニオン2
9及び駆動側回転部材30の中心穴31へ挿通させると
共に、雄ねじ部32Bをトルク伝達軸20のねじ穴20
Aへねじ込む。これにより、連結部材32は、ピニオン
29及び駆動側回転部材30を軸方向Sにおいてトルク
伝達軸20へ固定すると共に、ピニオン29及び駆動側
回転部材30をスプール20の軸心Aと同軸上へ回転可
能に支持する。従って、ピニオン29及び駆動側回転部
材30はスプール15に対する相対回転が可能なる。
【0035】駆動側回転部材30の外周面は、図4及び
図5に示されるように軸心Aを中心として一定の曲率半
径となるように湾曲した曲面部30Aと、この曲面部3
0Aから半径方向外側へ突出した押圧部33からなり、
この押圧部33は、被押圧部26の被押圧面26Aとの
対向する一端部に半径方向と略平行な平面からなる押圧
面33Aが形成されている。
【0036】ここで、挿通穴23Dは、曲面部23Eの
内径が駆動側回転部材30の押圧部33の最大外径より
大きくされ、かつ被押圧部26の最小内径が駆動側回転
部材30の押圧部33の最大外径より小さくされてい
る。これにより、駆動側回転部材30は、被押圧部26
と押圧部33とが当接しない範囲で、ロータ23に対し
て相対的に回転することが可能となる。具体的には、駆
動側回転部材30は、図4に示されるように被押圧部2
6の一端部に形成された被押圧面26Aと押圧部33の
一端部に形成された押圧面33Aとが当接する位置か
ら、図5に示されるように被押圧部26の他端部と押圧
部33の他端部とが当接する位置までロータ23に対し
て時計方向へ略3/4回転に亘って回転可能となる。
【0037】上記のように構成されたウエビング巻取装
置10は、ワンウェイクラッチ19がスプール15への
トルク伝達を行わない状態、即ち、スプール15がピニ
オン29から切り離されたオフ状態とされて車両へ組み
付けられる。このオフ状態では、図2に示されるように
コロ21がロータ23のコロ収納室23Bの外側の端部
内へ保持されるように保持板22とロータ23との相対
位置が調整される。このとき、コロ収納室23Bの係止
突起23Cはコロ21を係止して内輪部25の外周面か
ら離間させる位置へ保持する。これにより、トルク伝達
軸20はロータ26との間でトルク伝達が行われない状
態となるので、スプール15はピニオン29が回転でき
ないように拘束されていても、ウエビング16に対する
巻取方向W及び繰出方向Rへの双方向回転が可能にな
る。
【0038】一方、フレーム11には、図2に示される
ように側板14の外側面上にピニオン29へ噛み合うラ
ック34と、このラック34を直線的に移動可能に支持
したピストン駆動装置35とが配置されている。ピスト
ン駆動装置35はラック34をピニオン29のピッチ円
C へ接するピッチ線PL に沿って移動可能に支持して
いる。ピストン駆動装置35は、ガス発生器36、この
ガス発生器36が発生した高圧ガスが導入されるピスト
ンシリンダ37及び、このピストンシリンダ37内へ配
置されたピストン38を備えている。ピストン38はピ
ストンシリンダ37の内壁に沿って摺動可能に支持さ
れ、ピストンシリンダ37と共に外部から密閉された可
変容積の気室を形成している。このピストン38には気
室とは逆側の大気開放側の面にラック34の後端面が固
着されている。ピストン駆動装置35がフレーム11へ
組み付けられる時には、ピストン38は図2に示される
ようにピストンシリンダ37内へ形成される内部気室の
容積が最小となる位置へ保持されている。
【0039】またウエビング巻取装置10が車両へ組み
付けられる時には、ロータ23は、ガイド板27を貫通
し、先端部をロータ23の外周面に設けられた仮止穴2
3Fへ嵌挿した樹脂製の剪断ピン39(図1参照)によ
り回転方向へ仮り止めされており、ピニオン29及び駆
動側回転部材30は、図4に示されるように押圧部33
の押圧面33Aが被押圧部26の被押圧面26Aへ当接
するようにロータ23に対して位置決めされる。このと
き、ラック34は始端歯34Aの先端側歯面をピッチ線
L 上にあるピニオン29の1枚の歯へ当接させ、ピニ
オン29を押圧面33Aと被押圧面26Aが当接する初
期位置へ保持する。
【0040】尚、本実施形態のウエビング巻取装置10
において、ピニオン29からスプール15へトルク伝達
を行い、かつピストン駆動装置35の作動停止時にスプ
ール15の巻取方向Wへ慣性回転を可能とするトルク伝
達機構は、連結部材32、ピニオン29と一体的に設け
られた駆動側回転部材30、ワンウェイクラッチ19、
トクル伝達軸25の一部を構成したスプライン軸部2
4、側板14に設けられた円形開口17及びガイド板2
7,28並びにスプール15の側面に設けられた嵌挿部
18により構成されている。また従動側回転部材はロー
タ23により構成されている。
【0041】(第1の実施形態の作用)次に、上記のよ
うに構成された本実施形態に係るウエビング巻取装置1
0の動作及び作用を説明する。ピストン駆動装置35の
ガス発生器36は着火電源(図示省略)へ配線されてお
り、この着火電源は加速度センサを含む緊急減速検出用
のセンサ(図示省略)が衝突等による車両の緊急減速を
検出すると作動して着火電流をガス発生器36へ供給す
る。この着火電流が供給されたガス発生器36は高圧ガ
スを発生してピストンシリンダ37内へ供給する。この
高圧ガスによりピストン38はピストンシリンダ37内
の気室を容積膨脹させる方向へ摺動し、ピニオン29の
歯29Aへ始端歯34Aを当接させたラック34をピッ
チ線PL に沿って直線移動させる。
【0042】ピストン駆動装置35により直線移動する
ラック34の始端歯34Aがピニオン29の歯を加圧す
ると、ピニオン29はラック34からの加圧力を回転力
へ変換する。ピニオン29からの回転力は、被押圧部2
6へ当接した駆動側回転部材30の押圧部33により従
動側回転部材であるロータ23へ伝達される。この回転
力によりロータ23を仮り止めしていた剪断ピン39が
剪断されてピニオン29、駆動側回転部材30及びロー
タ23が巻取方向Wへ一体的に回転開始する。このと
き、ロータ23は保持板22に対しても巻取方向Wへ相
対回転する。これにより、コロ収納室23B内における
コロ21は、図2に示されるように係止突起23Cによ
り係止された位置(オフ位置)から、図3に示されるよ
うに内輪部25の外周面とコロ収納室23Bの内周面と
により加圧状態で挟持されるオン位置まで移動する。
【0043】コロ21がオン位置まで移動すると、ロー
タ23が回転方向においてトルク伝達軸20へ連結さ
れ、ワンウェイクラッチ19はピニオン29からスプー
ル15へトルク伝達可能となるオン状態となる。そし
て、ラック34からの加圧力によりピニオン29が回転
している時には、駆動側回転部材30の押圧部33はロ
ータ23の被押圧部26へ押圧した状態に保持され、こ
の押圧部33及び被押圧部26を介してピニオン29か
らのトルクがスプール15へ伝達される。またピストン
38がピストンシリンダ37の移動ストロークの終端ま
で移動すると、図3に示されるようにラック34はピニ
オン29へ噛み合った状態で停止する。これにより、ピ
ニオン29及び駆動側回転部材30はラック34により
拘束されて回転できない状態となる。一方、ロータ23
は、ラック34により回転していたピニオン29が停止
し、ラック34によりピニオン29の回転が拘束されて
いても、被押圧部26を押圧部33から離間させること
によりスプール15と共に巻取方向Wへ回転可能とな
る。
【0044】本実施形態のウエビング巻取装置10で
は、プリテンショナが作動し、即ちピストン駆動装置3
5が作動してワンウェイクラッチ19がオン状態となる
と、ピニオン29からのスプール15へ巻取方向Wのト
ルクが伝達される。従って、乗員へ装着されたウエビン
グ16に遊びがある場合には、ピニオン29から伝達さ
れるトルクによりスプール15が巻取方向Wへ高速で回
転し、スプール15によりウエビング16が巻き取られ
ていく。このとき、ウエビング16の遊びが僅かな量で
ある場合には、ピストン駆動装置35は、ウエビング1
6の遊びが除去されるまでスプール15を巻取方向Wへ
回転させ、ピストン38が移動ストロークの終端への移
動途中でも、ウエビング16へピストンシリンダ37内
のガス圧力と釣り合う張力を発生させた時点でピストン
38を停止させる。
【0045】一方、ラック34により回転していたピニ
オン29が回転停止した時には、スプール15にはスプ
ール15の質量に基づく慣性力に加えて、このスプール
15と一体的に回転するトルク伝達軸20、3個のコロ
21、保持板22及びロータ23の質量に基づく慣性力
が巻取方向Wへの回転力として作用する。これにより、
ピニオン29の回転停止時にウエビング16に遊びが残
っている場合には、スプール15へ回転負荷として作用
するウエビング16の張力が小さく、かつ高速回転して
いたスプール15へは大きな慣性力が作用することか
ら、スプール15は、慣性力により巻取方向Wへの回転
を継続させ、スプール15の慣性力に釣り合う張力がウ
エビング16に発生すると回転停止する。従って、ピス
トン駆動装置35が作動する直前のウエビング16の遊
びが大きくても、ウエビング16の遊びが確実に除去さ
れるまでスプール15を巻取方向Wへ回転させることが
可能になる。
【0046】具体的には、本実施形態のウエビング巻取
装置10では、ラック34により回転するピニオン29
から伝達されるトルクによりスプール15が略1回転に
亘って巻取方向Wへ回転可能となり、ピニオン29の回
転が停止してから慣性力によりスプール15が略3/4
回転に亘って更に巻取方向Wへ回転可能となっている。
従って、ピニオン29から伝達されるトルクのみにより
スプール15を巻取方向Wへ回転させる場合と比較し、
スプール15によるウエビング16の巻取量を大幅に増
加できる。
【0047】(第2の実施形態の構成)図6から図8に
は本発明の第2の実施形態に係るウエビング巻取装置に
おけるトルク伝達機構50が示されている。尚、以下の
第2実施形態に係る記載では、第1実施形態に係る部材
と基本的に構成及び機能が共通の部材については同一符
号を付して説明を省略する。また第1実施形態のウエビ
ング巻取装置10と共通化された部材については、必要
に応じて図2及び図3を参照して説明を行う。
【0048】フレーム11により回転可能に支持される
スプール15には、図6に示されるように側板14(図
7参照)側の一側面に連結軸52が軸心Aと同軸的に設
けられている。連結軸52はスプール15の側面から軸
方向Sへ突出しており、スプール15側に配置された雄
ねじ部53と、この雄ねじ部53の側面から突出する丸
棒状の支軸部54とからなる。雄ねじ部53の外周面に
は、左ねじ方向のねじ溝が形成されている。支軸部54
は雄ねじ部53に対して小径とされており、雄ねじ部5
4と一体的に設けられている。また支軸部54の先端部
には小径の雄ねじ部55が設けられている。
【0049】スプール15の一側面には、図6に示され
るように雄ねじ部53の外周面へ接し、かつスプール1
5の側面から軸方向Sへ突出するように爪部56が設け
られている。この爪部56には、雄ねじ部53に対する
ねじ込み方向へ対向する端部に軸心Aに対する半径方向
と略平行な平面からなる当接面56Aが形成されてい
る。
【0050】フレーム11には、側板14の外側にワン
ウェイクラッチ57が配置されている。このワンウェイ
クラッチ57は、駆動側回転部材58の一部を構成した
内輪部61、コロ21、保持板22及びロータ23を備
えている。ロータ23には、軸方向Sにおける外側の側
面にピニオン29が一体的に、かつ同軸的に設けられて
いる。このピニオン29には、図7及び図8に示される
ように軸心Aに沿って中心穴60が貫通しており、中心
穴60はロータ23内の内輪収納室23Aへ連通してい
る。駆動側回転部材58は、円柱形状の内輪部61と、
この内輪部61より小径の円柱形状とされた嵌挿部62
とからなり、内輪部61と嵌挿部62とは同軸的に設け
られている。
【0051】駆動側回転部材58には、図6に示される
ように嵌挿部62側の側面に軸心Aと同軸的に雌ねじ穴
63が設けられている。この雌ねじ穴63の内周面に
は、連結軸52の大径の雄ねじ部53のねじ溝に対応す
るねじ溝が形成されており、雌ねじ穴63の深さは雄ね
じ部53の軸長より僅かに長くされている。駆動側回転
部材58の嵌挿部62側の側面には、雌ねじ穴63の周
縁部から突出するように爪部64が設けられている。こ
の爪部64には、雄ねじ部53に対するねじ込み方向側
の端部にスプール15の爪部56の当接面56Aと対応
する形状の当接面64Aが形成されている。また駆動側
回転部材58には内輪部61側の側面に軸心Aに沿って
雌ねじ穴63より小径の中心穴65が形成されており、
この中心穴65は雌ねじ穴63内へ連通している。
【0052】図7にはウエビング巻取装置におけるトル
ク伝達機構50の車両への組付時の状態、即ちプリテン
ショナ作動前の状態が示され、また図8には車両へ組み
付けられたウエビング巻取装置におけるトルク伝達機構
50のプリテンショナ作動後の状態が示されている。フ
レーム11の側板14には、図7及び図8に示されるよ
うにスプール15の軸心Aと中心として円形開口66が
形成されている。この円形開口66の内径は、駆動側回
転部材58の嵌挿部62の外径より大きく、かつ内輪部
61の外径より僅かに小さく形成されている。フレーム
11により支持されたスプール15は、円形開口66を
通して連結軸52をフレーム11の外部へ突出させてい
る。
【0053】駆動側回転部材58は、中心穴65へ連結
軸52の支軸部54を挿通させ、雌ねじ穴63を連結軸
52の雄ねじ部55へねじ込み、スプール15へ連結さ
れている。駆動側回転部材58をスプール15へ連結す
る際に、雌ねじ穴63を連結軸52の雄ねじ部55へね
じ込んでいくと、雌ねじ穴63が雄ねじ部55へ完全に
ねじ込まれる前に、図7に示されるように駆動側回転部
材58の爪部64の当接面64Aがスプール15の爪部
56の当接面56Aへ当接する。これにより、駆動側回
転部材58の雌ねじ穴63が連結軸52の雄ねじ部53
へ完全にねじ込まれることが阻止される。駆動側回転部
材58は、一対の爪部56,63が互いに当接するまで
雌ねじ穴63が雄ねじ部53へねじ込まれると、嵌挿部
62を側板14の円形開口66内へ挿入する。
【0054】保持板22は開口部22Aを連結軸52の
内輪部61の外周面へ嵌挿し、側板14の側面上へ設置
される。3個のコロ21は、保持板22のコロ保持部2
2Bを通して側板14の側面上へ設置される。ロータ2
3及びピニオン29は、中心穴60を連結軸52の支軸
部54へ嵌挿し、保持板22を介して側板14の側面上
へ設置される。これにより、ロータ23及びピニオン2
9はスプール15の軸心Aと同軸上へ回転可能に支持さ
れる。また側板14上へ設置されたロータ23は、図7
及び図8に示されるように内輪収納室23A内へ内輪部
61を収納すると共に、3個のコロ収納室23B内へそ
れぞれコロ21を収納する。
【0055】フレーム11の側板には、図7及び図8に
示されるように側板14上へ設置されたた保持板22の
外周面を囲むように湾曲したガイド板69が設けられて
いる。このガイド板69の内周面は、軸心Aを中心とし
て保持板22の外周面より僅かに大きい曲率半径で湾曲
している。これにより、保持板22は半径方向への移動
が制限され、スプール15の軸心Aと同軸上へ位置決め
される。
【0056】またロータ23及びピニオン51の中心穴
60へ挿入された連結軸52の支軸部54は、その先端
部に設けられた雄ねじ部55をピニオン29から突出さ
せる。この雄ねじ部55には、図7及び図8に示される
ようにリング状の滑り軸受67が嵌挿され、この滑り軸
受67を介してナット68がねじ込まれる。これによ
り、ロータ23、ピニオン29及び保持板22は軸方向
Sにおいて所定の位置に固定される。
【0057】上記のように構成されたトルク伝達機構5
0を備えたウエビング巻取装置は、ワンウェイクラッチ
57がスプール15へのトルク伝達を行わない状態、即
ち、スプール15がピニオン29から切り離されたオフ
状態とされて車両へ組み付けられる。このオフ状態で
は、図7に示されるようにコロ21がロータ23のコロ
収納室23Bの外側の端部内へ保持されるように保持板
22とロータ23との相対位置が調整される。このと
き、コロ収納室23Bの係止突起23Cはコロ21を係
止して内輪部61の外周面から離間させる位置へ保持す
る。これにより、連結軸52とロータ26との間ではト
ルク伝達が行われない状態となるので、スプール15は
ピニオン29が回転できないように拘束されていても、
ウエビングに対する巻取方向W及び繰出方向Rへの双方
向回転が可能になる。
【0058】またウエビング巻取装置が車両へ組み付け
られる時には、ロータ51は、第1の実施形態のウエビ
ング巻取装置10と同様に樹脂製の剪断ピン(図示省
略)により回転方向へ仮り止めされており、駆動側回転
部材58は、図7に示されるように爪部64の当接面6
4Aが爪部56の当接面56Aへ当接するようにスプー
ル15に対して位置決めされる。ここで、プリテンショ
ナの非作動時にはスプール15は巻取方向Wへ低速で回
転することから、スプール15と駆動側回転部材58と
は、雄ねじ部56と雌ねじ穴63との間に生じる摩擦力
により常に一体的に回転する。即ち、乗員へ装着された
ウエビング16をウエビング巻取装置内へ巻き取る場合
には、駆動側回転部材58はスプール15と一体となっ
て回転し、スプール15に対して相対回転しない。また
乗員へ装着するためにウエビングをウエビング巻取装置
から引き出す場合には、スプール15の爪部56と駆動
側回転部材58の爪部64とが当接していることから、
駆動側回転部材58はスプール15と一体となって回転
し、スプール15に対して相対回転しない。
【0059】また本実施形態のウエビング巻取装置で
は、爪部56の当接面56Aと爪部64の当接面64A
との軸方向Sにおける接触幅が雄ねじ部53と雌ねじ穴
63とのねじピッチ(1ピッチ)より小さくされてい
る。なお、スプール15と駆動側回転部材58との結合
強度等の理由から、爪部56と爪部64との軸方向Sに
おける接触幅を広くする必要がある場合には、雄ねじ部
56及び雌ねじ穴63のねじを複数条数のねじ、例えば
2条ねじ、3条ねじのとすることも可能である。
【0060】一方、フレーム11には、図2及び図3に
示されるように側板14の外側面上にラック34と、こ
のラック34を直線的に移動可能に支持したピストン駆
動装置35とが配置されている。このピストン駆動装置
35は、フレーム11へ組み付けられる時には、図2に
示されるようにピストン38をピストンシリンダ37内
へ形成される内部気室の容積が最小となる位置へ保持
し、プリテンショナの作動時には、図3に示されるよう
にピストン38をピストンシリンダ37内へ形成される
内部気室の容積が最大となる位置へ直線移動させる。
【0061】尚、本実施形態に係るウエビング巻取装置
では従動側回転部材がスプール15により構成されてい
る。
【0062】(第2の実施形態の作用)次に、上記のよ
うに構成されたトルク伝達機構50を備えた本実施形態
に係るウエビング巻取装置の動作及び作用を説明する。
プリテンショナ作動時に、ピストン駆動装置35により
直線移動するラック34の始端歯34Aがピニオン29
の歯を加圧すると、ピニオン29はラック34からの加
圧力を回転力へ変換する。ピニオン29からの回転力は
ロータ23へ伝達される。この回転力によりロータ23
を仮り止めしていた剪断ピン(図示省略)が剪断されて
ピニオン29及びロータ23が巻取方向Wへ一体的に回
転開始する。このとき、ロータ23は保持板22に対し
て巻取方向Wへ相対回転する。これにより、コロ収納室
23B内におけるコロ21は、図2に示されるように係
止突起23Cにより係止された位置(オフ位置)から、
図3に示されるように内輪部25の外周面とコロ収納室
23Bの内周面とにより加圧状態で挟持されるオン位置
まで移動する。
【0063】コロ21がオン位置まで移動すると、ロー
タ23が回転方向においてトルク伝達軸20へ連結さ
れ、ワンウェイクラッチ57はピニオン29からスプー
ル15へトルク伝達可能となるオン状態となる。このと
き、駆動側回転部材58の爪部64とスプール15の爪
部56とが当接した状態とされているので、駆動側回転
部材58とスプール15とは一体となって巻取方向Wへ
回転する。これにより、スプール15はウエビングを巻
き取っていく。またピストン38がピストンシリンダ3
7の移動ストロークの終端まで移動すると、図3に示さ
れるようにラック34はピニオン29へ噛み合った状態
で停止する。これにより、ピニオン29、ロータ23及
び駆動側回転部材58はラック34により拘束されて回
転できない状態となる。一方、スプール15は、ピニオ
ン29が停止し、ラック34によりピニオン29の回転
が拘束されていても、駆動側回転部材58の雌ねじ穴6
3から雄ねじ部53を抜け出す方向へ回転させると共
に、爪部56を駆動側回転部材58の爪部64から離間
させることにより巻取方向Wへ回転可能となる。
【0064】本実施形態に係るウエビング巻取装置で
は、ピストン駆動装置35が作動してワンウェイクラッ
チ57がオン状態となると、ピニオン29からスプール
15へ巻取方向Wのトルクが伝達される。従って、乗員
へ装着されたウエビングに遊びがあり、ピストン38が
ピストンシリンダ37内をガス圧力により移動している
場合には、ピニオン29からスプール15へ伝達される
トルクによりスプール15が巻取方向Wへ高速で回転
し、スプール15によりウエビングが巻き取られてい
く。従って、ウエビングの遊びが僅かな量である場合に
は、ピストン駆動装置35は、ウエビングの遊びが除去
されるまでスプール15を巻取方向Wへ回転させ、ピス
トン38が移動ストロークの終端への移動途中でも、ウ
エビングへピストンシリンダ37内のガス圧力と釣り合
う張力を発生させた時点でピストン38を停止させる。
【0065】一方、ラック34により回転していたピニ
オン29が回転停止した時には、スプール15にはスプ
ール15の質量に基づく慣性力が巻取方向Wへの回転力
として作用する。これにより、ピニオン29の回転停止
時にウエビングに遊びが残っている場合には、スプール
15へ回転負荷として作用するウエビングの張力が小さ
く、かつ高速回転していたスプール15へ大きな慣性力
が作用することから、スプール15は、雄ねじ部53と
雌ねじ穴63との摩擦抵抗に打ち勝って慣性力により巻
取方向Wへの回転を継続させ、スプール15の慣性力に
釣り合う張力がウエビングに発生すると回転停止する。
従って、ピストン駆動装置35が作動する直前のウエビ
ングの遊びが大きくても、ウエビングの遊びが確実に除
去されるまでスプール15を巻取方向Wへ回転させるこ
とが可能になる。
【0066】具体的には、本実施形態のウエビング巻取
装置では、ラック34により回転するピニオン29から
伝達されるトルクによりスプール15が略1回転に亘っ
て巻取方向Wへ回転可能となり、ピニオン29の回転が
停止してから慣性力によりスプール15が更に巻取方向
Wへ回転可能になっている。従って。ピニオン29から
伝達されるトルクのみスプール15を巻取方向Wへ回転
させる場合と比較し、スプール15によるウエビング1
6の巻取量を大幅に増加できる。
【0067】また本実施形態に係るウエビング巻取装置
によれば、スプール15に設けられた爪部56が駆動側
回転部材58に設けられた爪部64へ当接して雄ねじ部
53の雌ねじ穴63へのねじ込み深さを制限し、雄ねじ
部53が雌ねじ穴63へ完全にねじ込まれることを防止
することにより、雄ねじ部53の雌ねじ穴63に対する
締め付けトルクが過大になることを防止できる。この結
果、ラック34により回転していたピニオン29が停止
した時に、雄ねじ部53を低トルクで雌ねじ穴63から
抜け出す方向へ回転できるので、ウエビングに遊びがあ
る場合に慣性力によりスプール15を確実に巻取方向W
へ回転させることができる。
【0068】(第3の実施形態の構成)図9には本発明
の第3の実施形態に係るウエビング巻取装置におけるト
ルク伝達機構80が示されている。尚、以下の第3実施
形態に係る記載では、第1実施形態に係る部材と基本的
に構成及び機能が共通の部材については同一符号を付し
て説明を省略する。また第1実施形態のウエビング巻取
装置10と共通化された部材については必要に応じて図
2及び図3を参照して説明を行う。
【0069】フレーム11により回転可能に支持される
スプール15には、図9に示されるように側板14側の
一側面に軸心Aを中心として円形凹状の嵌挿部82が設
けられ、この嵌挿部82の内周面には軸心Aと平行に延
在するスプライン溝82Aが周方向へ所定のピッチ毎に
形成されている。スプール15の嵌挿部82には従動側
回転部材83が同軸的に連結される。従動側回転部材8
3は、互いに外径が異なるスプライン軸84と係止軸8
5とからなり、これらのスプライン軸84と係止軸85
とは同軸的に、かつ一体的に設けられている。小径のス
プライン軸84はスプール15の嵌挿部82の内径と対
応する外径を有しており、スプライン軸84には、外周
面に嵌挿部82のスプライン溝82Aと対応する形状の
スプライン歯84Aが周方向へスプライン溝82Aと等
しいピッチで形成されている。一方、大径の係止軸85
には外周面から内周側へ向かって切欠86が形成されて
いる。この切欠86は、外周面から軸心Aへ向かって巻
取方向Wへ所定角度傾いた方向へ切り込まれている。従
動側回転部材83には、係止軸85がわの側面に軸心A
に沿ってねじ穴83Aが形成されている。従動側回転部
材83のスプライン軸84はスプール15の嵌挿部82
内へ挿入される。これにより、従動側回転部材83はス
プール15の軸心Aと同軸上へ固定されて常にスプール
15と一体となって回転する。
【0070】従動側回転部材83の係止軸83には、図
9に示されるように長尺ベルト状のトルク伝達部材87
の一端が固着される。トルク伝達部材87は高い引張応
力に耐え、かつ継続して作用する引張応力下でも伸びが
少ない材料、例えば炭素繊維,ケブラーにより形成さ
れ、外部からの力が作用しない状態では螺旋状に湾曲す
るように予め巻くせが付けられている。またトルク伝達
部材87の素材としては、装置におけるトルク伝達部材
87の収納スペースに余裕があればスチールベルトを用
いることもできる。トルク伝達部材87の中心側の端部
87Aは係止軸85の切欠85Aと対応するように内側
へ折り返されている。トルク伝達部材87の端部87A
は、接着剤が塗布されて係止軸85の切欠85A内へ挿
入され、切欠85A内へ固着される。またトルク伝達部
材87の外周側の端部87Bは外側へ折り返されてい
る。このトルク伝達部材87の端部87Bはピニオン2
9と一体に設けられたロータ88へ固着される。
【0071】ロータ88のスプール15側の側面には、
円形凹状の収納室89が形成されている。この収納室8
9は、従動側回転部材83の係止軸85の軸長より軸方
向Sへ深く形成されており、収納室89の底面には、ト
ルク伝達部材87の外側の端部87Bが固着する係止ピ
ン90が突出している。この係止ピン90は、図10に
示されるように収納室89の内周面から僅かに軸心A側
の位置へ設けられており、その軸直角断面が収納室89
の内周面に沿って長い偏平な長円状に形成されている。
またロータ88と一体に設けられたピニオン29には、
軸心Aに沿って中心穴91が形成されており、この中心
穴91はロータ88の収納室89内へ連通している。
【0072】ロータ88はスプール15の側面上へ設置
され、収納室89内へ従動側回転部材83の係止軸85
及び、この係止軸85へ巻き付けられたトルク伝達部材
87を収納する。このとき、トルク伝達部材87は、図
10に示されるように係止軸85の外周面へ多重に(図
10では4〜5重に)巻き付けられた状態とされてい
る。またトルク伝達部材87の外側の端部87Bは、収
納室89内の係止ピン90の外周面へ巻き付けられ、接
着剤等により係止ピン90へ固着される。
【0073】スプール15の側面上へ載置されたロータ
88及びピニオン29には、連結部部材32によりスプ
ール15の軸心Aと同軸上へ支持される。連結部材32
は、中心穴91の内径より僅かに小径とされた軸部32
Aをピニオン29の中心穴91及びロータ88の収納室
89内を挿通させると共に、軸部32Aの先端に形成さ
れた雄ねじ部32Bを従動側回転部材83のねじ穴83
Aへねじ込み、スプール15へ締結固定される。これに
より、連結部材32は、ピニオン29及びロータ88を
軸方向Sにおいてスプール15の側面上へ固定すると共
に、ピニオン29及び従動側回転部材83をスプール2
0の軸心Aと同軸上へ回転可能に支持する。但し、ロー
タ88は、軸方向Sにおける内側の側面、即ち収納室8
9の周縁部がスプール15の側面へ所定の加圧力で圧接
するように連結部材32により固定されている。これに
より、ロータ88は、プリテンショナの非作動時にはス
プール15と間に生じる摩擦力によりスプール15と一
体となって回転する。
【0074】上記のように構成されたトルク伝達機構8
0を備えたウエビング巻取装置を車両へ組み付けられる
際には、スプール15を回転できないように拘束した状
態とし、ロータ88及びピニオン29へ所定の大きさの
トルクを巻取方向Wへ作用させる。これにより、トルク
伝達部材87に弛みがある場合には、ロータ88及びピ
ニオン29がスプール15に対して巻取方向Wへ相対回
転し、図10に示されるようにトルク伝達部材87は、
係止軸85へ強く巻締められると共に、係止軸85とロ
ータ88の係止ピン90との間へ弛みなく張り渡されて
ロータ88及びピニオン29へのトルクに対応する張力
を発生させる。
【0075】一方、フレーム11には、図2及び図3に
示されるように側板14の外側面上にラック34と、こ
のラック34を直線的に移動可能に支持したピストン駆
動装置35とが配置されている。このピストン駆動装置
35は、フレーム11へ組み付けられる時には、図2に
示されるようにピストン38をピストンシリンダ37内
へ形成される内部気室の容積が最小となる位置へ保持
し、プリテンショナの作動時には、図3に示されるよう
にピストン38をピストンシリンダ37内へ形成される
内部気室の容積が最大となる位置へ直線移動させる。但
し、本実施形態のトルク伝達機構80にはワンウェイク
ラッチが設けられていないことから、ピストン駆動装置
35の作動前には、ラック34の位置が図2に示されて
いる位置とは異なり、ピニオン29から離間した位置へ
保持されているものとする。
【0076】尚、本実施形態に係るウエビング巻取装置
では、駆動側回転部材がロータ88により構成されてい
る。
【0077】(第3の実施形態の作用)次に、上記のよ
うに構成されたトルク伝達機構80を備えた本実施形態
に係るウエビング巻取装置の動作及び作用を説明する。
プリテンショナ作動時に、ピストン駆動装置35により
直線移動するラック34がピニオン29へ当接し、ピニ
オン29の歯を加圧すると、ピニオン29はラック34
からの加圧力を回転力へ変換する。これにより、ピニオ
ン29及びロータ88が巻取方向Wへ回転開始する。こ
のとき、駆動側回転部材であるロータ88と従動側回転
部材83とは、係止軸85とロータ88の係止ピン90
との間へ張り渡されたトルク伝達部材87により巻取方
向Wへトルク伝達が可能となっている。これにより、ロ
ータ88と従動側回転部材83とは巻取方向Wへ一体と
なって回転する。従って、従動側回転部材83と同軸上
へ固定されたスプール15は、ピニオン29と共に巻取
方向Wへ回転する。これにより、スプール15はウエビ
ングを巻き取っていく。またピストン38がピストンシ
リンダ37の移動ストロークの終端まで移動すると、図
3に示されるようにラック34はピニオン29へ噛み合
った状態で停止する。これにより、ピニオン29及びロ
ータ88はラック34により拘束されて回転できない状
態となる。一方、従動側回転部材83及びスプール15
は、ピニオン29が停止し、ラック34によりピニオン
29の回転が拘束されていても、図11に示されるよう
に係止軸85へ巻締められたトルク伝達部材87を緩
め、トルク伝達部材87へ弛みを発生させることにより
巻取方向Wへ回転可能となる。
【0078】本実施形態に係るウエビング巻取装置で
は、ピストン駆動装置35が作動すると、トルク伝達部
材87を介してピニオン29からスプール15へ巻取方
向Wのトルクが伝達される。従って、乗員へ装着された
ウエビング16に遊びがあり、ピストン38がピストン
シリンダ37内をガス圧力により移動している場合に
は、ピニオン29からスプール15へ伝達されるトルク
によりスプール15が巻取方向Wへ高速で回転し、スプ
ール15によりウエビング16が巻き取られていく。従
って、ウエビング16の遊びが僅かな量である場合に
は、ピストン駆動装置35は、ウエビング16の遊びが
除去されるまでスプール15を巻取方向Wへ回転させ、
ピストン38が移動ストロークの終端への移動途中で
も、ウエビングへピストンシリンダ37内のガス圧力と
釣り合う張力を発生させた時点でピストン38を停止さ
せる。
【0079】一方、ラック34により回転していたピニ
オン29が回転停止した時には、スプール15には、ス
プール15及び従動側回転部材83の質量に基づく慣性
力が巻取方向Wへの回転力として作用する。これによ
り、ピニオン29の回転停止時にウエビング16に遊び
が残っている場合には、スプール15へ回転負荷として
作用するウエビング16の張力が小さく、かつ高速回転
していたスプール15へ大きな慣性力が作用することか
ら、スプール15は、ロータ88との摩擦抵抗に打ち勝
って慣性力により巻取方向Wへの回転を継続させ、スプ
ール15への慣性力に釣り合う張力がウエビング16に
発生すると回転停止する。従って、ピストン駆動装置3
5が作動する直前のウエビング16の遊びが大きくて
も、ウエビング16の遊びが確実に除去されるまでスプ
ール15を巻取方向Wへ回転させることが可能になる。
【0080】尚、本実施形態に係るウエビング巻取装置
では、トルク伝達部材87として長尺ベルト状のものを
用いたが、係止軸85へ巻付けることができ、かつ十分
な強度及びスプール15の慣性力による回転を可能とす
る柔軟性を有すれば、ワイヤ状等の他の形状のものもト
ルク伝達部材として用いることができる。
【0081】(第4の実施形態の構成)図12から図1
4には本発明の第4の実施形態に係るウエビング巻取装
置におけるトルク伝達機構70が示されている。尚、以
下の第4実施形態に係る記載では、第1実施形態に係る
部材と基本的に構成及び機能が共通の部材については同
一符号を付して説明を省略する。また第1実施形態のウ
エビング巻取装置10と共通化された部材については、
必要に応じて図2及び図3を参照して説明を行う。
【0082】フレーム11には、図12に示されるよう
に側板14(図13参照)の外側にワンウェイクラッチ
71が配置されている。このワンウェイクラッチ71
は、スプール15と一体に設けられた内輪部72、コロ
21、保持板22及びロータ23を備えている。内輪部
72は、スプール15の側面から突出するように円形凸
状に形成され、スプール15と同軸的に設けれている。
内輪部72には、軸方向Sにおける外側の側面に丸棒状
の支軸73が同軸的に設けら、この支軸73は内輪部7
2の側面から軸方向Sへ突出している。
【0083】ロータ23には軸心Aを中心として連結穴
74が形成され、この連結穴74はロータ23の外側の
側面からロータ23内の内輪収納室23Aへ貫通してい
る。連結穴74は、軸心Aを中心として半径一定の円形
穴の内周面へ1対のキー溝74Aを形成したものであ
り、一対のキー溝74Aは断面が方形とされ、周方向へ
等間隔(180°間隔)で配置されている。ロータ23
上にはピニオン75が同軸的に配置される。このピニオ
ン75には、軸心Aに沿って連結穴76が貫通してい
る。この連結穴76は断面形状がロータ23の連結穴7
4と同一形状とされ、一対のキー溝76Aを備えてい
る。
【0084】ロータ23及びピニオン75は連結軸77
により回転方向へ連結される。連結軸77は、図12に
示されるようにスプール15側がスライド軸部78とさ
れており、このスライド軸部78の外周面には、連結穴
74,76のキー溝74A,76Aへ対応する一対の連
結歯78Aが設けている。回転連結部である連結歯78
Aは、軸心Aと平行にスライド軸部78の先端から後端
の直前の位置まで延在している。連結軸77には、スプ
ール15とは逆側の端部に雄ねじ部79が設けられてい
る。また連結軸77には、軸心Aに沿って軸中心部を貫
通した中心穴95が形成されており、この中心穴95は
内輪部72から突出した支軸73の外径より僅かに大径
とされている。
【0085】保持板22は開口部22Aを内輪部72の
外周面へ嵌挿し、側板14上へ設置される。3個のコロ
21は保持板22のコロ保持部22Bを通して側板14
上へ載置される。ロータ23は保持板22を介して側板
14の側面上へ設置され、このとき、内輪収納室23A
内へ内輪部61を収納すると共にコロ収納室23B内へ
それぞれコロ21を収納する。このとき、内輪部72か
ら突出した支軸73は、連結穴74,76を通してロー
タ23及び、このロータ23上へ設置されたピニオン7
5から軸方向Sへ突出する。
【0086】また側板14の側面には、保持板22のロ
ータ23の外周面を囲むようにガイド板27,28が設
けられている。これにより、保持板22のロータ23は
内輪部72及びガイド板27,28により半径方向への
移動が制限され、スプール15と同軸上へ支持される。
【0087】ピニオン75は、その連結穴76の中心が
ロータ23の連結穴74の中心と一致するようにロータ
23上で位置決めされ、かつキー溝76Aが連結穴74
のキー溝74Aへ連通するように軸心Aを中心として回
転方向へ位置調整される。ピニオン75の連結穴76及
びロータ23の連結穴74には、図13に示されるよう
に連結軸77のスライド軸部78が軸方向Sへ摺動可能
に挿入される。このとき、連結軸77は、スライド軸部
78の連結歯78Aをキー溝76A,74Aへ嵌挿させ
る。連結軸77のスライド軸部78が連結穴76,74
へ挿入されると共に、内輪部72から突出した支軸73
が連結軸77の中心穴95内へ挿入される。これによ
り、連結軸77はスプール15と同軸上へ支軸73に沿
って摺動可能に支持され、この連結軸77によってピニ
オン75はロータ23と同軸上へ支持されると共に、ロ
ータ23と一体となって回転するようにロータ23へ連
結される。
【0088】またトルク伝達機構70は、図12に示さ
れようにカバー部材97を備えている。カバー部材97
は、スプール15側の一側面が開口すると共に、スプー
ル15とは逆側の他側面に底板部97Aを有する略円筒
状に形成されている。このカバー部材97には、底板部
97Aに軸心Aを中心として円筒状の突出部97Bが設
けられ、この突出部97Bには軸心Aに沿ってねじ穴9
8が形成されている。またカバー部材97には、図13
に示されるように底板部97Aの一部及び周壁部の一部
が弦方向に沿って切り欠かれて軸方向から見て略半円状
の開口部99が形成されている。
【0089】一方、側板14の側面上には、ガイド板2
7,28の外側にカバー部材97をスプール15と同軸
上へ位置決めするための位置決め板100が設けられて
いる。この位置決め板100は軸心Aを中心として円形
に湾曲しており、その内径がカバー部材97の外径より
僅かに大きくされている。
【0090】カバー部材97は、図13に示されるよう
にワンウェイクラッチ71、ピニオン75及び連結軸7
7が内部へ収納されるように側板14上へ載置されると
共に、位置決め板100の内側へ嵌挿されてスプール1
5と同軸上へ位置決めされる。この状態で、連結軸77
及びカバー部材97の何れか一方が連結軸77及びカバ
ー部材97の何れか他方に対してねじ込み方向へ相対回
転させられ、連結軸77の雄ねじ部79がカバー部材9
7のねじ穴98へ所定量ねじ込まれる。これにより、連
結軸77は、図13に示されるようにスライド軸部78
がロータ23の連結穴74及びピニオン75の連結穴7
6の双方へ挿入され、軸方向Sにおいてロータ23及び
ピニオン75を連結状態とする連結位置へ保持される。
【0091】連結軸77が連結位置へ保持されると、カ
バー部材97は、位置決め板100の外周面からねじ込
まれた複数のねじ101(図13及び図14には1本の
ねじ101のみを示す)により側板14上へ固定され
る。このカバー部材97の内部へ収納されたロータ23
及びピニオン75は、図14に示されるようにカバー部
材97の底板部97Aにより軸方向Sへの移動が制限さ
れ、軸方向Sにおける所定の位置へそれぞれ位置決めさ
れる。
【0092】図13にはウエビング巻取装置におけるト
ルク伝達機構70の車両への組付時の状態、即ちプリテ
ンショナ作動前の状態が示され、また図14には車両へ
組み付けられたウエビング巻取装置におけるトルク伝達
機構70のプリテンショナ作動後の状態が示されてい
る。上記のように構成されたトルク伝達機構70を備え
たウエビング巻取装置は、ワンウェイクラッチ71がス
プール15へのトルク伝達を行わない状態、即ち、スプ
ール15がピニオン75から切り離されたオフ状態とさ
れて車両へ組み付けられる。このオフ状態では、図13
に示されるようにコロ21がロータ23のコロ収納室2
3Bの外側の端部内へ保持されるように保持板22とロ
ータ23との相対位置が調整される。このとき、コロ収
納室23Bの係止突起23Cはコロ21を係止して内輪
部72の外周面から離間させる位置へ保持する。これに
より、内輪部72とロータ23との間ではトルク伝達が
行われない状態となるので、スプール15はピニオン7
5が回転できないように拘束されていても、ウエビング
に対する巻取方向W及び繰出方向Rへの双方向回転が可
能になる。
【0093】またウエビング巻取装置が車両へ組み付け
られる時には、ロータ23は、第1の実施形態のウエビ
ング巻取装置10と同様に樹脂製の剪断ピン(図示省
略)により回転方向へ仮り止めされている。
【0094】一方、フレーム11には、図2及び図3に
示されるように側板14の外側面上にラック34と、こ
のラック34を直線的に移動可能に支持したピストン駆
動装置35とが配置されている。このピストン駆動装置
35は、フレーム11へ組み付けられる時には、図2に
示されるようにピストン38をピストンシリンダ37内
へ形成される内部気室の容積が最小となる位置へ保持
し、カバー部材97の開口部99を通してラック34の
先端歯34Aをピニオン75の1枚の歯へ当接させる。
またピストン駆動装置35は、プリテンショナの作動時
には、図3に示されるようにピストン38をピストンシ
リンダ37内へ形成される内部気室の容積が最大となる
位置へ直線移動させる。
【0095】尚、本実施形態に係るウエビング巻取装置
では、駆動側回転部材がピニオン77により構成され、
従動側回転部材がロータ23により構成されている。
【0096】(第4の実施形態の作用)次に、上記のよ
うに構成されたトルク伝達機構70を備えた本実施形態
に係るウエビング巻取装置の動作及び作用を説明する。
プリテンショナ作動時に、ピストン駆動装置35により
直線移動するラック34の始端歯34Aがピニオン75
の歯を加圧すると、ピニオン75はラック34からの加
圧力を回転力へ変換する。ピニオン75からの回転力
は、連結軸77を介してロータ23へ伝達される。この
回転力によりロータ23を仮り止めしていた剪断ピン
(図示省略)が剪断されてピニオン29及びロータ23
が巻取方向Wへ一体的に回転開始する。このとき、ロー
タ23は保持板22に対して巻取方向Wへ相対回転す
る。これにより、コロ収納室23B内におけるコロ21
は、図2に示されるように係止突起23Cにより係止さ
れた位置(オフ位置)から、図3に示されるように内輪
部25の外周面とコロ収納室23Bの内周面とにより加
圧状態で挟持されるオン位置まで移動する。
【0097】コロ21がオン位置まで移動すると、ロー
タ23が回転方向において内輪部72へ連結され、ワン
ウェイクラッチ57はピニオン29からスプール15へ
トルク伝達可能となるオン状態となる。これにより、ピ
ニオン75、ロータ23、連結軸77及びスプール15
は一体となって巻取方向Wへ高速で回転し、スプール1
5によりウエビングが巻き取られる。また連結軸77が
巻取方向Wへ回転すると共に連結軸77の雄ねじ部79
がカバー部材97のねじ穴98へねじ込まれる。これに
より、連結軸77は、支軸73に沿ってロータ23の連
結穴74及びピニオン75の連結穴76から抜け出る方
向へ摺動する。
【0098】そして、ピストン38がピストンシリンダ
37の移動ストロークの終端の僅かに手前の位置まで移
動すると、図14に示されるように連結軸77はスライ
ド軸部78をロータ23の連結穴74から離脱させる位
置まで摺動する。これにより、ロータ23がピニオン7
5から切り離され、ロータ23及びスプール15は、ピ
ニオン75の回転がラック34により拘束されていて
も、巻取方向Wへ回転可能になる。
【0099】本実施形態に係るウエビング巻取装置で
は、ピストン駆動装置35が作動してワンウェイクラッ
チ71がオン状態となると、ピニオン75からスプール
15へ巻取方向Wのトルクが伝達される。従って、乗員
へ装着されたウエビングに遊びがあり、ピストン38が
ピストンシリンダ37内をガス圧力により移動している
場合には、ピニオン29からスプール15へ伝達される
トルクによりスプール15が巻取方向Wへ高速で回転
し、スプール15によりウエビングが巻き取られてい
く。従って、ウエビングの遊びが僅かな量である場合に
は、ピストン駆動装置35は、ウエビングの遊びが除去
されるまでスプール15を巻取方向Wへ回転させ、ピス
トン38が移動ストロークの終端への移動途中でも、ウ
エビングへピストンシリンダ37内のガス圧力と釣り合
う張力を発生させた時点でピストン38を停止させる。
【0100】一方、ラック34により回転していたピニ
オン75が回転停止した時には、スプール15には、ス
プール15及びロータ23の質量に基づく慣性力が巻取
方向Wへの回転力として作用する。これにより、ピニオ
ン29の回転停止時にウエビングに遊びが残っている場
合には、スプール15へ回転負荷として作用するウエビ
ングの張力が小さく、かつ高速回転していたスプール1
5へ大きな慣性力が作用することから、スプール15は
慣性力により巻取方向Wへの回転を継続させ、スプール
15の慣性力に釣り合う張力がウエビングに発生すると
回転停止する。従って、ピストン駆動装置35が作動す
る直前のウエビングの遊びが大きくても、ウエビングの
遊びが確実に除去されるまでスプール15を巻取方向W
へ回転させることが可能になる。
【0101】(第5の実施形態の構成)図15には、本
発明の第5の実施形態に係るプリテンショナを備えたウ
エビング巻取装置112が示されている。ウエビング巻
取装置112では、車両に固定されるプレート114
と、このプレート114の両側から直角に屈曲され互い
に平行とされた一対の側板116A,116Bを備えて
いる。側板116A,116Bは、スプール118を回
転可能に支持している。このスプール118には、乗員
装着用のウエビング120の先端が係止され、ウエビン
グ120が層状に巻き取られる。
【0102】スプール118の端部には、一方の側板1
16Aの外側にクラッチ122が配置されている。この
クラッチ122は、一方の側板116Aから外側へ向か
って突設された太陽ギヤ124と、この太陽ギヤ124
と常に噛み合っている遊星ギヤ126と、この遊星ギヤ
126と噛合可能に配置された内歯ギヤ128と、この
内歯ギヤ128と噛合可能に配置されたカムギヤ132
とを備えている。
【0103】太陽ギヤ124は、スプール118と同軸
的に配置されており、スプール118と一体的に回転す
る。カムギヤ132は半円状のピニオン133とリング
状のプレート134が一体的に形成されており、このプ
レート134は一方の側板116A側に配置されてい
る。カムギヤ132にはその軸心に穴132Aが形成さ
れており、この穴132Aに太陽ギヤ124が挿通され
る。即ち、太陽ギヤ124はピニオン133の内側に位
置し、かつ、プレート134の側板116Aと反対側の
面に位置する遊星ギヤ126と噛み合う。
【0104】ピニオン133の始端ギヤ133Aはプリ
テンショナのピストン140から連結棒138を介して
連結されたラック136と当接するように配置されてい
る。ピストン140は図示しないシリンダ内を移動可能
に収納されている。なお、カムギヤ132を回転させる
駆動部材はラック136に限定されず、全周に歯が無い
扇形歯車(セクター歯車)等の駆動ギヤ等であっても同
様に適用できる。
【0105】図16に示されるように、カムギヤ132
のプレート134には、一部に長穴134Aが形成され
ている。この長穴134Aは、その長手方向がカムギヤ
132の軸心回りの円弧状となっており、内歯ギヤ12
8が太陽ギヤ124の軸心と直交する方向へ移動する際
における内歯ギヤ128の歯が遊星ギヤ126の歯に向
かって挿入され噛み合うまでの遊星ギヤ126の位置決
めを図るものである。
【0106】プレート134には、長穴134Aに対応
する部位にカム部の一部を構成する三角形状の係合突起
部135Aが外側に向かって突設されている。また、プ
レート134には、係合突起部135Aとカムギヤ13
2の中心を挟んで対向する部位にカム部の一部を構成す
る三角形状の係合切欠部135Bが形成されている。
【0107】図15に示されるように、遊星ギヤ126
は、カムギヤ132上に回転可能に配置されている。遊
星ギヤ126には両側面の軸心から支軸127が突設さ
れており、この支軸127より小径なピン127Aがさ
らに突設されている。支軸127の一方は長穴134A
へ、他方は図示しないカバーに長穴134Aと同様に形
成された長穴(図示省略)にそれぞれ挿入されている。
【0108】ピン127Aに対応する一方の側板116
A及び図示しないカバーには互いに同軸状の穴116C
がそれぞれ穿設されている。この穴116Cにピン12
7Aが挿入され、遊星ギヤ126が回転可能となってい
る。即ち、遊星ギヤ126は、側板116Aの所定位置
に回転可能に軸支されている。また、ピン127Aは、
所定の荷重がかかると、剪断されるように設定されてお
り、この剪断によって内歯ギヤ128に沿って回転する
ように構成されている。即ち、太陽ギヤ124、遊星ギ
ヤ126、及び内歯ギヤ128は、遊星ギヤ126が内
歯ギヤ128によって時計方向へ自転しながら反時計方
向へ公転する遊星歯車機構とされている。
【0109】図15に示されるように、内歯ギヤ128
は略半円状で内歯状のリングギヤ129と薄板状のカム
130が一体的に形成されている。このカム130は一
方の側板116A側に配置されていると共に、カム13
0の両端には一方の側板116A側に向かってピン13
1がそれぞれ突設されている。これらのピン131に対
応する側板116Aの部位には長穴116Dがそれぞれ
形成されており、長穴116Dはその長手方向が太陽ギ
ヤ124の軸心と直交する方向、すなわち太陽ギア24
の放射方向に向くように配置されている。また、カム1
30には係合部としての三角形状の突起130A,13
0Bがピン131に対応する部位にそれぞれ形成されて
おり、これらの突起130A,130Bは太陽ギヤ12
4の軸心に向けて突出している。
【0110】突起130Aの頂部はカムギヤ132の係
合突起部135Aの頂部と対向して当接し、突起130
Bの頂部は係合切欠部135Bの谷部に対向して当接で
きるように太陽ギヤ124とカムギヤ132が配置され
ている。また、図16に示されるように、遊星ギヤ12
6の支軸127がカムギヤ132の長穴134Aの一端
縁134Bに位置している。この初期状態では内歯ギヤ
128のピン131が側板116Aの上側(図16の矢
印UP方向)に位置しており、遊星ギヤ126が内歯ギ
ヤ128と噛み合っていないので、遊星ギヤ126及び
スプール118の回転の障害となることなく、自由にウ
エビング120の巻取り、引出しが行われるようになっ
ている。即ち、この初期位置において、太陽ギヤ124
の突起130Aの頂部がカムギヤ132の係合突起部1
35Aの頂部と対向し、突起130Bの頂部が係合切欠
部135Bの頂部と対向する状態となるように各部の配
置位置や寸法等が設定されている。
【0111】一方、係合突起部135Aと突起130A
及び係合切欠部135Bと突起130Bとの係合が解除
される第2の太陽ギヤ124が長穴116Dに沿って図
17のように右下へ降下すると、遊星ギヤ126が内歯
ギヤ128のリングギヤ129と噛み合う。即ち、本実
施形態のギヤ機構は、太陽ギヤ124、遊星ギヤ12
6、内歯ギヤ128、及びカムギヤ132で構成されて
いる。
【0112】図16に示す初期状態では、カムギヤ13
2のピニオン133の始端ギヤ133Aがラック136
と当接する状態に維持されており、ピストン140の移
動に伴ってラック136が上方へ移動し、カムギヤ13
2が回転する。
【0113】なお、プリテンショナにはガス発生器(図
示省略)が配置されており、車両が急減速状態に至った
際に着火して大量のガスを発生させるようになってい
る。このガス発生器はピストンシリンダ(図示省略)の
ピストン140の背面側の空間に連通している。従っ
て、ガス発生器が着火して多量のガスが発生すると、こ
の多量のガスはシリンダのピストン140の背面側へ供
給される。
【0114】また、スプール118の他端部は他方の側
板116Bの外側へ延出されて図示しない急減速時ロッ
ク機構部に達している。このロック機構部は、従来知ら
れた車両急減速やウエビング120の引出加速に応答し
てスプール118の引出回転を停止させるロック機構と
同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0115】また、本実施形態のウエビング巻取装置1
12では、太陽ギヤ124が公知の一方向トルク伝達機
構であるローラ形のワンウェイクラッチ150を介して
回転軸であるスプール118へ連結されている。このワ
ンウェイクラッチ150は、図19に示されるようにス
プール118と一体に設けられた内輪部151と、太陽
ギヤ124と一体に設けられたロータ152と、及びこ
のロータ152の内部へ収納される3個のコロ153と
を備えている。内輪部151は、スプール118の側板
116A側の側面から突出するように設けられ、スプー
ル118の軸心Aを中心として円形凸状に形成されてい
る。プレート114の側板116Aには、ロータ152
の外径よりも僅かに大きい内径の円形開口155(図1
7参照)が軸心Aを中心として形成されている。側板1
16A,116Bにより支持されたスプール118は、
側板116Aの円形開口155へ内輪部151を挿通さ
せる。
【0116】内輪部151には、軸心Aに沿ってねじ穴
151Aが形成されている。コロ153は円柱状に形成
されている。ワンウェイクラッチ150の外輪部として
構成されたロータ152は内輪部151の軸方向Sにお
ける高さよりも肉厚の円板状に形成されており、太陽ギ
ヤ124と同軸的に設けられている。
【0117】ロータ152内には内輪収納室152A及
び、この内輪収納室152Aへ連通した3個のコロ収納
室152Bがそれぞれ形成され、これらの内輪収納室1
52A及びコロ収納室152Bはロータ152のスプー
ル15側の側面へ開口している。ここで、内輪収納室1
52Aは、ロータ118の内部に軸心Aを中心とする円
柱形状の空間を形成しており、内輪部151の外径より
僅かに大きい内径とされている。
【0118】コロ収納室152Bは内輪収納室152A
の内周面から外側へ延出する空間を形成し、軸心Aを中
心とする周方向へ互いに等間隔(120°間隔)になる
ように設けられている。このコロ収納室152Bは、図
20に示されるように軸心Aを中心とし、かつ巻取方向
Wへ延出する螺旋方向へ長い略長円状に形成されてい
る。コロ収納室152Bは、軸方向から見て内輪収納室
152Aへ収納された内輪部151の外周面との間に螺
旋方向の内側へ向かって除々に幅が狭くなるような略く
さび状の空間を形成する。
【0119】また太陽ギヤ124には、軸心Aに沿って
中心穴124Aが形成されており、この中心穴124A
は、太陽ギヤ124の軸方向Sにおける外側の側面から
内輪収納室152A内へ連通している。ロータ152の
コロ収納室152Bにはそれぞれコロ153及び加圧ス
プリング154が挿入される。このロータ152は、内
輪収納室152A内へ内輪部151が収納されるように
スプール118の側面上へ設置され、コロ153をコロ
収納室152Bの底面とスプール118の側面との間へ
保持する。
【0120】スプール118の側面上へ設置されたロー
タ152は連結部材156によりスプール11と同軸的
に支持される。連結部材156は、図19に示されるよ
うに丸棒状の支持部156Aと、この支軸部156Aの
先端部に形成された雄ねじ部156Bと、支軸部156
Aの後端部へ回転可能に支持された頭部156Cからな
る。連結部材156は、支軸部156Aを太陽ギヤ12
4の中心穴124A及びロータ152の内輪収納室15
2Aへ挿通させ、雄ねじ部156Bを内輪部151のね
じ穴151Aへねじ込みスプール118へ締結固定され
る。これにより、太陽ギヤ124及びロータ152は、
スプール118の軸心Aと同軸上へ回転可能に支持され
る。コロ収納室152Bへ収納されたコロ153は、第
1の実施形態の保持板22と同様の保持板、コロ収納室
152B内へ配置された加圧スプリング等のコロ保持部
材(図示省略)によりコロ収納室152Bの内周面及び
内輪部151の外周面へ圧接する位置へ保持されてい
る。
【0121】尚、本実施形態のウエビング巻取装置11
2では、トルク伝達手段が遊星歯車機構を構成した太陽
ギヤ124、遊星ギヤ126、内歯ギヤ128、及びカ
ムギヤ132とワンウェイクラッチ150とからなる。
また駆動側回転部材はロータ152により構成され、従
動側回転部材は内輪部151により構成されている。
【0122】(第5の実施形態の作用)次に、上記のよ
うに構成された本実施形態に係るウエビング巻取装置1
12の動作及び作用を説明する。
【0123】先ず、太陽ギヤ124とスプール118と
の間へ配置されたワンウェイクラッチ150について説
明する。ロータ152内でコロ保持部材により保持され
たコロ153は、ロータ152に対して内輪部151が
繰出方向Rへ相対回転しようとするときには、内輪部1
51の外周面から繰出方向Rの力が伝達される。この繰
出方向Rの力は、コロ153を収納室152B内におけ
る螺旋方向の内側へ、即ち、内輪部151の外周面との
間隔が狭なる方向へ引き込むような力として作用する。
これにより、3個のコロ153は、それぞれコロ収納室
152Bの内周面及び内輪部151の外周面へ圧接力を
増大させ、コロ収納室152Bの内周面及び内輪部15
1の外周面への摩擦力によりロータ152及び内輪部1
51を、即ち太陽ギヤ124及びスプール118を大ト
ルクが伝達可能となるように連結する。従って、本実施
形態のウエビング巻取装置112では、プリテンショナ
作動時には太陽ギヤ124とスプール118とがワンウ
ェイクラッチ150により連結され、スプール118に
よりウエビング120の巻取りが可能になる。
【0124】一方、内輪部151がロータ152に対し
て巻取方向Wへ相対回転しようとするときには、内輪部
151の外周面から巻取方向Wの力が伝達される。この
巻取方向Wの力は、コロ153を収納室152B内にお
ける螺旋方向の外側へ、即ち、内輪部151の外周面と
の間隔が広くなる方向へ引き込むような力として作用す
る。これにより、3個のコロ153は、それぞれコロ収
納室152Bの内周面及び内輪部151の外周面へ圧接
力を減少させ、コロ収納室152Bの内周面及び内輪部
151の外周面へ殆ど摩擦力を作用させなくなる。これ
により、ロータ152及び内輪部151は、ワンウェイ
クラッチ150により切り離されて互いにトルクが伝達
されない状態とされ、スプール118は太陽ギヤ124
に対して巻取方向Wへ相対回転することが可能になる。
【0125】次に本実施形態のウエビング巻取装置11
2におけるプリテンショナ作動時の動作を説明する。車
両の通常走行時には、図16に示されるように、クラッ
チ122が初期状態に維持されている。即ち、太陽ギヤ
124の突起130Aの頂部がカムギヤ132の係合突
起部135Aの頂部と対向し、突起130Bの頂部が係
合切欠部135Bの頂部と対向されており、遊星ギヤ1
26が内歯ギヤ128と離間している。このため、スプ
ール118の回転の障害となることはなく、スプール1
18は遊星ギヤ126を回転させながら自由に回転でき
るのでウエビング120の巻取り、引出しが行える。但
し、ワンウェイクラッチ150は、スプール118が巻
取方向Wへ回転する場合にはロータ152及び内輪部1
51とを切り離し、スプール118から太陽ギヤ124
へトルクを伝達しない。従って、太陽ギヤ124及び遊
星ギヤ126は停止した状態となる。
【0126】車両が急減速状態に至ると、図示しないガ
ス発生器が着火して多量のガスが発生し、この多量のガ
スが図示しないシリンダのピストン140の背面側へ流
入する。これにより、シリンダ内に配置されたピストン
140はラック136を初期位置から上方(図16では
矢印UP方向)へ移動させる。すると、ラック136が
初期状態から当接している始端ギヤ部33Aを上方に押
し上げてカムギヤ132を、図16に示す反時計方向
(P方向)へ回転させる。カムギヤ132が回転する
と、図16に示す初期状態からオン状態としての図17
に示す状態となる。
【0127】即ち、突起130Aが係合突起部135A
から離間し、カム130Bが係合切欠部135Bから離
間すると共に、下側のピン131が係合切欠部135B
の斜面により押下力を受け長穴116Dに案内され内歯
ギヤ128は図16の矢印N方向に向かってスライドす
る。この内歯ギヤ128がスライドすることにより、図
17に示されるように、内歯ギヤ128のリングギヤ1
29の歯が遊星ギヤ126の歯に挿入されて噛み合う。
従って、本実施形態では、内歯ギヤ128が長穴116
Dに沿ってスライドするので、内歯ギヤ128のリング
ギヤ129の歯が遊星ギヤ126の歯に滑るようにして
噛み合う。なお、この内歯ギヤ128が遊星ギヤ126
に噛み合った後に、遊星ギヤ126が公転する。
【0128】また、図17に示されるように、カムギヤ
132の反時計方向回転で遊星ギヤ126のピン127
Aがカムギヤ132の長穴134Aの一端縁134Bか
ら他端縁34Cへと相対的に移動されて当接する。この
当接した状態から、さらに、ラック136が上方に移動
してカムギヤ132が反時計方向へ回転し回転力が所定
値を越えると、遊星ギヤ126のピン127Aが剪断さ
れる。このため、遊星ギヤ126は、ピン127Aが長
穴134Aの他端縁34Cと当接した状態でカムギヤ1
32の回転に伴って公転する。
【0129】即ち、カムギヤ132が図17の状態から
図18の状態へと回転されることにより、遊星ギヤ12
6は、内歯ギヤ128のピニオン133によって時計方
向へ自転しながら反時計方向へ公転するので、遊星ギヤ
126と噛み合う太陽ギヤ124は反時計方向へ回転す
る。このため、太陽ギヤ124の回転に伴ってスプール
118が巻取方向W(図15参照)へ強制的に高速で回
転される。これにより、ウエビング120がスプール1
18へ迅速に巻き取られる。
【0130】以上説明した本実施形態に係るウエビング
巻取装置112では、プリテンショナが作動すると、カ
ムギヤ132の回転が増速されて太陽ギヤ124へ伝達
される。従って、乗員へ装着されたウエビング120に
遊びがあり、ピストン140がピストンシリンダ内をガ
ス圧力により移動している場合には、ワンウェイクラッ
チ150がロータ152と内輪部151とを連結し、太
陽ギヤ124からスプール118へ伝達されるトルクに
よりスプール118が巻取方向Wへ高速で回転し、スプ
ール118によりウエビング120が巻き取られてい
く。このとき、ウエビング120の遊びが僅かな量であ
る場合には、プリテンショナは、ウエビング120の遊
びが除去されるまでスプール118を巻取方向Wへ回転
させ、ピストン140が移動ストロークの終端への移動
途中でも、ウエビング120へピストンシリンダ内のガ
ス圧力と釣り合う張力を発生させた時点でピストン14
0を停止させる。
【0131】一方、ラック136により回転していたカ
ムギヤ132が回転停止した時には、スプール118に
は、スプール118及び内輪部151の質量に基づく慣
性力が巻取方向Wへの回転力として作用する。これによ
り、ワンウェイクラッチ150はロータ152と内輪部
151とを切り離し、スプール118が太陽ギヤ124
に対して巻取方向Wへ相対回転することを可能とする。
従って、カムギヤ132の回転停止時にウエビング12
0に遊びが残っている場合には、スプール118へ回転
負荷として作用するウエビング120の張力が小さく、
かつ高速回転していたスプール118へ大きな慣性力が
作用することから、スプール118は、慣性力により巻
取方向Wへの回転を継続させ、スプール118への慣性
力に釣り合う張力がウエビング120に発生すると回転
停止する。従って、プリテンショナが作動する直前のウ
エビング120の遊びが大きくても、ウエビング120
の遊びが確実に除去されるまでスプール118を巻取方
向Wへ回転させることが可能になる。
【0132】尚、以上説明した本発明の第5の実施形態
では、本発明の請求項6に係るトルク伝達手段を増速歯
車機構である遊星歯車機構を備えたウエビング巻取装置
へ適用した例を説明したが、このようなトルク伝達手段
を増速歯車機構を備えないウエビング巻取装置へ適用す
ることも可能であり、また本発明の請求項1〜6に係る
トルク伝達手段を、第5の実施形態にて説明したような
増速歯車機構を備えたウエビング巻取装置へ適用するこ
とも可能である。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るウエビ
ング巻取装置によれば、ウエビングの遊びが大きい場合
でも、プリテンショナ作動時にウエビングを確実に緊張
状態とするまで巻取軸へ巻き取ることができ、また駆動
ギヤによるピニオンの駆動回転量を増加させるために、
駆動ギヤの移動ストロークを増加したり、増速用ギヤを
追加する必要がないので、装置の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取
装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるプリテンショナ作動前の状態を示す平面図
である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるプリテンショナ作動後の状態を示す平面図
である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取
装置における駆動側回転部材とロータとのプリテンショ
ナ作動前の状態を示す軸方向断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るウエビング巻取
装置における駆動側回転部材とロータとのプリテンショ
ナ作動後の状態を示す軸方向断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるトルク伝達機構の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるトルク伝達機構のプリテンショナ作動前の
状態を示す側面断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるトルク伝達機構のプリテンショナ作動後の
状態を示す側面断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるトルク伝達機構の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図10】本発明の第3実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるロータ、係止軸及びトルク伝達部材のプリ
テンショナ作動前の状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるロータ、係止軸及びトルク伝達部材のプリ
テンショナ作動後の状態を示す平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるトルク伝達機構の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図13】本発明の第4実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるロータ、ピニオン及び連結軸のプリテンシ
ョナ作動前の状態を示す側面断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るウエビング巻取
装置におけるロータ、ピニオン及び連結軸のプリテンシ
ョナ作動後の状態を示す側面断面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置の構成を示す分解斜視図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置のプリテンショナ作動前の状態を示す軸方向平面
図である。
【図17】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置のプリテンショナ作動開始時の状態を示す軸方向
平面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置のプリテンショナ作動後の状態を示す軸方向平面
図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置におけるワンウェイクラッチの構成を示す分解斜
視図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係るウエビング巻
取装置におけるロータ、内輪部、及びコロがワンウェイ
クラッチとして組み立てられた状態を示す軸方向断面図
である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置 15 スプール(巻取軸) 16 ウエビング 19 ワンウェイクラッチ 23 ロータ(従動側回転部材) 26 被押圧部 30 駆動側回転部材 29 ピニオン 33 押圧部 34 ラック(駆動ギヤ) 50 トルク伝達機構(トルク伝達手段) 53 雄ねじ部 56,64 爪部 57 ワンウェイクラッチ 58 駆動側回転部材 63 雌ねじ穴 70 トルク伝達機構(トルク伝達手段) 71 ワンウェイクラッチ 74,76 連結穴 75 ピニオン 77 連結軸 78 スライド軸部 78A 連結歯(回転連結部) 80 トルク伝達機構(トルク伝達手段) 83 従動側回転部材 85 係止軸 87 トルク伝達部材 89 ロータ 90 係止ピン(係止部) 112 ウエビング巻取装置 118 スプール(巻取軸) 120 ウエビング 124 太陽ギヤ 126 遊星ギヤ 150 ワンウェイクラッチ 151 内輪部(従動側回転部材) 152 ロータ(駆動側回転部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 啓一 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 Fターム(参考) 3D018 MA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の緊急減速時に乗員拘束用ウエビン
    グを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナを有する
    ウエビング巻取装置であって、 前記ウエビングの一端が固着された巻取軸と、 ピニオンと、 前記ピニオンへ噛み合い前記プリテンショナ作動時にピ
    ニオンを一方向へ回転させる駆動ギヤと、 前記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記ピニ
    オンを前記巻取軸へ連結してピニオンからのトルクによ
    り該巻取軸をウエビング巻取方向へ回転させ、前記駆動
    ギヤにより回転されていた前記ピニオンが停止すると、
    前記巻取軸を前記ピニオンから切り離して該巻取軸の前
    記ウエビング巻取方向への慣性力による回転を可能とす
    るトルク伝達手段と、 を有することを特徴とするウエビング巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記トルク伝達手段は、 前記ピニオンと連動して回転する駆動側回転部材と、 前記駆動側回転部材における軸心回りに設けられた押圧
    部と、 前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記巻取軸と
    連動して回転する従動側回転部材と、 前記従動側回転部材における軸心回りに設けられ、前記
    駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記押圧部に
    より押圧されて前記従動側回転部材を前記駆動側回転部
    材と一体的に回転させ、前記駆動ギヤにより回転されて
    いた前記ピニオンが停止すると、前記押圧部から離間し
    て前記従動側回転部材を前記ウエビング巻取方向と対応
    する方向へ回転可能とする被押圧部と、 を有することを特徴とする請求項1記載のウエビング巻
    取装置。
  3. 【請求項3】 前記トルク伝達手段は、 前記ピニオンと連動して回転する駆動側回転部材と、 前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記巻取軸と
    連動して回転する従動側回転部材と、 前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか一
    方へ同軸的に設けられた雌ねじ穴と、 前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか他
    方へ同軸的に設けられると共に前記雌ねじ穴へねじ込ま
    れ、前記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記
    雌ねじ穴へのねじ込み抵抗により前記従動側回転部材と
    前記駆動側回転部材とを同軸上へ固定し、前記駆動ギヤ
    により回転されていた前記ピニオンが停止すると、前記
    雌ねじ穴から抜け出す方向へ回転して前記従動側回転部
    材を前記ウエビング巻取方向と対応する方向へ回転可能
    とする雄ねじ部と、 を有することを特徴とする請求項1記載のウエビング巻
    取装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動側回転部材及び前記従動側回転
    部材の何れか一方の軸心回りに設けられた第1の爪部
    と、 前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか他
    方の軸心回りに設けられ、前記駆動ギヤによる前記ピニ
    オンの回転時に、前記爪部へ当たって前記雄ねじ部の前
    記雌ねじ穴へのねじ込み深さを制限する第2の爪部と、 を有することを特徴とする請求項3記載のウエビング巻
    取装置。
  5. 【請求項5】 前記トルク伝達手段は、 前記ピニオンと連動して回転する駆動側回転部材と、 前記駆動側回転部材の軸心回り設けられた係止部と、 前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記巻取軸と
    連動して回転する従動側回転部材と、 前記従動側回転部材と同軸上へ固定された係止軸と、 前記係止軸へ一端が固着されて該係止軸の外周面へ複数
    回巻き付けられると共に前記係止部へ他端が固着され、
    前記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記係止
    軸と前記係止部との間へ張り渡されて前記従動側回転部
    材を前記駆動側回転部材とを一体的に回転させ、前記駆
    動ギヤにより回転されていた前記ピニオンが停止する
    と、前記係止軸への巻き付きを緩めて前記従動側回転部
    材を前記ウエビング巻取方向と対応する方向へ回転可能
    とする長尺のトルク伝達部材と、 を有することを特徴とする請求項1記載のウエビング巻
    取装置。
  6. 【請求項6】 前記トルク伝達手段は、 前記ピニオンと連動して回転する駆動側回転部材と、 前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記巻取軸と
    連動して回転する従動側回転部材と、 前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の軸心に沿
    って移動可能に配置されると共に軸心回りに回転連結部
    が設けられ、前記駆動ギヤにより前記ピニオンが回転開
    始してから停止直前までは、前記回転連結部を前記駆動
    側回転部材及び前記従動側回転部材の双方へ係合させて
    従動側回転部材と駆動側回転部材とを同軸上へ固定し、
    前記駆動ギヤにより回転されていた前記ピニオンの停止
    時に、前記回転連結部を軸心に沿って前記駆動側回転部
    材及び前記従動側回転部材の少なくとも一方から離脱す
    る位置へ移動させて従動側回転部材を駆動側回転部材か
    ら切り離す連結軸と、 を有することを特徴とする請求項1記載のウエビング巻
    取装置。
  7. 【請求項7】 前記トルク伝達手段は、 前記ピニオンと連動して回転する駆動側回転部材と、 前記駆動側回転部材と同軸的に配置され、前記巻取軸と
    連動して回転する従動側回転部材と、 前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との間へ介在
    し、前記駆動ギヤによる前記ピニオンの回転時に、前記
    駆動側回転部材と前記従動側回転部材とを同軸上へ固定
    し、前記駆動ギヤにより回転されていた前記ピニオンが
    停止すると、前記従動側回転部材を前記駆動側回転部材
    から切り離すワンウェイクラッチと、 を有することを特徴とする請求項1記載のウエビング巻
    取装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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