JP2000104832A - フッ素樹脂包みガスケット - Google Patents
フッ素樹脂包みガスケットInfo
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Abstract
複数の環状部材を積層してなる環状中芯体が嵌入された
フッ素樹脂包みガスケットであって、前記環状中芯体を
構成する少なくとも1層の環状部材が、有機繊維、無機
繊維、無機粉体およびバインダーを含むフッ素樹脂包み
ガスケットおよび上記ガスケット用の環状部材。本発明
では、前記無機粉体が、硫酸バリウム、タルク、クレ
ー、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マ
グネシウム、ケイ酸、二酸化珪素、炭酸カルシウム、炭
酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウムの
うちから選択される少なくとも1種の化合物であること
が好ましい。 【効果】このガスケットは、常温での圧壊特性と高温下
の気密特性に優れる。
Description
体の外周をフッ素樹脂フィルムで被覆したフッ素樹脂包
みガスケットに関し、さらに詳しくは、常温での圧壊特
性と高温下の気密特性に優れているフッ素樹脂包みガス
ケットに関する。
ては、従来よりフッ素樹脂単体からなるガスケット、フ
ッ素樹脂包みガスケット等が知られている。
れた耐薬品性を有している反面、クリープや応力緩和が
大きいため、単体でガスケットとして用いる場合には、
フランジに溝部を設け、該溝部内にガスケットを配置
し、配管内側へのガスケット端部の膨出を阻止し、また
フッ素樹脂単体からなるガスケットには過大な応力負荷
を与えないなど応力負荷管理を行うことが必要であり、
また、フッ素樹脂単体からなるガスケットは、高温時に
は応力緩和が著しいなど、使用上の制約が多く、使用上
問題がある。
ば、図8に示すように、ジョイントシート、石綿等の環
状中芯体1をクッション材とし、この環状中芯体1の外
周を四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチ
レン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(P
FA)のような耐熱性、耐薬品性に優れた厚さ0.5m
m以下のフッ素樹脂フィルム2で被覆した構造となって
いる。
のフランジ間を密封するガスケットとして従来使われ、
特に腐食性の強い薬液流体用、あるいは汚染を嫌う食品
産業用または純水用ガスケットとして広く使われてい
た。
うに、環状中芯体1が複数の環状シート3,4、3を積
層して構成されることがある。そしてこの環状ジョイン
トシート3には、石綿系または非石綿系のジョイントシ
ートが用いられ、環状シート4には、例えば、石綿系ま
たは非石綿系のフェルトシートが用いられていた。
中芯材を、通常、厚さ0.5mm以下のフッ素樹脂外被
で被覆してなる構造を有しているため、ガスケットとし
ての弾性や強度は主として中芯材に依存し、その結果、
前記フッ素樹脂単体からなるガスケットに比してクリー
プや応力緩和が小さくなるので、耐薬品性が求められる
用途で多用されている(なお、従来のフッ素樹脂包みガ
スケットの一般的な使用条件は、最高使用温度が200
℃程度であり、最高圧力が20kgf/cm2程度であ
る。)。
ら、中芯材であるジョイントシートやフェルト材として
は、石綿材料に代わり、非石綿材料が用いられるように
なってきている。
では、外被となるフッ素樹脂の摩擦係数が小さいため、
過剰な荷重が負荷された場合には、中芯材とフッ素樹脂
外被との間で滑りが生じ、中芯材であるジョイントシー
トやフェルト材が圧壊することがあった。
った場合に生じ、フッ素樹脂外被の破壊の前に中芯材が
クリープ現象を起こし、ガスケット応力が極端に低下し
てしまうために、ガスケットが本来有しているシール性
能を発揮できなくなってしまう現象である。
低い非石綿系ガスケットにおいて、特に顕著であった。
問題点を解決しようとするものであって、圧壊特性に優
れ、かつ、良好なシール特性を有する非石綿系フッ素樹
脂包みガスケットを提供することを目的としている。
は、フッ素樹脂外被の環状溝内に、単層(1層)または
複数の環状部材を積層してなる環状中芯体が嵌入された
フッ素樹脂包みガスケットであって、前記環状中芯体を
構成する少なくとも1層の環状部材(a)が、有機繊維、
無機繊維、無機粉体およびバインダーを含むことを特徴
としている。
層または2層以上含まれる場合、該1層、または2層以
上の環状部材のうちの2層がそれぞれフッ素樹脂外被と
密接していることが好ましい。換言すれば、フッ素樹脂
外被と接する環状部材としては、有機繊維、無機繊維、
無機粉体およびバインダーを含むものが好ましい。
れる上記無機粉体は、均一分散していてもよく、環状部
材のフッ素樹脂外被側表面に偏在していてもよいが、無
機粉体が偏在してなる粉体層(粉体の偏在している表
面)は、フッ素樹脂外被と密接していることが好まし
い。この環状部材(b)が1層のみの場合はその粉体表面
が、また複数の(b)が用いられる場合には、2枚の(b)の
粉体側表面がそれぞれフッ素樹脂外被と接していること
が好ましい。
バリウム、タルク、クレー、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸、二酸化珪
素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウ
ム、炭酸マグネシウムのうちから選択される少なくとも
1種の化合物であることが好ましく、さらには硫酸バリ
ウムであることが望ましい。
の環状部材は、フッ素樹脂外被の環状溝内に嵌入される
環状中芯体を構成する1層または複数の層からなる環状
部材であって、前記環状中芯体を構成する1層または複
数層の環状部材のうち少なくとも1つの環状部材が、有
機繊維、無機繊維、無機粉体およびバインダーを含むこ
とを特徴としている。
環状中芯体においては、前記無機粉体が、硫酸バリウ
ム、タルク、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸、二酸化珪素、炭
酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭
酸マグネシウムのうちから選択される少なくとも1種の
化合物であることが好ましく、さらには硫酸バリウムで
あることが望ましい。
径が1.5μm以下であることが好ましい。本発明に係
る上記フッ素樹脂包みガスケットは、常温での圧壊特性
と高温下の気密特性に優れている。
中芯材(非石綿系フェルト材)あるいは該中芯材用の環
状部材は、常温での圧壊特性と高温下の気密特性に優れ
ている。
みガスケットおよび該ガスケット用の中芯材(フェル
ト)について、図面に示す好ましい実施態様を参照しつ
つ具体的に説明する。なお、本明細書および添付図面で
は、同一部材には、同一符号を付している。
樹脂包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図であ
る。図2は、本発明の他の実施態様に係るフッ素樹脂包
みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
ト10は、環状中芯体14と、この環状中芯体14が装
着されるフッ素樹脂外被12とを有している。そしてこ
のフッ素樹脂外被12の環状溝19内に、複数、特に3
層の環状部材18a,16,18bを順次積層してなる
上記環状中芯体14が嵌入されている。
2は、主としてガスケットの耐薬品性向上に寄与し、変
性ポリテトラフルオロエチレン(特公平3−39105
号公報参照)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四
フッ化エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共
重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロ
ピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン-六フ
ッ化プロピレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共
重合樹脂(EPE)、四フッ化エチレン-エチレン共重
合樹脂(ETEE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVD
F)などのフッ素樹脂で構成されている。
組み合わせて用いることができる。 <環状部材>このフッ素樹脂包みガスケット10におい
ては、前記環状中芯体14は、主としてガスケットの弾
性や強度向上を受け持ち、上述したように複数の環状シ
ート(環状部材)18a,16,18bを積層して構成
されている。この環状中芯体14を構成する環状部材1
8a,16,18bのうち外被12と密接する環状部材
18a,18bは、有機繊維、無機繊維、無機粉体およ
びバインダーを含んでいる。
無機粉体は、図1に示すように該環状部材中に一様に分
散していてもよく、図2に示すように環状部材27,2
8の外被側表面27b、28bに偏在していてもよい。
特に、含まれる無機粉体が、図1に示すように該環状部
材中に一様に分散していていると繊維表面に無機粉体が
付着することで有機繊維−有機繊維、有機繊維−無機繊
維、無機繊維−無機繊維など繊維の付着力が向上するこ
とで、圧壊特性に優れたガスケットが得られるという効
果が得られ、また図2に示すように環状部材27,28
の外被側表面27b、28bに偏在しているとフッ素樹
脂外被と環状部材との付着力が向上し、外被のクリープ
をおさえてシール特性に優れたガスケットが得られると
いう効果が得られる。なお、図2において、付番27
a、28aは、有機繊維、無機繊維およびバインダーか
らなるフェルト層を示し、付番27b、28bは、主に
無機粉体およびバインダーからなる無機粉体層を示す。
このようなフェルト層27aと無機粉体層27bとが積
層されて環状部材27が形成され、フェルト層28aと
無機粉体層28bとが積層されて環状部材28が形成さ
れている。
被12側表面11b、13bから環状シート16側に向
かって層の厚み方向に連続的に無機粉体含量が低下して
いてもよい。
コルク板、ジョイントシート材から構成され、好ましく
はジョイントシート材にて構成されている。ジョイント
シート材としては、特に限定されず、例えば、(i)アラ
ミド繊維とゴムからなるもの、(ii)図1の環状部材18
a、18b等と同様に、アラミド繊維等の有機繊維と、
無機繊維と無機粉体とゴム等のバインダーとからなり、
その組成比が前記図1の環状部材18a、18b等とは
異なるもの等が挙げられる。この環状シート(環状部
材)16には、環状溝奥部5内の気体、液体を外部に排
出しうるように、前記環状溝奥部5と外部とを径方向に
連通する連通孔などの連通手段が設けられていてもよ
い。
説する。この環状部材18a,18bには、上記のよう
に有機繊維、無機繊維、無機粉体およびバインダーが含
まれている。
の加熱後も初期の50%以上の強度を有している有機繊
維(耐熱性有機繊維)が好ましい。このような耐熱性有
機繊維としては、例えば、アラミド繊維、カーボン繊
維、テフロン繊維等が挙げられ、これらの有機繊維は1
種または2種以上組み合わせて用いることができる。こ
れら有機繊維のうちでも、特にフィブリル化可能であり
パルプ形状(分岐形状)になる繊維が望ましい。
ア繊維、セラミックス繊維、ロックウールなど従来より
公知のものを広く使用可能であり、これらの無機繊維は
1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
小さく(繊維径が20μm以下、好ましくは0.1〜5
μm)、しかも繊維長が0.01mm以上、好ましくは
0.1〜10mmのものが望ましく、このように繊維径
が比較的小さく、繊維長が上記範囲にあるような望まし
い無機繊維としては、ロックウールが挙げられる。
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、ケイ酸、二酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリ
ウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げら
れ、これら無機粉体は1種または2種以上組み合わせて
用いることができる。これらの無機粉体のうちでは、硫
酸バリウムが好ましい。上記無機粉体のうちでも、その
平均粒径が通常1.5μm以下、好ましくは0.5μm
以下、さらに好ましくは0.2μm以下のものが望まし
い。このような粒子径の無機粉体を用いると、無機粉体
の表面エネルギーを利用して繊維間の付着性を強め環状
部材(フェルト材)強度を向上させることができ、環状
部材に適度の柔軟性と緻密性とを付与でき、シール特性
と圧壊特性を向上させることが可能となるため好まし
い。
より公知のものを広く使用でき、天然ゴム、NBRなど
のゴム系バンダー;アクリル樹脂等の樹脂系のバインダ
ー;などが挙げられ、好ましくはアクリル樹脂が用いら
れる。
上記有機繊維は通常5〜40重量%、好ましくは、10
〜40重量%の量で、無機繊維は通常20〜85重量
%、好ましくは、30〜70重量%の量で、無機粉体は
通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上の量
で、およびバインダーは残部量(但し、各環状部材重量
を100重量%とする。)で含まれていることが望まし
い。
れるガスケットは、高温での応力緩和が適度の範囲にあ
り、高温時の気密性も良好に保持され、常温での破壊強
度に優れる傾向があり、また上記量で無機繊維が含まれ
ていると、該無機繊維の繊維径が比較的大きく(例:繊
維径5〜10μmφ)、また剛直であっても、得られる
ガスケットは、高温での応力緩和が小さくなり、柔軟性
の低下も少なく、高温での気密特性に優れる傾向があ
る。
に分散して含まれていると、無機繊維と有機繊維、有機
繊維同士あるいは、無機繊維同士の付着力を高めること
ができ、無機繊維と有機繊維との両者を配合したことに
よる環状部材の強度をより効果的に高めることができ、
また繊維間の密着強度を高めることができるため、得ら
れるガスケットは、該ガスケットを構成する環状部材1
8a,18bの強度(フェルト部強度)が高くなり、応
力緩和を小さくでき、高温時におけるガスケットのシー
ル性能を安定化させることができ、また、該環状部材
(フェルト材)18a,18bの表面層11b、13b
に存在する無機粉体によって、フェルト材18a,18
bとフッ素樹脂外被12の摩擦抵抗が大きくなるため、
ガスケットの圧壊強度が向上する傾向がある。
一様に分散した環状部材18a,18bを製造するに
は、従来より公知の方法を利用することができ、例え
ば、それぞれ上記量の有機繊維、無機繊維、無機粉体お
よび未加硫バインダーを配合し、水に分散させ、多段に
抄き上げた後、100℃〜200℃の熱ロールで乾燥さ
せる抄紙工程によって製造できる。
材27の外被22a側すなわち27b、環状部材28の
外被22b側すなわち28bにのみ偏在した環状部材を
製造するには、従来より公知の方法を利用することがで
き、例えば、それぞれ上記量の有機繊維、無機繊維およ
び未加硫バインダーを配合し、上記の抄紙工程と同様の
工程により抄紙した後、水に分散させた無機粉体を吹き
付け散布することによって製造できる。
なフッ素樹脂包みガスケット10を製造するには、下記
のようにすればよい。
18bを例えば樹脂やゴムを主剤とする接着剤を用いて
張り合わせ、環状中芯体14を形成する。さらに、この
環状中芯体14の表面(特に内周面及び上下両面)を、
図1に示すように、所定サイズのフッ素樹脂スリーブか
ら施盤加工によって切り出したフッ素樹脂外被12にて
被覆する。このような形状のフッ素樹脂外被12は、フ
ッ素樹脂スリーブの外径側から切削バイトを押しつけて
切り出されるが、環状溝19を形成するには、外径側か
ら押しつけた切削バイトを6のところまでで止め、内径
側端部15aを残すように加工すればよい。また、環状
中芯体14は、上記のように環状シート16及び環状部
材18a,18bを張り合わせても良く、またそれぞれ
環状に加工する前のシート状物を図1に示すような層構
成となるように張り合わせた後で、所定サイズの環状に
打ち抜くこともできる。
では、初期締め付け時に、荷重が過剰に負荷された場合
にも、環状中芯材が圧壊することがない。すなわち、初
期締め付けが過剰になった場合に、フッ素樹脂外被12
の破壊の前に中芯材14がクリープ現象を起こすことも
なく、ガスケット応力が適度に保持されるために、ガス
ケットが本来有しているシール性能が良好に発揮され
る。
する図6、図7に示すような、環状中芯体64、74が
1層の環状シート(環状部材)68,78のみから構成
されており、図1のジョイントシート層16を有しない
ものに比して、特に圧壊強度の点で優れている。また、
環状中芯体14を2枚のフッ素樹脂外被12a,12b
にてサンドイッチするように挟持し、その内周側端部同
士を接合して製造することもできるため、断面U字型
(後述する図4の42参照)、断面コ字型(後述する図
3の32参照)の外被を有するガスケットに比して製造
容易であるという効果を有する。
は、上述した実施態様に限定されるものではなく、種々
に改変することができる。例えば、図3において付番3
2で示すように、フッ素樹脂外被の形状は、断面コ字状
であってもよく、図4において付番42で示すように、
フッ素樹脂外被の形状は、断面U字状であってもよい。
このうち、図3に示すようなフッ素樹脂外被32では、
ガスケット内径をフランジ内径に合わせることにより、
使用時に流体が滞留することを防止できるという効果を
有し、またこの図4に示すようなフッ素樹脂外被42で
は、環状溝奥部5内に外部の流体(液体、気体の両者を
含む)が浸入して該部に閉じこめられても、図1に示す
ガスケット10のように環状溝奥部5の鋭角部6を有し
ないため、フッ素樹脂外被42の最奥部6cは破損しに
くいという効果を有する。
に、フッ素樹脂外被の形状は、内径側端部55aおよび
外径側端部55bが封止され、袋状となっていてもよ
い。このようなフッ素樹脂包みガスケット50は、図1
に示すフッ素樹脂包みガスケット10の外径側端部15
b開口部をも封止した構造のものであり、このようなフ
ッ素樹脂包みガスケット50では、外部の流体が該ガス
ケット50の環状中芯体54内に浸入するのを防止で
き、環状部材54が濡れることによる強度低下を防止す
ることができるため好ましい。
の形状に限らず図3や図4のような外被形状であっても
よいし、外径側の開口部を封鎖した図5の構造のもので
あってもよい。
(3層)の環状部材にて構成されている態様を示した
が、本発明に係るフッ素樹脂包みガスケットは、上記態
様に限定されず、その環状中芯体は、例えば、図6、図
7に示すように1層(1枚)の環状部材68,78から
構成されていてもよい。すなわち、図6には、図1に示
す3層構成の環状中芯体14に代えて、1枚の環状部材
68からなる環状中芯体64がフッ素樹脂外被62の環
状溝69内に嵌入された態様が示されている。また、図
7には、図4に示す3層構成の環状中芯体44に代え
て、1枚の環状部材78からなる環状中芯体74がフッ
素樹脂外被72の環状溝79内に嵌入された態様が示さ
れている。このような環状部材(環状中芯体)では、そ
の外被側表裏面に硫酸バリウムに代表される無機粉体が
偏在していてもよい(図示せず)。
図1等における環状部材18a、18b等とその厚みの
点を除いて同一である。以上詳述したように、本発明で
は、フッ素樹脂包みガスケットの環状中芯材を構成する
環状部材は、有機繊維、非石綿系無機繊維、無機粉体
(好ましくは硫酸バリウム)、およびバインダーを含ん
でなっているため、環境への安全性に優れ、圧壊特性に
優れている。該環状部材を環状中芯材用の構成材として
1枚(1層)以上組み込んだ本発明のフッ素樹脂包みガ
スケットでは、常温で使用する場合には勿論のこと、高
温(200℃程度)で使用する場合にも応力緩和がほと
んど増加せず、適度の柔軟性を有し、気密性が良好に保
持され、高温での使用にも耐えることができる。
して使用した従来の非石綿系フッ素樹脂包みガスケット
においては、圧壊現象が顕著であった。その原因は、次
のように考えられる。従来、フッ素樹脂包みガスケット
に用いられていた石綿フェルト材は、石綿繊維に少量の
ゴムバインダーを配合したものであって、石綿繊維は繊
維径が小さく、それぞれの繊維が縮れて複雑に絡み合っ
た形態であるため、比較的強度が高かった。
中芯部材用の非石綿フェルト材としては、従来、無期繊
維を主成分とし、無機系粉体と少量の有機バインダーが
配合されたものが使われていた。すなわち、従来の石綿
フェルト材の配合成分のうち、石綿繊維を、無機粉体と
無機繊維とで置き換えたものである。
は、一般的に剛直で径の大きい無機繊維と、無機粉体と
が主体となるため、これらの非石綿フェルト材は、繊維
同士のからみ合いが少なく、強度が低い。
温下の気密特性に優れたフッ素樹脂包みガスケットが提
供される。
中芯材(非石綿系フェルト材)、該中芯材用の環状部材
は、常温での圧壊特性と高温下の気密特性に優れてい
る。特に、上記フッ素樹脂包みガスケットにおいて、外
被材料として、変性PTFEや、不安定末端基量が低減
されており−CF3末端基のみからなるPFA樹脂など
を用いることで、フッ素樹脂包みガスケットにおいては
外被破壊強度が向上するだけでなく、中芯材の圧壊強度
も向上し、ガスケット締め付け時の過剰締め付けに対す
る安全性も改善されており、しかも、高温の管体内部流
体の流通、遮断の繰り返し等に伴う圧力サイクルに対す
る耐屈曲性や高温下でのシール保持特性も著しく改善さ
れる。
粉体、好ましくは硫酸バリウムが偏在しているフッ素樹
脂包みガスケットでは、高温時における、気密性能が高
くなる。
に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何
ら限定されるものではない。
ケットをフランジ間に装着し、ガスケット応力が10M
Paとなるように油圧式圧縮試験機で荷重を負荷し5分
間荷重を保持した。その後ガスケットを取り出し、中芯
材の表面に微少な亀裂が発生していないかを目視によっ
て確認した。その後ガスケット応力を5MPaごとに上
げていき、中芯表面に微少亀裂が発生するまでガスケッ
ト応力を上げながら上記確認試験を繰り返した。
圧壊測定は、ガスケットをあらかじめ24時間水中に浸
漬しておくほかは、乾燥時の圧壊測定と同じである。
E(商品名「ポリフロンM12」、ダイキン工業
(株))を使用し、中芯材として下記3層構成の非石綿
中芯を使用し、ガスケット寸法:「JIS 10K 10
0A」のフッ素樹脂包みガスケットを製造した(図
1)。
mm/0.8mm/0.8mmの3層構成、中芯全体の
厚み2.4mm (イ)2枚の環状部材: 耐熱性有機繊維(アラミド繊維、商品名「コーネック
ス」(帝人(株)製) 無機繊維(ロックウール、商品名「エスファイバー繊
維」(新日鐵化学(株)製) 無機粉末(硫酸バリウム、平均粒径0.1〜0.2μ
m) バインダー(NBRラテックス) ///の配合比(重量部)=20/50/26
/4 (ロ)ジョイントシート(アラミド繊維10重量%/ゴム
40重量%/無機充填剤50重量%、厚み0.8mm) 上記フッ素樹脂包みガスケットを複数個作成した。フッ
素樹脂包みガスケットを、フランジ(フランジ材質:
「SUS 304」、フランジ表面粗さ:Rmax18
〜25μm)に取り付け、種々のガスケット面圧を印加
して各面圧毎に5分間保持した後に取り出し、中芯材の
表面に微少な亀裂が発生した面圧をもって、中芯圧壊面
圧とした。
圧壊面圧は、乾燥時120MPa、湿潤時100MPa
となった。結果を併せて表1に示す。
樹脂包みガスケットを取り付け、気密内圧(200℃で
100時間加熱後、窒素ガスを加圧して測定)を測定し
たところ、3.5MPaとなった。
リフロンM−112」、ダイキン工業(株))を使用し
た以外は実施例1と同様にしてフッ素樹脂包みガスケッ
トを製造した。
包みガスケットの中芯圧壊面圧は、乾燥時130MP
a、湿潤時120MPaとなった。また、気密内圧は、
3.0MPaとなった。
ようにロックウール65重量部、セピオライト31重量
部、バインダー4重量部に代えた以外は、実施例1と同
様にしてフッ素樹脂包みガスケットを作成した。
応力(乾燥時)は、70MPa、圧壊応力(湿潤時)は
40MPaとなった。また、上記と同様のフランジにこ
のフッ素樹脂包みガスケットを取り付け、気密内圧(2
00℃で100時間加熱後、窒素ガスを加圧して測定)
を測定したところ、3.0MPaとなった。
ように石綿繊維80重量部、セピオライト16重量部、
バインダー4重量部に代えた以外は、実施例1と同様に
してフッ素樹脂包みガスケットを作成した。
応力(乾燥時)は、110MPa、圧壊応力(湿潤時)
は60MPaとなった。また、上記と同様のフランジに
このフッ素樹脂包みガスケットを取り付け、気密内圧
(200℃で100時間加熱後、窒素ガスを加圧して測
定)を測定したところ、3.0MPaとなった。
包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
脂包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
脂包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
脂包みガスケットの断面図である。
脂包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
脂包みガスケットの要部断面を含む部分斜視図である。
脂包みガスケットの断面図である。
トの断面図である。
トの断面図である。
フッ素樹脂包みガスケット 11a、21a、31a、41a、51a、61a、7
1a・・・・・環状部材の上部外被側面(表面) 11b、21b、31b、41b、51b、61b、7
1b・・・・・環状部材の下部外被側面(表面) 12、22、32、42、52、62、72・・・・・
フッ素樹脂外被 12a、22a、32a、42a、52a、62a、7
2a・・・・・下側フッ素樹脂外被(下部外被) 12b、22b、32b、42b、52b、62b・・
・・・上側フッ素樹脂外被(上部外被) 13a、23a、33a、43a、53a、63a・・
・・・環状部材あるいは環状中芯体の外被側面(表面) 13b、23b、33b、43b、53b、63b、7
3b・・・・・環状部材あるいは環状中芯体の外被側面
(表面) 14、24、34、44、54、64、74・・・・・
環状中芯体 15b・・・・・ガスケットの外径側端部 16、26、36、46、56・・・・・環状シート
(ジョイントシート) 27・・・・・無機粉体が外被側表面に偏在した環状部
材 27a、28a・・・・・有機繊維、無機繊維およびバ
インダーを主成分とする層 28・・・・・無機粉体が外被側表面に偏在した環状部
材 27b、28b・・・・・無機粉体(硫酸バリウム)と
バインダーを主成分とする層 18a、38a、48a、58a、68a、78a・・
・・・環状部材(下面側環状部材) 18b、38b、48b、58b、68b、78b・・
・・・環状部材(上面側環状部材) 19、29、39、49、59、69、79・・・・・
環状溝 55a・・・・・フッ素樹脂外被の内径側端部 15b、25b、35b、45b、55b・・・・・フ
ッ素樹脂外被あるいはガスケットの外径側端部
Claims (5)
- 【請求項1】フッ素樹脂外被の環状溝内に、単層または
複数の環状部材を積層してなる環状中芯体が嵌入された
フッ素樹脂包みガスケットであって、 前記環状中芯体を構成する少なくとも1層の環状部材
が、有機繊維、無機繊維、無機粉体およびバインダーを
含むことを特徴とするフッ素樹脂包みガスケット。 - 【請求項2】前記無機粉体が、硫酸バリウム、タルク、
クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸
化マグネシウム、ケイ酸、二酸化珪素、炭酸カルシウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシ
ウムのうちから選択される少なくとも1種の化合物であ
る請求項1に記載のフッ素樹脂包みガスケット。 - 【請求項3】上記無機粉体の平均粒径が1.5μm以下
である請求項1〜2の何れかに記載のフッ素樹脂包みガ
スケット。 - 【請求項4】フッ素樹脂外被の環状溝内に嵌入される環
状中芯体を構成する単層または複数の層からなるフッ素
樹脂包みガスケット用の環状部材であって、 前記環状部材のうち少なくとも1つの環状部材が、有機
繊維、無機繊維、無機粉体およびバインダーを含むこと
を特徴とするフッ素樹脂包みガスケット用の環状部材。 - 【請求項5】前記無機粉体が、硫酸バリウム、タルク、
クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸
化マグネシウム、ケイ酸、二酸化珪素、炭酸カルシウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシ
ウムのうちから選択される少なくとも1種の化合物であ
る請求項4に記載のフッ素樹脂包みガスケット用の環状
部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10274878A JP2000104832A (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | フッ素樹脂包みガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10274878A JP2000104832A (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | フッ素樹脂包みガスケット |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008208970A Division JP5155771B2 (ja) | 2008-08-14 | 2008-08-14 | フッ素樹脂包みガスケット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000104832A true JP2000104832A (ja) | 2000-04-11 |
Family
ID=17547811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10274878A Pending JP2000104832A (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | フッ素樹脂包みガスケット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000104832A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003013705A (ja) * | 2001-04-04 | 2003-01-15 | Siemens Ag | ギャップシール用のシール要素と該要素を持つ燃焼タービン |
JP2005337401A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Nippon Valqua Ind Ltd | フッ素樹脂包みガスケット |
JP2008291989A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-12-04 | Japan Matekkusu Kk | ガスケット |
-
1998
- 1998-09-29 JP JP10274878A patent/JP2000104832A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005337401A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Nippon Valqua Ind Ltd | フッ素樹脂包みガスケット |
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