JP2000103625A - ガラス材の製造方法およびガラスファイバの製造方法 - Google Patents

ガラス材の製造方法およびガラスファイバの製造方法

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JP2000103625A JP11217344A JP21734499A JP2000103625A JP 2000103625 A JP2000103625 A JP 2000103625A JP 11217344 A JP11217344 A JP 11217344A JP 21734499 A JP21734499 A JP 21734499A JP 2000103625 A JP2000103625 A JP 2000103625A
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glass material
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crucible
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Soji Arai
壮二 新井
Yoshikazu Nishii
由和 西井
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Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色を防止して、それによる紫外線域の外部
透過率を向上させるとともに、泡をなくし、それによる
紫外線域の内部透過率を向上させたガラス材の製造方
法、およびガラスファイバーの製造方法を提供する。 【解決手段】 (A)原料混合物をガラス状態に溶融す
る工程、(B)(A)工程で得られたガラス状態の溶融
物を固化することなく、白金を含まない材料からなる坩
堝中で清澄、均質化処理したのち、成型する工程、およ
び(C)この成型物を冷却してガラス塊を得る工程を施
すことにより、ガラス材を製造する方法、およびこの方
法により得られたガラス材を紡糸炉にて紡糸処理するガ
ラスファイバーの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス材の製造方
法およびガラスファイバの製造方法に関する。さらに詳
しくは、本発明は、着色の制限が厳しいガラス材、高紫
外線透過がもとめられるガラス材、例えば浄化装置など
における光触媒フィルタなどに使用される光触媒担持用
ガラス材を効率よく製造する方法、および、この方法に
より得られたガラス材を用いてガラスファイバを製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ガラス材の製造においては、所
望の組成のガラス材が得られるように、原料の水酸化
物、炭酸塩、硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物などを混
合して、原料混合物を調製したのち、これを溶融するこ
とが行われている。そして、ガラスの溶融においては、
通常二段階法が採用されている。
【0003】図2は、一般的なガラス材およびガラスフ
ァイバの製造工程における、時間と温度との関係の1例
を時系列的に示したグラフであり、この図で示されるよ
うに、通常まず、第1段階の溶融(図2において、点a
〜c)を行い、次いで第2段階の溶融(図2において、
点c〜点j)を行ってガラス材を得たのち、紡糸処理
(図2において、点j〜点m)して、ガラスファイバを
製造する方法が採られている。
【0004】上記第1段階の溶融は、原料混合物(以
下、バッチ原料と記すことがある)をガラス化する目的
で行われる工程であって、この工程においては、通常、
高純度精製物とされる、不純物を2%程度含む高純度原
料を使用するものであるが、高純度原料としては、水酸
化物、炭酸塩、硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物等を所
定の割合で配合して、バッチ原料を調製した後、該バッ
チ原料を、通常、石英製坩堝(以下、石英坩堝と記すこ
とがある)中で約1400℃程度に加熱し、7〜9時間
程度かけて溶融し、ガラス化することが行われる。上記
バッチ原料の精製においては、調合・溶解において金属
との接触を避け、原料およびバッチ原料の保存・保管に
おいても埃などが混入しないようにしている。この際、
高温で加熱溶融してガラス化するために、バッチ原料の
反応性が非常に高くなり、ガラス化過程のバッチ原料中
において例えばCO2、NO2等のガス成分が発生し、無
数の泡が発生する。そして、これらの泡を、ガラス化過
程にある溶融しているガラス中に残したまま攪拌を行っ
て成型し(図2点b)、その後ガラスを急冷し(図2点
c)、約1cm×1cm×1cmの大きさを有するカレ
ット状のガラス塊を得る。
【0005】前記第1段階の溶融の後に行われる第2段
階の溶融は、前記第1段階の溶融にて得られたガラス塊
をベースにして、用途ごとに任意に定める所定の基準を
満たす品質を有するガラス材を得ることを目的として行
われる工程である。すなわち、第2段階の溶融において
は、白金坩堝中で、ガラスの軟化、清澄・脱泡、攪拌・
均質化、流出・成型工程という、一連のガラス材の製造
工程を行なうものである。
【0006】この第2段階の溶融においては、第1段階
の溶融で得られた、前記ガラス塊を白金坩堝に投入して
(図2点c)、約1400℃に加熱し、約2〜3時間か
けて該ガラス塊を軟化させる(図2点e)。その後、こ
の軟化したガラス材を約1450℃に加熱し(図2点
f)、約7〜9時間かけて脱泡、攪拌することで、清澄
および均質化が行われる(図2点g)。そして、清澄、
均質化された溶融しているガラスを約1350℃に加熱
し(図2点h)、さらに脱泡および攪拌を行い清澄、均
質化したのち、これを鋳型に流し込み、成型する(図2
点i)。次いで、冷却し、例えば径が約30mm、長さ
が約1000mmサイズの円柱形ブロック状のガラス塊
を得る(図2点j)。
【0007】次に、このようにして得られたガラス塊か
らガラスファイバを製造するために、紡糸処理が行われ
る。まず、上記ガラス塊を紡糸炉に投入して約1100
℃に加熱したのち(図2点k)、軟化したガラス材を紡
糸し(図2点l)、その後急冷することにより、ガラス
ファイバが得られる(図2点m)。
【0008】このように、従来のガラス材の製造方法に
おいては、原料混合物を溶融してガラス化させた後に溶
融しているガラスをブロック成型するという工程と、前
記ブロック成型したガラス材を軟化させて、清澄・均質
化を行って溶融しているガラスをブロック成型するとい
う工程によりガラス材を製造している。つまり、従来の
ガラス材の製造方法においては、原料混合物のガラス化
工程と、清澄・均質化工程を、全く別の溶融工程として
行っていた。
【0009】すなわち、上述したように、従来のガラス
材の製造においては、第1段階の溶融として、反応性の
高いバッチ原料を、ガラス化のために石英坩堝を使用し
て溶融しており、そして第2段階の溶融として、各種用
途に対して応用可能な品質のガラス材を得るために、白
金坩堝を使用して溶融が行われている。この白金は安定
性のある材質であるために、坩堝として使用してもそれ
自体がガラス材中に溶出することのない物質であり、ま
た、ガラス材を成型するのには、白金坩堝が最適である
と考えられ、ガラス成型時のガラスによる浸食溶け込み
が少ない、再使用が可能である、酸化しにくい、加工し
易い、通電することで発熱体として使用でき、温度制御
も容易である、長期的には低コストで使用できるという
メリットがある。
【0010】ところで、着色に関する制限が厳しいガラ
ス材として、ケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラ
ス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸
塩ガラス等が知られている。このようなガラス材は多岐
に渡る用途において様々な特性が求められており、その
形状も様々であるが、たとえば、ガラス材に対する着色
に関する制限が厳しい製品、または高紫外線透過ガラ
ス、たとえば、光触媒担持用ガラス、EPROMカバー
ガラス、ガラスファイバとしては、光触媒ファイバが挙
げられる。光触媒技術は、光触媒が光照射下で生じる強
い酸化力を主に利用したものであり、室内・車内・庫内
などの雰囲気や排気ガス等を浄化するガス処理装置(脱
臭装置、空気清浄器、ガス除去装置、排ガス浄化装置な
ど)にも応用されている。
【0011】従来のガス処理装置に使用されているガス
処理フィルタは、平面上やハニカム状などのフィルタ材
料の表面に光触媒の薄膜などを担持させたものが用いら
れ、光源の光をフィルタ材に外部から照射するようにし
ている。
【0012】ここで、光触媒作用を有する金属における
光触媒作用は、光エネルギーを吸収することで、スーパ
ーオキサイドアニオン(・O2 -)、ヒドロキシラジカル
(・OH)などのイオン化酸素分子を発生させ、その結
果有機物を酸化分解するので、近年、この光触媒作用を
フィルタに利用して、各種水処理、空気処理、環境浄化
などに応用しようとする試みが積極的に行われている。
【0013】フィルタ材料としての光触媒ファイバは、
コアとクラッドの二層構造を有し、上記コアはモノフィ
ラメント型のガラスファイバに相当し、そのコアの表面
に担持されたクラッドは光触媒に相当する。このよう
に、光触媒ファイバにおいては、光触媒反応を促進する
ために必要な紫外線を供給しなければならない。すなわ
ち、光触媒ファイバにおいては、コアを覆うクラッドの
屈折率は、上記コアの屈折率よりも大きく、一方の端部
から入射した紫外光が、少しずつ側面から漏れ出ながら
光触媒ファイバ中を伝わるため、コア表面に形成した光
触媒に効率よく紫外光を照射しなければならない。した
がって、光触媒ファイバの基材として適用するガラスフ
ァイバの条件としては、紫外線域の透過率が良くなけれ
ばならない。そのためには、光触媒ファイバに適用され
るガラス材においても、着色したガラスは使用できず、
かつ、泡数が0に近く脈理のないものが要求されてい
る。
【0014】着色のないガラス材としては、石英ガラ
ス、ソーダライムガラスが挙げられるが、石英ガラス
は、光触媒中への不純物の拡散がなく光触媒担持用基材
として好ましいが、製造コストが高いため、実用的でな
く、かつ、ガラスの軟化温度が高いため、様々な形状へ
の熱間加工が難しく、ファイバ化することによりさらに
コストが高くなるのが避けられない。また、ソーダライ
ムガラスは、光触媒活性が劣化し好ましくないことが報
告されている。つまり、ガラス中のナトリウムイオンが
光触媒中に拡散して、光触媒が熱酸化する際に化合物を
形成することに起因すると考えられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】これまでは、第1段階
の溶融において石英坩堝を使用して、バッチ原料のガラ
ス化を行うとともに一旦それを成型し、その後に、清澄
・均質化を目的とした第2段階の溶融において、無数の
泡を含んでいる前記成型したガラス塊を使用して、白金
坩堝中でそれを溶融状態にするために軟化させて再溶融
させ、清澄・均質化の行える状態にしていた。しかしな
がら、このようなガラス材の製造方法においては、得ら
れるガラス材が着色するのを免れないということが、本
発明者らによって明らかにされた。
【0016】本発明は、このような従来のガラス材およ
びガラスファイバの製造方法がもつ欠点を克服し、着色
を防止するとともに、泡を無くして、紫外線域の透過率
を向上させ、たとえば光触媒担持用などとして好適なガ
ラス材およびガラスファイバを低い製造コストで効率よ
く製造する方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来のように
ガラスの溶融に二段階法を用いることなく、原料混合物
をガラス状態に溶融したのち、引き続き、このガラス状
態の溶融物を白金を含まない材料からなる坩堝中で清
澄、均質化処理して成型し、次いでこの成型物を冷却す
ることにより、着色および泡のないガラス材が効率よく
得られ、その目的を達成しうることを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明は、(1)(A)原料混
合物をガラス状態に溶融する工程、(B)(A)工程で
得られたガラス状態の溶融物を固化することなく、白金
を含まない材料からなる坩堝中で清澄、均質化処理した
のち、成型する工程、および(C)この成型物を冷却し
てガラス塊を得る工程を施すことを特徴とするガラス材
の製造方法、を提供するものである。
【0019】(2)ガラス塊を加熱処理して再溶融させ
る工程を含まない上記(1)のガラス材の製造方法、
(3)(A)工程で得られたガラス状態の溶融物が無数
の泡を含むものである上記(1)、(2)のガラス材の
製造方法、(4)ガラス材が着色していないものである
上記(1)〜(3)のガラス材の製造方法、(5)
(A)工程における原料混合物の溶融を、白金を含まな
い材料からなる坩堝中で行う上記(1)〜(4)のガラ
スの製造方法、(6)(A)工程における原料混合物の
溶融に用いる坩堝が、石英、クレイ、グラッシーカーボ
ン、アルミナおよび耐火レンガの中から選ばれる材料か
らなるものである上記(5)のガラス材の製造方法、
(7)(B)工程における清澄、均質化処理に用いる坩
堝が、石英、クレイ、グラッシーカーボン、アルミナお
よび耐火レンガの中から選ばれる材料からなるものであ
る上記(1)〜(6)のガラス材の製造方法、(8)
(A)工程で用いる原料混合物が、製造工程中におい
て、坩堝を構成する材料からガラス材中へ溶出する成分
の種類および量を考慮して、調製したものである上記
(1)〜(7)のガラス材の製造方法、(9)(A)工
程および(B)工程で用いる坩堝が石英製のものであっ
て、原料混合物中のSiO2換算量が、所望のガラス材
組成(100重量部中の重量部表示)におけるSiO2
重量部よりも0.5〜20重量部低くなるように原料混
合物を調製する上記(8)のガラス材の製造方法、
【0020】(10)(B)工程における清澄、均質化
処理を700〜1600℃の温度で行う上記(1)〜
(9)のガラス材の製造方法、(11)(B)工程にお
ける清澄、均質化処理を1400〜1450℃の温度で
行う上記(10)のガラス材の製造方法、(12)
(A)工程における原料混合物の溶融を600〜150
0℃の温度で行う上記(1)〜(11)のガラス材の製
造方法、(13)(A)工程における原料混合物の溶融
を1350〜1400℃の温度で行う上記(12)に記
載のガラス材の製造方法、(14)(A)工程及び
(B)工程において、還元雰囲気にすることを特徴とす
る上記(1)〜(13)のガラス材の製造方法、(1
5)還元剤を原料混合物に混入させる、もしくは、
(A)工程においてガラス状態になっているときに還元
剤を投入することにより還元雰囲気にすることを特徴と
する上記(14)のガラス材の製造方法、(16)上記
原料混合物の0.001〜10重量%の還元剤を使用す
るものであることを特徴とする上記(15)のガラス材
の製造方法、(17)上記(1)〜(16)の製造方法
により得られたガラス材を紡糸炉にて紡糸処理すること
を特徴とするガラスファイバの製造方法、(18)紡糸
炉が白金製のものである上記(17)のガラスファイバ
の製造方法、(19)紡糸処理を600〜1300℃の
温度にて行う上記(17)または(18)のガラスファ
イバの製造方法、
【0021】(20)ガラス材が、SiO2 30〜7
0重量%およびアルカリ金属酸化物0〜10重量%を含
有する、低アルカリガラスのケイ酸塩ガラス、アルミノ
ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラ
ス、フツリン酸塩ガラスまたは無アルカリガラスであっ
て、原料混合物中には、不純物である鉄を、その換算量
で0〜50ppm含むものである上記(1)〜(19)
のガラス材の製造方法、(21)ガラス材が、重量%表
示で、SiO2 30〜70%、Al23 1〜35
%、B23 0〜20%、MgO 0〜20%、CaO
0〜40%、SrO 0〜20%、BaO 0〜40
%、ZnO 0〜20%、Li2O 0〜10%、Na2
O 0〜10%、K2O 0〜10%、Cs2O 0〜1
0%(ただし、Li2O、Na2O、K2OおよびCs2
の合計量0〜10%、MgO、CaO、SrO、Ba
O、ZnO、Li2O、Na2O、K2OおよびCs2Oの
合計量0.1〜65%)を含有するものである上記(2
0)のガラス材の製造方法、(22) ガラス材が、重
量%表示で、SiO2 30〜65%、Al23 1〜
20%、B23 0〜15%、MgO 0〜20%、C
aO 0〜30%、SrO 0〜20%、BaO 0〜
40%、ZnO 0〜20%(ただし、MgO、Ca
O、SrO、BaOおよびZnOの合計量20〜60
%)、Li2O 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2
O 0〜5%、Cs2O 0〜5%(ただし、Li2O、
Na2O、K2OおよびCs2Oの合計量0〜5%、Mg
O、CaO、SrO、BaO、ZnO、Li2O、Na2
O、K2OおよびCs2Oの合計量20〜60%)を含有
するものである上記(21)のガラス材の製造方法、
(23) ガラス材が、SiO2とAl23を合計量で
50〜80重量%の割合で含有するものである上記(2
0)〜(22)のガラス材の製造方法、および(24)
ガラス材が、さらに他の成分として、PbO、ZrO
2、TiO2、As23、Sb23、SnO2、La
23、P25、WO3、Bi23、Ta25、Nb
25、Gd23およびFの中から選ばれる少なくとも1
種を含有するものである上記(20)〜(23)のガラ
ス材の製造方法、である。
【0022】さらに、本発明は、(25) 上記(2
0)〜(24)のガラス材を紡糸炉にて紡糸処理するこ
とにより得たことを特徴とするガラスファイバ、をも提
供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のガラス材の製造方法は、
着色がなく、かつ泡のないガラス材を効率よく製造する
ためのものである。
【0024】このガラス材の着色について、分光透過率
曲線を示す図3を用いて説明する。図3は、ガラス材の
分光透過率曲線の異なった例を示すグラフであって、横
軸が波長(nm)、縦軸が透過率(%)を示す。ここで
は、10±0.1mmの厚さに研磨されたガラス材を用
いて、立ち上がり波長から700nmまでの波長域での
分光透過率(反射損失も含む)を測定し、透過率80%
と5%を示す波長をそれぞれ10nm単位で表示した
ものである。
【0025】図3においては、紫外線を透過させるため
に、上述したような市販の高純度原料(高純度の程度9
9%以上)を混合した高純度のバッチ原料を用いて製造
したガラス材に関する特性を示すものであって、曲線a
は着色のないガラス材における理論的な曲線であり、曲
線bは図2に示すガラス材の製造方法(従来の製造方
法)にて製造した発色成分を含むガラス材における実際
の波長と透過率との関係を示す曲線である。このような
ガラス材においては、短波長側に透過率カーブが表れる
が、波長が310〜410nmにおける透過率、すなわ
ち、紫外線域における透過率が低下してしまい、ガラス
材の紫外線透過特性が低下する。つまり、紫外線域の波
長域である、365nm付近においてガラス材中への3
価の鉄イオン(以下Fe3+と記す)による吸収が起こっ
ていると想定されるが、この紫外線透過特性の低下は、
ガラス材への着色に起因しているものであり、したがっ
て、従来のガラス材の製造方法における溶融において使
用した白金坩堝が原因であると考えられる。このことか
ら、上記ガラス材の製造方法においては、着色に対する
制限の厳しいタイプのガラス材での着色、紫外線透過が
必要なガラス材での透過率低下が深刻な問題となってい
る。そこで、このような事態を阻止するためには、ガラ
ス材の製造工程における雰囲気中に不純物が入らないよ
うにした上で、ガラス材の製造工程において、さらに不
純物の量を制限した高純度のバッチ原料を使用する、白
金坩堝の使用を止める、という方法が考えられる。以
下、これらの事項についてそれぞれ検討する。
【0026】まず、不純物、特に鉄不純物の含有量の少
ない高純度のバッチ原料を使用することについて検討す
る。従来方法の第1段階の溶融で得られたガラス塊にお
いては、たとえ、高純度に精製されたバッチ原料を用い
て、バッチ原料中に混入している不純物の各成分の含有
量を制限したとしても、微量に、金属等の不純物が混在
していると考えられる。そして、第2段階の溶融におい
て、このガラス塊を白金坩堝中で軟化させることで、前
記ガラス材に対して脱泡、攪拌が可能となるときに、前
記不純物も活性状態となり、この不純物に対し白金が触
媒となって、溶融しているガラス材中の不純物を酸化し
てしまうおそれがある。よって、白金坩堝中、高温での
清澄・均質化を行うことで、溶融ガラス中の脱泡が効率
よく行えるものの、上述したように、鉄等の不純物がバ
ッチ原料中に微量であっても混入されているから、白金
坩堝中でそれが高温に加熱されているときにそれが熱に
より酸化されることによりFe3+が生成される。このよ
うに、坩堝材料である白金が酸化作用を促進するため、
ガラス材への着色要因となるおそれがある。つまり、鉄
不純物の含有量が少ない高純度のバッチ原料を使用して
も、バッチ原料中に微量に含まれている不純物の鉄が高
温加熱により熱酸化されるという環境に加えて、坩堝材
料である白金が鉄の酸化反応に寄与する材質であるとい
う苛酷な環境下でガラス材を製造しているため、ガラス
材が着色しやすいという問題は容易に解決しがたい。
【0027】次に、ガラス材の製造工程における雰囲気
中に不純物が入らないようにすることについて検討す
る。この方法については、通常、ガラスファイバの製造
において適用されているが、ガラス材の製造工程におい
ては適用されていない。つまり、この方法は、上述した
ガラス材の製造工程においては、バッチ原料、第1段階
の溶融において溶融している物質、第1段階において得
られたガラス塊、第2段階の溶融において溶融している
物質、第2段階において得られたガラス塊と変化してい
く工程中で、ガラス材に含まれる材料以外の物質(たと
えば金属)に接触することになる。すなわち、坩堝、攪
拌棒、溶融雰囲気(空気)、成型に使用する型、冷却に
使用する物質等がガラス材の製造工程において接触す
る。しかも、高温のガラスにこれらの物質が接した場合
に、それらを溶かし込んでしまうおそれがあり、それに
よってガラス材が着色してしまうおそれがある。
【0028】次に、白金坩堝の使用を止めることについ
て検討する。白金坩堝をガラス材の製造工程で使用する
メリットについては、先に説明したが、そのメリットを
考慮すると白金坩堝を使用することが従来必須であると
考えられていた。しかしながら、ガラス材の種類、たと
えばHOYA−SCHOTT(株)社製硝種F2のよう
なライトガイド用多成分系ファイバを製造するための、
鉛系のガラス材の溶融においては、鉛すなわちガラス材
そのものの成分に対して酸化反応が起こってしまうの
で、第2段階の溶融で、さらにガラスの温度を上昇させ
て脱泡、均質化を行っている際に、ガラス材が着色する
おそれがある。また、前記硝種F2のような鉛系のガラ
ス材でなくとも、上述したように、坩堝を高温加熱する
だけで、坩堝自体が酸化反応を促進する触媒になってし
まうため、着色成分を含有しているガラス材、着色する
金属不純物を微量にでも含有しているガラス材の製造に
おいては着色を避けるのは難しい。このようなガラス材
の製造工程においては、清澄、均質化のための、坩堝を
高温にするという工程を削除することは、製造工程上困
難であり、バッチ原料中に着色成分を微量でも含んでい
る限り、白金坩堝を使用して高温で清澄・均質化を行え
ば、ガラス材の着色を避けるのは困難である。
【0029】ここで、ガラス材の製造工程における脱
泡、攪拌工程について検討する。上述したように、泡数
に関しては、前記第1段階の溶融において得られた第1
のガラス塊においては、製造工程の性質上、バッチ原料
をガラス化させているだけなので、大きな泡と小さな泡
とが無数に共存している。これをファイバ化すると、大
きな泡は、紡糸の際に線状になって消失するものの、小
さな泡はファイバ内に球状になって混在するため、紫外
線の透過を妨げ、光を減衰させるので、内部透過率を低
下させる原因となる。したがって、ガラス材の品質を確
保するためには、従来法においては、第2段階の溶融工
程はガラス材の製造工程上必須であり、この第2段階の
溶融においては、第1段階の溶融よりも溶融温度を高く
して、長時間かけて清澄、均質化を行い、泡、異物、脈
理がないようにして、ガラス材の内部透過率を向上させ
ることが必要である。
【0030】また、従来のガラスの製造方法において、
前記第1段階の溶融で得た第1のガラス塊(図2におけ
る点cにおいて得られたガラス塊)と、第2段階の溶融
で得た第2のガラス塊(図2における点jにおいて得ら
れたガラス塊)について、外部透過率を測定したとこ
ろ、以下に示す結果が得られた(ここで、外部透過率と
は、表面反射を含む透過率のことをいう)。
【0031】すなわち、第1のガラス塊と第2のガラス
塊との関係を、図3で説明すると、第1のガラス塊は曲
線a、第2のガラス塊は曲線bのようになり、第2のガ
ラス塊の方が外部透過率が紫外線波長310〜410n
mで低下していた。つまり、清澄、均質化後に得られた
第2のガラス塊の方が、バッチ原料をガラス化しただけ
の第1のガラス塊よりも、外部透過率が低く、着色して
いた。
【0032】第1段階の溶融と、第2段階の溶融とを比
較すると、第1段階の溶融においては、石英坩堝を使用
しているために、バッチ原料のガラス化の際に、坩堝材
料に起因したガラス材への異物混入は起こらないが、第
2段階の溶融においては、溶融に使用している白金坩堝
に起因して、先に述べたガラス材への白金の影響によ
り、泡、異物、脈理は発生しないものの、ガラス材が着
色してしまうために、外部透過率が低下していると考え
られる。
【0033】本発明者らは、このような知見に基づい
て、着色、泡、異物、脈理がなく、紫外域における高内
部透過率および高外部透過率を達成できるガラス材の製
造方法を開発した。つまり、従来のガラス材の製造方法
の欠点を解決し、光透過特性を低下させない、本発明の
ガラス材及びガラスファイバの製造方法を適用する必要
がある。すなわち、本発明のガラス材の製造方法におい
ては、上述したように、白金を坩堝材料として用いてい
ない坩堝を用い、さらに、高純度のバッチ原料を使用
し、ガラス材の製造工程における雰囲気中に不純物が入
らないようにするものである。
【0034】本発明のガラス材の製造方法は、以下に示
す(A)工程、(B)工程および(C)工程、ガラスフ
ァイバの製造方法は以下に示す紡糸工程から構成されて
おり、これらについて、図1を用いて説明する。図1
は、本発明のガラス材およびガラスファイバの製造工程
における、時間と温度との関係の1例を時系列的に示し
たグラフである。
【0035】(A)工程:上述したように、これら
(A)工程、(B)工程および(C)工程においても、
バッチ原料等への不純物混入、バッチ原料における汚れ
に対して対策を施したものである。(A)工程において
は、まず、不純物含有量について制限した、高純度の水
酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物など
を、所定の割合で配合してバッチ原料を調製したのち、
このバッチ原料を坩堝中で加熱溶融してガラス状態とす
る。ここで、高純度の原料としては、各原料中の不純物
の量が、50ppm以下、たとえば、バッチ原料中の鉄
が50ppm以下になるようにした。バッチ原料の調製
においては、調合、溶解における金属類との接触を避
け、原料、バッチ原料の保存・保管においても埃などが
混入しないようにするとともに汚れないようにし、溶解
作業中の汚れ、埃混入がないようにした。ガラスの溶解
においては、原料が組み合わされているので、分解放出
するガスが様々であり、(A)工程でガラス化するとき
に、上記ガスが1気圧となって液状のガラス中を浮上し
液面に上昇するようにして、溶融ガラス中に泡ができる
だけ残らないようにした。
【0036】この際、坩堝としては、白金を含まない材
料からなるもの、すなわち、石英、クレイ、グラッシー
カーボン、アルミナおよび耐火レンガの中から選ばれる
材料からなるものを使用するものであり、特に石英製の
ものが好適である。石英坩堝は、高純度のSiO2から
なるものであり、たとえ、バッチ原料にガラス材への着
色要因となる鉄等の不純物が混入していて、坩堝が加熱
されることでその不純物が熱酸化されていても、シリカ
自体が反応性を呈する物質ではないため、不純物に対す
る触媒にはならない。従ってたとえば、坩堝自体が要因
となって不純物として混入され易い鉄等を酸化する要因
にはならない。また、たとえ坩堝材料のガラス材への溶
け込みがあっても、石英坩堝を使用し、バッチ原料中に
SiO2が存在していれば、坩堝の材料であるSiO2
溶融中のガラスに溶け込むことになり、ガラス組成上問
題にならず、他の物質に対して反応性を示したり、金属
の酸化反応に関与する物質でない点で優れている。
【0037】また、クレイ坩堝は、主成分としてAl2
3およびSiO2を約90重量%の割合で含有するもの
であって、坩堝内表面はSiO2からなっている。グラ
ッシーカーボン坩堝は、主成分がカーボンであって、約
99重量%を占めており、アルミナ坩堝は、主成分とし
てAl23を約90重量%以上の割合で含有し、他にS
iO2を含有するものである。さらに、耐火レンガ坩堝
は、主成分としてAl23を約94重量%以上の割合で
含有するものである。
【0038】このように、上述したような坩堝であれ
ば、Al23、SiO2をガラス材の一成分とすれば、
主成分がガラス材を構成する成分または気化する物質で
あるため、これらがガラス材に溶け込んでも、あるいは
気化してもなんら問題がなく、所望のガラス材を製造す
ることができる。
【0039】また、バッチ原料の調製においては、この
(A)工程および後で説明する(B)工程で、坩堝を構
成する材料からガラス材中へ溶出する成分の種類および
量を考慮して、所望の組成のガラス材が得られるよう
に、調製するのが有利である。このような坩堝材料のガ
ラス材中への成分の溶出量の調整方法については、後に
詳細に説明するが、たとえば、(A)工程および(B)
工程で用いる坩堝が石英製のものであって、ガラス材の
構成成分としてSiO2が含まれている場合には、溶融
温度および溶融時間を調整し、バッチ原料中のSiO2
の換算量を調整することにより、所望の組成のガラス材
を得ることができる。ここで、ガラス中のSiO2が少
なすぎると失透しやすくなるとともに、石英坩堝は、白
金坩堝のように泡切れがよくないので、ガラス材の失透
についても考慮した上で、原料混合物中のSiO2の換
算量を調整しなければならない。ガラスの失透状態につ
いては、ガラスの屈折率を参照して検討することができ
る。
【0040】(A)工程においては、このバッチ原料を
前記坩堝に入れ、攪拌棒で攪拌しながら600〜150
0℃程度に加熱して溶融し、ガラス状態とする。この加
熱温度はガラスの種類に応じて適宜選定するのがよく、
たとえばリン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスの場合は
600〜1000℃の温度が好ましい。これに対し、ホ
ウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラスの場合は1000〜
1500℃が好ましく、特に1350〜1400℃の範
囲が好適である。加熱溶融時間は、ガラスの種類及び加
熱温度に左右されるが、一般には0.5〜5時間程度で
ある。攪拌棒は、坩堝材料と同様の理由で、白金を含ま
ない材料からなるものを使用し、上述した坩堝を構成す
る材料と同じ材料を用いることができ、特に石英からな
るものが好適である。
【0041】また、本発明のガラス材の製造方法におい
ては、バッチ原料中に含有されている微量の不純物であ
るFe23等の物質に起因したFe3+をFe2+に還元す
べく、バッチ原料のガラス化工程である(A)工程、清
澄・均質化工程である(B)工程において、継続して還
元雰囲気を作るのが好ましい。このようにすると、Fe
3+の波長の吸収領域が365nm付近であるのに対し、
Fe2+の波長の吸収領域が850nmであるので、紫外
域での波長の吸収を防止することができる。着色原因で
ある不純物のFe3+をFe2+に還元できるように、バッ
チ原料中の不純物としての鉄の含有量が、0〜50pp
m、好ましくは、0〜10ppm、さらに好ましくは0
〜1ppmになるようにする。Fe3+の還元方法として
は、脱酸素雰囲気、たとえば、N2、Ar、He等の雰
囲気中で還元する、還元雰囲気、たとえば、水素混入雰
囲気(H2 8%、O2 12%、N2 80%)のよう
なフロート法の雰囲気中で還元する、有機物などの還元
剤を導入して還元する、金属原料、たとえば、Si、A
l等を使用する、等の方法が挙げられる。また、これに
限定されず、バッチ原料中の鉄の含有量を上記量になる
ように精製した後のバッチ原料を使用してガラス材の製
造を行うこともできる。
【0042】以上述べたように、還元雰囲気にするため
の方法は種々存在するが、還元剤を用いるのが最も好適
である。還元剤としては、高温(1450〜1500℃
程度)で長時間、たとえば、8時間程度、加えられる熱
に対して耐えられるとともに、還元作用を安定して発現
することができるものであって、鉄以外の還元剤、鉄を
含まない還元剤であることがもとめられる。還元剤とし
ては、色を呈する金属を除外することが好ましいが、ガ
ラス材から製造されるガラスファイバの口径が125μ
m、10cm長で、その紫外線透過率が80%で良品と
規定するのであれば、紫外域における吸収が無いもの
で、融点の高い金属還元剤、たとえば、Al、Sn,Z
n,Ga、Si、Ge等が好適に用いられる。さらに好
ましくは、高純度な還元剤が入手しやすいという条件か
らは、Si,Geが好ましく用いられるが、還元剤がガ
ラス材中に溶け込むという点では、ガラスを形成する成
分であることが好ましいから、SiO2を含有するガラ
ス材の製造においては、Siを還元剤として用いるのが
最適である。
【0043】還元剤の量は、バッチ原料に対して、ガラ
スの溶解時間、溶解温度にもよるが、0.001〜10
重量%とし、溶解時間、溶解温度に応じて、この範囲内
で選択することが可能である。つまり、溶解時間内に還
元剤が溶け切ることがなく、還元剤の溶け残りが生じず
泡切れできる程度である範囲で、適度な量の還元剤を、
使用することができる。還元剤中の不純物は、熱により
金属還元剤自らが活性化して、不純物を活性化させる
が、金属還元剤は、バッチ原料中の不純物と自らが含む
不純物を還元できる程度であれば、不純物を含んでいて
も問題無い。しかしながら、還元作用の効率の観点から
は、還元剤中に不純物としての鉄が含まれていないもの
を使用することが好ましく、還元剤中に許容できる不純
物としての鉄の含有量は、総量で0〜200ppm、好
ましくは0〜20ppm、さらに好ましくは0〜1pp
mである。また、還元剤の投入は、バッチ原料中に混入
しても良く、また、ガラス化するときにバッチ原料中に
投入するという方法にて行っても良い。
【0044】(A)工程の1例を図1で説明すると、バ
ッチ原料を約1400℃に加熱し(図1点A)、この温
度にて1.5〜3時間程度保持して溶融し、ガラス化さ
せる(図1点B)。このようにして得られたガラス状態
の溶融物中には、大小無数の泡が存在している。
【0045】(B)工程:(B)工程においては、前記
(A)工程で得られたガラス状態の溶融物を固化するこ
となく、白金を含まない材料からなる坩堝中で清澄、均
質化処理したのち、成型が行われる。
【0046】上記清澄、均質化処理は、ガラス状態の溶
融物を700〜1500℃程度に加熱し、脱泡、および
攪拌して脈理がでないように均質化することにより行わ
れる。この加熱温度は、ガラスの種類に応じて適宜選定
するのがよく、たとえばリン酸塩ガラス、フツリン酸塩
ガラスの場合は700〜1100℃の温度が好ましい。
これに対し、ホウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラスの場
合は1100〜1500℃が好ましく、特に1400〜
1450℃の範囲が好適である。清澄、均質化時間は、
ガラスの種類及び加熱温度に左右されるが、一般には
0.5〜5時間程度である。すなわち、石英坩堝の耐熱
性は、1450〜1500℃程度が限界であるから、
(A)工程のガラス化及び(B)工程の清澄・均質化工
程では、坩堝をこれ以上の温度に加熱することはできな
いので、本発明のガラス材の組成においても、この程度
の温度で泡を無くすことができる程度の粘性を有するよ
うにガラス材を形成する成分を調整する。
【0047】この(B)工程の1例を図1で説明する
と、前記(A)工程で得られたガラス状態の溶融物を、
引き続き約1450℃に加熱し(図1点C)、ガラスが
溶融している状態で、約2〜3時間脱泡及び攪拌を行う
ことで、清澄および均質化処理を行なったのち、鋳型に
流し込んで成型を行う(図1点D)。
【0048】この(B)工程においては、たとえば、1
350〜1400℃で、ガラス状態になったバッチ原料
中に混入している不純物の鉄が酸化されることにより生
成したFe3+を、(A)工程に引き続き還元し続け、F
2+に変化させ、(B)工程でガラス状態のバッチ原料
を1400〜1450℃に加熱することにより、Fe3+
の還元を行いつつガラスの清澄・均質化処理を行うもの
である。つまり、(B)工程でFe3+に対して還元作用
を働かせつつ溶融しているガラスの粘性を低下させる
と、大きな径を有する泡が液面に上昇し、気体が空気中
に逸散するので、溶融しているガラス中に存在する大き
な泡を取り除くことができるとともに、溶融ガラス中の
Fe3+をFe2+に還元することができる。このように、
(B)工程でガラスの清澄・均質化処理、鉄の還元を行
うためには、溶融ガラスの粘性は103ポアズ以下であ
ることが好ましい。また、坩堝として白金を含まない材
料からなるものを使用しているので(攪拌棒も白金を含
まない材料を使用)、1400〜1450℃のような高
温で溶融ガラスを長時間保持することで清澄時間を十分
にとっても、ガラス材に着色をもたらすことがない。
【0049】前記の白金を含まない材料からなる坩堝お
よび攪拌棒としては、(A)工程で説明した同じ理由か
ら、石英、クレイ、グラッシーカーボン、アルミナおよ
び耐火レンガの中から選ばれる材料からなるものが好ま
しく、特に石英からなるものが好適である。
【0050】従来、脱泡、攪拌操作を石英坩堝内で行な
うことは、坩堝の安定性の点で、不可能であると考えら
れていたが、本発明においては、この脱泡、攪拌操作
を、石英坩堝のような安定性が白金に劣る坩堝を使用す
ることにより、ガラス材の品質向上が図られる。
【0051】従来、石英坩堝を使用した溶融において
は、シリカがガラス材中に溶出し、坩堝が浸食され、坩
堝の損傷の方が大きく問題視されていた。すなわち、坩
堝の表面は緻密に形成されているものの、内部は緻密性
に欠けるので、坩堝材料のガラス材への溶け込みによ
り、坩堝が薄くなって割れ易くなり、また、脱泡、攪拌
は高温で行なわなければならないので、さらに、坩堝の
浸食が起こりやすくなり、ガラス材の製造においては白
金坩堝を使用するのが当然であると考えられていた。
【0052】しかしながら、本発明のようなガラス材の
製造方法においては、それに反して白金以外の素材の坩
堝を使用してガラス材の製造を行っても、石英坩堝が耐
久できる程度の加熱温度の範囲内で使用する限りは、ガ
ラス材の製造工程自体を変更することで上記問題点を解
決することができるものである。
【0053】本発明のガラス材の製造方法においては、
反応性の高い、バッチ原料のガラス化を行なった後、気
体が発生している状態で、すぐに温度を上昇させて脱泡
と均質化を行なうことにより、泡のないガラスを製造す
ることを可能とした。すなわち、本発明においては、ガ
ラス化工程と清澄・均質化工程の間に固化→液化を行っ
ていないので、短時間でガラス材の製造、ひいては後に
説明するガラスファイバの製造を行うことができる。ま
た、ガラス化、清澄・均質化を連続して行っているの
で、熱エネルギーを有効活用しつつ、ガラス材の製造工
程を短縮化することができ、異物混入を最小限に抑える
ことが可能になる。本発明においては、ガラス化工程と
清澄・均質化工程の間に、坩堝を変える必要性が生じな
いので、バッチ原料の坩堝移動時に必要となる冶具、成
型のための型等、ガラス材に含まれる成分以外のものと
接触する機会がなく、溶融雰囲気も変化することがない
ため、ガラス材の製造工程中の異物混入を防止すること
ができる。また、バッチ原料中に混入されている不純物
としての鉄を還元しているので、365nm付近の紫外
線透過率が低減することなく、ガラス材の着色をなくす
ことができる。
【0054】このように、本発明のガラス材の製造方法
によれば、ガラス材への着色を防止することができ、着
色度に対する制限が厳しいガラス、そのようなガラスを
用いた各種ガラス成型品、ステッパー用のガラス、紫外
線を透過させなければならないガラスファイバ、光触媒
ファイバ等に容易に適用することができる。
【0055】なお、この(B)工程においては、好まし
くは1400〜1450℃の温度で清澄、均質化処理を
行ったのち、所望により、白金坩堝中でガラスを600
〜1300℃程度に加熱して、この温度に保持すること
で、さらに溶融ガラスの清澄・均質化処理を行うととも
に、溶融ガラスを鋳型に流し込んで成型することもでき
るが、ガラスの製造工程、ひいては後で説明するガラス
ファイバの製造工程に要する時間がその分長くなり、ガ
ラス材、ガラスファイバの製造に時間がかかる。
【0056】(C)工程:(C)工程においては、前記
(B)工程で、清澄、均質化処理した溶融ガラスを鋳型
に流し込んで成型したものを徐冷して、溶融ガラス中の
微小な泡をガラス中に再び溶け込ませ、所望形状のガラ
ス塊を得る。図1で説明すると点Eとなる。ガラス塊の
形状としては特に制限はないが、このガラス塊を用いて
ガラスファイバを製造する場合には、紡糸炉における坩
堝の形状に合ったもの、たとえば径が約60mm、長さ
約280mmサイズ,円柱形のブロック状のものなどが
製造される。
【0057】上述したような(A)工程、(B)工程、
(C)工程における鉄不純物に起因するガラスの着色に
関し、ガラス材の製造条件を変化させることによって、
透過率特性が変化する様子について説明する。図4に、
ガラス材組成を同一とし、ガラス材の製造条件におけ
る、従来のガラス材の製造方法から本発明に係る各パラ
メータを順に変更して作製した各ガラス材の分光透過率
特性を示す。これらの透過率曲線を示すガラス材は、1
0±0.1mmの厚さに研磨されたガラス材で、立ち上
がり波長から700nmまでの波長域での分光透過率
(反射損失を含む)を測定したものである。
【0058】透過率曲線aは、図2に示す従来のガラス
材の製造方法により作製したガラス材の透過率曲線を示
している。透過率曲線aは、波長の立ち上がりが短波長
側にシフトしているものの、泡、異物、脈理が出ないよ
うな溶解方法であるため、このような理由による透過率
の低下はない。しかし、ガラス材中の不純物である鉄に
起因して310〜410nmでの透過率、つまり、紫外
線域における透過率は低下している。
【0059】透過率曲線b、cは、高純度のバッチ原料
中の夫々の不純物の量を、夫々50ppm以下に制限し
て精製した、鉄を微量に含有する高純度のバッチ原料を
使用し、ガラス材の製造工程における雰囲気中に不純物
が入らないようにして、本発明の(A)工程、(B)工
程で石英坩堝を使用したガラス材の製造工程により作製
したガラス材の透過率曲線を示している。透過率曲線b
は、透過率曲線aと比較して、波長の立ち上がりが短波
長側にシフトしており、透過率曲線cは、365nm付
近でバッチ原料中の不純物に起因した波長の吸収が見ら
れるために、透過率が低下している。この透過率の低下
の要因は、上述してきたように、バッチ原料中の不純物
である鉄が酸化されたFe3+である。上述したような製
造方法によりガラス材を作製した場合には、不純物の量
および(A)工程、(B)工程に要する時間の多少の変
動により透過率曲線bまたは透過率曲線cのような透過
率曲線となる。
【0060】透過率曲線dは、さらに、本発明のガラス
材の製造工程にてバッチ原料中の不純物の鉄に起因した
Fe3+を還元した場合の透過率曲線を示している。この
場合には、透過率曲線b、cと比較して、さらに、透過
率曲線が短波長側にシフトしており、紫外線波長域であ
る365nm付近での透過率の低下が全くなくなってい
るために、ガラス材への着色が最小限に抑えられてい
る。
【0061】次に、先に述べた坩堝を構成する材料から
ガラス材中へ溶出する成分の量を考慮した、上記溶出成
分の溶出量に基づくバッチ原料の調整方法について詳細
に説明する。ここでは、たとえば、SiO2がx重量%
であるガラス材組成Xを有するガラス材を製造するもの
として説明する。
【0062】まず、上記組成Xを有するガラス材を製造
するのに調製されたバッチ原料を用いて、比較実験(実
験A)として、ガラス化工程で白金坩堝を用い、清澄・
均質化工程で白金坩堝を用い、攪拌棒としては石英以外
の材料を用いて、図2に示す溶解スケジュールで製造し
たガラス材の製造方法にしたがって、一切SiO2がガ
ラス材に溶け込まない状態で溶解し、このガラス材を所
定サイズにブロック成型することにより製造する。白金
坩堝を用いたガラス材の製造方法においては、ガラス材
に着色があるという問題はあるが、ガラス材中の泡、異
物、脈理については発生しにくい。一方、石英坩堝を用
いてガラス化、清澄・均質化処理を行うと、坩堝材料で
あるSiO2の溶け込み量による、ガラス中のSiO2
含有量増加により、耐失透性が低下する可能性が出てく
るので、光学的性質のパラメータである屈折率を用いて
検討する。実験Aのガラス材の製造方法によりガラス材
を製造したときに得られたガラス材の屈折率を基準とす
る。ガラス材の屈折率は、通常知られた方法により測定
する。このガラス材の屈折率をndpとし、この屈折率
ndpを基準値として、本発明のガラス材の製造方法に
より得られたガラス材の屈折率と、この基準値とを比較
して、石英坩堝によるSiO2のガラス材への溶け込み
量について検討する。
【0063】実験的に調べたガラス材中のSiO2量と
屈折率との関係について図5に示す。ここで、図5は、
ガラス材中のSiO2量のみを変化させ、他の成分につ
いてはほぼ一定のままで、SiO2量と屈折率との関係
について示したものである。図5からわかるように、ガ
ラス材中のSiO2含有量の低下に伴って、屈折率も直
線的に上昇することが分かる。
【0064】本発明のガラス材の製造方法において、S
iO2含有量を制御することによって屈折率や耐失透性
を低下させないようにするためには、坩堝材料自体のガ
ラス材への溶け込みを考慮して、SiO2含有量を制御
し、ガラス材の屈折率の基準値ndpに基づき、本発明
のガラス材の製造方法にて得られたガラス材の屈折率を
補正すればよい。よって、本発明のガラス材の製造方法
における石英坩堝からのSiO2溶出量と屈折率との関
係を、実験的に調べることが必要である。
【0065】まず、上記組成Xを有するガラス材S1
を、本発明のガラスの製造方法により実験的に製造し
て、上記ガラス材の屈折率を調べるために実験Bを行
う。このときのガラス材S1の屈折率をnds1とす
る。
【0066】次に、予め、上記組成XにおけるSiO2
の含有量をy重量%分低くしたSiO2 (x−y)重
量%のガラス材になるように、バッチ原料中のSiO2
の含有量を調製し、本発明のガラスの製造方法によりガ
ラス材S2を実験的に製造して上記ガラス材の屈折率を
調べるために実験Cを行う。このときのガラス材S2の
屈折率をnds2とする。
【0067】これらのデータから、本発明の石英坩堝を
使用したときのガラス材中へのSiO2の溶出量を調べ
るため、屈折率nds1と屈折率nds2とを比較し
た。SiO2の含有量が、y重量%の差で、屈折率が
(nds1−nds2)分変化しているので、SiO2
が1重量%あたりの屈折率の変化Δndは、式1のよう
になる。 式1:Δnd=(nds2−nds1)/y 式1を用いて、白金坩堝を使用した高耐失透性のガラス
材を製造するには、SiO2量を調整して、nds1で
ある屈折率をndpにすればよいから、調整するSiO
2量を、重量%表示で表した最適なzは以下の式2によ
り算出することができる。 式2:z=(nds1−ndp)/Δnd=y・(nd
s1−ndp)/(nds2−nds1) このzがガラス材中へ溶け込むSiO2の量であるか
ら、z重量%程度のSiO2を、予め組成Xから減らせ
ば、耐失透性の点で優れ、さらに、着色のないガラスを
実現することができる。また、このzについては、誤差
±1%を許容範囲とすることができる。
【0068】本発明のガラス材の製造方法においては、
バッチ原料中のSiO2換算量が、所望のガラス材組成
(100重量部中の重量部表示)におけるSiO2重量
部よりも0.5〜20重量部低くなるようにバッチ原料
を調製することができる。つまり、前記バッチ原料の溶
融において、溶融温度を上げる、若しくは溶融時間を長
くすると、石英坩堝のガラス材中への溶出量が増大す
る。したがって、坩堝に損傷を与えない程度の量でガラ
ス材中へ石英を溶出させるとともに、耐失透性のよいガ
ラス材を製造することが重要である。たとえば、SiO
2を30〜70重量%で含有するガラス材であれば、ガ
ラス化温度が1400℃、ガラス化時間が2時間、脱泡
及び攪拌温度が1450℃、脱泡および攪拌時間が2.
5時間のとき、バッチ原料中のSiO2換算量を、上記
SiO2重量部よりも0.5〜2.5重量部低くなるよ
うにバッチ原料を調製するものである。また、ガラス化
温度が1300℃、ガラス化時間が2時間、脱泡及び攪
拌温度が1450℃、脱泡及び攪拌時間が2.5時間で
は、バッチ原料中のSiO2換算量を、上記SiO2重量
部よりも7〜9重量部低くなるように原料混合物を調製
するものである。
【0069】次に、本発明のガラスファイバの製造方法
について説明する。本発明のガラスファイバの製造方法
においては、得られたガラス材を、紡糸炉にて紡糸処理
することにより、ガラスファイバを製造する。
【0070】ガラス材を軟化させて紡糸処理をすること
により、ガラスファイバを製造するときには、ある程度
の粘弾性が要求される。すなわち、様々な口径のファイ
バが製造出来る方が応用製品のバリエーションが広がる
ので、粘弾性があることが、製造特性上有利にである。
また、ファイバの口径を同じにし、ファイバを丸く束ね
たときの、バンドル状ファイバのアールの最小値は、小
さければ小さいほどガラス自身に粘弾性があって強いと
いえるから、粘弾性、化学的耐久性に優れた特性を有す
る、ファイバを紡糸成型できるガラス材を実現すること
が好ましい。
【0071】紡糸炉としては、白金製のものが好まし
く、また、紡糸処理は600〜1300℃の範囲の温度
で行うのが有利である。この紡糸処理の一例を図1を用
いて説明すると、前記の方法で得られたガラス塊から、
適当な大きさ、たとえば径が約60mm、長さが約90
mm円柱形のブロック状ガラス塊を切り出し、該ガラス
塊を白金製の紡糸炉に投入し、ガラス材における失透温
度以上の温度にて再溶融させ、紡糸に適した、後に述べ
るような粘度になるようにして紡糸処理する。たとえ
ば、ガラス塊を約1100℃に加熱して(図1点F)、
再溶融させ、この再溶融させたガラスを紡糸処理する
(図1点G)。
【0072】このような方法によると、着色および泡の
ないガラス塊を使用しているので、紡糸処理において
も、白金製紡糸炉における再溶融工程でのガラスの着色
を最小限に押さえるとともに、泡のないガラスファイバ
を紡糸することができる。
【0073】ここで、紡糸工程においては白金坩堝を使
用しており、(A),(B)工程において石英坩堝を使
用してガラス材を製造しても、紡糸工程において白金坩
堝を使用すると、着色する可能性が生じてくる。すなわ
ち、紡糸工程のようなファイバ成型を行う場合には、加
工性の良さ等の理由から白金坩堝を使用せざるをえない
ものであるとともに、紡糸工程においては、ガラスを軟
化させ、その状態を保持して、少しずつ紡糸を行うため
だけに、坩堝を高温にするものであるから、ガラスの溶
解、清澄、均質化のために行う(A)、(B)工程で
の、坩堝の加熱温度と比較して低温でよいが、ガラスの
液相温度よりも高い温度でなければならない。よって、
本発明のガラスファイバの製造方法においては、軟化し
たガラスへの着色を防止しつつ紡糸を行うことが必要で
ある。白金坩堝使用における着色温度について本発明者
らが鋭意検討を重ねた結果、1200℃付近の白金坩堝
中で軟化ガラスを保持すると、徐々に着色してくること
が明らかとなった。
【0074】一例として、白金坩堝を使用して1200
℃に加熱して、(A)、(B)、(C)工程で得られた
ガラス塊を用い、ガラス材の紡糸処理すなわち軟化・フ
ァイバ成型を開始して、最初に得られたガラスファイバ
(GF1)と、ファイバ成型を開始して6時間が経過し
た時に得られたガラスファイバ(GF2)とを比較し
た。ガラスファイバGF1、GF2をそれぞれ10cm
に切断し、365nmの紫外線をガラスファイバ一端に
入射させ、通常知られた方法で、これらのガラスファイ
バGF1,GF2の内部透過率を調べた。すると、ファ
イバ成型開始直後に得られたガラスファイバGF1の透
過率と比較して、上記ガラスファイバGF2の透過率は
40%程度低下していた。このように、白金坩堝中で1
200℃に保持する時間の経過とともに、ファイバ成型
により製造されるガラスファイバは、スピードは小さい
ながらも着色が進むということが明らかとなり、波長3
65nm付近の透過率が低減することから、ガラス材を
軟化させることにより、これに含有された鉄が徐々に酸
化されて再溶融されたガラス中にFe3+が生成され、こ
れに起因して着色すると想定される。
【0075】しかしながら、白金坩堝においては、底に
穴のあいた形状であって、そこにガラス材を所定の温度
で保持して軟化し、軟化したガラスを少しずつ坩堝の底
からファイバとして流出させることでファイバ成型を行
うので、ガラスの流出速度と流出量に応じ、所定時間ガ
ラス材が白金坩堝に保持されることは免れない。ただ
し、紡糸工程での坩堝の加熱温度は、ガラス材の製造工
程におけるそれぞれの加熱温度と比較して低温であるの
で、鉄が熱酸化はされにくいが、白金が酸化反応を促進
する触媒となって、少しずつではあるが、再溶融された
ガラスに着色してしまうものである。本発明において
は、不純物、特に鉄の含有量を50ppm以下に制限し
た高純度に精製したバッチ原料を用いているため、ガラ
ス材中の着色の原因となる鉄の含有量は少ない。また、
ガラスの清澄・均質化工程と比較してガラスの加熱温度
が低いため、ガラスファイバへの着色をさらに防止する
ため、軟化・紡糸成型するガラス量を制限することで、
白金坩堝内での軟化ガラスの保持時間を短くするという
ことも可能であって、高い紫外線透過率のガラスファイ
バを実現することができる。
【0076】また、使用用途によっては、上記条件での
紡糸工程により製造されるガラスファイバの紫外線透過
率を80%程度で良品とすれば、ガラスへの着色スピー
ドが大きくないから、目視の状態でガラスファイバへの
着色が判断できない程度であるので、本発明のガラスフ
ァイバの製造方法により、たとえば、光触媒担持用ガラ
スファイバとして好ましく使用することができる程度の
ガラスファイバを製造することができる。
【0077】以上、本発明のガラス材の製造工程につい
て、(A)工程、(B)工程、(C)工程により製造さ
れるガラス材、このガラス材を用いて紡糸工程により製
造されるガラスファイバとしては、以下のようなガラス
を好ましく挙げることができる。
【0078】すなわち、このようなガラス材としては、
たとえば、重量%表示で、SiO230〜70重量%お
よびアルカリ金属酸化物0〜10重量%を含有する、低
アルカリガラスのケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガ
ラス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、フツリン
酸塩ガラスまたは無アルカリガラスであって、バッチ原
料中には、不純物である鉄を、その換算量で0〜50p
pmしか含まないものを挙げることができる。
【0079】このようなガラス材としては、たとえば、
重量%表示で、SiO2 30〜70%、Al23
〜35%、B23 0〜20%、MgO 0〜20%、
CaO 0〜40%、SrO 0〜20%、BaO 0
〜40%、ZnO 0〜20%、Li2O 0〜10
%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%、Cs2
O0〜10%(ただし、Li2O、Na2O、K2Oおよ
びCs2Oの合計量0〜10%、MgO、CaO、Sr
O、BaO、ZnO、Li2O、Na2O、K2Oおよび
Cs2Oの合計量0.1〜65%)を含有するものを挙
げることができる。
【0080】また、好ましくは、重量%表示で、SiO
2 30〜65%、Al23 1〜20%、B23
〜15%、MgO 0〜20%、CaO 0〜30%、
SrO 0〜20%、BaO 0〜40%、ZnO 0
〜20%(ただし、MgO、CaO、SrO、BaOお
よびZnOの合計量20〜60%)、Li2O 0〜1
0%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、Cs2
0〜5%(ただし、Li2O、Na2O、K2Oおよび
Cs2Oの合計量0〜5%、MgO、CaO、SrO、
BaO、ZnO、Li2O、Na2O、K2OおよびCs2
Oの合計量20〜60%)を含有するものを挙げること
ができる。
【0081】また、好ましくは、SiO2とAl23
合計量で50〜80重量%の割合で含有するものを挙げ
ることができる。
【0082】また、好ましくは、さらに他の成分とし
て、PbO、ZrO2、TiO2、As23、Sb23
SnO2、La23、P25、WO3、Bi23、Ta2
5、Nb25、Gd23およびFの中から選ばれる少
なくとも1種を含有するものを挙げることができる。
【0083】SiO2は、ガラスの形成成分であるた
め、本発明には欠かせない成分である。SiO2が30
重量%未満であると耐失透性、化学的耐久性が低下する
し、70重量%を超えると、ガラスの粘性が高くなり、
溶融が困難になる。したがって、SiO2の含有量は、
30〜70重量%、好ましくは35〜60重量%、さら
に好ましくは50〜60重量%である。
【0084】Al23は、ガラスの化学的耐久性、耐熱
性を向上させ、液相温度を下げる効果がある成分であ
る。しかし、Al23の含有量が35重量%を超える
と、耐失透性が低下する。したがって、Al23の含有
量は、1〜35重量%が好ましく、より好ましくは1〜
20重量%である。
【0085】B23は、ガラスの粘性を下げ、溶融性を
良くする効果がある成分であるので溶融温度を下げ、さ
らに耐風化性を向上させる成分であるが、20重量%を
超えると、分相傾向が増大し、均質なガラスを得にく
い。したがって、B23の含有量は、好ましくは0〜1
5重量%である。
【0086】MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO
は、適量添加によりガラスの特性及び溶融性を調整する
ことができる成分である。MgOは、ガラスの熱膨張係
数と粘性を低下させる成分であるが、20重量%を超え
ると、ガラスの耐失透性が低下する。したがって、Mg
Oの含有量は、0〜20重量%が好ましく、より好まし
くは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%で
ある。
【0087】CaOは、MgOとほぼ類似した作用を示
す成分であり、CaOを単独で調整した場合には20重
量%を超えると耐失透性が低下するものの、Al23
SiO2のそれぞれの含有量とのバランスをとること
で、さらに耐失透性を向上させることが可能となる。す
なわち、CaOは、炭酸ガスを発生させることによって
ガラスの溶融温度を下げ、それによって、ガラスの粘性
及び熱膨張率を低下させるため、ガラスの溶融性を良好
にする成分であるとともに、紡糸の際にはガラスの粘性
を高くして紡糸を良好に行い、ファイバの曲げ強度を向
上させることを可能とする成分である。つまり、ガラス
の溶融においては、坩堝中のSiO2のガラスへの溶け
込みを少なくすることができるとともに、他ガラス成分
の揮発を少なくすることができ、坩堝の浸食による異物
の混入を少なくすることができる。したがって、CaO
の含有量は、0〜40重量%が好ましく、より好ましく
は0〜30重量%、さらに好ましくは0〜25重量%で
ある。このとき、CaOとのバランスを考慮すると、S
iO2およびAl23の含有量は、50〜80重量%が
好ましい。
【0088】SrOは、ガラスの耐失透性を向上させる
成分であるが、20重量%を超えると、逆に耐失透性が
低下する。したがって、SrOの含有量は、0〜20重
量%が好ましく、より好ましくは0〜10重量%、さら
に好ましくは0〜5重量%である。
【0089】BaOは、SrOとほぼ類似した作用を示
す成分であるが、40重量%を超えると、逆に耐失透性
が低下する。したがって、BaOの含有量は、0〜40
重量%が好ましく、より好ましくは0〜30重量%、さ
らに好ましくは0〜5重量%である。
【0090】ZnOは、ガラスの安定性を向上させる成
分であり、ZnOの含有量は、0〜20重量%、好まし
くは0〜10重量%である。
【0091】MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO
の含有量の合計が60重量%を超えると、耐失透性が低
下する。したがって、MgO+CaO+SrO+BaO
+ZnOは、20〜60重量%が好ましく、より好まし
くは20〜30重量%である。
【0092】Li2O、Na2O、K2O、Cs2Oのアル
カリ成分は、ガラスの粘度を下げ、溶融性を良くする成
分であるが、これらアルカリ成分の含有量の合計が、1
0重量%を超えると、光触媒担持体として用いる場合、
光触媒活性が劣化し好ましくない。したがって、Li2
O+Na2O+K2O+Cs2Oは、0〜10重量%が好
ましい。同様の理由から、それらの合計含有量は、より
好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0〜2重量
%である。
【0093】また、前記ガラス材は、上述した成分の他
に、所望の特性を損なわない範囲で、PbO、Zr
2、TiO2、As23、Sb23、SnO2、La2
3、P25、WO3、Bi23、Ta25、Nb25、G
23およびFなどの成分を、耐失透性、溶融性、化学
的耐久性などの改善のために、あるいは、清澄剤などと
して添加することができる。しかしながら、本発明のガ
ラス材の製造方法及びガラスファイバの製造方法におい
ては、As23、Sb23、SnO2等の脱泡剤を、ガ
ラス材の組成として添加しなくとも泡がきれるので、環
境問題対策上、これらの脱泡剤は添加しないのが好まし
い。
【0094】このような本発明の方法で得られたガラス
材は、光触媒活性を下げないガラス材として、光触媒担
持用ガラス材、このガラス材を用いた光触媒ファイバ、
及びそれを用いたフィルタ以外の分野においても広く利
用や応用が可能である。
【0095】このようにして得られたガラスファイバを
用いて、光触媒ファイバを作製する場合、ガラス材に担
持させる光触媒は特に限定されないが、たとえば、チタ
ン酸化物またはその化合物、鉄酸化物またはその化合
物、亜鉛酸化物またはその化合物、ルテニウム酸化物ま
たはその化合物、セリウム酸化物またはその化合物、カ
ドミウム酸化物またはその化合物、ストロンチウム酸化
物またはその化合物等が挙げられる。これらの光触媒は
単独で用いてもよく、2種以上の光触媒を混合あるいは
併用(たとえば、各々独立に併存など)して用いてもよ
い。
【0096】本発明のガラスファイバの製造方法により
製造されたガラスファイバに光触媒を担持させる方法と
しては、たとえば、ゾルゲル法、パエロゾル法、ウオッ
シュ・コート法、蒸着法、スパッタ法、熱分解法、金属
酸化法などが挙げられる。膜厚は、通常1nm〜1mm
程度である。
【0097】光触媒に照射される光は、光触媒の種類に
応じて波長や強度等を適宜選択できる。たとえば、光触
媒がTiO2である場合には、これを励起できる200
〜500nmの紫外線が好ましい。光源としては、水銀
ランプ、水銀−キセノンランプ等が使用できる。
【0098】光触媒には、触媒活性増強、密着強度増
強、安定性増強、光反応増強または吸着性増強などの作
用のある物質を添加物として加えたり、それらの物質を
触媒層のアンダーコート層として使用することができ
る。このような物質としては、たとえば、Cr、Ag、
Cu、Au、Pt、Ru、Pd、Rh、Sn、Si、I
n、Pb、As、Sb、P等の元素、またはそれらの酸
化物もしくは化合物等が挙げられる。
【0099】上記ガラス材に光触媒を担持させてなる光
触媒フィルタを用いたフィルタ装置は、デイーゼルエン
ジンの排気ガス中に含まれる黒煙、未燃炭化水素及び潤
滑油からなる固体粒状物(パテイキュレート)を除去す
るためのデイーゼルパテイキュレートフィルタ(DP
F)、ガス処理フィルタ(たとえばクリーンルーム用の
エアフィルタ、空気清浄器)、液体処理フィルタ(たと
えば、水や海水浄水用フィルタ)などとして好適に使用
できる。
【0100】また、上記ガラスファイバにおいては、ガ
ラスファイバの表面に突起を形成することができる。こ
れにより、突起のない場合に比べ、表面積が増大し、そ
れに担持させた触媒の表面反応を利用して流体の浄化を
行う作用を有するフィルタにおける効率の向上を図るこ
とができる。ここで、触媒(表面反応促進物質を含む)
は特に制限されず、流体の浄化作用を有する物質を使用
することができる。
【0101】
【実施例】次に、本発明を、実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
【0102】実施例1〜4 原料として、各原料中の不純物がそれぞれ50ppm以
下になるように精製された高純度の水酸化物、炭酸塩、
硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物などを使用し、溶解徐
冷後における組成が表1に示すガラス組成になるよう
に、各原料を混合してバッチ原料を調製した後、石英坩
堝に投入し、約1400℃に加熱し、その温度で2時間
保持して、バッチ原料を溶融してガラス化させた。この
溶融ガラス中には大小無数の泡が存在していた。
【0103】引き続き、約1450℃まで加熱し、ガラ
スが溶融している状態で、脱泡および攪拌(石英製の攪
拌棒を使用)を2.5時間行い、清澄および均質化処理
を行った後、鋳型に流し込んで成型した。
【0104】次に、鋳型に流し込んだ溶融しているガラ
スを徐冷することにより、径約60mm、長さ約280
mmの大きさである円柱形のブロック状ガラス塊を製造
した。実施例1〜4のガラス材の製造方法においては、
製造工程中に外的要因による異物が混入しないようにし
てガラス材を製造した。このようにして得られたブロッ
ク状ガラス型塊について、機械的物性[密度(g/cm
3)]、熱的物性[失透温度(℃)]および光学的性質
[屈折率nd]、紫外線透過率を測定した。その結果を
表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】実施例5 原料として、各原料中の不純物がそれぞれ50ppm以
下になるように精製された高純度の水酸化物、炭酸塩、
硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物などを使用し、溶解徐
冷後における組成が表1の実施例1に示すガラス組成に
なるように、各原料を混合してバッチ原料を調製した
後、石英坩堝に投入し、それとともに、還元剤としての
関東化学株式会社製の高純度(不純物含有量が0.1p
pm)のSiを原料混合物に対して0.01重量%にな
る量分投入して、約1400℃に加熱し、その温度で2
時間保持して、原料混合物を溶融してガラス化させた。
この溶融ガラス中には大小無数の泡が存在していた。
【0107】引き続き、約1450℃まで加熱し、ガラ
スが溶融している状態で、脱泡および攪拌(石英製の攪
拌棒を使用)を2.5時間行い、清澄および均質化処理
を行った後、鋳型に流し込んで成型した。この清澄・均
質化においても、上記Si還元剤は還元反応を持続して
いた。
【0108】次に、鋳型に流し込んだ溶融しているガラ
スを徐冷することにより、径約60mm、長さ約280
mmの大きさである円柱形のブロック状ガラス塊を製造
した。実施例5のガラス材の製造においては、製造工程
中に外的要因による異物が混入しないようにしてガラス
材を製造した。
【0109】実施例6 還元剤としての高純度のSiを0.05重量%使用した
以外は実施例5と全く同様にして円柱形のブロック状ガ
ラス塊を製造した。
【0110】試験例 実施例1および5のガラス材の製造方法で得られた円柱
形のブロック状ガラス塊から、径約60mm、長さ約9
0mmの大きさの円柱形のブロック状ガラス塊をそれぞ
れ切り出した。さらに、上記円柱形のブロック状ガラス
塊から実施例1のガラス塊については2個、実施例5の
ガラス塊からは1個の1cm×1cm×1cmのサイズ
のカレット状ガラス塊をそれぞれ切り出した。それぞれ
実施例1の1のサンプル、実施例1の2のサンプル、お
よび実施例5のサンプルとし、上記のそれぞれのサンプ
ルについて、外部透過率を測定したものを図6に示す。
【0111】図6に示すように、実施例1の1および実
施例1の2のサンプルの波長365nmにおける透過率
は、約81.2〜84.5%であった。これに対し、実
施例5のサンプルの波長365nmにおける透過率は9
0.9%で、先の実施例1の1および1の2サンプルよ
り高い紫外線透過率を示した。
【0112】次に上記と同様にして、実施例1および6
のガラス材の製造方法で得られた円柱形のブロック状ガ
ラス塊から、それぞれ実施例1の3のサンプル、実施例
1の4のサンプルおよび実施例6のサンプルを得て、外
部透過率を測定したものを図7に示す。
【0113】図7においても図6と同様に、実施例1の
3および実施例1の4のサンプルの波長365nmにお
ける透過率は、約81.8〜83.0%であったのに対
し、実施例6のサンプルの波長365nmにおける透過
率は90.2%で、先の実施例1の3および実施例1の
4のサンプルより高い紫外線透過率を示した。
【0114】いずれのガラス塊においても、泡、異物、
脈理がなく、従来と比較してガラス塊への着色が低減さ
れ、高い紫外線透過率を示した。特に、還元剤を使用し
た実施例5および6のサンプルは、還元剤を使用してい
ない実施例1の1〜4のサンプルに比べて、より着色が
防止され、波長365nmにおける透過率が高く、鉄不
純物に起因した着色がほぼなくなっていることを示して
いる。また、実施例1の4個のサンプルは、製造方法的
には同様に製造したものであるが、製造諸条件の多少の
ばらつきにより、透過率が異なっているものの、Si還
元剤を適量投入(実施例5および実施例6のサンプル)
することで、1cm×1cm×1cmのカレット状ガラ
ス塊で、波長365nmにおいて90%以上の透過率を
達成できることが明らかとなった。
【0115】実施例7〜9 実施例1、5および6にて得られた円柱形のブロック状
ガラス塊から、径約60mm、長さ約90mmの大きさ
の円柱形のブロック状ガラス塊をそれぞれ切り出した。
切り出した実施例1のガラス塊を白金製の紡糸炉に投入
して、約1100℃に加熱することにより、該ガラス塊
を再溶融させた(粘度約1000ポアズ)。次いで、こ
の再溶融したガラスを紡糸して、径125μm、長さ1
00mmである実施例7、8および9のガラスファイバ
を作製した。
【0116】これら実施例7〜9のガラスファイバにつ
いて、波長365nmの紫外線での内部透過率を測定し
た。このようなモノフィラメント型のガラスファイバ
は、通常の光スペクトラムアナライザーを使用したカッ
トバック方式で測定することができないので、以下に説
明する方法にて透過率測定を行った。すなわち、この測
定方法は、(1)被測定ファイバの入射端からカットバ
ックを行い、(2)被測定ファイバの曲げによる漏れ光
がない状態(被測定ファイバの保持状態における所定の
弛みの範囲など)に保持して透過率測定を行い、(3)
被測定ファイバの透過率測定前に、被測定ファイバ上に
存在する有機物を除去する方法である。このような方法
により、被測定ファイバの透過率を測定した。
【0117】実施例1により得られたガラス塊を使用し
て得られた実施例7のガラスファイバは、波長365n
mにおいて、約89.2%の透過率で紫外光を透過し
た。つまり、上記ガラスファイバ中には泡、異物、脈理
がなく、従来と比較してファイバの着色が低減され、高
い紫外線透過率を達成することができた。
【0118】実施例5により得られたガラス塊を使用し
て得られた実施例8のガラスファイバは、波長365n
mにおいて、約96.0%の高い透過率を示した。すな
わち、上記ガラスファイバ中には泡、異物、脈理がな
く、鉄不純物による着色が少ないことを示している。
【0119】実施例6により得られたガラス塊を使用し
て得られた実施例9のガラスファイバは、波長365n
mにおいて、約97.0%の高い透過率を示した。すな
わち、上記ガラスファイバ中には泡、異物、脈理がな
く、鉄不純物による着色がさらに少ないことを示してい
る。
【0120】実施例10〜12 実施例10においては、各原料中の不純物がそれぞれ5
0ppm以下になるように精製された高純度の水酸化
物、炭酸塩、硝酸塩、硫化物、酸化物、窒化物などを使
用し、石英坩堝からのSiO2のガラス材への溶出を考
慮して、溶解徐冷後における組成が表1の実施例1に示
すガラス組成になるように、各原料を混合してバッチ原
料(不純物としての鉄を換算量で20ppm含有)を調
製するときの、SiO2の低減量について上述した方法
に基づいて算出し、その結果に基づいてガラス材を製造
し、その失透温度、失透状態を測定したものである。
【0121】そのために、実施例10においては、以下
に説明するように、比較実験をそれぞれ行った上でSi
2の低減量を決定した。
【0122】まず、白金坩堝を使用したときのガラス材
の屈折率を調べるために、次の実験Aによりガラス材を
得た。
【0123】実験A 白金坩堝に、溶解徐冷後に実施例1のガラス組成となる
ように調製したバッチ原料を投入し、約1300℃に加
熱し、その温度で2時間保持して、原料混合物を溶融し
てガラス化させて一旦成型し、成型したガラス材を白金
坩堝に投入して、約1450℃まで加熱し、ガラスが溶
融している状態で、脱泡および攪拌(白金製攪拌棒を使
用)を2.5時間行い、清澄および均質化処理を行った
後、鋳型に流し込んで成型した。次に、鋳型に流し込ん
だ溶融しているガラスを徐冷することにより、径約60
mm、長さ約280mmの大きさである円柱形のブロッ
ク状ガラス塊を製造した。このガラス塊の製造において
は、製造工程中に外的要因による異物が混入しないよう
にした。この実験Aで得られたガラス材を1cm×1c
m×1cmのサイズに切り出したガラス塊の屈折率(n
dp)は、1.55974であった。
【0124】次に、本発明のガラス材の製造方法に基づ
き、清澄・均質化において石英坩堝を使用して実験的に
ガラス材の製造を行ったときのガラス材の屈折率を調べ
るために、次の実験Bを行った。
【0125】実験B 石英坩堝および石英製の攪拌棒を使用したこと以外は実
験Aと全く同じ手法で1cm×1cm×1cmサイズの
カレット状のガラス塊を作製した。実験Bで得られたガ
ラス塊の屈折率(nds1)は、1.55827であっ
た。
【0126】さらに、本発明のガラス材の製造方法に基
づき、清澄・均質化において石英坩堝を使用して、所定
量のSiO2のみを予め低減した上で原料混合物を調製
してガラスの製造を行ったときのガラス材の屈折率を調
べるために、以下の実験Cを行った。
【0127】実験C 溶解徐冷後のガラス材におけるSiO2の含有量が実施
例1におけるSiO2の含有量よりも9重量%低くな
る、つまり、44重量%となるように原料を組み合わせ
て調製し、他の要件については上述の実験Bと同様に行
って、1cm×1cm×1cmサイズに切り出したガラ
ス塊を得た。この実験Cのガラス材の製造方法によって
得られたガラス塊の屈折率(nds2)は、1.567
62であった。
【0128】ここで、上記式1に基づいて、SiO2
1重量%あたりの屈折率の変化Δndについて算出する
と、式3のようになる。 式3:Δnd=(1.56762−1.55827)/
9=0.00104 さらに、この結果を用いて、溶出するSiO2の量を算
出すると、式4のようになる。 式4:z=9・(1.55827−1.55974)/
(1.56762−1.55827)=−1.41 この結果から、ガラス材中に溶出するSiO2量、すな
わち、予め原料混合物中から低減させるSiO2量は
1.41重量%が最適であって、0.41〜2.41重
量%の範囲で低下させることが好ましいことがわかる。
【0129】次にこの結果に従い、石英坩堝からのSi
2のガラス材への溶出を考慮して本発明のガラス材の
製造方法によりガラスを溶解し、徐冷後における組成が
ほぼ表1に示すガラス組成になるようにバッチ原料を調
製し、実験Cの方法によりブロック状ガラス塊を製造し
た。このブロック状ガラス塊について、失透温度を測定
するとともに、失透状態を観察した。石英坩堝から溶出
するSiO2量をのぞく溶解徐冷後のガラス材の組成を
表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】実施例10の組成は、SiO2量を表1に
おける実施例1の組成(100重量部中の重量部表示)
に比べて約2.5重量部減量させた場合であり、バッチ
原料の調製においては、SiO2換算で約52.5重量
部(全量99.5重量部)となる。実施例11の組成
は、SiO2量を同様に約1.5重量部減量させた場合
であり、バッチ原料の調製においては、SiO2換算で
約51.5重量部(全量98.5重量部)となる。実施
例12の組成は、SiO2量を同様に約2.5重量部減
量させた場合であり、バッチ原料の調製においては、S
iO2換算で約50.5重量部(全量97.5重量部)
となる。実施例10〜12の組成においては、失透温度
は945〜1010℃であり、また、失透状態において
は、ガラス材表面への結晶析出が極めて少なく、ガラス
材としては最適であった。
【0132】このように、上述した溶解条件にてガラス
材を製造するときには、所望のSiO2量を含むガラス
組成を得るために、原料混合物中のSiO2換算量を、
上記所望のSiO2量(100重量部中の重量部表示)
よりも0.5〜2.5重量部程度減量させておくのがよ
いことが分かる。
【0133】実施例13〜14 本実施例13〜14は実施例10〜12とは異なる溶解
条件で、石英坩堝からのSiO2の溶出を考慮して所定
のSiO2を予め低減し、このSiO2の溶出によりガラ
ス材組成として予め設定したものにおけるSiO2の含
有量が大きくなる条件で製造したガラス材の特性の変化
について示すものである。実施例13〜14において
は、原料混合物の調製の段階で、溶解徐冷後のガラス材
におけるSiO2の含有量が、実施例1の組成(100
重量部中の重量部表示)から石英坩堝のSiO2溶出に
よる所定量のSiO2を低減させるようにする以外は、
実施例1〜4に示したガラス材の製造方法と同一の方法
において製造し、バッチ原料の調製の段階で、予めSi
2量を表1の実施例1の組成(100重量部中の重量
部表示)に比べて所定量減量させた場合について説明す
る。この場合に得られたブロック状ガラス塊について、
失透温度を測定するとともに、失透状態を観察した。そ
して、石英坩堝から溶出するSiO2量をのぞく、溶解
徐冷後のガラス材の組成を表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】実施例13の組成は、SiO2量を表1に
おける実施例1の組成(100重量部中の重量部表示)
に比べて約7重量部減量させた場合であり、バッチ原料
の調製においては、SiO2換算で約46重量部(全量
93重量部)となる。この場合の失透温度は985〜1
040℃であり、また、失透状態においては、ガラス材
表面への結晶析出も少なく、ガラス材として使用できる
範囲であった。
【0136】実施例14の組成は、SiO2量を表1に
おける実施例1の組成(100重量部中の重量部表示)
に比べて約9重量部減量させた場合であり、バッチ原料
の調製においては、SiO2換算で約44重量部(全量
91重量部)となる。この場合の失透温度は985〜1
030℃であり、また、失透状態においては、ガラス材
表面への結晶析出が極めて少なく、ガラス材としては適
していた。
【0137】このように、ガラス材中への石英坩堝によ
るSiO2の溶出量が多くなって表1におけるガラス材
中のSiO2の含有量よりも実質的にSiO2が多くなっ
ても、上述したように、ガラス材中のSiO2の含有量
が30〜70重量%である限りは、上述したようなガラ
ス材の製造方法を適用した場合には、所望のSiO2
を含むガラス組成を得るには、バッチ原料中のSiO2
換算量を、上記所望のSiO2量(100重量部中の重
量部表示)よりも7〜9重量部程度減量させてもガラス
材特性上は問題無く使用することができることが分か
る。
【0138】実施例15 石英坩堝からのSiO2のガラス材への溶出を考慮し、
溶解徐冷後における組成が表1に示すガラス組成になる
ように原料混合物を調製した以外は、実施例1〜4と同
様にして、円柱形のブロック状ガラス塊を製造した。
【0139】溶解徐冷後における組成が、石英坩堝から
のSiO2のガラス材への溶出量のみを考慮して予め
1.5重量%分のぞいて51.5重量%になるようにし
た上で、他の成分が表1の実施例1のガラス組成になる
ように、バッチ原料調製した。そして、製造条件とし
て、ガラス化工程((A)工程)を2.5時間,135
0℃にして、このときにSi還元剤(不純物0.1重量
%以下含有)を50ppm投入して、脱泡・攪拌工程ま
でガラス中における不純物の鉄の還元反応を持続させ、
脱泡・攪拌工程((B)工程)を1450℃にて、
(B)工程に要する時間パラメータを変化させて、ガラ
ス材の光学的特性について実験的に求めた。
【0140】その結果について、溶解時間((A)工程
+(B)工程)と、その溶解時間にて溶解して製造した
ガラス材の屈折率との関係について表4および図8に示
す。
【0141】
【表4】
【0142】図8のグラフにおいては、横軸が溶解時間
(時間)、縦軸がガラス材の屈折率を示す。図8によれ
ば、溶解時間が長くなるほど屈折率は反比例的に低下し
ている。
【0143】実施例10〜12で述べたように、屈折率
1.55974を目標とする屈折率とすれば、実施例1
0〜12に適用しているガラスの製造方法の場合、屈折
率がそのような値になる場合の溶解時間は、6時間50
分程度である。そこで、このようなガラス材を得るため
に、屈折率の許容範囲をたとえば±0.05%にする
と、屈折率の許容範囲が、1.55896〜1.560
5になり、それに対応する溶解時間は6.5時間〜7.
5時間程度になる。実施例1のガラス材組成を得るべ
く、予めSiO2を、−1.5重量%分、バッチ原料に
おいて調製し、これを用いてガラス化を2.5時間、清
澄・均質化工程を4〜5時間行って、ガラス材を得て、
上記サイズに切り出した。このガラス材においては、結
晶が少なく、泡・異物・脈理がなく、失透状態も良好で
あった。
【0144】なお、実施例10でも述べたように、従来
のガラス材の製造方法によって得られたガラス材を切り
出した、1cm×1cm×1cmのガラス材の屈折率
(ndp)は、1.55974であった。
【0145】
【発明の効果】従来のガラス材の製造方法においては、
二段階溶融法が採用され、しかも白金坩堝内で清澄、均
質化処理が行われていたため、ガラス材の着色は避けら
れなかった。これに対し、本発明では、一段階溶融法を
採用し、しかも石英坩堝などの白金以外の材料からなる
坩堝を用いて、清澄、均質化処理を行うことから、ガラ
ス材は着色することがなく、特に、清澄、均質化工程に
おいては、効率よくガラス化直後のガラス材における泡
をなくすことができる。つまり、高純度のバッチ原料を
用い、ガラス化、清澄・均質化処理にて還元雰囲気を作
ることにより、坩堝を長時間高温にしても、ガラス材へ
の着色を防止することができ、高紫外線透過可能なガラ
ス材を実現することができる。また、このようにして得
たガラス材を用いて低温にて軟化させて、紡糸処理を行
うことによって、ガラスファイバへの着色を防止し、高
紫外線透過できるガラスファイバを実現することができ
る。しかも、ガラス組成を本発明のように構成すれば、
脱泡剤を添加することなく清澄することができるので、
効率よく清澄を行うことができるとともに、As23
Sb23、SnO2等の有害な物質を使用することなく
ガラス材を製造することができるので、環境問題に対応
することができる。
【0146】そして、ガラスの溶融における高温の加熱
を1回で済ませて、清澄、均質化処理を行うために、ガ
ラス化させた液状の物質に対して、固化させることな
く、そのまま脱泡、攪拌を行い、清澄、均質化処理し、
この工程終了後に成型を行っているので、紡糸の際にガ
ラス塊の大きいものを使用して、小さい泡を発生しにく
くし、紡糸を行うカレット内の泡を最小限にとどめるこ
とができる。したがって、着色および泡のないガラス材
を製造することができるとともに、前記ガラス材を使用
してガラスファイバを製造することができるので、紫外
域における外部透過率及び内部透過率の高いガラス材お
よびガラスファイバの製造工程を大幅に短縮することが
できる。しかも、ガラス材製造工程での消費電力を低減
させてガラスの溶融を行うことができるので、製造装
置、製造設備上有利であって、ガラス材ひいてはガラス
ファイバを高生産性かつ低コストにて製造することが可
能になる。
【0147】さらには、上述したように、溶融が1回で
済むことから、良品・不良品の選別をガラス材製造工程
の早期段階にて行うことができるので、ガラス材の製造
において歩留まりを向上させることができ、生産性の向
上を図ることができる。
【0148】また、本発明のガラス材の製造方法におい
ては、バッチ原料調製の段階で、坩堝構成材料がガラス
材に溶け込むことを考慮して、その量を予め低減させ
て、ガラス組成を決定しているので、白金以外の坩堝を
使用した、上記ガラス化温度範囲、清澄・均質化での温
度範囲でのガラスの溶解においてガラスを溶解しても、
ガラス材としての特性を劣化させることなくガラス材を
製造することができる。
【0149】さらには、本発明のガラス材の製造方法に
おいては、原料中の不純物の量を精製することにより制
限し、バッチ原料および坩堝を構成する成分以外の物質
が混入しない環境下にてガラス材を製造しているので、
バッチ原料のガラス化工程、清澄・均質化工程で共に不
純物の還元を行っているので、バッチ原料中に微量に混
入している不純物によるガラス材および該ガラス材を使
用して製造したガラスファイバへの着色を最小限に抑え
ることができる。特に、不純物としてバッチ原料中に混
入している鉄に起因した着色を防止することができるの
で、紫外線域の透過率の向上を図ることができる。
【0150】また、本発明では、光触媒活性の劣化の観
点から、ガラス材中のアルカリ成分の許容量を決定し、
さらに、紫外線を高透過し、光触媒薄膜を形成し易く、
かつ化学的耐久性、耐熱性および光透過特性等に優れ、
しかも安価に製造できるガラス組成を採用しているの
で、本発明の方法は、光触媒担持用ガラス材として好適
なガラスファイバの材料となるガラス材ならびに該ガラ
スファイバの製造方法として有用である。しかも、ガラ
ス材の組成を調製することで、細いガラスファイバを得
易く、耐熱性に優れるなどの特性を持った光触媒担持用
ガラス材を安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス材およびファイバの製造工程に
おける、時間と温度との関係の1例を時系列的に示した
グラフである。
【図2】従来の一般的なガラスおよびガラスファイバの
製造工程における、時間と温度との関係の1例を時系列
的に示したグラフである。
【図3】ガラス材の分光透過率曲線の異なった例を示す
グラフである。
【図4】同一ガラス材組成における、異なる製造条件に
よって得られたガラス材の分光透過率曲線を示すグラフ
である。
【図5】ガラス材中のSiO2 量と屈折率との関係を示
すグラフである。
【図6】実施例1および5のガラス塊の分光透過率曲線
を示すグラフである。
【図7】実施例1および6のガラス塊の分光透過率曲線
を示すグラフである。
【図8】実施例1のガラス組成での溶解時間と屈折率の
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C03C 3/066 C03C 3/066 3/068 3/068 3/072 3/072 3/074 3/074 3/085 3/085 3/087 3/087 3/091 3/091 3/093 3/093 3/095 3/095 3/097 3/097 3/105 3/105 3/108 3/108 13/00 13/00

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)原料混合物をガラス状態に溶融す
    る工程、(B)(A)工程で得られたガラス状態の溶融
    物を固化することなく、白金を含まない材料からなる坩
    堝中で清澄、均質化処理したのち、成型する工程、およ
    び(C)この成型物を冷却してガラス塊を得る工程を施
    すことを特徴とするガラス材の製造方法。
  2. 【請求項2】 ガラス塊を加熱処理して再溶融させる工
    程を含まない請求項1に記載のガラス材の製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)工程で得られたガラス状態の溶融
    物が無数の泡を含むものである請求項1または2に記載
    のガラス材の製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス材が着色していないものである請
    求項1、2または3に記載のガラス材の製造方法。
  5. 【請求項5】 (A)工程における原料混合物の溶融
    を、白金を含まない材料からなる坩堝中で行う請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】 (A)工程における原料混合物の溶融に
    用いる坩堝が、石英、クレイ、グラッシーカーボン、ア
    ルミナおよび耐火レンガの中から選ばれる材料からなる
    ものである請求項5に記載のガラス材の製造方法。
  7. 【請求項7】 (B)工程における清澄、均質化処理に
    用いる坩堝が、石英、クレイ、グラッシーカーボン、ア
    ルミナおよび耐火レンガの中から選ばれる材料からなる
    ものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガ
    ラス材の製造方法。
  8. 【請求項8】 (A)工程で用いる原料混合物が、製造
    工程中において、坩堝を構成する材料からガラス材中へ
    溶出する成分の種類および量を考慮して、調製したもの
    である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のガラス材
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 (A) 工程および(B)工程で用いる
    坩堝が石英製のものであって、原料混合物中のSiO2
    換算量が、所望のガラス材組成(100重量部中の重量
    部表示)におけるSiO2重量部よりも0.5〜20重
    量部低くなるように原料混合物を調製する請求項8に記
    載のガラス材の製造方法。
  10. 【請求項10】 (B)工程における清澄、均質化処理
    を700〜1600℃の温度で行う請求項1ないし9の
    いずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  11. 【請求項11】 (B)工程における清澄、均質化処理
    を1400〜1450℃の温度で行う請求項10に記載
    のガラス材の製造方法。
  12. 【請求項12】 (A)工程における原料混合物の溶融
    を600〜1500℃の温度で行う請求項1ないし11
    のいずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  13. 【請求項13】 (A)工程における原料混合物の溶融
    を1350〜1400℃の温度で行う請求項12に記載
    のガラス材の製造方法。
  14. 【請求項14】 (A)工程及び(B)工程において、
    還元雰囲気にすることを特徴とする請求項1ないし13
    のいずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  15. 【請求項15】 還元剤を原料混合物に混入させる、も
    しくは、(A)工程においてガラス状態になっていると
    きに還元剤を投入することにより還元雰囲気にすること
    を特徴とする請求項14に記載のガラス材の製造方法。
  16. 【請求項16】 上記原料混合物の0.001〜10重
    量%の還元剤を使用するものであることを特徴とする請
    求項15に記載のガラス材の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし16のいずれか1項に
    記載の製造方法により得られたガラス材を紡糸炉にて紡
    糸処理することを特徴とするガラスファイバの製造方
    法。
  18. 【請求項18】 紡糸炉が白金製のものである請求項1
    7に記載のガラスファイバの製造方法。
  19. 【請求項19】 紡糸処理を600〜1300℃の温度
    にて行う請求項17または18に記載のガラスファイバ
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 ガラス材が、SiO2 30〜70重
    量%およびアルカリ金属酸化物0〜10重量%を含有す
    る、低アルカリガラスのケイ酸塩ガラス、アルミノケイ
    酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、フ
    ツリン酸塩ガラスまたは無アルカリガラスであって、原
    料混合物中には、不純物である鉄を、その換算量で0〜
    50ppm含むものである請求項1ないし19のいずれ
    か1項に記載のガラス材の製造方法。
  21. 【請求項21】 ガラス材が、重量%表示で、SiO2
    30〜70%、Al23 1〜35%、B23 0〜
    20%、MgO 0〜20%、CaO 0〜40%、S
    rO 0〜20%、BaO 0〜40%、ZnO 0〜
    20%、Li2O 0〜10%、Na2O 0〜10%、
    2O 0〜10%、Cs2O 0〜10%(ただし、L
    2O、Na2O、K2OおよびCs2Oの合計量0〜10
    %、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Li2
    O、Na2O、K2OおよびCs2Oの合計量0.1〜6
    5%)を含有するものである請求項20に記載のガラス
    材の製造方法。
  22. 【請求項22】 ガラス材が、重量%表示で、SiO2
    30〜65%、Al23 1〜20%、B23 0〜
    15%、MgO 0〜20%、CaO 0〜30%、S
    rO 0〜20%、BaO 0〜40%、ZnO 0〜
    20%(ただし、MgO、CaO、SrO、BaOおよ
    びZnOの合計量20〜60%)、Li2O 0〜10
    %、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、Cs2
    0〜5%(ただし、Li2O、Na2O、K2OおよびC
    2Oの合計量0〜5%、MgO、CaO、SrO、B
    aO、ZnO、Li2O、Na2O、K2OおよびCs2
    の合計量20〜60%)を含有するものである請求項2
    1に記載のガラス材の製造方法。
  23. 【請求項23】 ガラス材が、SiO2とAl23を合
    計量で50〜80重量%の割合で含有するものである請
    求項20ないし22のいずれか1項に記載のガラス材の
    製造方法。
  24. 【請求項24】 ガラス材が、さらに他の成分として、
    PbO、ZrO2、TiO2、As23、Sb23、Sn
    2、La23、P25、WO3、Bi23、Ta25
    Nb25、Gd23およびFの中から選ばれる少なくと
    も1種を含有するものである請求項20ないし23のい
    ずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項20ないし24のいずれか1項
    に記載の方法により得られたガラス材を紡糸炉にて紡糸
    処理することにより得たことを特徴とするガラスファイ
    バ。
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