JP2000102815A - 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP2000102815A
JP2000102815A JP10271325A JP27132598A JP2000102815A JP 2000102815 A JP2000102815 A JP 2000102815A JP 10271325 A JP10271325 A JP 10271325A JP 27132598 A JP27132598 A JP 27132598A JP 2000102815 A JP2000102815 A JP 2000102815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
descaling
temperature
water jet
heat retention
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10271325A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Fujita
毅 藤田
Toru Inazumi
透 稲積
Yoshimasa Funakawa
義正 船川
Masaaki Yamamoto
雅明 山本
Yoichi Motoyashiki
洋一 本屋敷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP10271325A priority Critical patent/JP2000102815A/ja
Publication of JP2000102815A publication Critical patent/JP2000102815A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車部材、建材あるいは、冷延素材等に用い
られる酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方
法を提供する。 【解決手段】重量% で、Ni:0.005〜0.1%を含有する鋳片
を、粗圧延工程において160kgf/cm2 を越える高圧水ジ
ェットでデスケーリングを1回以上行い、かつデスケー
リング以後の温度が1170℃を越えないように圧延し、粗
圧延終了後でかつ仕上げ圧延前に酸素濃度3%以上の雰囲
気で保熱温度:T(℃)、保熱時間:t(秒)およびNi
含有量:Ni%が下記(1) 式を満足させるように誘導加熱に
より保熱を行い、その後、高圧水ジェットの圧力:P(k
gf/cm2 )が下記(2) 式を満足する条件でデスケーリン
グを行うことを特徴とする。 30≧t≧(3.4×105 )/{(Ni%+0.016)T2 } …(1) 160 ≧P≧2.2 ×105 ×(Ni%+0.5)/(log60t+T)…(2) 但
し、T:950 〜1170℃

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自動車部材、
建材あるいは、冷延素材等に用いられる酸洗性および表
面性状に優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄鋼板の製造コストを低減するために
は、生産効率を高め、かつ歩留低下につながる表面欠陥
の発生を最低限に抑える必要がある。なかでも酸洗脱ス
ケール工程の高速化は、生産効率向上の鍵を握る重要な
技術で、種々の方法が検討されてきた。主な方法として
は、1)スケール厚を低減する方法、2)スケールを溶
解しやすい組成にする方法、3)スケールに亀裂を生じ
させて酸洗時にスケールの溶解剥離を容易にする方法等
がある。
【0003】スケール厚を低減する方法としては、例え
ば、特開平4−228204号公報あるいは特開平4−
266401号公報において、仕上圧延機出側から巻取
機に至る間でローラーにより熱延鋼板をシールする、あ
るいは不活性ガスまたは還元性ガス雰囲気下で冷却する
ことにより、スケールの生成を抑制する方法が提案され
ている。しかしながら、この方法は多大な設備投資およ
び多量の不活性ガス、還元性ガスを必要とし、コストが
莫大となる。また、特開平9−295028号公報、特
開平9−295029号公報では、粗圧延後にバーナー
加熱により保熱酸化処理を行い、Niを濃化させるとと
もにスケールを生成させた後、仕上圧延前にデスケーリ
ングを行うことにより、その後のスケール生成を抑制し
酸洗性を向上させている。しかし、バーナー加熱では、
燃料を燃焼することにより加熱を行っていることから、
加熱時には一酸化炭素および窒素酸化物を生成する。こ
れは、燃料+空気の混合物中の酸素とバーナー火炎部周
辺からの酸素との反応により生じている。そのため、バ
ーナーからの火炎先端近傍である鋼板表面では、酸素が
一酸化炭素あるいは窒素酸化物として消費され、保熱炉
内雰囲気の酸素濃度より低くなり、スケール生成として
の酸素が減少するため、スケール生成・成長に5〜30
分と長時間を必要とし、生産性の点で問題がある。
【0004】また、特開平6−39417号公報には、
熱延仕上げ温度、巻取温度および仕上げ圧延終了から巻
取までの時間を特定範囲に制御し、酸洗性を向上させる
技術が提案されている。この技術においては、スケール
を溶解しやすい組成にする方法として、巻取温度を35
0〜550℃の範囲に制御し、脱スケール性に優れたF
eOを残留させることにより、酸洗性の改善を図ってい
る。しかしながら、巻取温度が550℃以下の場合、A
lNの析出が十分でなく冷却後も固溶Nが残留するた
め、時効により材質が著しく劣化するという問題があ
る。これを防ぐには、高純度鋼を使用する必要があるた
めコスト高となる。これに対して、特開平2−1172
0号公報には、粗圧延後の被圧延材に1000℃以下A
3 点以上の温度域で曲げ加工を施し、AlNを十分に
析出させて時効による材質劣化を防ぎ、さらに600℃
以下で巻き取ることによりFeOを残留させて酸洗性を
向上させる方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−11720号公報の方法では、シートバーをコイル
で巻き取るため、コイルの外周部ほど曲げ半径が大き
く、歪み量が減少する。その結果、AlNの析出形態は
コイル外周部ほど粗大、内周部ほど微細となり粒成長性
に差異が生じるため、コイル長手方向に材質変動が生じ
るという問題がある。 また、スケールに亀裂を生じさ
せ酸洗時にスケールの溶解剥離を容易にする方法として
は、特開平4−72083号公報には、スケールブレー
カー、スキンパス等の亀裂発生機構にてスケールに亀裂
を発生させ、次いで固体粒子を圧力気体により鋼帯表面
に衝突させ、酸洗ラインにてスケールを除去する方法が
提案されている。しかしながら、この場合も固体粒子を
圧力気体で衝突させる装置、およびその後のスケール処
理、固体粒子を循環させるための設備等のコストが多大
となる。
【0006】一方、表面欠陥の発生低減については、最
も発生頻度の高いスケール性欠陥について種々の方法が
提案されている。例えば、特開平2−59108号公報
には仕上げ圧延中に発生する2次スケールの生成量を予
測し、予測値が所定の基準値より大きい際には、仕上げ
圧延機入り側において、圧延材にスケール発生防止剤を
塗布することにより、熱間圧延中に発生するスケールき
ずを防止している。しかしながら、スケール発生防止剤
は高価なことからコス卜が多大となると同時に、酸洗脱
スケール工程において酸液にスケール発生防止剤が混入
し、酸洗処理が困難となる。また、特開平7−1323
06号公報には、圧延機入り側における鋼板のスケール
厚さの推定およびロール表面粗度の測定もしくは推定を
行い、予め求めておいたスケールきずが発生する条件と
の比較によりロールの表面粗度および/またはスケール
厚さを制御し、圧延を行っている。ロールの表面粗度の
制御においては、砥石・砥粒入り高圧水、あるいは軟質
厚物を圧延するなどしてロール肌荒れの抑制を行ってい
る。しかしながら、このような抑制は、設備投資が高額
になるだけでなく、コストも莫大となる。
【0007】本発明の目的は、上記の問題点を解決する
ために、自動車部材、建材あるいは、冷延素材等に用い
られる酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の製造方法は、重量%で、Ni:0.00
5〜0.1%を含有する鋳片を、粗圧延工程において1
60kgf/cm2 を越える高圧水ジェットでデスケー
リングを1回以上行い、かつデスケーリング以後の温度
が1170℃を越えないように圧延し、粗圧延終了後で
かつ仕上げ圧延前に酸素濃度3%以上の雰囲気で保熱温
度:T(℃)、保熱時間:t(秒)およびNi含有量:
Ni%が下記(1)式を満足させるように誘導加熱によ
り保熱を行い、その後、高圧水ジェットの圧力:P(k
gf/cm2 )が下記(2)式を満足する条件でデスケ
ーリングを行うことを特徴とする、酸洗性および表面性
状に優れる熱延鋼板の製造方法である。
【0009】 30≧t≧(3.4×105 )/{(Ni%+0.016)T2 } …(1) 160≧P≧2.2×105 ×(Ni%+0.5)/(log60t+T) …(2) 但し、T:950〜1170℃
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、微量のNiを添加
し、粗圧延工程のデスケーリング条件および温度を適正
に抑制するとともに、粗圧延終了後に誘導加熱により適
正条件(雰囲気の酸素濃度、保熱温度、保熱時間)の保
熱処理を施した後、圧力を適切に制御した高圧水ジェッ
トによる仕上げ圧延前デスケーリングを行うことによ
り、生産性を落とさずに、生成するスケール厚さが薄く
なり、酸洗性を大幅に向上できること、また、同時に、
スケール性欠陥の発生を防ぐことができるため優れた表
面性状が得られることを見出した。
【0011】ななわち、本発明者らは、鋼の酸化挙動あ
るいはデスケーリング性におよぼす微量元素と酸化条件
の影響、さらには高圧水ジェットのデスケーリング圧力
の影響を詳しく調査した結果、微量Niを添加し、粗圧
延工程におけるデスケーリング条件および温度を適正制
御し、粗圧延終了後仕上げ圧延前または仕上げ圧延間の
段階での誘導加熱により適切な保熱酸化処理、およびそ
の後の適正圧力に制御された高圧水ジェットのデスケー
リングを行うようにして、短時間に鋼板表面にはNi濃
化層が形成され、その後の圧延中およびランナウトテー
ブル上でのスケールの生成・成長が著しく抑制されるこ
とから、生産性を落とさずに、生成するスケール厚さが
薄くなり、酸洗性を大幅に向上でき、かつスケール性欠
陥の発生を防ぐことができ、優れた表面性状が得られる
熱延鋼板の製造方法を見出し、本発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明は、鋼組成及び製造条件
を下記範囲に限定することにより、自動車部材、建材あ
るいは、冷延素材等に用いられる酸洗性および表面性状
に優れた熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
【0013】以下に本発明の成分添加理由、成分限定理
由、及び製造条件の限定理由について説明する。 (1)成分組成範囲 Ni:0.005〜0.1% Niは、鋼中においてFeよりも酸化し難い元素であ
り、高温酸化時にはスケールと地鉄との界面に濃化して
スケールの密着性を向上させることがこれまでにも明ら
かにされていた。例えば、特開昭51−40322号公
報、特開昭60−63319号公報、特開平4−157
134号公報では、微量のNi添加によりスケールと地
鉄の間にNiを富化させスケールの密着性を向上させて
いる。本発明者らは、このような密着性向上効果に加え
て、Niにはさらにスケール生成・成長を抑制して酸洗
性を向上させる効果があることを見出した。ただし、ス
ケール生成・成長抑制効果を得るためには、後述するよ
うに誘導加熱および仕上げ圧延前デスケーリング条件を
適正化してスケール除去後の鋼表面にNi濃化層を残留
させる必要があることがわかった。しかし、Ni含有量
が0.005%未満では濃化するのに極めて長時間を要
し、一方、0.1%を越えると強度が上昇し延性が低下
すると同時にコスト高となるため上限は0.1%であ
る。
【0014】なお、本発明では上記以外の成分について
は特に限定されない。すなわち、本発明の効果を阻害し
ない範囲での添加は許容される。上記の成分組成範囲に
調整することにより、自動車部材、建材あるいは、冷延
素材等に用いられる酸洗性および表面性状に優れた熱延
鋼板を得ることが可能となる。
【0015】このような特性の鋼板は以下の製造方法に
より製造することができる。 (2)熱延鋼板製造工程 (製造方法)上記の成分組成範囲に調整した鋼を転炉で
溶製し、得られた鋳片を、粗圧延工程において160k
gf/cm2 を越える高圧水ジェットでデスケーリング
を1回以上行い、かつデスケーリング以後の温度が11
70℃を越えないように圧延し、粗圧延終了後でかつ仕
上げ圧延前に酸素濃度3%以上の雰囲気で保熱温度:T
(℃)、保熱時間:t(秒)およびNi含有量:Ni%
が下記(1)式を満足させるように誘導加熱により保熱
を行い、その後、高圧水ジェットの圧力:P(kgf/
cm2 )が下記(2)式を満足する条件でデスケーリン
グを行うことを特徴とする。
【0016】 30≧t≧(3.4×105 )/{(Ni%+0.016)T2 } …(1) 160≧P≧2.2×105 ×(Ni%+0.5)/(log60t+T) …(2) 但し、T:950〜1170℃ a.粗圧延デスケーリング条件:160kgf/cm2
を越える高圧水ジェットでデスケーリングを1回以上行
う。
【0017】高圧水ジェットの圧力が160kgf/c
2 以下であると、鋳片の再加熱等において形成したス
ケールおよびNi濃化層を完全に除去することができ
ず、スケール性欠陥となってしまう。そのため、高圧水
ジェットは160kgf/cm2 を越える圧力である。
高圧水ジェットの圧力が160kgf/cm2 を越える
場合にはデスケーリングの能力が十分に大きいため、た
とえスケール/地鉄界面が複雑に入り組んだ構造となっ
ても、完全にスケールを除去できる。このため、鋳片の
再加熱温度あるいは復熱温度を規制する必要はない。
【0018】b.デスケーリング後、粗圧延中の温度:
1170℃以下 160kgf/cm2 を越える高圧水ジェットでデスケ
ーリングを行った後の工程で温度が1170℃を越える
とNi濃化層の分布が不均一となり、かつスケール/地
鉄界面が複雑に入り組んだ構造となるため保熱後のデス
ケーリング性が悪く、完全にスケールを除去することが
できない。そのため、局部的にスケールが残留し、スケ
ール性欠陥になってしまうので上限は1170℃であ
る。
【0019】c.誘導加熱による保熱 誘導加熱では、燃焼による加熱方式でないことから燃焼
排出物の生成は無いため、地鉄側に取り残されたNiも
短時間に濃化が進行する。また、鋼板の最表面において
保熱炉内設定温度よりも急速かつ高温に加熱されること
から、Niの拡散が促進されより短時間にNi濃化層が
形成される。
【0020】d.保熱温度:950〜1170℃ 保熱温度が1170℃を越えると、スケール/地鉄界面
におけるNiの濃化が促進されるが、再加熱温度・復熱
温度の場合と同様にNi濃化層の分布が不均一となり、
仕上げ圧延前のデスケーリング性が悪く、スケール性欠
陥となってしまうので上限は1170℃である。また、
950℃よりも保熱温度が低下すると、スケールの成長
が遅くスケール厚さが不十分なため仕上げ圧延前のデス
ケーリング性が劣化し、かつNiの濃化に長時間を要し
現実的でなくなる。よって、保熱温度の下限は950℃
である。
【0021】e.保熱雰囲気:酸素濃度3%以上 酸素濃度が3%未満であると、スケールが十分に成長す
る前にNi濃化層が形成され、スケールの成長が著しく
遅延して仕上げ圧延前のデスケーリング性が低下する。
このため、仕上げ圧延前のデスケーリング時の高圧水ジ
ェットの圧力を高めても局所的にスケールが残留し、ス
ケール性欠陥の発生率増大につながる。
【0022】f.保熱時間t(秒):30≧t≧(3.
4×105 )/{(Ni%+0.016)T2 } …
(1)、但し、T:950〜1170℃ Ni含有量および保熱温度によりスケールの成長および
Ni濃化状態が変化するため保熱時間は上記(1)式を
満足しなければならない。(1)式で規定する保熱時間
の下限を下回る場合は、保熱温度が低い場合と同様に、
Niの濃化が不十分でありかつスケール厚さも不十分な
ため仕上げ圧延前のデスケーリング性が劣化してスケー
ル性欠陥の発生につながる。一方、保熱時間が30秒を
越えると生産効率が著しく低下する。なお、保熱は必ず
しも一定温度に保持する必要はなく、本発明の定める温
度範囲であれば、昇温あるいは降温過程によらず同様の
効果が得られるが、その場合は、(1)式中のT(℃)
は平均温度で代用することができる。
【0023】g.保熱後デスケーリング条件:高圧水ジ
ェットの圧力P(kgf/cm2 ), 160≧P≧
2.2×105 ×(Ni%+0.5)/(log60t
+T)…(2)、但し、T:950〜1170℃ スケールのデスケーリング性はスケール厚さが大きいほ
ど向上する。このため、スケール厚さに影響をおよぼす
保熱温度、保熱時間およびNi含有量に従って上記
(2)式を満足するように高圧水ジェットの圧力を変化
させなければならない。(2)式で定める値を下回る圧
力ではデスケーリング不良を生じてスケール性欠陥が発
生し、表面品質は著しく劣化する。この様な観点からデ
スケーリングの高圧水ジェットの圧力は、高いほうが望
ましいが、160kgf/cm2 を越えると保熱条件に
よらずNi濃化層まで破壊あるいは除去してしまい、そ
の後のスケール生成・成長抑制効果が失われてしまうた
め160kgf/cm2 以下とする。なお、デスケーリ
ング性およびNi濃化層の残留し易さはデスケーリング
時の鋼板温度の影響を受けるが、通常のデスケーリング
が実施される温度の範囲内であれば大きく変化はせず本
発明の効果を得ることができる。
【0024】なお、粗圧延工程において160kgf/
cm2 を越える高圧水ジェットでデスケーリングを行っ
た後もスケールが生成し、かつNi濃化層は形成される
が、Ni濃化層は最終粗圧延機出側までの圧延中に延ば
され、粗圧延後の誘導加熱による保熱により生成するN
i濃化層に比べて極めて薄いため、本発明で定める保熱
条件には影響しない。
【0025】また、本発明の効果は上記以外の製造条件
の影響は受けず、巻取温度については材質上最も適当な
温度領域で巻き取ることができる。すなわち、640℃
程度の普通巻取はもちろん、材質の軟質化高延性化のた
めに例えば680℃程度の高温巻取をおこなってもかま
わない。以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を
立証する。
【0026】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成の鋼(A〜
C,E〜G,I〜K,M〜O:本発明例、D,H,L,
P:比較例)を連続鋳造にて鋳片とし、1230℃で再
加熱を行い、粗圧延工程において高圧水ジェットの圧
力:300kgf/cm2 でデスケーリングを行い、こ
のデスケーリング以後の温度を1150℃以下として引
き続き圧延した後、本発明の範囲内で誘導加熱により1
050〜1100℃の温度域で10秒間保熱した。ここ
で、誘導加熱内部の雰囲気は、不活性ガスを挿入するこ
とにより酸素濃度を15%に調整した。なお、誘導加熱
内部雰囲気の酸素濃度の測定は、誘導加熱長手方向中心
部において行った。保熱後の鋼板について、高圧水ジェ
ットの圧力:150kgf/cm2 で仕上げ圧延前デス
ケーリングを行った後、引き続き仕上げ圧延機により板
厚2.8mmまで圧延し、コイルに巻き取った。次い
で、得られたコイルについて、塩酸酸洗ラインにおいて
脱スケール試験を行った。塩酸酸洗ラインの酸洗液は1
0%HClで、液温85℃とした。
【0027】表2に、各鋼の巻取温度(CT)、熱延板
のスケール厚さおよび酸洗ライン速度を示す(A〜C,
E〜G,I〜K,M〜O:本発明例、D,H,L,P:
比較例)。スケール厚さは断面ミクロ写真を用いて測定
したものである。また、酸洗ライン速度は、スケール残
りが発生しない限界のライン速度(最大300mpm)
である。表2の中で本発明を満足する成分の鋼(A〜
C,E〜G,I〜K,M〜O)はスケールが薄く、酸洗
ライン最大速度である300mpmまで、スケール残り
は発生しなかった。
【0028】これに対して、本発明の範囲から外れる成
分の鋼(D,H,L,P)はスケールが厚く酸洗性に劣
るため、スケール残りを避けるためには酸洗ライン速度
を下げる必要があった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】(実施例2)表1に示すNo.A、G、J
の鋼(本発明例)を用いて、表3、表4、表5に示す条
件で、連続鋳造〜粗圧延を行った後、誘導加熱により種
々の温度あるいは温度域にてシートバーを種々の時間保
持し、また同時に、不活性ガスの挿入量を変えて酸素濃
度も変化させた。比較のためバーナー加熱による保熱も
行った。次いで、高圧水ジェットの圧力を種々に変化さ
せて仕上げ圧延前デスケーリングを行い、引き続き仕上
げ圧延機により板厚2.8mmまで圧延し、コイルに巻
き取った。得られたコイルについて、塩酸酸洗ラインに
おいて脱スケール試験を行った。塩酸酸洗ラインの酸洗
液は10%HClで、液温85℃とした。
【0032】表6に表3、表4、表5の各製造条件にお
ける熱延板のスケール厚さ、酸洗ライン速度および表面
性状を示す(No.1〜5,11〜13,22〜25:
本発明例、No.6〜10,14〜21,26〜31:
比較例)。スケール厚さは断面のミクロ写真を用いて測
定した。また、酸洗ライン速度は、スケール残りの発生
しない限界のライン速度(最大300mpm)である。
表6の中で本発明の製造条件を満足するもの(本発明例
No.1〜5,11〜13,22〜25)は、スケール
が薄く優れた酸洗性を示すと同時に、表面性状が良好で
ある。
【0033】これに対して、本発明の範囲から製造条件
が外れるもの(比較例No.6〜10,14〜21,2
6〜31)は、仕上げ圧延前デスケーリング後の酸化が
抑制されずスケールが著しく成長して酸洗性に劣るか、
あるいは、仕上げ圧延前デスケーリングが不十分なため
にスケール性欠陥が発生して表面性状が不良となった。
なお、バーナー加熱では、誘導加熱と同条件の場合、ス
ケールが厚くなり酸洗性に劣り、保熱を長時間として
も、十分な酸洗性が得られない。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋼組成及び製造条件を特定することにより、生成するス
ケール厚さを薄くすることができるので、酸洗性を高め
ることで酸洗時間を大幅に短縮し、生産性の向上が期待
できる。また同時に、スケール性欠陥の発生を防ぐこと
ができるので、表面性状に優れた熱延鋼板の製造が可能
である。酸洗脱スケール工程の高速化・生産効率向上、
およびスケール性表面欠陥の発生を防止して歩留を向上
できるので、酸洗性および表面性状に優れる熱延鋼板を
低コストに製造することが可能となり、産業上極めて有
用な発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 38/08 C22C 38/08 (72)発明者 船川 義正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山本 雅明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 本屋敷 洋一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD02 BC07 BD08 BD10 CB03 CB08 4K043 AA01 AB22 BA02 BA03 BA06 CA04 CB01 EA07 FA03 FA09 FA11 HA02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Ni:0.005〜0.1%
    を含有する鋳片を、粗圧延工程において160kgf/
    cm2 を越える高圧水ジェットでデスケーリングを1回
    以上行い、かつデスケーリング以後の温度が1170℃
    を越えないように圧延し、粗圧延終了後でかつ仕上げ圧
    延前に酸素濃度3%以上の雰囲気で保熱温度:T
    (℃)、保熱時間:t(秒)およびNi含有量:Ni%
    が下記(1)式を満足させるように誘導加熱により保熱
    を行い、その後、高圧水ジェットの圧力:P(kgf/
    cm2 )が下記(2)式を満足する条件でデスケーリン
    グを行うことを特徴とする、酸洗性および表面性状に優
    れる熱延鋼板の製造方法。 30≧t≧(3.4×105 )/{(Ni%+0.016)T2 } …(1) 160≧P≧2.2×105 ×(Ni%+0.5)/(log60t+T) …(2) 但し、T:950〜1170℃
JP10271325A 1998-09-25 1998-09-25 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 Pending JP2000102815A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10271325A JP2000102815A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10271325A JP2000102815A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000102815A true JP2000102815A (ja) 2000-04-11

Family

ID=17498486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10271325A Pending JP2000102815A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000102815A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006181612A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Jfe Steel Kk 表面性状に優れた酸洗鋼板の製造方法
JP2009249714A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Nippon Steel Corp 表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006181612A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Jfe Steel Kk 表面性状に優れた酸洗鋼板の製造方法
JP4649987B2 (ja) * 2004-12-28 2011-03-16 Jfeスチール株式会社 表面性状に優れた酸洗鋼板の製造方法
JP2009249714A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Nippon Steel Corp 表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4905615B2 (ja) ステンレス鋼ストリップの製造方法および統合圧延機ライン
US6546771B1 (en) Method for manufacturing of strips and rolling mill line
JP5534319B2 (ja) 酸洗性および加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
JPS63216924A (ja) 発銹抵抗が大きく研磨性にすぐれたCr−Ni系ステンレス鋼の製造法
KR20120032992A (ko) 스케일층과의 밀착성이 우수한 열연강판의 제조방법
JP3252704B2 (ja) 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法
JP2000102815A (ja) 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法
JP3671516B2 (ja) 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法
JP2000102813A (ja) 酸洗性および表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法
JP3506127B2 (ja) 酸洗後の表面性状に優れる熱延鋼帯の酸洗方法
JP3345540B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JPH09291311A (ja) 表面性状およびデスケール性に優れたステンレス鋼熱延鋼板の製造方法およびその製造装置
JPH1177142A (ja) 熱延ステンレス鋼板の製造方法
JP3583268B2 (ja) 表面光沢に優れたステンレス鋼帯及びその製造方法
JPH06315702A (ja) 表面性状の優れた薄鋼板の製造方法およびその製造設備列
JPH09249914A (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP2000042604A (ja) 表面性状に優れた鋼板の製造方法
JPH10219358A (ja) ステンレス鋼の薄鋳片から熱延鋼板を製造する方法及び装置
JPH02412B2 (ja)
JPH07188739A (ja) 表面性状に優れた熱間圧延鋼材の製造方法
JPH10166026A (ja) 表面性状に優れた鋼板の製造方法
JPH10263622A (ja) 耐食性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼板およびその製造方法
JPS6326177B2 (ja)
JPH1190523A (ja) 冷延オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法
JPS61246326A (ja) 表面性状及び加工性のすぐれたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041214

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050412