JP2000102202A - 永久磁石形電動機の回転子 - Google Patents

永久磁石形電動機の回転子

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JP2000102202A
JP2000102202A JP10306267A JP30626798A JP2000102202A JP 2000102202 A JP2000102202 A JP 2000102202A JP 10306267 A JP10306267 A JP 10306267A JP 30626798 A JP30626798 A JP 30626798A JP 2000102202 A JP2000102202 A JP 2000102202A
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rotor
hole
permanent magnet
electric motor
magnet
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JP10306267A
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English (en)
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Shigeru Okuma
繁 大熊
Shinji Michiki
慎二 道木
Mutsuo Tomita
睦雄 冨田
Mitsuhiko Sato
光彦 佐藤
Seiichi Kaneko
清一 金子
Mitsuhiro Suzuki
光広 鈴木
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Aichi Elec Co
Original Assignee
Aichi Elec Co
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 回転子の回転によって磁石が破壊して磁束量
が減少したり、騒音が発生したりする問題を解決すると
ともに、電動機の効率総合効率を向上させ、鉄心の打ち
抜き型の寿命を長く保証できる。 【解決手段】 収容孔3a,3bを軸心に向けてくの字
状に形成するとともに、くの字の孔縁の両端部近傍に段
差部を設け、収容孔3a,3bに1対の平板状希士類永
久磁石2a,2bを挿着したとき、収容孔3a,3bの
くの字の両端部に空隙部4a,4bが形成されるように
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍機や空調機の
圧縮機駆動用電動機等に代表される永久磁石(以下、磁
石と称す)の界磁を有する同期電動機に関し、特に回転
子の鉄心の内部に磁石を埋め込んで構成するいわゆる埋
め込み磁石構造の回転子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記埋め込み磁石構造の回転子を備えた
電動機は、固定子の通電巻線の電流とこれに鎖交する主
磁束(磁石による磁束)とによって得られる主磁束トル
クに加えて、回転子位置による磁気抵抗の相違によって
得られるリラクタンストルクが利用できる特長を備えて
いる。
【0003】即ち、一般に電動機のトルクTは、主磁束
トルクをT1、リラクタンストルクをT2とすると、 T=T1+T2 …(1) で表され、磁石の磁極中心と回転軸心を結んだ方向をd
軸とし、このd軸に対する電気角90゜位相をq軸と
し、主磁束量をΦ、d軸電流をId、q軸電流をIq、
d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLq
とすれば、 T1=Φ・Iq …(2) T2=(Ld−Lq)Id・Iq …(3) で表される。(3)式において、Idがマイナスの値と
なるように制御すれば、Ldと比較してLqが大きくな
るほどリラクタンストルクT2を大きくすることができ
る。
【0004】一方、リラクタンストルクを利用する電動
機においては、固定子と回転子間のエアギャップが極力
小さくなるように構成するのが好ましいが、1〜2馬力
クラスの圧縮機駆動用電動機等においては、構造上の制
約からエアギャップ寸法は0.5〜0.7mm程度と比
較的大きなものとなってしまう。従って、磁気抵抗が大
きくなってリラクタンストルクを十分に引き出せないた
めに、全トルクTに占めるリラクタンストルクT2の割
合は2割程度に過ぎず、全トルクTは基本的には8割程
度を占める主磁束トルクT1に負うところが大きい。
【0005】図5は、本出願人が特願平10−2410
12号として先に提案した回転子を示しており、希土類
磁石等の高性能磁石を用いて主に主磁束トルクを向上さ
せ、電動機の高効率化を達成したものである。図5は回
転子の軸方向に垂直な断面を示しており、図中1bは鉄
心であり、軸孔10、複数のピン孔6及び磁石を挿着す
るための複数の収容孔3cを備えた薄鉄板を軸方向に多
数積層して形成されている。収容孔3cは軸心に向けて
くの字状に形成され、各収容孔3cには1対の平板形の
磁石2cが軸方向に挿着されており、各収容孔内に収め
られてくの字状となった1対の磁石当たり1極を形成す
るように着磁されて、図示例の場合4極の界磁を構成す
るようになっている。
【0006】磁石材料としては、例えばNd−Fe−B
(ネオジウム−鉄−ホウ素)系磁石等の希土類磁石を用
い、主磁束を極力大きなものとしている。希土類磁石の
場合、断面が円弧形状のものは高コストとなるため一般
には平板状に形成され、従って鉄心に設ける収容孔とし
ては、図示するようなくの字状のものが適している。
【0007】収容孔3cの両端部には磁石2cが挿着さ
れることなく、鉄心1bの外周へ向けて空隙部4cが形
成されており、主磁束が隣接極間で短絡漏洩するのを防
止するようになっている。そしてこの空隙部4cと鉄心
外周部との間には狭幅のブリッジ部5cが打ち残され
て、鉄心1bが連結され、各薄鉄板は一体に打ち抜くこ
とが可能となっている。尚、鉄心1bのピン孔6にはカ
シメピン7が挿通されて、回転子全体が補強されてい
る。
【0008】図5の回転子に、おける収容孔3c及びこ
れに装着される1対の磁石2cは、回転子半径方向に間
隔をおいて多層に設けてもよく、この構成例を図6に示
す。図6において、軸心側の収容孔3dと反軸心側の収
容孔3eにはそれぞれ1対の磁石2d及び2eが挿着さ
れており、これらの磁石は半径方向に同極に着磁される
とともに、層になったくの字のペア毎に1極を形成して
いる。
【0009】軸心側の収容孔3dと反軸心側の収容孔3
eとの層間には鉄心部分8bが打ち残されており、この
部分にq軸の磁路が形成されるために、q軸インダクタ
ンスが大きくなってリラクタンストルクが大きく構成で
きるようになっている。図5に示すような軸心に向けて
くの字状の収容孔を備えた回転子、及びその収容孔を半
径方向に多層に形成した図6に示すような回転子として
は、例えば実開平6−66277号公報等に開示されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】希土類磁石の場合、フ
ェライト磁石と比べて重量当たりの単価が非常に高いた
め、回転子への適用に際しては極力薄く構成し、フェラ
イト磁石使用品に対するコスト的な不利を極力解消する
ように構成される。従って、この希土類磁石を収容する
鉄心の収容孔も狭幅に形成される。磁石は研削精度のば
らつきによる仕上がり公差を有しており、鉄心は打ち抜
き精度のばらつきによる仕上がり公差を有しており、こ
のため、収容孔へ磁石をスムーズに挿着するために、回
転子完成時における収容孔と磁石間にはある程度の隙間
が必ず生じる。この隙間の寸法は磁石の厚みにかかわら
ず同程度の寸法となるため、磁石の厚みが小さいほど収
容孔の中で磁石が動き易くなり、回転子の回転によって
磁石が破壊して磁束量が減少したり、騒音が発生したり
する問題がある。
【0011】また、上記のように希土類磁石の収容孔は
狭幅で且つ細長く形成されるため、鉄心を打ち抜く刃物
の強度が弱くなってしまい、このため特に収容孔の屈曲
部分で刃物の破損が発生し易く、打ち抜き型の寿命が短
くなってしまうという問題がある。この問題は、収容孔
の幅がさらに狭く形成される図6のような多層構造のも
のにおいてより深刻となる。
【0012】また、図6に示すような収容孔及び磁石を
回転子半径方向に間隔をおいて多層に設けるものにおい
ては、従来、磁石材料として専らフェライト磁石が用い
られている。この場合、断面がくの字の多層構造のみな
らず、断面がU字形の多層構造も用いられている。この
ような構成によって高いリラクタンストルクが得られ、
電動機効率は向上するのであるが、一方で力率が悪くな
るため、この電動機に電力を供給するインバータの効率
が悪くなってしまう。この結果、電動機効率×インバー
タ効率で表される電動機の総合効率の向上には難が存在
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄心に設けた
永久磁石を収容するための複数の収容孔に永久磁石を挿
着して構成する永久磁石形電動機の回転子において、軸
方向に垂直な断面において、前記収容孔を軸心に向けて
くの字状に形成するとともに、前記くの字の孔縁の両端
部近傍に段差部を設け、この収容孔に1対の平板状希土
類永久磁石を挿着したとき、前記収容孔のくの字の両端
部に空隙部が形成されるように構成するものである。
【0014】また、前記鉄心は薄鉄板を打ち抜いて軸方
向に多数積層して成り、前記収容孔は、少なくとも2行
程の打ち抜きによって形成する。この際、前記収容孔の
くの字の頂点部分は広幅または狭幅の別抜きとすること
が望ましい。そしてこれらの構成において、前記収容孔
は各極当たり1個ずつ配設してもよいし、回転子半径方
向に間隔をおいて2層に配設してもよい。2層に配設す
る場合は、前記空隙部がq軸方向に偏るように前記段差
部を形成する。
【0015】また本発明は、鉄心に設けた永久磁石を収
容するための複数の収容孔に永久磁石を挿着して構成す
る永久磁石形電動機の回転子において、軸方向に垂直な
断面において、軸心に向けてくの字状に形成した前記収
容孔を回転子半径方向に間隔をおいて2層に配設し、前
記各収容孔に1対の平板状希土類永久磁石を挿着すると
ともに、前記収容孔のくの字の両端部に前記永久磁石が
挿着されない空隙部を設けたものである。
【0016】さらに、軸心に向けてくの字状に形成した
収容孔を回転子半径方向に間隔をおいて2層に配設した
ものにおいて、前記収容孔のくの字の開角を軸心側に比
べて反軸心側の収容孔の方が狭くなるように形成するも
のであり、この場合好ましくは、前記反軸心側の収容孔
の軸心からの開角を電気角132゜以下に構成する。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例を示す電動
機回転子の平面断面図であり、回転子の軸方向に垂直な
断面を示している。鉄心1aは、順送プレス型によって
所定形状に打ち抜いた0.35mm厚,0.50mm厚
等の薄鉄板をプレス型内で軸方向に多数積層したもので
あり、各薄鉄板に設けた切り起こし突起による凹凸部を
軸方向に隣接するもの同士で嵌合させて固定する周知の
クランプ手段等によって複数箇所で固定されている。こ
の円柱状の鉄心1aの中心には軸孔10が設けられ、こ
の軸孔10と平行に磁石を挿着するための複数の収容孔
3a,3b及びカシメピンを挿通するための複数のピン
孔6がそれぞれ設けられている。
【0018】収容孔3a及び3bは、軸心Oに向けてく
の字状の断面に形成されるとともに、各極毎に半径方向
に間隔をおいて2層に配設されている。反軸心側の収容
孔3bと鉄心1aの外周部との間には厚肉の鉄心部分が
存在し、また軸心側の収容孔3aと反軸心側の収容孔3
bとの層間には鉄心部分8aが打ち残されており、これ
らの部分にq軸の磁路が形成されているためにq軸イン
ダクタンスLqが大きく、一方d軸インダクタンスは小
さく構成されている。
【0019】鉄心1aの各収容孔3a,3bには、各く
の字当たり2個の平板状の磁石2a,2bが軸方向から
挿着され、層になったくの字のペア毎に1極を形成する
ように着磁されて、図示例の場合4極の界磁を構成する
ようになっている。磁石材料としては、Nd−Fe−B
系磁石等の希土類磁石を用いることによって主磁束を極
力大きく構成している。
【0020】この回転子は、図2に示すように、磁石2
a,2bを挿着した後、鉄心1aの軸方向両端部には端
板12が装着されて蓋がなされ、鉄心のピン孔6及び端
板のピン孔13にそれぞれカシメピン7を挿通して固着
一体化するものである。端板12は、黄銅や亜鉛等の非
磁性の金属板から成り、必要に応じて、バランスウェイ
ト等の付属品が端板と一体形成されるかまたは同時かし
めにより固着される。
【0021】図1に戻って、鉄心1aにおける収容孔3
a及び3bの両端部は、磁石が挿着されない空隙部4a
及び4bとなっており、隣接極間での主磁束の漏洩短絡
を防止して、主磁束を有効に固定子側へ誘導することが
できるようになっている。希土類磁石等の高性能磁石は
非常に磁束密度が高いため、このような空隙部の存在に
よって主磁束トルク分の増加は顕著となる。また、隣接
する空隙部4aによって挟まれた極間部には放射状の鉄
心部分11が打ち残されてq軸の磁路を形成しており、
また空隙部4a、4bと鉄心1a外周部との間には、そ
れぞれブリッジ部5a,5bが打ち残されて鉄心1a全
体が連結されている。
【0022】即ち、放射状の鉄心部分11及び層間の鉄
心部分8aによって、この部分を介して固定子磁束が回
転子鉄心1a内へ多量に流出入することができるため、
q軸インダクタンスは大きな値に維持され、空隙部4a
に起因する電動機のリラクタンストルク分の減少を低く
抑えることができる。この場合、ブリッジ部5aが漏斗
のような作用をして、放射状の鉄心部分11あるいは層
間の鉄心部分8aへの固定子磁束の流出入を誘導する効
果を奏する。
【0023】ブリッジ部5a及び5bの半径方向の幅は
狭い方が特性上好ましいのであるが、鉄心1aを構成す
る薄鉄板の打ち抜き技術及びブリッジ部5a,5bの耐
遠心力強度等を考慮して適切な幅に決定される。そして
放射状の鉄心部分11及びブリッジ部5a,5bによっ
て鉄心1aが連結されているため、各薄鉄板は一体に打
ち抜くことが可能となっている。
【0024】図1及び図2に示す鉄心1aの要部を拡大
したものを平面図にて図3に示す。鉄心1aを構成する
各薄鉄板を順送プレス型によって打ち抜く際、収容孔3
a及び3bは少なくとも2行程の打ち抜きによって形成
されている。即ち、収容孔の屈曲部分であるくの字の頂
点部分9a,9bと端部の空隙部4a、4bは、その他
の収容孔の孔縁の打ち抜きと行程を違えて打ち抜いてあ
り、図中破線で示される部分は打ち抜き型がラップする
部分を表している。このように狭幅で長く且つ屈曲部分
を含む孔の打ち抜き型において、型の長手方向を分割す
るように構成したので、狭幅の収容孔3a、3bを打ち
抜くに際して刃物の強度を維持することができる。図3
(a)の例では、頂点部分9a,9bは若干広幅に形成
した別抜きとし、端部の空隙部4a、4bは、段差を設
けて直線型のみによって打ち抜けるようになっている。
また図3(b)の例は、頂点部分9c,9dを若干狭幅
に形成した別抜きとしたものを示している。
【0025】上記打ち抜きによって、収容孔3a、3b
における磁石2a、2bが挿着される部分と空隙部4
a、4bとなる部分との境界の孔縁に段差部14a、1
4bを設けることができ、この段差部14a、14bに
よって、希土類磁石2a、2bの位置決めを容易に行う
ことができる。また上記段差部による位置決め構造並び
に上記の打ち抜き方法は、収容孔を2層に配設したもの
においては収容孔がかなり狭幅に形成されるため非常に
有効であるが、これに限らず、図5に示したような収容
孔を各極当たり1層に形成した回転子においても、収容
孔が狭幅に設計される場合は適用価値がある。さらに必
要に応じて、図3(b)の例のように頂点部分9c,9
dを若干狭幅とした段差部を設けることによって、収容
孔のくの字の頂点側における磁石の位置決めも容易に行
うことができる。
【0026】また図1及び図3に示されるように、空隙
部4a、4bは、段差部14a、14bによって、収容
孔3a,3bに対してq軸方向に偏るように形成されて
いる。これは層間の鉄心部分8aにおける磁束の出入口
近辺をq軸方向に広げることによって、固定子磁束をな
るべくq軸方向へ偏らせてループを大きくし、これによ
りリラクタンストルクを大きくするための構成である。
【0027】再び図1に戻って、さらに本発明において
は、軸心側の収容孔3aのくの字の開角θ1に比べて、
反軸心側の収容孔3bのくの字の開角θ2の方が狭くな
るように形成するものである。この理由は、θ2を狭く
形成し、その分磁石2bの長さを長く形成して軸心側へ
食い込ませて主磁束がより多くなるように構成するもの
である。この構成によって主磁束トルク分を増加させる
ことが可能となる。このとき、収容孔層間の鉄心部分8
aにおいては、この部分へ流出入する磁束は収容孔3a
及び3bの方向に一部が漏洩するため、磁束の入り口で
ある鉄心1a外周部に比べて収容孔3a、3bのくの字
の頂点部分近辺では磁束量はかなり少なくなり、このた
めくの字の頂点部分近辺では磁路幅がある程度狭くなっ
ても磁束密度上問題とはならない。
【0028】この場合、好ましくは、反軸心側の収容孔
3bの軸心Oからの開角θ3を電気角132゜(図示4
極構成の場合、機械角66゜)以下に構成することによ
り良好な電動機特性が得られることが本発明者らの実験
によって確認されている。その結果を図4に示す。
【0029】図4は、反軸心側の収容孔3bの軸心Oか
らの開角θ3(電気角)を変化させた場合における主磁
束量Φの変化、及びq軸インダクタンスLqとd軸イン
ダクタンスLdの比である突極比Lq/Ldの変化、及
び電動機効率ηの変化をそれぞれ示したものである。主
磁束量Φは、回転子を電動機の固定子に対向させた状態
で回転させたときの固定子巻線の誘起電圧を測定するこ
とによって知ることができる。一方、q軸インダクタン
スLq及びd軸インダクタンスLdは、同様に回転子を
電動機の固定子に対向させた状態で回転させたときの巻
線のインダクタンスの最大値と最小値を測定することに
よって知ることができる。そして前述したように、主磁
束量Φが大きいほど主磁束トルクT1が大きく、突極比
Lq/Ldが大きいほどリラクタンストルクT2が大き
く形成できるものである。
【0030】図4において、θ3を電気角140゜から
120゜へ向けて縮小させていくと、主磁束量Φと突極
比Lq/Ldは共に直線的に増加する。これは、主磁束
量Φについては、極中心方向へ磁束が集中するため、磁
石2bの大きさが変わらない限りこの角度範囲において
は増加する傾向にある。一方突極比Lq/Ldについて
は、収容孔層間の鉄心部分8aの鉄心外周部近傍がだん
だん広幅となっていくため、Lqが徐々に増加していく
ためである。従って、これらΦ及びLq/Ldの増加に
よって電動機効率ηも増加する。また一般に、このよう
な電動機の固定子における通電切り換えは、三相120
゜通電が採用されるため、電気角180゜の範囲に形成
される界磁1極分の主磁束は、電気角120゜の範囲に
集中させた方がトルクへの寄与が大きくなるため、この
面からも電動機効率は増加することになる。
【0031】ところが電動機の固定子側にはスロットが
存在するため、磁束の流出入は回転子外周部とこのスロ
ット間でなされている。固定子のスロット数をNs、極
数をPとすると、電気角120゜の範囲には、 Ns/P×2/3 …(4) なる数のスロットが対向しており、電気角120゜の範
囲の境界部分においては、前記対向スロットに隣接する
スロットへ向けて、即ち電気角120゜の範囲外へ向け
て磁束が散ってしまう現象が生じるため、図4に示すよ
うに主磁束の増加分が減少する。この現象が顕著化する
のが図4におけるθ4のポイントであり、ほぼ電気角1
32゜となる。従ってθ3は電気角132゜以下に設定
するのが好ましい。
【0032】一方、図4においてθ3は120゜までし
か記載していないが、θ3をさらに縮小させていくと、
当然のことながら、収容孔層間の鉄心部分8aのくの字
の頂点部分の幅が小さくならてLqの増加がストップす
るか、さもなくば磁石2bの長さを縮小せざるを得なく
なってΦの増加がストップすることになる。従って寸法
的な制約から下限の適正値も自ずと定まってくる。
【0033】尚、上記収容孔3bの角度θ3は、単純に
狭くしていっても、磁石2bの面積が減少してしまうた
め電動機特性は向上しない。本発明のように、収容孔3
bのくの字の開角θ2を狭くすると同時にθ3も狭くす
ることによってはじめて特性向上が達成されるものであ
る。また、本発明においては、収容孔両端部の空隙部に
樹脂等の非磁性材料を充填した場合であっても同様の作
用を生じるものであるため、必ずしも空隙に限定するも
のではない。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、くの字状の収容孔にお
ける磁石が挿着される部分と空隙部となる部分との境界
の孔縁に段差部を設けることにより、希土類磁石の位置
決めを容易に行うことができる。さらに必要に応じて、
くの字の頂点部分の孔縁を若干狭幅とした段差部を設け
ることによって、くの字の頂点側における希土類磁石の
位置決めも容易になし得る。従って、回転子の回転によ
って磁石が破壊して磁束量が減少したり、騒音が発生し
たりすることがなく、品質に優れた回転子が構成でき
る。
【0035】また、収容孔を少なくとも2行程の打ち抜
きによって形成することにより、狭幅で長く且つ屈曲部
分を含む孔の打ち抜き型において、型の長手方向を分割
して構成できるので、狭幅の収容孔を打ち抜くに際して
刃物の強度を維持することができ、型寿命を長くするこ
とができる。これにより、薄い希土類磁石の収容孔を安
全に打ち抜くことができ、特に半径方向に希土類磁石を
2層に配設したものにおいてその製造を容易にするもの
である。同時にこの打ち抜きによって、収容孔における
上記段差部を容易に形成することが可能となる。
【0036】また、空隙部が収容孔に対してq軸方向に
偏るように上記段差部を形成することにより、収容孔層
間の鉄心部分を通過する固定子磁束の磁路のループが大
きくなってリラクタンストルクを大きく維持することが
できるものである。
【0037】また、収容孔のくの字の両端部に空隙部を
形成して主磁束の短絡漏洩を防止し、この空隙部による
リラクタンストルクの減少を希土類磁石による主磁束ト
ルクの増加で補うことによって、主磁束トルクとリラク
タンストルクの和である電動機の全トルクを大幅に増加
させ得るものであり、このことは、従来と同一トルクに
て比較すれば、電動機の銅損が減少して電動機の効率を
大きく向上させることができる。そして特に高トルクあ
るいは高効率を追求するタイプの電動機において、電動
機の最大能力を引き出す上で効果的な構成を提供するこ
とができる。即ち、主磁束トルクの割合を大きくしたこ
とによって力率が高くなり、この結果インバータ効率が
向上して、磁石を多層構造とした電動機における総合効
率を大きく向上させることができるものである。
【0038】また、反軸心側の収容孔のくの字の開角を
軸心側よりも狭くすることによって、反軸心側の磁石の
長さを長く形成して主磁束トルク分を増加させることが
可能となる。同時に、主磁束量を減少させることなく、
反軸心側の収容孔の軸心からの開角を適正な範囲に定め
ることができ、これらが相乗されて電動機効率をさらに
向上させ得る特長を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す回転子の平面断面図。
【図2】図1の回転子の分解斜視図。
【図3】鉄心の要部を拡大して示す説明図。
【図4】反軸心側の収容孔の軸心からの開角に対する主
磁束量、突極比及び電動機効率の関係を示す特性図。
【図5】従来例を示す回転子の平面断面図。
【図6】収容孔を多層に配設した例を示す回転子の平面
断面図。
【符号の説明】
1a,1b,1c…鉄心 2a,2b,2c,2d,2e…磁石 3a,3b,3c,3d,3e…収容孔 4a,4b,4c,4d,4e…空隙部 7…カシメピン 10…軸孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 清一 三重県桑名郡木曽岬町栄68−4 (72)発明者 鈴木 光広 名古屋市緑区鳴海町字山ノ神72 Fターム(参考) 5H615 AA01 BB01 BB07 BB14 BB16 PP02 PP07 SS03 SS05 SS20 SS51 TT05 5H622 AA03 CA02 CA07 CA10 CA13 CB03 CB05 DD02 PP03 PP10 PP11 QB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に設けた永久磁石を収容するための
    複数の収容孔に永久磁石を挿着して構成する永久磁石形
    電動機の回転子において、軸方向に垂直な断面におい
    て、前記収容孔を軸心に向けてくの字状に形成するとと
    もに、前記くの字の孔縁の両端部近傍に段差部を設け、
    この収容孔に1対の平板状希土類永久磁石を挿着したと
    き、前記収容孔のくの字の両端部に空隙部が形成される
    ようにしたことを特徴とする永久磁石形電動機の回転
    子。
  2. 【請求項2】 前記鉄心は薄鉄板を打ち抜いて軸方向に
    多数積層して成り、前記収容孔は、少なくとも2行程の
    打ち抜きによって形成されていることを特徴とする請求
    項1記載の永久磁石形電動機の回転子。
  3. 【請求項3】 前記収容孔のくの字の頂点部分を広幅ま
    たは狭幅の別抜きとしたことを特徴とする請求項2記載
    の永久磁石形電動機の回転子。
  4. 【請求項4】 前記収容孔を回転子半径方向に間隔をお
    いて2層に配設したことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の永久磁石形電動機の回転子。
  5. 【請求項5】 前記空隙部がq軸方向に偏るように前記
    段差部を形成したことを特徴とする請求項4記載の永久
    磁石形電動機の回転子。
  6. 【請求項6】 鉄心に設けた永久磁石を収容するための
    複数の収容孔に永久磁石を挿着して構成する永久磁石形
    電動機の回転子において、軸方向に垂直な断面におい
    て、軸心に向けてくの字状に形成した前記収容孔を回転
    子半径方向に間隔をおいて2層に配設し、前記各収容孔
    に1対の平板状希土類永久磁石を挿着するとともに、前
    記収容孔のくの平の両端部に前記永久磁石が挿着されな
    い空隙部を設けたことを特徴とする永久磁石形電動機の
    回転子。
  7. 【請求項7】 前記収容孔のくの字の開角を軸心側に比
    べて反軸心側の収容孔の方が狭くなるように形成したこ
    とを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の永久
    磁石形電動機の回転子。
  8. 【請求項8】 前記反軸心側の収容孔の軸心からの開角
    を電気角132゜以下としたことを特徴とする請求項7
    記載の永久磁石形電動機の回転子。
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