JP2000100643A - トロイダルコイルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トロイダルコイルの製造において、硬い導線を
用いる場合であっても、容易に小型なトロイダルコイル
を製造できる製造方法を提供する。 【解決手段】巻線機を用いて、硬い導線を予めソレノイ
ドコイル１に形成しておき、コイル端部の略１ターンを
リングコア２に絡ませてから、ソレノイドコイルを巻線
方向に回転させながらリングコアに巻き移すことによ
り、小型なトロイダルコイルが容易に製造できる。ま
た、断面が矩形のリングコアを用いる場合に、多品種の
対応ができるよう部材をランクごとに用意しておき、製
品をシリーズ化して量産する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フェライトや、鉄
芯等の閉磁路リングコアに導線が巻回されたトロイダル
コイルの製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ノイズフィルター等に用いられる
リング状のトロイダルコイルは、リングコアの内径と鎖
交するシャトルリングに導線を一定量貯線し、巻き終わ
り端をコアに固定して、シャトルリングをコアの周りを
周回させながら巻線を施していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、導線
が細くて柔らかい場合はともかく、電流容量の大きい太
く硬い導線は、巻線に大きなトルクが必要となるため、
小さい内径のリングコアの穴を通しながら、リングコア
に巻き付けることは困難であり、電流容量の大きいトロ
イダルコイルの小型化には限界があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、各種断面形状および線数の導線を、所定の
巻芯を用いた巻線機でソレノイドコイルに予め形成して
おき、該ソレノイドコイルの一端の略１ターンを、フェ
ライトまたは鉄芯等の各種断面形状のリングコアに絡
め、巻き方向に回転させながら巻き移してなるトロイダ
ルコイルの製造方法である。

【０００５】予め巻線機で巻線するため、硬い線材であ
っても容易にソレノイドコイルを形成でき、その後にソ
レノイドコイル端部の略１ターンをリングコアに絡め
て、回転させながら巻き移してトロイダルコイルを形成
するので、内径の小さいリングコアであっても、容易に
トロイダルコイルが製造できる。

【０００６】しかし乍ら、断面円筒のソレノイドコイル
を回転させてコアに巻き移すので、フェライトコアのよ
うな断面円形のリングコアの場合は余分なスペースは少
なく巻けるが、コア材に磁性鋼板を用いる場合は、テー
プ状の鋼板を所定の厚さに巻回してリングコアを形成す
るため断面矩形となり、断面円筒のソレノイドコイルを
巻き移すため、余分なスペースが生じ小型にならない。

【０００７】トロイダルコイルは、リングコアの断面積
が電流容量、インダクタンス値の電気的特性の要因であ
るため、設計値による所定の磁路断面積を形成しなくて
はならない。 コア材が磁性鋼板の場合など、コア断面
が矩形の場合は正方形が望ましいが、多品種を製造する
ため種々の断面積を得るためには、磁性鋼板の板幅をシ
リーズ化しておき、券回数でコアの厚みを決めリングコ
アの断面積を決定するので断面が正方形とは限らない。

【０００８】そこで、リングコアの断面の巻き厚と板幅
の比を、一定の範囲に限定し収納するコアケースの厚み
にランクを設けておく。また、ソレノイドコイルの内径
もランクを設けておき、巻き数はシリーズで対応する。
そして、断面矩形リングコアの対角線長、およびそれを
収納する絶縁ケースの肉厚、およびリングコアに巻き移
すときのコイル線間の広がりにより内径が小さくなるこ
とを勘案して、余裕を持たせた内径のソレノイドコイル
を選定して巻き移す。

【０００９】ランク分けの指標として、次ぎの２項目を
設定すると、製品形状が大き過ぎず、製品ランクも増え
過ぎず適当である。即ち、リング状に巻かれた磁性鋼板
の巻厚と板幅との比が０．５〜２．０の範囲のコアを絶
縁ケースに収納して、ケースを除くリングコア断面の対
角線長の１．１〜１．５倍の内径を有するソレノイドコ
イルをもちいることにより、巻き付け作業が容易で形状
も大き過ぎることのない適当なランク内で多品種のトロ
イダルコイルを量産できる。

【００１０】結果的に、多品種対応がランク分けされた
シリーズででき、コイルの巻き移しの作業性と、外形寸
法とがバランスする鉄芯のトロイダルコイルを提供でき
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図面を参照して説明する。

【００１２】第１図〜第３図は、請求項１のトロイダル
コイルの製造方法を示す図である。第１図に示すように
絶縁処理がなされた銅線（Φ＝２ｍｍ）を、円柱巻芯
（Φ＝３０ｍｍ）を装着した巻線機を用いて巻かれた単
層空芯ソレノイドコイル１の巻き始めの略１ターンを、
断面円形フェライトのリングコア２（内径＝３０ｍｍ、
外径＝７０ｍｍ、断面；２０ｍｍΦ）に絡める。

【００１３】次に、第２図に示すように、前記ソレノイ
ドコイルを巻線方向に回転させながら、リングコアに巻
き移して行く。

【００１４】第３図に示すように、リングコアに巻き移
しが終了したソレノイドコイルの端子処理を行いトロイ
ダルコイルが完成する。端子処理とは、コイル端部の一
定長を直線に伸ばし、接続部の絶縁皮膜を除去して、は
んだ上げを施すことを言う。

【００１５】次ぎに請求項２の実施例について説明す
る。所定の板幅（Ｗ＝１５ｍｍ）の磁性鋼板（アルプス
電気株式会社製、ナノパーム；Ｔ＝０．０２ｍｍ）を厚
み１０ｍｍに券き取り、巻き終わりの端部を切断しスポ
ット溶接で固定後（図示せず）、アニール処理を行い両
側よりポリプロピレンの絶縁ケースをはめて完成したリ
ングコアを第４〜第６図に示す。

【００１６】第４図はケース入りリングコアの正面図で
あり、ポリプロピレン製（肉厚＝１．０ｍｍ）のコアケ
ース（内径＝４５．５ｍｍ、外径＝６０ｍｍ）が、上下
より前記リングコアに嵌め込まれている。

【００１７】Φ＝２．０ｍｍの銅線を、Φ＝２３ｍｍの
巻芯で巻き取ったソレノイドコイルを、上記ケース入り
リングコアに請求項１の方法で巻き移して端子処理をし
たトロイダルコイルの完成図を第７図に示す。

【００１８】以上のように、製造されたトロイダルコイ
ルは、第５図の板幅６は１５ｍｍ、巻厚は１０ｍｍよ
り、磁路断面積は１５０平方ｍｍで、巻厚と巻きは場の
比は０．６７となり、前記磁路断面の条件０．５〜２．
０の範囲内である。また第８図の断面図におけるソレノ
イドコイルの内径８は２２ｍｍで、コアの対角線９は１
８ｍｍより、その比は１．２２となり前記の条件内であ
る。この場合の第８図に示すコイルと、コア間の最小ギ
ャップは４ｍｍとなり、ケースの肉厚分を引いても２ｍ
ｍほどのギャップとなるので、製品の外形も大きくなら
ず、容易にコイルの巻き移しもできる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の方法によれ
ば、硬い導線を用いた場合でも、小型なトロイダルコイ
ルが容易に製造できる。また、磁性鋼板を用いた断面矩
形のリングコアを用いる場合も、シリーズ化された部材
を、範囲を限定して組み合わせることにより、作業性を
損なうこと無く、且つ大型にならないトロイダルコイル
を多品種に亘り提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態例の製造方法を説明するための概
略工程図のうち、トロイダルコアにコイルの１端を絡ま
せた状態を示す図である。

【図２】コイルを回転させながら、コアに巻き移してい
る状態を示す図である。

【図３】コイルを回転させながら、コアに巻き移しが終
了し端子処理をした状態を示す完成図である。

【図４】第４図は、ケース入りリングコアの正面図であ
る。

【図５】第５図は、第４図ケース入りリングコアのＡ−
Ａ’における断面図である。

【図６】第６図は、ケース入りリングコアの側面図であ
る。

【図７】第７図は、ケース入りリングコアにソレノイド
コイルの巻き移しが終了し、端子処理をしたトロイダル
コイルの完成図である。

【図８】第８図は、第７図のトロイダルコイルのＢ−
Ｂ’における断面図を示す。

【符号の説明】

１……ソレノイドコイル ２……リングコア ３……ケース入りリングコア ４……リングコアケース ５……磁性鋼板 ６……磁性鋼板の板幅 ７……磁性鋼板の巻き厚 ８……ソレノイドコイルの内径 ９……リングコア断面の対角線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】予め形成されたソレノイドコイルの一端
   を、リングコアに絡めて回転させながら、該リングコア
   に巻き移すことを特徴とするトロイダルコイルの製造方
   法。
2. 【請求項２】磁性鋼板を巻厚と板幅との比が０．５〜
   ２．０の範囲でリング状に巻き取り、該リングコア断面
   の対角線長の１．１〜１．５倍の内径を有するソレノイ
   ドコイルを装着したことを特徴とする、請求項１記載の
   トロイダルコイルの製造方法。