JP2000097300A - チェーンテンショナアームおよびチェーンガイド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂製のシューを有するテンショナアームま
たはチェーンガイドにおいてシューの破断を防止する。 【解決手段】 アーム本体部２と、これに着脱自在に取
り付けられる樹脂製のシュー３とからテンショナアーム
１を構成する。この場合において、シュー３の一端に、
アーム本体部２の背面２ｂ側まで延びる延長部３２を設
けるとともに、この延長部３２に板状の補強部分３３を
形成する。これにより、チェーンの運転中にアーム本体
部２からの押付力にともなう曲げモーメントが延長部３
２に作用した場合でも、補強部分３３により延長部３２
の曲げ変形を抑制でき、その結果、延長部３２における
シュー３の破断を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン内部のチ
ェーンに適正な緊張力を作用させるチェーンテンショナ
アーム、およびチェーンの走行位置を規制するチェーン
ガイドに関し、詳細には、これらチェーンテンショナア
ームおよびチェーンガイドの構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、内燃機関の動弁装置の駆動に用
いられるタイミングシステムにおいては、タイミングチ
ェーンの緩み側にチェーンテンショナアームをテンショ
ナとともに配設し、張り側にチェーンガイドを配設して
いる。

【０００３】これらチェーンテンショナアームおよびチ
ェーンガイドは、一般に、アルミ等の金属製部材で構成
された本体部と、そのチェーン当接側に設けられたたと
えば樹脂製のシューとから構成されている。

【０００４】図１０は、従来のチェーンテンショナアー
ムの自由端側の部分を示しており、同図に示すように、
このチェーンテンショナアーム１００は、アーム本体部
１０１と、樹脂製のシュー１０２とを備えている。シュ
ー１０２の一端は、アーム本体部１０１の背面１０１ａ
側まで延びており、この延長部１０２ａは側面視Ｕ字状
に形成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】チェーンテンショナア
ーム１００の使用の際には、チェーンがシュー１０２上
を摺動するが、このとき、チェーンの速度変動等でシュ
ーが矢印方向に振動する。これにより、シュー１０２の
延長部１０２ａには、アーム本体部１０１の端部１０１
ｂからの押付力による曲げモーメントが作用し、その結
果、長時間の運転後には、シュー１０２の延長部１０２
ａが矢印ｆ部分から破断する場合もあり得る。

【０００６】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
なされたもので、シューの破断を防止できるチェーンテ
ンショナアーム及びチェーンガイドを提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係るチ
ェーンテンショナアームは、エンジン内部に設けられる
チェーンに緊張力を作用させるためのチェーンテンショ
ナアームであって、アーム本体と、前記アーム本体に着
脱自在に取り付けられる樹脂製のシューとを備え、前記
シューの一端が、前記アーム本体の背面側まで延びる延
長部を有するとともに、該延長部に補強部分が形成され
ていることを特徴としている。

【０００８】請求項２の発明に係るチェーンテンショナ
アームは、請求項１において、前記補強部分が、前記延
長部とシュー本体とを連結する板状部により構成されて
いることを特徴としている。

【０００９】請求項３の発明に係るチェーンテンショナ
アームは、請求項１または２に記載のチェーンテンショ
ナアームの製造方法において、前記シューの補強部分
が、中子を用いて射出成形法により成形されていること
を特徴としている。

【００１０】請求項４の発明に係るチェーンガイドは、
エンジン内部に設けられるチェーンの走行位置を規制す
るためのチェーンガイドであって、ガイド本体と、前記
ガイド本体に着脱自在に取り付けられる樹脂製のシュー
とを備え、前記シューの少なくとも一端が、前記ガイド
本体の背面側まで延びる延長部を有するとともに、該延
長部に補強部分が形成されていることを特徴としてい
る。

【００１１】請求項５の発明に係るチェーンガイドは、
請求項４において、前記補強部分が、前記延長部とシュ
ー本体とを連結する板状部により構成されていることを
特徴としている。

【００１２】請求項６の発明に係るチェーンガイドは、
請求項４または５に記載のチェーンガイドの製造方法に
おいて、前記シューの補強部分が、中子を用いて射出成
形法により成形されていることを特徴としている。

【００１３】本発明に係るチェーンテンショナアームま
たはチェーンガイドによれば、シューの一端に設けられ
た延長部に補強部分が形成されているので、チェーン運
転時のチェーンの摺動の際に、アーム本体またはガイド
本体からの押付力にともなう曲げモーメントがシューの
延長部に作用した場合でも、補強部分により延長部の曲
げ変形を抑制でき、これにより、延長部の部分からシュ
ーが破断するのを防止できる。また、この補強部分は、
中子を用いて射出成形法により成形することにより、シ
ュー本体の射出成形時にシュー本体との一体成形を簡単
に行うことができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を添付図
面に基づいて説明する。図１ないし図９は本発明の一実
施態様によるチェーンテンショナアーム（以下、単に
「テンショナアーム」という）を説明するための図であ
って、図１はテンショナアームの左側面図、図２はテン
ショナアームの右側面図、図３はテンショナアームを構
成するアーム本体部の底面図、図４はテンショナアーム
を構成するシューの左側面図、図５はシューの右側面
図、図６はシューの平面図、図７は図６のVII-VII 線断
面図、図８は図６のVIII-VIII 線断面図、図９はシュー
の補強部分の断面（図５のIX-IX 線断面）をシューの成
形金型とともに用いられる中子の一例とともに示す図で
ある。

【００１５】図１および図２に示すように、テンショナ
アーム１は、例えばアルミダイキャスト製のアーム本体
部２と、そのチェーン当接側に着脱自在に取り付けられ
たナイロン等の樹脂製のシュー３とを備えている。

【００１６】アーム本体部２の一端には、アーム本体部
２を回動自在に支持するピンまたはボルトを挿入するた
めの孔２ａが形成されている。シュー３には、アーム本
体部２に取り付けるための複数の係止爪３１が設けられ
ており、アーム本体部２には、これらの係止爪３１が係
脱自在に係合し得る複数の係合凹部２１が設けられてい
る（図３参照）。係止爪３１は、図４ないし図６に示す
ように、シュー３の長手方向に沿って互い違いに配置さ
れている。またシュー３のチェーン当接側には、図６の
VII-VII 線断面である図７に示すように、図示しないチ
ェーンが係合する係合溝３ａが形成されている。

【００１７】シュー３の一端には、アーム本体部２の背
面２ｂ側まで延びる延長部３２が設けられている。この
延長部３２は、図２および図５にもっともよく表されて
いるように、側面視コ字状またはＵ字状に形成されてい
る。

【００１８】延長部３２の一側面側には、延長部３２の
一端とシュー本体とを連結する板状の補強部分３３が設
けられている。この補強部分３３が設けられることによ
り、延長部３２との間に孔３２ａが形成されている（図
８参照）。

【００１９】次に、シュー３の補強部分３３の成形方法
について簡単に説明する。シュー３の補強部分３３は、
シュー３の射出成形時に中子を用いて、シュー３と一体
に成形される。

【００２０】図９は、補強部分３３を成形する際の中子
の配置の一例を示している。同図に示すように、中子
７，８は隣接して配置されており、これらの中子と図示
しない成形金型とを組み合わせるとともに、金型内に樹
脂を注入して射出成形を行うことにより、シュー本体の
射出成形の際に、補強部分３３をシュー本体部と簡単に
一体成形することができる。

【００２１】図９では、図示の便宜上、中子７，８の
間、および中子７，８と延長部３２，補強部分３３との
間に隙間を形成した状態を示しているが、実際の成形時
には、これらの隙間が形成されないことはいうまでもな
い。また、中子の形状および配置の仕方も図９に示すも
のには限定されない。

【００２２】本実施態様では、シュー３の一端に設けら
れた延長部３２に補強部分３３が形成されているので、
チェーン運転時のチェーンの摺動の際に、アーム本体部
２からの押付力にともなう曲げモーメントがシュー３の
延長部３２に作用した場合でも、補強部分３３により延
長部３２の曲げ変形を抑制でき、これにより、延長部３
２の部分からシュー３が破断するのを防止できる。

【００２３】なお、前記実施態様では、本発明がテンシ
ョナアームに適用された例を示したが、本発明はチェー
ンガイドにも全く同様に適用できる。この場合には、ガ
イド本体に着脱自在に取り付けられる樹脂製シューの延
長部に補強部分が設けられるとともに、該補強部分が、
中子を用いた射出成形法により成形されることになる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明に係るチェーンテン
ショナアームまたはチェーンガイドによれば、アーム本
体またはガイド本体と、これらに着脱自在に取り付けら
れる樹脂製のシューとを備えたものにおいて、シューの
一端に延長部を設け、該延長部に補強部分を形成するよ
うにしたので、チェーン運転時のチェーンの摺動の際
に、アーム本体またはガイド本体からの押付力にともな
う曲げモーメントがシューの延長部に作用した場合で
も、補強部により延長部の曲げ変形を抑制でき、これに
より、延長部の部分からシューが破断するのを防止でき
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施態様によるテンショナアームの
左側面図。

【図２】本発明の一実施態様によるテンショナアームの
右側面図。

【図３】前記テンショナアームを構成するアーム本体部
の底面図。

【図４】前記テンショナアームを構成するシューの左側
面図。

【図５】前記シューの右側面図。

【図６】前記シューの平面図。

【図７】図６のVII-VII 線断面図。

【図８】図６のVIII-VIII 線断面図。

【図９】前記シューの補強部分の断面（図５のIX-IX 線
断面）をシューの成形金型とともに用いられる中子の一
例とともに示す図。

【図１０】従来のテンショナアームの側面部分図。

【符号の説明】

１ テンショナアーム ２ アーム本体部 ２ｂ 背面 ３ シュー ３２ 延長部 ３３ 補強部分 ７，８ 中子

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン内部に設けられるチェーンに緊
   張力を作用させるためのチェーンテンショナアームであ
   って、 アーム本体と、 前記アーム本体に着脱自在に取り付けられる樹脂製のシ
   ューとを備え、 前記シューの一端が、前記アーム本体の背面側まで延び
   る延長部を有するとともに、該延長部に補強部分が形成
   されている、ことを特徴とするチェーンテンショナアー
   ム。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のチェーンテンショナア
   ームにおいて、前記補強部分が、前記延長部とシュー本
   体とを連結する板状部により構成されている、ことを特
   徴とするチェーンテンショナアーム。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載のチェーンテン
   ショナアームの製造方法において、 前記シューの補強部分が、中子を用いて射出成形法によ
   り成形されている、ことを特徴とするチェーンテンショ
   ナアームの製造方法。
4. 【請求項４】 エンジン内部に設けられるチェーンの走
   行位置を規制するためのチェーンガイドであって、 ガイド本体と、 前記ガイド本体に着脱自在に取り付けられる樹脂製のシ
   ューとを備え、 前記シューの少なくとも一端が、前記ガイド本体の背面
   側まで延びる延長部を有するとともに、該延長部に補強
   部分が形成されている、ことを特徴とするチェーンガイ
   ド。
5. 【請求項５】 請求項４に記載のチェーンガイドにおい
   て、 前記補強部分が、前記延長部とシュー本体とを連結する
   板状部により構成されている、ことを特徴とするチェー
   ンガイド。
6. 【請求項６】 請求項４または５に記載のチェーンガイ
   ドの製造方法において、 前記シューの補強部分が、中子を用いて射出成形法によ
   り成形されている、ことを特徴とするチェーンガイドの
   製造方法。