JP2000097203A - 油圧同調装置及び油圧リフト - Google Patents

油圧同調装置及び油圧リフト

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型かつ安価な構成で2台の油圧アクチュエ
ータを高精度に同調制御し、雨水がかかる場所や可燃性
ガスが発生する環境下でのリフトの使用を可能にする。 【解決手段】 油圧ポンプ3に油圧室4A,4Bとピス
トン室5とを設け、油圧室4Aを油圧シリンダ2Aに、
油圧室4Bを油圧シリンダ2Bに、ピストン室5をエア
コンプレッサ7に接続する。ピストン室5にピストン8
を収容し、これに2本のロッド9A,9Bを設け、圧縮
空気でピストンを往復動し、ロッドを各油圧室で交互に
進退させる。空圧回路に、ピストンの移動方向を切り換
える方向切換弁11と、ピストンのストローク端で方向
切換弁を動作させるリミット弁12A,12Bとを設け
る。油圧回路には、油圧シリンダの作動方向を切り換え
る手動切換弁16A,16Bと、油圧シリンダのリリー
フ圧を設定するリリーフ弁17A,17Bとを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2台の油圧アクチ
ュエータを同調制御する油圧同調装置、及びこの装置を
用いた油圧リフトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、2台のリフターを2本の油圧シ
リンダで別々に駆動するタイプの自動車整備用リフトに
おいて、油圧シリンダに作用する負荷が同じでない場
合、各リフターの昇降速度やリフト量に差が生じる問題
点がある。従来、2台のリフターを一体に連結して機械
的に同調させる技術が知られているが、これによると、
リフトの設置や荷扱いに不便を来たすことがある。
【0003】そこで、従来、2本の油圧シリンダを油圧
制御によって同調させる装置が提案されている。図3に
示す油圧同調装置は、電動モータ及びポンプを備えた油
圧ユニット31に大径の油圧シリンダ32Aと小径の油
圧シリンダ32Bとを直列に接続して構成されている。
図4に示す装置では、2本の油圧シリンダ32A,32
Bに同量の圧油を供給する分配器33が用いられ、図5
に示す装置では、より高精度のシンクロナイズドシリン
ダ34が用いられている。
【0004】図6に示す装置では、2台のポンプ35
A,35Bが共通の電動モータ36によって駆動され
る。図7に示す装置には、2本の油圧シリンダ32A,
32Bの作動量を検出してその差を補正するサーボバル
ブ37が設けられている。図8に示す装置は、2本の油
圧シリンダ32A,32Bの作動量をエンコーダ38
A,38Bで検出し、これらの電気信号に基づき、制御
ユニット39が比例制御バルブ40A,40Bを制御す
るように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図3に示す
装置によると、大径シリンダ32Aの上室の断面積と小
径シリンダ32Bの下室の断面積とを等しくする必要が
あり、シリンダサイズの組み合わせが制限されることが
あった。図4に示す装置の場合は、分配器33の精度が
低いと、十分な同調精度が得られないことがあった。図
5に示す装置の場合は、シンクロナイズドシリンダ34
の1行程で油圧シリンダ32A,32Bを1往復させる
ため、油圧シリンダ32A,32Bのサイズ又はストロ
ークが大きい場合に、それに応じてシンクロナイズドシ
リンダ34も大型化することがあった。
【0006】図6に示す装置の場合は、2台の油圧ポン
プ35A,35Bを使用するため、装置全体が大型化
し、コストが高くつき、同調精度も低かった。図7に示
す装置の場合は、高価なサーボバルブ37を用いる必要
があり、その設置場所が制限されることもあった。図8
に示す装置の場合は、検出制御系が複雑化し、装置が高
価になることがあった。また、従来の油圧同調装置によ
ると、何れの場合も、油圧発生源や動力源又は検出制御
系に電動機器を用いているため、雨や水のかかる場所で
は漏電や短絡のおそれがあり、ガソリンスタンドや塗装
ブース等の可燃性ガスが発生する環境下では特別の引火
防止対策等が必要になるということもあった。
【0007】そこで、本発明の課題は、小型かつ安価な
構成で2台の油圧アクチュエータを高精度に同調制御で
きる油圧同調装置、及び、雨水がかかる場所や可燃性ガ
スが発生する環境下でも使用できる油圧リフトを提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の油圧同調装置は、2台の油圧アクチュエ
ータに共通する1台の油圧ポンプを備え、油圧ポンプに
2つの油圧室と少なくとも1つのピストン室とを設け、
ピストン室を空圧回路を介し圧縮空気供給源に接続し、
2つの油圧室を別々の油圧回路を介し各油圧アクチュエ
ータに接続し、ピストン室に圧縮空気によって往復動さ
れるピストンを収容し、ピストンにその往復動に伴い2
つの油圧室で交互に進退する2本のロッドを設けて構成
される(請求項1)。
【0009】また、本発明の油圧同調装置においては、
前記空圧回路に、ピストンの移動方向を切り換える方向
切換弁と、ピストンのストローク端で方向切換弁を動作
させるリミット弁とが設けられる(請求項2)。前記油
圧回路には、油圧アクチュエータの作動方向を切り換え
る切換弁と、油圧アクチュエータのリリーフ圧を設定す
るリリーフ弁とが設けられる(請求項3)。
【0010】本発明の油圧リフトは、2台のリフター
と、各リフターを別々に駆動する2本の複動型油圧シリ
ンダと、各油圧シリンダに共通する1台の油圧ポンプと
を備え、油圧ポンプに2つの油圧室と少なくとも1つの
ピストン室とを設け、ピストン室を空圧回路を介し圧縮
空気供給源に接続し、2つの油圧室を別々の油圧回路を
介し各油圧シリンダに接続し、ピストン室に圧縮空気に
よって往復動されるピストンを収容し、ピストンにその
往復動に伴い2つの油圧室で交互に進退する2本のロッ
ドを設け、前記空圧回路に、ピストンの移動方向を切り
換える方向切換弁と、ピストンのストローク端で方向切
換弁を動作させるリミット弁とを設け、前記油圧回路に
は、油圧シリンダの作動方向を切り換える切換弁と、油
圧シリンダのリリーフ圧を設定するリリーフ弁とを設け
て構成される(請求項4)。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は油圧同調装置の一実施形態
を示すもので、図中、太線は油圧回路を示し、細線は空
圧回路を示す。図2は図1の油圧同調装置が装備された
自動車整備用の油圧リフトを示すもので、図1と同一の
符号は同一の部材を示す。
【0012】図1に示すように、この実施形態の油圧同
調装置1は油圧アクチュエータとしての同一仕様の2本
の複動型油圧シリンダ2A,2Bを同調制御するもので
あって、各シリンダ2A,2Bに共通する一台の油圧ポ
ンプ3を備えている。油圧ポンプ3には2つの油圧室4
A,4Bと1つのピストン室5とが設けられ、油圧室4
Aは油圧シリンダ2Aとオイルタンク6とに接続され、
油圧室4Bは油圧シリンダ2Bとオイルタンク6とに接
続され、ピストン室5は空気圧発生源としてのエアコン
プレッサ7に接続されている。
【0013】ピストン室5にはピストン8が収容され、
このピストン8には油圧室4A,4B内で進退する同一
断面積の2本のロッド9A,9Bが設けられている。油
圧ポンプ3とエアコンプレッサ7との間の空圧回路に
は、この回路を手動操作で開閉する手動開閉弁10と、
ピストン8の移動方向を切り換える方向切換弁11と、
ピストン8のストローク端で方向切換弁11を切換動作
させるリミット弁12A,12Bとが配設され、リミッ
ト弁12A,12Bとピストン8との間には連動部材1
3A,13Bが設けられている。
【0014】この空圧回路において、手動開閉弁10が
開放されると、エアコンプレッサ7からの圧縮空気が方
向切換弁11とリミット弁12A,12Bとに導かれ、
方向切換弁11を通過した圧縮空気はピストン8より左
側のピストン室5に入り、ピストン8及びロッド9A,
9Bを右方に移動する。ピストン8が右端に達すると、
連動部材13Bがリミット弁12Bを開き、リミット弁
12Bを通過した圧縮空気が方向切換弁11を切り換え
る。
【0015】そして、方向切換弁11を通過した圧縮空
気が、今度は、ピストン8より右側のピストン室5に入
り、ピストン8及びロッド9A,9Bを左方に移動す
る。ピストン8が左端に達すると、連動部材13Aがリ
ミット弁12Aを開き、リミット弁12Aを通過した圧
縮空気が方向切換弁11を切り換える。従って、この油
圧ポンプ3によれば、電動モータを用いることなく、圧
縮空気によりピストン8を駆動することができる。
【0016】一方、油圧ポンプ3と油圧シリンダ2A,
2Bとの間の油圧回路には、逆止弁15A,15Bと、
油圧シリンダ2A,2Bの作動方向を手動で切り換える
手動切換弁16A,16Bと、油圧シリンダ2A,2B
のリリーフ圧を設定するリリーフ弁17A,17Bとが
配設されている。また、オイルタンク6と油圧ポンプ3
との間の油圧回路には、フィルタ18A,18Bと逆止
弁19A,19Bとリリーフ弁20A,20Bとが配設
されている。なお、手動切換弁16A,16Bは手動開
閉弁10と共通する1本の操作レバー21で同時に切り
換えられるように機械的に連結されている。
【0017】この油圧回路において、ピストン8が右方
に移動すると、ロッド9Bの前進により油圧室4Bの圧
油が逆止弁15B及び手動切換弁16Bを通って油圧シ
リンダ2Bに供給されるとともに、ロッド9Aの後退に
よりオイルタンク6の圧油がフィルタ18A及び逆止弁
19Aを通って油圧室4Aに吸い込まれる。逆に、ピス
トン8が左方に移動すると、ロッド9Aの前進により油
圧室4Aの圧油が油圧シリンダ2Aに供給され、ロッド
9Bの後退によりオイルタンク10の圧油が油圧室4B
に吸い込まれる。
【0018】また、手動切換弁16A,16Bが図1に
示す位置に切り換えられると、油圧ポンプ3からの吐出
油が油圧シリンダ2A,2Bの下室に流入し、シリンダ
2A,2Bが伸長動作し、上室の圧油はリリーフ弁17
A,17Bで圧力コントロールされた後にタンク6に戻
る。手動切換弁16A,16Bが反対側に切り換えられ
ると、油圧ポンプ3の吐出油が油圧シリンダ2A,2B
の上室に流入し、シリンダ2A,2Bが収縮動作し、下
室の圧油はリリーフ弁17A,17Bで圧力コントロー
ルされた後にタンク6に戻る。
【0019】ここで、油圧ポンプ3の吸込油量と吐出油
量は同等であり、それぞれロッド9A,9Bの断面積と
ピストン8のストロークとの積で求められる。油圧ポン
プ3の倍圧は、(ピストンの断面積/ロッドの断面積)
×エア圧×効率 で表わされる。また、油圧シリンダ2
A,2Bに発生する油圧は負荷によって決まるが、この
負荷による油圧より高い油圧がリリーフ弁17A,17
Bに設定される。
【0020】このように、本実施形態の油圧同調装置に
よれば、ピストン8の往復動に伴い、同等量の圧油が2
つの油圧室4A,4Bから別々の油圧回路を通って2本
の油圧シリンダ2A,2Bに交互に供給される。従っ
て、負荷に差がある場合でも、2本の油圧シリンダ2
A,2Bを同等の伸縮量で精度よく同調制御でき、ま
た、油圧シリンダ2A,2Bのサイズ又はストロークが
大きい場合でも、比較的小容量の油圧ポンプ3を使用で
きる利点がある。そのうえ、油圧ポンプ3の動力源にエ
アコンプレッサ7を用いているため、電動型の油圧ユニ
ットと比較し、装置全体を小型で安価に構成できるとと
もに、コンプレッサ7からのエア量を制御することで、
油圧シリンダ2A,2Bの伸縮速度を容易に調整できる
利点もある。
【0021】なお、油圧シリンダ2A,2Bは、厳密に
は、交互間欠的に駆動されるが、単位時間当たりの給油
量が同じであるため、ピストン8の1行程分の吐出量を
小さくし、速度を速く設定すれば、各シリンダ2A,2
Bをスムーズに動作させることができ、油圧リフトを支
障なく運転することができる。また、上記実施形態では
同一仕様の油圧シリンダ2A,2Bが用いられている
が、油圧ポンプ3における2本のロッド9A,9Bの直
径を相違させることで、シリンダ径やストロークの異な
る2本の油圧シリンダの同調制御にも容易に適用するこ
とが可能である。
【0022】図2に示すように、この実施形態の自動車
整備用油圧リフトは独立した2台のXリンク式のリフタ
ー23A,23Bを備え、これらを別々の油圧シリンダ
2A,2Bで昇降駆動するように構成されている。油圧
シリンダ2A,2Bは油圧ホース24A,24Bを介し
油圧同調装置1に接続され、この装置1はエアホース2
5を介し作業現場から離れたエアコンプレッサ7に接続
されている。油圧同調装置1は、前述したように、油圧
ポンプ3の動力源にエアコンプレッサ7を用い、検出制
御用の電気機器を備えていないため、雨水がかかる場所
や可燃性ガスが発生する環境下でも設置することができ
る。
【0023】なお、本発明の油圧同調装置は、複動型油
圧シリンダのみに限定されるものではなく、単動型油圧
シリンダや油圧モータなど、各種の油圧アクチュエータ
に適用することもできる。また、本発明の油圧リフト
は、Xリンク式リフトに限定されず、ラム式リフトであ
ってもよく、自動車整備用以外の各種用途のリフトに適
用することもできる。その他、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施す
ることも可能である。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の油圧同調
装置によれば、小型かつ安価な構成で2台の油圧アクチ
ュエータを高精度に同調制御できる効果がある。
【0025】また、本発明の油圧リフトによれば、雨水
がかかる場所や可燃性ガスが発生する環境下でも使用で
きる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による油圧同調装置の一実施形態を示す
回路図である。
【図2】本発明による油圧リフトの一実施形態を示す斜
視図である。
【図3】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【図4】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【図5】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【図6】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【図7】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【図8】従来の油圧同調装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1・・油圧同調装置、2A,2B・・油圧シリンダ、3
・・油圧ポンプ、4A,4B・・油圧室、5・・ピスト
ン室、7・・エアコンプレッサ、8・・ピストン、9
A,9B・・ロッド、11・・方向切換弁、12A,1
2B・・リミット弁、16A,16B・・手動切換弁、
17A,17B・・リリーフ弁、23A,23B・・リ
フター。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2台の油圧アクチュエータに共通する1
    台の油圧ポンプを備え、油圧ポンプに2つの油圧室と少
    なくとも1つのピストン室とを設け、ピストン室を空圧
    回路を介し圧縮空気供給源に接続し、2つの油圧室を別
    々の油圧回路を介し各油圧アクチュエータに接続し、ピ
    ストン室に圧縮空気によって往復動されるピストンを収
    容し、ピストンにその往復動に伴い2つの油圧室で交互
    に進退する2本のロッドを設けてなる油圧同調装置。
  2. 【請求項2】 前記空圧回路に、ピストンの移動方向を
    切り換える方向切換弁と、ピストンのストローク端で方
    向切換弁を動作させるリミット弁とを設けた請求項1記
    載の油圧同調装置。
  3. 【請求項3】 前記油圧回路に、油圧アクチュエータの
    作動方向を切り換える切換弁と、油圧アクチュエータの
    リリーフ圧を設定するリリーフ弁とを設けた請求項1又
    は2記載の油圧同調装置。
  4. 【請求項4】 2台のリフターと、各リフターを別々に
    駆動する2本の複動型油圧シリンダと、各油圧シリンダ
    に共通する1台の油圧ポンプとを備え、油圧ポンプに2
    つの油圧室と少なくとも1つのピストン室とを設け、ピ
    ストン室を空圧回路を介し圧縮空気供給源に接続し、2
    つの油圧室を別々の油圧回路を介し各油圧シリンダに接
    続し、ピストン室に圧縮空気によって往復動されるピス
    トンを収容し、ピストンにその往復動に伴い2つの油圧
    室で交互に進退する2本のロッドを設け、前記空圧回路
    に、ピストンの移動方向を切り換える方向切換弁と、ピ
    ストンのストローク端で方向切換弁を動作させるリミッ
    ト弁とを設け、前記油圧回路には、油圧シリンダの作動
    方向を切り換える切換弁と、油圧シリンダのリリーフ圧
    を設定するリリーフ弁とを設けてなる油圧リフト。
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