JP2000096435A - 美肌効果を呈する中空繊維 - Google Patents

美肌効果を呈する中空繊維

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JP2000096435A
JP2000096435A JP10260101A JP26010198A JP2000096435A JP 2000096435 A JP2000096435 A JP 2000096435A JP 10260101 A JP10260101 A JP 10260101A JP 26010198 A JP26010198 A JP 26010198A JP 2000096435 A JP2000096435 A JP 2000096435A
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acrylate
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ethylene oxide
hollow fiber
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Motoyoshi Suzuki
東義 鈴木
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた美肌効果を有し、その洗濯
耐久性および持続性にも優れ、さらに美肌効果付与処理
によって風合が損なわれることがなく、これら全てを満
足する中空繊維を提供することにある。 【解決手段】 繊維表面から中空部への連通孔を有する
中空繊維の該中空部にトランス−4−アミノメチルシク
ロヘキサンカルボン酸を含有する水不溶性ポリオキシエ
チレン系ポリエーテルが充填されていることを特徴とす
る美肌効果を呈する中空繊維にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、美肌効果を呈する
中空繊維に関し、さらに詳細には中空繊維の中空部にス
キンケア効果のある有効成分が充填されており、そのこ
とによって優れた美肌効果を呈すると共に良好な風合を
維持し、それら効果の洗濯耐久性・持続性に優れた中空
繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、肌荒れの予防、改善が化粧品
分野において、基本的且つ恒常的に追求されてきた。肌
荒れは、角質層の乾燥・粗造化を特徴とする美容上好ま
しくない皮膚状態であるばかりでなく、慢性的な肌荒れ
は皮膚老化を促進することで知られている。
【0003】これまで肌荒れに対する有効成分として
は、角質層の保湿の観点から保湿剤が使用されて来た。
しかしながら、最近になって、肌荒れの発生過程に表皮
内のプラスミノーゲン活性化系が重要な役割を果たして
いることが明らかになり、その知見に基づく有効成分と
して、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカル
ボン酸が見出されスキンケア化粧品の新規有効成分とし
て開発、使用されるようになってきている。
【0004】しかし、かかるトランス−4−アミノメチ
ルシクロヘキサンカルボン酸を、必要に応じてバインダ
ー樹脂などを用いて繊維に加工し、該加工繊維を用いて
得た肌着等の製品を着用することによって、該トランス
−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を肌に徐
放させ、これにより肌荒れの予防、改善をはかろうとす
る試みは具体的には実現していない。その理由は、該ト
ランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸が
水溶性の粉体であるため、繊維に加工しても洗濯等によ
って容易に溶出し、洗濯耐久性・持続性のある効果が得
られないためである。また、仮に、バインダー樹脂を用
いても洗濯耐久性・持続性を改善する効果は少なく、か
えって風合を硬くする等の問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を解決し、優れた美肌効果を有し、その洗濯耐久性お
よび持続性にも優れ、さらに美肌効果付与処理によって
風合が損なわれることがなく、これら全てを満足する中
空繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するべく鋭意検討した結果、中空繊維の中空部に
トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
を存在させる有効な手段を見出し本発明を完成させるに
至った。
【0007】すなわち、本発明は、繊維表面から中空部
への連通孔を有する中空繊維の該中空部にトランス−4
−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を含有する水
不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルが充填されて
いることを特徴とする美肌効果を呈する中空繊維にあ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する中空繊維は、従来から公知の方法によ
って製造するすることができ、例えば、実公平2−43
879号公報に記載されているような方法が任意に採用
できる。
【0009】また、該中空繊維に繊維表面から中空部へ
の連通孔を形成させる方法としては、例えば、中空繊維
がポリエステル繊維である場合には、特公昭61−60
188号公報、特公昭61−31231号公報等に記載
されたような、有機スルホン酸金属塩を添加配合せしめ
たポリエステル中空繊維をアルカリ減量処理することに
より繊維表面から中空部まで連通した微細孔を形成させ
る方法を例示することができる。
【0010】さらに、該ポリエステル中空繊維が、中空
率として25%以上を有するような高中空率を有する中
空繊維の場合には、該中空繊維をアルカリ減量処理すれ
ば、前記のような有機スルホン酸金属塩を使用しなくて
も、繊維の長手方向に沿った低配向部及び/又は変形歪
集中部の除去痕として連通孔を形成することができる
(特開平7−26466号公報参照)。
【0011】本発明に使用する中空繊維としては、この
ように繊維表面から中空部にまで至る連通孔を有する中
空繊維であればよく、その際に該連通孔の大きさや数は
特に限定されるものではないが、連通孔の大きさが中空
部に充填される水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエー
テルの絶乾状態における非膨潤状態の大きさよりも小さ
いことが洗濯耐久性等の耐久面から好ましい。なお、該
連通孔は、繊維表面から中空部までの1個の連通孔で形
成されるものであってもよく、また、他の連通孔に連な
り、結果として中空部から繊維表面に連なる構造を有す
るものであってもよい。
【0012】本発明は、かかる中空繊維の中空部にトラ
ンス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸が充
填されていることが重要である。該トランス−4−アミ
ノメチルシクロヘキサンカルボン酸の中空繊維中の含有
量は、中空繊維に対して0.1〜10重量%の範囲が好
ましく、なかでも、0.2〜5.0重量%の範囲が特に
好ましい。この含有量が0.1重量%未満では美肌効果
が不充分となり、また、該含有量が多いほど美肌効果、
及び、その洗濯耐久性・持続性が大きくなるが、10重
量%を超えると最早美肌効果は著しい増大を示さず、か
えって変色が発生する傾向があるので好ましくない。
【0013】一般に該トランス−4−アミノメチルシク
ロヘキサンカルボン酸は水溶性であるので、その効果を
永く持続する中空繊維を得るためには、水不溶性ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルに該トランス−4−アミノ
メチルシクロヘキサンカルボン酸を含有させて用いる必
要がある。
【0014】該トランス−4−アミノメチルシクロヘキ
サンカルボン酸を前記の水不溶性ポリオキシエチレン系
ポリエーテル中に含有せしめるには、例えば、その中空
部内に水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルを含
有する中空繊維を乾燥した後、該トランス−4−アミル
メチルシクロヘキサンカルボン酸の水溶液に室温〜沸騰
温度の任意の温度下で接触させて該水溶液を水不溶性ポ
リオキシエチレン系ポリエーテル中に浸透させた後に乾
燥する方法が例示される。
【0015】また、他の方法としては、該中空繊維の中
空部に水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルを充
填する際に、該充填液の中に予めトランス−4−アミノ
メチルシクロヘキサンカルボン酸を溶解させたものを使
用して行う方法が採用される。この方法のように充填液
の中にトランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカル
ボン酸を溶解させるものは、トランス−4−アミノメチ
ルシクロヘキサンカルボン酸の効果の耐久性がより優れ
る点で好ましい。
【0016】なお、本発明において使用する該水不溶性
ポリオキシエチレン系ポリエーテルには、該トランス−
4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸以外に、必
要に応じて香料、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤等が含まれていてもよい。
【0017】このような水不溶性ポリオキシエチレン系
ポリエーテルとしては、本来的に水不溶性のポリオキシ
エチレン系ポリエーテルを用いることもできるが、中空
繊維の中空部への充填性の面から、水溶性のポリオキシ
エチレン系ポリエーテルを中空部に充填した後に適当な
処理を施すことによって変質させて水不溶化としたもの
を用いることがより好ましい。
【0018】すなわち、該中空部に充填させるのに用い
る水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルとしては、
下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレン系ポリ
エーテルが好ましく例示される。 Z〔(R1O)l2k (1)
【0019】上記式中、Zは、1〜6の活性水素を有す
る分子量300以下の有機化合物の残基であり、メタノ
ール、プロパノール、ブタノール、フェノール、エチレ
ングリコール、ビスフェノールA、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、
トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリ
トール、ソルビトール等のヒドロキシル基含有化合物の
残基およびエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン等の1級および2級アミン類
の残基等を挙げることができる。なかでもヒドロキシル
基含有化合物が好ましい。
【0020】R1は、エチレン基を主体とし、該ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルが水溶性である範囲内で一
部がプロピレン基やブチレン基等の他のアルキレン基で
あってもよく、また、R2は、アクリロイル基またはメ
タクリロイル基であり、一部は水素原子、又は、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル
基であってもよい。
【0021】kは、Zの元になる有機化合物が有する活
性水素原子数に対応する1〜6の整数である。lは、正
の整数であり、分子間または分子内で同一であっても異
なってもよい。lの値があまりに大きくなり過ぎると水
溶液とした時の粘度が高くなって、中空部への浸透が困
難になる場合もあるので、k×l値が80以下であるの
が好ましい。
【0022】このような水溶性ポリオキシエチレン系ポ
リエーテルの好ましい具体例としては、ポリエチレング
リコール(平均分子量;400)ジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(平均分子量;600)ジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(平均
分子量;1000)ジ(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(平均分子量;1320)モノ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキ
サイド30モル付加物のジ(メタ)アクリレート、グリ
セリンエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレ
ート、グリセリンエチレンオキサイド付加物のトリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオ
キサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)
アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイド付加物
のジ(メタ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキ
サイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ソルビトール
エチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレー
ト、ソルビトールエチレンオキサイド付加物のテトラ
(メタ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイ
ド付加物のペンタ(メタ)アクリレートおよびソルビト
ールエチレンオキサイド付加物のヘキサ(メタ)アクリ
レート等を挙げることができる。ここに記載された水溶
性ポリオキシエチレン系ポリエーテルは、1種のみを単
独で使用してもよく、又は、2種以上を併用してもよ
い。
【0023】また、このような水溶性ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルを水不溶化とするための処理、すなわ
ち、該水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルの架橋
処理の方法としては(1)増感剤の存在下紫外線を照射
する方法、(2)ラジカル重合開始剤の存在下に加熱処
理する方法、(3)電子線を、例えば、0.01Mra
d〜100Mradの如き線量で照射する方法等を任意
に採用すればよい。なかでも(2)のラジカル重合開始
剤の存在下に加熱処理する方法が好ましい。
【0024】ここにラジカル開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過
酸化ベンゾイル等の過酸化物、硫酸第二セリウムアンモ
ニウム、硝酸第二セリウムアンモニウム等のセリウムア
ンモニウム塩、或いはα,α−アゾビスイソブチロニト
リル等が挙げられる。
【0025】次に、水不溶性ポリオキシエチレン系ポリ
エーテルを中空繊維の中空部内に充填させる方法として
は、以下の方法が例示される。
【0026】前記中空繊維を、好ましくは、織編物等
の繊維構造物の形態にして、(i)前記水溶性ポリオキ
シエチレン系ポリエーテル及び(ii)ラジカル重合開始
剤を含有する溶液中に浸漬し、該中空繊維の中空部の空
気と該溶液とを置換し、次いで加熱処理することによっ
て該水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルの重合・
架橋反応を生起せしめて水不溶化する方法。
【0027】前記中空繊維を、好ましくは、織編物等
の繊維構造物の形態にして、(i)前記水溶性ポリオキ
シエチレン系ポリエーテル及び(ii)ラジカル重合開始
剤を含有する溶液中に浸漬し、次いでマングルなどで圧
絞した後、ポリ塩化ビニリデンフィルム等のポリマーフ
ィルムでシールして放置することによって該中空繊維の
中空部の空気と溶液とを置換した後、加熱処理すること
によって該水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルの
重合・架橋反応を生起せしめて水不溶化する方法。
【0028】前記中空繊維を、好ましくは、織編物等
の繊維構造物の形態にして、密閉容器中に入れて減圧
し、該中空繊維の中空部の空気を除いた後、(i)前記
水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテル及び(ii)ラ
ジカル重合開始剤を含有する溶液を該容器に注入して中
空部内に充填させ、次いで加熱処理することによって該
水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルの重合・架橋
反応を生起せしめて水不溶化する方法等が例示される。
【0029】ここで、前記溶液の溶剤としては各成分を
溶解できるものであればよく、例えば、水及び/又は水
に可溶な有機溶剤を挙げることができる。水に可溶な有
機溶剤としては、イソプロピルアルコールのようなアル
コール、メチルエチルケトンのようなケトン、テトラヒ
ドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルフォキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−
メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。なかでも水が
特に好ましい。
【0030】本発明の中空繊維の好ましい態様として
は、前記の水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテル
が中空繊維の中空部のみに存在し、中空繊維の外表面や
繊維間空隙には実質的に存在しないことが、最終的に得
られる織編物製品の本来の風合を損なうことなく、且
つ、耐久性のある優れた美肌効果等を付与する上で好ま
しい。
【0031】かかる態様を実現する方法としては、例え
ば、(a)(i)前記水溶性ポリオキシエチレン系ポリ
エーテル及び(ii)ラジカル重合開始剤を含む溶液を中
空部に充填した後、該水溶性ポリオキシエチレン系ポリ
エーテルの重合・架橋反応を行うのに先立って該中空繊
維の外表面にヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエ
ーテルの如き重合(架橋)禁止剤を付与する方法や、
(b)(i)前記水溶性ポリオキシエチレン系ポリエー
テル及び(ii)ラジカル重合開始剤を含む溶液を中空部
に充填した後、温度50〜130℃、好ましくは70〜
100℃の温度で湯浴等の溶剤中で処理して、該中空繊
維中空部の水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルを
重合・架橋させると同時に中空繊維の外表面や繊維間空
隙に存在する水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテル
を洗浄除去する方法や、(c)(i)前記水溶性ポリオ
キシエチレン系ポリエーテル及び(ii)ラジカル重合開
始剤を含む溶液を中空部に充填した後、水溶性ポリオキ
シエチレン系ポリエーテルの重合・架橋反応を行うのに
先立って該中空繊維を室温の水等の溶剤で洗浄して中空
繊維の外表面や繊維間空隙に存在する水溶性ポリオキシ
エチレン系ポリエヘテルを除去する方法等が例示され
る。
【0032】このようにして処理される水不溶性ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルの、該中空繊維の中空部内
における充填量は、絶乾状態における非膨潤状態で1重
量%以上(基体中空繊維基準)であることが効果の点か
ら好ましく、5重量%以上であるものがより好ましい。
この充填量があまりに多いと該水不溶性ポリオキシエチ
レン系ポリエーテルの吸水膨潤時に中空繊維の割裂等が
発生する恐れがあるので、該充填量は80重量%以下で
あることが好ましい。
【0033】なお、本発明に使用する中空繊維には、レ
ーヨン、アセテート等の化学繊維用繊維素およびポリエ
ステル、ナイロン等の合成繊維用ポリマーからなる中空
繊維が用いられ、なかでもポリエステル中空繊維が特に
好ましく例示される。
【0034】ここで言うポリエステルには、テレフタル
酸を主たる酸成分とし、炭素原子数2〜6のアルキレン
グリコール、即ち、エチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレ
ングリコール、ヘキサメチレングリコールから、好まし
くはエチレングリコール及びテトラメチレングリコール
から選ばれた少なくとも一種のグリコールを、特に好ま
しくはエチレングリコールを主たるグリコール成分とす
るポリエステルが例示される。
【0035】また、該テレフタル酸成分の一部を他の二
官能性カルボン酸成分で置き換えたポリエステルであっ
てもよく、及び/又はグリコール成分の一部を前記グリ
コール以外のジオール成分で置き換えたポリエステルで
あってもよい。
【0036】また、ここで使用されるテレフタル酸以外
の二官能性カルボン酸としては、例えば、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き
芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげる
ことができる。また、前記グリコール以外のジオール化
合物としては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジメ
タノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールSの如き芳香族、脂肪族、脂環族の
ジオール化合物をあげることができる。
【0037】前記のポリエステルは、任意の方法によっ
て合成したものでよい。例えば、ポリエチレンテレフタ
レートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチ
レングリコールとを、直接、エステル化反応させるか、
テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸の低級アルキ
ルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応
させるか、またはテレフタル酸とエチレンオキサイドと
を反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステ
ルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の
反応と、第1段階の反応生成物を減圧下に加熱して所望
の重合度となるまで重縮合反応させる第2段階の反応に
よって製造することができる。
【0038】なお、前記のポリエステルには艶消剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤等が含有されていてもよく、こ
うすることは耐光性等の染色堅牢度の面からむしろ好ま
しいことである。その他、必要に応じて触媒、安定剤、
着色防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、耐熱
剤、着色剤、無機粒子等の添加剤が含有されていてもよ
い。
【0039】
【発明の作用】本発明に使用する中空繊維は、中空部へ
の連通孔が散在するものであって、該中空繊維の中空部
には、スキンケア化粧品の有効成分であるトランス−4
−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を含有する水
不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルが存在おり、
このような構成によって風合いを損ねることなく、トラ
ンス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の徐
放性と洗濯耐久性向上という二律背反的な作用を同時に
満足させたことは驚くべきことである。
【0040】その作用機構については未だ定かではない
が、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸が水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルと中
空繊維の中空壁とによって二重に保護されているため洗
濯により脱落することなく優れた洗濯耐久性を奏すると
共に、一方、水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテ
ルの適度な吸放湿乃至吸放水作用に伴って、該水不溶性
ポリオキシエチレン系ポリエーテル中に捕捉されたトラ
ンス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸が徐
々に繊維表面方向に移行するため優れた徐放性を発現で
きると推定される。
【0041】
【発明の効果】本発明の中空繊維は、良好な風合・ファ
ッション性を損なうことなく、優れた美肌効果及びその
洗濯耐久性・持続性を有するため、直接肌に触れるイン
ナー、ナイティー、ブラウス、スポーツウェア等の衣料
用途で極めて有用である。なかでもパンティーストッキ
ング、ランジェリー、スリップ、ペチコート、キャミソ
ール、ショーツ等の肌着、ガードル、ブラジャー、ボデ
ィースーツ等のファンデーション、さらには腹巻き、手
袋等、直接肌に接触して着用する衣料用途において特に
優れた効果を発揮する。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。なお、実施例中に記載した部及び%
はそれぞれ重量部および重量%を示し、肌荒れの有無、
トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
の存在確認分析および洗濯耐久性は下記の方法により行
った。
【0043】(1)肌荒れの有無 試験布を使用して縫製したキャミソールを1人当たり7
枚準備し、該キャミソールは毎日着替えて洗濯したもの
と交換し、8週間にわたり着用した女性パネラーにより
着用試験を行い、肉眼により肌荒れ状態を判定した。
【0044】(2)トランス−4−アミノメチルシクロ
ヘキサンカルボン酸の存在確認分析 FT−IRの差スペクトルにより1540cm-1のトラ
ンス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸に特
有の吸収の有無にて判定した。
【0045】(3)洗濯耐久性 JIS L−1018−77 6.36 H法に準じ、
洗濯は10回繰り返して行った。
【0046】[実施例1、比較例1]円形スリットの4
個所が閉じた円弧状の開口部をもつ紡糸孔を穿設した紡
糸口金を用いて溶融紡糸を行い、固有粘度が0.62の
ポリエチレンテレフタレート(二酸化チタン:0.07
%含有)からなる中空繊維の未延伸糸を常法に従って延
伸し、35デニール/12フィラメントで中空率40%
の丸中空断面のマルチフィラメントを得た。該丸中空断
面マルチフィラメントを用いて36ゲージのトリコット
ハーフ編地を編成し、常法に従って精錬した後、水酸化
ナトリウム50g/リットルの水溶液中で105℃の温
度にて10分間処理して減量率20%の編地となし、次
いで下記の条件で染色したものを未加工布とする。 Mikawhite KTN conc(日本化薬製) 1%owf 酢酸 0.3g/リットル Disper VG(明成化学工業製) 0.5g/リットル 染色温度・時間 130℃×30分
【0047】染色後、ソーピングを行い、次いで100
℃の温度で5分間乾燥した。得られた編地からマルチフ
ィラメントを取り出し、その表面を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、繊維軸方向の長さ:100μm当たり
に、幅1.0〜1.5μm、長さ50〜150μmの連
通孔(スリット)が少なくとも1個存在していた。
【0048】次いで、この編地を密閉容器内に入れ、真
空ポンプを用いて容器内を0.1Torrまで減圧し、
続いてこの容器内に下記の組成の水溶液を注入した。 ポリエチレングリコール(平均分子量1000)ジメタクリレート 30部 トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸 4部 過硫酸カリウム 0.5部 水 65.5部 該水溶液を注入後、真空ポンプを用いてさらに減圧状態
を10分間維持した。この時の容器内の真空度は0.2
Torrであった。
【0049】続いてこの編地を100℃の熱湯中に入れ
て揺動させながら5分間浸漬し、引き続き風乾した後、
120℃の温度で1分間の熱処理を施し、次いで180
℃の温度で1分間のファイナルセットを行った。かかる
一連の充填処理による編地の重量増加、即ち、充填率は
18重量%(未充填の中空繊維基準)であり、この編地
を走査型電子顕微鏡で観察した結果、固形分が中空繊維
の中空部にのみ存在し、繊維外表面、繊維間空隙、組織
間には全く付着していなかった。このため、得られた布
帛は未加工品と同等のソフトな風合、タッチを呈した
(加工布)。
【0050】加工布(実施例1)中には洗濯10回後
も、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸が残存していることをFT−IR測定により確認し
た。
【0051】該加工布(実施例1)を左半分に配置し、
未加工布(比較例1)を右半分に配置したキャミソール
を縫製し、1月〜2月の冬季に5人の女性パネラーによ
り着用試験を行った。その結果、何れのパネラーにおい
ても腹部の肌荒れ状態が未加工布側に比べて加工布側の
方が少なかった。
【0052】[実施例2]実施例1で水溶性ポリオキシ
エチレン系ポリエーテルとして使用したポリエチレング
リコール(平均分子量1000)ジメタクリレートに代
えてポリエチレングリコール(平均分子量600)ジメ
タクリレートを用いる以外は実施例1と同様の操作によ
り行った(充填率:14.6%)。得られた加工布中に
は洗濯10回後も、トランス−4−アミノメチルシクロ
ヘキサンカルボン酸が残存していることがFT−IR測
定により確認された。
【0053】[実施例3]実施例1で水溶性ポリオキシ
エチレン系ポリエーテルとして使用したポリエチレング
リコール(平均分子量1000)ジメタクリレートに代
えてソルビトールエチレンオキサイド30モル付加物の
テトラアクリレートを用いる以外は実施例1と同様の操
作により行った(充填率12.4%)。加工布中には洗
濯10回後も、トランス−4−アミノメチルシクロヘキ
サンカルボン酸が残存していることがFT−IR測定に
より確認された。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面から中空部への連通孔を有する
    中空繊維の該中空部にトランス−4−アミノメチルシク
    ロヘキサンカルボン酸を含有する水不溶性ポリオキシエ
    チレン系ポリエーテルが充填されていることを特徴とす
    る美肌効果を呈する中空繊維。
  2. 【請求項2】 水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエー
    テルが下記一般式(1) Z[(R1O)l2k (1) (式中、Zは、1〜6の活性水素を有する分子量300
    以下の有機化合物残基、R1は、エチレン基を主体とす
    るアルキレン基、R2は、アクリロイル基またはメタク
    リロイル基であり、一部は水素原子または低級アルキル
    基であってもよい。lは正の整数、kは1〜6の整数を
    示す)で表される水溶性ポリオキシエチレン系ポリエー
    テルから形成されたものである請求項1に記載された美
    肌効果を呈する中空繊維。
  3. 【請求項3】 水溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテ
    ルがポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
    グリセリンエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アク
    リレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物のトリ
    (メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレ
    ンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメ
    チロールプロパンエチレンオキサイド付加物のトリ(メ
    タ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイド付
    加物のジ(メタ)アクリレート、ソルビトールエチレン
    オキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ソルビト
    ールエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレ
    ート、ソルビトールエチレンオキサイド付加物のテトラ
    (メタ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイ
    ド付加物のペンタ(メタ)アクリレートおよびソルビト
    ールエチレンオキサイド付加物のヘキサ(メタ)アクリ
    レートよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請
    求項2に記載された美肌効果を呈する中空繊維。
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